(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071441
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】硬質眼用レンズを成型するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20240517BHJP
A61F 9/013 20060101ALI20240517BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20240517BHJP
B23P 15/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G02C7/04
A61F9/013 110
B23C3/00
B23P15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041868
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2020542105の分割
【原出願日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】10201800855R
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, ステファン
(57)【要約】
【課題】硬質気体透過性眼用レンズを迅速、効率的、確実、かつ安価に製造するようにする。
【解決手段】本方法は、オルソケラトロジーレンズ10の前面24及び後面22を形成するように形状付けられた第1及び第2の表面をそれぞれ含むコンタクトレンズ型を形成するステップと、レンズ材料をコンタクトレンズ型の第1の表面と第2の表面との間に提供するステップと、レンズ材料を硬化させるステップとを有する。オルソケラトロジーレンズ10は、リバースゾーン30、位置合わせゾーン34、及びリバースゾーン30を位置合わせゾーン34に接続する緩和ゾーン32を有する。緩和ゾーン32は、位置合わせゾーン34から涙液膜リザーバー31への上皮細胞の移動を促進するようにされている。コンタクトレンズ型は、オルソケラトロジーレンズ10にオルソケラトロジーレンズ10の後面22と眼38の角膜との間の5μm~40μmの頂点クリアランスをもたらす。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズを形成する方法であって、
オルソケラトロジーレンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の表面を含むコンタクトレンズ型の少なくとも一部を形成するステップと、
該オルソケラトロジーレンズの後面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第2の表面を含む該コンタクトレンズ型の少なくとも一部を形成するステップと、
レンズ材料を該コンタクトレンズ型の該第1の表面と該第2の表面との間に提供するステップと、
該オルソケラトロジーレンズを形成するように、該コンタクトレンズ型内の該レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させるステップと、
を有し、
該オルソケラトロジーレンズは、リバースゾーン、位置合わせゾーン、及び該リバースゾーンを該位置合わせゾーンに接続する緩和ゾーンを有し、該位置合わせゾーンは該オルソケラトロジーレンズの着地の位置を有し、該リバースゾーンが涙液膜リザーバーを画定し、該涙液膜リザーバーの深さが矯正される近視の量に対応し、該緩和ゾーンは、該位置合わせゾーンから該涙液膜リザーバーへの上皮細胞の移動を促進するようにされ、0.4mmから0.8mmの幅と、10μmから20μmの厚さを有しており、該コンタクトレンズ型は、該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズに該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズの該後面と角膜との間の5μm~40μmの頂点クリアランスをもたらすようにされている、方法。
【請求項2】
該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズの少なくとも1つの表面が、5ナノメートル未満のRa粗さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズをキャスト成型することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
該コンタクトレンズ型の該少なくとも一部は、5ナノメートル未満のRa粗さを有する該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズを製造するために該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズを形成する前に研磨されていない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
該レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させるステップが、該レンズ材料を化学線に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該第1の表面を含む該コンタクトレンズ型の該少なくとも一部を形成するステップが、
該オルソケラトロジーレンズの前面に対応する第1の型表面を有する雄型の射出成型工具を形成するように、第1のブランク材を機械加工するステップと、
該雄型の射出成型工具を使用して該コンタクトレンズ型の該一部を射出成型して、該第1の表面を含む該コンタクトレンズ型の該一部を形成するステップと、
を含み、
該第2の表面を含む該コンタクトレンズ型の該少なくとも一部を形成するステップが、
該オルソケラトロジーレンズの後面に対応する第2の型表面を有する雌型の射出成型工具を形成するように、第2のブランク材を機械加工するステップと、
該雌型の射出成型工具を使用して該コンタクトレンズ型の該一部を射出成型して、該第2の表面を含む該コンタクトレンズ型の該一部を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該第1のブランク材および該第2のブランク材を機械加工するステップが、10ナノメートル未満の位置決め分解能を有する多軸フライス盤を使用することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズの後方光学ゾーンの曲率半径が0.005ミリメートル以下の寸法公差を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズが使用者の目の表面を変形させるように構成されている、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
眼用レンズ(ocular lens)の一種であるコンタクトレンズは、目の表面に直接配置される薄いレンズである。眼用レンズには、大きく分けて、ソフト眼用レンズとハードまたは硬質眼用レンズの2種類がある。ソフト眼用レンズは、しなやかで変形しやすい材料、場合によってはヒドロゲル材料から作られ、使用時に眼の表面の形状に変形することがある。対照的に、硬質の気体透過性の眼用レンズは通常、眼に装着しても変形せず、オルソケラトロジー(角膜矯正)レンズなどの場合には、眼の表面をレンズ自体の形状に一致させることができる。従って、硬質レンズには、ソフト眼用レンズと比較して、より厳しい許容誤差と高い製造精度が必要になる。
【0002】
当初、硬質気体透過性眼用レンズは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などの硬質ポリマーから作製されていた。しかしながら、以前の硬質ポリマーは気体透過性が十分ではなく、酸素がレンズを通して眼の表面に到達することを可能にせず、ユーザーに多くの制限をもたらした。最近では、硬質レンズは、快適さと長時間の装着を可能にする酸素透過性材料で作られている。装着可能時間が、ソフトコンタクトレンズと同じかそれより長い場合もある。これらの酸素透過性硬質レンズは、通常、硬質気体透過性またはRGP(rigid gas permeable)レンズと呼ばれる。
【0003】
RGPレンズは、旋盤加工(lathing)または旋盤切削(lathe cutting)によって製造される。この方法では、ボタンの形のレンズ素材を回転マウントに固定し、余分な素材を削り出して、望ましい表面形状を形成する。旋盤加工プロセスに加えて多数の旋盤加工後のホーニングや研磨プロセスによって、快適なRGPレンズ、特に眼を再形成することができ、非常に厳しい許容誤差を必要とするオルソケラトロジーレンズなどのレンズ、に必要な許容誤差と精度を実現できる。ただし、レンズを形成するために材料が除去されるため、旋盤加工は過剰な廃棄物を生成する可能性がある。各眼用レンズは個別に旋盤加工する必要があるため、旋盤加工は遅く費用がかかるものになりがちである。さらに、旋盤加工はレンズ間の寸法形状の不整合をもたらす可能性があり、回転対称の形状に制限される。
【0004】
一方、ソフトレンズは、典型的にはキャスト成型またはスピン成型などの成型プロセスによって製造され、これらは比較的安価で、迅速で、再現性があり、欠陥が比較的少ない大量のレンズを製造することができる。これらの成型プロセスでは、所望のレンズ形状を有するモールドが形成され、液体モノマーをこのモールドに注入することにより、所望の形状およびプロファイルを有するレンズを形成するために使用される。ソフトコンタクトレンズは、RGPレンズと比較すると、はるかに緩い許容誤差で製造できる。これは、ソフトコンタクトレンズは水和すると、柔軟性を有し、ユーザーの目の表面に順応するため、ほとんどの成型不良の影響を最小限に抑えることができるためである。
【0005】
このようなことから、硬質気体透過性眼用レンズを迅速、効率的、確実、かつ安価に製造するようにするニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態によれば、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の面を含む型(mold)の少なくとも一部を形成し、該型の一部の第1の面に液体レンズ材料を提供し、硬質気体透過性眼用レンズを形成するように該液体レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させるステップを有するプロセスによって、少なくとも1つの表面が約5ナノメートル未満のRa粗さを有する硬質気体透過性眼用レンズが形成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、該プロセスは、液体レンズ材料をキャスト成型して硬質気体透過性眼用レンズを形成することをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、該型の一部は、硬質気体透過性眼用レンズを形成する前に研磨を必要としない。
【0009】
いくつかの実施形態では、該液体レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させることは、液体レンズ材料を化学線に曝露することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の面を含む該型の該少なくとも一部を形成することが、工具鋼材を機械加工して該硬質気体透過性眼用レンズの前面に対応する表面を有する雄型の射出成型工具を形成し、該雄型射出成型工具を使用して該型の一部を射出成型して、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の面を含む該型の該少なくとも一部を形成することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、工具鋼ブランク材を機械加工することは、約10ナノメートル未満の位置決め分解能を有する旋盤を使用することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ブランク材を機械加工することは、約10ナノメートル未満の位置決め分解能を有する多軸ミルを使用することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、該硬質気体透過性眼用レンズは硬質気体透過性眼用レンズを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズはオルソケラトロジー(角膜矯正)レンズである。
【0015】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズの後方光学ゾーンの曲率半径は、約0.05ミリメートル以下の寸法公差を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、使用者の目の表面を変形させる。
【0017】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズを形成する方法は、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の面を含む型の少なくとも一部を形成し、液体レンズ材料を型の一部の第1の面に提供し、該液体レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させて、硬質の気体透過性眼用レンズを形成するステップを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズの少なくとも1つの表面は約5ナノメートル未満のRa粗さを有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、該方法は硬質の気体透過性眼用レンズをキャスト成型することをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、型の少なくとも一部は、約5ナノメートル未満のRa粗さを有する硬質気体透過性眼用レンズを製造するために該硬質気体透過性眼用レンズを形成する前に研磨されていない。
【0021】
いくつかの実施形態では、液体レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させることは、液体レンズ材料を化学線に曝露することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、型の少なくとも一部を形成することは、型材料を提供し、このブランク材を機械加工して硬質気体透過性眼用レンズの前面に対応する表面を有する雄型の射出成型工具を形成し、この雄型の射出成型工具を使用して、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の面を含む型の一部を射出成型するステップを有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、型材料を機械加工することは、約10ナノメートル未満の位置決め分解能を有する多軸フライス盤を使用することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズはオルソケラトロジーレンズである。
【0025】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズの後方光学ゾーンの曲率半径は、約0.005ミリメートル以下の寸法公差を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズはユーザーの目の表面を変形させるように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、液体レンズ材料は20℃で5,000cpsを超える粘度を有する等方性材料であり、硬質気体透過性眼用レンズは500MPaを超える弾性率を有する。
【0028】
硬質気体透過性眼用レンズを形成する方法は、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを有する第1の面を含む型を提供し、該型の一部の第1の面に20℃で5,000cpsを超える粘度で等方性の液体レンズ材料を提供し、該液体レンズ材料を少なくとも部分的に硬化させて、500MPaより大きい弾性率を有する硬質気体透過性眼用レンズを形成するステップを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズはオルソケラトロジーレンズである。
【0030】
いくつかの実施形態では、硬質キャスト透過性眼用レンズは、キャスト成型した硬質気体透過性眼用レンズを含む。
【0031】
成型された硬質気体透過性眼用レンズは、前面および後面を含む成型レンズ本体を含み、硬質気体透過性眼用レンズは500MPaを超える弾性率および100を超えるDkを有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、成型された硬質気体透過性眼用レンズはオルソケラトロジーレンズである。
【0033】
いくつかの実施形態では、成型硬質気体透過性眼用レンズは、成型レンズ本体の前面に形成された光学ゾーン、リバースゾーン、位置合わせゾーン、および周辺ゾーンを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、該レンズはキャスト成型される。
【0035】
いくつかの実施形態では、該レンズ本体は約10μmから80μmを超えるまで変化する厚さを有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、該レンズは、角膜に取り付けられて該後面と角膜との間の5μm~40μmの頂点クリアランスを規定するように構成される。
【0037】
ここで述べた概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の選択を簡略化された形式で紹介するものである。概要および背景技術は、開示された主題の主要な概念または本質的な態様を特定することを意図しておらず、特許請求の範囲を限定または制限するものではない。例えば、クレームの範囲は、クレームで述べられた主題がここの概要に記載された一部またはすべての態様を含むかによって、および/または背景技術に記載された問題のいずれかに対処するかどうかに基づいて限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
添付の図面は、本明細書に記載されている原理の様々な実施形態を示しており、明細書の一部である。図示の実施形態は単なる例であり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0039】
【
図1A】本開示の原理に従って形成された硬質気体透過性眼用レンズの実施形態の断面図である。
【0040】
【
図1B】本開示の原理による、眼の上に配置された硬質気体透過性眼用オルソケラトロジーレンズの実施形態の断面図である。
【0041】
【
図2A】本開示の原理による、硬質眼用レンズを成型するための型を形成するための方法の断面図である。
【
図2B】本開示の原理による、硬質眼用レンズを成型するための型を形成するための方法の断面図である。
【
図2C】本開示の原理による、硬質眼用レンズを成型するための型を形成するための方法の断面図である。
【0042】
【
図3】本開示の原理による、眼用レンズを形成するためのキャスト成型システムの一実施形態の断面図である。
【0043】
【
図4】本開示の原理による、眼用レンズを形成するためのキャスト成型システムの一実施形態の断面図である。
【0044】
【
図5】本開示の原理による、硬質気体透過性眼用レンズを成型するためのキャスト成型アセンブリの雌部分を形成するための方法を示すフローチャートである。
【0045】
【
図6】本開示の原理による、硬質気体透過性眼用レンズを成型するためのキャスト成型アセンブリの雄部分を形成するための方法を示すフローチャートである。
【0046】
【
図7】本開示の原理による、硬質気体透過性眼用レンズをキャスト成型するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【0047】
【
図8】本開示の原理による、ユーザーの角膜と成型された硬質気体透過性眼用レンズとの間のインターフェースの断面図である。
【0048】
【
図9】本開示の原理による、積層体として形成された硬質気体透過性眼用レンズの断面図である。
【0049】
【
図10】本開示の原理による、成型された硬質気体透過性強膜(スクレラル)レンズの上面図である。
【0050】
図面全体を通して、同一の参照番号は、類似しているが必ずしも同一ではない要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
硬質で気体透過性の眼用レンズ、具体的にはコンタクトレンズは、望ましい寸法公差および望ましい表面平滑性を達成するために、それらの製造は高度の精度を必要とする。本開示に記載されている原理は、注型プロセス(casting process)によって型から形成された硬質で気体透過性の眼用レンズを含む。一例では、注型プロセスはキャスト成型プロセス(cast molding process)である。本明細書に記載の原理は、例えば、キャスト成型、スピン成型、または他の成型方法によって、そのような型を作製するための方法および関連する構成要素も含む。
【0052】
図1Aは、本明細書に記載のプロセスに従って形成された、硬質気体透過性眼用レンズなどの、硬質眼用レンズ10の一実施形態の断面図である。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、光学ゾーン20を有し、該光学ゾーンを通過する光をユーザーの網膜上に集束させるように構成される。光学ゾーン20は、目の瞳孔の前に配置される。多くの場合、非光学領域12は、光学ゾーン20を取り囲み、眼用レンズ10の残りの部分を構成する。この非光学領域12は、虹彩の上、場合によっては、眼の結膜および強膜の一部の上に配置される。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、本開示に記載されている方法およびプロセスに従って形成され、オルソケラトロジーで使用することができる。多くの場合、オルソケラトロジーレンズでは、硬質コンタクトレンズは角膜にのみ接触する。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、眼の上に配置されたときに実質的に変形しない場合があり、オルソケラトロジーレンズの場合など、いくつかの場合には、眼の表面またはプロファイルをレンズ自体の形状に合わせるよう変形させ、また、目の角膜の上にのみ位置するようにすることができる。
【0053】
硬質気体透過性眼用レンズ10は、後面または背面22および前面または正面24を有することができる。光学ゾーン20の後面22の形状は、1つの曲率半径または任意の数の非回転対称の幾何学形状によって規定することができる。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズ10は、約0.01mmから約0.14mmの厚さを有する。眼用レンズ10の厚さは、眼用レンズ10上の位置によって異なるようにすることができる。例えば、眼用レンズ10は、レンズの中心領域と比較して、眼用レンズ10の外縁の近くでより厚くまたはより薄くなるようにすることができる。
【0054】
本明細書に記載の方法およびプロセスに従って形成された硬質気体透過性眼用レンズは、硬質コンタクトレンズでの使用に適した任意の材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、気体透過性または酸素透過性材料から形成するようにすることができる。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、ポリマー材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、シロキサン材料を含み得る。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、アクリレート材料を含み得る。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、酢酸酪酸セルロース、シロキサンアクリレート、t-ブチルスチレン、フルオロメタクリレート、フルオロシロキサンアクリレート、パーフルオロエーテル、フルオロシリコーン、チシルフォコンA(C57H83F6NO14Si4)、他のタイプのポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。これらの材料は、最終的なポリマーを形成するために、モノマー、ポリマー、および他の材料の様々な組み合わせを含み得る。例えば、これらの材料の一般的な成分には、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)、HEMA-GMA(グリセロールモノメタクリレート)などが含まれ得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法およびプロセスに従って形成された硬質気体透過性眼用レンズは、そのようなレンズを他の既知の方法に従って形成された硬質気体透過性眼用レンズと区別する物理的特徴を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の例示的方法およびプロセスに従って形成された硬質気体透過性眼用レンズは、既知の旋盤プロセスから形成された硬質気体透過性眼用レンズよりも低い平均表面粗さ(Ra)を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズの前面および/または後面の少なくとも1つは、約15ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、約5未満のナノメートル、約4ナノメートル未満、約3ナノメートル未満、約2ナノメートル未満、または約1ナノメートル以下のRa表面粗さを有する表面を有するようにすることができる。
【0056】
いくつかの例では、本明細書に記載の方法およびプロセスに従って形成された硬質気体透過性眼用レンズは、ISOによって規定された硬質気体透過性眼用レンズの寸法公差より小さい寸法公差を有し得る。いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、約0.009ミリメートル未満、約0.007ミリメートル未満、約0.006ミリメートル未満、約0.005ミリメートル未満、約0.004ミリメートル未満、約0.003ミリメートル未満、または約0.002ミリメートル以下の寸法公差を有することができる。上述のように、従来のソフトコンタクトレンズは約0.2ミリメートルの公差で製造されれば許容される。対照的に、本明細書での例示的システムおよび方法に従って製造された例示的硬質気体透過性眼用レンズは、プラスまたはマイナス約3~5ミクロンの寸法公差で製造される。
【0057】
図1Bは、例示的な一実施形態による、眼38上に配置された硬質気体透過性眼科オルソケラトロジー(orthoK)レンズ10の実施形態を示す。図示のように、典型的には直径5.0mm~6.8mmの間である光学ゾーン20すなわちレンズ中心の後面22は、角膜上の治療ゾーンと見なされ得るものの上にある。ベースカーブすなわち後面22の後方光学ゾーンの半径は、所望の近視治療に従って、角膜の湾曲に関連して望まれる中心角膜平坦化の量に基づいて設計される。この半径は、イェッセン式(Jessen Formula)と呼ばれるレンズ設計計算を使用して選択できる。この理論では、近視の縮小とベースカーブの選択の間に線形関係があると仮定している。言い換えると、角膜のK(ケトラ)の読み取り値が42.00DでRxが-2.00Dの場合、40.00Dのベースカーブにフィットさせ、角膜の曲率、したがって屈折を必要な量だけ変更する。イェッセン式によれば、望ましい近視矯正の量が特定され目標処方量として知ることができる。次に、平らな角膜子午線が度数で特定され、ベースカーブまたは後方光学ゾーンの半径がこの平らな角膜子午線よりも、目標処方量に加えて、約0.50Dから約3.00Dの範囲のイェッセンファクター(Jessen Factor)として知られる追加の量だけ平坦とされる。イェッセンファクターは、レンズを外して角膜を緩められているときに、1日を通して目的の治療量が達成され維持されるように追加される。
【0058】
オルソケトラジーレンズは、ベースカーブの下に1μmから50μm、好ましくは5μmから40μm、より好ましくは15μmから25μmの範囲の所望の頂点クリアランスを有するように設計することができ、より低い頂点クリアランスはより効果的である。
【0059】
さらに、
図1Bに示されるように、オルソケラトロジーレンズは、リバースゾーン30、緩和ゾーン32、位置合わせゾーン34、および周辺ゾーン36を含む。リバースゾーンは、ベースカーブまたは後方光学ゾーンの半径を緩和ゾーン32に接続する。図示のように、リバースゾーンは隣接するカーブより急勾配であり、カーブ、スプライン、多数の接線、および同様に設計された線形再配向を含めることができる。リバースゾーン30は、涙液膜リザーバー31を画定し、その深さは、矯正される近視の量に対応することができる。低レベルの矯正の場合、涙液膜リザーバー31はより浅くすることができ、一方、高レベルの矯正は、通常、より深い涙液膜リザーバー31を有する。涙液膜リザーバー31は、約10μm未満から約80μm、またはそれ以上まで変化し得る。リバースゾーン30は、ベースカーブを上下させて、所望の頂点クリアランスをもたらすことができる。急なリバースゾーン30は、頂点クリアランスを増加させるが、比較的平坦なリバースゾーンは頂点クリアランスを減少させるか、または時々無くすことができる。リバースゾーンを精密に形成することで、(過度の頂点クリアランスとトポグラフィーの中心の島が生じる)過度に急なリバースゾーンや、(レンズが角膜の周囲ではなく角膜の頂点に係合し、その結果、レンズ偏心と偏心治療パターンが生じる)過度にフラットなリバースゾーンを回避できる。
【0060】
図示のように、緩和ゾーン32は、リバースゾーン30を位置合わせゾーン34に接続することができる。緩和ゾーン32は、存在することにより、位置合わせゾーン34から涙液膜リザーバーへの上皮細胞の移動を促進することを目的とする。場合によっては、緩和ゾーン32は幅を0.4mmから約0.8mmで変えることができ、約10~20μmの深さすなわち厚さにできる。
【0061】
位置合わせゾーン34は、オルソケラトロジーレンズ10の接触(着地)の位置を確立するものであり、球面、非球面、または接線とすることができる。一実施形態によれば、より広い範囲の患者に対応するために、位置合わせゾーンはわずかに非球面であってもよい。位置合わせゾーン34のフィットは、適切なレンズのセンタリングに寄与するものであり、またレンズが目の上に着地する場所である。
【0062】
位置合わせゾーン34に隣接して、周辺ゾーン36は、任意の数のエッジ形状を形成して、周辺角膜に適切なエッジリフトを作ることができる。周辺ゾーン36は、0.1mm~0.6mmの幅を有することができ、また約80~100μmの厚さを有することができる。
【0063】
上述のゾーンおよび曲線のそれぞれの設計および選択的変化は、所望の治療の積極性に応じて変化させることができる。
【0064】
図2A~
図2Cは、本開示における例示的なシステムおよび方法に従って硬質気体透過性眼用レンズ10を形成する特定の例で使用することができる様々な構成要素を示している。この例示的なシステムおよび方法は、以下においては主に、二部品キャスト成型用型で形成されたキャスト成型眼用レンズに関連して説明されるが、本システムおよび方法は、コンタクトレンズの成型のスピンキャスト、キャスト成型、および/または他の成型形態で製造されたレンズにも適用され得る。
【0065】
キャスト成型コンタクトレンズに関して、レンズの前面および後面の形状は、通常、レンズの製造に使用される型(モールド)の中に設計される。
図2Aは、本開示の原理による、硬質気体透過性眼用レンズ10を製造するための型を作製する一実施形態の断面図である。この例では、射出成型プロセスを使用して、硬質気体透過性眼用レンズ10を形成するための型を形成する。図示のように、標準的な射出成型機を使用して型を形成することができる。具体的には、型の材料は、ホッパー150または他の材料リザーバーを通して材料供給ライン152に供給される。材料供給ライン152は、スクリュー154、オーガ、または材料供給ライン152の長さに沿って成型材料を動かすように構成された別のタイプの機構を含むことができる。さらに、成型材料が材料供給ライン152を通過するときに、加熱要素156が材料供給ラインに適用されて、成型材料を溶融または少なくとも軟化させる。材料供給ライン152のノズル158で、成型材料は、射出成型ハウジングの第1の部分162および第2の部分164によって集合的に形成されたキャビティ160に押し出される。
【0066】
図2Aおよび2Bに示されるように、キャビティ160は、それぞれ互いに位置合わせされる雄型工具48および雌型工具47を含む。一実施形態によれば、雄型工具48および雌型工具47は工具鋼でできている。キャビティ160に入る成型材料の押し出し圧力により、成型材料は、雄型工具48と雌型工具47との間の空間を含むキャビティ160内のすべての空隙を満たす。雄型工具48および雌型工具47の形状は、眼用レンズ10を成型するための得られた型に転写される。
図2Bおよび2Cに示されるように、型の雄型工具48は、形成されるべき硬質気体透過性眼用レンズ10の前面に対応する表面49を有し得る。さらに、雄型工具48の表面49は、形成される硬質気体透過性眼用レンズ10と同じ程度の表面粗さおよび/または寸法公差を有することができる。
【0067】
同様に、
図2A~2Cに示されるこの射出成型プロセスは、所望の硬質気体透過性眼用レンズ10の後面を画定する表面を含む成型モールドシステムの雄型部材を形成するのに使用することができる。
【0068】
ここに例示したシステムおよび方法にしたがって、表面49を生成するために、雄型工具48が製造される最終的な硬質気体透過性眼用レンズに望まれる特徴に一致するように精密に機械加工または旋盤加工される。同様に、対応する雌型の表面は最終的な硬質気体透過性眼用レンズの所望の後面を画定するように精密に形成される。雄型工具48の旋盤にかけられた面49は、最終的には、硬質気体透過性眼用レンズ10の形成された前面に対応するので、雄型工具48のこの面49は、硬質気体透過性眼用レンズで望まれるのと少なくとも同程度の精度と平滑性を可能とする旋盤加工によって形成される。
【0069】
雄型工具を作るには、例えばDAC眼科旋盤、オプトフォーム(Optoform)眼科旋盤、FTS工具、5軸ダイヤモンドフライス、3次元ナノプリンティング、ナノリソグラフィー、溶融堆積などの精密機械加工および形成方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、雄型工具48は、フロリダ州ラルゴサマセットドライブ(Somerset Drive)8600にあるスターリングウルトラプレシジョン(Sterling Ultra Precision)から入手可能な、オプトフォーム超精密旋盤(モデル30、40、50、および/または80)などのコンピュータ制御可能な旋盤または多軸ミルによって形成するようにすることができる。いくつかの実施形態では、雄型工具48を形成するために使用される機械は、10ナノメートル以下の位置決め分解能を有するようにすることができる。いくつかの実施形態では、旋盤加工および/またはフライス加工プロセスは、研削や研磨などの追加の処理を必要とすることなく、雄型工具48が本明細書に記載の硬質気体透過性眼用レンズ10を形成するのに十分精密な所望の表面特性を有するものとすることができる。他の実施形態では、雄型工具48は、研削、研磨、ラッピング、ホーニング、または超仕上げを含むがこれらに限定されない、追加の表面仕上げ処理を受ける。
【0070】
成型材料がキャビティ160内で硬化するのに十分な時間が経過した後、第1の部分162と第2の部分164は分離され、型はエジェクターピン166によって取り出され、それによりキャスト成型システムの所望の雌型部材が製造される。同様に、所望のキャスト成型システムの雄型部材を形成して、射出成型装置から取り出すようにすることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、型、または型の一部は、例えば、
図2A~
図2Cに関して説明したように、旋盤加工と射出成型プロセスによって形成するようにしてもよいが、いくつかの実施形態では、型は、型ブランク材を直接旋盤加工または機械加工することによって形成されて、成型鋳型システムの雌部分の、硬質気体透過性眼用レンズ10の前面を形成するように形状付けられたプロファイルを生成し、または、成型金型システムの雄部分の、硬質気体透過性眼用レンズの後面を形成するように形状付けられたプロファイルを生成するようにすることができる。同様に、型の機械加工された表面は、硬質気体透過性眼用レンズ10の前面を形成し得るので、雄型工具48の機械加工された表面は、硬質気体透過性眼用レンズ10で望まれるのと少なくとも同程度の精度と平滑性を可能とする旋盤加工またはフライス加工プロセスによって形成され得る。
【0072】
図3は、本開示の原理に従って形成された、硬質気体透過性眼用レンズ10を成型するためのキャスト成型システムの一実施形態の断面図である。図示されるように、キャスト成型システムは、コンタクトレンズキャストの後面の形状および表面仕上げを規定する凸状後面形成面302を有する雄型部材300を含む。同様に、キャスト成型システムは、その中に成型されたコンタクトレンズの前面の形状および表面仕上げを規定する凹状の前面形成面306を有する雌型部材304を含む。
図3に示すように、液体RGPレンズ材料は、雌型部材304の凹面内に配置することができる。
【0073】
上述のように、いくつかの実施形態では、雄型部材300および雌型部材304の後面形成面302および前面形成面306は、所望の形成された硬質気体透過性眼用レンズ10と同程度の平滑度および寸法公差を有することができる。すなわち、いくつかの例では、雄型部材300および雌型部材304は、後面形成面302および前面形成面306に対して、約0.009ミリメートル未満、約0.007ミリメートル未満、約0.006ミリメートル未満、約0.005ミリメートル未満、約0.004ミリメートル未満、約0.003ミリメートル未満、または約0.002ミリメートル未満の寸法公差を有することができる。いくつかの実施形態では、後面形成面302および前面形成面306のプロファイルは、約15ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、約5ナノメートル未満、約4ナノメートル未満、約3ナノメートル未満、約2ナノメートル未満、または約1ナノメートル以下のRa表面粗さを有する表面を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、上記の平滑度および寸法公差は、旋盤加工または機械加工プロセスから直接作られる工具48で達成することができ、達成するためのさらなる処理、研削、または研磨を含まなくてもよい。したがって、旋盤加工プロセスによって達成される精度により、少ない加工ステップ、少ない無駄、加工時間と工具形成時間の短縮を可能とし、最終的には、従来のプロセス、すなわち硬質気体透過性眼用レンズを直接切削加工するなどの従来のプロセスに比べて、硬質気体透過性眼用レンズ10の製造コストを削減することができる。
【0074】
図4は、液体レンズ材料308が雄型部材300と雌型部材304との間に配置されて後面形成面302および前面形成面306に一致するようにされている、本開示の原則に従うキャスト成型システムの断面図である。この例では、液体レンズ材料308は、雌型部材304の凹状輪郭面に供給され、組み合わされる後面形成面302によって係合される。
【0075】
液体レンズ材料308は、硬質気体透過性眼用レンズでの使用に適した任意の材料から作ることができる。例えば、液体レンズ材料308は、硬化、重合、または硬化したときに硬質で気体または酸素を透過する任意の材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料308は、ポリマー材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料308は、シロキサン材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料308は、アクリレート材料を含み得る。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料308は、酢酸酪酸セルロース、アクリル酸シロキサン、t-ブチルスチレン、アクリル酸フルオロシロキサン、パーフルオロエーテル、他のタイプのポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。これらの材料は、最終的なポリマーを形成するために、モノマー、ポリマー、および他の材料の様々な組み合わせを含み得る。例えば、これらの材料の一般的な構成要素には、HEMA、HEMA-GMAなどが含まれ得る。
【0076】
液体レンズ材料308は、軟質材料から硬質非ゼロゲル最終製品に成型するのに適している。一実施形態によれば、液体予備重合レンズ材料は、20℃で10~10,000センチポアズ(cps)、100~8,000cps、1,000~5,000cps、または5,000cpsを超える粘度を有することができる。液体の予備重合されたレンズ材料308は比較的粘性があるが、気泡が導入されるかまたは所望のRGPレンズが歪むことになるほどに雄型部材300に歪みを生じるほど粘性ではない。さらに、液体レンズ材料308は、設計された寸法を維持するために、等方性の形態で流動し成型されるように構成することができる。具体的には、液体レンズ材料308は、等方的に収縮または膨張し、設計された寸法が、重合プロセスを通じて、ならびに長期間の使用中に収縮を経験するときに、維持されることを可能にする。非等方性の収縮と寸法のゆがみは、歴史的に硬質気体透過性眼用レンズの成型を妨げていた。硬質気体透過性眼用レンズを形成する得られた重合材料は、少なくとも500MPaの弾性率(modulus)を有することができ、800MPaを超えることができる。弾性率は、計測装置インストロン(モデル4502:登録商標)機器を使用して、ASTM D-1708aに従って測定できる。この計測装置では、ポリマーサンプルがホウ酸緩衝生理食塩水に浸され、このサンプルの適切なサイズはゲージの長さが22mm、幅が4.75mmであり、測定装置のクランプでつかむようにするために犬の骨の形(dog-bone shape)を形成している端部を有していて、厚さが200+50ミクロンとされる。
【0077】
得られる硬質気体透過性眼用レンズ10は、ユーザーの目の形状およびサイズ、ならびに眼用レンズによって達成されるべき様々な光学的特性または表面操作力を含む、様々な要因に基づいて成形およびサイズ決定される。眼用レンズ10の全体の厚さは、約0.1mmから約0.14mmであり得る。眼用レンズ10の厚さは、眼用レンズ10の場所によって徐々に変化するようにできる。例えば、眼用レンズ10は、眼用レンズ10の光学ゾーン内よりも外縁の近くで厚くすることができるし、その逆にもできる。
【0078】
液体レンズ材料308は、雌型部材304に供給されて雄型部材300により係合されると、次に、硬化剤(温度、化学線、または別のタイプの硬化剤、またはそれらの組み合わせなど)に硬化するまで曝されるようにすることができる。その結果、液体レンズ材料308は、雌型部材304の前面形成面306の形状に対応する前面と、雄型部材300の後面形成面302の形状に対応する後面とを有する硬質気体透過性眼用レンズ10を形成する。硬質気体透過性眼用レンズは硬化すると取り出される。
【0079】
有利なことに、本明細書に記載の方法およびプロセスに従って形成された硬質気体透過性眼用レンズ10は、旋盤加工などの他の方法によって形成された硬質気体透過性眼用レンズよりも高い表面平滑度を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズの前面および/または後面の少なくとも1つは、約15ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、約5ナノメートル未満、約4ナノメートル未満、約3ナノメートル未満、約2ナノメートル未満、または約1ナノメートル未満のRa表面粗さの表面を有することができる。
【0080】
本明細書に記載のプロセスは、旋盤加工プロセスなどの従来の方法によって形成された硬質気体透過性眼用レンズと比較して、表面および内部の欠陥の量が少ない硬質気体透過性眼用レンズ10の形成をもたらすようにすることができる。滑らかな表面と欠陥の欠如は、硬質気体透過性眼用レンズ10の後面にとって特に重要な特性である。なぜならば、後面はユーザーの目に直接接触するため、その表面が粗すぎたり欠陥があったりするとユーザーに刺激や不快感を与える可能性があるし、また目の表面に再形成力を与えるように構成された表面である場合もあるからである。
【0081】
旋盤加工などの硬質気体透過性眼用レンズを形成するための典型的な製造プロセスと比較して、注型成型(casting)は、複数の硬質気体透過性眼用レンズを同時に形成することを可能にし、再現性を可能にする。これらの同時に形成されるレンズは、異なる形状を有するようにすることができ、また互いに対して異なる材料から形成されるようにすることさえできる。各レンズの形成時間は通常、従来の旋盤加工プロセスで形成される同様のレンズよりも短く、一部の実施形態では、形成された硬質気体透過性眼用レンズ10は、必要な寸法公差と滑らかさを実現するために、形成後にさらに加工する必要がないようにすることができる。さらに、型を形成するのに、直接形成または型ブランク材の形成と射出成型を介して間接的に形成するのに、本明細書に記載の超精密旋盤および/または多軸ミルを使用することにより、以前は硬質気体透過性眼用レンズを直接旋盤加工することによってのみ達成できた硬質気体透過性眼用レンズに望まれる寸法公差の注型成型された硬質気体透過性眼用レンズ10が可能になる。そのような精確に成型された硬質気体透過性眼用レンズは、例えば、旋盤加工や研磨などのような形成後のさらなる処理を必要としない旋盤加工以外の方法によって形成できるとは考えられなかった。
【0082】
図5は、硬質気体透過性眼用レンズ10を形成するために使用されるキャスト成型アセンブリの雌部分を形成するための例示的な方法を示す。図示のように、コンタクトレンズの前面の形状が設計される(ステップ502)。前述のように、複雑で円滑な旋盤と多軸フライス盤を使用すると、以前は達成できなかった回転非対称の形状と形状要素の設計が可能になる。これにより、ユーザーへのインプリント効果を含む形状設計を可能とする。ユーザーの角膜の形状をインプリントまたは変更する場合、本例示的システムおよび方法によって提供される再現性の利点は、最良の結果を得るために重要となる。
【0083】
前面形状が設計されると、その設計を旋盤および/または多軸フライス盤に提供して、工具鋼などの型材料を機械加工して、硬質気体透過性眼用レンズの設計された前面に対応する表面を有する雄型工具を形成することができる(ステップ504)。上述のように、多軸フライス盤は角膜矯正レンズに必要な非常に小さな許容誤差(プラスまたはマイナス3~5ミクロン)を満たすことができる。
【0084】
型工具が完成したら、型工具を射出成型システムに組み込んで、硬質気体透過性眼用レンズの前面を形成するように形状付けられたプロファイルを含む、キャスト成型アセンブリの雌部分を形成することができる(ステップ506)。
【0085】
同様に、
図6に示されるように、キャスト成型アセンブリの対応する雄部分は、最初にレンズ後面形状を設計し(ステップ602)、型材料を機械加工して硬質気体透過性眼用レンズの設計された後面に対応する表面を有する雌型工具を形成し(ステップ604)、硬質気体透過性眼用レンズの後面を形成するように形状付けられたプロファイルを含むキャスト成型アセンブリの雄部分を形成する(ステップ606)ことによって形成される。
【0086】
精密な機械加工および形成法を使用して、DAC眼科旋盤、オプトフォーム(Optoform)眼科旋盤、FTS工具、5次元ダイヤモンドフライス、3次元ナノプリンティング、ナノリソグラフィー、溶融堆積などを含むがこれらに限定されない雄型工具を形成することができる。いくつかの実施形態では、雄型工具は、フロリダ州ラルゴサマセットドライブ8600にあるスターリングウルトラプレシジョン(Sterling Ultra Precision)から入手可能なオプトフォーム超精密旋盤(モデル30、40、50、および/または80)などのコンピュータ制御可能な旋盤によって形成するようにすることができる。いくつかの実施形態では、雄型工具を形成するために使用される機械は、10ナノメートル以下の位置決め分解能を有し得る。いくつかの実施形態において、旋盤加工プロセスは、研削、ホーニング、ラッピング、研磨などの雄型工具のさらなる追加の処理なしに、雄型工具が本明細書に記載されるような硬質気体透過性眼用レンズ10を形成するための所望の表面特性を有するのに十分な精密さを有する。
【0087】
図7に示されるように、キャスト成型アセンブリの両方の部分が製造されると、レンズ形成方法700は、雌型部材の凹面に液体レンズ材料を供給することによって開始することができる(ステップ702)。次に、雄型部材30および雌型部材34を組み合わせて、液体レンズ材料が型部材の後面形成面および前面形成面の周りにくるようにする(ステップ704)。いったん組み立てられると、液体レンズ材料は、任意の数の硬化メカニズムによって硬化されて、硬質気体透過性眼用レンズを形成することができる(ステップ706)。
【0088】
図8は、使用中に使用者の角膜800と相互作用する硬質気体透過性眼用レンズ810の断面図を示す。従来のソフトコンタクトレンズは角膜を越えて延長し、ほとんどの時間少なくとも部分的にユーザーの眼瞼の下にあるエッジを含んでいたが、オルソケラトロジーレンズはより小さく、ユーザーが瞬きをするたびにユーザーのまぶたに直接接触するようになる。この構成により、瞼/エッヂ係合回数が大幅に増加する。この瞼の係合回数の増加のために、従来の硬質気体透過性眼用レンズ810は、手作業で研磨され、磨かれて、仕上げられていた。同様に、エッジ820の表面仕上げおよび品質は、ユーザーの快適さに影響を与える。さらに、角膜間隔830は、角膜の損傷および不快感を防止するために、硬質気体透過性レンズに設計および形成される。例示的な一実施形態によれば、成型された硬質気体透過性眼用レンズの表面粗さRaは、約15ナノメートル未満、約10ナノメートル未満、約5ナノメートル未満、約4ナノメートル未満、約3ナノメートル未満、約2ナノメートル未満、約1ナノメートル未満、またはそれ以下とされる。さらに、角膜間隔830は、少なくとも2ナノメートル以上である。
【0089】
硬質気体透過性眼用レンズの成型は、高められた寸法公差および複雑な回転非対称設計に加えて、追加の設計機能が可能になる。
図9に示されるように、成型された多層硬質気体透過性眼用レンズ900は、様々な特性を有するようにされ得る。例示的な一実施形態によれば、個別の成型層910、920、930、940を成型し、その後の層の形成前に少なくとも部分的に硬化させることができる。例示的な一実施形態によれば、液体レンズ材料は、少なくとも部分的に硬化されて、硬質気体透過性眼用レンズを形成する。いくつかの実施形態では、液体レンズ材料の別個の成型層を少なくとも部分的に硬化させることは、液体レンズ材料を、本明細書に記載の硬化剤、例えば化学線に曝露することを含み得る。いくつかの実施形態では、形成された硬質気体透過性眼用レンズは、本明細書に記載の平滑性および寸法公差特性を有することができ、例えば、硬質気体透過性眼用レンズは、約5ナノメートル未満のRa表面粗さを有する少なくとも1つの表面を有することができる。完全に硬化すると、多層硬質気体透過性眼用レンズ900は、異なる回折指数、回折アレイ、特徴、屈折力、材料特性、剛性などを有する層を有することができる。例示的な一実施形態によれば、追加の要素を多層硬質気体透過性眼用レンズ900の層に導入することができ、その後、それらは、最終的な硬化硬質気体透過性眼用レンズに封入される。
【0090】
本発明の硬質気体透過性眼用レンズの成型は、従来の旋盤加工された硬質気体透過性眼用レンズよりも多くの利点を提供する。具体的には、本成型プロセスは、エンドコンタクトレンズにより高いレベルの一貫性を提供する。固体のボタン状材料を旋盤加工して従来の硬質の気体透過性の眼用レンズを形成する場合、各レンズは異なる。切削毎にレンズにさまざまな程度の熱エネルギーが与えられ、ボタン状材料が異なることもあり、各旋盤加工されたレンズにわずかに異なるパラメーターがもたらされる。さらに、切削が実行されるたびに、レンズのベースラインがシフトする。さらに、処方または設計されたオルソケラトロジー治療の変更は、新しいレンズの旋盤加工を必要とし、それはしばしば比較的長いリードタイムを生じる。さらに、従来の硬質気体透過性レンズはコストが高くてリードタイムが長いため、ユーザーは通常、レンズを長期間着用することになる。このような長期間使用されるレンズは、多くの場合、ある程度の収縮と損傷を受け、その結果、時間の経過とともに、最適な望まれる効果が減少する。
【0091】
対照的に、本明細書に開示の成型された硬質気体透過性レンズは、製造コストが低く、より一貫した完成品とすることができるが、これはレンズの製造に使用されるプロセスが、仕上げに合わせて最適化でき、反復可能で繰り返し可能であり、迅速に実行できるからである。製造時間と労力の削減、およびコストの削減により、患者のレンズのより頻繁な交換が可能になる。その結果、従来の硬質気体透過性レンズで通常発生する収縮と損傷を排除できる。
【0092】
さらに、本発明の方法によりもたらされる再現性および精度は、オルソケラトロジーレンズにとって特に有益である。硬質気体透過性オルソケラトロジーレンズのコンタクトレンズ設計に正確で制御可能な変更を加えることができる柔軟性により、医師は患者の眼の形状変化をより動的かつ制御可能に行うことができる。つまり、検眼医は、ジェッソン効果を介して眼球の形状の変化の追求を、選択的なテストとモニタリングに基づいて、変更または調整できる。扁平な形状を積極的に変更すると、患者の目により多くの光が入り(近視性軸性成長を制御することとなる)可能性があるが、積極的すぎて常にはできないかもしれないので、施術者は様子を見ながらその積極性を変更するようにすることができる。このようにすることは、本発明の方法の精確性、再現性、およびコスト上の利点により可能で実用的となる。
【0093】
さらに、
図10に示されるように、本例示的なシステムおよび方法は、オルソケラトロジーに使用されることを意図された硬質気体透過性眼用レンズだけに限定されない。むしろ、本例示的なシステムおよび方法は、光学ゾーンおよび非光学ゾーンを含む硬質気体透過性眼用レンズを形成するために使用され得る。1つの例示的な実施形態によれば、本システムおよび方法を使用して、強膜硬質気体透過性眼用レンズ1000を形成することができる。図示のように、強膜硬質気体透過性眼用レンズ100は、光学ゾーンを取り囲む瞳孔ゾーン1030および角膜ゾーン1010を含む。さらに、強膜ゾーン1020が、光学ゾーンの外側に提供される。本例示的なシステムおよび方法を使用して強膜硬質気体透過性眼用レンズを製造することにより、光学ゾーンの外側の追加の空間が達成され、追加の要素がレンズに埋め込まれスマートコンタクトレンズの機能を促進するようにすることができる。例えば、
図10に示されるように、集積回路、センサ、または別のセンシングもしくはコンピューティングデバイス1040が、強膜硬質気体透過性眼用レンズ1000の強膜ゾーン1020内に埋め込まれ得る。この例示的な実施形態によれば、集積回路、センサ、または別のセンシングもしくはコンピューティングデバイス1040は、強膜硬質気体透過性眼用レンズ1000の層の間に埋め込むことができる。強膜硬質気体透過性眼用レンズ1000の剛性は、集積回路、センサ、または他のセンシングもしくはコンピューティングデバイス1040の完全性を保護するのに役立ち、その有効寿命を延ばすことができる。さらに、集積回路、センサ、または他のセンシングデバイスもしくはコンピューティングデバイス1040は、強膜ゾーン1020に位置する導電性ビア1050を介して、電源1060または他の電気コンポーネントに通信可能に接続され得る。強膜ゾーン1020内には、通信デバイス、センサ、照明デバイス、回折アレイなどを含むがこれらに限定されない任意の数の要素を埋め込むことができる。
【0094】
上述の例のいくつかは、成型プロセスから硬質気体透過性眼用レンズを形成することを特に参照して説明されたが、任意の適切な注型または成型プロセスを使用して、本開示に従う硬質気体透過性眼用レンズを形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、硬質気体透過性眼用レンズは、スピンキャスティングによって形成するようにすることができる。さらに、本例示的なシステムおよび方法は、眼内レンズなどを製造するために使用され得る。
【0095】
本明細書で開示の例示的なシステムおよび方法は、多軸フライス盤を活用して、硬質気体透過性眼用レンズ、特に、角膜に接触し、角膜を再形成するレンズの、必然的に高い寸法公差要件を満たす。本システムおよび方法は、製造中に型内での流れを与えるためにモノマー形態でより低い粘度およびより低い表面張力特性を有する独特の材料で形成される硬質気体透過性眼用レンズを可能にする。さらに、シロキサニルスチレンとフルオロメタクリレートの組み合わせなど、厳密に旋盤加工可能な硬質気体透過性材料と比較して、成型可能な材料で高いDk値を達成できる。この成型可能な材料は、ANSI Z80.20に記載されている単位に従って、50より大きい、100より大きい、および/または150より大きいDk値を示すことができる。さらに、硬質気体透過性眼用レンズを形成するためのこの成型技術は、従来の旋盤加工されたレンズと比較して、より良い表面特性とレンズの物理的仕上げを提供する。成型は(従来の硬質気体透過性レンズの旋盤加工中に発生する)固有の材料応力も軽減する。材料応力の低減によりレンズの反りが少ないため、濡れと形状保持が改善される。さらに、硬質気体透過性眼用レンズを成型するようにすることにより、追加の材料をレンズ材料に追加するのに、追加の材料が旋盤加工にどのように影響するかを気にすることがない。たとえば、表面改質剤をレンズに直接追加して成型できる。さらに、異なる前面および後面の仕上げを設計し、金型によってそのような面を有する硬質気体透過性眼用レンズを作ることができる。
【0096】
成型はまた、以前は達成できなかった複雑な表面形状を可能にし、これによりレンズの回転、涙の交換、一晩での結合の防止などを促し得る。さらに、円形、放射状、線形などのさまざまな形状の開口などの要素をレンズ自体に成形することができる。
【0097】
成型はまた積層または層状構成を可能にし、単一の硬質気体透過性眼用レンズにおける互い違いの材料の包含を可能にする。含まれる層は、色調整剤、屈折率調整剤、アトロピン、ピレンジピンなどの薬物送達オプションを含み得るが、これらに限定されない。
【0098】
本例示的なシステムは、レンズ間の一貫した形状を含むがこれに限定されずに従来の夜間オルソケラトロジー旋盤レンズを超える利点を可能にし、ユーザーの目にインプリント効果を高め、レンズとレンズの間の成形係数を維持し、従来の旋盤加工レンズと比較して、高次の成形要素を形成する能力を与え、回転非対称の形状やエッジフォームを形成し、目にフィットし、ユーザーの快適性を高める。硬質気体透過性眼用レンズの旋盤加工に比べて、エッジ形状と周辺形状因子を実現でき、薄く滑らかなエッジ形状を実現できる。
【0099】
特許請求の範囲に記載されている用語は、広く使用されている一般的な辞書および/または関連する技術的な辞書、当業者によって一般に理解されている意味などを参照することによって決定される通常の慣習的な意味を与えられるべきである。これらのソースのいずれかまたは組み合わせによって与えられる最も広い意味が、クレーム用語に与えられるべきである(たとえば、2つ以上の関連する辞書エントリを組み合わせて最も広い意味を提供する必要がある)。ただし、次の例外を除く:(a)用語がその通常および慣習的な意味よりも拡張的な態様で使用される場合、または(b)用語が「ここで使用されているように」または類似の記述(例えば「ここでこれが意味する」「ここで規定されるように」「この開示の目的のために、この用語は意味する」など)を伴うことによって異なる意味を持つことが明示的に述べられている場合、その用語には通常および慣習的な意味に加えて追加の拡張的な意味が与えられる必要がある。
【0100】
特定の例への言及、「すなわち」の使用、「発明」という単語の使用などは、例外(b)を意味するものではなく、列挙された請求項の範囲を制限することを意味するものもではない。例外(b)が適用される状況を除き、ここに含まれるものはいずれも、非請求(disclaim)または請求範囲の否認と見なされるべきではない。
【0101】
特許請求の範囲に記載された主題は、本明細書に示される特定の実施形態、特徴、または特徴の組み合わせと同一の広がりを持たず、同じ広がりを持つと解釈されるべきではない。これは、特定の特徴または特徴の組み合わせの単一の実施形態のみが本明細書で図示および説明されている場合でも同様である。したがって、添付の特許請求の範囲は、先行技術および特許請求の範囲の用語の意味を考慮して、それらの最も広い解釈を与えられるべきである。
【0102】
本明細書で使用する場合、「左」、「右」、「前」、「後」などの空間的または方向的な用語は、図面に示されている主題に関連する。しかしながら、記載された主題は、様々な代替の向きを想定する場合があり、したがって、そのような用語は、限定と見なされるべきではない。
【0103】
原文における「the」、「a」、および「an」などの冠詞は、単数形または複数形を暗示することができる。また、「または」という単語を前に「どちらか」を付けずに使用した場合(または「または」が明確に排他的であることを示す他の同様の言語-たとえば、xまたはyの1つのみなど)は、包括的に解釈される(例えば、「xまたはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)ものとする。
【0104】
「および/または」という用語はまた、包括的であると解釈されるべきである(例えば、「xおよび/またはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。「および/または」または「または」が3つ以上のアイテムのグループの結合語として使用される状況では、グループは1つのアイテムのみ、すべてのアイテムをまとめて、または何らかのアイテムの組合せを含む。さらに、明細書および特許請求の範囲で使用される用語、例えば有する(have)、有する(having)、含む(include)、および含む(including)は、含む(comprise)および含む(comprising)という用語と同義であると解釈されるべきである。
【0105】
特に明記しない限り、(請求項以外の)明細書で使用される寸法、物理的特性などを表すものなど、すべての数または表現は、すべての場合に「およそ」という用語によって修飾されると理解される。少なくとも、そして請求項への均等論の適用を限定しようとするものとしてではなく、明細書または請求項に記載された「ほぼ」という用語によって修正される各数値パラメーターは、少なくとも列挙された有効数字の数に鑑み通常の丸め手法を適用して解釈されるべきである。
【0106】
本明細書に開示されるすべての範囲は、ありとあらゆる部分範囲またはそこに含まれるありとあらゆる個別の値を列挙するものを包含し、支持すると理解されるべきである。たとえば、1から10の範囲は、最小値1と最大値10の間および/またはそれらを含むすべての部分範囲または個々の値、つまり、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わるすべての部分範囲(たとえば、5.5~10、2.34~3.56など)または1~10の任意の値(たとえば、3、5.8、9.9994など)を列挙するものを含み、サポートすると考えられるべきである。