(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071742
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】光学式変位センサ
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01C3/06 110A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059267
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2020071365の分割
【原出願日】2020-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】松本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】呉 哲庸
(57)【要約】
【課題】ヘッド部を構成する筐体を一層小型化することのできる光学式変位センサを提供する。
【解決手段】ヘッド部2から延出する中継ケーブル6が本体部4と一体化されている。ヘッド部2は検出対象に向けて投受光を行う機能を主体に構成され、他方、本体部4は、電源回路30、表示部12、操作部402で構成されている。ヘッド部2は緑色レーザ光源520を含み、この緑色レーザ光を出射して検出対象の表面にスポットを形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過するための透過窓を有する第1筐体と、
該第1筐体に設けられ、前記透過窓を介して検出領域に向けて測定光を投光する投光部と、
前記第1筐体に設けられ、前記透過窓を介して検出領域からの前記測定光を光電変換して受光信号を生成する受光部と、
前記第1筐体に設けられ、前記受光部により生成された受光信号に基づいて検出対象の変位を測定する測定部と、
前記第1筐体に電力を伝送するケーブルと、
前記第1筐体に前記ケーブルを介して接続され、前記第1筐体に第1電圧の電力を前記ケーブルを介して供給するための第1電源回路を少なくとも有し、前記ケーブルと一体化された第2筐体とを備えることを特徴とする光学式変位センサ。
【請求項2】
前記第2筐体に、前記受信回路が受け付けた測定情報に基づいて変位に関する情報を表示する表示部を更に有する、請求項1に記載の光学式変位センサ。
【請求項3】
前記第2筐体が防水構造を有し、
該防水構造は、前記ケーブルの端部の周囲に配置されたパッキンと、該パッキンを圧縮変形させるキャップとで構成されている、請求項1又は2に記載の光学式変位センサ。
【請求項4】
前記第2筐体に、第1筐体の測定部により生成された測定情報を受け付ける受信回路と、判定しきい値を設定するための操作部を有し、
前記表示部は、前記操作部の操作指示に基づいて設定された判定しきい値と前記測定部により測定された変位とに基づく測定情報を表示する、請求項2に記載の光学式変位センサ。
【請求項5】
前記第2筐体が複数の面を有し、前記表示部が設けられた第1の面と、該第1の面および、該第1の面に対向する第2の面とは異なる第3の面に前記操作部が設けられている、請求項2~4のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項6】
前記第3の面には、前記操作部の誤操作を防止するための隆起部が形成されている、請求項5に記載の光学式変位センサ。
【請求項7】
前記第2筐体は、前記ケーブルを介して前記第1筐体に一体的に接続され、
前記第2筐体は電源回路から構成されている、請求項1に記載の光学式変位センサ。
【請求項8】
前記第1筐体の前記投光部が緑色のレーザ光を発光する緑色半導体レーザを含み、
前記第2筐体の前記第1電源回路は前記緑色半導体レーザを駆動する電力を供給する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項9】
前記第1筐体は、前記第1電源回路から受け取った電圧を降圧する第2電源回路を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【請求項10】
前記第1筐体に、前記測定部により測定された検出対象の変位と判定しきい値との比較で生成された比較結果を示す第1動作表示灯が設けられ、
前記第2筐体に、前記第1動作表示灯と同期して同じ色で点灯又は点滅する第2動作表示灯が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学式変位センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学式変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は光学式変位センサを開示している。光学式変位センサは、検出領域に投光し、反射光を受光素子で受け取って、受光素子の出力に基づいて検出対象物を検知するのに用いられる。
【0003】
変位センサには一体型と分離型とが知られている。一体型は、投受光部に加えて表示部や操作部が一つの筐体に設けられている。分離型は、電源回路を備えて投受光するヘッド部と、これを制御するコントローラ(分離アンプ)とで構成され、分離アンプには表示部や操作部が設けられ、この分離アンプはDINレールに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-145158号公報
【特許文献2】特開2008-145160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一体型変位センサは表示部や操作部が設けられている関係で大型であり、狭い場所に設置したときに表示部が見えない、操作部の操作ができない等、設置場所が限定的であるという問題がある。
【0006】
分離型変位センサは、ヘッド部と分離アンプとの間のペアリングの失敗からセンサを守るため誤配線保護回路が必要であり、ヘッド部の回路構成が複雑化するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、ヘッド部を構成する筐体を一層小型化することのできる光学式変位センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
光を透過するための透過窓を有する第1筐体と、
該第1筐体に設けられ、前記透過窓を介して検出領域に向けて測定光を投光する投光部と、
前記第1筐体に設けられ、前記透過窓を介して検出領域からの前記測定光を光電変換して受光信号を生成する受光部と、
前記第1筐体に設けられ、前記受光部により生成された受光信号に基づいて検出対象の変位を測定する測定部と、
前記第1筐体に電力を伝送するケーブルと、
前記第1筐体に前記ケーブルを介して接続され、前記第1筐体に第1電圧の電力を前記ケーブルを介して供給するための第1電源回路を少なくとも有し、前記ケーブルと一体化された第2筐体とを備えることを特徴とする光学式変位センサを提供することにより達成される。
【0009】
本発明によれば、第1筐体に含まれていた第1電源回路を第2筐体に収容することで小型化できると共に、第1筐体から延びる前記ケーブルと第2筐体とを一体化したことにより第1筐体にI/Oポートを設ける必要がないため小型化が可能である。
【0010】
本発明の作用効果及び他の目的は以下の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施例の光学式三角測距センサの全体構成を説明するための図である。
【
図2】第1実施例の光学式三角測距センサの一部を構成する本体部を所望の場所に固定できることを説明するための図であり、本体部を結束バンドで所望の場所に固定した例を示す。
【
図3】ケーブル群に本体部を結束バンドで固定した例を示す図である。
【
図4】第1実施例の光学式三角測距センサの一部を構成するヘッド部が内蔵する構成要素を説明するための図である。
【
図5】ヘッド部の傾斜した角部に設置した動作表示灯の構造を説明するための断面図である。
【
図6A】ヘッド部の制御系を説明するためのブロック図であり、ヘッド部の一部である。
【
図6B】ヘッド部の制御系を説明するためのブロック図であり、ヘッド部の残部である。
【
図7】本体部の制御系を説明するためのブロック図である。
【
図8】本体部の表示部を構成するOELDにおいて光軸変位発生の表示例を説明するための図である。
【
図9】運用時にOELDに現在値としきい値とが数値表示されることを説明するための図である。
【
図10】しきい値設定において距離モードで表示したときのバー表示の具体例を説明するための図である。
【
図11】しきい値設定において高さモードで表示したときのバー表示の具体例を説明するための図である。
【
図12】ヘッド部、本体部に含まれる電源回路を説明するための図である。
【
図13】緑色レーザ光の強度及びパワーを制限する制御を説明するためのフローチャートである。
【
図14】受光量が多すぎる場合の問題と少なすぎる場合の問題を説明するための図であり、(I)は受光量が多すぎる場合を示し、(II)は受光量が少なすぎる場合を示し、(III)は投光量を調整した後の受光量を示す。
【
図15】撮像素子の露光時間、投光パルス幅の設定を変更することによりレーザ光の強度を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】光強度制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】過電流検知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】(I)ワーク位置の遠近に伴って撮像素子におけるスポットの像の位置が変化することを説明するための図であり、(II)は画素の配列ピッチを不等間隔にした画像素子のイメージを説明するための図である。
【
図19】画素の配列が等間隔の画像素子における問題点を説明するための図である。
【
図20】不等間隔画像素子における画素の幅の設定を説明するための図である。
【
図22】本体部に接続される中継ケーブル、出力ケーブルの双方が半田付けにより本体部に一体的に接続されることを説明するための図である。
【
図23】本体部の止水構造を説明するための側面図であり、図面に向かって左側のキャップが緩められた状態にあり、右側のキャップが締め付けられた状態にある。
【
図25】
図24の矢印XXVで指し示す部分の拡大断面図である。
【
図26】
図25に対応する拡大断面図であり、キャップを閉めた状態を示す。
【
図27】第2実施例の光学式三角測距センサの全体構成を説明するための図である。
【
図28A】第2実施例に含まれるヘッド本体の制御系のブロック図であり、ヘッド部の一部である。
【
図28B】第2実施例に含まれるヘッド本体の制御系のブロック図であり、ヘッド部の残部である。
【
図29】第2実施例に含まれるヘッド本体、中継部、本体部が備える電源回路を説明するための図である。
【
図30】第2実施例の光学式三角測距センサに含まれる中継部の防水構造を説明するための概念図である。
【
図31】第2実施例に含まれる中継部のブロック図であり、ヘッド本体から抽出した電源回路が中継部に設けられている。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
<第1実施例(
図1~
図26)>
図1は、第1実施例の変位センサを示す。第1実施例の変位センサは、具体的には光学式三角測距センサ100である。三角測距センサ100は第1筐体を構成するヘッド部2と、第2筐体を構成する本体部4に分けて構成され、ヘッド部2から延出する中継ケーブル6が本体部4と一体化されている。ヘッド部2は、検出対象に向けて投受光を行う機能を主体に構成され、他方、本体部4は、電源回路、表示部、操作部で構成されている。ヘッド部2は緑色レーザ光源を含み、この緑色レーザ光を出射して検出対象の表面にスポットを形成する。
【0013】
第1実施例の三角測距センサ100によれば、ヘッド部2が表示機能無しの検出対象に向けて投受光を行う機能に限定されているため小型化することができる。従って、ヘッド部2を設置する場所の選択に自由度がある。また、中継ケーブル6で一体化された本体部4も設置場所の選択に自由度がある。このことから、検出対象の測定に適した場所にヘッド部2を設置し、そして、ヘッド部2の近くの任意の場所に本体部4を設置することで、検出対象の表面に現れる緑色レーザ光のスポットを視認してスポットの位置が適切であるか否かを確認しながら且つ本体部4の表示部の表示を確認しながら判定しきい値などの設定作業を行うことができる。
【0014】
本体4からヘッド部2に電力を供給すると共に本体部4とヘッド部2との間の信号に授受が行われる。中継ケーブル6はコネクタを介在させてヘッド部2及び/又は本体部4に接続させてもよいが、コネクタ無しに接続させることでI/Oポートが不要になる。コネクタを介在させたときは、長さの異なる複数の中継ケーブル6を用意することでヘッド部2と本体部4との間の離間距離を自由に設定することができものの、I/Oポートを含む接続部が必要となる。コネクタ無しに接続させることで、ヘッド部及び本体部4の中継ケーブル6に対する接続部を小型化できるだけでなく、ヘッド部と、これと対の本体部4との間の誤配線等に関する保護回路などの対策が不要となる。また、他機種と誤って接続するというミスマッチの問題も発生しない。
【0015】
一般的な三角測距センサに含まれる構成要素のうち、三角測距に必要とされる光学部品及びこれに関連した素子、電源基板などの構成要素群はヘッド部2に収容され、それ以外のドットマトリックスディスプレイ、例えば有機ELディスプレイ(OELD)や操作ボタンなどの構成要素群が本体部4に設けられている。これによりヘッド部2を小型化することができる。
【0016】
図2は本体部4を示す。本体部4は、幾分扁平な断面略矩形の細長い外形形状を有し、その長手方向一端に位置するヘッド側端4aと、長手方向他端部に位置する出力側端4bとを有している。また、本体部4の4つの面で構成される側面は、比較的幅広の第1側面4cと、この第1側面4cに隣接した幅狭の第2側面4dを含んでいる。本体部4は、中継ケーブル6、出力ケーブル8の接続部を含めて防水構造が採用されている。中継ケーブル6、出力ケーブル8はメタルジャケットを備えたケーブルであってもよいし、メタルジャケット無しのケーブルであってもよい。中継ケーブル6、出力ケーブル8メタルジャケットを備えたケーブルで構成して堅牢性を高めるのが好ましい。
【0017】
本体部4には出力ケーブル8が接続され、本体部4から出力ケーブル8を通じて判定信号つまりON/OFF信号がPLC、分離型センサのコントローラ、制御装置などの外部環境機器10(
図1)に向けて出力される。中継ケーブル6及び出力ケーブル8は共に屈曲可能な可撓性を備え、
図1に示すように中継ケーブル6を折り返して束ねると共に結束バンドBでこの状態を保持することにより、ヘッド部2と本体部4との距離を任意に調整することができる。
図2を参照して、本体部4は、ヘッド側端4a及び出力側端4bから夫々長手方向に突出した周方向に延びる溝状の首部Nを有し、この首部Nの周面は好ましくは円形である。首部Nに結束バンドBを掛け渡すことで、ヘッド部2に近い、例えば30cm程度離れた任意の設置場所IL、例えば配管に固定することができる。また、
図3に示すように、例えばケーブルCbの群に結束バンドBを使って固定することができる。
図3に図示の例では、結束バンドBを中継ケーブル6、出力ケーブル8に掛け渡して本体部4をケーブルCbの群に固定してあるが、結束バンドBを首部Nに掛け渡してもよい。
【0018】
首部Nの配置位置に関する変形例として、首部Nの代わりに、ヘッド側端4a及び出力側端4bの近傍に結束バンドBを受け入れる溝を本体部4に設けてもよい。幅広の第1側面4cにはOELD12が配設されている。また、この第1側面4cには、OELD12を挟んで一端側に本体部動作表示灯14が配設され、他端側にSETボタン16が配設されている。本体部動作表示灯14は、後に説明するヘッド部2の前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76と同じ色で同期して点灯又は点滅する。
【0019】
本体部動作表示灯14は緑色LEDを含み、この緑色は、レーザ光の緑色と同じという点で共通であり、緑色は比視感度に優れている。SETボタン16は例えばしきい値の自動設定(ティーチングモード)など動作モードを選択するのに用いられる。幅狭の第2側面4dには、UPボタン18とDOWNボタン20とが隣接して配置され、また、モードボタン22が配設されている。UP/DOWNボタン18、20は例えばしきい値を調整したりメニューを選択したりするのに用いられる。モードボタン22は三角測距センサ100の動作モードを切り替えるのに用いられる。上述したSETボタン16を第1側面4cではなくて、幅狭の第2側面4dに配置してもよい。
【0020】
UPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22が配設された第2側面4dは、その長手方向両端が隆起部Smで保護されている(
図2)。すなわち、2つの隆起部Smで囲まれた盆地で第2側面4dが構成されている。UPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22の頂面は隆起部Smよりも低位であり、これにより何らかの物体が衝突しても、この物体は隆起部Smが障害物となってUPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22が誤って押し下がる誤操作を防止できる。
【0021】
上述した本体部動作表示灯14に関し、上記2つの隆起部Smのいずれか一方を動作表示灯に置換してもよい。また、2つの隆起部Smを省いて、一方の隆起部Smが位置している部位に動作表示灯を設けてもよい。上述したように、隆起部SmはUPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22が誤って押し下がる誤操作を防止する機能を有している。隆起部Smに代えて、UPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22からなる操作ボタンの誤操作を防止するキーロック機能を設けてもよい。このキーロック機構は物理的な機構に限らず、ソフトウエアで対応することができる。例えば、センサ100が所定の動作を行っている最中、操作ボタンの操作を受け付けないなどにより誤操作を防止することができる。
【0022】
図4は、ヘッド部2の内部に配設される要素を説明するための図である。前述したように、ヘッド部2は三角測距に必要とされる光学部品及びこれに関連した素子、これらを駆動する必要最小限の電源基板に限定して構成されている。すなわち、ヘッド部2は究極の小型化を企図して設計されている。小型化によって、ヘッド部2の設置場所の選定に関して、その自由度を高めることができる。そして、ヘッド部2とケーブル6で一体的に接続された本体部4を結束バンドBを使って任意の場所に固定することができるため、ユーザにとって都合の良い且つヘッド部2に比較的近い場所に本体部4を設置することで、判定しきい値の設定などを行うときに、本体部4のOELD12の表示を確認しながら且つOELD12のUPボタン18、DOWNボタン20などを操作することができる。
【0023】
ヘッド部2が出射する測定光は後に説明する緑色レーザ光である。赤色レーザ光に比べて短波長の緑色レーザ光はスポットの像の輪郭が明確であり且つスポットの像が絞り込まれて小さいことから、三角測距センサ100の精度を高めることができる。緑色は上述したように比視感度に優れていることが知られている。安全規格のクラス1、2を実現するように緑色レーザ光のパワーを制限しても、緑色レーザ光のスポットの視認性を維持することができる。上述したように、本体部4は、ヘッド部2の近くの任意の場所に本体部4を設置できる。上述したように、ヘッド部2を小型化することで、設置場所の選定の自由度を高めることができる。したがって、検出対象の測定に適した場所にヘッド部2を設置し、そして、ヘッド部2の近くの任意の場所に本体部4を設置することで、検出対象の表面に現れる緑色レーザ光のスポットを視認してスポットの位置が適切であるか否かを確認しながら且つOELD12の表示を確認しながら判定しきい値などの設定作業を行うことができる。
【0024】
緑色レーザ光源は、一般的に、赤色レーザ光源に比べて高い電圧が必要である。緑色レーザ光源に適した電圧を生成する緑色レーザ光源用の電源回路30A(
図12)が本体部4に設けられ、他の電子部品(例えば撮像素子60、受光回路62)に適した電圧を生成する電源回路78がヘッド部2に設けられている。緑色レーザ光源用の電源回路30Aをヘッド部2から追い出して、この緑色レーザ光源用の電源回路30Aを本体部4に設けたことから、ヘッド部2を小型化することができる。また、ヘッド部2の設置の自由度を更に高めるために、ヘッド部2は小型化しつつ、ヘッド部2の投受光面2a、ケーブル6が位置する角部2e以外の面をフラットな面とすることで、ヘッド部2の側面、背面2dなどを使って設置できる筐体構造が採用されている。換言すれば、ヘッド部2が投受光面2a、角部2e以外にユーザインターフェースを構成する面を有していない構成を採用することにより、ヘッド部2の設置に関する自由度を高めることができる。
【0025】
ヘッド部2は、このヘッド部2の設置姿勢の変化を検出するためのモーションセンサ50を含んでいる。モーションセンサ50の代表例がジャイロセンサであり、他の例として加速度センサ、地磁気センサを挙げることができる。モーションセンサ50はヘッド部2と一体的に設置されている。具体的には、モーションセンサ50はヘッド部2との関係で相対変位しないようにヘッド部2に組み付けられている。これにより、ヘッド部2が外力を受けてヘッド部2の設置姿勢が変化し、光軸変位が発生したことをモーションセンサ50によって敏感に検知することができ、これにより光軸変位発生アラームを報知することができる。
【0026】
ヘッド部2は、投光部52、投光レンズ54、受光レンズ56、ミラー58、撮像素子60を有し、これらの要素で三角測距のための光路が形成されている。投光レンズ54はコリメータレンズで構成されている。変形例として、コリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせで投光レンズ54を構成してもよい。コリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせは精度を向上できるという利点がある。撮像素子60はCMOSリニアイメージセンサで構成され、撮像素子60には電荷蓄積素子が含まれる。この撮像素子60と受光回路62とで受光部64が構成されている。
【0027】
投光部52は緑色レーザ光を発する半導体レーザ光源(InGaN/GaNの窒化ガリウム系)で構成される。ヘッド部2は、検出対象の検出領域に向けて緑色レーザ光を投光する。ワーク表面上のスポットの状態は検出精度に影響する。集光した小さなスポットであるほど検出精度が良い。緑色のレーザ光は赤色よりもスポットの状態が優れている。既知のように緑色は比視感度に優れている。この特性を利用して、緑色レーザ光の強度、パワーを制限してもスポットの視認性を確保することができる。ワークの所望の位置に投光ビームが照射されていることをユーザが裸眼で確認できることは、光軸調整やしきい値設定、ひいては検出を適正に実行する上で望ましい。
【0028】
投光部52が出射した緑色レーザ光は投光レンズ54、投光窓66を通じてワークに達する。ワークの表面で反射した反射光は、受光窓67、受光レンズ56を通り、ミラー58で屈折されて受光部64で受け取られる。すなわち、受光部64は、ワークの検出領域から反射した緑色レーザ光を受光し、これを光電変換して受光信号を生成する。投光部52、受光部64は、ヘッド部2に内蔵されたプロセッサ68によって制御される。
【0029】
図4から分かるように、ヘッド部2は、比較的薄い略直方体の形状を有し、幅狭の投受光面2aに上記の投光窓66、受光窓67が配置され、また、投光窓66と受光窓67の間には例えば赤色、緑色の2色のLEDで構成された前面動作表示灯70が配設されている。前面動作表示灯70は、赤色、緑色、赤と緑の混色である黄色で点灯又は点滅することができる。
【0030】
ヘッド部2は、
図1、
図4から分かるように、略直方体の形状の形状を有し、投受光面2aだけがユーザインターフェースを構成している。この構成により、ヘッド部2を小型化することができる。そして、唯一ユーザインターフェースを構成する投受光面2aに前面動作表示灯70を配置する構成が採用されている。投受光面2a及び中継ケーブル6が位置する傾斜した角部2eを除く各面が平らな面で構成され、ヘッド部2を設置に関して、投受光面2a及び角部2eを除く何れかの面を使ってヘッド部2を設置することができる。ユーザインターフェースを構成する投受光面2aに前面動作表示灯70と共に又は前面動作表示灯70に操作部を設けてもよいし、表示部を設けてもよい。
【0031】
ヘッド部2の長手方向の第1、第2の端2b、2cのうち、投光窓66から離れた第2の端2cと、投受光面2aと対抗する背面2dとの間の角部2eは切り欠かれた形状を有し、この角部2eは好ましくは45°の傾斜面で構成されている。この角部2eに中継ケーブル6が通過する孔が形成され、孔は防水パッキン72で水の侵入が阻止される。防水パッキン72に直に隣接してヘッド部2の内部には前面動作表示灯70と同じ色の2色のLED74が配置されている。防水パッキン72は光を透過する導光部材で構成され、LED74と導光防水パッキン72によって第2の動作表示灯76が構成されている。前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76は、ON/OFF判定信号に同期して黄色又は緑色で点灯され、また、例えば赤色の点滅によってエラー表示される。前面動作表示灯70、出力部動作表示灯76及び本体部2の動作表示灯14の点灯色つまり緑は、レーザ光の緑と同じという点で共通であり、緑色は比視感度に優れている。
【0032】
図5はヘッド部2の断面図である。角部2eにはLED基板92が配設され、LED基板92に赤色、緑色のLED74が実装されている。中継ケーブル6に関連した止水機能を備えた防水パッキン72の導光材料は、好ましくは乳白色のフッ素ゴム、酢酸ビニルゴム、シリコンゴムであるのが良い。赤色、緑色のLED74が発する光は導光防水パッキン72によって拡散されながら導光防水パッキン72を光らせる。
【0033】
三角測距センサ100の運用において、ヘッド部2は、投受光面2a及び中継ケーブル6が位置する角部2eが露出した状態で設置される。このことから、投受光面2aに位置する前面動作表示灯70は勿論であるが、中継ケーブル6が位置する角部2eに位置する出力部動作表示灯76の点灯、点滅が遮蔽されることはない。
【0034】
ヘッド部2は、傾斜面で構成された角部2eから中継ケーブル6が延びている。したがって、ヘッド部2の設置に関し、ヘッド部2の幅広の2つの側面、背面2d、第1、第2の端2b、2cの5つの面をいずれかを使ってヘッド部2を設置することができる。
【0035】
中継ケーブル6を折り返して束ねることにより、ヘッド部2と本体部4との距離を任意に調整することができ(
図1)、本体部4を設置してこれを固定する場所も任意である(
図2、
図3)。本体部4の設置に関し、ヘッド部2に近い場所を選んで、ユーザがOELD12を確認し易い姿勢で本体部4が位置決めされる。このOELD12と同じ面に本体部動作表示灯14が配置されていることからユーザは本体部動作表示灯14を視認し易い。
【0036】
三角測距センサ100の運用において、ヘッド部2の前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76と、本体部4の動作表示灯14の合計3つの動作表示灯はユーザが移動しなくても目につき易い場所に位置している。このことから、ユーザは、ヘッド部2の前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76と本体部4の動作表示灯14のいずれかによって三角測距センサ100の動作を確認できる。
【0037】
図2を参照して前述したように、本体部4の溝状の首部Nに結束バンドBを掛け渡すことで、本体部4をヘッド部2に近い任意の場所ILに固定することができる。本体部4は長方形の断面形状を有している。OELD12を設置した第1側面と、UP/DOWNボタン18、20等を設置した幅狭の第2側面とは互いに直角に交わっている。第1側面と対抗する第3側面、第2側面と対抗する第4側面は平らな面で構成され、この第3側面、第4側面は設置面を構成している。この第3側面及び/又は第4側面を設置場所に当接させた状態で、ヘッド部2の近傍であって比較的平らな任意の場所IL(例えば柱)に上記結束バンドBを使って固定することがきる。
【0038】
図6A、
図6Bは、ヘッド部2の制御系を説明するためのブロック図である。
図6Aを参照して、投光部52を構成する緑色レーザダイオード(LD)520が発する緑色レーザ光(波長:500nm~555nm、好ましくは500nm~532nm)はフォトダイオード(モニタPD)522で監視され、このモニタPD522の出力電流はI/V変換回路524、A/D変換回路526を経て投光制御部680(
図6B)にフィードバックされる。緑色LD520はLD駆動回路530によって制御され(
図6A)、このLD駆動回路530は投光制御部680(
図6B)によって制御される。
図6Aを参照して、LD駆動回路530は電流制御回路532、投光スイッチ回路534を含む。投光制御部680(
図6B)からD/A変換回路536を経て制御信号が電流制御回路532(
図6A)に入力され、また、投光制御部680(
図6B)から投光スイッチ回路534に制御信号が入力される。これにより、緑色LD520は所定の周期で且つ所定のパワーでレーザ光を投光する。
【0039】
図6Aを参照して、LD駆動回路530を流れる電流は過電流検知回路538によって監視される。過電流検知回路538は電流検知回路1002と、比較部1004とを含み、LD駆動回路530を流れる電流が予め設定された所定値よりも大きいと、比較部1004から投光制御部680(
図6B)に過電流検知信号が供給される。具体的には、緑色LD520に流れる電流を電圧に変換して過電流検知用基準電圧と比較し、緑色LD520に流れる電流に基づく電圧が過電流検知用の基準電圧以内であるか否かの判定が比較部1004によって行われる。過電流を検知すると、投光制御部680(
図6B)は、投光を停止する又は過電流を抑制する制御が実行される。
【0040】
撮像素子60(
図6A)からの受光信号に基づいて、撮像素子60における投光スポットの像の位置が特定され、そして、特定した投光スポットの位置に基づいてワークの変位が測定される。受光部64(
図6A)を構成する受光回路62は、CMOS制御回路1010、増幅回路1012、ローパスフィルタ1014で構成され、撮像素子60から出力される受光信号は増幅回路1012で増幅される。受光部64が出力する受光情報はA/D変換回路640を経てプロセッサ68(
図6B)に入力される。プロセッサ68は、ピーク受光量検出部682、ピーク位置検出部684、距離算出部686、距離判定部688、出力部690を含む。ピーク受光量検出部682は受光量のピーク値を検出し、このピーク値は投光制御部680に入力されて投光制御に反映される。受光部64(
図6A)が生成した受光情報に基づいて受光量のピーク位置がピーク位置検出部684(
図6B)で測定される。すなわち、ピーク位置検出部684は、受光情報に基づいて受光量のピーク位置を測定して、このピーク位置情報は距離算出部686に供給される。距離算出部686は、ピーク位置と距離との対応関係を示すテーブル692を参照して、ワークまでの距離を算出する。距離算出部686で求められたワークまでの距離は距離判定部688に供給され、距離判定部688は、メモリに保存されている判定しきい値694との対比で判定する。ON/OFFに2値化した判定信号は出力部690、通信部80を通じて本体部4に供給される。後に説明するように、本体部4では、ユーザが設定した出力論理に基づいて論理ON/OFF判定信号が生成され、この論理ON/OFF判定信号が本体部4から外部に出力される。変形例として、ヘッド部2で生成した判定信号を本体部2で生成してもよい。また、距離算出部686で求められたワークまでの距離は出力部690、通信部80を通じて本体部4に供給される。
【0041】
受光部64が出力する受光情報は、撮像素子60の露光期間の制御及び投光パルス幅の制御に用いられ、これによりユーザが設定した安全規格のクラス1又は2に合致したレーザ光パワーを投光するように制御される。
図6Bを参照して、受光部64が出力する受光情報はピーク受光量検出部682に入力され、ピーク受光量検出部682でピーク受光量が検出される。この実ピーク受光量は比較部1020に入力される。比較部1020において、実ピーク受光量は、メモリに保存されているピーク受光量の高さ方向の所定の目標領域1032と比較され、この比較に基づいて露光期間調整部1024は露光期間を調整し、この情報は露光信号生成部1026に供給され、露光信号生成部1026は露光期間情報を生成してCMOS制御回路1010(
図6A)に供給する。CMOS制御回路1010は露光期間調整部1024で決定した露光期間に基づいて撮像素子60を駆動する。
【0042】
図6Bを参照して、比較部1020が生成した比較情報は投光パルス幅調整部1030に供給される。投光パルス幅調整部1030は、比較情報に基づいて投光パルス幅を調整し、この情報は投光パルス生成部1040に供給され、投光パルス生成部1040は投光パルス幅を決定し、この投光パルス幅及び予め定められた投光周期に基づいて投光スイッチ回路534(
図6A)が制御される。投光パルス幅調整部1030及び露光期間調整部1024はピーク受光量のフィードバック制御部1032を構成する。フィードバック制御部1032は、受光部64が出力する受光情報に基づいて露光期間、投光パルス幅、投光電流量の制御にフィードバックされる。緑色LD520の動作モードを2つ用意し、クラス1で動作する第1モードと、クラス2で動作する第2モードを選択的に使い分けるようにしてもよい。第1モードは例えば光軸調整時及び/又は点検時に選択し、第2モードはチューニングの時や運用時に選択できるようにするのが好ましい。また、投光パルス幅を一定の制限の下でユーザが設定できるようにしてもよい。
【0043】
すなわち、投光パルス幅調整部1030で調整された投光パルス幅は、モニタPD522(
図6A)の受光量目標値1042(
図6B)に反映されることにより、緑色LD520に供給する電流量の制御に対するフィードバック制御に用いられる。すなわち、モニタ受光量フィードバック制御部1050は、モニタPD522(
図6A)の実モニタ受光量と、モニタPD受光量目標値1042とを比較する比較部1052を有し、比較部1052による比較情報は、投光電流量制御部1054に供給される。投光電流量制御部1054は、実モニタ受光量が目標値1042よりも多いときには投光電流量を少なくし、実モニタ受光量が目標値1042よりも少ないときには投光電流量を多くする電流量制御信号を生成し、この電流量制御信号は電流制御回路532(
図6A)に供給される。前述した過電流信号は故障検知部(リミッタ)1056に供給され、故障検知部1056は過電流信号を受けると、投光電流を遮断する又は投光パルス生成部1040及び投光電流量制御部1054を規制して過電流を抑制する。
【0044】
図6Bにおいて、ピーク位置距離対応テーブル692と距離判定しきい値694とを含めて投光制御部680が図示されているが、これは線の錯綜を避ける作図上の理由からであり、ピーク位置距離対応テーブル692と距離判定しきい値694はメモリに登録されていると理解されたい。
【0045】
図6Bを参照して、前述したモーションセンサ50を構成するジャイロセンサの出力は光軸変位検知部696に入力される。光軸変位検知部696は、メモリ参照部698からしきい値を読み込み、ジャイロセンサ(モーションセンサ50)の出力がしきい値以上のときに、光軸変位検知情報を出力部690に供給する。この光軸変位検知情報は通信部80を通じて本体部4に供給される。
【0046】
ヘッド部2は故障検知部1080を有し、ヘッド部2の動作に異常が発生したときには表示灯制御部1082を通じて前面動作表示灯70、出力部動作表示灯76を駆動し、前面動作表示灯70、出力部動作表示灯76は赤色で点滅する。また、表示灯制御部1082は通信部80を通じて本体部4に異常発生信号を供給し、本体部動作表示灯14は赤色で点滅する。
【0047】
図7は、本体部4の制御系を説明するためのブロック図である。本体部4は、プロセッサ24、入力回路26、出力回路28、電源回路30、通信部34などを含んでいる。図示の操作部402は、SETボタン16、UPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22を意味している。ユーザは操作部402を操作することにより、チューニング設定、マスク設定、ジャイロセンサ(モーションセンサ50)のしきい値設定、本体部4の出力論理の設定、クリア入力などを行うことができる。モーションセンサ50の信号に基づいて光軸変位が検出されるとアラーム信号が生成され、このアラーム信号はクリア指示があるまで保持される。ユーザが操作部402を操作すると操作受付部240でこの操作が受け付けられ、ユーザが例えば光軸変位しきい値や距離判定しきい値を変更する操作を行うとメモリ32に保存されている光軸変位しきい値、距離判定しきい値が更新される。
【0048】
通信部34、送受信部340を通じてヘッド部2から受け取った受光情報を含む測定情報は、送受信部340を通じて出力生成部246に供給される。出力生成部246は、ヘッド部2から受け取った判定データ及びユーザが設定可能な出力論理248に基づいて判定ON/OFF信号を生成する。判定ON/OFF信号は出力回路28を通じて出力ケーブル8を通じて外部機器に供給される。
【0049】
出力生成部246は、故障検知信号や光軸変位検知信号を受け取ったときには、直ちに出力回路28を通じてアラーム信号を外部に供給する。また、出力生成部246は、光軸変位検知情報をディスプレイ制御部250に供給し、ディスプレイ制御部250は光軸変位検知情報に基づいてOELD12の描画を制御する。OELD12は光軸変位発生の報知を表示する。
【0050】
ヘッド部2から受け取った判定しきい値を含む受光情報を含む測定情報はディスプレイ制御部250に供給され、ディスプレイ制御部250は、受け取った受光情報を含む測定情報に基づいてOELD12の描画を制御する。OELD12は測定情報を表示する。
【0051】
図8は、例えば光軸変位など異常が発生したときのOELD12の表示例を示す。アラーム表示は「位置ずれ検知」を文字で表示した第1アラーム表示モードと、ジャイロセンサが検出した角速度に基づく変位量がしきい値以上であることを検出した時点からの経過時間を表示する第2アラーム表示モードを含む。この第1、第2のアラーム表示モードを交互に表示するのが好ましい。
【0052】
図9~
図11は、運用時又はしきい値設定時のOELD12の表示例を示す。運用時には、数値表示モード(
図9)と、バー表示モード(
図10、
図11)とを選択することができる。数値表示モードでは、現在値(図示の例では199.9mm)としきい値(図示の例では67.8)が数値表示される(
図9)。バー表示モードでは、距離モード(
図10)と高さモード(
図11)とを択一的に選択することができる。バー表示モードでは、ヘッド部2を意味するキャラクタC1が表示される。距離モードでは、ヘッドからワークまでの距離の現在値が横バーC3で表示される(
図10)。高さモードでは、基準面からのワークの変位の現在値が横バーC2で表示される(
図11)。
図10、
図11において、参照符号C4はこれまで取得した検出値の最大値を示す「P」の文字を含む縦ラインのキャラクタである。また、参照符号C5はしきい値を意味する縦ラインのキャラクタである。ユーザがUP/DOWNボタン18、20を操作してしきい値の設定を変更したときには、このユーザの操作に追従してしきい値キャラクタ(縦ライン)C5が移動し、また、表示されているしきい値の数値が変化する。ユーザは、OELD12の現在値のバー表示及び最大値の表示を見ながら、そして、しきい値キャラクタC5の位置を確認しながらしきい値を調整することができる。なお、
図10、
図11に図示されている数値「12.3」は現在値を意味している。
【0053】
図12は、ヘッド部2、本体部4に含まれる電源回路を説明するための図である。本体部4は電源回路30を内蔵している。電源回路30は、2つの電源回路30A、30Bを含む。一方の電源回路30Aは外部から受け取った電源の電圧を調整して、調整した電圧を他方の電源回路30Bとヘッド部2に供給する。この他方の電源回路30Bは電圧を調整してプロセッサ24及びヘッド部2に供給する。ヘッド部2において、本体部4から受け取った電源によってモーションセンサ(ジャイロセンサ)50及びプロセッサ68が駆動され、また、緑色LD520が駆動される。ヘッド部2の第2電源回路78は電圧を調整し、調整後の電圧はリニアレギュレータ82によって安定化された後に、撮像素子60、受光回路62に供給される。
【0054】
図13は、緑色レーザ光を発するLD520(
図6)の強度及びパワーを制限するプロセッサ68の制御を説明するためのフローチャートである。
図13を参照して、ステップS1で投光パルス生成部1040(
図6B)は、予め定められた投光周期で投光信号を生成する。次のステップS2において、予め設定された電流量で緑色LD520を駆動する。次のステップS3において、モニタPD522(
図6A)が受け取った受光量が予め規定した範囲内であるか否かをプロセッサ68の投光制御部680内のモニタ受光量フィードバック制御部1050が判別し、NOつまり受光量が規定の範囲を逸脱しているときには、ステップS4に移行してこの逸脱が所定回数以上連続しているか否かを判別する。このステップS4においてYESつまり逸脱が所定回数以上連続しているときには何らかの異常が発生しているとして緑色LD520の投光を停止する(S5)。ステップS4において、NOのときには、ステップS6に進んで緑色LD520を制御する電流量を調整してステップS2に戻る。ステップS3などで説明したように、複数の箇所でモニタ発光量を監視していることによって、仮に一箇所が故障したとしても所定の安全性を確保できるレーザクラスに基づく運用を担保することができる。
【0055】
上記ステップS3ないしS6は、緑色レーザ光の強度及びパワーを制限する実質的なリミッタを構成している。投光部52が発する緑色レーザ光の強度及びパワーは、ワークに当たった緑色レーザ光のスポットの位置をユーザが裸眼で確認してもユーザに影響を及ぼさないレベルに制限される。この制限は安全規格の「クラス1」又は「クラス2」を念頭に置いて設定すればよい。緑色は波長が500nm~555nmであり、比視感度(明比視感度及び暗比視感度)が他の色よりも優れている。したがって、緑色レーザ光の強度及びパワーを上記のレベルに制限してもスポットの視認性を確保できる。
【0056】
緑色LD520の動作モードを2つ用意し、ユーザの設定によって、クラス1で動作する第1モードと、クラス2で動作する第2モードを使い分けるようにしてもよい。第1モードは例えば光軸調整時及び/又は点検時に選択し、第2モードはティーチングの時や運用時に選択できるようにするのが好ましい。また、投光パルス幅を一定の制限の下でユーザが設定できるようにしてもよい。
【0057】
三角測距センサ100において、受光信号から正しく距離を算出するのに、受光信号を適切な信号強度に収める制御が実行される。
図14は、受光量が多すぎる場合の問題と少なすぎる場合の問題を説明するための図である。
図14の(I)は受光量が多すぎる場合を示す。受光量が飽和点を超えてしまうと、受光波形の山のピークの部分が消失してしまうことからピークの位置を正確に把握できない。
図14の(II)は受光量が少なすぎる場合を示す。受光量が少ないと、受光波形の山が全体的に低くなってしまうためピーク位置を正確に把握できない。
図14の(III)を参照して、撮像素子60の露光時間は図示を省略した電子シャッタによって制御される。実施例では、受光信号のピーク光量に基づいて露光時間を変化させることにより、受光量が多すぎるときには露光時間を短することで受光量を小さくして受光波形の山を低くし、受光量が多すぎるときには露光時間を長くすることで受光量を多くして受光波形の山を高くする制御が実行される。撮像素子60の露光時間を変化させることで、撮像素子60の受光量が変化する。
【0058】
受光波形の山の適正化のために行う受光量の制御に関し、上述した露光時間の他に、受光信号を増幅する回路の受光ゲイン、緑色LD520の発光パワーを変化させて発光信号の強度を制御するようにしてもよい。外乱光による信号と区別するのに、緑色LD520の発光パワーを強めるのが好ましい。このことを前提とすると、撮像素子60の露光時間、受光ゲインによって受光波形の山を適正にする制御を行うのがよい。撮像素子60の露光時間による制御は比較的導入し易いという利点があるが、調整できるダイナミックレンジを拡大するために、受光ゲイン又は発光パワーと露光時間との組み合わせを採用するのがよい。
【0059】
前述したように緑色レーザ光は比視感度が高く、反射率が低いワークに関して視認性が良いという利点がある。しかし、反射率が高い例えば白色のワーク、金属のワークでは、スポットが眩し過ぎるとユーザが感じてしまう可能性がある。眩しく感じるスポットは光軸調整などの妨げとなる。この観点からワークの表面性状に応じて発光パワーを変更する制御を行うのが好ましい。その具体例として、露光時間の変更に加えて投光のパルス幅を変更する制御の一例が
図15に示すフローチャートである。投光パルス幅に代えて電流値を変更するようにしてもよい。投光パルス幅が撮像素子60の露光時間以上であれば、センサの検出性能を低下させることはない。
【0060】
図15を参照して、ステップS11において光強度制御処理が実行される。
図16は光強度制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図16のステップS111において、投光パルス生成部1040により、予め定められた投光周期で投光信号が生成される。次のステップS112において、設定された電流量、投光パルス幅で投光部52が制御される。ステップS113において、投光量のフィードバック制御に用いられるモニタPD522で受光される受光量が規定範囲内であるか否かの判定が行われNOであれば、ステップS114に進んで、規定範囲を逸脱した回数が所定回数内であるか否かの判定が行われる。この所定回数は、ユーザが設定したレーザクラスの規定に依存し、レーザクラスの規定を担保できなくなるときには投光パルスを停止する信号を生成する(S115)。制御される緑色LD520の光パワーが安全性を担保するレーザクラスの観点に立脚したときに問題が無い場合には、応答時間を担保できなくなる場合に限定して投光パルスを停止する信号を生成してもよい。ステップS114において、規定範囲を逸脱した回数が所定回数内であれば、YESということでステップS116に進んで、発光を制御する電流量を設定する。
【0061】
図15のフローチャートに戻って、ステップS12において、投光パルス生成部1040(
図6B)は投光パルスを停止する信号が有るか否かの判定を行う。停止信号が有ればステップS13に進んで投光を停止する。ステップS12において投光パルスを停止する信号が無ければ、ステップS14に進んで過電流検知処理が実行される。
【0062】
図17は過電流検知処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図16のステップS141において、緑色LD520に流れる電流を電圧に変換して過電流検知用基準電圧と比較し、緑色LD520に流れる電流に基づく電圧が過電流検知用基準電圧以内であるか否かの判定が行われる(S142)。緑色LD520に流れる電流に基づく電圧が過電流検知用基準電圧よりも高いときには、NOということでステップS143に進んで過電流検知信号を生成し、また、投光パルスを停止する信号を生成する(S144)。
【0063】
図15に戻って、ステップS15において、投光パルス停止信号が有るか否かの判定が行われる。投光パルス停止信号が有ればステップS13に進んで投光を停止する。投光パルス停止信号が無ければステップS16に進んで、設定されたタイミング且つ露光期間で撮像素子60を駆動し、露光期間における受光量に応じて受光信号を取得する(S17)。そして、次のステップS18において、この受光信号の最大値が目標範囲内であるか否かを判定し、受光信号の最大値が目標範囲内であればYESということでステップS19に進んで各受光画素の受光量を積算して受光波形を生成する。次のステップS20において受光波形のピークの位置を算出し、このピーク位置からワークの変位(位置)を算出し(S21)、この算出したワークの変位に基づく情報を出力(S22)して、ステップS11に戻る。ステップS22における出力は、ワークの変位を出力する場合と、しきい値と比較して判定ON/OFF信号を生成する場合とがある。
【0064】
ステップS20において受光波形のピーク位置算出は次のようにして行われる。
(1)受光波形からピーク位置が取得できる場合は、取得したピーク位置として決定する。
(2)受光量が過度に多く、飽和しているときには、取得した受光波形からピーク位置を推定する。
(3)受光量が少なすぎて目標範囲に入らないときにおいて、ピーク位置が取得できる場合は、取得したピーク位置として決定する。
(4)受光量が少なすぎてピーク位置を検出できないときには、予め設定された最も遠い又は最も近い位置にワークが存在しているとみなす。
【0065】
上記ステップS18において受光信号の最大値が目標範囲でなければ、ステップS24に進んで、受光量を適正化するために露光時間及び投光パルス幅の設定を変更し、上記のステップS11に戻る。
【0066】
図18の(I)は、例えばCMOSからなる撮像素子60において、ワークの遠近によって反射光を受ける部位が異なることを説明するための図である。図示の例では、ワークが近距離に位置する場合には撮像素子60の下方部位にスポットの像が結像する(
図18の(II))。そして、次に説明するようにスポットの像は相対的に大きい。他方、ワークが遠距離に位置する場合には撮像素子60の上方部位にスポットの像が結像する。そして、次に説明するようにスポットの像は相対的に小さい(
図18の(II))。後に説明するように、撮像素子60の画素60aの群は、好ましくは、ワークが遠距離に位置するときに受光する部位からワークが近距離に位置するときに受光する部位に向かうに従って画素60aの幅が大きくなるように撮像素子60が設計されている。ここに画素60aの幅は、隣接する2つの画素60aにおいて、第1の画素の中心と第2の画素の中心との間の間隔を実質的に意味している。
【0067】
図19は、複数の画素60aで構成される撮像素子60において、ワークの遠近によってスポットの像SPを受ける部位が異なり、またスポットの像SPの大きさが変化することを説明するための図である。
図19の(I)は、ワークが近距離に位置するときに撮像素子60の画素60aの群の一端部にスポットが結像することを示す。
図19の(II)は、ワークが中間位置に位置するときに撮像素子60の画素60aの群の中間部にスポットが結像することを示す。
図19の(III)は、ワークが遠距離に位置するときに撮像素子60の画素60の群の他端部にスポットが結像することを示す。
【0068】
図19の(I)から分かるようにワークが近距離に位置するときにはスポットの像SPは大きく、ワークが遠距離に位置するときにはスポットの像SPは小さい(
図19の(III))。撮像素子60の画素60aが等間隔に配列している場合、図示の例では、ワークが近いときには、7つの画素60aで受光されている。これに対して、ワークが遠いときには1つの画素60aで受光されている。
【0069】
ワークが近くに位置し、スポットの像SPが複数の画素60aで受光されるときには(
図19の(I))、受光する画素60aの数が多く、複数の画素60aの受光データに基づいて受光波形を曲線的に近似できるため受光量のピークの位置を推定する精度が高くなる。他方、ワークが遠くに位置し、スポットの像SPが例えば1つ画素60aで受光されるときには(
図19の(III))、受光波形を曲線的に近似できないため受光量のピーク位置を推定できない。ワークが遠い場合にも受光波形を曲線的に近似するためには、受光画素60aのそれぞれの幅を小さくすることが望ましい。一方で、受光画素aのそれぞれの幅を小さくした場合は、撮像素子全体の画素数が多くなり、処理負荷が大きくなる。
【0070】
この問題に対して、ヘッド部2に搭載する撮像素子60は画素60aの幅がワークの遠近に対応して異なるように設計するのが好ましい。
図20は、撮像素子60が近距離側から遠距離側に向けて徐々に画素60aの幅が小さくなるように設計された例を説明するための概念図である。
図20は不等間隔の画素60aを備えた撮像素子60のイメージ図である。撮像素子60で結像するスポットの像SPは、ヘッド部2の検出範囲に対応して、そのサイズが決まる。
図20の(I)は、ワークが近距離に位置しているときのスポットの結像位置及びスポットの像SPを示す。
図20の(II)は、ワークが中間距離に位置しているときのスポットの結像位置及びスポットの像SPを示す。
図20の(III)は、ワークが遠距離に位置しているときのスポットの結像位置及びスポットの像SPを示す。図示の例では、ワークの遠近に関わりなく3つの画素60aでスポットの像SPを受光するように画素60aの幅が規定されている。これにより、ワークの遠近に関わりなくスポットの像SPを受光した3つの画素60aの受光量を曲線近似してピーク位置を推定できる。加えて、撮像素子全体の画素数を減らすこともでき、また、多くの画素60aで受光していないことから処理負担も軽減できる。これによりピーク位置の検出精度と処理負担軽減を両立することができる。図示の例では、3つの画素60aでスポットの像SPを受光する。これは、受光波形を曲線的に近似するために、少なくとの3つの画素60aでスポットの像SPを受光するのがよいという理由に基づいている。
【0071】
なお、
図20では、スポットの像SPを円又は楕円で表現してあるが、スポットの像SPの形状は円又は楕円に限らず、矩形であってもよい。
【0072】
図21は、ヘッド部2の投受光面2aの構造を説明するための図である。ヘッド部2は、相対的に幅狭の一つの側面が投受光面2aを構成し、この投受光面は、投受光の窓66、68を構成する導光部材ホルダ79と、ヘッド部2の投受光面2aつまり前面に位置する第1動作表示灯ユニット72の光を外部に向けて導光すると共に拡散させる光拡散部材70cとを有する。光拡散部材70cは、導光部材ホルダ79の投光窓66と受光窓67との間に装着される。図中、参照符号70a、70bは、ユニット化した前面動作表示灯70の光源を示し、70aは赤色LEDであり、70bは緑色LEDである。
【0073】
導光部材ホルダ79の外側には防水パッキン84が配設され、その外側に透光カバー部材86が配設されている。この透光カバー部材86は金属製のカバー押さえ部材88によって固定される。金属製のカバー押さえ部材88を第1筐体2にスナップ嵌めすることにより防水パッキン84が圧縮され、これにより投受光面2aが防水される。
【0074】
ヘッド部2の防水構造、つまり中継ケーブル6に関する防水パッキン72(
図5)及び投受光面2aの防水パッキン84と実質的に同じ防水構造が本体部4にも採用されて、本体部4は、OELD12回りや操作部402、中継ケーブル6、出力ケーブル8の接続部を含めて防水構造が採用されている。
【0075】
図1、
図5、
図21の参照符号Thは取付孔を示す。取付孔Thは、緑レーザ光の光軸の方向と直交する方向に延びる貫通孔で構成され、ヘッド部2は、これを横断する2つの取付孔Thに挿入されたボルトによって任意の箇所に固定される。
【0076】
図22は、本体部4に内蔵された本体部基板36に対して中継ケーブル6と出力ケーブル8がコネクタ無しに半田付けにより接続されることを説明するための図である。なお、参照符号Cは本体部基板36の接点を示す。具体的には、中継ケーブル6はフレキシブル基板38に接続され、フレキシブル基板38は本体部基板36に半田付けされている。なお、中継ケーブル6の他端はヘッド部2に半田付けされる。すなわち、中継ケーブル6の両端を半田付けすることによりヘッド部2と本体部4とが接続されている。これにより、本体部4とヘッド部2とを回路構成において実質的に一体化できる。出力ケーブル8について説明すると、出力ケーブル8は、鉛直中継部材40の接点が本体部基板36の接点Cに半田付けされる。これにより、本体部4の全長を短くすることができる。変形例として、本体部4のヘッド部2側の端にコネクタを設け、このコネクタを介して本体部4と中継ケーブル6とを接続するようにしてもよい。また、本体部4の出力側の端にコネクタを設け、このコネクタに出力ケーブル8を接続するようにしてもよい。
【0077】
図23~
図26は、本体部4の両端の止水構造を説明するための図である。本体部4は両端にキャップ102を有し、
図23、
図24は、ヘッド部2側のキャップ102を緩めた状態を示す。
図23は側面図であり、
図24は断面図である。
図25は、
図24の矢印XXVで示す部分を拡大した図である。参照符号104は止水部材つまりパッキンである。キャップ102を締め付けることで、パッキン104により止水される。
図26は、
図25に対応した断面図であり、キャップ102を締め付けた後の状態を示す。
図26から分かるように、キャップ102を締めることにより、キャップと本体部4との間の隙間が無くなり、パッキン104は圧縮された状態になる。
【0078】
図15において、参照符号108はネジ部を示す。
図23、
図24において、締め付けた状態の図示右側のキャップ102の内側に首部Nが形成される。
【0079】
<第2実施例(
図27~
図31)>
第2実施例の変位センサは、第1実施例と同様に緑色レーザ光源を備えた光学式三角測距センサである。第2実施例の三角測距センサ200は第1筐体を構成するヘッド本体202と、第2筐体を構成する中継部204に分けて構成され、ヘッド本体202から延びる中継ケーブル204は中継部204と一体化されている。また、中継部204から延出する外部接続用ケーブル212も中継部204と一体化されている。すなわち、中継ケーブル204及び外部接続用ケーブル212は共にコネクタ無しで中継部204から延出している。
【0080】
第2実施例の三角測距センサ200にあっては、中継部204は電源回路で構成され表示機能を有していない。このことから第2実施例の変位センサは表示機能無しの変位センサということができる。したがって、第2実施例の三角測距センサ200の使用態様は、
図27に図示したように、PLC、制御機器に接続する態様、もしユーザが表示を求めるのであれば、従来の表示機能を備えた分離型アンプに接続する態様がある。
【0081】
図28A、
図28Bは、第2実施例に含まれるヘッド本体202の構成を説明するためのブロック図である。ヘッド本体202の構成は、前述した
図6A、
図6Bと対比すると分かるように、第1実施例に含まれるヘッド部2と同じであり、ヘッド本体202は、第1実施例に含まれるヘッド部2と同様に、緑色レーザ光源を使った計測に必要最小限の要素で構成されている。
【0082】
図6Bを参照して第1実施例で説明したように、距離判定部688(
図28B)は、メモリに保存されている判定しきい値694との対比でON/OFFに2値化した判定信号を生成し、このON/OFF判定信号は出力部690、通信部80を通じて、そして中継部204、外部接続用ケーブル212を経由して外部機器に供給される。
【0083】
図29は、第2実施例の三角測距センサ200に含まれる電源回路を説明するための図である。三角測距センサ200は、これを接続することのできる外部機器、つまりPLC、分離アンプ、制御機器から供給される電源で駆動される。
図29は、三角測距センサ200を分離型アンプ300に接続した例を示す。分離型アンプ300は、第1電源回路302と、第1電源302で生成した電圧を降圧する第2電源回路304とを含み、第2電源回路304によって分離アンプ300のプロセッサ306が駆動される。
【0084】
三角測距センサ200に含まれる中継部204は外部接続用ケーブル212を通じて分離アンプ300などの外部機器と接続される。分離アンプ300の第1電源回路302が調整した電圧が外部接続用ケーブル212を通じて三角測距センサ200に供給されて緑色LD520を駆動する。中継部204に含まれる第3電源回路は、第1電源回路302が生成した電圧を降圧してヘッド本体部202のプロセッサ68を駆動するための電源を生成する。ヘッド本体部202は第4電源回路78を含み、この第4電源回路78は、第1電源回路302から供給された電位を降圧する。第4電源回路78は撮像素子60、受光回路62の駆動する電圧に調整する。
【0085】
中継部204は細長い筒状の形状を有し、中継ケーブル210や外部接続用ケーブル212に比べて大径であるが数倍程度の直径を有している。このことから、中継部204は、形態的に中継ケーブル210や外部接続用ケーブル212と実質的に一体化している。また、形態的に一体化するように中継部204の外形形状が設計されている。
【0086】
中継部204はコネクタ無しに中継ケーブル210及び外部接続用ケーブル212に接続されている。中継部204の筐体220は樹脂製である。中継部204においても前述した本体部4と実質的に同じ止水構造が採用されている。すなわち、樹脂製筐体220の一端には、第1中継ケーブル210の周囲を止水するパッキン222を有し、その回りのキャップ224でパッキン222が圧縮されている(
図30)。
【0087】
図31を参照して、第2実施例の三角測距センサ200は、ヘッド本体202で生成された距離データ、ON/OFF判定結果、光軸変位情報が外部接続用ケーブル212を通じて、分離型アンプ300、PLC、制御機器に供給することができる。つまり、表示機能無しの変位センサとして用いることができる。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、レーザ光を投光するレーザ変位センサに限定されない。本発明は、光源の種類に限定されず、三角測距タイプ、TOF(Time Of Flight)タイプに適用可能である。受光量型の光電センサにも適用可能である。
前記第2筐体が複数の面を有し、前記表示部が設けられた第1の面と、該第1の面および、該第1の面に対向する第2の面とは異なる第3の面に前記操作部が設けられている、請求項4に記載の光学式変位センサ。