(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000715
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20231226BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20231226BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099576
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】水尻 健児
(72)【発明者】
【氏名】北山 直嗣
(72)【発明者】
【氏名】有竹 恭大
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611AA00
5H611AA01
5H611BB08
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR03
5H611TT01
5H611UA04
5H611UA08
(57)【要約】
【課題】モータユニットの組立作業性を向上させる。
【解決手段】モータユニット1は、モータ部3と、電子部品41を搭載したメイン基板4aと、メイン基板4aに接続された接続部品5と、モータ部3、メイン基板4a、および接続部品5を収容するハウジング6とを備える。接続部品5は、メイン基板4aに電気的に接続される第一端子54と、絶縁材料からなり、端子54を保持する保持部51とを有する。メイン基板4aと接続部品5は、ハウジング6に設けた第一位置決めピン81により位置決めされている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部と、電子部品を搭載した基板と、前記基板に接続された接続部品と、前記モータ部、前記基板、および前記接続部品を収容するハウジングとを備え、前記接続部品が、前記基板に電気的に接続される端子と、絶縁材料からなり、前記端子を保持する保持部とを有するモータユニットにおいて、
前記基板と前記接続部品が、前記ハウジングに設けた共通の第一位置決め基準により位置決めされていることを特徴とするモータユニット。
【請求項2】
前記ハウジングに前記第一位置決め基準としての第一位置決めピンを設け、前記基板および前記接続部品を前記第一位置決めピンと篏合させた請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記ハウジングに前記第一位置決め基準としての第一基準孔を設け、前記接続部品に前記第一基準孔と嵌合する第一位置決めピンを設け、前記基板を前記第一位置決めピンと篏合させた請求項1に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記第一位置決めピンに、搬送用治具で把持するための把持部を設けた請求項3に記載のモータユニット。
【請求項5】
さらに、前記基板が前記ハウジングに設けた第二位置決め基準に対して位置決めされている請求項1に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記ハウジングに前記基板を収容する基板収容部を設け、前記基板を収容した前記基板収容部をカバー部材で覆い、当該カバー部材と前記基板との間に放熱部材を介在させ、
前記カバー部材と前記基板にそれぞれ嵌合する位置決め部材を備えている請求項1に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記基板に接続され、前記モータ部に給電するバスバー端子と、前記バスバー端子を保持するバスバー端子保持部とを備え、前記バスバー端子保持部を前記ハウジングに接触させた請求項1に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記接続部品を前記ハウジングに圧入固定した請求項1に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記基板としての第一基板と、前記第一基板とは別の第二基板とを備え、前記接続部品で第一基板と第二基板を電気的に接続した請求項1に記載のモータユニット。
【請求項10】
前記第一基板がモータ部の出力軸と平行に配置され、前記第二基板がモータ部の出力軸と直交する方向に配置された請求項9に記載のモータユニット。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載されたモータユニットを有する電動オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
モータユニットの一例として、自動車等の車両において、車両各部へオイルを供給する電動オイルポンプが知られている。例えばアイドリングストップ機構(停車時にエンジンを自動停止する機構)を備えた車両やハイブリッド車両において、停車中のトランスミッション内部での油圧の保持を可能とするため、トランスミッションケースに電動オイルポンプが装着される。この種の電動オイルポンプとしては、下記の特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動オイルポンプは、モータの駆動を制御する駆動回路を有する制御基板と、モータのロータの回転角を検出する回転センサ部を搭載したセンサ基板とを備える。制御基板とセンサ基板は配線モジュールによって接続されている。配線モジュールは、電源線、接地線、および複数のセンサ信号線を一体的に樹脂モールドしたものである(段落0115)。配線モジュールは、ネジによりハウジングあるいはハウジングを構成する軸受ホルダに固定されている(段落01031)。
【0005】
モータユニットの組立工程においては、配線モジュールの端子は、基板に設けられた端子取り付け孔に挿入した上ではんだ付けされるのが通例である。このはんだ付け部分の品質を確保するため、端子と端子取り付け孔の間の隙間は狭小化する傾向にあり、これに伴って、基板の挿入孔に端子を挿入する際の作業性が低下し、モータユニットの組み立て作業性に悪影響を与えている。特に基板の挿入孔に端子を挿入し、次いではんだ付けを行う一連の工程を自動化しようとすると、端子を基板の挿入孔にうまく挿入できない場合があり、この点が自動化を図る上で障害となる。この課題および当該課題に対する解決策は、特許文献1には何ら開示、示唆されていない。
【0006】
そこで、本発明は、モータユニットの組立作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、モータ部と、電子部品を搭載した基板と、前記基板に接続された接続部品と、前記モータ部、前記基板、および前記接続部品を収容するハウジングとを備え、前記接続部品が、前記基板に電気的に接続される端子と、絶縁材料からなり、前記端子を保持する保持部とを有するモータユニットにおいて、前記基板と前記接続部品が、前記ハウジングに設けた共通の第一位置決め基準により位置決めされていることを特徴とする。このモータユニットは、例えば電動オイルポンプに用いることができる。
【0008】
このように、基板および接続部品を共通の第一位置決め基準によりハウジングに対して位置決めすることで(第一位置決め構造)、基板とハウジングの間の位置精度、および接続部品とハウジングの間の位置精度だけでなく、基板と接続部品の間の位置精度も高めることができる。このように基板と接続部品の間の位置精度を高めることにより、モータユニットの組み立て時に、接続部品の端子を基板の端子取り付け孔にスムーズに挿入することが可能となる。これにより、モータユニットの組み立て作業性を向上させることができる。
【0009】
このモータユニットは、例えば、前記ハウジングに前記第一位置決め基準としての第一位置決めピンを設け、前記基板および前記接続部品を前記第一位置決めピンと篏合させることで得ることができる。
【0010】
また、前記ハウジングに前記第一位置決め基準としての第一基準孔を設け、前記接続部品に前記第一基準孔と嵌合する第一位置決めピンを設け、前記基板を前記第一位置決めピンと篏合させることでも得ることができる(第二実施形態)。
【0011】
この場合、前記第一位置決めピンには、搬送用治具で把持するための把持部を設けることができる(第五実施形態)。これにより、モータユニットの組み立て工程において、この把持部を搬送用治具でつかむことで、別途把持部を設けることなく、接続部品が容易に搬送可能となる。
【0012】
さらに、前記基板が前記ハウジングに設けた第二位置決め基準に対して位置決めされているのが好ましい(第二位置決め構造)。
【0013】
これにより、基板のハウジングに対する位置決め精度がさらに高まる。そのため、接続部品の端子を基板の端子取り付け孔によりスムーズに挿入することが可能となる。
【0014】
以上のモータユニットにおいては、前記ハウジングに前記基板を収容する基板収容部を設け、前記基板を収容した前記基板収容部をカバー部材で覆い、当該カバー部材と前記基板との間に放熱部材を介在させ、前記カバー部材と前記基板にそれぞれ嵌合する位置決め部材を設けることができる(第三実施形態)。
【0015】
これにより、カバー部材を基板に対して位置決めすることが可能となる。そのため、カバー部材に放熱部材を取り付ける際に、基板に搭載した電子部品に対して放熱部材を配置すべき位置が正確に定まる。従って、放熱部材のサイズを最小限に抑えることが可能となる。
【0016】
モータユニットとしては、前記基板に接続され、前記モータ部に給電するバスバー端子と、前記バスバー端子を保持するバスバー端子保持部とを備え、前記バスバー端子保持部を前記ハウジングに接触させたものを用いることができる(第六位置決め構造)。
【0017】
このようにバスバー端子保持部をハウジングに接触させることで、バスバー端子をハウジングに対して位置決めすることができる。そのため、ハウジングに対するバスバー端子保持部の位置精度を高めることができる。これにより、モータユニットの組み立て時に、バスバー端子を基板のバスバー端子取り付け孔にスムーズに挿入することが可能となる。
【0018】
前記接続部品は前記ハウジングに圧入固定することができる(第四実施形態)。
【0019】
これにより、ねじ等の締結部材を用いなくても、接続部品をハウジングに固定して、接続部品の位置ずれや振動を防止することが可能となる。そのため、締結部材のねじ込み工程を省略して、部品点数や組み立て工数を削減し、低コスト化を図ることが可能となる。
【0020】
モータユニットとしては、前記基板としての第一基板と、前記第一基板とは別の第二基板とを備え、前記接続部品で第一基板と第二基板を電気的に接続したものを用いることができる。
【0021】
この場合、前記第一基板をモータ部の出力軸と平行に配置し、前記第二基板をモータ部の出力軸と直交する方向に配置することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように、本発明によれば、モータユニットの組立作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】電動オイルポンプの軸方向に沿った断面図である。
【
図3】接続部品を介して接続したメイン基板およびサブ基板を示す斜視図である。
【
図5】ハウジング本体に接続部品を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図6】ハウジング本体に接続部品、第二蓋部、メイン基板、およびサブ基板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図7】第二蓋部を取り付けたモータユニットを、サブ基板の取り付け前に軸方向サブ基板側から見た正面図である。
【
図8】接続部品をモータユニットの外径側から見た斜視図である。
【
図9】接続部品をモータユニットの外径側から見た平面図である。
【
図10】接続部品をモータユニットの内径側から見た斜視図である。
【
図11】サブ基板に接続部品を介して接続したメイン基板と、第一位置決めピンおよび第二位置決めピンとの位置関係を示す側面図である。
【
図12】第二実施形態を示す斜視図であり、接続部品をモータユニットの外径側から見た図である。
【
図13】第三実施形態を示す軸方向に沿った断面図であり、モータユニットのうち、メイン基板の周辺構造を示す図である。
【
図14】第五実施形態を示す斜視図であり、接続部品をモータユニットの外径側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に電動オイルポンプの軸方向に沿った断面図を示す。電動オイルポンプは、例えば自動車等の車両に搭載され、エンジンの停止中にトランスミッションに油圧を供給するもので、トランスミッションケース底部のオイル溜りからオイルを吸引し、このオイルを吐出してトランスミッション内にオイルを圧送することにより、トランスミッション内で必要な油圧を確保する機能を有する。電動オイルポンプの一部がモータユニット1を構成する。以下、モータユニット1の第一実施形態を説明する。
【0025】
図1に示すように、電動オイルポンプは、モータユニット1と、モータユニット1の出力で駆動されるポンプ部2とを備える。モータユニット1は、モータ部3と、第一基板としてのメイン基板4aと、第二基板としてのサブ基板4bと、メイン基板4aとサブ基板4bを接続する接続部品5と、モータ部3、両基板(4a、4b)、および接続部品5を収容するハウジング6とを備えている。以下、それぞれの部材または要素を詳細に説明する。
【0026】
なお、以下の説明において、モータ部3の軸心(モータ軸)Oと平行な方向(
図1の上下方向)を「軸方向」と呼び、モータ軸Oを中心とする円の半径方向を「半径方向」と呼ぶ。また、モータユニット1の軸方向のうち、サブ基板4b側(
図1の右側)を「軸方向サブ基板側」と呼び、反対側(
図1の左側)を「軸方向反サブ基板側」と呼ぶ。
【0027】
ポンプ部2は、インナロータ21と、複数の内歯が形成されたアウタロータ22と、インナロータ21およびアウタロータ22を収容する静止部材としてのポンプケース23とを有する。このポンプ部2として、例えばトロコロイドポンプが用いられる。アウタロータ22は、インナロータ21に対して偏心した位置にあり、アウタロータ22の一部の歯部がインナロータ21の一部の歯部と噛み合っている。
【0028】
アウタロータ22の外周面およびポンプケース23の内周面は何れも互いに嵌合可能な円筒面である。アウタロータ22は、インナロータ21の回転に伴って従動回転するように、ポンプケース23の内周に回転可能に配置される。インナロータ21は、モータ部3の出力軸32のポンプ部2側の端部に取り付けられている。出力軸32とポンプ部2の間に減速機は配置されておらず、インナロータ21はモータ部3の出力軸32に直結されている。図示は省略するが、ハウジング6には、ポンプ部2にオイルを供給し、ポンプ部2からオイルを吐出するためのオイル流路が設けられている。
【0029】
モータ部3を駆動することで、インナロータ21が回転する。インナロータ21が回転することで、これに噛み合ったアウタロータ22が従動回転し、両者の歯部の間に形成される空間が回転に伴って拡大および縮小する。そのため、トランスミッションケース内の油溜りに溜まったオイルが吸入側のオイル流路を介してポンプ部2に吸入され、これが吐出側のオイル流路を介してトランスミッション内部に吐出される。
【0030】
図1に示すように、モータ部3は、ステータ30と、ステータ30の内側に隙間をもって配置されたロータ31と、ロータ31に結合された出力軸32とを有する。モータ部3として、例えば3相ブラシレスDCモータが使用される。ステータ30は、U相、V相、W相の三相に対応した複数のコイル30aを有する。
【0031】
出力軸32はステータ30の軸方向両側に突出している。出力軸32のうち、ステータ30から軸方向両側に突出した部分がそれぞれ軸受(例えば深溝玉軸受等の転がり軸受)33,34を介してハウジング6に対して回転可能に支持されている。
【0032】
モータ部3におけるロータ31の回転角を検出するため、モータ部3の回転側と静止側の間に検出部37が設けられる。本実施形態の検出部37は、出力軸32の軸方向サブ基板4b側の軸端にブラケット38を介して取り付けられたマグネット37a(例えばネオジウムボンド磁石)と、マグネット37aと軸方向に対向するようにサブ基板4bに取り付けられたセンサ37b(MR素子等の磁気センサ)とで構成される。センサ37bの検出信号は、サブ基板4bに接続した接続部品5を介して、後述するメイン基板4aの制御回路に入力される。
【0033】
なお、センサ37bとして、ホール素子を使用することもできる。また、検出部37としては、磁気センサの他、光学式エンコーダやレゾルバ等の他のセンサを用いることもできる。
【0034】
メイン基板4aはモータ部3の出力軸32と平行に配置され、サブ基板4bはモータ部3の出力軸32と直交する方向に配置されている。
【0035】
メイン基板4aには、複数の電子部品41が実装されている。これらの電子部品41でモータ部3の駆動を制御する制御回路が構成される。本実施形態では、メイン基板4aの両面に電子部品41が実装されている。メイン基板4aは、これら電子部品41のうち、特に背が高い部品(例えば電解コンデンサ)を実装した面(実装面)40をポンプ部2およびモータ部3側に向けて配置される。
【0036】
メイン基板4aには、外部電源からコネクタ42を介して電力が供給される。メイン基板4aの制御回路では駆動電流の極性が制御される。
【0037】
図2は
図1のII-II線断面図であり、
図3は接続部品5を介して電気的に接続したメイン基板4aおよびサブ基板4bを示す斜視図である。
【0038】
メイン基板4aで制御された電流は、
図2および
図3に示すように、バスバー42を介し、ステータ30の各コイル30aに供給される。各バスバー42の先端は、バスバー端子保持部43から突出してバスバー端子42aを形成する。各バスバー42のうち、径方向と平行にメイン基板4a側へ向けて延びる部分は、樹脂等の絶縁材料で形成されたバスバー端子保持部43により保持されている。
【0039】
図3に示すように、メイン基板4aのうち、軸方向サブ基板側の端部に、バスバー端子42aを挿入するための複数のバスバー端子取り付け孔44と、後述する接続部品5の第一端子54を挿入するための複数の端子取り付け孔45とが形成される。これらの端子取り付け孔44,45は、メイン基板4aをその厚さ方向に貫通し、内面が導体で被覆されたスルーホールである。
【0040】
サブ基板4bには、接続部品5の第二端子55を挿入するための複数の端子取り付け孔46が設けられている。端子取り付け孔46は、サブ基板4bをその厚さ方向に貫通し、内面が導体で被覆されたスルーホールである。サブ基板4bの各端子取り付け孔46は、センサ37b(
図1参照)と回路パターンを介して電気的に接続されている。
【0041】
図1に示すように、ハウジング6は、両端を開口した筒状のハウジング本体60と、ハウジング本体60の軸方向一方側(軸方向反サブ基板側)の開口部を閉鎖する第一蓋部61と、ハウジング本体60の軸方向他方側(軸方向サブ基板側)の開口部を閉鎖する第二蓋部62とを有する。第一蓋部61および第二蓋部62はそれぞれ複数の締結用ボルトB1、B2を用いてハウジング本体60に固定される。ハウジング本体60、第一蓋部61、および第二蓋部62は、何れも導体でかつ熱伝導性が良好な金属材料、例えばアルミニウム合金で形成されている。
【0042】
ハウジング本体60は、ポンプ部2の収容空間であるポンプ収容部63、モータ部3の収容空間であるモータ収容部64、およびメイン基板4aの収容空間である第一基板収容部65を有する。ポンプ収容部63とモータ収容部64は、モータ収容部64をポンプ部収容部63よりも軸方向反ポンプ側に位置させて軸方向に並んでいる。ポンプ収容部63とモータ収容部64は、ハウジング本体60に設けられた、径方向に延びる第一隔壁66によって区画されている。また、第一基板収容部65はポンプ収容部63およびモータ収容部64の外径側に配置され、第一基板収容部65と、ポンプ収容部63およびモータ収容部64とは軸方向に延びる第二隔壁67によって区画されている。ポンプ収容部63の軸方向反ポンプ側の開口部は、第一蓋部61によって閉鎖されている。
【0043】
ポンプ収容部63は、ハウジング本体60に設けられたポンプケース23の円筒状の内周面で形成される。モータ収容部64の内周面は円筒状に形成され、このモータ収容部64に、モータ部3のステータ30が圧入もしくは接着固定されている。
【0044】
図4はハウジング本体60の斜視図である。
図5は、ハウジング本体に接続部品5を取り付けた状態を示す斜視図であり、
図6は、ハウジング本体60に接続部品5、第二蓋部62、メイン基板4a、およびサブ基板4bを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0045】
図1および
図4に示すように、ハウジング本体60の第一基板収容部65は、外径側から見て矩形の枠状で、かつ外径側を開口部とした周壁68を有する。
図6に示すように、第一基板収容部65内に配置したメイン基板4aの周囲が周壁68によって囲まれる。
【0046】
図1に示すように、メイン基板4aを第一基板収容部65内に配置した後で、第一基板収容部65の開口部がカバー部材90により閉鎖される。カバー部材90はねじ等の締結部材B3を用いてハウジング本体60に取り付けられる。カバー部材90には放熱部材としての放熱シート91が取り付けられている。放熱シート91は、熱伝導性が高く、かつ圧縮可能な材料で形成される。カバー部材90をハウジング本体60に取り付けた際に放熱シート91がメイン基板4aとカバー部材90の間に介在し、メイン基板4aの電子部品41のうち発熱量の多い電子部品(例えば半導体素子)に接触するため、当該電子部品で生じた熱を、放熱シート91を介してカバー部材90、さらにはハウジング本体60に効率的に逃がすことができる。
【0047】
図1および
図4に示すように、ハウジング本体60の周壁68のうち、軸方向サブ基板側の部分には、軸方向の貫通孔である接続用開口部69が設けられている。接続用開口部69の内径側には第二隔壁67が存在しておらず、接続用開口部69の内径側は、モータ収容部64の軸方向サブ基板4b側の端部に開口している。
【0048】
図1および
図6に示すように、第二蓋部62は、ハウジング本体60の軸方向サブ基板側の開口部を閉鎖する蓋部本体621と、蓋部本体621から軸方向の反サブ基板側に延び、軸受34を支持する円筒形状のベアリングケース622とを一体に有する。
【0049】
図6に示すように、蓋部本体621の軸方向サブ基板側の端面には、概略台形枠状の周壁71が形成される。周壁71内にサブ基板4bを収容する第二基板収容部72が形成され、第二基板収容部72に配置したサブ基板4bの周囲が周壁71によって囲まれる。サブ基板4bを第二基板収容部72に配置した後で、第二基板収容部72の開口部がカバー部材92(
図1参照)により閉鎖される。
【0050】
図7は、第二蓋部62を取り付けたモータユニット1を、サブ基板4bの取り付け前に軸方向サブ基板側から見た正面図である。
【0051】
図7に示すように、第二蓋部62の蓋部本体621のうち、第二基板収容部72の底部73(第二基板4bのうちセンサ37bの実装面74(
図1参照)と対向する部分)には、軸方向に貫通した窓部75および軸孔76が形成されている。窓部75には接続部品5が挿入されている。軸孔76はベアリングケース622を軸方向に貫通している。
図1に示すように、軸孔76には、出力軸32の軸方向サブ基板側の軸端が挿入され、軸端に設けられたマグネット37aは、軸方向に離間してセンサ37bと対向している。第二基板収容部72を覆うカバー部材92は、ねじ(図示省略)等を用いて第二蓋部62に固定される。
【0052】
図6および
図7に示すように、第二基板収容部72の底部73には、軸方向サブ基板側に突出する位置決め突起77が形成される。位置決め突起77は軸方向から見て非円形状(例えば概略矩形状)の輪郭を有する。サブ基板4bには、この位置決め突起77と嵌合する形状の位置決め孔47(
図3参照)がサブ基板4bを貫通して形成されている。位置決め突起77は、例えば軸方向から見て矩形状の輪郭に形成することができる。
【0053】
図8は接続部品5をモータユニット1の外径側から見た斜視図であり、
図9は接続部品5をモータユニット1の外径側から見た平面図である。
図10は、接続部品5をモータユニット1の内径側から見た斜視図である。
図11は、サブ基板4bに接続部品5を介して接続したメイン基板4aと、第一位置決めピン81および第二位置決めピン82との位置関係を示す側面図である。以下、
図1、
図8~
図11に基づいて接続部品5およびその取り付け構造を説明する。
【0054】
図1に示すように、接続部品5は、径方向において、ハウジング本体60の第二隔壁67とメイン基板4aの間に配置される。
図8に示すように、接続部品5は、メイン基板4aとサブ基板4bを電気的に(電流が流れるように)接続する複数の配線50と、複数の配線50を一体に保持する保持部51とを有する。配線50は例えば帯状の金属板で形成される。保持部51は、樹脂等の絶縁性の剛体材料で形成された板状をなし、例えば、複数の配線50をインサート部品として樹脂材料を射出成形(インサート成形)することで製作される。保持部51の一端には、ねじ等の締結部材52(
図1参照)を挿入するための挿入孔53が形成されている。
【0055】
図8に示すように、保持部51には、それぞれ複数の端子54,55の集合体である二つの端子群が設けられる。一方の端子群の各端子54が延びる方向と、他方の端子群の各端子55が延びる方向とは直交している。一方の端子群に含まれる第一端子54および他方の端子群に含まれる第二端子55は、何れも配線50の端部で形成されている。第一端子54はメイン基板4aに接続され、第二端子55はサブ基板4bに接続される。
図11に示すように、第一端子54は、メイン基板4aの各端子取り付け孔45にモータユニット1の内径側から挿入可能となる位置に配置され、第二端子55は、サブ基板4bの各端子取り付け孔46に軸方向反サブ基板側から挿入可能となる位置に配置される。
【0056】
図8~
図10に示すように、接続部品5の保持部51の周縁部には、後述する第一位置決めピン81と嵌合する第一篏合部56が形成されている。本実施形態の第一篏合部56は、その内周面を円筒面状とし、かつ板状の保持部51の厚さ方向で対向する二面51a、51bにそれぞれ開口した孔として形成されている。第一篏合部56の周方向一部領域に、第一位置決めピン81を第一篏合部56に挿入するための開口部57が形成されている。
【0057】
保持部51のうち、第一端子54が突出する面51aと反対側に面51bには、
図10に示すように、モータユニット1の内径方向と平行な方向に突出する基準凸部58が形成されている。
【0058】
図4に示すように、ハウジング本体60の第二隔壁67には、第一基準孔78、第二基準孔79、および第三基準孔80がそれぞれ形成される。第一基準孔78に第一位置決めピン81が圧入等の手段で固定され、第二基準孔79に第二位置決めピン82が圧入等の手段で固定されている。第一基準孔78および第三基準孔80は、接続部品5とモータユニット1の径方向で重なる位置に設けられる(
図4、
図5参照)。本実施形態において、第一基準孔78と第二基準孔79は、第一基板収容部65を形成する概略矩形枠状の周壁68の対角となる領域に設けられている。なお、
図4中の符号83で示す孔は、メイン基板4aをハウジング本体60に固定するためのねじ孔であり、符号84で示す孔は接続部品5をハウジング本体60に固定する締結部材52(
図1参照)をねじ込むためのねじ孔である。
【0059】
図6に示すように、メイン基板4aには、第一位置決めピン81と嵌合する第二篏合部85と、第二位置決めピン82と嵌合する第三篏合部86とが設けられている。本実施形態において、第二篏合部85および第三篏合部86は、何れもメイン基板4aを、その厚さ方向に貫通する孔として形成されている。
【0060】
接続部品5は、
図4に示すハウジング本体60のモータ収容部64に、バスバー端子保持部43を含むモータ部3を組み込んだ後で、ハウジング本体60に取り付けられる(
図5参照)。この取り付けは、接続部品5の第一篏合部56に第一位置決めピン81を嵌合すると共に、ハウジング本体60の第三基準孔80に接続部品5の基準凸部58を嵌合した上で、接続部品5の保持部51の挿入孔53に挿入した締結部材52(
図1参照)をハウジング本体60のねじ孔84(
図4参照)にねじ込むことで行われる。
図1に示すように、取り付け後の接続部品5は、接続用開口部69を介してハウジング本体60の外部に突出している。
【0061】
その後、第一基板収容部65にメイン基板4aが収容され、第二基板収容部72にサブ基板4bが収容される。
【0062】
メイン基板4aの収容に際しては、メイン基板4aの第二篏合部85に第一位置決めピン81を嵌合させ、第三篏合部86に第二位置決めピン82を嵌合させる。また、接続部品5の第一端子54をメイン基板4aの端子取り付け孔45に挿入し、バスバー端子42aをメイン基板4aのバスバー端子取り付け孔44に挿入する。
【0063】
サブ基板4bの収容に際しては、先ず
図6に示すように、ハウジング本体60の軸方向サブ基板側の開口部に締結部材B2を用いて第二蓋部62を固定する。次いで第二蓋部62の第二基板収容部72内にサブ基板4bを配置する。この際、第二蓋部62に設けられた位置決め突起77を、サブ基板4bの位置決め孔47に挿入する。
【0064】
その後、メイン基板4aの各端子取り付け孔44,45に挿入された各第一端子54および各バスバー端子42aがはんだ付けされる。また、サブ基板4bの各端子取り付け孔46に挿入された各第二端子55がはんだ付けされる。その後、ハウジング本体60にカバー部材90,92(
図1参照)を取り付けることで、第一基板収容部65および第二基板収容部72がそれぞれカバー部材90,92によって閉塞される。
【0065】
以上に説明した本実施形態のモータユニット1は、以下に述べる複数の位置決め構造を備えた点に特色がある。以下、それぞれの位置決め構造を説明する。
【0066】
[第一位置決め構造]
第一位置決め構造は、メイン基板4aと接続部品5を、ハウジング6に設けた第一位置決め基準に対して位置決めする。本実施形態では、
図4~
図6に示すように、ハウジング本体60に設けた第一基準孔78、さらには第一基準孔78に圧入等の手段で固定した第一位置決めピン81が第一位置決め基準として用いられる。第一位置決め基準としての第一位置決めピン81を、接続部品5の第一篏合部56およびメイン基板4aの第二篏合部85にそれぞれ嵌合させることで、メイン基板4aおよび接続部品5がハウジング6に対して共通の第一位置決め基準、すなわち第一位置決めピン81により位置決めされる。なお、第一位置決めピン81は、本実施形態のようにハウジング本体60と別体に形成してハウジング本体60の第一基準孔78に圧入固定する他、ハウジング本体60と一体に形成してもよい。
【0067】
このようにメイン基板4aおよび接続部品5を共通の基準を用いてハウジング6に対して位置決めすることにより、メイン基板4aとハウジング6の間の位置精度、および接続部品5とハウジング6の間の位置精度、だけでなく、メイン基板4aと接続部品5の間の位置精度も高めることができる。このようにメイン基板4aと接続部品5の間の位置精度を高めることにより、メイン基板4aを第一基板収容部65に収容する際に、接続部品5の第一端子54をメイン基板4aの端子取り付け孔45にスムーズに挿入することが可能となる。これにより、モータユニット1の組み立て作業性を向上させることができる。従って、第一端子54と端子取り付け孔45の間の隙間が小さい場合にも、モータユニット1の組み立て作業を自動化することが可能となる。
【0068】
これに対し、メイン基板4aと接続部品5を、別の位置決め基準を用いてハウジング6に対してそれぞれ個別に位置決めした場合(例えばメイン基板4aおよび接続部品5を個別にハウジング本体60にねじ止めした場合)、二つの位置決め基準間の微小な位置ずれ等により、メイン基板4aと接続部品5の間の位置精度が低下する。この場合、接続部品5の第一端子54をメイン基板4aの端子取り付け孔45にスムーズに挿入できないおそれがある。そのため、モータユニット1の組み立て作業を自動化することが困難となる。第一位置決め構造を採用することにより、この問題を解消することができる。
【0069】
〔第二位置決め構造〕
第二位置決め構造は、メイン基板4aを、ハウジング6に設けた第二位置決め基準に対して位置決めする。本実施形態では、
図4~
図6に示すように、ハウジング本体60に設けた第二基準孔79、さらには第二基準孔79に圧入等の手段で固定した第二位置決めピン82が第二位置決め基準として用いられる。第二位置決め基準としての第二位置決めピン82を、メイン基板4aの第三篏合部86に嵌合することで、メイン基板4aがハウジング6に対して位置決めされる。
【0070】
第一位置決め構造に加え、第二位置決め構造を採用することで、メイン基板4aのハウジング6に対する位置決め精度がさらに高まる。そのため、接続部品5の第一端子54をメイン基板4aの端子取り付け孔45によりスムーズに挿入することが可能となる。
【0071】
この場合、第一位置決め構造と第二位置決め構造は、第一位置決め構造および第二位置決め構造によるメイン基板4aの位置決めが、第一端子54およびバスバー端子42aを端子取り付け孔44,45に挿入するよりも前の時点で行われるように設計するのが望ましい。例えば、
図11に示すように、取り付け後のメイン基板4aに対する第一位置決めピン81および第二位置決めピン82の突出幅αを、メイン基板4aに対する第一端子54(およびバスバー端子42a)の突出幅βよりも大きく(α>β)することが考えられる。これにより、第一位置決めピン81および第二位置決めピン82を、メイン基板4aの第二篏合部85および第三篏合部86に挿入し始めた直後から、接続部品5に対するメイン基板4aの位置決めが行われるため、その後はメイン基板4aをそのまま直線的に降ろすだけで、第一端子54およびバスバー端子42aをメイン基板4aの各端子取り付け孔44,45に挿入することが可能となる。これにより、端子取り付け孔44,45に対する第一端子54およびバスバー端子42aの挿入不良をより確実に回避することができる。
【0072】
[第三位置決め構造]
第三位置決め構造は、接続部品5を、第三位置決め基準を用いてハウジング6に対して位置決めする。本実施形態で、ハウジング6に設けた第三基準孔80(
図4参照)を第三位置決め基準として用いる場合を例示している。具体的には、接続部品5の基準凸部58を第三位置決め基準としてのハウジング本体60の第三基準孔80と嵌合させることで、接続部品5がハウジング6に対して位置決めされる。なお、以上の説明とは逆に、ハウジング本体60に第三位置決め基準としての基準凸部を設け、接続部品5に基準凸部と篏合する第三基準孔80を設けても同様の効果が得られる。
【0073】
第一位置決め構造に加え、第三位置決め構造を採用することで、接続部品5の二箇所(第一篏合部56および基準凸部58)がハウジング6に対して位置決めされるため、ハウジング6に対する接続部品5の位置決め精度をさらに高めることができる。これにより、接続部品5をハウジング6に取り付ける際には、第一位置決め構造による接続部品5の位置決めと、第三位置決め構造による接続部品5の位置決めを行った時点で、ハウジング本体60に設けたねじ孔84と、接続部品5に設けた挿入孔53とが位置合わせされた状態になる。そのため、その後、接続部品5の位置合わせを行うことなく、締結部材52を挿入孔53に挿入し、さらにねじ孔84にねじ込むことができ、モータユニット1の組み立て作業性をさらに高めることができる。
【0074】
[第四位置決め構造]
第四位置決め構造は、接続部品5を第四位置決め基準を用いて第二蓋部62に対して位置決めする。本実施形態で、
図7に示すように、第二蓋部62に設けた窓部75の内面を第四位置決め基準として用いる場合を例示している。具体的には、接続部品5を、その断面輪郭に対応させた内面形状を備えた窓部75に嵌合させることで、第二蓋部62に対する接続部品5の位置決めを行っている。
【0075】
第二蓋部62の窓部75の内面全体を接続部品5と嵌合させる必要はなく、窓部75の内面の一部を接続部品5に嵌合させれば足りる。本実施形態では、
図8に示すように、接続部品5のサブ基板4b側の端部の外径側となる領域に凸部59を設け、
図7に示すように、この凸部59と嵌合する凹部75aを窓部75の内面に設けている。凸部59と凹部75aを嵌合させることで、接続部品5が矢印Aの方向で拘束される。また、接続部品5のうち、その厚さ方向に対向する二つの面51a,51bを窓部75の内面に嵌合させており、これによって接続部品5が矢印B方向で拘束される。これにより直交二方向A,Bで接続部品5が窓部75の内面に拘束されるため、第二蓋部62に対して接続部品5の位置決めを行うことができる。
【0076】
このように接続部品5を第二蓋部62に対して位置決めすることで、接続部品5を第二蓋部62に対して精度よく位置決めすることができる。そのため、接続部品5に設けられた第二端子55を、サブ基板4bの取り付け対象である第二蓋部62に対して高精度に位置決めできる。従って、第二蓋部62をハウジング本体60に取り付けた後、サブ基板4bを第二基板収容部72に収容する際にも、接続部品5の第二端子55をサブ基板4bの端子取り付け孔46にスムーズに挿入することが可能となる。
【0077】
[第五位置決め構造]
第五位置決め構造は、第五位置決め基準によりサブ基板4bを第二蓋部62に対して位置決めする。本実施形態で、第二蓋部62に設けた位置決め突起77(
図6、
図7参照)を第五位置決め基準として用いる場合を例示している。具体的には、サブ基板4bを第二基板収容部72に収容する際に、
図6に示すように、サブ基板4bの位置決め孔47に第五位置決め基準としての位置決め突起77を嵌合させることで、サブ基板4bが第二蓋部62に対して位置決めされる。
【0078】
このようにサブ基板4bを第二蓋部62に対して位置決めすることで、基板4bと、端子を保持する部品(接続部品5)とが同一の位置決め基準(第二蓋部62)により位置決めされるため、第二蓋部62をハウジング本体60に取り付けた後、サブ基板4bを第二基板収容部72に収容する際にも、接続部品5の第二端子55をサブ基板4bの端子取り付け孔45にスムーズに挿入することが可能となる。
【0079】
以上に述べた第一位置決め構造~第五位置決め構造を用いることで、接続部品5、メイン基板4a、およびサブ基板4bの相互間で位置決め精度が高まる。そのため、接続部品5の第一端子54および第二端子55と、バスバー端子42aとをメイン基板4aおよびサブ基板4bの各端子取り付け穴44~46にスムーズに挿入することが可能となり、モータユニット1の組み立て作業性が全体的に向上する。
【0080】
[第六位置決め構造]
第六位置決め構造は、バスバー端子保持部43を第六位置決め基準を用いてハウジング6に対して位置決めする。本実施形態では、ハウジング本体60に設けた接続用開口部69の内面を第六位置決め基準として用いる場合を例示している。具体的には、
図2に示すように、バスバー端子保持部43の一方の側面43aを接続用開口部69の内面に接触させることで、バスバー端子保持部43をハウジング本体60に対して位置決めしている。
【0081】
このようにバスバー端子保持部43を第六位置決め基準を用いてハウジング本体60に対して位置決めすることにより、ハウジング本体60に対するバスバー端子保持部43の位置精度を高めることができる。これにより、メイン基板4aを第一基板収容部65に収容する際に、バスバー端子42aをメイン基板4aのバスバー端子取り付け孔44にスムーズに挿入することが可能となり、モータユニット1の組み立て作業性が向上する。
【0082】
以下、以上に説明したモータユニット1の他の実施形態を説明する。
【0083】
[第二実施形態]
図12は、第二実施形態に係る接続部品5をモータユニット1の外径側から見た斜視図である。
【0084】
以上に述べた第一実施形態では、第一位置決め構造を構成する第一位置決めピン81をハウジング6に設けていたが、
図12に示す第二実施形態では、第一位置決めピン81を接続部品5に設けている。この場合、第一位置決めピン81の一端がハウジング6に設けた第一基準孔78(
図4参照)に嵌合もしくは圧入され、他端がメイン基板4aに設けた第二篏合部85(
図6参照)に嵌合される。かかる構成では、ハウジング6に設けられた第一基準孔78が第一位置決め基準となり、ハウジング6に設けた共通の基準で接続部品5およびメイン基板4aの位置決めが行われるので、既に述べた第一実施形態の第一位置決め構造と同様の機能を得ることができる。
【0085】
また、この第二実施形態では、接続部品5に、第三位置決めピン87、第四位置決めピン88、および第五位置決めピン89を設けている。第三位置決めピン87の一端はハウジング本体の第三基準孔80(
図4参照)に篏合もしくは圧入し、第三位置決めピン87の他端はメイン基板4aに別途設けた孔(第四篏合部:図示省略)に篏合する。第四位置決めピン88および第五位置決めピン89は、サブ基板4bに設けた別途設けた二つの孔(第五篏合部および第六篏合部:図示省略)に嵌合する。第四位置決めピン88は、接続部品を第二蓋部62に対して位置決めする凸部59としての役割も有する。
【0086】
[第三実施形態]
図13は、第三実施形態に係るモータユニット1のうち、メイン基板4aの周辺構造を示す軸方向に沿った断面図である。
図13に示す第三実施形態では、第一基板収容部65を覆うカバー部材90に第七篏合部93が設けられる。また、この実施形態では、第二位置決めピン82をモータユニット1の外径方向に延長することにより、第二位置決めピン82を第七篏合部93に嵌合させている。図示は省略するが、第一基準ピン81もモータユニット1の外径方向に延長し、カバー部材90に設けた別の嵌合部(第八嵌合部)に第一位置決めピン81を嵌合させてもよい。以上の構成では、第一位置決めピン81および第二位置決めピン82がメイン基板4aとカバー部材90にそれぞれ篏合する位置決め部材94となる。かかる構成から、カバー部材90をメイン基板4aに対して位置決めすることが可能となる。
【0087】
既に述べたようにカバー部材90には放熱シート91が装着される。上記のようにカバー部材90がメイン基板4aに対して位置決めされることで、電子部品41に対して放熱シート91を配置すべき位置が正確に定まる。そのため、カバー部材90に取り付ける放熱シート91のサイズを最小限に抑えることが可能となる。
【0088】
[第四実施形態]
第一実施形態では、接続部品5に設けた基準凸部58をハウジング6に設けた第三基準孔80に嵌合(隙間嵌め)させている。第四実施形態では、基準凸部58と第三基準孔80との間に締め代を設け、基準凸部58を第三基準孔80に圧入固定している。このように接続部品5をハウジング6に圧入固定することにより、締結部材52(
図1参照)を省略しても接続部品5をハウジング本体60に固定して、接続部品5の位置ずれや振動を防止することができる。これにより、締結部材52のねじ込み工程を省略して、部品点数や組み立て工数を削減し、低コスト化を図ることが可能となる。これに代えて、第一位置決めピン81を接続部品5の第一篏合部56に圧入固定しても同様の効果が得られる。また、基準凸部58を第三基準孔80に圧入し、かつ第一位置決めピン81を第一篏合部56に圧入しても良い。
【0089】
[第五実施形態]
図14は、第五実施形態に係る接続部品5をモータユニット1の外径側から見た斜視図である。
【0090】
図14に示す第五実施形態では、第二実施形態のように接続部品5に何れかの位置決めピン(81、87~89)を設けた場合において、何れかの位置決めピン(例えば第三位置決めピン87)に搬送用治具で把持するための把持部95を設けている。モータユニット1の組み立て工程において、この把持部95を搬送用治具でつかむことで、別途把持部を設けることなく、接続部品5が容易に搬送可能となる。把持部95は、例えば、位置決めピンの対向二面を互いに平行な平面に形成することで形成することができる。
【0091】
以上の説明では、電動オイルポンプに組み込まれたモータユニット1を説明したが、モータユニット1の用途は電動オイルポンプに限られず、他のモータ製品にも本発明のモータユニット1を組み込むことが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 モータユニット
3 モータ部
4a メイン基板(第一基板)
4b サブ基板
5 接続部品
6 ハウジング
42a バスバー端子
43 バスバー端子保持部
51 保持部
54 第一端子
55 第二端子
65 第一基板収容部
78 第一基準孔(第一位置決め基準)
79 第二基準孔(第二位置決め基準)
81 第一位置決めピン(第一位置決め基準)
90 カバー部材
91 放熱シート(放熱部材)
94 位置決め部材
95 把持部