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特開2024-71464カラー画像をレンダリングするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071464
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】カラー画像をレンダリングするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20240517BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240517BHJP
   G09G 3/38 20060101ALI20240517BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20240517BHJP
   H04N 1/52 20060101ALI20240517BHJP
   H04N 1/405 20060101ALI20240517BHJP
   H04N 1/409 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G09G3/20 641G
G09G3/20 631H
G09G3/20 632G
G09G3/34 C
G09G3/38
G02F1/167
H04N1/52
H04N1/405 510
H04N1/409
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044780
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2023521331の分割
【原出願日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】63/108,855
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケネス アール. クラウンス
(57)【要約】
【課題】カラー画像をレンダリングするための方法および装置の提供。
【解決手段】電気光学ディスプレイを駆動するための方法が提供される。複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、方法は、入力画像を受信することと、入力画像を処理し、色分離累積を作成することと、閾値アレイを使用し、色分離累積を処理し、電気光学ディスプレイのための色を生成することとを含む、方法。方法はまた、色分離累積をディザ関数と交差させることによって、入力画像をディザリングすることを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)
本願は、2020年11月2日に出願された、米国仮出願第63/108,855号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
前述の出願の開示全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の目的)
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動するための方法に関する。より具体的には、本発明は、電気泳動ディスプレイ上で、画像をディザリングおよびレンダリングするための駆動方法に関する。
【0004】
(背景)
本発明は、カラー画像をレンダリングするための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、色強度の組み合わせが、多色表面被覆率に変換される、多色ディザリングのための方法に関する。
【背景技術】
【0005】
用語「ピクセル」は、本明細書では、ディスプレイ自体が示し得る、全ての色を生成することが可能である、ディスプレイの最小単位を意味するために、ディスプレイ技術分野におけるその従来の意味において使用される。
【0006】
ハーフトーニングは、白い紙の各ピクセルの変動する割合を黒いインクで被覆することによって、グレー色の色調を表すために、印刷業界において何十年にもわたって使用されている。類似するハーフトーニングスキームが、相互から独立して変動されている色チャネルを用いた、CMYまたはCMYKカラー印刷システムと併用されることができる。
【0007】
しかしながら、各ピクセルが、原色の限定されたセットのうちのいずれか1つを表示することができるため(そのようなシステムは、以降では「限定パレットディスプレイ」または「LPD」と称され得る)、色チャネルが相互から独立して変動されることができない、多くの表色系が存在する。ECD特許カラーディスプレイは、本タイプである。他の色を作成するために、原色は、正しい色感覚を生産するように空間的にディザリングされなければならない。
【0008】
電子ディスプレイは、典型的には、アクティブマトリクスバックプレーンと、マスタコントローラと、ローカルメモリと、通信およびインターフェースポートのセットとを含む。マスタコントローラは、通信/インターフェースポートを介してデータを受信する、またはデバイスメモリからそれを読み出す。いったんデータがマスタコントローラに入ると、アクティブマトリクスバックプレーンのための命令のセットに変換される。アクティブマトリクスバックプレーンは、マスタコントローラからこれらの命令を受信し、画像を生産する。カラーデバイスの場合、オンデバイス色域算出は、増加した算出力を伴うマスタコントローラを要求し得る。上記に示されるように、カラー電気泳動ディスプレイのためのレンダリング方法は、多くの場合、算出集中的であり、下記に詳細に議論されるように、本発明自体は、レンダリングによって課される算出負荷を低減させるための方法を提供するが、全体的レンダリングプロセスのレンダリング(ディザリング)ステップおよび他のステップは、依然として、デバイス算出処理システム上に大きな負荷を課し得る。
【0009】
画像レンダリングのために要求される算出能力の増加は、いくつかの用途における電気泳動ディスプレイの利点を減退させる。特に、デバイスを製造する費用は、マスタコントローラが複雑なレンダリングアルゴリズムを実施するように構成されるときに、デバイス電力消費量と同様に増加する。さらに、コントローラによって生成される過剰な熱は、熱管理を要求する。故に、例えば、超高解像度画像または多数の画像が短時間にレンダリングされる必要があるときのような、少なくともある場合には、多色画像をディザリングするための効率的な方法を有することが、望ましくあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要約)
故に、一側面では、本明細書に提示される主題は、電気光学ディスプレイを駆動するための方法を提供し、本方法は、入力画像を受信することと、入力画像を処理し、色分離累積を作成することと、色分離累積をディザ関数と交差させることによって、入力画像をディザリングすることとを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ディザ関数は、閾値アレイである。
【0012】
別の実施形態では、閾値アレイは、ブルーノイズマスク(BNM)である。
【0013】
さらなる別の実施形態では、処理するステップは、ルックアップテーブルによって実装される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、前記方法は、
入力画像を受信することと、
前記入力画像を処理し、色分離累積を作成することと、
前記色分離累積をディザ関数と交差させることによって、前記入力画像をディザリングすることと
を含む、方法。
(項目2)
前記ディザ関数は、閾値アレイである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記閾値アレイは、ブルーノイズマスク(BNM)である、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記入力画像を処理するステップは、ルックアップテーブルによって実装される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記ルックアップテーブルは、前記入力画像の色値と前記色分離累積との間のマッピングを含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記入力画像を処理することの前に、前記入力画像を鮮明化フィルタに通すことをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記鮮明化フィルタは、有限インパルス応答(FIR)フィルタである、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記入力画像を処理し、色分離累積を作成するステップは、重心座標方法を使用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
電気泳動ディスプレイを含む、項目1に記載の方法を遂行するように構成されている、電気光学ディスプレイ。
(項目10)
回転二色部材と、エレクトロクロミックまたはエレクトロウェッティング材料とを備える、項目9に記載のディスプレイ。
(項目11)
流体中に配置され、かつ電場の影響下で前記流体を通して移動することが可能である、複数の帯電粒子を備える、電気泳動材料を備える、項目9に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目12)
前記帯電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められている、項目11に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目13)
前記帯電粒子および前記流体は、高分子材料を備える、連続相によって囲繞される複数の離散液滴として存在する、項目11に記載の電気光学ディスプレイ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
特許または出願ファイルは、カラーで実行される、少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を伴う、本特許または特許出願公開の複写は、請求および必要な手数料の納付に応じて、特許庁によって提供されるであろう。
【0015】
図1】付随の図面の図1は、本明細書に提示される主題による、画像レンダリングモデルである。
【0016】
図2図2は、本明細書に提示される主題による、マスクを使用する、例示的な黒色および白色ディザリング方法である。
【0017】
図3図3は、本明細書に提示される主題による、種々のマスク設計を図示する。
【0018】
図4図4は、本明細書に開示される主題による、色域カラーマッピングを図示する。
【0019】
図5図5は、本明細書に開示される主題による、マスクを使用する、多色ディザリング方法を図示する。
【0020】
図6図6は、本明細書に開示される主題による、マスクを使用する、多色ディザリングアルゴリズムを図示する。
【0021】
図7図7-10は、本明細書に提示される主題による、多色ディザリングのための種々のマスク設計である。
図8図7-10は、本明細書に提示される主題による、多色ディザリングのための種々のマスク設計である。
図9図7-10は、本明細書に提示される主題による、多色ディザリングのための種々のマスク設計である。
図10図7-10は、本明細書に提示される主題による、多色ディザリングのための種々のマスク設計である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
誤差拡散アルゴリズム(そのピクセルにおいて理論的に要求される色と異なる特定の色で1つのピクセルを印刷することによって導入される「誤差」が、全体的に正しい色感覚が生産されるように、隣接ピクセルの間に分配される)等の標準ディザリングアルゴリズムが、限定パレットディスプレイとともに採用されることができる。誤差拡散についての膨大な文献が存在する。精査のために、Pappas, Thrasyvoulos N. 「Model-based halftoning of color images」 IEEE Transactions on Image Processing
6.7 (1997): 1014-1024を参照されたい。
【0023】
本願は、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,514,168号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2015/0262551号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号にも関連する。これらの特許および出願は、以降では、便宜上、集合的に、「MEDEOD」(電気光学ディスプレイを駆動するための方法)出願と称され得、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0024】
ECDシステムは、そのようなシステム内で使用するためのディザリングアルゴリズムを設計する際に考慮されなければならない、ある特異性を呈する。ピクセル間アーチファクトが、そのようなシステムにおける共通の特徴である。1つのタイプのアーチファクトが、いわゆる「ブルーミング」によって引き起こされる。単色および表色系の両方では、事実上、1つのピクセルの光学状態が、隣接するピクセルの面積の部分の中へ広がるように、ピクセル電極によって生成される電場が、ピクセル電極自体の面積よりも広い電気光学媒体の面積に影響を及ぼす傾向がある。隣接するピクセルを駆動することが、ピクセル自体のうちのいずれかによって到達される面積とは異なる、ピクセルの間の面積内で、最終的な光学状態をもたらすときに、別の種類のクロストークが被られ、本最終的な光学状態は、ピクセル間領域内で被られる平均電場によって引き起こされる。類似する効果が、単色系において被られるが、そのようなシステムは、色空間内で1次元であるため、ピクセル間領域は、通常、2つの隣接するピクセルの状態の中間のグレー色状態を表示し、そのような中間グレー色状態は、領域の平均反射率に著しく影響を及ぼさない、または事実上のブルーミングとして容易にモデル化されることができる。しかしながら、カラーディスプレイでは、ピクセル間領域は、いずれかの隣接するピクセル内に存在しない色を表示することができる。
【0025】
カラーディスプレイにおける前述の問題は、原色を空間的にディザリングすることによって予測される色の色域および線形性に対して深刻な結果を有する。ECDディスプレイの原色パレットからの飽和した赤色および黄色の空間的にディザリングされたパターンを使用し、所望の橙色を作成することを試みることを考慮されたい。クロストークがない場合、橙色を作成するために要求される組み合わせは、線形加法混色の法則を使用することによって、完璧に遠距離場で予測されることができる。赤色および黄色が、色域境界上にあるため、本予測される橙色もまた、色域境界上にあるはずである。しかしながら、前述の効果が、隣接する赤色と黄色ピクセルとの間のピクセル間領域内で(例えば)青みを帯びた帯域を生産する場合、結果として生じる色は、予測される橙色よりもはるかに中性であろう。これは、色域境界内で「くぼみ」をもたらす、またはより正確には、境界が実際には3次元であるため、スカラップをもたらす。したがって、単純ディザリングアプローチが、要求されるディザリングを正確に予測することができないだけではなく、本場合では、達成可能な色域外にあるため利用可能ではない色を生産することも試み得る。
【0026】
パターンの広範囲な測定または高度モデル化によって、達成可能な色域を予測することができることが、望ましくあり得る。これは、デバイス原色の数が大きい場合、またはクロストーク誤差が、ピクセルを原色に量子化することによって導入される誤差と比較して大きい場合に、実行可能ではない場合がある。本発明は、ディスプレイ上の実現される色が、予測される色により近いように、ブルーミング/クロストーク誤差のモデルを組み込む、ディザリング方法を提供する。さらに、本方法は、通常、誤差拡散が、原色の凸包外の色にディザリングするときに無制限の誤差を生産するであろうため、所望の色が、実現可能な色域から外れる場合において、誤差拡散を安定させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、画像の複写が、付随する図面の図1に図示される、誤差拡散モデルを使用して実施されてもよい。図1に図示される方法は、入力102から開始し、そこで、色値xi,jがプロセッサ104にフィードされ、それらは、以降では「誤差修正された入力色」または「EMIC」と称され得る、修正された入力ui,jを生産するように、誤差フィルタ106の出力に追加される。修正された入力ui、jは、量子化器108にフィードされる。
【0028】
いくつかの実施形態では、モデルベースの誤差拡散を利用するプロセスは、入力画像が、原色の(理論的)凸包(すなわち、色域)内にあると仮定されるが、実際の実現可能な色域が、おそらく、ドット重複による色域の損失に起因してより小さいため、不安定になり得る。したがって、誤差拡散アルゴリズムは、実際には実践で達成されることができない色を達成しようとし得、誤差は、各連続「補正」とともに増大し続ける。本問題は、誤差を切り取る、または別様に限定することによって阻止されるが、これは、他の誤差につながることが示唆されている。
【0029】
実践では、一解決策は、誤差拡散アルゴリズムが、常に、その標的色を達成し得るように、ソース画像の色域マッピングを実施するときに、達成可能な色域のより良好な非凸推定値を有することであろう。モデル自体からこれを概算する、またはそれを経験的に判定することが可能性として考えられ得る。いくつかの実施形態では、量子化器108は、それぞれを選定することが誤差に及ぼすであろう影響に関して原色を調査し、量子化器は、選定される場合、(あるメトリックによって)最少誤差を伴う原色を選定する。しかしながら、量子化器108にフィードされる原色は、システムの天然原色{P}ではないが、少なくともいくつかの隣接ピクセルの色を可能にする、原色の調節されたセット{P }であり、ピクセルへのそれらの影響は、ブルーミングまたは他のピクセル間相互作用によって量子化される。
【0030】
上記の方法の一実施形態は、標準フロイド・スタインバーグ誤差フィルタを使用し、ラスタ順でピクセルを処理する。従来のように、ディスプレイが上から下および左から右に処理されると仮定すると、これらの2つの隣接ピクセルがすでに判定されているため、ブルーミングまたは他のピクセル間効果を算出すると見なされている、ピクセルの上方および左の基数隣接物を使用することが論理的である。このように、右および下方の隣接クロストークが、それらの隣接物が来訪されるときに考慮されるため、隣接するピクセルによって引き起こされる全てのモデル化された誤差が考慮される。モデルが上方および左の隣接物のみを考慮する場合、原色の調節されたセットは、それらの隣接物の状態および考慮中の原色の関数でなければならない。最も単純なアプローチは、ブルーミングモデルが加法的である、すなわち、左の隣接物に起因する色偏移および上方の隣接物に起因する色偏移が、独立しており、加法的であると仮定することである。本場合では、判定される必要がある「N選定2」(N*(N-1)/2に等しい)モデルパラメータ(色偏移)のみが存在する。N=64またはそれ未満に関して、これらは、測定値から理想的混合法値を減算することによって、全てのこれら可能性として考えられる原色対の格子状パターンの比色測定から推定されることができる。
【0031】
具体的な実施例を挙げると、32原色を有するディスプレイの場合を考慮されたい。上方および左の隣接物のみが考慮される場合、32原色に関して、所与のピクセルのための原色の496個の可能性として考えられる隣接するセットが存在する。モデルが線形であるため、両方の隣接物の加法効果が、多くのオーバヘッドを伴わずに実行時間中に生産され得るため、これら496個の色偏移のみが記憶される必要がある。したがって、例えば、未調節の原色セットが(P1...P32)を備え、現在の上および左の隣接物がP4およびP7である場合、修正された原色(P ...P 32)、すなわち、量子化器にフィードされる調節された原色は、以下によって求められる。
=P+dP(1,4)+dP(1,7)
... ...
32=P32+dP(32,4)+dP(32,7)
式中、dP(i,j)は、色偏移テーブルにおいて経験的に判定される値である。
【0032】
より複雑なピクセル間相互作用モデル、例えば、非線形モデル、角(対角)隣接物を考慮するモデル、またはその隣接物のうちのより多くが把握されるにつれて各ピクセルにおける色偏移が更新される、非因果的近傍を使用するモデルが、当然ながら、可能性として考えられる。
【0033】
量子化器108は、調節された入力u’i,jを調節された原色{P }と比較し、最も適切な原色yi,kを出力に出力する。適切な原色を選択する任意の適切な方法、例えば、線形RGB空間内の最小ユークリッド距離量子化器が、使用されてもよく、これは、いくつかの代替的方法よりも少ない計算能力を要求するという利点を有する。
【0034】
量子化器108からのyi,k出力値は、出力だけではなく、近傍バッファ110にもフィードされ得、そこで、以降で処理されるピクセルのための調節された原色を生成する際に使用するために記憶される。修正された入力ui,j値および出力yi,j値は両方とも、プロセッサ112に供給され、これは、以下を計算し、
i,j=ui,j-yi,j
図1を参照して上記で説明されるものと同一の方法で、本誤差信号を誤差フィルタ106上にパスする。
【0035】
しかしながら、実践では、誤差拡散ベースの方法は、容易に並列化可能ではないため、いくつかの用途に対しては低速であり得る。本場合では、前のピクセルの出力が、使用可能となるまで、次のピクセル出力が、完了されることができない。代替として、マスクベースの方法が、その単純性のために採用され得、各ピクセルにおける出力は、そのピクセルの入力およびルックアップテーブル(LUT)からの値にのみ依存し、各出力は、他の出力から完全に独立して算出されることができる。
【0036】
ここで図2を参照すると、例示的な黒色および白色ディザリング方法が、図示されている。示されるように、0(白色)と1(黒色)の間の正規化された暗さの値を伴う、入力グレースケール画像は、各出力場所において、対応する入力暗さと、ディザ閾値とを比較することによってディザリングされる。例えば、入力画像の暗さu(x)がディザ閾値T(x)よりも高い場合、出力場所は、黒色(すなわち、1)として印が付けられ、さもなければ、白色(すなわち、0)として印が付けられる。図3は、本明細書に開示される主題による、いくつかのマスク設計を図示する。
【0037】
実践では、多色ディザリングを実践するとき、ディザリングアルゴリズムへの入力色は、多原色の線形組み合わせとして表されることができると仮定される。これは、色域角を使用して、ソース空間内でディザリングすることによって、または入力をデバイス空間の色域に色域マッピングすることによって達成され得る。図4は、加重Pxのセットを使用して、色分離を作成する一方法を図示する。本場合では、各色Cは、以下のように定義される。
【数1】
【0038】
式中、これらの加重の部分和は、分離累積
【数2】

と称され、以下の通りである。
【数3】
【0039】
実践では、複数の色にディザリングさせることは、色の相対的な累積量をディザ関数(例えば、図5の閾値アレイT(x)502)と交差させること内にある。ここで図5を参照すると、実施例としてここに図示されるのは、4つの異なる色のインク、C512、C514、C516、およびC518を用いて印刷するための方法である。出力ピクスマップの各ピクセルにおいて、色分離は、基本色のそれぞれの相対的な比率、例えば、色C512のd、色C514のd、色C516のd、および色C518のdを与える。本場合では、色のうちの1つ、例えば、C518は、白色であってもよい。
【0040】
複数の色へのディザリングを拡張することは、図5に示されるように、色の相対的な累積量Λ(x)504=d1、Λ(x)506=d1+d2、Λ(x)508=d1+d2+d3、およびΛ(x)510=d1+d2+d3+d4を閾値アレイT(x)と交差させること内にある。図5に図示されるのは、本明細書に提示される主題を解説する目的のためのディザリング実施例である。Λ(x)504>T(x)502である区間では、出力場所またはピクセル領域は、基本色C512(例えば、黒色)を用いて印刷され、Λ(x)506>T(x)502である区間では、出力場所またはピクセル領域は、色C514(例えば、黄色)を表示し、Λ(x)508>T(x)502である区間では、出力場所またはピクセル領域は、色C516(例えば、赤色)を表示し、Λ(x)510>T(x)502およびΛ(x)508≦T(x)502である、残りの区間では、出力場所またはピクセル領域は、色C518(例えば、白色)を表示するであろう。したがって、本明細書に提示される多色ディザリングは、色C512、C514、C516、およびC518のd、d、d、dの相対量を相対被覆率に変換し、定義上、寄与する色が、並列に印刷されることを確実にする。
【0041】
いくつかの実施形態では、図6に図示されるような多色レンダリングアルゴリズムが、本明細書に開示される主題に従って利用されてもよい。示されるように、画像データimi,jは、最初に、鮮明化フィルタ602を通してフィードされてもよく、これは、いくつかの実施形態では、随意であり得る。本鮮明化フィルタ602は、閾値アレイT(x)またはフィルタが、誤差拡散システムよりも鮮明ではない、ある場合には、有用であり得る。本鮮明化フィルタ602は、単純な有限インパルス応答(FIR)フィルタ、例えば、3×3であってもよく、これは、容易に算出され得る。続いて、色データは、カラーマッピングステップ604においてマッピングされ得、色分離は、重心座標方法を使用する等、当技術分野において一般的に使用可能である方法によって、分離生成ステップ606において生成されてもよく、本色データは、CSC_LUTルックアップテーブルにインデックスを付けるために使用され得、これは、マスクベースのディザリングステップ(例えば、ステップ612)によって直接必要とされる形態で、所望の分離情報を与える、インデックス毎のNエントリを有することができる。いくつかの実施形態では、本CSC_LUTルックアップテーブルは、所望の色強化および/または色域マッピング、ならびに選定される分離アルゴリズムの両方を組み合わせることによって構築されてもよく、入力画像の色値と色分離累積との間のマッピングを含むように構成される。本方式では、ルックアップテーブル(例えば、CSC_LUT)は、所望の分離累積情報を、迅速に、かつマスクベースのディザリングステップ(例えば、量子化器を用いるステップ612)によって直接必要とされる形態で提供するように設計され得る。最終的に、分離累積データ608は、閾値アレイ610と併用され、量子化器612を使用して出力yi,jを生成し、複数の色を生成する。いくつかの実施形態では、カラーマッピング604、分離生成606、および累積608ステップは、単一の補間CSC_LUTルックアップテーブルとして実装されてもよい。本構成では、分離段階は、多原色の四面体化において、重心座標を見出すことによって行われるのではなく、ルックアップテーブルによって実装され得、これは、より多くの柔軟性を可能にする。加えて、本明細書に図示される方法によって算出される出力は、他の出力から完全に独立して算出される。さらに、本明細書で使用される閾値アレイT(x)は、ブルーノイズマスク(BNM)であってもよく、種々のBNM設計が、図7-10に提示されている。
【0042】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に説明される本発明の具体的な実施形態において行われ得ることが、当業者に明白であろう。故に、先述の説明の全体は、限定的ではなく、例証的な意味において解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】