(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007150
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】クレーン用移動経路生成装置、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20240111BHJP
B66C 15/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B66C13/48 C
B66C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108419
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】清水 克哉
(72)【発明者】
【氏名】森田 啓
(72)【発明者】
【氏名】福川 宙季
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA09
3F204CA01
3F204DA04
3F204DB04
3F204DC06
3F204DC08
3F204DE10
(57)【要約】
【課題】本発明は、侵入禁止空間がある場合でも、これを考慮してクレーンの移動経路を生成できるクレーン用移動経路生成装置、該方法および該プログラムを提供する。
【解決手段】本発明のクレーン用移動経路生成装置Dは、所定の対象空間から進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で第1および第2分割空間に分割し、前記第1および第2分割空間の境界での分割面上に所定の分割地点を設定し、前記分割地点を前記目的地点と見なして所定の開始地点から第1分割空間での第1移動経路を生成し、前記分割地点を前記開始地点と見なして予定の目的地点まで第2分割空間での第2移動経路を生成し、これら第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成するクレーン用移動経路生成装置であって、
所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成部と、
所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割部と、
前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成部とを備える、
クレーン用移動経路生成装置。
【請求項2】
前記経路連結生成部は、前記目的地点の3次元座標値のうちの少なくとも1個の座標値と一致するように、前記分割地点を設定する、
請求項1に記載のクレーン用移動経路生成装置。
【請求項3】
前記対象空間は、扉を備え、廃棄物を貯留するピットにおける内部空間であり、
前記ピット内において、前記廃棄物の高さを表す高さデータを取得するデータ取得部と、
前記扉の高さを表す扉高さデータを記憶する記憶部とをさらに備え、
前記経路生成部は、前記廃棄物より上の内部空間を前記移動空間と見なして前記移動経路を生成し、前記扉が開いている場合には、前記データ取得部で取得された高さデータのうち、前記扉によって占有される部分に対応する高さデータを、前記記憶部に記憶されている扉高さデータに置き換えて前記移動経路を生成する、
請求項1または請求項2に記載のクレーン用移動経路生成装置。
【請求項4】
前記対象空間は、隔壁によって仕切ることによって、廃棄物を貯留する2個の第1および第2貯留部を備えるダブルピットにおける内部空間であり、
前記開始地点は、前記第1および第2貯留部のうちの一方の内部空間内にあり、
前記目的地点は、前記第1および第2貯留部のうちの他方の内部空間内にある、
請求項1または請求項2に記載のクレーン用移動経路生成装置。
【請求項5】
コンピュータによって実行され、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成するクレーン用移動経路生成方法であって、
所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成工程と、
所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割工程と、
前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成工程によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成工程によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成工程とを備える、
クレーン用移動経路生成方法。
【請求項6】
3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成するクレーン用移動経路生成プログラムであって、
コンピュータを、
所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成部、
所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割部、および、
前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成部、
として機能させるためのクレーン用移動経路生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンのバケットの移動経路を生成するクレーン用移動経路生成装置、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄された廃棄物は、一般に、ゴミ焼却施設に搬入され、焼却炉で燃焼され、焼却処理される。ゴミ焼却施設へのゴミの搬入では、ゴミは、ゴミ収集車からピットに投入される。そして、焼却では、ピットに貯留されているゴミは、クレーンによって焼却炉に運ばれる。ピットに貯留されているゴミで形成されるゴミ山は、前記投入や、ゴミの種類を均一化するための撹拌、および、前記焼却炉への搬出等により時々刻々と変化するため、移動中にクレーンのバケットをゴミ山に衝突させないために、適切に、クレーンのバケットの移動経路を生成する必要がある。このようなクレーンのバケットの移動経路を生成する技術として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
前記特許文献1に開示されたゴミ処理クレーンのゴミ山クリアランス制御装置は、運動指令の印加により、巻上、横行、走行の各目標位置に基づいて巻上、横行、走行の各運転を行ない、ゴミ貯留槽内のゴミ山管理データを基にゴミ山に衝突しないように移動目標位置に移動制御を行なって、ゴミ貯留槽内ゴミ山からゴミを搬出するようにしたごみ処理クレーンのゴミ山クリアランス制御装置において、前記ごみ処理クレーンの移動開始位置から移動目標位置までの最短の移動距離に基づいて、横行、走行の最短移動時間を算出する最短移動時間算出手段と、横行、走行の各最高速度に基づいて、前記ゴミ処理クレーンの移動開始位置から移動目標位置までの移動領域内で移動時間が前記最短移動時間となるような横行、走行の最適移動領域を算出する最適移動領域算出手段と、前記最適移動領域内のゴミ山管理データによってクリアランス制御演算を行ない、ゴミ処理クレーンがゴミ山に衝突することなくかつその移動時間が前記最短移動時間となるような移動経路を算出する移動経路算出手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ピットには、例えばクレーンを制御するためのオペレータ室等の、クレーンの侵入を禁止する侵入禁止空間がある場合がある。このような場合には、クレーンが前記進入禁止空間に侵入しないように、前記移動経路を生成する必要があるが、前記特許文献1に開示されたゴミ処理クレーンのゴミ山クリアランス制御装置は、このような進入禁止空間を考慮しておらず、適切に、前記移動経路を生成できない虞がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、侵入禁止空間がある場合でも、前記侵入禁止空間を考慮してクレーンの移動経路を生成できるクレーン用移動経路生成装置、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるクレーン用移動経路生成装置は、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成する装置であって、所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成部と、所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割部と、前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成部とを備える。
【0008】
このようなクレーン用移動経路生成装置は、対象空間から進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に分割し、これら第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に分割地点を設定し、前記第1および第2分割空間それぞれで第1および第2移動経路それぞれを生成し、連結する。これによって、上記クレーン用移動経路生成装置は、前記第1および第2移動経路から成り、開始地点から、分割地点を中継し、目的地点までのクレーンの移動経路を生成するので、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面ではクレーンが分割地点を通ることになるので、前記侵入禁止空間がある場合でも、前記侵入禁止空間を考慮してクレーンの移動経路を生成できる。
【0009】
他の一態様では、上述のクレーン用移動経路生成装置において、前記経路連結生成部は、前記目的地点の3次元座標値のうちの少なくとも1個の座標値と一致するように、前記分割地点を設定する。好ましくは、上述のクレーン用移動経路生成装置において、前記経路連結生成部は、前記バケットの横行方向に沿うX軸と、前記バケットの走行方向に沿うY軸と、前記バケットの巻上げ方向に沿うZ軸とを備えるXYZ直交座標系を、前記対象空間に設定した場合に、前記目的地点の3次元座標値のうちの少なくともX座標値と一致するように、前記分割地点を設定する。
【0010】
このようなクレーン用移動経路生成装置は、目的地点の3次元座標値のうちの少なくとも1個の座標値と一致するように分割地点を設定するので、前記一致する座標値を固定して第2移動経路を生成するので、前記第2移動経路をより簡易に生成できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述のクレーン用移動経路生成装置において、前記対象空間は、扉を備え、廃棄物を貯留するピットにおける内部空間であり、前記ピット内において、前記廃棄物の高さを表す高さデータを取得するデータ取得部と、前記扉の高さを表す扉高さデータを記憶する記憶部とをさらに備え、前記経路生成部は、前記廃棄物より上の内部空間を前記移動空間と見なして前記移動経路を生成し、前記扉が開いている場合には、前記データ取得部で取得された高さデータのうち、前記扉によって占有される部分に対応する高さデータを、前記記憶部に記憶されている扉高さデータに置き換えて前記移動経路を生成する。
【0012】
このようなクレーン用移動経路生成装置は、ピットに扉が備えられ、前記扉が開いている場合いでも、クレーンのバケットが前記扉と衝突しないように、クレーンの移動経路を生成できる。
【0013】
他の一態様では、これら上述のクレーン用移動経路生成装置において、前記対象空間は、隔壁によって仕切ることによって、廃棄物を貯留する2個の第1および第2貯留部を備えるダブルピットにおける内部空間であり、前記開始地点は、前記第1および第2貯留部のうちの一方の内部空間内にあり、前記目的地点は、前記第1および第2貯留部のうちの他方の内部空間内にある。
【0014】
このようなクレーン用移動経路生成装置は、隔壁を備えるダブルピットにも適用できる。
【0015】
本発明の他の一態様にかかるクレーン用移動経路生成方法は、コンピュータによって実行され、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成する方法であって、所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成工程と、所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割工程と、前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成工程によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成工程によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成工程とを備える。
【0016】
本発明の他の一態様にかかるクレーン用移動経路生成プログラムは、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成するプログラムであって、コンピュータを、所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成部、所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割部、および、前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成部、として機能させるためのプログラムである。
【0017】
このようなクレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、対象空間から進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に分割し、これら第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に分割地点を設定し、前記第1および第2分割空間それぞれで第1および第2移動経路それぞれを生成し、連結する。これによって、上記クレーン用移動経路生成装置は、前記第1および第2移動経路から成り、開始地点から、分割地点を中継し、目的地点までのクレーンの移動経路を生成するので、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面ではクレーンが分割地点を通ることになるので、前記侵入禁止空間がある場合でも、前記侵入禁止空間を考慮してクレーンの移動経路を生成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるクレーン用移動経路生成装置、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、侵入禁止空間がある場合でも、前記侵入禁止空間を考慮してクレーンの移動経路を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】前記クレーン用移動経路生成装置が組み込まれたゴミ焼却施設におけるピット周りの構成を説明するための図である。
【
図3】進入禁止空間を含む、廃棄物の高さデータの一例を示す図である。
【
図5】前記クレーン用移動経路生成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】前記クレーン用移動経路生成装置の変形形態を説明するための、廃棄物の高さデータの一例を示す図である。
【
図7】前記クレーン用移動経路生成装置の変形形態で生成されるクレーンの移動経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0021】
実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置は、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成する装置である。このクレーン用移動経路生成装置は、所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成部と、所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記進入禁止空間について、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割部と、前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成部によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成部とを備える。以下、このようなクレーン用移動経路生成装置、ならびに、これに実装されたクレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムについて、より具体的に説明する。ここでは、一例として、これらがゴミ焼却施設に利用され、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットにおけるその移動経路が所定の開始地点から所定の目的地点まで生成される所定の対象空間(移動経路生成の対象空間)が、廃棄物を貯留するピットにおける内部空間、より詳しくは、隔壁によって仕切ることによって、廃棄物を貯留する2個の第1および第2貯留部を備えるダブルピットにおける内部空間であって、前記廃棄物より上の内部空間を前記所定の移動空間(バケットの移動可能な移動空間)と見なして前記移動経路を生成する場合について、説明する。なお、実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置における対象空間は、これに限定されるものではなく、クレーンのバケットの移動経路を生成する必要があってクレーンのバケットの侵入を禁止する進入禁止空間を含む空間であれば、任意の空間であってよい。
【0022】
図1は、実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置の構成を示すブロック図である。なお、
図1には、後述する変形形態での構成も破線で図示されている。
図2は、前記クレーン用移動経路生成装置が組み込まれたゴミ焼却施設におけるピット周りの構成を説明するための図である。
図3は、進入禁止空間を含む、廃棄物の高さデータの一例を示す図である。
図4は、クレーンの移動経路の一例を示す図である。
図4Aは、主に、第2移動経路RT2が見え易い方向から見たXYZ直交座標系の対象空間を示し、
図4Bは、主に、第1移動経路RT1が見え易い方向から見たXYZ直交座標系の対象空間を示す。
図3および
図4において、前記XYZ直交座標系は、バケットの横行方向に沿うX軸と、前記バケットの走行方向に沿うY軸と、前記バケットの巻上げ方向に沿うZ軸とを備えて構成されている。
【0023】
実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置Dは、3次元の各方向に移動可能なクレーンのバケットの移動経路を所定の開始地点から所定の目的地点まで生成する装置であり、例えば、
図1に示すように、データ取得部1と、制御処理部2と、入力部3と、表示部4と、インターフェース部(IF部)5と、記憶部6とを備える。
【0024】
このクレーン用移動経路生成装置Dは、例えば、ゴミ焼却施設、より具体的には、前記ゴミ焼却施設のピット周りに配置されたクレーン動作計画装置CPに組み込まれている。クレーン動作計画装置CPは、クレーンの動作計画を作成する装置である。なお、クレーン用移動経路生成装置Dは、後述のクレーン動作制御装置CMに組み込まれてもよく、前記動作計画における開始地点から目的地点までの移動経路を生成してもよく、この場合には入力部3、表示部4およびIF部5を備えなくてもよい。
【0025】
このゴミ焼却施設には、所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄された廃棄物を収集したゴミ収集車から前記廃棄物が投入され、それを貯留するピットWPが備えられている。前記ピットWPは、底面および壁面をコンクリートで形成され天面を開放した略直方体状の空所(凹所)である、いわゆるシングルピットであってよいが、本実施形態では、例えば、
図2に示すように、前記略直方体状の空所(凹所)を隔壁WLによって仕切ることによって、廃棄物を貯留する2個の第1および第2貯留部RP、PPを備えるダブルピットである。この第1貯留部RPは、一壁面を前記隔壁WLとした、底面および壁面をコンクリートで形成され天面を開放した略直方体状の空所(凹所)であり、ゴミ収集車から廃棄物が投入され、前記廃棄物をまず受け入れるピット(受入ピット)である。第2貯留部PPは、一壁面を前記隔壁WLとした、底面および壁面をコンクリートで形成され天面を開放した略直方体状の空所(凹所)であり、第1貯留部RPから廃棄物がクレーンCRによって搬入され、前記廃棄物を図略の焼却炉へ搬出するまで貯留するピット(貯留ピット)である。第1および第2貯留部RP、PPには、例えば、家庭の生ゴミ等を包み入れたゴミ袋、プラスチック、剪定枝、下水の汚泥、および、可燃性の粗大ごみを細かくしたチップの集合体等の様々な種類の廃棄物が貯留される。第1貯留部RPでは、燃焼により生じる熱量を均一化するために、これら各種の廃棄物を混ぜ合わせる撹拌が実施され、また、第2貯留部PPでは、その貯留による時間経過によりその乾燥が実施される。前記隔壁WLは、例えば板状のコンクリートによって固定的に形成されてよく、あるいは例えば立設可能な鋼板等によって仮設的にあるいは固定的に形成されてよい。前記仮設では、クレーンのバケットの移動経路を生成している間(移動経路生成中)には、前記隔壁WLは、少なくとも移動されずに固定される。
【0026】
このピットWPには、図略のクレーンガータに支持され前記クレーンガータから吊り下げされたクレーンCRが備えられている。
図2に示すように、バケットの横行方向に沿うX軸と、前記バケットの走行方向に沿うY軸と、前記バケットの巻上げ方向に沿うZ軸とを備える3次元のXYZ直交座標系を設定した場合、前記クレーンガータは、前記横行方向(X軸の延長方向、紙面左右方向)に沿って延び、クレーンCRは、前記巻き上げ方向(Z軸の延長方向、紙面上下方向)に沿ってバケットBKを移動可能に構成され、前記クレーンCRは、前記クレーンガータに案内されて前記横行方向に沿って移動可能に構成され、前記クレーンガータは、前記走行方向(Y軸の延長方向、紙面前後方向)に延びる、図略のランウェイレールに案内されて前記走行方向に沿って移動可能に構成される。これによってクレーンCRは、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3次元の各方向にバケットCKを移動可能に構成される。第2貯留部PPに隣接して図略の投入ホッパが設けられており、この投入ホッパは、図略の焼却炉に繋がっている。第1貯留部RPに貯留されている廃棄物は、必要に応じてクレーンCRのバケットBKによって掴み上げられたて撹拌され、そして、クレーンCRのバケットBKによって掴み上げられて第1貯留部RPから第2貯留部PPに搬出され、第2貯留部PPに貯留されている廃棄物は、クレーンCRのバケットBKによって掴み上げられたて第2貯留部PPから前記投入ホッパに投入される。これによって廃棄物が焼却炉へ搬出され、前記焼却炉で焼却される。このようなゴミ焼却施設のクレーンCRは、例えば、第1貯留部RPから第2貯留部PPへの廃棄物の移動、第1貯留部RPでの撹拌のための廃棄物の移動、および、前記投入ホッパへの投入のための廃棄物の移動等に用いられる。実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置Dは、このような廃棄物を移動する際における、クレーンCRのバケットBKの移動経路を生成する。
【0027】
このピットWP周りには、上述のクレーン動作計画装置CPおよびクレーンCRの他に、例えば、
図2に示すように、第1および第2距離センサDS1、DS2と、カメラCAと、ゴミ種識別装置DNと、ゴミピット3D計測装置DMと、クレーン動作制御装置CMと、履歴情報DBと、入力部3と、表示部4とを備える。これら入力部3および表示部4は、
図1に示すクレーン用移動経路生成装置Dにおける入力部3および表示部4であり、これらピットWP周りに配置される各装置と兼用されている。
【0028】
第1距離センサDS1は、ゴミピット3D計測装置DMに通信可能に接続され、当該第1距離センサDS1から、ピットWPの第1貯留部RPに貯留されている廃棄物の表面までの距離を、前記表面における複数の各点に対し、測定する装置であり、これら測定した各点の各距離をゴミピット3D計測装置DMへ送信(出力)する。第1距離センサDS1は、第1貯留部RPに貯留されている廃棄物を上方(例えば直上や斜め上方等)から俯瞰できるように、第1貯留部RPの天面から所定の高さ(第1高さ)の位置(第1配設位置)に固定的に配設される。
【0029】
第2距離センサDS2は、ゴミピット3D計測装置DMに通信可能に接続され、当該第2距離センサDS2から、ピットWPの第2貯留部PPに貯留されている廃棄物の表面までの距離を、前記表面における複数の各点に対し、測定する装置であり、これら測定した各点の各距離をゴミピット3D計測装置DMへ送信(出力)する。第2距離センサD21は、第2貯留部PPに貯留されている廃棄物を上方(例えば直上や斜め上方等)から俯瞰できるように、第2貯留部PPの天面から所定の高さ(第2高さ)の位置(第2配設位置)に固定的に配設される。
【0030】
これら第1および第2距離センサDS1、DS2は、それぞれ、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging、3次元レーザスキャナ)や、ステレオカメラ式測距計等であり、前記廃棄物の表面における各点の3次元点群データを生成する。前記3次元点群データによって前記廃棄物の表面の形状が表される。
【0031】
ゴミピット3D計測装置DMは、第1距離センサDS1の測定結果に基づいて、第1貯留部RP内において、前記廃棄物の高さを表す高さデータ(第1高さデータ)を求め、第2距離センサDS2の測定結果に基づいて、第2貯留部PP内において、前記廃棄物の高さを表す高さデータ(第2高さデータ)を求める装置である。これによってピットWP内において、前記廃棄物の高さを表す高さデータ(=第1高さデータ+第2高さデータ)が求められる。より具体的には、第1距離センサDS1の測定結果は、第1距離センサDS1の第1配設位置を座標原点とするローカル座標系(第1ローカル座標系)で表されているので、ゴミピット3D計測装置DMは、第1距離センサDS1のいわゆるカメラパラメータ等に基づく公知の常套手段によって、第1ローカル座標系で表された第1距離センサDS1の測定結果を、XYZ直交座標系(ワールド座標系)の座標値へ変換することによって、3次元点群データで表される第1高さデータを求める。第1距離センサDS1のカメラパラメータには、例えば、XYZ直交座標系での第1配設位置および第1距離センサDS1の光軸方向(第1距離センサDS1の姿勢)等が含まれる。第1配設位置のZ座標の値は、第1貯留部RPの底面から天面までの長さ(第1貯留部RPの深さ)に第1高さを加算することによって求められる。同様に、第2距離センサDS2の測定結果は、第2距離センサDS2の第2配設位置を座標原点とするローカル座標系(第2ローカル座標系)で表されているので、ゴミピット3D計測装置DMは、第2距離センサDS2のいわゆるカメラパラメータ等に基づく公知の常套手段によって、第2ローカル座標系で表された第2距離センサDS2の測定結果を、XYZ直交座標系(ワールド座標系)の座標値へ変換することによって、3次元点群データで表される第2高さデータを求める。第2距離センサDS2のカメラパラメータには、例えば、XYZ直交座標系での第2配設位置および第2距離センサDS2の光軸方向(第2距離センサDS2の姿勢)等が含まれる。第2配設位置のZ座標の値は、第2貯留部PPの底面から天面までの長さ(第2貯留部PPの深さ)に第2高さを加算することによって求められる。
【0032】
ゴミピット3D計測装置DMは、前記廃棄物の高さを表す高さデータ(=第1高さデータ+第2高さデータ)を表す情報(ゴミ高さ情報)をクレーン動作計画装置CPへ送信(出力)する。
【0033】
カメラCAは、ゴミ種識別装置DNに通信可能に接続され、ピットWPの第2貯留部PPに貯留されている廃棄物を撮像し、前記廃棄物の画像を生成する装置であり、この生成した廃棄物の画像をゴミ種識別装置DNへ送信(出力)する。カメラCAは、第2貯留部PPに貯留されている廃棄物を上方(例えば直上や斜め上方等)から俯瞰できるように、第2貯留部PPの天面から所定の高さ(第3高さ)の位置(第3配設位置)に固定的に配設される。このため、前記廃棄物の画像は、廃棄物を上方から俯瞰した画像となる。
【0034】
ゴミ種識別装置DNは、カメラCAで生成した廃棄物の画像に基づいて前記廃棄物に含まれる廃棄物の種類およびその占有率を求め、廃棄物の種類の観点から、廃棄物の撹拌の程度を表す撹拌度を求める装置である。ゴミ種識別装置DNは、この求めた撹拌度を表す情報(撹拌度情報)をクレーン動作計画装置CPへ送信(出力)する。ここで、クレーン動作計画装置CPに組み込まれたクレーン用移動経路生成装置Dは、この撹拌度情報を経路生成に用いないので、ゴミ種識別装置DNにおける前記廃棄別の種類およびその占有率の求め方、ならびに、撹拌度の求め方の詳細は、省略する。
【0035】
これらゴミピット3D計測装置DMおよびゴミ種識別装置DNは、クレーン動作計画装置CP(クレーン用移動経路生成装置Dを含む)の上位システムS1を構成する。
【0036】
クレーン動作計画装置CPは、クレーン動作制御装置CMに通信可能に接続され、ゴミピット3D計測装置DMから受信(入力)されたゴミ高さ情報、および、ゴミ種識別装置DNから受信(入力)された撹拌度情報に基づいてクレーンの動作計画を作成し、この作成したクレーンの動作計画に基づいてクレーンの操作指令をクレーン動作制御装置CMへ送信(出力)する。前記クレーンの動作計画には、クレーンの動作開始を基準に、所定の時間間隔で時系列に並ぶ各動作タイミングと、各動作タイミングでのバケットBKの各位置とが含まれ、クレーン動作計画装置CPは、各動作タイミングごとに、当該動作タイミングでのバケットBKの位置が前記操作指令としてクレーン動作制御装置CMへ送信される。なお、前記クレーンの動作計画全体が一括であるいは複数に分割されて各部分ごとに、前記操作指令としてクレーン動作制御装置CMへ送信されてもよい。このクレーンの動作計画の作成には、クレーン用移動経路生成装置Dで後述のように生成されたクレーンのバケットの移動経路が用いられる。
【0037】
クレーン動作制御装置CMは、クレーンCRに通信可能に接続され、クレーン動作計画装置CPから受信(入力)された操作指令に従ってクレーンCRが動作するように、操作信号を生成してクレーンCRに送信(出力)し、クレーンCRの動作を制御する装置である。
【0038】
履歴情報データベースDBは、クレーン動作計画装置CPおよびクレーン動作制御装置CMそれぞれに通信可能に接続され、クレーンの動作の履歴を表す情報(クレーン動作履歴情報)を記憶する装置である。前記クレーン動作履歴情報には、クレーンの動作開始日時、その際の移動経路およびその際の付加情報(例えばその際のゴミ山の高さデータや、撹拌や積み替え等の動作内容や、廃棄物の重量等)等が含まれる。
【0039】
これらクレーン動作制御装置CMおよび居歴情報データベースDBは、クレーン制御システムS2を構成する。
【0040】
図1に戻って、クレーン用移動経路生成装置Dにおけるデータ取得部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、ピットWP内において、廃棄物の高さを表す高さデータを取得する装置である。本実施形態では、データ取得部1は、上位システムS1のゴミピット3D計測装置DMから、前記高さデータを表すゴミ高さ情報を取得する。データ取得部1は、この取得したゴミ高さ情報で表された高さデータを記憶部6に記憶する。このような場合では、データ取得部1は、後述のIF部5と兼用されてよい。
【0041】
なお、上述のように、本実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置Dは、高さデータを、上位システムS1のゴミピット3D計測装置DMから間接的に取得したが、第1および第2距離センサDS1、DS2それぞれに通信可能に接続され、これら第1および第2距離センサDS1、DS2から各測定結果を直接的に取得し、第1および第2ローカル座標系で表された第1および第2距離センサDS1、DS2の各測定結果それぞれを、XYZ直交座標系(ワールド座標系)の座標値へ変換することによって、3次元点群データで表される第1および第2高さデータ(すなわち、前記高さデータ)を求めてもよい。この場合において、ローカル座標系からワールド座標系への変換は、第1および第2距離センサDS1、DS2それぞれが実施し、第1および第2距離センサDS1、DS2は、第1および第2高さデータ(すなわち、前記高さデータ)を出力するように構成されてもよい。なお、このような場合では、第1および第2高さデータを出力する第1および第2距離センサDS1、DS2がデータ取得部1であってよい。
【0042】
なお、例えば、クレーンCRの動作をシミュレーションするために、データ取得部1は、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路であってよく、この場合では、前記外部の機器は、前記高さデータを記憶した記憶媒体である。前記記憶媒体は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリおよびSDカード(登録商標)等である。あるいは、例えば、データ取得部1は、前記高さデータを記録した記録媒体からデータを読み込むドライブ装置であってよく、この場合では、前記記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)およびDVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)等である。あるいは、例えば、データ取得部1は、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってよく、この場合では、前記外部の機器は、ネットワーク(WAN(Wide Area Network、公衆通信網を含む)やLAN(Local Area Network)等)を介して前記通信インターフェース回路に接続され前記高さデータを管理するサーバ装置である。データ取得部1が上述のインターフェース回路や通信インターフェース回路である場合では、データ取得部1は、後述のIF部5と兼用されてよい。
【0043】
入力部3は、制御処理部2に接続され、例えば、移動経路の生成開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、ゴミ焼却施設名や、進入禁止空間を表す進入禁止空間データや、隔壁を表す隔壁データや、生成日時等のクレーン用移動経路生成装置Dを動作させる上で必要な各種データをクレーン用移動経路生成装置Dに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチや、キーボードや、マウス等である。表示部4は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部3から入力されたコマンドやデータ、および、生成した移動経路等を表示する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0044】
なお、入力部3および表示部4からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部3は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置である。このタッチパネルでは、表示部4の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、表示部4に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容としてクレーン用移動経路生成装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易いクレーン用移動経路生成装置Dが提供される。
【0045】
IF部5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部5は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0046】
記憶部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、クレーン用移動経路生成装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成する経路生成プログラムや、所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する空間分割プログラムや、前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成プログラムによって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成プログラムによって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する経路連結生成プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、進入禁止空間データ、隔壁データ、ゴミ焼却施設名や、その取得した高さデータや、その生成した移動経路や、その生成日時等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部6は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部6は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部6は、比較的大容量となる学習データを記憶するために、大容量を記憶可能なハードディスク装置を備えてもよい。前記進入禁止空間データは、進入禁止空間が表されていれば、任意の形式のデータであってよいが、例えば、進入禁止空間の境界面を表す境界データであり、例えば前記進入禁止空間が多面体である場合には、前記多面体の各頂点の座標のデータである。前記各頂点の座標は、好ましくはXYZ直交座標系での座標値で表される。前記隔壁データも同様に隔壁WLが表されていれば、任意の形式のデータであってよいが、例えば、隔壁WLの外表面を表す外輪郭データであり、例えば隔壁WLが板状体である場合には、前記板状体における8個の各頂点の座標のデータである。前記各頂点の座標は、好ましくはXYZ直交座標系での座標値で表される。
【0047】
そして、記憶部6は、前記高さデータを記憶するゴミ高さ記憶部61を機能的に備える。前記高さデータは、ゴミ山の表面における各点それぞれについて、XYZ直交座標系におけるX、Y、Zの各座標値(x、y、z)で表される。
【0048】
制御処理部2は、クレーン用移動経路生成装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、クレーンのバケットの移動経路を生成するための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、経路生成部22、空間分割部23および経路連結生成部24が機能的に構成される。
【0049】
制御部21は、クレーン用移動経路生成装置Dの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、クレーン用移動経路生成装置D全体の制御を司るものである。
【0050】
経路生成部22は、所定の移動空間での前記移動経路を所定の移動経路生成アルゴリズムによって生成するものである。前記移動経路生成アルゴリズムは、例えば、前記特許文献1に開示されたアルゴロズムであってよく、例えば、特許第6853718号公報(特開2018-172208号公報)等に開示された他のアルゴリズムであってよい。
【0051】
前記特許文献1には、上述の手法が開示されているが、より具体的には、まず、横行方向および走行方向のうち、移動方向の長い方向(例えば走行方向)の速度をその最高速度で一定にし、移動方向の短い方向(例えば横行方向)の速度を0からその最高速度になるまで変化させることで生成できる移動経路の領域が横行・走行の最大移動領域(その第2図の斜線領域)として求められる(前記特許文献1における第3頁右上欄6行ないし同頁左下欄15行、第2図)。一方、巻き上げでは、出発点Aから目的点Bへの方向で、巻き上げ、横行および走行を最高速度にてクレーンを運転した場合におけるゴミ山頂点を見る最大仰角が求められ、出発点Aから、前記最大仰角で前記ゴミ山頂点が見える高さ位置Eまで横行および走行せずに巻き上げが行われ、前記高さ位置Eになると、前記ゴミ山頂点まで各最高速度で巻き上げ、横行および走行が行われる。巻き下げでは、目的点Bから出発点Aへの方向で、巻き下げ、横行および走行を最高速度にてクレーンを運転した場合におけるゴミ山頂点を見る最大仰角が求められ、前記最大仰角で前記ゴミ山頂点が見える高さ位置Hまで各最高速度で巻き下げ、横行および走行が行われ、前記高さ位置Hになると、目的点Bまで、横行および走行せずに巻き下げが行われる(前記特許文献1における第3頁左下欄16行ないし第4頁左上欄15行、第5図)。そして、このような巻き上げおよび巻き下げを、横行・走行の最大移動領域内で行うことで、移動経路が求められる(前記特許文献1における第4頁左上欄16行ないし同頁右上欄10行)。なお、巻き上げの際のゴミ山頂点と、巻き下げの際のゴミ山頂点との間に、他のゴミ山頂点がある場合には、巻き上げの際のゴミ山頂点に到達後、巻き上げおよび巻き下げせずに、巻き下げを始めるまで、横行および走行が行われる。
【0052】
前記特許第6853718号公報には、ゴミピット内の空間が単位ブロックに区分けされ、障害物が存在する可能性の、高さが所定の閾値以上である単位ブロックを避けて、出発点から目的点までのクレーンの通過経路を生成する手法が開示されている。より具体的には、前記特許第6853718号公報には、出発点から目的点までの間で障害物の無い範囲において、前記出発点からの距離分布と勾配分布とが作成され、これらに基づき、例えば最短経路等の所定の条件を考慮して特定した最適経路が前記クレーンの通過経路とされる(例えば前記特許第6853718号公報における[0051]段落ないし[0059]段落および
図9参照)。
【0053】
経路生成部22は、本実施形態では、ピットWP内において、廃棄物より上の内部空間を前記所定の移動空間と見なして前記移動経路を生成する。
【0054】
空間分割部23は、所定の対象空間に所定の進入禁止空間がある場合に、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割するものである。
【0055】
前記所定の対象空間は、例えば、本実施形態では、
図2を用いて上述したように、隔壁WLによって仕切ることによって、廃棄物を貯留する2個の第1および第2貯留部RP、PPを備えるダブルピットにおける内部空間である。このダブルピットにおける内部空間には、例えば、
図3に示すように、クレーンCRのバケットBKの侵入を禁止する2個の第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2がある。ピットWPには、通常、クレーンCRを操作するためのオペレータ室が設けられている。このオペレータ室は、一般に、クレーンCRを操作するオペレータがバケットBKを容易に視認できるように、ピットWP内の上方にせり出している(突き出ている)。進入禁止空間ZNは、このオペレータ室とバケットBKとの接触や衝突を回避するために設けられるものであり、進入禁止空間ZNは、このオペレータ室を含むように設定される。
図3に示す例では、一例として、第1貯留部EPは、直方体形状であり、第1進入禁止区間ZN1は、この第1貯留部RPの上方に、第1貯留部RPのZX平面を一側面として直方体形状で設定されている。一例として、第2貯留部PPは、直方体形状であり、第2進入禁止区間ZN1は、この第2貯留部PPの上方に、第2貯留部PPのZX平面を一側面として直方体形状で設定されている。なお、隔壁WLは、この
図3に示す例では、直方体形状の板状体である。また、廃棄物は、
図3では、略直法廷形状のブロックDUで表されている。後述の
図4、
図6および
図7でも廃棄物は、ブロックDUで表されている。
【0056】
前記残余空間は、
図3に示す例では、第1貯留部RPの内部空間から第1進入禁止空間ZN1を除くと共に、第2貯留部PPの内部空間から第2進入禁止空間ZN2を除いた空間である((残余空間)=((第1貯留部RPの内部空間)-(第1進入禁止空間ZN1))+((第2貯留部PPの内部空間)-(第2進入禁止空間ZN2))=(((第1貯留部RPの内部空間)+((第2貯留部PPの内部空間))-((第1進入禁止空間ZN1)+(第2進入禁止空間ZN2)))。なお、隔壁WLは、ピットWPの内部空間ではないので、この残余空間から除かれる。
【0057】
そして、空間分割部23は、この残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する。前記進入禁止空間の境界面を含む分割面は、論理上、進入禁止空間を構成する境界面の個数に等しい個数だけあるが、進入禁止空間を構成する境界面に互いに平行な面があると、前記境界面は、縮退し、ピットWPの内壁面に重なる面および隔壁WLがある場合に前記隔壁WLの表面に重なる面が前記境界面から除かれる。これらのために、前記境界面は、その個数が減少する。
図3に示す例では、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2は、各底面(-Z軸方向に臨む面)、各上面(+Z軸方向に臨む面)、各背面(-Y軸方向に臨む面)および各前面(+Y軸方向に臨む面)が互いに同一面である直方体形状であるので、前記分割面は、XY平面に平行な境界面を含む分割面(第1分割面)、YZ平面に平行な境界面を含む分割面(第2分割面)およびZX平面に平行な境界面を含む分割面(第3分割面)の3個に縮退している。そして、YZ平面に平行な第2分割面は、ピットWPの内壁面および隔壁WLの表面のいずれかに重なるため、除かれる。このため、
図3に示す例では、前記分割面は、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2の各底面を含むXY平面に平行な第1分割面、および、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2の各前面を含むZX平面に平行な第3分割面の2個である。前記開始地点および前記目的地点の各位置にも依存するが、これら第1および第3分割面のうちのいずれかが第1および第2分割空間に分割する際の分割面として採用することができる。ここで、移動経路の生成では、バケットBKがゴミ山に衝突しないようにゴミ山の高さが考慮されるため、移動経路を容易に生成するために、高さ方向(Z軸方向)でゴミ山が、分割された第1および第2分割空間に含まれないように、分割面が設定されることが好ましい。このため、
図3に示す例では、
図4に示すように、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2の各前面を含むZX平面に平行な第3分割面SFが分割面SFとして用いられる。
図4に示す例では、一例として、開始地点STは、第1貯留部RP内における進入禁止空間ZN1から離れた位置に設定され、目的地点EDは、第2貯留部PP内における第2進入禁止空間ZN2の下方の位置に設定されている。このため、この
図3および
図4に示す例では、空間分割部23は、前記残余空間を、前記第3分割面SFで2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に開始地点STを含むと共に前記第2分割空間に目的地点EDを含むように、分割する。
図3および
図4に示す例では、前記第1分割空間は、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2から見て、第3分割面SFよりY軸方向で前方の空間となり、前記第2分割空間は、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2から見て、第3分割面SFよりY軸方向で手前の空間(すなわち、第1および第2進入禁止空間ZN1、ZN2の各底面下の空間)となる。
【0058】
図1に戻って、経路連結生成部24は、前記第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に、所定の分割地点を設定し、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記目的地点と見なして前記経路生成部22によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成し、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点を前記開始地点と見なして前記経路生成部22によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成し、前記生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する。
【0059】
本実施形態では、経路連結生成部24は、前記目的地点の3次元座標値のうちの少なくとも1個の座標値と一致するように、前記分割地点を設定する。例えば、経路連結生成部24は、前記目的地点の3次元座標値のうちの少なくともX座標値と一致するように、前記分割地点を設定する。
図3および
図4に示す例では、経路連結生成部24は、第1および第2分割空間の境界での第3分割面SF上に、目的地点EDのX座標値と一致するように、分割地点SPを設定する。この分割地点SPは、移動経路を進入禁止空間ZN内に入らないように生成することから、もちろん、第3分割面SFのうち、進入禁止空間ZNの境界面を除く面内で設定される。前記第1および第2分割空間の境界での第3分割面SFとは、第3分割面SFのうち、進入禁止空間ZNの境界面を除く面と理解される。そして、進入禁止空間ZNに含まれるオペレータ室へのバケットBKの衝突を回避するために、分割地点SPは、進入禁止空間ZNから離れる方向に、前記侵入禁止空間ZNから所定のマージンを空けて設定されることが好ましい。前記所定のマージンは、バケットBKのサイズおよび移動後の停止による揺れ等を考慮して適宜に設定される。分割地点SPのY座標値は、第3分割面SPのY座標値で規定される。したがって、分割地点SFは、(目的地点EDのX座標値、第3分割面SFのY座標値、進入禁止空間からマージンを空けたZ座標値)となる。
【0060】
経路連結生成部24は、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点SPを前記目的地点と見なして前記経路生成部22によって前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路として生成する。これにより、
図3および
図4に示す例では、開始地点STから分割地点SPまでの第1移動経路RT1が生成される。隔壁WLが存在する場合でも、クレーンのバケットが前記隔壁WLと衝突しないように、隔壁WLを乗り越える適切な第1移動経路RT1が生成される。経路連結生成部24は、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点SPを前記開始地点と見なして前記経路生成部22によって前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路として生成する。これにより、
図3および
図4に示す例では、分割地点SPから目的地点EDまでの第2移動経路RT2が生成される。そして、経路連結生成部24は、これら生成した第1および第2移動経路RT1、RT2を前記分割地点SPで連結することによって、前記残余空間での移動経路RT1+RT2を生成する。この残余空間での移動経路RT1+RT2には、開始地点STの座標値、この開始地点STを基準時間0とした所定の時間間隔での各タイミング、前記各タイミングでのバケットBKの各位置、および、目的地点EDの座標値、ならびに、分割地点SPの座標値が含まれる。
【0061】
これらデータ取得部1、制御処理部2、入力部3、表示部4、IF部5および記憶部6は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。なお、
図2に示す例では、これら各部1~6を構成するコンピュータは、例えば、ピットWPのオペレーション室に配置され、そのコンソールに組み込まれてよく(前記コンソールと兼用されてよく)、あるいは、前記コンソールと別体であってもよい。
【0062】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図5は、前記クレーン用移動経路生成装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図5には、後述する変形形態での構成も破線で図示されている。
【0063】
このような構成のクレーン用移動経路生成装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21、経路生成部22、空間分割部23および経路連結生成部24が機能的に構成される。
【0064】
図5において、まず、クレーン用移動経路生成装置Dは、制御処理部2の制御部21によって、クレーンCRのバケットBKの移動経路を生成するために必要な所定のデータを取得する(S1)。前記所定のデータには、ピットWP内において、廃棄物の高さを表す高さデータ、今回の移動での出発地点である開始地点、および、前記今回の移動での終着地点である目的地点等が含まれる。この高さデータは、上述したように、当該高さデータを表すゴミ高さ情報を、上位システムS1のゴミピット3D計測装置DMからデータ取得部1を介して取得することによって、取得される。なお、ピットWPにおける隔壁WLの形状を表す隔壁データは、上述のように、記憶部6に予め記憶されたが、例えば第1および第2距離センサDS1、DS2の各測定結果から求められ、前記高さデータに含まれてもよい。これら開始地点および目的地点は、例えば、オペレータ(ユーザ)によって入力部3から入力される。例えば、オペレータが開始地点および目的地点の各XYZ座標値を入力部3から入力することでクレーン用移動経路生成装置Dに入力される。あるいは例えば、
図3に示すような、ピットWP内を表示する表示画面が表示部4に表示され、オペレータが例えばマウスでマウスカーソルを、開始地点として指定したい前記表示画面の画素位置に合わせ、右クリックすることで前記画素位置の持つXYZ座標値が開始地点のXYZ座標値としてクレーン用移動経路生成装置Dに入力され、そして、この開始地点の入力後、オペレータが例えばマウスでマウスカーソルを、目的地点として指定したい前記表示画面の画素位置に合わせ、右クリックすることで前記画素位置の持つXYZ座標値が目的地点のXYZ座標値としてクレーン用移動経路生成装置Dに入力される。これによって例えば
図4に示す開始地点STおよび目的地点EDがクレーン用移動経路生成装置Dに入力される。
【0065】
続いて、クレーン用移動経路生成装置Dは、制御処理部2の空間分割部23によって、前記対象空間から前記進入禁止空間を除いた残余空間を、前記割面で2個の第1および第2分割空間に、前記第1分割空間内に前記開始地点を含むと共に前記第2分割空間内に前記目的地点を含むように、分割する(S2)。
図3および
図4に示す例では、上述のしたように第3分割面SFで分割が実施される。
【0066】
続いて、クレーン用移動経路生成装置Dは、制御処理部2の経路連結生成部24によって、第1および第2移動経路を生成する(S3)。より具体的には、経路連結生成部24は、まず、経路連結生成部24は、前記目的地点の3次元座標値のうちの少なくとも1個の座標値と一致するように、前記分割地点を設定する。
図3および
図4に示す例では、上述のしたように、経路連結生成部24は、第3分割面SF上に、目的地点EDのX座標値と一致するように、分割地点SPを設定する。次に、経路連結生成部24は、前記第1分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点SPを前記目的地点と見なして前記経路生成部22によって前記開始地点STから前記分割地点SPまでの前記移動経路を第1分割空間での第1移動経路RT1として生成する。経路連結生成部24は、前記第2分割空間を前記移動空間と見なすと共に前記分割地点SPを前記開始地点と見なして前記経路生成部22によって前記分割地点SPから前記目的地点EDまでの前記移動経路を第2分割空間での第2移動経路RT2として生成する。
【0067】
続いて、クレーン用移動経路生成装置Dは、経路連結生成部24によって、処理S3で生成した第1および第2移動経路を前記分割地点で連結することによって、前記残余空間での移動経路を生成する(S4)。これによって
図3および
図4に示す例では、前記残余空間での移動経路RT1+RT2が生成される。
【0068】
そして、クレーン用移動経路生成装置Dは、制御部21によって、処理S4で生成した前記残余空間での移動経路を表示部4に表示し(S5)、本処理を終了する。
【0069】
以上説明したように、実施形態におけるクレーン用移動経路生成装置Dならびにこれに実装されたクレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、対象空間から進入禁止空間を除いた残余空間を、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面で2個の第1および第2分割空間に分割し、これら第1および第2分割空間の境界での前記分割面上に分割地点を設定し、前記第1および第2分割空間それぞれで第1および第2移動経路それぞれを生成し、連結する。これによって、上記クレーン用移動経路生成装置D、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、前記第1および第2移動経路から成り、開始地点から、分割地点を中継し、目的地点までのクレーンの移動経路を生成するので、前記進入禁止空間の境界面を含む分割面ではクレーンが分割地点を通ることになるので、前記侵入禁止空間がある場合でも、前記侵入禁止空間を考慮してクレーンの移動経路を生成できる。
【0070】
上記クレーン用移動経路生成装置D、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、目的地点の3次元座標値のうちの少なくとも1個の座標値と一致するように分割地点を設定するので、前記一致する座標値を固定して第2移動経路を生成するので、前記第2移動経路をより簡易に生成できる。
【0071】
上記クレーン用移動経路生成装置D、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、上述のように、隔壁WLを備えるダブルピットWPにも適用できる。
【0072】
なお、上述の実施形態において、その内部空間を前記対象空間とするピットWPは、扉を備えていてもよい。このような場合でも、次のように構成することにより、クレーン用移動経路生成装置Dは、移動経路を生成できる。
【0073】
図6は、前記クレーン用移動経路生成装置の変形形態を説明するための、廃棄物の高さデータの一例を示す図である。
図7は、前記クレーン用移動経路生成装置の変形形態で生成されるクレーンの移動経路の一例を示す図である。
【0074】
このような場合では、クレーン用移動経路生成装置Dの記憶部6は、
図1に破線で示すように、前記扉の高さを表す扉高さデータを記憶する扉高さ記憶部62をさらに機能的に備える。そして、クレーン用移動経路生成装置Dの経路生成部22は、前記廃棄物より上の内部空間を前記移動空間と見なして前記移動経路を生成し、前記扉が開いている場合には、前記データ取得部1で取得された高さデータのうち、前記扉によって占有される部分に対応する高さデータを、前記記憶部6の扉高さ記憶部62に記憶されている扉高さデータに置き換えて前記移動経路を生成する。
【0075】
一例では、扉高さ記憶部62には、8頂点の座標値で表された、直方体形状である扉高さデータが予め記憶される。例えば、
図3に示すような、データ取得部1で取得した高さデータの廃棄物がピットWPに貯留している場合に、扉が開くと、移動経路を生成する場合に、経路生成部22は、前記データ取得部1で取得された
図3に示す高さデータのうち、前記扉によって占有される部分DRに対応する高さデータを、
図6に示すように、前記扉高さ記憶部62に記憶されている扉高さデータに置き換えて前記移動経路を生成する。これにより、経路生成部22は、開いた扉部分DRをゴミ山の一部と見なし、
図7に示すように、開始地点STから、前記ゴミ山と見なした、開いた扉部分を乗り越えて目的地点EDに到達する移動経路RT3を生成する。前記扉の開閉は、例えば、前記扉の開閉を検知する、機械式や光学式等の開閉センサを備え、前記開閉センサの検知結果が上位システムS1を介してクレーン動作計画装置CPに受信(入力)され、クレーン用移動経路生成装置Dに取得される。なお、前記扉が閉まった場合には、前記置き換えた扉高さデータが除去され、経路生成部22は、元の高さデータで移動経路を生成する。
【0076】
このようなクレーン用移動経路生成装置D、クレーン用移動経路生成方法およびクレーン用移動経路生成プログラムは、ピットWPに扉が備えられ、前記扉が開いている場合いでも、クレーンのバケットが前記扉と衝突しないように、クレーンの移動経路を生成できる。
【0077】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0078】
D クレーン用移動経路生成装置
DS1、DS2 距離センサ
CR クレーン
BK バケット
WP ピット
RP 第1貯留部
PP 第2貯留部
WL 隔壁
1 データ取得部
2 制御処理部
3 入力部
4 表示部
5 インターフェース部(IF部)
6 記憶部
21 制御部
22 経路生成部
23 空間分割部
24 経路連結生成部
61 ゴミ高さ記憶部
62 扉高さ記憶部