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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071736
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】安全コントローラ
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20240517BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G05B9/02 Z
G05B19/05 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059106
(22)【出願日】2024-04-01
(62)【分割の表示】P 2019209187の分割
【原出願日】2019-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 元宏
(57)【要約】
【課題】本発明は、安全入力機器からの各種情報を安全コントローラで好適に表示する仕組みを提供する。
【解決手段】安全コントローラ3は、1以上の安全入力機器を接続する親和性ポート9と、親和性ポート9によって接続されている1以上の安全入力機器からの安全入力信号及び安全入力機器の状態情報を取得する。また、安全コントローラ3は、安全プログラムに従って、取得した安全入力信号に基づいて安全出力信号を生成するMCU23と、取得した状態情報に基づいて、当該状態情報の取得元となる安全入力機器の状態を表示する表示装置5aとを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全プログラムを実行する安全コントローラであって、
通信端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するポートと、
二重化された一対の入力端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するIOコネクタと、
前記ポートによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第一安全入力信号及び安全入力機器の状態情報を取得し、前記IOコネクタによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第二安全入力信号を取得する取得手段と、
外部装置からユーザが生成したプログラムとして送信された前記安全プログラムに従って、前記取得手段により取得された前記第一安全入力信号及び前記第二安全入力信号に基づいて安全出力信号を生成する実行エンジンと、
前記取得手段によって取得した状態情報に基づいて、該状態情報の取得元となる安全入力機器の状態を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする安全コントローラ。
【請求項2】
前記取得手段によって取得した状態情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記安全入力機器の状態として、前記記憶手段に記憶された状態情報から、対応する安全入力機器の過去の状態を表示することを特徴とする請求項1に記載の安全コントローラ。
【請求項3】
前記表示手段は、前記安全出力信号の論理が切り替わったタイミングの前記安全入力機器の状態を表示することを特徴とする請求項2に記載の安全コントローラ。
【請求項4】
前記表示手段は、前記安全出力信号の論理が切り替わった前後の前記安全入力機器の状態を表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の安全コントローラ。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記安全出力信号の論理が切り替わった前後の所定期間の信号を記憶することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項6】
前記状態情報に従ってエラー又は警告を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項7】
前記表示手段は、前記安全入力機器がライトカーテンである場合には、前記状態情報に基づいて該ライトカーテンにおける光軸ごとの受光量を識別可能に表示することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項8】
前記表示手段は、さらに、警告が報知される受光量の閾値を識別可能に表示することを特徴とする請求項7に記載の安全コントローラ。
【請求項9】
前記表示手段は、前記安全入力機器がドアスイッチである場合には、前記状態情報に基づいて該ドアスイッチのロック状態を表示することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項10】
前記表示手段は、複数の前記ドアスイッチがカスケード接続されている場合には、全てのドアのロック状態を表示すること特徴とする請求項9に記載の安全コントローラ。
【請求項11】
前記表示手段は、前記取得手段によって取得した情報から安全入力機器の種別を特定し、特定した種別に応じた表示を行うことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項12】
前記安全入力機器の状態についての表示情報を該安全入力機器に送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項13】
前記送信手段は、さらに、前記安全入力機器の状態についての表示情報を外部装置に送信し、Webサーバとして機能することを特徴とする請求項12に記載の安全コントローラ。
【請求項14】
前記表示手段は、前記安全コントローラの筐体の一部に設けられることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項15】
前記ポートは、少なくとも、信号線及び通信線を接続可能なポートであり、
前記取得手段は、前記信号線を介して安全入力信号を取得し、前記通信線を介して前記状態情報を取得することを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項16】
前記ポートは、前記信号線及び前記通信線に加えて、電源供給可能なケーブルを接続可能なポートであることを特徴とする請求項15に記載の安全コントローラ。
【請求項17】
さらに、1以上の安全入力機器を接続する他のポートであって、信号線を接続可能なポートである前記他のポートを備え、
前記取得手段は、前記他のポートを介して接続された安全入力機器からの安全入力信号を、前記信号線を介して取得し、
前記表示手段は、前記他のポートに接続された安全入力機器については、該安全入力機器の状態を表示することなく、前記取得手段によって取得した前記安全入力信号を識別可能に表示することを特徴とする請求項15又は16に記載の安全コントローラ。
【請求項18】
前記信号線は、二重化されたON/OFFケーブルであることを特徴とする請求項15乃至17の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
製品(ワーク)を生産する製品工場においては多数の産業機械が稼働している。安全システムは、産業機械から人間の安全を確保するために欠かせないシステムである。安全システムは、一般に、産業機械の稼働エリア内に人間が侵入すると、産業機械を緊急停止させる。そのため、安全システムでは、産業機械の稼働エリアに人間等の物体の侵入を監視する安全入力機器が各所に設けられている。安全入力機器には、たとえば物体の侵入を検知するライトカーテン、スキャナ、カメラなどのセンサや、ドアの開閉を検知するドアスイッチなど様々な種別の機器がある。これらの安全入力機器は安全システムの安全制御を行う安全コントローラに接続される。安全コントローラは安全入力機器からの安全入力信号を監視し、必要に応じて産業機械を緊急停止させる。
【0003】
このように、安全入力機器は安全システムにおいて人間の安全を確保するために重要な機器であり、安全入力信号だけでなく、安全入力機器に関わる状態情報も非常に重要な情報となる。たとえばライトカーテンは複数の光線を用いて所定の侵入領域に光線のバリアを設け、光線が物体等により遮断されると受光量が減るため侵入を検知することができる。従って、光源部と受光部の設置位置は重要であり、それらが最適に設置されているかを確認するためには各光軸における受光量を監視することが必要となる。この受光量が上記状態情報に相当し、機器の状態を確認する上で作業員等が必要な情報である。特許文献1では、安全センサのパラメータ設定を行うPCなどのオペレータ・コントロール・ユニットにおいて、設定済みのパタメータや光量を視認、確認する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009-515265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安全コントローラは安全制御を実行するための機器であり、安全入力機器とのインタフェースは、一般に、安全ON/OFF信号に限られていた。また、外部装置であるPCを安全センサに接続して各種パラメータの設定や情報を確認するもので、設定や確認を行う場合には別途PC等が必要である。このように、PCを接続して確認する場合には、意図せぬプログラムの書き換えなども想定され、現場ですぐに状況を確認できない場合もある。しかし、現場では、より手軽に安全入力機器に関わる各種情報を確認できる仕組みが要望されている。たとえば産業機器の緊急停止が発生した場合には、その原因を早急に突き止めて危険を取り除き、産業機器をできる限り早く復旧することが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、安全入力機器からの各種情報を安全コントローラで好適に表示する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、たとえば、安全プログラムを実行する安全コントローラであって、通信端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するポートと、二重化された一対の入力端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するIOコネクタと、前記ポートによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第一安全入力信号及び安全入力機器の状態情報を取得し、前記IOコネクタによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第二安全入力信号を取得する取得手段と、外部装置からユーザが生成したプログラムとして送信された前記安全プログラムに従って、前記取得手段により取得された前記第一安全入力信号及び前記第二安全入力信号に基づいて安全出力信号を生成する実行エンジンと、前記取得手段によって取得した状態情報に基づいて、該状態情報の取得元となる安全入力機器の状態を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全入力機器からの各種情報を安全コントローラで好適に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】安全コントローラシステムを説明する図
図2】安全コントローラと拡張モジュールを説明する図
図3】Webサーバを説明する図
図4】安全コントローラの詳細UIを説明する図
図5】ユーザーインターフェースを説明する図
図6】カスケード接続されたドアスイッチを説明する図
図7】ユーザーインターフェースを説明する図
図8】ユーザーインターフェースを説明する図
図9】ユーザーインターフェースを説明する図
図10】ユーザーインターフェースを説明する図
図11】安全入力機器からの情報を履歴情報として記憶する処理手順を示すフローチャート
図12】安全入力機器からの情報を表示する際の処理手順を示すフローチャート
図13】安全コントローラのMCUの機能を説明する図
図14】は安全コントローラの斜視図
図15】は安全コントローラの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態が詳しく説明される。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一または同様の構成には同一の参照番号が付され、重複した説明は省略される。とりわけ、小文字のアルファベットは複数の同種の構成要素を区別するために付与されており、複数の構成要素に共通した説明が記載されるときには、小文字のアルファベットが省略されることがある。
【0011】
<安全コントローラシステム>
図1はシステムの全体を示している。この例で、安全コントローラシステム1は、メインモジュールである安全コントローラ3、拡張モジュール4a、4bを有している。安全コントローラ3は、ユーザーが安全プログラムを作成することを支援する作成支援装置として機能するPC2から転送されてきた安全プログラムを実行する。安全コントローラ3は、表示装置5a、操作部6a、通信コネクタ7a、IOコネクタ10a、親和性ポート9a、9bなどを有している。PC2も表示装置5b、および操作部6bを有している。通信コネクタ7aは、USBや有線LANのためのコネクタであってもよい。PC2からの通信ケーブルは通信コネクタ7aに接続されている。有線LANは産業用のイーサネット(登録商標)であってもよい。LANはローカルエリアネットワークの略称である。IOコネクタ10aの入力端子には、緊急停止スイッチやライトカーテンなどの安全入力機器11aが接続される。IOコネクタ10aの出力端子には、ロボットアームなどの産業機器が動力源(危険源)として接続される。
【0012】
親和性ポート9a、9bには、親和性ポート9a、9bに対応したインタフェースを有する安全入力機器11c~11hなどが接続される。親和性ポート9a、9bに接続可能な安全入力機器11としては、たとえば、ライトカーテン、セーフティレーザスキャナ、ドアスイッチなどの安全センサがある。親和性ポート9は、安全入力機器から出力されるOSSD信号等の安全出力信号を安全入力信号として受信するON/OFF入力端子と、安全入力機器に電力を供給するための+24V端子および0V端子等の電力供給端子、および安全入力機器と通信をするための通信端子を有するポートである。ON/OFF入力端子は、IOコネクタ10aに含まれる二重化された一対の入力端子と同様に、安全入力機器からの二重化された安全出力信号を二重化された安全入力信号として受信する一対の端子である。親和性ポート9は通信端子に代えて、または、通信端子に加えAUX端子などを有していてもよい。AUX端子は、安全入力機器11からの補助的な信号を受信する端子であり、たとえば、安全センサの検知状態を示す信号や、OSSD信号に対応する保護エリアとは異なる警告エリアにおける検知状態を示す信号を受信する。
【0013】
安全コントローラ3は、安全入力機器11aから入力される安全入力信号などの入力値に対して安全プログラムにしたがった演算処理を実行して出力値を求め動力源12へ出力する。たとえば、安全入力機器11aの一種である緊急停止スイッチが押し下げられると、安全コントローラ3は、出力値をON(安全)からOFF(安全ではない)に変更する。これにより、動力源12が停止する。安全コントローラ3に設けられたIOコネクタ10aだけではすべての安全入力機器および動力源を接続できない場合がある。このような場合には、拡張モジュール4a、4bが安全コントローラ3に接続される。
【0014】
拡張モジュール4a、4bはそれぞれIOコネクタ10b、10cを有しており、安全入力機器11bおよび動力源12などを接続できる。拡張モジュール4a、4bと安全コントローラ3は相互に通信することで、入力信号、出力信号および安全入力機器からの状態情報を受け渡す。つまり、安全コントローラ3は、自己に接続された安全入力機器11aおよび拡張モジュール4a、4bに接続された安全入力機器11aから取得した入力信号に安全プログラムを適用することで出力信号を生成する。さらに、安全コントローラ3は、安全プログラムに従って生成した出力信号を、自己に接続された動力源12に出力したり、拡張モジュール4a、4bに接続された動力源12に出力したりする。拡張モジュール4a、4bも親和性ポート9を有してもよい。拡張モジュール4a、4bの親和性ポート9にも安全入力機器や安全出力機器が接続可能である。
【0015】
安全コントローラ3は、正面側にIOコネクタ10aを有し、背面側で取付具に取り付けられ、側面に他のモジュールが配置される。親和性ポート9は、アクセスの容易性の観点からは安全コントローラ3の正面側に設けられてもよい。また、表示装置5a、操作部6a、通信コネクタ7a、IOコネクタ10a等が安全コントローラ3の正面側に設けられることがあり、安全コントローラ3のサイズの観点から親和性ポート9は、安全コントローラ3の上面側または下面側に設けられてもよい。安全コントローラ3は、リモートIOと通信するためのリモートIOポートをさらに有していてもよい。リモートIOポートは、たとえば、安全コントローラ3の上面側または下面側に設けられ、親和性ポート9とは異なる面に設けられる。
【0016】
安全コントローラ3と拡張モジュール4は、内部バスを介して接続されており、安全コントローラ3は、内部バスを介して拡張モジュール4と通信して、IOコネクタ10b、10cに接続された安全入力機器11からの安全入力信号を取得する。また、安全コントローラ3は、親和性ポート9を介して安全入力機器11に電力供給をしつつ、安全入力機器11から安全入力信号を取得するとともに安全入力機器11から付加情報を取得する。つまり、安全コントローラ3は、拡張モジュール4のIOコネクタ10bに接続された安全入力機器11bから内部バスを介して安全入力信号(入力値)を取得する第1の取得経路と、親和性ポート9を介して安全入力機器11c~11hから安全入力信号(入力値)を取得する第2の取得経路を有する。なお、リモートIOポートを有する場合、安全コントローラ3は、リモートIOポートを介した第3の取得経路を有する。また、安全コントローラ3は、安全コントローラの機能とセンサコントローラの機能を有する。第1、第2の取得経路を介して取得した安全入力信号(入力値)を用いて安全プログラムに従って安全出力信号(出力値)を生成することが安全コントローラの機能に相当し、安全センサ等の安全入力機器11c~11hからの付加情報の表示、記録、または、安全センサ等の安全入力機器11c~11hを制御することがセンサコントローラ機能に相当する。図1に示すように安全センサ等の安全入力機器11c~11e、11f~11hは、直列に接続可能である。直列に接続することで、安全コントローラ3側から各安全入力機器11に電力供給されるとともに、各安全入力機器11の安全出力信号を安全コントローラ3側の安全入力機器11c、11hにより信号をまとめる論理演算をすることで、一対の安全出力信号を一対の安全入力信号として安全コントローラ3に入力することができる。また、直列に接続された各安全入力機器11は各安全入力機器11が有する付加情報を安全コントローラ3と通信する。安全センサは、一般に、監視対象である保護エリア内の検知結果と、予め定められた判定条件と、エラー検知結果とに基づいて安全出力信号としてONを出力するかOFFを出力するかを判定するものである。付加情報は、たとえば、安全センサによる保護エリア内の検知結果やエラー検知結果等を含み、安全出力信号がOFF信号となった原因の解明を補助する。
【0017】
<安全コントローラと拡張モジュールのハードウエア>
図2が示すように、安全コントローラ3のコントローラ20aは二つのMCU(micro controller unit)23a、24aとメモリ25aとを有している。コントローラ20aはPC2から受信した安全プログラムをメモリ25aに記憶する。信頼性を高めるためにMCU(マイクロコントローラユニット)は二重化されている。MCU23a、24aはそれぞれメモリ25aに保持されている安全プログラムを実行する。MCU23a、24aは親和性ポート9および安全入力IF21aを介して安全入力機器11の入力信号およびバスIF26aを介して拡張モジュール4から入力された入力信号に基づき出力信号を生成して安全出力IF22aおよび拡張モジュール4に出力する。たとえば、MCU23a、24aがともにON信号を出力していれば、安全出力IF22aはON信号を出力する。MCU23a、24aのうちの一方または両方がOFF信号を出力していれば、安全出力IF22aはOFF信号を出力する。このようにコントローラ20aは、バスIF26aを介して拡張モジュール4と通信して入力信号を受信したり、出力信号を送信したりする。通信IF27aは通信コネクタ7aを介して他の機器と通信する。親和性ポート9のOSSD信号、電源、通信に関する回路は通信IF27aに含まれていてもよいし、別の回路として独立していてもよい。
【0018】
安全入力機器の例としては、セーフティレーザスキャナ、ライトカーテン、ドアスイッチなどがある。安全入力機器は一般的に安全規格を満たすものであり、安全入力機器の出力は二重化されている。二重化により信号の不一致が生じた際には、安全コントローラまたはセンサ自身が当該センサの故障を検知することができる。
【0019】
また、メモリ25aには、PC2から受信した安全プログラムに加えて、安全入力機器11a、11bから安全入力IF21aを介して入力された入力信号の信号値や状態情報が履歴情報として記憶される。なお、MCU23a、24aは、メモリ25aに設けられた一時記憶領域に、各安全入力機器から取得した情報を一時的に記憶し、所定の条件を満たすと正式に履歴情報としてメモリ25aに記憶する。一方、MCU23a、24aは、所定の条件を満たすことなく一時的に記憶してから所定時間が経過すると、当該情報を削除する。これにより、安全入力機器からの情報によるメモリ資源の枯渇を抑制することができる。上記所定の条件とは、たとえば安全出力信号の論理が変化した場合であり、MCU23a、24aは当該変化点の前後の情報を履歴情報としてメモリ25aに記憶させる。これにより、作業員は、たとえば動力源12が緊急停止した前後の安全入力機器の状態情報等を確認することができ、有用な情報を効率よく入手することができる。
【0020】
拡張モジュール4aのコントローラ20bは二つのMCU23b、24bとメモリ25bとを有している。信頼性を高めるためにMCU(マイクロコントローラユニット)は二重化されている。MCU23b、24bはそれぞれメモリ25bに保持されている制御プログラムを実行する。コントローラ20bは安全入力IF21bを介して安全入力機器11の入力信号を受信すると、バスIF26bを介して安全コントローラ3に送信する。コントローラ20bはバスIF26bを介して安全コントローラ3から出力信号を受信すると、安全出力IF22bを介して動力源12などに出力する。また、メモリ25bは、上記メモリ25aと同様に、拡張モジュール4に接続された安全入力機器に関する情報を記憶する。記憶方法についても上述した安全コントローラ3と同様である。なお、拡張モジュール4のメモリ25bが安全コントローラ3のメモリ25aと比較してメモリサイズが小さい場合には、一時記憶領域のみを設けて、上述した変化点の前後の情報を安全コントローラ3へ通知するようにしてもよい。その場合、安全コントローラ3は、拡張モジュール4に接続された安全入力機器の履歴情報も記憶することになる。或いは、安全コントローラ3についても履歴情報を外部機器に通知し、当該外部機器で保持するようにしてもよい。さらには、各機器でそれぞれ可能な範囲で履歴情報を記憶し、メモリ不足が発生した場合に他の機器に記憶させるように制御してもよい。親和性ポート9のための回路として通信IF27aが設けられてもよい。
【0021】
拡張モジュール4bのコントローラ20cは二つのMCU23c、24cとメモリ25cとを有している。信頼性を高めるためにMCU(マイクロコントローラユニット)は二重化されている。MCU23c、24cはそれぞれメモリ25cに保持されている制御プログラムを実行する。コントローラ20cは安全入力IF21cを介して安全入力機器11の入力信号を受信すると、バスIF26cを介して安全コントローラ3に送信する。コントローラ20cはバスIF26cを介して安全コントローラ3から出力信号を受信すると、安全出力IF22cを介して動力源12などに出力する。親和性ポート9のための回路として通信IF27aが設けられてもよい。
【0022】
<PCのハードウエア>
図3が示すように、PC2は、CPU13、表示装置5b、操作部6b、記憶装置15および通信IF27bを備えている。表示装置5b、操作部6b、記憶装置15および通信IF27bは、それぞれCPU13に対して電気的に接続されている。記憶装置15はRAMやROM、HDD、SSDを含み、さらに着脱可能なメモリカードを含んでもよい。CPUは中央演算処理装置の略称である。ROMはリードオンリーメモリの略称である。RAMはランダムアクセスメモリの略称である。HDDはハードディスクドライブの略称である。SSDはソリッドステートドライブの略称である。
【0023】
記憶装置15は、編集プログラム16、および履歴情報17を記憶する。これらの情報は、後に更新することができる。PC2のユーザーは記憶装置15に記憶されている編集プログラム16をCPU13に実行させて、操作部6bを通じて安全プログラムや設定情報などを編集し、安全コントローラ3に転送する。設定情報は、安全コントローラ3に接続されている拡張モジュール4の識別情報と、親和性ポート9a、9b、IOコネクタ10a~10cに設けられた各入力端子と各出力端子に接続されている安全入力機器11および動力源12の識別情報(端子割り当て情報)などを含む。履歴情報17は、上述したメモリ25a、25bに記憶される安全入力機器からの情報と同様のものであり、安全コントローラ3から取得した情報となる。CPU13は、当該履歴情報17に基づいて、各安全入力機器の状態等を示す履歴情報をユーザーに提示してもよい。
【0024】
また、PC2は安全コントローラ3のWebクライアントとして機能することもできる。この場合、安全コントローラ3で生成された画面情報を、外部ネットワークの通信回線18を介してWeb経由で取得し、表示装置5bへ表示する。これらの画面情報には、後述する安全コントローラ3で表示される履歴情報と同等の内容が含まれる。つまり、安全コントローラ3は、Webサーバとして機能し、WebクライアントであるPC2などの外部装置に対して、安全入力機器から取得した各種情報に基づいたセンサ等の状況を示す画面を提供することができる。これにより、リモートで安全コントローラシステム1の状況を確認することも可能となる。
【0025】
<安全コントローラの詳細UI>
図4は安全コントローラ3の詳細なユーザーインターフェース(UI)を示す。なお、図1に既に示した構成と同様の構成については同一の番号を付し説明を省略する。安全コントローラ3は、ユーザーインターフェースとして、その筐体の一部(例えば、筐体前面)に表示装置5aと操作部6aを備える。操作部6aには、キー44a~44dが設けられる。表示装置5aにタッチパネル方式の液晶画面(LCD)が採用されてもよく、その場合には表示装置5aに対して操作部も一体化して設けられる。45aはUSBコネクタを示し、45bはLANコネクタを示す。また、以下で説明する表示装置5aに表示される種々の画面は、MCU23a又は24aによって表示制御されるものであるが、二重化されたMCUのいずれで制御が行われてもよい。ここでは一例としてMCU23aが制御する場合について説明する。当該制御を行うプログラムは安全プログラムとは異なるプログラムであり、予めMCUに組み込まれたプログラムであってもよいし、メモリ25aに記憶されているプログラムであってもよい。なお、図1を用いて説明したが、安全コントローラ3には、例えばその筐体上部に複数の親和性ポート9a、9bなどが設けられる。
【0026】
図4に示す表示装置5aには、基本的な構成画面であるトップ画面が表示されている。トップ画面は、安全コントローラシステム1の稼働中において通常時に表示される画面である。トップ画面には、種々の表示領域41~43c、47が設けられている。MCU23aは、システムの状況に合わせて各表示領域41~47の表示を制御する。表示領域41には、安全出力の状態が表示される。表示領域42には、安全プログラムの実行状態、ログイン状態、設定値等が表示される。表示領域43a~43cには、安全コントローラ3が有するポートに接続された安全入力や安全出力などの信号状態(ON、OFF)が表示される。表示領域47には、キー44a~44cを操作した場合に行われる機能が表示されている。なお、これらの表示は一例であり、本発明を限定する意図はない。図4の例では、キー44aが操作されると安全出力の詳細画面へ遷移することを示す。キー44bが操作されると、安全コントローラ3に接続された各ユニットの詳細画面へ遷移する。キー44cが操作されると、メニュー画面へ遷移する。キー44dはBACKキーであり、MCU23aは、キー44dの操作を受け付けると、1つ前に表示していた画面へ表示を戻す。
【0027】
なお、トップ画面では、安全コントローラ3に接続された機器の信号値(ON、OFF)について表示している。しかし、各機器は信号値とは別に状態情報を有している。たとえば、安全入力機器であるライトカーテンは受光量の情報を有しており、ドアスイッチでは鍵のロック状態やドアの開閉状態などを有している。これらの情報は、システムの緊急停止が発生した場合などにその原因を解明するために有用な情報となりうる。したがって、本実施形態に係る安全コントローラ3は、これらの情報についても表示する。当該表示についてはリアルタイムの機器の状態を出力してもよいし、過去の機器の状態を出力してもよい。以下では、安全コントローラ3の表示部に表示する状態出力について説明する。なお、後述するが以下で説明する表示は、情報を取得した安全入力機器に送信して表示させてもよいし、安全コントローラ3がWebサーバとして機能し、PC2などのWebクライアントに対して生成した画面情報を提供して表示させてもよい。
【0028】
<安全入力機器の状態出力>
(ライトカーテンの状態出力画面)
図5は安全入力機器であるライトカーテンの状態出力画面50を示す。
【0029】
ライトカーテンは、多数の光軸により保護領域を監視するもので、多数の光軸に対応する多数対の投光素子と受光素子を有しており、対となる投光素子と受光素子は互いに対向して配置され、物体による光軸の遮光を検出することで保護領域の物体を検知するとともに、自己回路等のエラーを検知するもので、物体の検知結果とエラーの検知結果に基づいて安全出力信号を生成する安全センサである。
【0030】
ライトカーテンの付加情報は、たとえば、保護領域における物体の検知情報、ライトカーテンについての各光軸のON/OFFを示す情報、ライトカーテンについての各光軸の光量を示す情報、ライトカーテンにおいて検知したエラーを示す情報、ライトカーテンのミュート状態を示す情報、ライトカーテンのリセット待ちを示す情報のうち少なくとも一つの情報を含む。
【0031】
安全コントローラ3は、自身の安全制御に関する情報だけでなく、安全入力機器11からの安全出力信号の生成に関連する情報や、保護領域に関する情報を付加情報として取得することができる。
【0032】
図4に示すトップ画面において、たとえばキー44bが操作されて各ユニットの項目画面へ遷移し、さらに特定のユニット、ここではポートAに接続されたライトカーテンが選択されると、MCU23aは表示装置5aに状態出力画面50を表示する。MCU23aは安全入力機器11bから取得した安全入力信号、および状態情報である受光量に従って状態出力画面50の画面を生成する。図5(a)乃至図5(c)はライトセンサの複数の光軸における受光量の変化をそれぞれ示している。
【0033】
状態出力画面50は、少なくとも表示51a~51c、52a~52c、を含んで構成される。表示52a~52cは安全コントローラ3に接続されている複数のライトカーテンを示すアイコンが表示されている。図5の例では、表示52Cに対応するライトカーテンが選択された状態であり、当該ライトカーテンの状態が表示51a~51cに表示出力されている。表示53a、53bに対応するキー44a、44bが操作されると、他のライトカーテンのアイコンを選択することができ、MCU23aは対応する状態出力を表示51a~51cに表示する。
【0034】
表示51a~51cは、選択されているライトカーテンの光軸ごとにおける受光量がゲージ(棒グラフ)で表示される。54は警告を発するための閾値を示し、55は安全出力をOFFに制御する閾値を示す。MCU23aは閾値54を何れかの光軸の受光量が下回ると表示装置5a上で警告を表示し、閾値55を何れかの光軸の受光量が下回ると安全出力をOFFに制御する。各光軸に対応して表示されるゲージは最大受光量を100%とし、受光なしの状態を0%とした場合の割合で表示されうる。図5(a)の表示51aは全ての光軸における受光量が100%であることを示し、ライトカーテンが正常に動作しており、侵入者等により遮光されていない状態を示す。図5(b)の表示51bは各光軸における受光量が図5(a)と比較して低下している様子を示す。しかし、図5(b)の状態であっても安全コントローラシステム1としては安全を確保できるものであり、特に問題はない。図5(c)の表示51cは、56に示すように2つのゲージが閾値54を下回っていることを示す。閾値54を下回ると、作業員等に警告を行うためゲージが強調表示される。さらに、MCU23aはポップアップ画面や警告音等を用いてユーザーに報知するようにしてもよい。この場合、MCU23aは報知手段として機能する。
【0035】
上述した図5(a)乃至図5(c)の例では、MCU23aはライトカーテンからリアルタイムで取得している情報に基づいて当該ライトカーテンの状態を出力している。しかし、本発明はこれに限定されず、MCU23aはメモリ25aに記憶されているライトカーテンに関する履歴情報に基づいて状態出力画面を表示することもできる。この場合、MCU23aは、メモリ25aから履歴情報を取得し、安全出力がOFFに切り替わった前後のライトカーテンの状態を出力することができる。また、ユーザー操作に合わせて履歴情報の時間軸を進めたり、過去に遡ったりすることができる。履歴情報の詳細については後述する。
【0036】
(ドアスイッチの状態出力画面)
図6は安全入力機器である複数のドアスイッチ(DS)がカスケード接続された様子を示す。
【0037】
ドアスイッチは、トランスポンダを有するアクチュエータと、トランスポンダとの距離を検出する検出器が、ドアの開閉に伴い相対的に移動する箇所のそれぞれに相対する位置に設置され、検出器によりトランスポンダまでの距離に基づいてドアの開閉状態を検知するとともに自己回路等のエラーを検知するもので、ドア開閉の検知結果とエラーの検知結果に基づいて安全出力信号を生成する安全センサである。また、ドアスイッチはドアを開けることを阻止するロック機構を有してもよく、ドアスイッチはロック機構のロックピンを電動制御することによりロック状態とロック解除状態とを制御する。
【0038】
ドアスイッチの付加情報は、ドア開閉の検知情報、ドアスイッチのロック制御を示す情報、ドアスイッチにおいて発生したエラーを示す情報、ドアスイッチのミュート状態を示す情報、ドアスイッチのロック待ちを示す情報のうち少なくとも一つの情報を含む。
【0039】
安全コントローラ3は、自身の安全制御に関する情報だけでなく、安全入力機器11からの安全出力信号の生成に関連する情報や、ドア開閉に関する情報を付加情報として取得することができる。
【0040】
図6では、これらのカスケード接続されたドアスイッチ61~66が安全コントローラの親和性ポート9のポートBに接続されていると想定する。ドアスイッチ61、64~66は本体部とアクチュエータ部が非接触の状態でドアの開閉を検知する非接触タイプのドアスイッチであり、ドアスイッチ62、63は2つの部材が機械的に嵌合するロックタイプのドアスイッチである。これらの複数の種類のドアスイッチが信号線67によってカスケード接続され、最終的に安全コントローラ3の親和性ポート(ここでは、ポートB)に接続される。従って、MCU23aはポートBを介して複数のドアスイッチの信号値と状態情報とを取得することができる。
【0041】
図7図6に示すカスケード接続されたドアスイッチの状態出力画面70を示す。図4に示すトップ画面において、たとえばキー44bが操作されて各ユニットの項目画面へ遷移し、さらに特定のユニット、ここではポートBに接続されたドアスイッチが選択されると、MCU23aは表示装置5aに状態出力画面70を表示する。MCU23aは安全入力機器11bから取得した安全入力信号、および状態情報である開閉状態やロック状態に従って状態出力画面70の画面を生成する。図7(a)乃至図7(c)は複数のドアスイッチが監視するドアのロック状態及び開閉状態の変化をそれぞれ示している。
【0042】
状態出力画面70は、少なくとも表示71~75bを含んで構成される。表示71はキー44bが操作されて各ユニットの項目画面へ遷移した際の項目が表示されており、図7ではポートBの項目が選択された状態を示す。表示75a、75bに対応するキー44a、44bが操作されると、他の項目を選択することができ、MCU23aは対応する状態出力を表示する。たとえば、ポートAの項目が選択された場合には、本例においては上述したライトカーテンの状態出力画面50が表示される。ポートBには上述したようにカスケード接続された複数のドアスイッチが接続されているため、表示72においてそれら全てのドアスイッチの状態を示している。表示73は各ドアスイッチに対応するアイコンを示す。たとえばアイコン内に表示される”1”~”6”はそれぞれドアスイッチ61~66に対応する。
【0043】
図7(a)に示す表示74aは、ロックタイプのドアスイッチ62、63のロック状態を示すアイコンであり、ロックされている状態を示している。一方、図7(b)に示す表示74bはロックされていない状態を示すアイコンである。また、図7(c)の76、77に示すようにアイコン”3”とアイコン”6”はドアが開状態であることを示す。ここではアイコンが網掛けで表示されているが、強調表示される手法であればどのような手法であってもよい。例えば、閉状態を示す他のアイコンと異なる色で網掛け表示してもよいし、アイコン自体を点滅表示してもよいし、ユーザーの注意を促すアイコンを当該アイコンに重畳して表示してもよい。
【0044】
このように、本実施形態に係る安全コントローラ3はドアスイッチからの安全入力信号に加えて、状態情報を取得し、自己の表示部に表示することができる。ここでは、MCU23aはドアスイッチからリアルタイムで取得している情報に基づいて当該ドアスイッチの状態であるロック状態や開閉状態を出力している。しかし、本発明はこれに限定されず、MCU23aはメモリ25aに記憶されているドアスイッチに関する履歴情報に基づいて状態出力画面を表示することもできる。この場合、MCU23aは、メモリ25aから履歴情報を取得し、安全出力がOFFに切り替わった前後のドアスイッチの状態を出力することができる。また、ユーザー操作に合わせて履歴情報の時間軸を進めたり、過去に遡ったりすることができる。履歴情報の詳細については後述する。
【0045】
上述したように、本実施形態に係る安全コントローラ3は安全入力機器の種別に応じて適した状態出力画面を生成して表示する。つまり、本安全コントローラ3は、安全入力機器から取得した情報に基づいてその種別を判断し、種別に応じた表示画面を生成する。たとえば、安全コントローラ3は、安全入力機器の識別情報に基づいてその種別を判断するようにしてもよい。なお、本実施形態では、ライトカーテンとドアスイッチに関する表示例を説明したが、安全入力機器として、他にセーフティレーザスキャナ、セーフティ3Dカメラなどの安全センサも同様にそれらの種別に応じて表示画面を生成することができる。また、安全入力機器の状態出力に関わらず、たとえば安全センサの表示に関する記載や、モードセレクタなどの設定機器の情報を表示するようにしてもよい。
【0046】
ここで、セーフティレーザスキャナ等の安全スキャナの状態出力画面について簡単に説明する。安全スキャナは、予め設定された保護領域をレーザ光でスキャンすることで、物体からの受光した反射光に基づいて保護領域内の物体を検知するとともに、自己回路等のエラーを検知するもので、物体の検知結果とエラーの検知結果に基づいて安全出力信号を生成する安全センサである。安全スキャナの付加情報は、保護領域内の物体の検知情報、各光軸のON/OFFを示す情報、安全スキャナについての各光軸の距離または光量を示す情報、安全スキャナにおいて発生したエラーを示す情報、安全スキャナのミュート状態を示す情報、安全スキャナのリセット解除待ちを示す情報、安全スキャナに設けられたカメラにより取得された画像情報のうち少なくとも一つの情報を含む。安全コントローラ3は、自身の安全制御に関する情報だけでなく、安全入力機器11からの安全出力信号の生成に関連する情報や、保護領域に関する情報を付加情報として取得することができる。
【0047】
安全スキャナは、種々の構成のものがあるが、例えば計測ユニットと、カメラとを含んで構成されうる。計測ユニットは、検出光を水平方向に向けて出射するとともに検出光を水平なスキャン面に沿って走査させる回転光学系を収容する。検出光には、例えば、赤外線領域の波長を有するレーザ光が用いられる。検出光は、一定の走査周期で繰返し走査される。計測ユニットによって物体が検知されると、対象までの距離情報を取得することができる。カメラは、いずれも保護エリアを撮影してカメラ画像を監視画像として生成する撮像装置であり、複数備えることも可能であり、その場合は互いに向きを異ならせて配置される。カメラは、上記計測ユニットによるスキャン面よりも上側に配置されるため、スキャン面を俯瞰するカメラ画像を得ることができる。従って、安全スキャナからの情報には、動作状態、測距情報、カメラ画像、設定データやイベント履歴等が含まれる。これらの情報を用いて、安全スキャナによる状態出力画面として、侵入物を検知した際のカメラ画像やスキャン画像を表示することができる。なお、安全コントローラ3の表示装置5aが二次元画像を表示する能力がある場合には、上述のような状態出力画面を表示することができるが、そうでない場合であっても外部装置に情報を出力して、当該外部装置でよりリッチな状態出力画面を表示するようにしてもよい。この場合には、安全コントローラ3はWebサーバとして機能する。Webサーバ機能の詳細については後述する。
【0048】
(状態表示)
図8(a)乃至図8(c)は、エラーが発生した際の表示装置5aに表示される各種エラー画面を示す。なお、ここでは状態表示の例としてエラー表示を例に説明するが、エラーが発生する前においては正常状態を示す状態が表示されうる。正常状態を示す場合においては、画面表示で正常状態を示してもよいし、LEDランプ等の点灯状態で示してもよい。図8(a)はエラーが発生した際に図4に示すトップ画面において、たとえばキー44bが操作されて各ユニットの項目画面へ遷移し、さらに、特定のユニット、ここではポートAに接続されたライトカーテンが選択された場合に表示されるエラー画面を示す。或いは、図4に示すトップ画面からメニューキーに対応するキー44cが操作され、不図示のメニュー画面から履歴情報が選択された場合に表示されうる。表示81は各項目を示し、現在はポートAが選択されていることを示す。MCU23aは、複数の項目のうち、エラーが発生している箇所の項目に重畳してマーク84を表示させる。ここでは、ポートAでエラーが発生し、それに伴いメインモジュールでエラーが発生していることを示す。表示82は、ポートAに接続されている機器が示され、エラーが発生していることを示すマーク85も表示される。表示83はエラーの内容を示す表示であり、ここでは複数のライトカーテンのうち一方のライトカーテンで通信エラーが発生していることを示す。従って、ユーザーはエラー内容に関わる箇所、たとえば通信接続に問題ないかなどを確認することによりエラーの原因を容易に特定することができる。また、ユーザーが表示82や表示83を選択することにより、図5(a)乃至図5(c)を用いて説明したようなライトカーテンの状態出力画面を表示させることができる。この場合、MCU23aは、リアルタイムの情報を表示するのではなく、エラーが発生した前後の履歴情報を取得して表示してもよい。
【0049】
図8(b)及び図8(c)は図4に示すトップ画面の表示中においてエラーが発生した際に表示されるポップアップ表示86、88を示す。図8(b)の表示86はポートBに接続されたドアスイッチの接続エラーが発生していることを示す。また、表示86aは詳細なエラーコードを示す。これにより、作業員は詳細なエラー内容を把握することができる。図8(c)の表示88はポートBにカスケード接続された複数のドアスイッチの構成が一致しない場合のエラーを示す。表示88aは詳細なエラーコードを示す。また、図8(b)及び図8(c)の表示87は警告を停止するための機能がキー44aに割り当てられていることを示す。
【0050】
(履歴情報を用いた変化点の表示)
図9及び図10は安全出力がOFFへ変化した前後の履歴情報を表示する変化点表示画面を示す。変化点表示画面は、図4に示すトップ画面において、たとえばキー44aが操作された場合に表示される安全出力の状態を示す画面である。或いは、変化点表示画面は、図4に示すトップ画面からメニューキーに対応するキー44cが操作され、不図示のメニュー画面から履歴情報が選択された場合に表示装置5aに表示されうる。なお、図9及び図10に示す画面例は、安全出力の信号の変化に応じて、それに関わる各安全入力の信号の現在の状態と、変化点前後の状態とが表示可能であること説明するために図示しているものである。したがって、それらの信号値は一例を示すものであって、安全システムを稼働した際に発生しうる信号値の組合せを厳密に再現しているわけではない。
【0051】
図9(a)の画面90は変化点表示画面で表示する対象出力を選択する選択画面である。表示91は各安全出力をリスト表示し、表示91aは対応する項目の安全出力の状況をON、OFFで示す。選択画面90では安全出力のMain:0-1がOFFになったことを示している。表示92aは対応するキー44aが操作されると項目の選択状態を下に移動することを示す。図9(a)の例では、Main:0-1の項目が選択状態であることを示す。表示92bは対応するキー44cが操作されると、選択した項目の詳細画面へ遷移する。
【0052】
図9(b)の画面94は、図9(a)でキー44cが操作された場合に遷移する画面である。画面94では、現在の各ポートの信号状態(関連する入力ブロックからの信号)を示す。表示93aは各ポートの現在の信号状態をON、OFFで示す。ここでは、Main:6がOFFであることが分かり、安全出力がOFFになった要因を確認することができる。図9(c)の画面95は、図9(b)の画面94を表示中に任意の操作が行われると遷移する画面であり、安全出力(Main:0-1)がOFFしたタイミングの各安全入力の状態を示す。MCU23aは、たとえばメモリ25aに記憶されている履歴情報を参照することにより、当該画面を表示することができる。なお、上記任意の操作とはキー44a~44cの何れかに対する操作であってもよいし、他の不図示のキーに対する操作であってもよい。画面95では、画面94に加えて、履歴情報からの表示93bが加えられる。安全出力(Main:0-1)がOFFしたタイミングを示し、図示するように、信号がONからOFFへ切り替わる様子を表現している。ここで、任意の操作を行うことにより、履歴情報の時間軸を戻したり、先に進めたりすることができる。表示96は、安全出力の出力ブロックが現在リセット解除待ちであることを示す。
【0053】
図10(a)及び図10(c)はドアスイッチからのOFF信号により安全出力がOFFされた場合の変化点表示画面を示す。なお、図9の画面と同様の構成については同一の番号を付し説明を省略する。図10(a)の画面100は、ポートBに接続されるドアスイッチからのOFF信号により安全出力がOFFされた場合の変化点表示画面である。表示101aは各ポートの現在の信号状態をON、OFFで示す。表示101bは、安全出力がOFFされたタイミングの各ポートにおける信号の変化を示す。さらに、図10(b)の画面103は、ドアスイッチがOFFとなった要因を示す画面である。MCU23aは、メモリ25aに記憶された履歴情報に含まれる状態情報から表示102に示すように、たとえばN0.4のドアが開状態にある旨を表示する。
【0054】
図10(c)及び図10(d)はライトカーテンからのOFF信号により安全出力がOFFされた場合の変化点表示画面を示す。なお、図9の画面と同様の構成については同一の番号を付し説明を省略する。図10(c)の画面107は、ポートAに接続されるライトカーテンからのOFF信号により安全出力がOFFされた場合の変化点表示画面である。表示104aは各ポートの現在の信号状態をON、OFFで示す。表示104bは、安全出力がOFFされたタイミングの各ポートにおける信号の変化を示す。さらに、図10(d)の画面108は、ライトカーテンがOFFとなった要因を示す画面である。MCU23aは、メモリ25aに記憶された履歴情報に含まれる状態情報から表示106に示すように、たとえばライトカーテンの11番目の光軸でエラーが検出された旨を表示する。
【0055】
<フローチャート>
図11は親和性ポート9を介して接続された安全入力機器からの情報を履歴情報として記憶する際の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、MCU23aがメモリ25aに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、ここでは、1つの安全入力機器に対する処理について説明する。従って、接続されている安全入力機器について、それぞれ以下の処理が実行されることとなる。拡張モジュール4に接続された安全入力機器については拡張モジュール4で同様に処理してもよいし、安全コントローラ3側で一括で処理してもよい。
【0056】
S1でMCU23aは安全コントローラ3に親和性ポート9を介して接続された安全入力機器から信号値と状態情報を取得する。取得するタイミングについては、安全コントローラシステム1が稼働中の場合は周期的に行われる。続いて、S2でMCU23aは安全入力機器から取得した信号値及び状態情報を一時的にメモリ25aに時間情報とともに記憶する。ここで、一時的に記憶するメモリとしては、メモリ25aでなくてもよく、別途設けられたメモリであってもよい。上述したように、S1及びS2の処理は周期的に行われているものである。
【0057】
次に、S3でMCU23aは信号の論理が変化したか否かを判定する。ここでいう信号とは、基本的には所定の安全出力の信号の論理を示すものである。なお、メモリ容量に余裕があれば、安全出力の信号に加えて安全入力の信号の論理に変化があった場合も条件としてよい。信号の論理に変化があった場合にはS4に進み、そうでない場合はS5に進む。
【0058】
S4でMCU23aは安全出力の信号に変化があったため当該変化点(タイミング)の前後においてS2で一時的に記憶している情報を履歴情報として信号値及び状態情報を紐づけてメモリ25aに記憶し、処理を終了する。一方、S5でMCU23aはS3の判定タイミングにおいて変化が発生していないため、所定時間前にS2で一時的に記憶された信号及び状態情報を不要なデータとして削除し、処理を終了する。上記所定時間については、メモリの容量に応じて任意に変更することができる。また、MCU23aはS2で信号値及び状態情報とともに記憶されている時間情報を用いて、所定時間前に記憶されたものか否かを判断する。このように、変化点前後の情報を履歴情報として残すことにより、メモリ資源を有効に活用しつつ、重要度の高い情報を記憶することができる。なお、ここでは、メモリ25aに記憶する例について説明したが、拡張モジュール4のメモリ25bに記憶するようにしてもよいし、外部装置に送信して記憶させるようにしてもよい。これらの他のメモリへの記憶は、メモリ25aのメモリが枯渇した場合に実行するようにしてもよい。
【0059】
図12は親和性ポート9を介して接続された安全入力機器から情報を取得して状態出力画面を表示する際の処理手順を示すフローチャートである。以下で説明する処理は、MCU23aがメモリ25aに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、以下で説明する処理は、親和性ポート9に何らかの安全入力機器が接続されたタイミングで開始されてもよいし、ユーザー入力に従って所定のポート(ここでは、親和性ポート9)に接続された安全入力機器の状態出力画面の表示が指示された場合に開始されてもよい。他にも緊急停止や状態異常などの所定のイベントが発生した際に開始されてもよい。
【0060】
S21でMCU23aは、親和性ポート9を介して接続された安全入力機器から信号値と状態情報等を取得する。続いて、S22でMCU23aは、S21で取得した情報から安全入力機器の種別を特定する。例えば、MCU23aは、取得した情報に含まれる識別情報から安全入力機器の種別を特定する。ここで、安全入力機器の種別とは、ドアスイッチ、ライトカーテン、安全スキャナなどを示すものである。MCU23aは当該種別に応じて適切な状態出力画面を生成する。
【0061】
次に、S3でMCU23aは、特定した種別を判断する。ここでは、ドアスイッチ、ライトカーテン、および安全スキャナの3つの安全入力機器が親和性ポート9を介して接続されているものとして説明するが、実際には、さらに多くの安全入力機器が接続されてもよく。他の種別の安全入力機器が接続されていてもよい。ドアスイッチであればS24に進み、ライトカーテンであればS31に進み、安全スキャナであればS28に進む。
【0062】
S24でMCU23aは、ドアスイッチの形式がロック付きのものを含むか否かを判定する。ロック付きのものを含む場合はS25に進み、そうでなければS26に進む。S25でMCU23aは、接続されている1以上のドアスイッチのうちロック付きのドアスイッチのロック状態を取得して、S26に進む。S26でMCU23aは、各ドアスイッチが監視するドアの開閉状態を取得する。なお、S25およびS26の取得処理は、S21で取得した情報が所定の情報を抽出する処理でもよいし、新たに安全入力機器から取得してもよい。以降の取得処理についても同様である。その後、S27でMCU23aは、取得した情報に従って、図7を用いて説明したように、ドアスイッチの状態情報を表示する。なお、ユーザー入力に従って終了操作を受け付けた場合には表示が終了される。
【0063】
一方、S23で安全スキャナと判断された場合にはS28で、MCU23aは、イベント履歴を新たに安全スキャナから取得するか否かを判定する。イベント履歴とは、例えば安全センサによって侵入物が検知された履歴情報を示すものである。S21で受信した情報に当該履歴情報が安全センサに保持されているか否かの情報が含まれてもよく、その場合は保持されている履歴情報があればS29に進む。或いは、ユーザー入力に従ってイベント履歴を取得するように指示された場合にS29に進むようにしてもよい。それら以外の場合はS30に進む。S29でMCU23aは、安全スキャナからイベント履歴の情報を取得し、S30へ進む。S30でMCU23aは、イベント履歴がある場合には、イベント履歴を表示するとともに、S21で取得している状態情報として現在のカメラ画像やスキャン画像を表示してもよい。一方、イベント履歴がない場合にはMCU23aは、現在のカメラ画像やスキャン画像を表示する。イベント履歴の表示はどのような形態でもよく、例えば検出した時刻情報や測距情報を示す表示のみであってもよいし、その際に取得されたカメラ画像やスキャン画像と合成して表示してもよい。なお、ユーザー入力に従って終了操作を受け付けた場合には表示が終了される。また、安全スキャナの場合には表示装置5aの性能に合わせて、表示内容を変更してもよい。例えばカメラ画像やスキャン画像を表示することができなければ、レーザースキャナによる検出情報のみを表示するようにしてもよい。
【0064】
また、S23でライトカーテンと判断された場合にはS31でMCU23aは、S21で取得した情報から閾値54、55の値を抽出する。続いて、S32でMCU23aは、S21で取得した情報から当該ライトカーテンの各光軸における光量を取得する。その後、S33でMCU23aは、図5を用いて説明したように、ライトカーテンに関する状態出力画面を生成し表示装置5aに表示する。なお、ユーザー入力に従って終了操作を受け付けた場合には表示が終了される。ここでは、リアルタイムで取得した情報を表示する例について説明したが、安全コントローラ3のメモリ25a等に保持している状態情報を用いて状態出力画面を生成し表示してもよい。その場合には、既に機器の種別が特定されているため、S21およびS22の処理が省略される。
【0065】
<MCUの機能>
図13はMCU23aがメモリ25aに格納されたプログラムを実行することで実現される様々な機能を示している。ここで実行されるプログラムは、安全プログラムに加えて上述した本発明の特徴的な処理を実行するプログラムも含む。当該プログラムは、安全プログラムに組み込まれて作成されたものでもよいし、安全プログラムから呼び出されるサブルーチンとして実行されるものであってもよい。機能構成として、MCU23aは、安全制御部1301、取得部1302、接続部1303、Webサーバ部1304、表示制御部1305、操作制御部1306、およびメモリ制御部1307を備える。
【0066】
安全制御部1301は、後述するメモリ25aに記憶された安全プログラムを実行して、安全コントローラシステム1の安全制御を行う。取得部1302は、接続された安全入力機器から周期的にその信号値及び状態情報を取得する。さらに、取得部1302は、拡張モジュール4に接続された安全入力機器の情報を取得してもよい。この場合は各モジュール経由で取得することとなる。接続部1303は、親和性ポート9、IOコネクタ10aを制御し、各ポートの接続制御を行う。
【0067】
表示制御部1305は、上述した画面例に示すように表示装置5aへの表示を制御する。表示制御部1305は、安全入力機器からリアルタイムで取得する情報に基づいて表示装置5aに表示する画面を生成してもよいし、メモリ25a等に記憶されている履歴情報に基づいて画面を生成してもよい。また、表示制御部1305は、安全入力機器から取得した情報に基づいて、当該安全入力機器の種別を判断し、種別に応じた状態出力画面を表示する。操作制御部1306は、操作部6aを介したユーザー入力を受け付けて、表示制御部1305へ伝達する。表示制御部1305は、ユーザー入力したがって画面遷移を制御する。メモリ制御部1307は、図11を用いて説明したように、取得部1302によって安全入力機器から取得された情報を一時記憶領域1309へ記憶したり、履歴情報として正式にメモリへ記憶する制御を行う。さらに、メモリ制御部1307は、ユーザー操作に応じて履歴情報を読み出して、表示制御部1305へ情報を渡す。
【0068】
Webサーバ部1304は、安全コントローラ3がWebサーバとして機能する場合の制御を行う。本実施形態では、安全コントローラ3の表示装置5aに状態情報を出力する例について説明したが、これらの情報を外部装置であるWebクライアントで表示するようにしてもよい。この場合、Webサーバ部1304は、リアルタイムでの安全入力機器からの取得情報や、履歴情報から表示画面を生成し、Webクライアントへ送信する。なお、安全コントローラ3は、設置環境等にも依存して小型の装置であるため、その表示装置5bの表示能力も限定的なものとなる。従って、より高機能なディスプレイを備えるPC2などのWebクライアントに対しては、上述した表示例よりもリッチなユーザーインターフェースとして画面を生成するようにしてもよい。この場合、上述の例では、ライトカーテンやドアスイッチの状態情報を出力する例を説明したが、状態情報を出力するためにより高機能なディスプレイを必要とするスキャナやカメラ(安全スキャナ)などのスキャン画像やカメラ画像にも対応することができる。たとえば、Webサーバ部1304は、スキャナやカメラが取得したスキャン画像やカメラ画像をWebクライアントへ送信し、表示させるようにしてもよい。もちろん表示装置5aの表示能力に応じて上記スキャン画像やカメラ画像を安全コントローラ3の表示部で表示するようにしてもよい。また、Webサーバ部1304は、Webクライアントに代えて、状態情報から生成した画像を、安全入力機器に返し、安全入力機器で状態情報を出力するようにしてもよい。
【0069】
メモリ25aには、安全プログラム1308、一時記憶領域1309、信号値1310、及び状態情報1311が含まれる。安全プログラム1308は、PC2で編集されて転送され記憶されたものであり、安全コントローラシステム1の安全制御を行うプログラムである。一時記憶領域1309は、安全入力機器から取得した信号値および状態情報を一時的に記憶する領域である。当該一時記憶領域はメモリ25aとは異なるメモリに設けられてもよい。信号値1310及び状態情報1311は、一時記憶領域1309に記憶され情報を正式に履歴情報として記憶したものである。これらの情報は互いに紐づけて記憶される。
【0070】
<安全コントローラの接続形態>
図14および図15は安全コントローラの斜視図である。図14が示すように、安全コントローラ3の上面には親和性ポート9a、9bが設けられている。親和性ポート9a、9bには、セーフティレーザスキャナなどの安全入力機器11から延在するケーブルの先端に設けられたポートコネクタ1190aが接続可能である。拡張モジュール4aの上面にも親和性ポート9cが設けられている。親和性ポート9cには、ライトカーテンなどの安全入力機器11から延在するケーブルの先端に設けられたポートコネクタ1190dが接続可能である。
【0071】
安全コントローラ3の右側面にはバスIF26aのためのレセプタクル1100が設けられている。拡張モジュール4aの左側面には、バスIF26bのためのバスコネクタ1101が設けられている。バスコネクタ1101aとレセプタクル1100を接続することで、バスIF26a、26bが通信可能に接続される(内部バス接続)。
【0072】
安全コントローラ3の右側面にはボス溝1102、1103、1104、1105が設けられている。拡張モジュール4aの左側面には、位置決め用のボス1112、1113、1114、1115が設けられている。安全コントローラ3に対して拡張モジュール4aを接続する際に、ボス1112、1113、1114、1115がそれぞれ対応するボス溝1102、1103、1104、1105に篏合して、拡張モジュール4aが安全コントローラ3に対して位置決めされる。
【0073】
安全コントローラ3の右側面には係止溝1112、1113、1114、1115が設けられている。拡張モジュール4aの左側面には、フック1132、1133、1134、1135が設けられている。安全コントローラ3に対して拡張モジュール4aを確実に固定する際に、フック1132、1133、1134、1135がそれぞれ対応する係止溝1122、1123、1124、1125に篏合する。なお、フック1132、1133、1134、1135は、拡張モジュール4aの上面に設けられ、前後方向に移動可能なレバー1130を有している。レバー1130の移動に連動してフック1132、1133、1134、1135が後方に移動してロックがかかる。レバー1130の移動に連動してフック1132、1133、1134、1135が前方に移動することでロックが解除される。
【0074】
拡張モジュール4aの右側面の構造は安全コントローラ3の右側面の構造と共通しているため、その説明は省略される。拡張モジュール4bの構造は拡張モジュール4aの構造と共通しているため、その説明は省略される。これらの接続面に共通構造が採用されているため、拡張モジュール4aの右側面には拡張モジュール4bの左側面を連結することが可能となっている。
【0075】
図15が示すように安全コントローラ3の下面にはリモートIOレセプタクル1200が設けられている。リモートIOレセプタクル1200には、リモートIOユニットから延在するケーブルの先端に設けられたリモートIOコネクタ1201が接続される。リモートIOユニットは、安全コントローラ3から離れた位置に存在する安全入力機器や安全出力機器を安全コントローラ3に接続するためのユニットである。
【0076】
ところで、安全コントローラ3や拡張モジュール4a、4bの背面、前面、右側面および左側面はすでに安全コントローラとしての基本用途のために、十分な空きスペースが残っていない。たとえば、安全コントローラ3や拡張モジュール4a、4bの背面にはDINレールに接続するための接続溝またはバックプレーンが存在している。安全コントローラ3や拡張モジュール4の前面には、表示面やI/Oコネクタ等が存在している。左右側面にはバスIF26aのためのレセプタクル等が配置されている。よって、これらの面には、新たなポートを設けるスペースが存在しない。
【0077】
そこで、新たなポートを設ける場所としては、安全コントローラ3や拡張モジュール4の上下面が考えられる。安全コントローラ3や拡張モジュール4の上面または下面に親和性ポート9b、9cやリモートIOポートのためのリモートIOレセプタクル1200が設けられてもよい。
【0078】
安全コントローラ3や拡張モジュール4a、4bの上面と下面には、それぞれ放熱用の孔1180、1181、1182、1183が設けられる場合、僅かなスペースしか残されない。この場合、新たなポートの配置スペースとしては限られてしまう。そこで、たとえば、安全コントローラ3や拡張モジュール4の上面に親和性ポート9b、9cが配置され、安全コントローラ3や拡張モジュール4の下面にリモートIOポートのためのリモートIOレセプタクル1200が設けられてもよい(上下分散配置)。あるいは、安全コントローラ3や拡張モジュール4の上面にリモートIOポートのためのリモートIOレセプタクル1200が設けられ、安全コントローラ3や拡張モジュール4の下面に親和性ポート9b、9cが設けられてもよい。
【0079】
<まとめ>
[観点1]
本発明に係る安全コントローラ3は、1以上の安全入力機器を接続する親和性ポート9と、親和性ポート9によって接続されている1以上の安全入力機器からの安全入力信号及び安全入力機器の状態情報を取得する。また、安全コントローラ3は、安全プログラムに従って、取得した安全入力信号に基づいて安全出力信号を生成するMCU23と、取得した状態情報に基づいて、当該状態情報の取得元となる安全入力機器の状態を表示する表示装置5aとを備える。このように、本発明に係る安全コントローラ3は、接続されている安全入力機器の信号値だけでなく、その状態情報、たとえばライトカーテンの光軸ごとの受光量や、カスケード接続されたドアスイッチのロック状態やドアの開閉状態、安全スキャナによるスキャン画像等を表示することができる。したがって、本発明は、安全入力機器からの各種情報を安全コントローラで好適に表示する仕組みを提供することができる。
【0080】
[観点2]
また、本安全コントローラ3は、安全入力機器から取得した情報を履歴情報として記憶するメモリ25aを備え、上記表示装置5aでは過去の情報を表示することができる。これにより、作業員は安全出力信号がOFFに制御された要因等を容易に解析することができる。なお、当該メモリ25aでは、安全出力信号が切り替わった前後の所定期間の信号を記憶するようにしてもよい。これにより、本発明は、安全コントローラのメモリ資源を増大させることなく、安全入力機器からの各種情報を好適に履歴情報として保持し、重要度の高い情報(安全出力がOFFへ変化した前後の情報)を提供することができる。
【0081】
[観点3]
また、本安全コントローラ3は、安全入力機器から取得した情報に基づいて生成した表示情報を当該安全入力機器に送信してもよい。或いは、本安全コントローラ3は、上記表示情報を外部装置へ送信して表示させるWebサーバとして機能してもよい。その場合には、外部装置の表示能力に応じて、本体で表示する場合よりもよりリッチなユーザーインターフェースを実現してもよい。
【0082】
[観点4]
また、本表示装置5aは、安全コントローラの筐体の一部に設けられることを特徴とする(図1及び図4)。このように、安全コントローラ3の筐体に設けられた表示部に安全入力機器の状態情報を表示することができ、現場で簡単に各所の状況を確認することができ、システムの手直しや復帰等を効率的に行うことができる。
[観点5]
また、本発明における接続手段には、少なくとも、信号線及び通信線を接続可能な親和性ポート9が適用される。安全コントローラ3は、上記信号線を介して安全入力信号を取得し、上記通信線を介して状態情報を取得する。さらに、親和性ポート9は、信号線及び通信線に加えて、電源供給可能なケーブルを接続可能なポートであってもよい。また、安全コントローラ3は、さらに、1以上の安全入力機器を接続する他の接続手段として、信号線を接続可能なポートであるIOコネクタ10aを備えてもよい(図1)。安全コントローラ3は、IOコネクタ10aを介して接続された安全入力機器からの安全入力信号を、上記信号線を介して取得する。表示装置5aは、IOコネクタ10aに接続された安全入力機器については、当該安全入力機器の状態を表示することなく、取得した安全入力信号を識別可能に表示する。なお、上記信号線は、二重化されたON/OFFケーブルであってもよい。このように、本発明に係る安全コントローラ3は、通常のIOコネクタ10aに加えて、安全入力機器の状態情報を取得可能な親和性ポート9を備え、よりリッチな情報提供を安全コントローラ3の筐体の一部に設けられた表示装置で表示することができる。
【0083】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全プログラムを実行する安全コントローラであって、
通信端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するポートと、
二重化された一対の入力端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するIOコネクタと、
前記ポートによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第一安全入力信号及び安全入力機器の状態情報を取得し、前記IOコネクタによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第二安全入力信号を取得する取得手段と、
外部装置からユーザが生成したプログラムとして送信された前記安全プログラムに従って、前記取得手段により取得された前記第一安全入力信号及び前記第二安全入力信号に基づいて安全出力信号を生成する実行エンジンと、
状態情報の取得元となる安全入力機器の状態をWEBクライアントで表示するために、前記取得手段によって取得した状態情報を該WEBクライアントに送信するWEBサーバ部とを備えることを特徴とする安全コントローラ。
【請求項2】
前記WEBサーバ部は、状態情報の取得元となる安全入力機器のリアルタイムでの状態をWEBクライアントで表示するために、前記取得手段によって取得した状態情報を該WEBクライアントに送信する請求項1に記載の安全コントローラ。
【請求項3】
前記取得手段によって取得した状態情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記WEBサーバ部は、前記安全入力機器の状態として対応する安全入力機器の過去の状態をWEBクライアントで表示するために、前記記憶手段に記憶された状態情報を該WEBクライアントに送信する請求項1又は2に記載の安全コントローラ。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記安全出力信号の論理が切り替わった前後の所定期間の信号を記憶することを特徴とする請求項3に記載の安全コントローラ。
【請求項5】
前記WEBクライアントは、前記安全入力機器がライトカーテンである場合には、前記状態情報に基づいて該ライトカーテンにおける光軸ごとの受光量を識別可能に表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項6】
前記WEBクライアントは、さらに、警告が報知される受光量の閾値を識別可能に表示することを特徴とする請求項5に記載の安全コントローラ。
【請求項7】
前記WEBクライアントは、前記安全入力機器がドアスイッチである場合には、前記状態情報に基づいて該ドアスイッチのロック状態を表示することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項8】
前記WEBクライアントは、複数の前記ドアスイッチがカスケード接続されている場合には、全てのドアのロック状態を表示すること特徴とする請求項7に記載の安全コントローラ。
【請求項9】
前記ポートは、少なくとも、信号線及び通信線を接続可能なポートであり、
前記取得手段は、前記信号線を介して安全入力信号を取得し、前記通信線を介して前記状態情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の安全コントローラ。
【請求項10】
前記ポートは、前記信号線及び前記通信線に加えて、電源供給可能なケーブルを接続可能なポートであることを特徴とする請求項9に記載の安全コントローラ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、たとえば、安安全プログラムを実行する安全コントローラであって、通信端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するポートと、二重化された一対の入力端子を含み、1以上の安全入力機器を接続するIOコネクタと、前記ポートによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第一安全入力信号及び安全入力機器の状態情報を取得し、前記IOコネクタによって接続されている前記1以上の安全入力機器からの第二安全入力信号を取得する取得手段と、外部装置からユーザが生成したプログラムとして送信された前記安全プログラムに従って、前記取得手段により取得された前記第一安全入力信号及び前記第二安全入力信号に基づいて安全出力信号を生成する実行エンジンと、状態情報の取得元となる安全入力機器の状態をWEBクライアントで表示するために、前記取得手段によって取得した状態情報を該WEBクライアントに送信するWEBサーバ部とを備えることを特徴とする。