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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007168
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240111BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20240111BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F1/0358
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108454
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】江平 浩太
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA08
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB06
4D052BB09
4D052GA03
4D052GB00
(57)【要約】
【課題】タンク室にドレンタンクの位置を検出するための別のセンサを設けると部品点数が増えてしまう課題があった。
【解決手段】タンク挿入口16に導電体103を設け、導電体103は、ドレンタンク15を収納した状態で、電極101と導電体103とが接触せず、ドレンタンク15を引き出した状態で、電極101と導電体103とが接触する位置に設けられ、電極101と導電体103とが接触しているか否かに応じて、タンク挿入口16にドレンタンク15が収納されているかを推定可能としたため、タンクが無い状態で運転される事が無く漏水の恐れが無い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生したドレン水を溜める引き出し式のドレンタンクと、
前記ドレンタンクを格納するタンク挿入口と、
前記ドレンタンク内のドレン水の水位を検出するために少なくとも一部が前記ドレンタンクの水に浸される複数の電極と、
複数の前記電極を保持し、前記タンク挿入口に前記ドレンタンクを収納した状態では前記ドレンタンク内の水中に浸るような所定位置へ複数の前記電極を進入させ、前記ドレンタンクを引き出した状態では前記ドレンタンクの外に複数の前記電極を退避させるように回動可能に設けられ電極ホルダと、
前記複数の電極の静電容量から前記ドレンタンク内のドレン水の水位を検出する制御部と、
を備えた除湿機において、
前記タンク挿入口に導電体を設け、前記導電体は、前記ドレンタンクを収納した状態で、前記電極と前記導電体とが接触せず、前記ドレンタンクを引き出した状態で、前記電極と前記導電体とが接触する位置に設けられ、前記電極と前記導電体とが接触しているか否かに応じて、前記タンク挿入口に前記ドレンタンクが収納されているかを推定可能とした事を特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記導電体自体を磁気を帯びた磁石で構成するか、または前記導電体と前記電極との接触面の裏側に磁気を帯びた磁石を配置するか、の少なくとも一方の構成と、
磁気によって吸着可能な磁性体で構成された複数の前記電極と、を備え、
前記ドレンタンクを引き出した状態で、前記導電体と前記電極が接触する際に、接触状態を維持する事を特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記制御部は、測定した複数の前記電極の静電容量が予め設けられた所定の値よりも小さい場合に前記導電体と前記電極が接触しており、前記タンク挿入口に前記ドレンタンクが収納されていないと推定する事を特徴とする請求項1または2に記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿機には、発生したドレン水を溜めるドレンタンクが設けられている。このドレンタンクには、水位を検出するための水位検出機構が設けられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-296870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水位検出機構に静電容量方式のセンサを用いた除湿機においては、タンク室に格納される引き出し式のドレンタンクが設けられたもので、タンク室にドレンタンクがない状態で運転されると漏水するため、タンク室にドレンタンクの位置を検出するための別のセンサを設けると部品点数が増えてしまう課題があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ドレンタンクの水位検出とドレンタンクの有無の検出を好適に行う除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、発生したドレン水を溜める引き出し式のドレンタンクと、前記ドレンタンクを格納するタンク挿入口と、前記ドレンタンク内のドレン水の水位を検出するために少なくとも一部が前記ドレンタンクの水に浸される複数の電極と、複数の前記電極を保持し、前記タンク挿入口に前記ドレンタンクを収納した状態では前記ドレンタンク内の水中に浸るような所定位置へ複数の前記電極を進入させ、前記ドレンタンクを引き出した状態では前記ドレンタンクの外に複数の前記電極を退避させるように回動可能に設けられ電極ホルダと、前記複数の電極の静電容量から前記ドレンタンク内のドレン水の水位を検出する制御部と、を備えた除湿機において、前記タンク挿入口に導電体を設け、前記導電体は、前記ドレンタンクを収納した状態で、前記電極と前記導電体とが接触せず、前記ドレンタンクを引き出した状態で、前記電極と前記導電体とが接触する位置に設けられ、前記電極と前記導電体とが接触しているか否かに応じて、前記タンク挿入口に前記ドレンタンクが収納されているかを推定可能とした事を特徴としている。
【0007】
また、請求項2では、前記導電体自体を磁気を帯びた磁石で構成するか、または前記導電体と前記電極との接触面の裏側に磁気を帯びた磁石を配置するか、の少なくとも一方の構成と、磁気によって吸着可能な磁性体で構成された複数の前記電極と、を備え、前記ドレンタンクを引き出した状態で、前記導電体と前記電極が接触する際に、接触状態を維持する事を特徴としている。
【0008】
また、請求項3では、前記制御部は、測定した複数の前記電極の静電容量が予め設けられた所定の値よりも小さい場合に前記導電体と前記電極が接触しており、前記タンク挿入口に前記ドレンタンクが収納されていないと推定する事を特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、共通の電極を用いて、水位とドレンタンクの有無を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における除湿機の外観斜視図。
図2】除湿機の分解斜視図。
図3】除湿機の縦断面図。
図4】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図5】ドレンタンクがタンク挿入口に装着された際の、ドレンタンクと水位検出機構とを側方から見た図。
図6】ドレンタンクがタンク挿入口から引き出された際の、ドレンタンクと水位検出機構とを側方から見た図。
図7】電極が検出する静電容量値を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る除湿機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の除湿機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機に適用して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
図2は、除湿機1の分解斜視図である。
図3は、除湿機1の縦断面図である。
図4は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0013】
除湿機1は、除湿機1の外観を構成する右枠2と、左枠3と、化粧板4と、ベース5とを有している。右枠2と左枠3とが嵌まり合った上端部分は、取手10を形成する。右枠2は、複数のスリットを有する吸込口11を有している。吸込口11は、外側表面12側にフィルタ13と、フィルタケース14とを有している。フィルタ13は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する塵埃や臭い成分などを取り除く。フィルタケース14は、フィルタ13を吸込口11に取り付ける。また、右枠2は、ドレンタンク15が着脱されるタンク挿入口16を吸込口11下部に有している。
【0014】
左枠3は、複数のスリットを有する吹出口20を上部に有している。吹出口20は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方向から水平方向に制御可能な風向板21を有している。風向板21は、風向板モータ22により駆動される。
【0015】
化粧板4は、上方に操作部25を有している。操作部25は、図2に示すように、化粧板4の上面26と、操作部ケース27と、操作ユニット28とで構成されている。操作部25は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどのスイッチ類29と、運転ランプなどのランプ類30とを有している。
【0016】
除湿機1は、主な内部部品として、シロッコファン31と、ファンモータ32と、冷凍装置と、ドレンタンク15と、コントロールユニット34と、水位検出機構100と、を有している。水位検出機構100は水位に応じた静電容量を検出し、磁石で吸着可能な磁性体で形成された電極101と、複数の電極101を保持するL字状の電極ホルダ102と、タンク挿入口16の内部の上部に設けられた導電体103を有している。導電体103は、後述の電極ホルダ102が回転し、電極101がドレンタンク15の上側に移動するように退避した際に、電極101に対応する位置に配置されている。導電体103は、磁性を有する磁石で構成され、近傍にある磁性体を吸着可能となっている。電極ホルダ102は、L字状の角部に設けられた軸104を回転軸として回転可能な構造になっている。軸104は、タンク挿入口16内に設けられ、ドレンタンク15を着脱する方向と直行する向きに設けられている。
【0017】
シロッコファン31は、ファンモータ32の回転軸と同軸状に回転中心が固定されている。シロッコファン31は、吸込口11から空気を吸い込み、吹出口20から吹き出す風路を形成する。シロッコファン31およびファンモータ32は、ファンケース36に取り付けられている。
【0018】
冷凍装置は、冷媒が流れる順に、圧縮機40と、凝縮器41と、減圧装置42と、蒸発器43と、アキュムレータ44とを有している。冷媒は、蒸発器43を流れる際に蒸発器43の外側を通過する空気から熱を奪い蒸発する。これにより、蒸発器43の表面は露点温度以下に冷却され、そこを通過する空気中の水分が蒸発器43の表面に結露する。この原理により、除湿機1が空気中から水分を除去して除湿する。
【0019】
圧縮機40は、ベース5上に固定されており、配管45を介して蒸発器43および凝縮器41に接続されている。蒸発器43および凝縮器41は、第1熱交換器48と第2熱交換器49とでそれぞれ構成されている。第1熱交換器48と第2熱交換器49とは、それぞれフィンチューブ型の熱交換器であり、同一風路内に上流側から第1熱交換器48、第2熱交換器49の順に配置されている。蒸発器43および凝縮器41は、ファンケース36におけるシロッコファン31が固定された面と逆の面にドレンパン50を介して固定されている。ドレンパン50は、蒸発器43で発生した結露水を受け、排水口51からドレンタンク15へ結露水を導く。
【0020】
以上の構成により、吸込口11から吸込まれた空気は、フィルタ13で塵埃や臭い成分などが取り除かれた後、蒸発器43で水分が除去され、さらに凝縮器41を通過し、シロッコファン31によって吹出口20から吹き出される。
【0021】
ドレンタンク(タンク)15は、ドレンパン50の排水口51から排水される、発生したドレン水を溜める。ドレンタンク15は、タンク挿入口16を介してファンケース36に対して水平方向のスライドにより着脱される。ドレンタンク15は、ファンケース36により形成されたタンク室52(図3)に装着される。
【0022】
図4に示すコントロールユニット34(制御部)は、スイッチ類29からの指示に基づいてファンモータ32や圧縮機40などを電気的に制御することにより、除湿機1の動作を制御する。また、本実施形態におけるコントロールユニット34は、電極101の検出結果に基づいてドレンタンク15に溜まったドレン水の水位を推定する。推定された水位はランプ類30を用いた水位表示に用いられる。
【0023】
コントロールユニット34は、記憶部70およびタイマ71を有している。記憶部70は、スイッチ類29より受け付けた指示に基づいて実行される、ファンモータ32や圧縮機40、ランプ類30の動作プログラムなどを記憶する。タイマ71は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。温度センサ75および湿度センサ76は、除湿機1の周囲温度および湿度を計測し、コントロールユニット34は必要に応じて得られた値を制御に使用する。温度センサ75および湿度センサ76は、例えば吸込口11付近に設けられる。報知部78は、コントロールユニット34の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラームを報知する。
【0024】
ここで、図5は、ドレンタンク15がタンク挿入口16に装着された際の、ドレンタンク15と水位検出機構100とを側方から見た図である。
図6は、ドレンタンク15がタンク挿入口16から引き出された際の、ドレンタンク15と水位検出機構100とを側方から見た図である。
水位検出機構100は、ドレンタンク15をスライドにより収納する際ドレンタンク15の奥面上側の端部15aが電極ホルダ102に接触し、押し込まれることに伴い電極ホルダ102が回転する。この事で電極101は、ドレンタンク15の内側に進入し、ドレンタンク15内の水中に浸かることで電極101が水位を検出可能な所定位置に移動する。この際、電極101はドレンタンク15内の水位に応じた静電容量値を検出する。また、水位検出機構100は、ドレンタンク15が収納された状態からスライドにより引き出す際ドレンタンク15の奥面上側の端部15aが電極101に接触し、ドレンタンク15が引き出されるに伴い電極ホルダ102が回転する。この事で電極101は、ドレンタンク15の上側に移動するように退避する。これにより、水位検出機構100は、ドレンタンク15を着脱可能な状態となる。この際、電極101は電極ホルダ102が回転する事により上側に移動した際に、タンク室52に設けられた導電体103に接触する。電極101は導電体103の磁気に吸着され、電極101と導電体103との接触状態が保持されるとともに、電極101は導電体103と接触する事で、電極101が検出する静電容量値が所定の値よりも小さい値となる。
【0025】
ここで、図7は、電極101が検出する静電容量値を示した図である。
ここでは空のドレンタンク15がタンク挿入口16にスライドにより装着され、水位が上昇する際の一連の静電容量値を説明する。T0では、ドレンタンク15がタンク挿入口16の外側にあり、電極101は導電体103と接触しているため、複数設けられた電極101が導電体103によって短絡する。このため、電極101は検出する静電容量値が所定の値よりも小さい値となる。T1では、空のドレンタンク15がタンク挿入口16にスライドにより装着され、ドレンタンク15の端部15aが電極ホルダ102に接触し、電極ホルダ102が回転する事で電極101がドレンタンク15の内側に移動する。その際、電極101は導電体103との接触が解除され、複数設けられた電極101の短絡状態が解除される。これにより、電極101が検出する静電容量値は、ドレンタンク15が空の状態の静電容量値を示す事となる。T1以降は、ドレンタンク15内の水位に応じた静電容量値を検出する。コントロールユニット34はこの電極101が検出する静電容量値を用いて、電極101が検出する静電容量値が所定の値よりも大きい値の時にドレンタンク15がタンク挿入口16に装着されていると判断し、運転を許容する。コントロールユニット34はこの電極101が検出する静電容量値を用いて、電極101が検出する静電容量値が所定の値よりも小さい値の時にドレンタンク15がタンク挿入口16に装着されていないと判断し、運転を禁止する。このことにより、ドレンタンク15がタンク挿入口16に装着されていない時に運転が行われず、漏水の恐れがない。
【0026】
尚、電極ホルダ102はタンクが無い状態で、導電体103と電極101とが接触する方向に回転する力が発生するように、バネや重りを用いても良いものである。
【0027】
尚、導電体103は、磁性体を磁気によって吸着可能な磁石で形成された一例を用いて説明するが、導電体103の電極101との接触面の裏側に磁石を設けても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 除湿機
15 ドレンタンク
16 タンク挿入口
52 タンク室
101 電極
102 電極ホルダ
103 導電体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7