(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071565
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】液体吐出装置およびそれを備える画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 303
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049312
(22)【出願日】2024-03-26
(62)【分割の表示】P 2020049387の分割
【原出願日】2020-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野田 真裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦
(57)【要約】
【課題】ノズル列端部における酸素阻害を抑制することができる液体吐出装置およびそれを備える画像記録装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、副走査方向に並設された複数のノズルを含むノズル列を主走査方向に少なくとも1列有し、主走査方向に移動する吐出ヘッドと、副走査方向に並設された複数の発光ダイオードチップを含むチップ列を主走査方向に少なくとも1列有し、主走査方向に移動する紫外線照射装置とを備え、少なくとも1つのチップ列において、副走査方向の端部における副走査方向の単位長さあたりの発光ダイオードチップの数であるチップ密度が、副走査方向の中央部におけるチップ密度よりも高く、端部の照度が中央部における照度よりも高く、且つ、ノズル列の端部であるノズル端に位置するノズルよりも副走査方向の外側に位置する少なくとも1つの発光ダイオードチップが含まれる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物に吐出した紫外線硬化型のインクを紫外線により硬化させる液体吐出装置であって、
副走査方向に並設された複数のノズルを含むノズル列を前記副走査方向に直交する方向である主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する吐出ヘッドと、
前記副走査方向に並設された複数の発光ダイオードチップを含むチップ列を前記主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する紫外線照射装置と、を備え、
少なくとも1つの前記チップ列において、
前記端部の照度が前記中央部における照度よりも高く、且つ、
前記ノズル列の端部であるノズル端に位置する前記ノズルよりも前記副走査方向の外側に位置する少なくとも1つの前記発光ダイオードチップが含まれ、
前記副走査方向において前記ノズル端に最も近い前記発光ダイオードチップである端部発光ダイオードチップと、当該端部発光ダイオードチップに対して前記副走査方向の外側および内側のうち少なくとも一つの側に隣り合う前記発光ダイオードチップとの配置ピッチである端部配置ピッチは、前記端部発光ダイオードチップの前記内側に位置する前記発光ダイオードチップと当該発光ダイオードチップのさらに前記内側に位置する前記発光ダイオードチップとの配列ピッチである隣接配置ピッチよりも小さく、
前記端部発光ダイオードチップを基準に前記副走査方向の外側に2つの前記発光ダイオードチップが配置されており、当該2つの発光ダイオードチップのうちの一方の前記発光ダイオードチップと他方の前記発光ダイオードチップとの配列ピッチは前記端部配置ピッチと同じである、液体吐出装置。
【請求項2】
前記チップ列は、前記副走査方向において前記ノズル端の位置と同じ位置に配置された前記発光ダイオードチップを含む、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
被印刷物に吐出した紫外線硬化型のインクを紫外線により硬化させる液体吐出装置であって、
副走査方向に並設された複数のノズルを含むノズル列を前記副走査方向に直交する方向である主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する吐出ヘッドと、
前記副走査方向に並設された複数の発光ダイオードチップを含むチップ列を前記主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する紫外線照射装置と、を備え、
少なくとも1つの前記チップ列において、
前記端部の照度が前記中央部における照度よりも高く、且つ、
前記ノズル列の端部であるノズル端に位置する前記ノズルよりも前記副走査方向の外側に位置する少なくとも1つの前記発光ダイオードチップが含まれ、
前記副走査方向の端部における照度と前記副走査方向の中央部における照度との差が0.1w/cm2以上である、液体吐出装置。
【請求項4】
前記副走査方向の端部における照度は最高照度を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記副走査方向の端部とは、前記ノズル端よりも前記副走査方向の外側の領域である、請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の液体吐出装置および前記液体吐出装置が設けられたキャリッジを備える、画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型のインクを硬化させる紫外線を照射する紫外線照射装置およびそれを備えるインクジェットプリンタ等の画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば特許文献1に示されるように、インクジェットプリンタ等の画像記録装置に用いられ、紫外線により硬化する紫外線硬化型のインクに対して紫外線を照射する装置(特許文献1では液体吐出装置と記載)が知られている。この文献に開示される液体吐出装置は、被印刷物に着弾されたインク液滴に向けて紫外線を照射することで、当該インクを硬化させて被印刷物に定着させる。このように紫外線硬化型のインクを用いれば、例えば用紙以外の樹脂や金属等にも印刷を行うことが可能となると共に光沢感のある被印刷物が得られる。
【0003】
上記文献の液体吐出装置においては、複数の発光ダイオードチップがアレイ上に設けられている。この発光ダイオードチップは、アレイの短手方向(主走査方向)と長手方向(副走査方向)とに沿ってマトリクス状に配置される。各発光ダイオードチップは主走査方向に一定ピッチで配置されると共に副走査方向にも一定ピッチで配置されている。一方、このように複数の発光ダイオードチップを単に規則的に配置するだけでは所望の照度分布が得られないので、上記液体吐出装置では副走査方向における端部での紫外線の照度が中央部での照度よりも大きくなるように複数の発光ダイオードチップが駆動される。この場合、各発光ダイオードチップに供給する電流が調整されることにより各発光ダイオードチップの照度が制御される。このような構成により、副走査方向において紫外線を均一に照射することができ、照射光量のむらが抑制されるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノズル列端部においては、紫外線硬化型インクのモノマーが酸素に捕捉される現象である酸素阻害が発生し、当該酸素阻害に起因してインクが硬化し難くなる。特に、クリアインク等のベタ印刷を行う場合には、被印刷物上に着弾した液体の表面積がノズル列の中央部に対応する位置よりもノズル列端部に対応する位置のほうが大きくなるため、ノズル列端部に対応する位置における酸素阻害の影響が他の部分よりも大きくなってしまう。しかしながら、上記従来の液体吐出装置においてはノズル列端部における酸素阻害をさらに抑制すべき余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、ノズル列端部における酸素阻害を抑制することができる液体吐出装置およびそれを備える画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体吐出装置は、被印刷物に吐出した紫外線硬化型のインクを紫外線により硬化させる液体吐出装置であって、副走査方向に並設された複数のノズルを含むノズル列を前記副走査方向に直交する方向である主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する吐出ヘッドと、前記副走査方向に並設された複数の発光ダイオードチップを含むチップ列を前記主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する紫外線照射装置と、を備え、少なくとも1つの前記チップ列において、前記副走査方向の端部における前記副走査方向の単位長さあたりの前記発光ダイオードチップの数であるチップ密度が、前記副走査方向の中央部における前記チップ密度よりも高く、前記端部の照度が前記中央部における照度よりも高く、且つ、前記ノズル列の端部であるノズル端に位置する前記ノズルよりも前記副走査方向の外側に位置する少なくとも1つの前記発光ダイオードチップが含まれるものである。
【0008】
本発明に従えば、副走査方向の端部のチップ密度がその中央部におけるチップ密度よりも高く、副走査方向の端部の照度がその中央部における照度よりも高いことによって、ノズル列端部における酸素阻害を抑制することができる。特に本発明では、ノズル端に位置するノズルよりも副走査方向の外側に少なくとも1つの発光ダイオードチップが配置されるので、副走査方向の端部の照度をその中央部における照度よりも確実に高くすることができる。これによって、ノズル列端部における酸素阻害を従来よりも大きく抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノズル列端部における酸素阻害を抑制することができる液体吐出装置およびそれを備える画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像記録装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のキャリッジに搭載された吐出ヘッドおよび紫外線照射装置の配置例を示す平面図である。
【
図3】
図1の画像記録装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1の吐出ヘッドにおけるノズル列および紫外線照射装置における発光ダイオードチップの配置例を示す底面図である。
【
図5】紫外線照射装置の内部構成を概略的に示す図である。
【
図6】ハイギャップおよびローギャップを示す図である。
【
図7】(a)は端部配置ピッチおよび隣接配置ピッチの一例を説明するための図であり、(b)は端部配置ピッチおよび隣接配置ピッチの別の例を説明するための図である。
【
図8】比較例1および実施例1~5における端部配置ピッチおよび隣接配置ピッチで配置した発光ダイオードチップを示す図である。
【
図9】シミュレーションにより得た、
図8の比較例1および実施例1~5に対応する、ノズル列における副走査方向の位置と照度との関係を示すグラフである。
【
図10】比較例2および実施例6~実施例12における端部配置ピッチおよび隣接配置ピッチで配置した発光ダイオードチップを示す図である。
【
図11】シミュレーションにより得た、
図10の比較例2および実施例6~実施例12に対応する、ノズル列における副走査方向の位置と照度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る液体吐出装置およびそれを備える画像記録装置について図面を参照して説明する。以下に説明する液体吐出装置および画像記録装置は本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る画像記録装置1を示す斜視図である。
図1において、互いに直交する方向を、上下方向、左右方向、および前後方向とする。なお、左右方向が後述の主走査方向Dsであり、前後方向が後述の副走査方向Dfである。この画像記録装置1は、印刷用紙等の被印刷物Wへの印刷のみならず、例えば各種グッズに印刷するグッズ等の樹脂等の被印刷物W(
図6)に印刷するグッズプリントをも行うものである。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の画像記録装置1は、筐体2と、キャリッジ3と、操作キー4と、表示部5と、プラテン6と、上部カバー7とを備える。また、画像記録装置1は
図3の制御ユニット19を備える。
【0014】
筐体2は箱状に形成されている。筐体2は前面に開口部2aを有すると共に背面に図略の開口部を有している。筐体2の右側前方の位置には操作キー4が設けられている。また、操作キー4の後方の位置には表示部5が設けられている。操作キー4はユーザによる操作入力を受け付ける。表示部5は例えばタッチパネルで構成され、所定情報を表示する。
表示部5の一部は所定のタイミングで操作キーとしても機能する。制御ユニット19は、操作キー4からの入力又は図略の通信インタフェースを介する外部入力に基づき印刷機能を実現すると共に表示部5の表示を制御する。
【0015】
キャリッジ3は主走査方向Dsに沿って往復動可能に構成されている。
図2に示すように、キャリッジ3には液体吐出装置50が搭載される。この液体吐出装置50は、2つの吐出ヘッド10(10A,10B)および2つの紫外線照射装置40(40A,40B)を備える。吐出ヘッド10としては、例えば紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットヘッドを用いることができる。また、紫外線照射装置40は、紫外線を発光する複数の発光ダイオードチップDT(
図4)を有し、吐出ヘッド10により吐出された上記インクを硬化させるための紫外線を照射する。吐出ヘッド10Aおよび吐出ヘッド10Bは副走査方向Dfに沿って並んで配置されている。吐出ヘッドBは吐出ヘッドAの前方に配置されている。また、紫外線照射装置40Aおよび紫外線照射装置40Bは副走査方向Dfに沿って並んで配置されている。紫外線照射装置40Bは紫外線照射装置40Aの前方に配置されている。さらに、吐出ヘッド10Aおよび紫外線照射装置40Aは主走査方向Dsに沿って並んで配置されている。紫外線照射装置40Aは吐出ヘッド10Aの右方に配置されている。また、吐出ヘッド10Bおよび紫外線照射装置40Bは主走査方向Dsに沿って並んで配置されている。紫外線照射装置40Bは吐出ヘッド10Bの右方に配置されている。
【0016】
ここで、
図2において、印刷処理における1パス時にはキャリッジ3は主走査方向Dsの左方に移動する。これにより、印刷処理時において吐出ヘッド10および紫外線照射装置40は左方に移動する。この場合、吐出ヘッド10は主走査方向Dsの左方に移動しつつ被印刷物Wにインクを吐出し、紫外線照射装置40は主走査方向Dsの左方に移動しつつ被印刷物Wに着弾したインクに紫外線を照射する。これによって、印刷処理時のキャリッジ3の移動方向において吐出ヘッド10よりも後方側に紫外線照射装置40が位置されるので、被印刷物Wに着弾した直後のインクに対して紫外線を照射することができる。
【0017】
また、印刷処理の1パスが終了すると、キャリッジ3は主走査方向Dsの右方に移動して主走査方向Dsの所定位置に戻る。これにより、吐出ヘッド10および紫外線照射装置40は主走査方向Dsの右方に移動する。この場合、吐出ヘッド10はインクを吐出することなく主走査方向Dsの右方に移動し、紫外線照射装置40は主走査方向Dsの右方に移動しつつ、印刷処理時に吐出されたインクに対して紫外線を照射する。これによって、インクに対して紫外線を十分に照射することができ、当該インクの硬化性を向上することができる。
【0018】
本実施形態において、吐出ヘッド10Aは、カラーインクと総称されることがあるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色のインクを吐出する。吐出ヘッド10Aにはこれらの各インクを吐出するノズル列NLが副走査方向Dfに沿ってそれぞれ延在して設けられる。各ノズル列NLは主走査方向Dsに沿って一定間隔で設けられる。なお、各ノズル列NLの主走査方向Dsにおける配置順序は、
図2に示すような左側からイエロー(Y)色のインクを吐出するノズル列NL、マゼンタ(M)色のインクを吐出するノズル列NL、シアン(C)色のインクを吐出するノズル列NL、およびブラック(K)色のインクを吐出するノズル列NLの順に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
【0019】
一方、吐出ヘッド10Bは、ホワイト(W)のインクおよびクリア(Cr)のインクを吐出する。吐出ヘッド10Bにはこれらの各インクを吐出するノズル列NLが副走査方向Dfに沿ってそれぞれ延在して設けられる。各ノズル列NLは主走査方向Dsに沿って一定間隔で設けられる。吐出ヘッド10Bにおける各ノズル列NLの主走査方向Dsにおける間隔は、吐出ヘッド10Aにおける各ノズル列NLの主走査方向Dsにおける間隔と異なってもよいし(
図2の例)、同じにしてもよい。なお、各ノズル列NLの主走査方向Dsにおける配置順序は、
図2に示すような左側からホワイト(W)色のインクを吐出するノズル列NL、およびクリア(K)色のインクを吐出するノズル列NLの順に限定されるものではなく、逆に配置することもできる。以上の6色のインクが被印刷物Wに吐出されることで当該被印刷物Wにカラー画像が印刷される。具体的に、被印刷物Wとしての布帛にカラー画像を印刷する際には、当該布帛の色や布帛の材質への影響を低減するために、下地インクとして白インクが先に吐出され、当該白インクの上にカラーインクが吐出される。なお、クリアインクは光沢を付与する場合や印刷部分の保護を行う場合に吐出される。
【0020】
プラテン6は被印刷物Wを載置可能に構成されている。プラテン6は所定の厚みを有し、例えば副走査方向Dfを長手方向とする矩形状の板材により構成される。プラテン6は図略のプラテン支持台により、取り外し可能に支持されている。上記のプラテン支持台は被印刷物Wへの印刷を実行する印刷位置と被印刷物Wをプラテン6から取り外す着脱位置との間で移動可能に構成されている。印刷位置とはプラテン6が吐出ヘッド10に対向する位置であり、着脱位置とは上記のプラテン支持台が筐体2の外側に配置される位置であって被印刷物Wをプラテン6上に載置可能な位置である。印刷時には、プラテン6が副走査方向Dfに移動するので、プラテン6上に載置された被印刷物Wは副走査方向Dfに搬送される。
【0021】
上部カバー7は、その前部を持ち上げると、回動可能に構成された基端を支点として上方へ回動するように構成されている。これにより、筐体2の内部が露出するようになっている。
【0022】
次に、本実施形態の画像記録装置1の各構成の機能についてブロック図を参照しつつ説明する。
図3に示すように、本実施形態の画像記録装置1は、上述の構成要素の他、モータドライバIC30,31、ヘッドドライバIC32,36、搬送モータ33、キャリッジモータ34、照射装置ドライバIC37,38、内部電源15、および受電部16を備えている。なお、画像記録装置1は吐出ヘッド10に供給するためのインクを貯留する図略のインクタンクを備える。
【0023】
制御ユニット19は、CPU20、記憶部(ROM21、RAM22、EEPROM23、HDD24)およびASIC25を有している。CPU20は、画像記録装置1の制御部であり、上記記憶部に接続されていると共に各ドライバIC30~32,36~38および表示部5を制御する。
【0024】
CPU20は、ROM21に記憶された所定のプログラムを実行することにより、種々の機能を実行する。CPU20は、制御ユニット19に1つのプロセッサとして実装されていてもよいし、互いに協働する複数のプロセッサとして実装されていてもよい。
【0025】
ROM21には、CPU20が印刷処理を実行させるための印刷制御プログラムが記憶されている。RAM22にはCPU20の演算結果が記憶される。EEPROM23にはユーザが入力した各種の初期設定情報が格納されている。HDD24には特定情報などが記憶される。この特定情報は、外部漏洩が好ましくない機密性の高い情報であり、例えばユーザに関する情報、画像記録装置1が外部から受信し且つ送信元を特定するユーザIDを含むジョブデータ、ジョブデータ中のユーザIDを含むユーザ使用履歴情報、パスワードとセキュアジョブに関するデータとを含むセキュアジョブデータ、印刷履歴、およびクラウド設定データ等が含まれる。ユーザに関する情報には、例えば、電話帳情報、Eメールアドレス情報、画像記録装置1の管理者(セキュリティ管理者)情報、およびネットワーク設定情報等が含まれる。CPU20は、画像記録装置1がジョブデータを受信した場合、当該ジョブデータ中のユーザIDを含むユーザ使用履歴情報をHDD24に記憶させる。
【0026】
ASIC25には、モータドライバIC30,31と、ヘッドドライバIC32,36と、照射装置ドライバIC37,38とが接続されている。CPU20は、ユーザから印刷ジョブを受け付けると、印刷制御プログラムに基づいて、印刷指令をASIC25へ出力する。ASIC25は、印刷指令に基づいて各ドライバIC30~32,36~38を駆動する。CPU20は、モータドライバIC30により搬送モータ33を駆動することでプラテン6が副走査方向Dfに移動し、被印刷物Wが搬送される。また、CPU20は、モータドライバIC31によりキャリッジモータ34を駆動してキャリッジ3を移動させる。また、CPU20は、ヘッドドライバIC32,36により移動するキャリッジ3に搭載された吐出ヘッド10からインクを吐出させ、搬送される被印刷物Wに画像データを印刷させる。さらに、CPU20は、照射装置ドライバIC37,38により紫外線照射装置40A,40Bからインクを硬化させるための紫外線を照射させる。このような流れで印刷処理が行われる。
【0027】
内部電源15は筐体2内の所定位置に設けられている。内部電源15は画像記録装置1の本体電源がOFF状態にあるときに制御ユニット19を動作可能にする。内部電源15は、例えば二次電池である。また、受電部16は筐体2から外部に露出するように設けられ、外部電源から電力の供給を受ける。本体電源がON状態にあるときには、外部からの電力が受電部16を介して画像記録装置1の各部へ供給される。本体電源の状態によらずに内部電源15には外部からの電力が受電部16を介して供給され、内部電源15はこの電力により充電される。
【0028】
続いて、本実施形態の紫外線照射装置40における複数の発光ダイオードチップDTの配置について説明する。本実施形態において、発光ダイオードチップDTは紫外線を発生させる半導体素子である。なお、以下では紫外線照射装置40Aおよび吐出ヘッド10Aについて代表的に説明するが、紫外線照射装置40Bおよび吐出ヘッド10Bについても紫外線照射装置40Aおよび吐出ヘッド10Aと同様に構成することができる。
【0029】
図4に示すように、紫外線照射装置40Aは平面視において例えば矩形状に形成された支持基板41を備えている。支持基板41は例えばアルミ基板である。なお、支持基板41を例えば銅等の他の金属で形成してもよい。各発光ダイオードチップDTは支持基板41上に配置される。
【0030】
各発光ダイオードチップDTは、インクに紫外線を照射することにより、当該インクに含まれる光重合開始剤が反応し、当該インクに含まれるモノマーが重合し、当該インクを被印刷物Wに定着させる。各発光ダイオードチップDTはマトリクス状に配置される。各発光ダイオードチップDTは、例えば、支持基板41の長手方向および短手方向に沿った辺を有する矩形状の単位格子の中心を基準として配置される。これにより、各発光ダイオードチップDTは、主走査方向Dsに沿って一定間隔で配置されると共に、副走査方向Dfに沿って一定間隔で配置されている。したがって、各発光ダイオードチップDTは、主走査方向Dsと平行な行方向および副走査方向Dfと平行な列方向に沿って配置される。
図4においては、左右方向に並ぶ発光ダイオードチップDTが11行あり、前後方向に並ぶ発光ダイオードチップDTが5列ある例が示されている。副走査方向Dfに沿って一定間隔で並んで配置された複数の発光ダイオードチップDTの群をチップ列DLとする。したがって、
図4には5つのチップ列DLが配置された例が示されている。なお、支持基板41に配置される発光ダイオードチップDTの数は上記に限定されるものではなく、1パス時の積算光量や消費電力等に基づいて決定される。
【0031】
吐出ヘッド10Aには、上述の通り4つのノズル列NLが設けられている。各ノズル列NLは、副走査方向Dfに沿って一定間隔で並んで配置された複数のノズルNzを含む。
インクはノズルNzから吐出される。各ノズル列NLにおいて副走査方向Dfの前端に位置するノズルNzから副走査方向Dfの後端に位置するノズルNzまでの距離をノズル長Lhとする。なお、
図4にはブラック(K)インクを吐出するノズル列NLのみ図示しており、その他の3つのノズル列については省略されている。
【0032】
紫外線照射装置40Aの各発光ダイオードチップDTは、当該発光ダイオードチップDTによる紫外線の発光領域が副走査方向Dfにおいてノズル列NLよりも大きくなるように配置される。これによって、各チップ列DLの副走査方向Dfにおける長さ、すなわち、各チップ列DLにおいて副走査方向Dfの前端に位置する発光ダイオードチップDTから副走査方向Dfの後端に位置する発光ダイオードチップDTまでの距離を発光長Ldとするとき、この発光長Ldをノズル長Lhよりも大きくすることができる。したがって、ノズル列NLの前端および後端に位置するノズルNzから吐出されたインク滴に対しても紫外線を良好に照射することができる。
【0033】
各発光ダイオードチップDTは、主走査方向Dsに所定ピッチで並んで配置されている。なお、副走査方向Dfにおける各発光ダイオードチップDTの配列ピッチについては、後で述べる。
【0034】
次いで、紫外線照射装置40の放熱構造について説明する。
図5は紫外線照射装置40の内部構成を概略的に示す図である。
図5に示すように、紫外線照射装置40は、複数の発光ダイオードチップDTを支持する上述の支持基板41と、支持基板41の面のうち複数の発光ダイオードチップDTが設けられた面(下面)と反対側の面(上面)に設けられた板状のヒートシンク42とを備える。このヒートシンク42は、支持基板41上に配置された元部42aと、当該元部42a上において上方向に延在する複数の放熱板(フィン)42bとを備えている。各放熱板42bは等間隔で配置されている。また、支持基板41の下面には図略の電子部品が設けられており、これらの電子部品には各発光ダイオードチップDTに対応して複数の電極45が設けられる。各電極45には各発光ダイオードチップDTが電気的に接続される。各電極45の一部を露出させた状態で支持基板41の下面は絶縁膜44で覆われている。このような構成において、各発光ダイオードチップDTにより生じた熱がヒートシンク42を介して上方に放熱されるようになっている。
【0035】
本実施形態の画像記録装置1は、ローギャップおよびハイギャップにおいて被印刷物に印刷を行うことができる。
図6に示すように、被印刷物Wは、例えば、発光ダイオードチップDTの紫外線照射面TSとの距離がハイギャップGHとなる低部T1、および紫外線照射面TSとの距離がハイギャップGHよりも小さいローギャップGLとなる高部T2を含む。ハイギャップGHは、例えば18mmである。また、ローギャップGLは、例えば2mmである。
【0036】
続いて、副走査方向Dfにおける各発光ダイオードチップDTの配列ピッチについて、図面を参照しながら説明する。
【0037】
本実施形態では、少なくとも1つのチップ列DL(例えば全てのチップ列DL)において、副走査方向Dfの端部における当該副走査方向Dfの単位長さあたりの発光ダイオードチップDTの数であるチップ密度は、副走査方向Dfの中央部におけるチップ密度よりも高い。上記の副走査方向Dfの端部とはノズル端よりも副走査方向Dfの外側の領域である。また、少なくとも1つのチップ列DL(例えば全てのチップ列DL)において、副走査方向Dfの端部の照度が中央部における照度よりも高い。さらに、少なくとも1つのチップ列DL、例えば全てのチップ列DLには、ノズル列NLの端部であるノズル端に位置するノズルNzよりも副走査方向Dfの外側に位置する少なくとも1つの発光ダイオードチップDTがそれぞれ含まれる。以下、詳細に説明する。
【0038】
図7(a)において、副走査方向Dfにおいて上記ノズル端に最も近い発光ダイオードチップDTを端部発光ダイオードチップDTtとする。
図7(a)の例では、端部発光ダイオードチップDTtの副走査方向Dfにおける位置はノズル端の副走査方向Dfにおける位置と同じとなっている。このような端部発光ダイオードチップDTtに対して副走査方向Dfの外側および内側のうち少なくとも一つの側(
図7(a)の例では両側)に隣り合う発光ダイオードチップDTとの配置ピッチを端部配置ピッチPtとする。また、端部発光ダイオードチップDTtの内側に位置する発光ダイオードチップDTと当該発光ダイオードチップDTのさらに内側に位置する発光ダイオードチップDTとの配列ピッチを隣接配置ピッチPrとする。このとき、端部配置ピッチPtは隣接配置ピッチPrよりも小さい。このように端部配置ピッチPtが隣接配置ピッチPrよりも小さくなるチップ列DLが少なくとも1つ設けられる。このような構成によって、副走査方向Dfの端部における発光ダイオードチップDTのチップ密度がその中央部におけるチップ密度よりも高くなる。また、同図に示すように、少なくとも1つのチップ列DLにはノズル列NLの端部であるノズル端に位置するノズルNzよりも副走査方向Dfの外側に位置する少なくとも1つの発光ダイオードチップDTが含まれる。
図7(a)の例では、上記外側に位置する発光ダイオードチップDTは1つである。以上の構成によって、少なくとも1つのチップ列DLにおいて、副走査方向Dfの端部の照度が中央部における照度よりも高い。
【0039】
また、
図7(b)に示すように、端部発光ダイオードチップDTtとして、ノズル端の副走査方向Dfにおける位置と同じでなくても、当該ノズル端に最も近い発光ダイオードチップDTを採用してもよい。
図7(b)の例においても、上記外側に位置する発光ダイオードチップDTは1つである。
【0040】
以上説明した
図7(a)および
図7(b)の構成を基本として、本実施形態における発光ダイオードチップDTの配置の具体例について説明する。
【0041】
図8には比較例1および5つの実施例(実施例1~実施例5)における発光ダイオードチップDTの配置が示されている。なお、
図8においてはノズル列NLにおいて一方のノズル端から中心までの領域における発光ダイオードチップDTの配置(上側配置)のみが図示されており、他方のノズル端から中心までの領域における発光ダイオードチップDTの配置は上述の上側配置と同じであるため省略している。
【0042】
比較例1は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが存在しない態様である。比較例1では、隣り合う発光ダイオードチップDT間における配列ピッチを全て4.5mmとしている。
【0043】
これに対して、実施例1および実施例2は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが1つ存在する態様である。実施例1では、隣り合う発光ダイオードチップDT間における配列ピッチを全て4.5mmとしている。すなわち、端部配置ピッチPtと隣接配置ピッチPrとは同じである。一方、実施例2では、後方側の端部配置ピッチPtのみを4mmとし、前方側の端部配置ピッチPtおよび隣接配置ピッチPrを4.5mmとしている。
【0044】
また、実施例3~実施例5は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが2つ存在する態様である。実施例3では、隣り合う発光ダイオードチップDT間における配列ピッチを全て4.5mmとしている。すなわち、端部配置ピッチPtと隣接配置ピッチPrとは同じである。また、実施例4では、後方側の端部配置ピッチPt、前方側の端部配置ピッチPt、および隣接配置ピッチPrを4.5mmとすると共に、端部発光ダイオードチップDTtの後方側に位置する発光ダイオードチップDTとこれに隣り合う発光ダイオードチップDTとの配列ピッチを4mmとする。一方、実施例5では、前方側の端部配置ピッチPtおよび隣接配置ピッチPrを4.5mmとすると共に、後方側の端部配置ピッチPtと、端部発光ダイオードチップDTtの後方側に位置する発光ダイオードチップDTとこれに隣り合う発光ダイオードチップDTとの配列ピッチとを4mmとする。
【0045】
このような比較例1および実施例1~5の各態様を用いて、ノズル列NLにおける副走査方向Dfの位置と照度との関係をシミュレーションにより得た。
図9は
図8の比較例1および実施例1~5に対応する、ノズル列NLにおける副走査方向Dfの位置と照度との関係を示すグラフである。
図9に示すように、比較例1においてはノズル端における照度が中央部における照度よりも明らかに低い結果となった。これに対して、実施例1~5においてはノズル端における照度が中央部における照度と同等又は高くなった。特に、実施例5ではノズル端における照度が中央部における照度よりも大きく高くなった。そして、実施例5ではノズル端よりも副走査方向Dfの外側(
図9ではノズル端よりも左側)の領域に最高照度(ピーク照度)が出現した。本実施形態において、ノズル端における照度と中央部における照度との差は例えば0.1w/cm
2以上である。
【0046】
次いで、本実施形態における発光ダイオードチップDTの配置の他の具体例について説明する。
【0047】
図10には比較例2および7つの実施例(実施例6~実施例12)における発光ダイオードチップDTの配置が示されている。なお、
図10においては、
図8と同様に、ノズル列NLにおいて一方のノズル端から中心までの領域における発光ダイオードチップDTの配置(上側配置)のみが図示されており、他方のノズル端から中心までの領域における発光ダイオードチップDTの配置は上述の上側配置と同じであるため省略している。
【0048】
比較例2は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが存在しない態様である。比較例2では、隣り合う発光ダイオードチップDT間における配列ピッチを全て6.0mmとしている。
【0049】
これに対して、実施例6は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが1つ存在する態様である。実施例6では、隣り合う発光ダイオードチップDT間における配列ピッチを全て6.0mmとしている。すなわち、端部配置ピッチPtと隣接配置ピッチPrとは同じである。
【0050】
また、実施例7~実施例10は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが2つ存在する態様である。実施例7では、隣り合う発光ダイオードチップDT間における配列ピッチを全て6.0mmとしている。すなわち、端部配置ピッチPtと隣接配置ピッチPrとは同じである。一方、実施例8では、端部発光ダイオードチップDTtの後方側に位置する発光ダイオードチップDTとこれに隣り合う発光ダイオードチップDTとの配列ピッチを4mmとする以外は、残余の配列ピッチを全て6.0mmとしている。すなわち、後方側の端部配置ピッチPtと、前方側の端部配置ピッチPtと、隣接配置ピッチPrとは同じである。また、実施例9では、端部発光ダイオードチップDTtの後方側に位置する発光ダイオードチップDTとこれに隣り合う発光ダイオードチップDTとの配列ピッチ、および後方側の端部配置ピッチPtを4mmとする以外は、残余の配列ピッチを全て6.0mmとしている。すなわち、前方側の端部配置ピッチPtと、隣接配置ピッチPrとは同じである。さらに、実施例10では、後方側の端部配置ピッチPtおよび前方側の端部配置ピッチPtを4.0mmとする以外は、隣接配置ピッチPrを含む残余の配列ピッチを全て6.0mmとしている。
【0051】
さらに、実施例11は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが1つ存在する態様である。実施例11では、後方側の端部配置ピッチPtを4.0mmとする以外は、残余の配列ピッチを全て6.0mmとしている。すなわち、前方側の端部配置ピッチPtと隣接配置ピッチPrとは同じである。また、実施例12は、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが2つ存在する態様である。実施例12では、端部発光ダイオードチップDTtの後方側に位置する発光ダイオードチップDTとこれに隣り合う発光ダイオードチップDTとの配列ピッチ、後方側の端部配置ピッチPt、および前方側の端部配置ピッチPtを4.0mmとする以外は、隣接配置ピッチPrを含む残余の配列ピッチを全て6.0mmとしている。
【0052】
このような比較例2および実施例6~実施例12の各態様を用いて、ノズル列NLにおける副走査方向Dfの位置と照度との関係をシミュレーションにより得た。
図11は
図10の比較例2および実施例6~実施例12に対応する、ノズル列NLにおける副走査方向Dfの位置と照度との関係を示すグラフである。
図11に示すように、比較例2においてはノズル端における照度が中央部における照度よりも明らかに低い結果となった。これに対して、実施例6~実施例12においてはノズル端における照度が中央部における照度と同等又は高くなった。特に、実施例9~実施例12ではノズル端における照度が中央部における照度よりも大きく高くなった。そして、実施例7,8,9,11ではノズル端よりも副走査方向Dfの外側(
図11ではノズル端よりも左側)の領域に最高照度が出現した。
【0053】
以上のように、本実施形態の液体吐出装置50によれば、副走査方向Dfの端部のチップ密度がその中央部におけるチップ密度よりも高く、副走査方向Dfの端部の照度がその中央部における照度よりも高いことによって、ノズル列端部における酸素阻害を抑制することができる。特にノズル端に位置するノズルNzよりも副走査方向Dfの外側に少なくとも1つの発光ダイオードチップDTが配置されるので、副走査方向Dfの端部の照度をその中央部における照度よりも確実に高くすることができる。これによって、ノズル列端部における酸素阻害を従来よりも大きく抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、端部配置ピッチPtが隣接配置ピッチPrよりも小さいことで、副走査方向Dfの端部における発光ダイオードチップDTのチップ密度がその中央部におけるチップ密度よりも高くなる。これにより、副走査方向Dfの端部の照度をその中央部における照度よりも高くすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、端部発光ダイオードチップDTtを基準に副走査方向Dfの外側に2つの発光ダイオードチップDTを配置することができ、当該2つの発光ダイオードチップDTのうちの一方の発光ダイオードチップDTと他方の発光ダイオードチップDTとの配列ピッチを端部配置ピッチPtと同じにすることができる。これにより、副走査方向Dfの端部の照度をその中央部における照度よりもより高くすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、チップ列DLが副走査方向Dfにおいてノズル端の位置と同じ位置に配置された発光ダイオードチップDTを含むことによって、ノズル端における酸素阻害が生じ難くなり、十分なインク硬化性を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態では、副走査方向Dfの端部(ノズル端よりも副走査方向Dfの外側の領域)における照度と中央部における照度との差が0.1w/cm2以上であることで、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側の領域における酸素阻害がより生じ難くなり、十分なインク硬化性をより確保することができる。
【0058】
また、本実施形態では、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側の領域に最高照度を出現させることができる。これにより、ノズル端よりも副走査方向Dfの外側の領域における酸素阻害がさらに生じ難くなり、十分なインク硬化性を確実に確保することが可能となる。
【0059】
さらに、上述した液体吐出装置50を画像記録装置1に設けることで、画像記録装置1においてノズル列端部における酸素阻害を抑制することができる。
【0060】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0061】
上記実施形態では、全てのチップ列DLにおいて、副走査方向Dfの端部における発光ダイオードチップDTのチップ密度がその中央部におけるチップ密度よりも高くしたが、これに限定されるものではなく、例えば1列のチップ列DLのみ、又は半数のチップ列DLに上記構成を採用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、全てのチップ列DLにおいて、副走査方向Dfの端部の照度が中央部における照度よりも高くしたが、これに限定されるものではなく、例えば1列のチップ列DLのみ、又は半数のチップ列DLに上記構成を採用してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、全てのチップ列DLにおいて、ノズル列NLの端部であるノズル端に位置するノズルNzよりも副走査方向Dfの外側に位置する発光ダイオードチップDTが少なくとも1つ存在するように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば1列のチップ列DLのみ、又は半数のチップ列DLに上記構成を採用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、端部配置ピッチPtを隣接配置ピッチPrよりも小さくしたが、これに限定されるものではなく、端部配置ピッチPtを隣接配置ピッチPrと同じ値に設定した状態で、少なくとも一つの発光ダイオードチップDTをノズル端に位置するノズルNzよりも副走査方向Dfの外側に位置するように構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ハイギャップGHを15mmとし、ローギャップGLを2mmとしたが、ハイギャップGHおよびローギャップGLは上記の値に限定されるものではなく、ローギャップGLがハイギャップGHよりも小さければよい。例えば、ハイギャップGHは7mm以上であり、ハイギャップGHとローギャップGLとの差は5mm以上である。
【0066】
さらに、上記実施形態では、キャリッジ3に2つの吐出ヘッド10(10A,10B)および2つの紫外線照射装置40(40A,40B)を搭載することとしたが、これに限らず、吐出ヘッド10Aおよび紫外線照射装置40Aのみを搭載してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 画像記録装置
3 キャリッジ
10,10A,10B 吐出ヘッド
40,40A,40B 紫外線照射装置
50 液体吐出装置
Df 副走査方向
DL チップ列
Ds 主走査方向
Ds1 往路
Ds2 復路
DT 発光ダイオードチップ
DTt 端部発光ダイオードチップ
NL ノズル列
Nz ノズル
Pr 隣接配置ピッチ
Pt 端部配置ピッチ
W 被印刷物
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物に吐出した紫外線硬化型のインクを紫外線により硬化させる液体吐出装置であって、
副走査方向に並設された複数のノズルを含むノズル列を前記副走査方向に直交する方向である主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する吐出ヘッドと、
前記副走査方向に並設された複数の発光ダイオードチップを含むチップ列を前記主走査方向に少なくとも1列有し、前記主走査方向に移動する紫外線照射装置と、を備え、
少なくとも1つの前記チップ列において、
前記ノズル列の端部であるノズル端に位置する前記ノズルよりも前記副走査方向の外側に位置する少なくとも2つの前記発光ダイオードチップが含まれることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記副走査方向において前記ノズル端に最も近い前記発光ダイオードチップである端部発光ダイオードチップと、当該端部発光ダイオードチップに対して前記副走査方向の外側および内側のうち少なくとも一つの側に隣り合う前記発光ダイオードチップとの配置ピッチである端部配置ピッチは、
前記端部発光ダイオードチップを基準に前記副走査方向の外側にある2つの前記発光ダイオードチップのうちの一方の前記発光ダイオードチップと他方の前記発光ダイオードチップとの配列ピッチより大きいことを特徴とする
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記副走査方向において前記ノズル端に最も近い前記発光ダイオードチップである端部発光ダイオードチップと、当該端部発光ダイオードチップに対して前記副走査方向の外側に隣り合う前記発光ダイオードチップとの配置ピッチである端部配置ピッチは、
前記端部発光ダイオードチップを基準に前記副走査方向の外側にある2つの前記発光ダイオードチップのうちの一方の前記発光ダイオードチップと他方の前記発光ダイオードチップとの配列ピッチより大きいことを特徴とする
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記副走査方向において前記ノズル端に最も近い前記発光ダイオードチップである端部発光ダイオードチップと、当該端部発光ダイオードチップに対して前記副走査方向の外側および内側のうち少なくとも一つの側に隣り合う前記発光ダイオードチップとの配置ピッチである端部配置ピッチは、
前記端部発光ダイオードチップを基準に前記副走査方向の外側にある2つの前記発光ダイオードチップのうちの一方の前記発光ダイオードチップと他方の前記発光ダイオードチップとの配列ピッチより小さいことを特徴とする
請求項1に記載の液体吐出装置。