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特開2024-71605ナルトレキソン療法における薬物バイオアベイラビリティの増加
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071605
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ナルトレキソン療法における薬物バイオアベイラビリティの増加
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/485 20060101AFI20240517BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K31/485
A61P3/04
A61P43/00 121
A61K31/137
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024051334
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2022019546の分割
【原出願日】2011-12-02
(31)【優先権主張番号】61/419,395
(32)【優先日】2010-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505401698
【氏名又は名称】オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・デュナエヴィッチ
(57)【要約】
【課題】ナルトレキソン療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させること。
【解決手段】過体重または肥満に罹患している個体を同定するステップ;ならびに治療上有効量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を前記個体に食品と共に投与するステップを含む、過体重または肥満を治療する方法により、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過体重または肥満を治療する方法であって、
過体重または肥満に罹患している個体を同定するステップ;ならびに
治療上有効量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に前記個体に投与するステップ
を含む方法。
【請求項2】
組合せナルトレキソン/ブプロピオン体重減少療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させる方法であって、
治療上有効量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を個体に提供するステップ;
食品を前記個体に提供するステップ;ならびに
前記治療上有効量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を前記食品と共に前記個体に投与するステップ
を含み、前記ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティが、食品なしで投与された同じ量の前記ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティと比較して増加するか、または前記ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティが、食品なしで投与された同じ量の前記ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティと比較して増加する、方法。
【請求項3】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり約4mg~約32mgの範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記個体が過体重または肥満である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
増強されたナルトレキソン療法を個体に提供する方法であって、
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に、1日あたり約4mg~約32mgの範囲の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を前記個体に投与するステップ
を含む方法。
【請求項6】
前記個体が過体重または肥満であり、治療上有効量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および治療上有効量のブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が、過体重または肥満を治療するために投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
体重減少レジメンを個体に提供する方法であって、
過体重または肥満の治療を必要とする個体を同定するステップ;
食事および運動の改善を含むライフスタイルの変化を行うように前記個体に助言するステップ;ならびに
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を、食品と共に該組成物を摂取するための指示書と共に前記個体に提供するステップ
を含む方法。
【請求項8】
前記ライフスタイルの変化が行動の改変をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
過体重または肥満の治療の有効性を最大化する方法であって、
食品と共に投与した場合または食品なしで投与した場合の、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物のバイオアベイラビリティに関する情報を含む製品ラベルを読み取るステップ;
食品と共に、または食品なしで前記組成物を投与することが、前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるかどうかを製品ラベル情報に基づいて決定するステップ;ならびに
食品と共に前記組成物を投与することが前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるとの決定に基づいて前記組成物を食品と共に投与するステップ
を含む方法。
【請求項10】
患者の過体重または肥満のための治療の有効性を最大化する方法であって、
食品と共に、または食品なしで投与した場合の、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物のバイオアベイラビリティに関する情報を含む製品ラベルを読み取るステップ;
食品と共に、または食品なしで前記組成物を投与することが、前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるかどうかを製品ラベル情報に基づいて決定するステップ;ならびに
前記組成物を食品と共に投与することが前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるとの決定に基づいて、前記組成物を食品と共に摂取するように患者に指示するステップ
を含む方法。
【請求項11】
体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示の、患者によるコンプライアンスを改善する方法であって、
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む体重減少組成物を患者に提供するステップ;
前記体重減少組成物を食品と共に摂取するように前記患者に指示するステップ;ならびに
前記組成物を食品と共に摂取することが、食品なしで同じ量の前記組成物を摂取する場合と比較して前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるということを患者に通知することにより、前記組成物を食品と共に摂取することにおける前記患者のコンプライアンスを増加させるステップ
を含む方法。
【請求項12】
前記患者が過体重または肥満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
FDAに認可された体重減少薬物を提供する方法であって、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物ならびに食品と共に摂取した場合または食品なしで摂取した場合の前記組成物のバイオアベイラビリティに関する情報を含む前記組成物のためのFDAに認可された製品ラベルを個体に供給するステップを含む方法。
【請求項14】
ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を前記個体に投与するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり約90mg~約360mgの範囲にあり、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり約4mg~約32mgの範囲にある、請求項1から4または6から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティが、食品なしで投与された同じ量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティと比較して増加する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記バイオアベイラビリティの増加が、前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の最大血漿濃度(Cmax)または吸収の程度(AUC)を増加させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
バイオアベイラビリティの前記増加が、食事と共に摂取した場合、絶食条件中に摂取された同じ量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩と比較して、前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のCmaxの約91%~約271%の範囲の増加およびAUCの約70%~約107%の増加を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
バイオアベイラビリティの前記増加が、食事と共に摂取した場合、絶食条件中に摂取された同じ量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩と比較して、前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のCmaxの約3.7倍の増加およびAUCの約2.1倍の増加を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
バイオアベイラビリティの前記増加が、食事と共に摂取した場合、絶食条件中に摂取された同じ量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩と比較して、前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のCmaxの約1.9倍の増加およびAUCの約1.7倍の増加を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の非封鎖製剤を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が、ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩と同時に投与される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が、ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の前またはその後に投与される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が単回剤形中にある、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記単回剤形が丸剤、錠剤、およびカプセル剤からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が1日1回または複数回投与される、請求項1から4または6から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が1日2回以上投与される、請求項1から4または6から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を複数回時間間隔用量で投与するステップをさらに含み、前記時間間隔用量の少なくとも1つが食品と共に投与される、請求項1から4または6から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を複数回時間間隔用量で投与するステップをさらに含み、前記時間間隔用量のそれぞれが食品と共に投与される、請求項1から4または6から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の体重減少活性が、同じ量のいずれかの化合物のみの投与と比較して増強される、請求項1から4または6から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記食品が高脂肪食を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記食品が、約575カロリーおよび総カロリー量の約23%を占める脂肪の中カロリー中脂肪の食事;約1000カロリーおよび総カロリー量の約50%を占める脂肪の高カロリー高脂肪の食事;ならびに前記中カロリー中脂肪の食事および前記高カロリー高脂肪の食事により定義される範囲内にある食事からなる群より選択される食事を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が持続放出製剤中にある、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が持続放出製剤中にある、請求項1から4および6から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩に関する治療スケジュールが、
第1の治療期間に、第1の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩;
第2の治療期間に、前記第1の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の約2倍および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の約2倍を含む、第2の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩;
第3の治療期間に、前記第1の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の約3倍および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の約3倍を含む、第3の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩;ならびに
第4の治療期間に、前記第1の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の約4倍および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の約4倍を含む、第4の量の前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩
である、請求項1から4または6から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩に関する治療スケジュールが、
治療の第1週目に、約8mgの前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および約90mgの前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩;
治療の第2週目に、約16mgの前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および約180mgの前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩;
治療の第3週目に、約24mgの前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および約270mgの前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩;ならびに
治療の第4週目およびその後の任意の週に、約32mgの前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および約360mgの前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1から4または6から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が、1日2回の持続放出型ナルトレキソン8mg錠2個および1日2回の持続放出型ブプロピオン90mg錠2個として投与される、請求項1から4または6から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が、少なくとも28週間にわたって投与される、請求項1から4または6から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が、少なくとも56週間にわたって投与される、請求項1から4または6から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項1、3、4または15から39のいずれか一項に記載の過体重または肥満を治療するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項41】
請求項2から4または15から39のいずれか一項に記載の組合せナルトレキソン/ブプロピオン体重減少療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させるための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の、使用。
【請求項42】
請求項5、6、14から25、または31から33のいずれか一項に記載のナルトレキソン療法の増強を個体に提供するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項43】
請求項7、8または15から39のいずれか一項に記載の体重減少レジメンを個体に提供するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項44】
請求項9、10、または15から39のいずれか一項に記載の過体重または肥満のための治療の有効性を最大化するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項45】
請求項11、12、または15から39のいずれか一項に記載の体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示書の患者によるコンプライアンスを改善するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項46】
請求項13または15から39のいずれか一項に記載のFDAに認可された体重減少薬物を提供するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項47】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項1、3、4、または15から39のいずれか一項に記載の過体重または肥満を治療するための医薬組成物。
【請求項48】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項2から4または15から39のいずれか一項に記載の組合せナルトレキソン/ブプロピオン体重減少療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させるための医薬組成物。
【請求項49】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項5、6、14から25、または31から33のいずれか一項に記載の増強されたナルトレキソン療法を個体に提供するための医薬組成物。
【請求項50】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項7、8または15から39のいずれか一項に記載の体重減少レジメンを個体に提供するための医薬組成物。
【請求項51】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項9、10または15から39のいずれか一項に記載の過体重または肥満のための治療の有効性を最大化するための医薬組成物。
【請求項52】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項11、12または15から39のいずれか一項に記載の体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示書の患者によるコンプライアンスを改善するための医薬組成物。
【請求項53】
ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項13または15から39のいずれか一項に記載のFDAに認可された体重減少薬物を提供するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参照により本明細書に組込まれる2010年12月3日に出願された米国仮特許出願第61/419,395号の優先権を主張するものである。
【0002】
本出願は、ナルトレキソン療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させるための組成物、使用、方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0003】
ナルトレキソンを用いる薬物療法は、ブプロピオンとの組合せ療法におけるものなど、過体重および肥満、心血管危険因子、インスリン耐性、大食、内臓脂肪症状、喫煙、および大鬱病などの様々な病状の治療のために調査されている。毎日の、またはさもなければ規則的な療法におけるナルトレキソンの使用可能性にもかかわらず、ナルトレキソン含有製品に関する現在認可されている処方情報は、薬物動態に対する食品の効果を試験する研究には言及していない。さらに、WELLBUTRIN SR(登録商標)に関する現在認可されている処方情報は、ブプロピオン曝露に対する食品の効果を特徴付けるが、最大血漿濃度(Cmax)の11%の増加および濃度時間曲線下面積(AUC)の17%の増加のみを報告している。結果として、食品または食品効果に関して、ナルトレキソンのみ、またはブプロピオンと組み合わせたナルトレキソンに関する処方情報における指針も制限もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0162450号
【特許文献2】米国特許第7,375,111号
【特許文献3】米国特許第7,462,626号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0275970号
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0270450号
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0117827号
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0179168号
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0214592号
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0128298号
【特許文献10】米国特許出願公開第2007/0129283号
【特許文献11】米国特許出願第12/751970号
【特許文献12】米国特許出願第61/167486号
【特許文献13】米国特許出願第61/293844号
【特許文献14】WO 2009/158114
【特許文献15】米国特許出願公開第2008/0113026号
【特許文献16】米国特許出願公開第2007/0281021号
【特許文献17】米国特許出願公開第2008/0110792号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】World Health Organization. Physical status: The use and interpretation of anthropometry. Geneva, Switzerland: World Health Organization 1995, WHO Technical Report Series
【非特許文献2】Finglら、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、Ch. 1 p. 1
【非特許文献3】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第18版、1990
【非特許文献4】21 C.F.R.§201.57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、予想外の食品効果が、ナルトレキソンを用いる薬物療法について同定されている。本明細書に記載されるのは、ナルトレキソンおよびブプロピオンを食品と共に投与することにより、これらの薬物の各々のバイオアベイラビリティが予想外に増加し、正の食品効果を示すことを示す臨床試験である。例えば、高脂肪、高カロリー食と共にナルトレキソンおよびブプロピオンを含む体重減少治療を過体重または肥満の個体に投与することにより、これらの薬物の各々のCmaxおよびAUCが改善され、体重減少治療の有効性が改善される。典型的には食事制限を必要とする治療(例えば、過体重もしくは肥満、心血管危険因子、インスリン耐性、大食症、または内臓脂肪症状の治療)と同時に、高脂肪、高カロリー食を投与、または摂取することは通常推奨されないが、本明細書に記載の方法は、ナルトレキソン単剤療法または様々な食品との組合せ療法の投与を含む療法を提供する。
【0007】
本明細書に記載の観察を考慮すると、ナルトレキソン単剤療法および組合せ療法と関連する正の食品効果をもたらす方法、例えば、薬物バイオアベイラビリティを増加させる方法、療法の増強を提供する方法、およびこれらの効果に関する情報を個体に提供する方法の必要性が存在する。本明細書に開示されるのは、ナルトレキソンおよびナルトレキソン/ブプロピオン組合せ療法を増強する方法およびキットなどの、これらの予想外の知見を利用する方法およびキットである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態においては、過体重または肥満に罹患している個体を同定するステップ;ならびに治療上有効量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を前記個体に食品と共に投与するステップを含む、過体重または肥満を治療する方法が提供される。
【0009】
一実施形態においては、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする個体に提供するステップ;およびナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取することにより、同じ量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合と比較して、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティの増加が得られることを示す印刷された情報を前記個体に提供するステップを含む、個体に対するナルトレキソン治療を提供する方法が提供される。
【0010】
一実施形態においては、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする個体に提供するステップ;およびナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取するように前記個体に指示を提供するステップを含む、ナルトレキソン治療を個体に提供する方法が提供される。
【0011】
一実施形態においては、約4mg~約32mg/日の範囲の量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に個体に投与するステップを含む、増強されたナルトレキソン療法を個体に提供する方法が提供される。
【0012】
一実施形態においては、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む少なくとも1つの剤形を含む容器;および該容器に付随する印刷情報を含み、印刷情報が、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取することにより、同じ量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合と比較して、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティの増加が得られることを記述する、キットが提供される。
【0013】
一実施形態においては、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む少なくとも1つの剤形と、それに付随する、ナルトレキソンを食品と共に摂取するよう個体に指示する印刷情報とを含むキットが提供される。
【0014】
一実施形態においては、過体重または肥満の治療を必要とする個体を同定するステップ;食事および運動の改善を含むライフスタイルの変化を行うように個体に助言するステップ;ならびにナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を、該組成物を食品と共に摂取するための指示書と共に個体に提供するステップを含む、体重減少レジメンを個体に提供する方法が提供される。
【0015】
一実施形態においては、食品と共に摂取した場合または食品なしで摂取した場合の、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物のバイオアベイラビリティに関する情報を含む製品ラベルを読み取るステップ;食品と共に、または食品なしで前記組成物を摂取することが、前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるかどうかを製品ラベル情報に基づいて決定するステップ;ならびに食品と共に前記組成物を投与することが前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるとの決定に基づいて前記組成物を食品と共に投与するステップを含む、過体重または肥満の治療の有効性を最大化する方法が提供される。
【0016】
一実施形態においては、食品と共に摂取した場合または食品なしで摂取した場合の、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物のバイオアベイラビリティに関する情報を含む製品ラベルを読み取るステップ;食品と共に、または食品なしで前記組成物を摂取することが、前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるかどうかを製品ラベル情報に基づいて決定するステップ;ならびに前記組成物を食品と共に投与することが前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるとの決定に基づいて、前記組成物を食品と共に摂取するように患者に指示するステップを含む、患者の過体重または肥満の治療の有効性を最大化する方法が提供される。
【0017】
一実施形態においては、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む体重減少組成物を患者に提供するステップ;体重減少組成物を食品と共に摂取するように患者に指示するステップ;ならびに前記組成物を食品と共に摂取することが、同じ量の前記組成物を食品なしで摂取した場合と比較して前記組成物のバイオアベイラビリティを増加させるということを患者に通知することにより、前記組成物を食品と共に摂取することにおける患者のコンプライアンスを増加させるステップを含む、体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示の患者によるコンプライアンスを改善する方法が提供される。
【0018】
一実施形態においては、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物ならびに食品と共に摂取した場合または食品なしで摂取した場合の前記組成物のバイオアベイラビリティに関する情報を含む前記組成物のためのFDAに認可された製品ラベルを個体に供給するステップを含む、FDAに認可された体重減少薬物を提供する方法が提供される。
【0019】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の量は、約4mg~約32mg/日の範囲にある;ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の量は、約90mg~約360mg/日に範囲にある;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の非封鎖(non-sequestered)製剤を含む;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも一方は持続放出製剤中にある;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の各々は持続放出製剤中にある;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩はブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩と同時に投与される;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩はブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の前に、もしくはそれに続いて投与される;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、単回剤形にある;単回剤形は、丸剤、錠剤、およびカプセル剤からなる群より選択される;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、1日1回もしくは複数回投与されるか、もしくはその投与にとって好適である;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回以上投与されるか、もしくはその投与にとって好適である;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の体重減少活性は、同じ量のいずれかの化合物のみの投与と比較して増強される;ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、持続放出製剤中にある;ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、持続放出製剤中にある;ならびに/またはナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、一緒になって単回剤形中にあり、この単回剤形は約4mg、8mgもしくは16mgのナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩を含み、約90mgもしくは180mgのブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩を含み、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の各々は、持続放出製剤中にある。
【0020】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティは、食品と共に投与しない同じ量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティと比較して増加する;バイオアベイラビリティの増加は、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の最大血漿濃度(Cmax)もしくは吸収の程度(AUC)を増加させることを含む;バイオアベイラビリティの増加は、食事と共に摂取した場合、絶食条件中に摂取された同じ量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩と比較して、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のCmaxの約91%~約271%の範囲の増加およびAUCの約70%~約107%の範囲の増加を含む;バイオアベイラビリティの増加は、食事と共に摂取した場合、絶食条件中に摂取された同じ量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩と比較して、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のCmaxの約3.7倍の増加およびAUCの約2.1倍の増加を含む;ならびに/またはバイオアベイラビリティの増加は、食事と共に摂取した場合、絶食条件中に摂取された同じ量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩と比較して、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のCmaxの約1.9倍の増加およびAUCの約1.7倍の増加を含む。
【0021】
本明細書に開示される任意の実施形態において、前記方法はさらに、複数回時間間隔用量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含み、時間間隔用量の少なくとも1つが食品と共に投与される方法を含む;前記方法はさらに、複数の時間間隔用量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩を投与するステップを含み、時間間隔用量の各々が食品と共に投与される方法を含む;前記方法はさらに、ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩を提供するか、もしくは投与するステップを含む;ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩は、4mg~32mg/日の範囲もしくは約4mg~約32mg/日の範囲の量で提供されるか、もしくは投与される;ならびに/またはブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩は、90mg~360mg/日の範囲、もしくは約90mg~約360mg/日の範囲の量で提供されるか、もしくは投与される。
【0022】
本明細書に開示される任意の実施形態において、食品は、高脂肪食を含む;および/または食品は、575カロリーおよび総カロリー量の23%を占める脂肪の中カロリー中脂肪食、もしくは約575カロリーおよび総カロリー量の約23%を占める脂肪の中カロリー中脂肪食、1000カロリーおよび総カロリー量の50%を占める脂肪の高カロリー高脂肪食、もしくは約1000カロリーおよび総カロリー量の約50%を占める脂肪の高カロリー高脂肪食、ならびに中カロリー中脂肪食および高カロリー高脂肪食により定義される範囲内にある食事からなる群より選択される食事を含む。
【0023】
本明細書に開示される任意の実施形態において、個体は過体重もしくは肥満である;ならびに/または個体は肥満もしくは過体重に罹患し、治療上有効量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は肥満もしくは過体重を治療するために提供もしくは投与される。
【0024】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、本明細書に記載の指示書に従って個体に投与される;印刷情報は、バイオアベイラビリティの増加がナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のCmaxもしくはAUCの増加を含むことを示す;印刷情報は、食事と共に摂取した場合、絶食状態中に摂取された同じ量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩と比較して、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の91%~271%、もしくは約91%~約271%のCmaxの増加および70%~107%、もしくは約70%~約107%のAUCの増加を示す;印刷情報はさらに、食品と共にナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩を摂取することにより、同じ量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合と比較してナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティの増加が得られることを記述する;ならびに/または印刷情報は、キットの販売のための政府機関により要求される情報を含む。
【0025】
本明細書に開示される任意の実施形態において、キットはさらに、ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩を含む少なくとも1つの剤形を含む;キットは、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の用量が4mg~32mg/日もしくは約4mg~約32mg/日の範囲にある、複数の日数のための用量を提供する;キットは、ブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の用量が90mg~360mg/日もしくは約90mg~約360mg/日の範囲にある、複数の日数のための用量を提供する;ならびに/またはキットはさらに、容器が少なくとも1つの剤形を含み、印刷情報が容器と関連する、容器を含む。
【0026】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩に関する治療スケジュールは、第1の治療期間に第1の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩;第2の治療期間に、第1の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の2倍もしくは約2倍およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の2倍もしくは約2倍を含む、第2の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩;第3の治療期間に、第1の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の3倍もしくは約3倍およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の3倍もしくは約3倍を含む、第3の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩;ならびに第4の治療期間に、第1の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩の4倍もしくは約4倍およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩の4倍もしくは約4倍を含む、第4の量のナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩である。
【0027】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩に関する治療スケジュールは、治療の第1週目に、8mgもしくは約8mgのナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩および90mgもしくは約90mgのブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩;治療の第2週目に、16mgもしくは約16mgのナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩および180mgもしくは約180mgのブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩;治療の第3週目に、24mgもしくは約24mgのナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩および270mgもしくは約270mgのブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩;ならびに治療の第4週目およびその後の任意の週に、32mgもしくは約32mgのナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩および360mgもしくは約360mgのブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩である。
【0028】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、1日2回の持続放出型ナルトレキソンの8mg錠2個および1日2回の持続放出型ブプロピオンの90mg錠2個として投与される。
【0029】
本明細書に開示される任意の実施形態において、ナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも28週間にわたって投与される;またはナルトレキソンもしくはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンもしくはその薬学的に許容可能な塩は、少なくとも56週間にわたって投与される。
【0030】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、過体重または肥満を治療するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0031】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、組合せナルトレキソン/ブプロピオン体重減少療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させるための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0032】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、ナルトレキソン療法の増強を個体に提供するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0033】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、体重減少レジメンを個体に提供するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0034】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、過体重または肥満の治療の有効性を最大化するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0035】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示書の患者によるコンプライアンスを改善するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0036】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、FDAに認可された体重減少薬物を提供するための薬剤の調製における、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用を含む。
【0037】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、過体重または肥満を治療するための医薬組成物を含む。
【0038】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、組合せナルトレキソン/ブプロピオン体重減少療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させるための医薬組成物を含む。
【0039】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、増強されたナルトレキソン療法を個体に提供するための医薬組成物を含む。
【0040】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、体重減少レジメンを個体に提供するための医薬組成物を含む。
【0041】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、過体重または肥満の治療の有効性を最大化するための医薬組成物を含む。
【0042】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示書の患者によるコンプライアンスを改善するための医薬組成物を含む。
【0043】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、FDAに認可された体重減少薬物を提供するための医薬組成物を含む。
【0044】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、過体重または肥満を治療するためのキットを含む。
【0045】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、組合せナルトレキソン/ブプロピオン体重減少療法における薬物バイオアベイラビリティを増加させるためのキットを含む。
【0046】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、増強されたナルトレキソン療法を個体に提供するためのキットを含む。
【0047】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、体重減少レジメンを個体に提供するためのキットを含む。
【0048】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、過体重または肥満の治療の有効性を最大化するためのキットを含む。
【0049】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、体重減少組成物を食品と共に摂取するための指示書の患者によるコンプライアンスを改善するためのキットを含む。
【0050】
本発明の実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかに記載の通り、FDAに認可された体重減少薬物を提供するためのキットを含む。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書に記載の様々な実施形態は、ナルトレキソンおよび/またはナルトレキソン中のブプロピオンおよび組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法のバイオアベイラビリティを増加させる方法を提供する。ナルトレキソンおよび/またはブプロピオンのバイオアベイラビリティの増加は、様々な療法を改善することができる。例えば、バイオアベイラビリティの増加は、より効果的な投薬をもたらすことができる。いくつかの実施形態においては、より効果的な投薬によって、より低用量のナルトレキソンおよび/またはブプロピオンを個体に投与することができる。いくつかの実施形態においては、食品と一緒のナルトレキソンおよび/またはブプロピオンの投与は、ナルトレキソン、ブプロピオン、または他の薬物に関連する有害作用の頻度および/または重篤度を減少させることもできる。いくつかの実施形態においては、副作用の減少は、治療に関する患者のコンプライアンスの改善をもたらす。バイオアベイラビリティが低い場合に変動性が最も高くなる傾向があるため、食品と一緒のナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与は一般に、ナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法に関連する薬物動態の一貫性を改善することもできる。いくつかの実施形態においては、この改善された一貫性は、より高い投薬確実性および安全性の改善および/またはナルトレキソン、ブプロピオン、もしくは他の薬物に対する寛容性を可能にする。
【0052】
用語「ブプロピオン」は一般に、ブプロピオンの遊離塩基、薬学的に許容可能なブプロピオン塩(無水物形態、例えば、無水ブプロピオン)、ブプロピオン代謝物(例えば、ヒドロキシブプロピオン、トレオヒドロブプロピオン、およびエリスロヒドロブプロピオン)、ブプロピオン異性体、またはそれらの混合物を指すように本明細書で用いることができる。本明細書における「ブプロピオン」に対する参照は、本文が別途明確に指摘しない限り、全てのそのような形態を包含すると理解される。
【0053】
用語「ナルトレキソン」は一般に、ナルトレキソンの遊離塩基、薬学的に許容可能なナルトレキソン塩(水和物および無水物形態など、例えば、塩酸ナルトレキソン二水和物および無水塩酸ナルトレキソン)、ナルトレキソン代謝物、ナルトレキソン異性体、またはそれらの混合物を指すように本明細書で用いることができる。本明細書における「ナルトレキソン」に対する参照は、本文が別途明確に指摘しない限り、全てのそのような形態を包含すると理解される。
【0054】
本明細書で用いられる用語「薬学的に許容可能な塩」とは、それが投与される生物に対して有意な刺激を引き起こさず、化合物の生物活性および特性を無効化しない化合物の製剤を指す。薬学的な塩は日常的な実験によって取得することができる。薬学的に許容可能な塩の非限定例としては、塩酸ブプロピオン、塩酸ラダファキシン、塩酸ナルトレキソン、および6-βナルトレキソールヒドロクロリドが挙げられる。
【0055】
本開示を通じて、特定の化合物が名称によって記載される場合(例えば、ブプロピオンまたはナルトレキソン)、本開示の範囲はその名称を付けた化合物の薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、または代謝物を包含すると理解される。例えば、本明細書の実施形態のいずれかにおいて、ナルトレキソンの活性代謝物(例えば、6-βナルトレキソール)は、ナルトレキソンと共に、またはその代わりに用いることができる。本明細書の実施形態のいずれかにおいて、S,S-ヒドロキシブプロピオン(すなわち、ラダファキシン)などのブプロピオンの活性代謝物は、ブプロピオンと共に組み合わせて、またはその代わりに用いることができる。
【0056】
本明細書で用いられる用語「持続放出」は、当業者によって理解される通り、その通常の意味を有し、かくして、非限定例として、長時間にわたる剤形からの薬物の制御された放出を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、持続放出剤形は、同等の即時放出形態のものよりも遅い放出速度を有するもの、例えば、即時放出剤形の放出速度の80%未満のものである。
【0057】
当業者であれば、参照標準物としての使用にとって好適な即時放出ナルトレキソン製剤が、REVIA(登録商標)ブランドの塩酸ナルトレキソンとして広く市販されている即時放出ナルトレキソン製剤、またはその等価物であることを理解できる。また、当業者であれば、参照標準物としての使用にとって好適な即時放出ブプロピオン製剤が、WELLBUTRIN(登録商標)ブランドのブプロピオンとして広く市販されている即時放出ブプロピオン製剤、またはその等価物であることも理解できる。米国政府は、処方薬を標識することができる様式を規制し、かくして、REVIA(登録商標)ブランドの塩酸ナルトレキソンおよびWELLBUTRIN(登録商標)ブランドのブプロピオンに対する本明細書における参照は、当業者にとっては周知の、固定された、および明確な意味を有する。
【0058】
本明細書で用いられる用語「経口剤形」は、当業者によって理解される通り、その通常の意味を有し、かくして、非限定例として、丸剤、錠剤、素錠(core)、カプセル剤、カプレット剤、ルースパウダー、液剤、および懸濁剤などの、ヒトに投与可能な形態の薬物の製剤を含む。
【0059】
本明細書で用いられる用語「食品効果」とは、投与後の薬物の吸収に影響し得る現象を指す。食品効果は、吸収が減少する場合は「負」、または吸収が増加し、バイオアベイラビリティの増加として現れる(例えば、AUCにより反映される)場合は「正」と指定することができる。食品効果はまた、全体の吸収とは関係なく、最大濃度(Cmax)または最大濃度に達するまでの時間(Tmax)の変化を指してもよい。結果として、いくつかの薬物は、好ましくは、最適な所望の効果を達成する絶食または供給条件で摂取することができる。本明細書で用いられる用語「食品と共に」および「供給」は、互換的に用いることができる。本明細書で用いられる用語「食品と一緒でない」、「絶食した(fasted)」および「絶食する(fasting)」は、互換的に用いることができる。
【0060】
本明細書で用いられる、体重増加の用語「軽減する」または「軽減」は、例えば、薬物の投与または生命活動の変化と関連する体重増加の量の防止または減少を含む。いくつかの実施形態においては、体重増加の軽減は、典型的には、ナルトレキソンまたはブプロピオンの一方のみが投与されるか、またはそのいずれも投与されない場合に経験される体重増加の量と比較して測定される。
【0061】
本明細書で用いられる、体重減少の用語「促進」は、治療期間の少なくとも一部について、基準体重と比較して体重減少を引き起こすことを含む。これは、最初はいくらか体重が増加するが、治療過程の間に、治療を開始する前の基準と比較して体重が減少する個体、ならびに治療期間の終わりまでに失われた体重の一部または全部を再獲得する個体を含む。好ましい実施形態においては、治療期間の終わりに、個体は基準と比較して体重が減少している。好ましい実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンを投与された患者における体重増加の軽減または体重減少の促進は、ナルトレキソンまたはブプロピオンのいずれも投与しない場合またはその一方のみを投与する場合よりも多く、より好ましくは、2つの化合物を投与する際の少なくとも付加効果であるか、または付加効果もしくは相乗効果よりも良好である。
【0062】
本明細書で用いられる用語「薬物動態プロフィール」または「薬物動態」は、当業者によって理解される通りそれらの通常の意味を有し、かくして、非限定例として、被験者への薬物の投与後、時間に対する薬物の濃度(例えば、血漿または血清)のプロッティングから得られる曲線の特徴を含む。かくして、薬物動態プロフィールは、好適な集団に投与された場合、特定の薬物または剤形の薬物動態を特徴付けるために用いることができる薬物動態パラメータまたはパラメータのセットを含む。様々な薬物動態パラメータが当業者に公知であり、例えば、濃度対時間曲線下面積(AUC)、タイムゼロから薬物濃度測定可能最終時点までの濃度時間曲線下面積(AUC0-t)、タイムゼロから無限時間までの濃度時間曲線下面積(AUC0-∞)、1日2回投与に関する定常状態の投薬間隔またはタイムゼロから12時間までの濃度時間曲線下面積(AUC0-12)、投与後の最大濃度(例えば、血漿/血清)(Cmax)、および投与後最大濃度(例えば、血漿/血清)に到達する時間(Tmax)が挙げられる。AUClastは、最終時点の時間までの投与時間からの血漿濃度対時間曲線下面積を示す。薬物動態パラメータは、例えば、単回投与または定常状態について当業者には公知の様々な方法で測定することができる。1または複数の薬物動態プロフィール(例えば、Cmax)の差異は、2つの製剤の間の薬物動態の区別を示してもよい。
【0063】
本明細書で用いられる用語「封鎖された」とは、薬物を含む剤形の投与後に実質的に放出されない薬物を指す。例えば、硫酸モルヒネおよびナルトレキソンを含む剤形は、全体が参照により、また、例えば、限定されるものではないが、封鎖されたナルトレキソンを説明する目的などあらゆる目的で本明細書に組込まれる米国特許出願公開第2009/0162450号に記載されるように、無傷の型の剤形の投与後にナルトレキソンのin vivoでの放出を大きく減少させる様式で製剤化されたものである。
【0064】
本明細書に記載の任意の実施形態において、治療方法は、Swiss型使用クレームなどの使用クレームを選択的に伴ってもよい。例えば、組成物を用いて過体重または肥満を治療する方法は、過体重もしくは肥満の治療のための薬剤の製造における組成物の使用、または過体重もしくは肥満の治療のための組成物の使用を選択的に伴ってもよい。
【0065】
当業者であれば、当業者により公知であり、許容される臨床試験方法を用いて、例えば、本明細書に記載の実施例に記載のように、参照標準物との比較によって薬物動態パラメータを決定することができることを理解できる。薬物の薬物動態は患者間で変化し得るため、そのような臨床試験は一般に、複数の患者および得られるデータの好適な統計分析を含む(例えば、90%の信頼でのANOVA)。薬物動態パラメータの比較は、当業者によって理解されるように、用量調整ベースであってよい。
【0066】
食品と共に、ナルトレキソンのみの治療、またはナルトレキソンと1または複数の他の薬剤(ブプロピオンなど)との組合せ治療を受けた患者集団を分析し、それらの患者を食品を用いずに同じ治療を受けた同等の患者集団と比較することにより、薬物動態プロフィールを決定することができる。いくつかの実施形態においては、薬物動態特性は単剤投与後に測定されるが、他方ではそれらは定常状態で測定される。いくつかの実施形態においては、血漿ナルトレキソンおよび/または活性ナルトレキソン代謝物(例えば、6β-ナルトレキソール)濃度プロフィールをモニターすることにより、薬物動態を決定することができる。いくつかの実施形態においては、血漿ブプロピオンおよび/または活性ブプロピオン代謝物(例えば、トレオヒドロブプロピオン)濃度プロフィールをモニターすることにより決定することができる。
【0067】
バイオアベイラビリティの増加は、増加が参照治療(例えば、絶食状態もしくは異なる供給状態)と比較された場合、それぞれ独立に、約、少なくとも、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%以上であるか、またはこれらの値の任意の2つにより定義される範囲内(例えば、5%~500%、10%~400%、もしくは20%~300%)である増加であってよい、AUC、Cmax、もしくはTmaxの増加などの当業者には公知の1または複数の尺度を用いて決定することができる。
【0068】
好ましい実施形態においては、ナルトレキソン、ブプロピオン、またはその代謝物のバイオアベイラビリティは、生物学的同等性の標準的な80%~125%の範囲の外側にある。例えば、ナルトレキソンのCmaxまたはAUCに関する90%信頼区間(「CI」)は、参照治療(例えば、絶食状態または異なる供給状態)の125%より高いものであってよい。
【0069】
ナルトレキソン単剤療法または組合せ療法と共に摂取される食品は、好ましくは十分な嵩および消費後に迅速に吸収されない脂肪量を有する固形食品である。好ましい実施形態においては、摂取される食品は食事である。
【0070】
いくつかの実施形態においては、食品は、単回投与において摂取される。いくつかの実施形態においては、食品は、反復投与において摂取される。いくつかの実施形態においては、食品は定常状態に達するまで反復投与において摂取される。例えば、食品はナルトレキソンおよび/またはブプロピオンのCmaxが定常状態に達するまで、治療の間に1日3回、規則的な間隔で摂取することができる。
【0071】
いくつかの実施形態においては、食品は、ナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与の前、それと同時に、またはその後に摂取される。いくつかの実施形態においては、食品の消費とナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与との間の時間は、5、10、15、30、45もしくは60分である、約5、10、15、30、45もしくは60分である、5、10、15、30、45もしくは60分以下である、約5、10、15、30、45もしくは60分以下である、または前記値の任意の2つにより定義される範囲である。いくつかの実施形態においては、食品の消費とナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与との間の時間は一貫しているが、他の実施形態においては、食品の消費とナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与との間の時間は変化する。ナルトレキソンとブプロピオンとを別々に摂取する実施形態においては、食品の消費とナルトレキソンの投与との間の時間は、食品の消費とブプロピオンの投与との間の時間とは異なってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態においては、提供の行動は、本明細書に記載の組成物を供給すること、獲得すること、または投与すること(自己投与を含む)を含む。いくつかの実施形態においては、食品を「提供すること」は、個体が自身で食品を取得および消費することを含む。例えば、いくつかの実施形態においては、個体は、彼らが本明細書で提供される方法に従って消費する食事を選択し、購入する。
【0073】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法における薬物バイオアベイラビリティを増加する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンを用いて個体を治療する方法が提供され、ここで個体は、バイオアベイラビリティおよび/または食品と共にナルトレキソンもしくは組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法を摂取するための指示に関する情報、好ましくは印刷情報が提供される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソン療法を増強する方法が提供される。
【0074】
いくつかの実施形態においては、薬物バイオアベイラビリティを増加させるか、または増強された療法を提供する方法などの、本明細書で提供される方法は、治療の投与の間に用いられる。いくつかの実施形態においては、治療は過体重または肥満の個体における体重減少を促進するか、または体重増加を軽減するのに有効である。肥満は、体格指数(BMI)を単位として定義されている。BMIは、体重(kg)/[身長(m)]2として算出される。米国疾病対策予防センター(CDC)および世界保健機関(WHO)の指針によれば、20歳を超える成人について、BMIは以下のカテゴリーの1つの中にある:18.5未満は低体重であると考えられ、18.5~24.9は正常であると考えられ、25.0~29.9は過体重であると考えられ、30.0以上は肥満であると考えられる(World Health Organization. Physical status: The use and interpretation of anthropometry. Geneva, Switzerland: World Health Organization 1995, WHO Technical Report Series)。
【0075】
いくつかの実施形態においては、個体は、少なくとも25kg/m2の体格指数(BMI)を有する。いくつかの実施形態においては、個体は、少なくとも30kg/m2の体格指数(BMI)を有する。いくつかの実施形態においては、個体は、少なくとも40kg/m2の体格指数(BMI)を有する。いくつかの実施形態においては、個体は、25kg/m2未満の体格指数(BMI)を有するか、またはナルトレキソンおよびブプロピオンの投与過程の間に25kg/m2未満のBMIを生じる。これらの実施形態においては、健康または美容目的のために、その後の体重増加を軽減するか、または体重減少を促進することによって、BMIをさらに低下させることが有益であり得る。いくつかの実施形態においては、個体は過体重または肥満であると医師によって診断されている。いくつかの実施形態においては、個体は、過体重もしくは肥満であると同定、例えば、自己同定されるか、または過体重もしくは肥満であると診断されたと同定される。
【0076】
いくつかの実施形態においては、体重減少の促進は、基準体重からの変化率によって測定される。これらの実施形態のいくつかにおいては、体重減少の量は、初期体重の0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上である、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上である、少なくとも0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上である、少なくとも約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、15%以上であるか、または前記値の任意の2つによって定義される範囲である。いくつかの実施形態においては、体重減少の促進は、ナルトレキソンおよびブプロピオンのいずれも投与されないか、またはその一方のみが投与される場合に経験される体重増加の量と比較した体重増加の減少として測定され、体重増加の減少の量は、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上である、約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上である、少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上である、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、105%、110%、115%、120%以上であるか、または前記値の任意の2つにより定義される範囲である。
【0077】
いくつかの実施形態においては、体重増加の軽減は、基準体重からの変化率によって測定される。これらの実施形態のいくつかにおいては、体重増加の量は、初期体重の0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%以上である、約0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%以上である、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%以下である、約0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%以下であるか、または前記値の任意の2つにより定義される範囲である。
【0078】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよび/またはブプロピオンの用量は、患者の体重が6ヶ月毎に基準体重の約3%の速度で減少するように調整される。しかしながら、患者の体重減少の速度は、患者の特定の必要性に基づいて治療する医師によって調整することができる。
【0079】
いくつかの実施形態においては、体重増加の軽減または体重減少の促進は、個体における満腹感を増加させることにより生じる。いくつかの実施形態においては、体重増加の軽減または体重減少の促進は、個体の食欲を抑制することにより生じる。いくつかの実施形態においては、治療は食事のレジメンおよび/または活動の増加を策定することを含む。
【0080】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンもしくはフルオキセチンと組み合わせたナルトレキソンなどの組合せ療法は、体重減少に作用する、心血管危険因子を減少させる、インスリン感受性を増加させる、食品への欲求を低下させる、内臓脂肪症状を治療する、禁煙中の体重増加を軽減するか、もしくは体重減少を促進するか、または大鬱病を有する患者における体重減少療法を提供するのに十分な量にある。そのような治療方法の非限定例は、米国特許第7,375,111号および第7,462,626号;米国特許出願公開第2007/0275970号、第2007/0270450号、第2007/0117827号、第2007/0179168号、第2008/0214592号、第2007/0128298号、第2007/0129283号;米国特許出願第12/751970号、第61/167486号および第61/293844号;ならびにWO 2009/158114に開示されており、それぞれ、その全体が参照により、また、限定されるものではないが、体重減少に作用する、心血管危険因子を減少させる、インスリン感受性を増加させる、食品への欲求を低下させる、内臓脂肪症状を治療する、禁煙中の体重増加を軽減するか、もしくは体重減少を促進するか、および大鬱病を有する患者における体重減少療法を提供する方法を説明する目的などのあらゆる目的で本明細書に組込まれる。いくつかの実施形態においては、心血管危険因子は、以下のもののうちの1または複数を含む:総コレステロールレベル、LDLコレステロールレベル、HDLコレステロールレベル、トリグリセリドレベル、グルコースレベル、およびインスリンレベル。いくつかの実施形態においては、心血管危険因子は以下のもののうちの1または複数を含む:総コレステロールレベル、HDLコレステロールレベル、およびトリグリセリドレベル。
【0081】
いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の体重減少治療の有効性の増加は、転帰尺度(outcome measure)の改善を含む。例えば、いくつかの実施形態においては、有効性の増加は、体重減少の量を増加させる。いくつかの実施形態においては、有効性の増加は、限定されるものではないが、吐き気、便秘、嘔吐、眩暈、口渇、頭痛、および不眠症などの有害事象の頻度または重篤度を低下させる。いくつかの実施形態においては、有効性の増加は、限定されるものではないが、胴囲、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)レベル、トリグリセリドレベル、HDLコレステロールレベルまたはLDL/HDLコレステロールレベルの比などの別の二次評価項目を改善する。当業者であれば認識できる通り、いくつかの環境においては、胴囲、hs-CRPレベル、トリグリセリドレベルおよびLDL/HDLコレステロールレベルの比を低下させ、HDLコレステロールレベルを増加させるのが望ましい。いくつかの実施形態においては、転帰尺度の改善は、1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100%である、約1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100%である、少なくとも1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100%である、もしくは少なくとも約1、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、40、50、60、70、80、90もしくは100%であるか、またはこれらの値の任意の2つにより定義される範囲内にある。
【0082】
いくつかの実施形態においては、治療が食事と共に摂取される場合の体重減少の量は、治療が食品と共に摂取されない場合の体重減少の量よりも有意に多い。いくつかの実施形態においては、治療が高脂肪食と共に摂取される場合の体重減少の量は、治療が食品と共に摂取されない場合の体重減少の量よりも有意に多い。いくつかの実施形態においては、治療が組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の定常状態の間に高脂肪食と共に摂取される場合の体重減少の量は、治療が同じ条件下で食品と共に摂取されない場合の体重減少の量よりも有意に多い。
【0083】
本明細書に記載のナルトレキソンおよびナルトレキソン組合せ療法のための正確な製剤、投与経路および用量は、患者の症状を考慮して個々の医師が選択することができる(例えば、Finglら、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、Ch. 1 p. 1を参照されたい)。ナルトレキソンとブプロピオンとの組合せが好ましい組合せであるが、ナルトレキソンとフルオキセチンとの組合せも意図され、本明細書に記載のどこでも、ナルトレキソンとブプロピオンとの組合せに置き換えることができる。
【0084】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはナルトレキソンおよびブプロピオンをそれぞれ1日1回投与する。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンをそれぞれ等用量に分割し、1日2回以上投与する。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンをそれぞれ同じでない用量に分割し、1日2回以上投与する。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンを異なる数の用量に分割し、1日あたり異なる回数投与する。1つのそのような実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの一方の用量を分割するが、他方の用量は分割しない。
【0085】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの一方または両方を、1日1回、2回、3回、4回以上投与する。いずれかまたは両方の化合物を、1日1回未満、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14日毎、または1週間もしくは2週間毎に1回、または前記値の任意の2つにより定義される範囲で投与することができる。いくつかの実施形態においては、1日あたりの投与回数は一定である(例えば、1日1回)。他の実施形態においては、投与の回数は可変的である。投与回数は、剤形の有効性、観察される副作用、外部因子(例えば、別の投薬の変化)、または剤形が投与された時間の長さに応じて変化してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンの日用量は、約4mg~約50mg、または約4mg~約32mg、または約8mg~約32mg、または約8mg~約16mgの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、日用量は、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約32mg、もしくは約48mgのナルトレキソン、または前記値の任意の2つによって定義される範囲である。特定の用量の選択は、患者の体重に基づいてもよい。特定の用量の選択は、別の同時投与される化合物の同一性、用量、および/または投薬スケジュールに基づいてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、これらの範囲の外側の用量を用いる必要があってもよい。いくつかの実施形態においては、日用量は単回経口剤形で投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンの日用量は同じであり、いくつかの実施形態においては、日用量は異なる。
【0087】
いくつかの実施形態においては、ブプロピオンの日用量は約30mg~約500mg、または約30mg~約360mg、または約90mg~約360mgの範囲であってよい。いくつかの実施形態においては、日用量は、約30mg、約90mg、約180mg、約360mg、もしくは約450mgのブプロピオン、または前記値の任意の2つにより定義される範囲である。特定の用量の選択は、患者の体重に基づいてもよい。特定の用量の選択は、別の同時投与される化合物の同一性、用量および/または投薬スケジュールに基づいてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態においては、これらの範囲の外側の用量を用いる必要があってもよい。いくつかの実施形態においては、日用量は単回経口剤形で投与される。いくつかの実施形態においては、ブプロピオンの日用量は同じであり、いくつかの実施形態においては、日用量は異なる。
【0088】
本明細書に記載の組成物を自己投与のために患者に配布、提供するか、または個体に投与することができる。いくつかの実施形態においては、組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法は、第3の化合物を含む。
【0089】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよび/またはブプロピオンは経口剤形として提供または投与される。いくつかの実施形態においては、経口剤形は、丸剤、錠剤、素錠、カプセル剤、カプレット剤、ルースパウダー、液剤、または懸濁剤の形態にある。好ましい実施形態においては、経口剤形は、丸剤、錠剤、またはカプセル剤の形態にある。いくつかの実施形態においては、組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法は、単回経口剤形中で提供される。いくつかの実施形態においては、経口剤形は、米国特許出願公開第2008/0113026号に記載の三層錠剤の形態にあり、その全体が参照により、また、限定されるものではないが、三層錠剤、三層錠剤を作製および製剤化する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的などのあらゆる目的のために本明細書に組込まれる。
【0090】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの少なくとも一方は、治療の間に変化する頻度で投与される。これらの実施形態のいくつかにおいては、変化する頻度は、時間と共に減少する頻度を含む。例えば、ナルトレキソンおよびブプロピオンの一方または両方を、最初は1日2回以上投与した後、治療におけるその後の時点では1日1回だけ投与してもよい。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの少なくとも一方の日用量は、変化する投与頻度にもかかわらず一貫している。例えば、いくつかの実施形態においては、2錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々を最初に1日2回投与するが、治療におけるその後の時点では4錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々を1日1回投与する。あるいは、いくつかの実施形態においては、1または2錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々を治療におけるその後の時点で投与し、その1または2錠は、最初に1日2回投与された2錠のナルトレキソンおよびブプロピオンの各々と等しい総日用量を有する。
【0091】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの一方または両方は、制御放出または持続放出(SR)製剤中で1日1回未満投与され、その用量は患者が本明細書に記載の日用量とほぼ同じである日用量を受けるように選択される。
【0092】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンは、単独で、または組合せ治療において、封鎖形態のナルトレキソンではない。例えば、いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンは、非封鎖制御放出製剤にある。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンは非封鎖持続放出製剤である。好ましい実施形態においては、少なくとも50%のナルトレキソンが投与の24時間以内に放出される。
【0093】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は、治療期間を通じて一貫した日用量で投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は治療期間中に変化する日用量で投与される。これらの実施形態のいくつかにおいては、日用量は時間と共に増加する日用量を含む。これらの実施形態のいくつかにおいては、日用量は時間と共に減少する日用量を含む。
【0094】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンは個別に投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンは、ナルトレキソンおよびブプロピオンを含む単一の医薬組成物中で投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は、持続放出または制御放出製剤中にある。例えば、持続放出形態のナルトレキソンは、米国特許出願公開第2007/0281021号に記載されており、これはその全体が参照により、また、限定されるものではないが、持続放出形態のナルトレキソンおよびブプロピオン、それらを作製し、好適な剤形に製剤化する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的のためなどのあらゆる目的のために参照により本明細書に組込まれる。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンまたはブプロピオンの少なくとも一方は、生理学的に許容し得る担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはその組合せと共に投与される。ナルトレキソン/ブプロピオン組合せ物、その製剤、およびそれらを投与する方法の非限定例は、米国特許第7,375,111号および第7,462,626号に開示されており、両方ともその全体が参照により、また、限定されるものではないが、ナルトレキソンおよびブプロピオンの組合せ、それらを作製し、好適な剤形に製剤化する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的のためなどのあらゆる目的のために本明細書に組込まれる。ナルトレキソンおよびナルトレキソン/ブプロピオン組合せ物の使用または投与に関する本明細書に記載の参照は、限定されるものではないが、個別の投与、単回剤形中での投与、塩および/もしくは代謝物の形態での投与、ならびに/または持続放出形態での投与などの、本明細書で開示または言及される全ての投与様式を含むことが理解される。本出願の化合物の製剤化および投与のための技術は、その全体が参照により本明細書に組込まれる「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton, PA、第18版、1990に見出すことができる。
【0095】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンはブプロピオンの前に投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンはブプロピオンの後に投与される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンとブプロピオンは同時投与される。本明細書で用いられる「同時投与」は、単回剤形、または同時に、もしくはほぼ同時に投与される別々の剤形での投与を含む。
【0096】
いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの投与は、1、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、48、もしくは52週間、または約1、2、3、4、6、8、10、12、16、20、24、36、48、もしくは52週間、または前記値の任意の2つにより定義される範囲にわたって継続される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソンおよびブプロピオンの投与は、疾患の症候、障害、または症状の減少が、1、2、3、4、5、6週間以上、または約1、2、3、4、5、6週間以上、または前記値の任意の2つにより定義される範囲にわたって安定化するまで継続される。例えば、いくつかの実施形態においては、組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法の投与は、個体における体重増加の軽減または体重減少の促進が1、2、3、4、5、6週間以上、または約1、2、3、4、5、6週間以上、または前記値の任意の2つにより定義される範囲にわたって安定化するまで継続される。いくつかの実施形態においては、ナルトレキソン、またはナルトレキソンおよびブプロピオンの投与は、個体が最早治療を必要としなくなるまで継続される。
【0097】
いくつかの実施形態においては、薬物を「投与すること」は、個体が薬物を自身で取得および摂取することを含む。例えば、いくつかの実施形態においては、個体は薬局から薬物を取得し、本明細書で提供される方法に従って薬物を自己投与する。
【0098】
いくつかの実施形態においては、本発明は、キットに関する。キットは、ナルトレキソン、ブプロピオン、またはナルトレキソンおよびブプロピオンを含む1または複数の単位剤形を含んでもよい。単位剤形は、経口製剤のものであってもよい。例えば、単位剤形は、丸剤、錠剤、またはカプセル剤を含んでもよい。キットは、複数の単位剤形を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、単位剤形は容器中にある。いくつかの実施形態においては、剤形は、ナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む単回経口剤形である。
【0099】
本明細書に開示される方法、組成物およびキットは、情報を含んでもよい。この情報は、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関により規定された形態にあってもよく、その通知はヒトまたは動物への投与のための薬剤の形態の政府機関による認可を反映する。そのような情報は、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局により認可されたラベル、または認可された製品挿入物であってもよい。情報は、用量および剤形、投与スケジュールおよび投与経路、有害事象、禁忌、警告および事前注意、薬物相互作用、ならびに特定の集団における使用(例えば、全体が参照により本明細書に組込まれる21 C.F.R.§201.57を参照されたい)に関する必要な情報を含んでもよく、いくつかの実施形態においては、薬物の販売のために薬物上に存在させるか、またはそれと関連させることが必要である。また、適合可能な医薬担体中で製剤化された本発明の持続放出ナルトレキソン製剤を含む剤形を調製し、好適な容器中に入れ、示される症状の治療のために標識することができる。いくつかの実施形態においては、キットは、米国食品医薬品局などの政府機関の認可を要し、その規制を受ける処方薬の販売のためのものである。いくつかの実施形態においては、キットは、例えば、米国における消費者へのキットの販売のための、FDAなどの当局により要求されるラベルまたは製品挿入物を含む。
【0100】
情報は、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約32mg、もしくは約48mgのナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の用量で単位剤形を投与するための指示書を含んでもよい。情報は、約30mg、約90mg、約180mg、約360mg、または約450mgのブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の用量で単位剤形を投与するための指示書を含んでもよい。これらの指示書は、様々な方法で提供することができる。情報は、いつ単位剤形を投与するかに関する指示を含んでもよい。例えば、情報は、別の薬剤または食品の投与と比較していつ単位剤形を投与するかに関する指示を含んでもよい。好ましい実施形態においては、情報は、ナルトレキソン、またはナルトレキソンおよびブプロピオンを、食品、好ましくは食事と共に摂取するように個体に指示する。
【0101】
いくつかの実施形態は、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合と比較してナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティの増加が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態は、ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合と比較してブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティの増加が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態は、ナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合と比較してナルトレキソンおよび/もしくはブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩のバイオアベイラビリティの増加が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態は、ナルトレキソンおよび/もしくはブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品と共に摂取すれば、同じ量のナルトレキソンおよびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩を食品なしで摂取した場合よりも少ないか、またはあまり重篤ではない薬物関連有害事象が得られるという情報、好ましくは印刷情報を含む。いくつかの実施形態においては、有害事象は胃腸事象である。いくつかの実施形態においては、バイオアベイラビリティ、有害事象、または投与体制に関する指示に関する情報が被験者に提供され、その情報に記載された薬剤を含む剤形が被験者に提供され、その剤形はその情報に従って投与される。いくつかの実施形態においては、被験者は前記薬剤を必要とする患者である。いくつかの実施形態においては、薬剤は本明細書に記載の疾患のための療法として投与される。
【0102】
指示および/または情報は、好適な媒体もしくは基質上の印刷情報(例えば、情報が印刷された紙片)、コンピュータにより読み取り可能な媒体(例えば、情報が記録されたディスク、CDなど)、またはインターネットを介してアクセスすることができるウェブサイトアドレスなどの様々な形態で存在してもよい。印刷情報は、例えば、薬物製品に付随するラベル上で、薬物製品のための容器上で、薬物製品とともに包装されて、もしくは薬物製品とは別に患者に別途与えられる形で提供するか、または患者が無関係に情報を取得することができるような様式で(例えば、ウェブサイト)提供することができる。印刷情報はまた、患者の治療に関与する医療介護人に提供することもできる。いくつかの実施形態においては、情報は人に口頭で提供される。
【0103】
いくつかの実施形態は、商業的販売にとって好適な治療用包装を含む。いくつかの実施形態は、容器を含む。容器は、任意の従来の形状または薬学的に許容可能な材料から作られた当業界で公知の形態、例えば、紙もしくは段ボール箱、ガラス製もしくはプラスチック製のビンもしくはジャー、再密閉可能な袋(例えば、異なる容器に入れるための錠剤の「リフィル」を保持するため)、または治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の用量を含むブリスターパック中にあってもよい。用いられる容器は、含まれる正確な剤形に依存してもよく、例えば、従来の段ボール箱は一般には、液体懸濁液を保持するためには用いられない。単回剤形を市販するために単一の包装中に同時に2つ以上の容器を用いることができることが実現可能である。例えば、錠剤をビンに含有させ、次いで箱の中に含有させることができる。包装およびディスペンサならびに経口剤形の非限定例は、米国特許出願公開第2008/0110792号および第2008/0113026号に開示されており、その両方ともその全体が参照により、また、限定されるものではないが、ナルトレキソンおよびブプロピオンの組合せ、それらを作製し、好適な剤形に製剤化する方法、それらを包装し、分配する方法、ならびにそれらを投与する方法を説明する目的などのあらゆる目的のために本明細書に組込まれる。
【0104】
情報は、例えば、本明細書に記載の剤形を含有するビンに接着固定されたラベル(例えば、処方ラベルもしくは個別のラベル)上に書く;単位用量パケットを含有する箱の内部などの文書による包装挿入物として容器の内部に含有させる;箱の壁面に印刷するなど容器に直接適用する;または例えば、ヒモ、コードもしくは他の線、飾りひももしくはテザー型デバイスを介してビンの首部に固定された指示カードとして結ぶか、またはテープで固定することにより付着させることにより、容器と関連させることができる。情報は単位用量パックまたはブリスターパックまたはブリスターカード上に直接印刷することができる。
【0105】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、多くの様々な改変を加えることができることを理解できる。従って、本明細書に開示された本発明の実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが明確に理解されるべきである。本明細書に記載の参考文献は全て、本明細書で考察される材料に関して、およびその全体が参照により組込まれる。
【0106】
(実施例)
以下の実施例は、非限定的なものであり、本発明の様々な態様を単に代表するものである。
【0107】
(実施例1)
単回用量のナルトレキソンおよびブプロピオン
第I相非盲検無作為化単回投与三元交差試験を実施して、持続放出ナルトレキソン(「ナルトレキソンSR」)/持続放出ブプロピオン(「ブプロピオンSR」)組合せ物三層錠剤の血漿薬物動態に対する食品の効果を評価した。健康な成人ボランティア(n=18;男性15人、女性3人;平均年齢=37歳;範囲=21~59歳)を、治療の間に最少で14日のウオッシュアウトを含む交差設計下でそれぞれ3回の治療を受けるように無作為化した。治療は、(1)絶食条件下での2錠のナルトレキソンSR 8mg/ブプロピオンSR 90mg錠(すなわち、2錠の「NB 8/90錠」);(2)標準化された高脂肪食の直後に投与される2錠のNB 8/90錠;または(3)標準化された中脂肪食の直後に投与される2錠のNB 8/90錠の単回投与からなっていた。ナルトレキソン、ブプロピオン、およびその対応する代謝物の血漿濃度の決定のための血液試料を、投与前(ベースライン)15分以内および投与後0.5~120時間の時点で測定した。
【0108】
NB 8/90錠を投与された被験者における食品効果比較の概要もTable 1(表1)に提供する。Table 2(表2)は、供給条件(すなわち、治療3)と絶食条件(すなわち、治療1)との間の統計的比較の結果を提示する。高脂肪条件下でのNB 8/90錠の投与は、絶食条件下で投与された同じ錠剤について観察されるものよりも、ナルトレキソンのCmaxおよびAUC値をそれぞれ271%および107%増加させ(すなわち、絶食条件の値のそれぞれ3.7倍および2.1倍)、ブプロピオンのCmaxおよびAUCをそれぞれ80%および38%増加させた(すなわち、絶食条件の値のそれぞれ1.8倍および1.4倍)。ナルトレキソンおよびブプロピオンのCmaxならびにAUCパーセント幾何平均比の90%CIは、80%~125%の範囲内にはなかった。ナルトレキソンに関するTmax中央値および見かけの最終消失半減期t1/2は、供給条件と絶食条件の間でナルトレキソンについて類似していた。ブプロピオンについては、Tmax中央値は絶食条件よりも供給条件下で1時間短かった;見かけの最終消失半減期t1/2値は、それぞれ22.70および20.44hrで類似していた。これは、食品がクリアランスを減少させないが、むしろ吸収を増加させ、および/または初回通過効果を減少させることを示唆している。
【0109】
代謝物に関しては、Cmaxは、絶食条件と比較して、高脂肪条件下で、6β-ナルトレキソールについては52%、トレオヒドロブプロピオンについては26%、およびブプロピオン代謝物の薬理加重合成物(pharmacologically weighted composite)(PAWC、相対効力について調整された全てのブプロピオン関連活性代謝物の単一の合計濃度)については40%増加し、これらの代謝物のCmaxパーセント幾何平均比に関する90%CIの上限は一般に、約125%を超えていた。全ての代謝物およびPAWCのAUC、ならびにヒドロキシブプロピオンおよびエリスロヒドロブプロピオンのCmaxは、高脂肪条件と絶食条件の間で同等であり、全ての90%CIが80%~125%の範囲内にあった。
【0110】
高脂肪標準食と共にNB 8/90錠を投与した場合、正の食品効果が得られ、ナルトレキソンのCmaxおよびAUCはそれぞれ約300%および100%増加し、ブプロピオンのCmaxおよびAUCはそれぞれ約80%および40%増加した。さらに、食品と共に投与すると、有害事象、特に、吐き気などの胃腸事象が減少した。絶食群の18人の患者のうちの3人が、薬物関連有害事象を経験したが(17%)、供給群の16人の患者のうちの1人のみが有害事象を経験した(6%)。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
(実施例2)
定常状態のナルトレキソンおよびブプロピオンに対する食品効果
第I相非盲検定常状態試験を実施して、供給および絶食条件下でのNB錠の血漿薬物動態を評価した。試験の延長により、NB錠の薬物動態に対する食品の効果の評価が可能になった。定常状態までの投与は、ブプロピオンおよび代謝物の蓄積を観察し、かくして、慢性投与後に予想される薬物動態学的相互作用の規模をより良好に見積もる機会を提供する。
【0114】
試験の1~31日目は、NB錠を定常状態での投与の文脈でのメトプロロールの薬物動態の一次調査に充てられた。被験者(n=18)は1日目および31日目にメトプロロールの50mg IR錠を受けた。3日目に1回のNB 8/90錠から、24日目に出発してNB 32/360(2錠のNB 8/90錠、1日2回)の最大用量まで毎週、NBの用量を上昇させた。臨床設定においては(1~3日目および27~31日目)、投薬前および薬物動態サンプリング前に標準食を提供した。これらの食事は脂肪量およびカロリー量において中程度であった。被験者に、試験の外来患者期(4~26日目)の間に食品と共に試験薬剤を摂取するように指示した。
【0115】
31日目の後、被験者(n=11;男性7人、女性4人;平均年齢=34歳;範囲=19~45歳)に、ナルトレキソンおよびブプロピオンの薬物動態に対する食品の効果を評価するために設計された3日間の治療延長期間に参加するように意見した。評価は、供給条件(「中程度」の食事、または高脂肪高カロリーの食事)の間および供給条件と絶食状態の両方の間の比較を可能にするように設計された。延長試験の治療シーケンスは以下の通りであった:
【0116】
【化1】
【0117】
中程度の食事後のナルトレキソンおよびブプロピオンの薬物動態データを30日目に取得した。任意選択の延長に参加する被験者は、32日目を経て1日2回の投与(中程度の食事と共に)を継続した。33日目に、被験者を、絶食状態または高脂肪(57%)、高カロリー(910kcal)の食事を用いる供給状態で試験薬の朝の投与を受けるように約1:1の比に無作為化した。試験薬の33日目の夕方の投与は食品(「中程度の」食事)と共に与えた。34日目については、被験者は33日目の朝に彼らが受けたものとは反対の条件下で朝の投与を受けた。33および34日目に、投与前および朝の投与後サンプリングの12時間を通して、ナルトレキソン、ブプロピオンおよびそれらの対応する代謝物について、薬物動態試料を採取した。食品の効果を試験するために、30日目の薬物動態(「中程度の」食事)と、33日目および34日目に投与された絶食および高脂肪食条件との間で比較を行った。
【0118】
NB 8/90錠を投与された被験者における食品効果の比較の概要もTable 1(表1)に提供する。Table 3(表3)は、異なる食事条件下でのナルトレキソンおよびブプロピオンの定常状態での薬物動態パラメータの概要および統計的比較を示す。朝の投与前の食事組成を中脂肪中カロリー食から高脂肪高カロリー食に変化させても、ナルトレキソンのCmaxおよびAUC0-12パラメータ値に影響せず、比較に関する幾何平均比およびCIは80~125%の生物学的同等性の範囲に含まれていた。しかしながら、Cminの比較に関する90%CIの下方境界は、80%下限よりも下であった。6β-ナルトレキソールに関する結果は、Cminに関する90%CIが80~125%の範囲内にあったことを除いて、ナルトレキソンのものと類似していた。
【0119】
中脂肪中カロリー食の後および高脂肪高カロリー食の後の2錠のNB 8/90錠の投与により、絶食条件下での投与と比較して、それぞれ81%および92%高いナルトレキソンのCmax値(すなわち、絶食条件の値の1.8倍および1.9倍)ならびに70%高い(両方の食事について)AUC0-12値(すなわち、絶食条件の値の1.7倍)が得られた。Cmin値に対する効果は低く、一貫性もなく、絶食条件に対して中脂肪中カロリー食に関しては10%高いCminおよび絶食条件に対して高脂肪高カロリー食に関しては12%低いCminであった。ナルトレキソンに関して観察された効果とは対照的に、いずれの食事型も6β-ナルトレキソール曝露パラメータに影響しないと考えられた。わずかに増加した、高脂肪対絶食条件におけるCmaxを除いて、全てのパラメータおよび90%CIが80~125%の範囲内にあった。
【0120】
朝の投与前の食事組成を中脂肪中カロリー食から高脂肪高カロリー食に変化させても、2錠のNB 8/90錠からのブプロピオンの吸収に影響しなかった。高脂肪高カロリー食対中脂肪中カロリー食後のブプロピオンのCmax、Cmin、およびAUC0-12パラメータの比較に関する幾何平均比および90%CIは、Cmaxの約10%の変化を示し、全てのパラメータが80~125%の生物学的同等性の範囲内に完全に含まれていた。
【0121】
中脂肪中カロリー食後および高脂肪高カロリー食後の2錠のNB 8/90錠の投与により、全体として食品は絶食状態での投与と比較してブプロピオンに対する最小および全体の曝露に影響せず、CminとAUC0-12の両方の比較に関する幾何平均比および90%CIは80~125%の生物学的同等性の範囲内に含まれていた。食品と共に投与することにより、絶食状態での投与と比較してブプロピオンのCmaxが生物学的同等性の範囲のちょうど外側に低下し、幾何平均比(90%CI)は、中脂肪中カロリー条件対絶食条件に関しては、それぞれ117%(107.95%~127.25%)であり、高脂肪高カロリー条件対絶食条件に関しては、それぞれ128%(118.72%~137.95%)であった。食事の状態はブプロピオン代謝物またはPAWCに対して影響せず、全ての幾何平均比および90%CIは80~125%の範囲内にあった。
【0122】
まとめると、ナルトレキソン/ブプロピオン療法の定常状態にある個体においては、中脂肪中カロリー食の後または高脂肪高カロリー食の後の2錠のNB 8/90錠の投与により、絶食状態と比較して、実質的により高いナルトレキソンのCmaxおよびAUC0-12値、および中程度により高いブプロピオンのCmax値が得られた。
【0123】
【表3A】
【0124】
【表3B】
【0125】
(実施例3)
中脂肪中カロリー食と共に摂取するナルトレキソンおよびブプロピオン
2つの非盲検交差試験を比較して、単回投与後のナルトレキソンおよびブプロピオンの薬物動態に対する中脂肪中カロリー食と絶食状態の効果を評価した。第1の非盲検単回投与交差試験における健康な成人ボランティア(n=20)は、絶食条件下で2錠のNB 8/90錠を受けた。第2の非盲検単回投与交差試験における健康な成人ボランティア(n=18)は、中脂肪(23%)、中カロリー(575kcal)食の後に手短に投与された2錠のNB 8/90錠を受けた(組合せナルトレキソン/ブプロピオン療法に伴う体重減少に関する第3相試験における食事条件と同様)。
【0126】
NB 8/90錠を投与された被験者における食品効果比較の概要もTable 1(表1)に提供される。Table 4(表4)は、供給条件(すなわち、第2の試験)と絶食条件(すなわち、第1の試験)との統計的比較の結果を提示する。中脂肪中カロリー食は、絶食条件と比較して、ナルトレキソンのCmaxおよびAUC0-∞をそれぞれ114%および80%増加させた(すなわち、絶食条件の値のそれぞれ2.1倍および1.8倍)。ブプロピオンの薬物動態はこの食事型によって有意に影響されず、絶食条件と比較して供給条件下でいくらかより低いCmaxおよびAUCを示した。かくして、ナルトレキソンおよびブプロピオンの薬物動態に対する中脂肪中カロリー食の効果は、単回投与条件下での高脂肪高カロリー食後の食品効果よりもあまり顕著ではなかったが、ナルトレキソンについては依然として統計的に有意ではあった。
【0127】
【表4】
【0128】
(実施例4)
ナルトレキソンおよびブプロピオンの食品効果試験
絶食および供給条件下でのNB錠の血漿薬物動態を評価するための試験を行う。治療群は、(1)単回用量の2錠のNB 8/90錠を食品なしで摂取するように指示された患者;(2)単回用量の2錠のNB 8/90錠を食品と共に摂取するように指示された患者;または(3)NB 8/90投与の定常状態の間に2錠のNB 8/90錠を食品と共に摂取するように指示された患者からなる。投与前(ベースライン)および投与後の指定された時点でのナルトレキソン、ブプロピオン、およびそれらの対応する代謝物の血漿濃度の決定のために、血液試料を採取する。
【0129】
NB 8/90を食品と共に摂取した場合、ナルトレキソンのAUCおよびCmaxは有意に増加する。NB 8/90をNB 8/90投与の定常状態の間に食品と共に摂取した場合、ナルトレキソンのAUCおよびCmaxは有意に増加する。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の持続放出製剤およびブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の持続放出製剤を含む、医薬組成物であって、食品と投される、医薬組成物
【請求項2】
前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり約90mg~約360mgの範囲にあり、前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり約4mg~約32mgの範囲にある、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が、ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩の非封鎖製剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項4】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が、前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩と同時に投与される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項5】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩が、前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩の前またはその後に投与される、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項6】
前記ナルトレキソンまたはその薬学的に許容可能な塩および前記ブプロピオンまたはその薬学的に許容可能な塩が単回剤形中にある、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項7】
前記食品が高脂肪食を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記食品が、約575カロリーおよび総カロリー量の約23%を占める脂肪の中カロリー中脂肪の食事;約1000カロリーおよび総カロリー量の約50%を占める脂肪の高カロリー高脂肪の食事;ならびに前記中カロリー中脂肪の食事および前記高カロリー高脂肪の食事により定義される範囲内にある食事からなる群より選択される食事を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記食品が、中カロリー中脂肪の食事を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】