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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071750
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 16/00 20060101AFI20240517BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B41F16/00 J
B41F16/00 C
B65H20/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059497
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2020065613の分割
【原出願日】2020-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】大平 彩花
(72)【発明者】
【氏名】山本 智也
(57)【要約】
【課題】箔フィルムの無駄な搬送を抑制することを目的とする。
【解決手段】制御部は、一方のローラ(加熱ローラ61)を、他方のローラ(加圧ローラ51)から離間した離間位置に位置させ、かつ、規制切替手段を規制状態とした状態(箔フィルムFの搬送を規制した状態)で、加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の転写位置へシートSが搬送されるように、搬送ローラ(11C,12A)を駆動させる。制御部は、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、箔を転写すべき領域である箔転写領域TAが転写位置に到達する前に、一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置に移動させ、一方のローラが圧接位置に位置した後に、規制切替手段を解除状態(箔フィルムFの搬送の規制を解除した状態)とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記シートを搬送する搬送ローラと、
前記箔フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、
前記加熱ローラとの間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記箔フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラによる前記供給リールからの前記箔フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、前記他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記一方のローラを前記離間位置に位置させ、かつ、前記規制切替手段を前記規制状態とした状態で、前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置へ前記シートが搬送されるように、前記搬送ローラを駆動させ、
前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、箔を転写すべき領域である箔転写領域が前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、
前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とすることを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記規制切替手段は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラの駆動と停止を切り替える駆動切替手段を備え、
前記制御部は、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止させることで、前記規制切替手段を前記規制状態とし、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを駆動させることで、前記規制切替手段を前記解除状態とすることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記一方のローラが前記圧接位置に到達する前に、前記シートに接触している前記搬送ローラを停止させることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記一方のローラの位置を検出する位置センサを備え、
前記制御部は、前記位置センサからの信号に基づいて、前記一方のローラが前記圧接位置に位置したか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記シートの先端から前記箔転写領域までの距離が第1距離以上である場合には、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記箔転写領域が前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とし、
前記シートの先端から前記箔転写領域までの距離が前記第1距離未満である場合には、前記シートが前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記シートの搬送方向における前記箔転写領域の位置および長さを特定するための情報を入力可能な入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部で入力された前記箔転写領域が前記シートの範囲外に配置される場合には、前記一方のローラを前記離間位置に位置させた状態で、前記シートが前記転写位置を通り過ぎ、前記転写位置を通り過ぎた前記シートが前記搬送ローラを通り過ぎるように、前記搬送ローラを駆動させ、かつ、前記シートが前記搬送ローラを通り過ぎた後に前記搬送ローラを停止させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項7】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムが巻回される供給リールと、
前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
前記シートを搬送する搬送ローラと、
前記箔フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、
前記加熱ローラとの間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記箔フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラによる前記供給リールからの前記箔フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、前記他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記シート上における、箔を転写すべき領域である箔転写領域が前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に位置させ、かつ、前記規制切替手段を前記解除状態とし、
前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、
前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする箔転写装置。
【請求項8】
前記規制切替手段は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラの駆動と停止を切り替える駆動切替手段を備え、
前記制御部は、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止させることで、前記規制切替手段を前記規制状態とし、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを駆動させることで、前記規制切替手段を前記解除状態とすることを特徴とする請求項7に記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止する際に、前記シートに接触している前記搬送ローラを停止させることを特徴とする請求項8に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記シートの先端の通過を検出するシートセンサであって、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラよりも上流に配置されるシートセンサを備え、
前記制御部は、
前記シートセンサで前記シートの先端の通過を検出してからの経過時間に基づいて、前記箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎたか否かを判定することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記シートの後端から前記箔転写領域までの距離が第2距離以上である場合には、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させ、
前記シートの後端から前記箔転写領域までの距離が前記第2距離未満である場合には、前記シートが前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項12】
前記シートの搬送方向における前記箔転写領域の位置および長さを特定するための情報を入力可能な入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部で入力された前記箔転写領域の後端が前記シートの後端よりも前記シートの搬送方向の上流に配置される場合には、前記シートが前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【請求項13】
前記制御部は、
第1シートが搬送されている間に次の第2シートが搬送される場合において、
前記第1シートの前記箔転写領域である第1箔転写領域の後端から前記第1シートの後端までの第1長さが、所定長さ以下である場合には、前記第1箔転写領域が前記転写位置を通過してから、前記第2シートの前記箔転写領域である第2箔転写領域が前記転写位置を通過するまでの間、前記一方のローラを前記圧接位置に維持し、
前記第1長さが前記所定長さよりも大きい場合には、前記第1シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記第1箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、箔フィルムが巻回された供給リールと、箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、箔フィルムおよびシートを加熱する加熱ローラと、加熱ローラとの間で箔フィルムおよびシートを挟む加圧ローラと、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、回転する加熱ローラおよび加圧ローラによって、箔フィルムおよびシートを搬送することで、シート上のトナー像に箔を転写(以下、「箔転写」ともいう。)することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-290685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術において、例えば箔転写の指令を受けた後、シートの搬送を開始する前に、加熱ローラおよび加圧ローラの回転を開始してしまうと、箔フィルムを無駄に搬送してしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、箔フィルムの無駄な搬送を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、前記箔フィルムが巻回される供給リールと、前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、前記シートを搬送する搬送ローラと、前記箔フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、前記加熱ローラとの間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記箔フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、前記加熱ローラおよび前記加圧ローラによる前記供給リールからの前記箔フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、前記加熱ローラおよび前記加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、前記他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、制御部と、を備える。
前記制御部は、前記一方のローラを前記離間位置に位置させ、かつ、前記規制切替手段を前記規制状態とした状態で、前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置へ前記シートが搬送されるように、前記搬送ローラを駆動させ、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、箔を転写すべき領域である箔転写領域が前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とする。
【0007】
この構成によれば、シートが転写位置に存在するときに、供給リールからの箔フィルムの引き出しが開始されるので、例えば、シートが転写位置に到達する前に供給リールからの箔フィルムの引き出しが開始される形態と比べ、箔フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
【0008】
また、前記規制切替手段は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラの駆動と停止を切り替える駆動切替手段を備え、前記制御部は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止させることで、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを駆動させることで、前記規制切替手段を前記解除状態としてもよい。
【0009】
また、前記制御部は、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記一方のローラが前記圧接位置に到達する前に、前記シートに接触している前記搬送ローラを停止させてもよい。
【0010】
この構成によれば、停止した状態の一方ローラが他方のローラに圧接する前に、シートの搬送が止められるので、停止した状態の各ローラの圧接中にシートが搬送されることによってシートが撓んでしまうのを抑制することができる。
【0011】
また、前記一方のローラの位置を検出する位置センサを備え、前記制御部は、前記位置センサからの信号に基づいて、前記一方のローラが前記圧接位置に位置したか否かを判定してもよい。
【0012】
また、前記制御部は、前記シートの先端から前記箔転写領域までの距離が第1距離以上である場合には、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記箔転写領域が前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とし、前記シートの先端から前記箔転写領域までの距離が前記第1距離未満である場合には、前記シートが前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態としてもよい。
【0013】
また、前記箔転写装置は、前記シートの搬送方向における前記箔転写領域の位置および長さを特定するための情報を入力可能な入力部を備え、前記制御部は、前記入力部で入力された前記箔転写領域が前記シートの範囲外に配置される場合には、前記一方のローラを前記離間位置に位置させた状態で、前記シートが前記転写位置を通り過ぎ、前記転写位置を通り過ぎた前記シートが前記搬送ローラを通り過ぎるように、前記搬送ローラを駆動させ、かつ、前記シートが前記搬送ローラを通り過ぎた後に前記搬送ローラを停止させてもよい。
【0014】
この構成によれば、箔転写領域がシートの範囲外である場合には、箔転写を行わずに、シートが排出されるので、箔フィルムが無駄に搬送されるのを抑制することができる。
【0015】
また、本発明に係る箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、前記箔フィルムが巻回される供給リールと、前記箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、前記シートを搬送する搬送ローラと、前記箔フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、前記加熱ローラとの間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記箔フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、前記加熱ローラおよび前記加圧ローラによる前記供給リールからの前記箔フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、前記加熱ローラおよび前記加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、前記他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、制御部と、を備える。
前記制御部は、前記シート上における、箔を転写すべき領域である箔転写領域が前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に位置させ、かつ、前記規制切替手段を前記解除状態とし、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させてもよい。
【0016】
この構成によれば、シートが転写位置に存在するときに供給リールからの箔フィルムの引き出しが規制されるので、例えばシートが転写位置を通り過ぎた後に供給リールからの箔フィルムの引き出しを規制する形態と比べ、箔フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
【0017】
また、前記規制切替手段は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラの駆動と停止を切り替える駆動切替手段を備え、前記制御部は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止させることで、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを駆動させることで、前記規制切替手段を前記解除状態としてもよい。
【0018】
また、前記制御部は、前記前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止する際に、前記シートに接触している前記搬送ローラを停止させてもよい。
【0019】
この構成によれば、圧接状態の加圧ローラおよび加熱ローラが停止する際に、シートの搬送が止められるので、停止した状態の各ローラの圧接中にシートが搬送されることによってシートが撓んでしまうのを抑制することができる。
【0020】
また、前記箔転写装置は、前記シートの先端の通過を検出するシートセンサであって、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラよりも上流に配置されるシートセンサを備え、前記制御部は、前記シートセンサで前記シートの先端の通過を検出してからの経過時間に基づいて、前記箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎたか否かを判定してもよい。
【0021】
また、前記制御部は、前記シートの後端から前記箔転写領域までの距離が第2距離以上である場合には、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させ、前記シートの後端から前記箔転写領域までの距離が前記第2距離未満である場合には、前記シートが前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させてもよい。
【0022】
また、前記箔転写装置は、前記シートの搬送方向における前記箔転写領域の位置および長さを特定するための情報を入力可能な入力部を備え、前記制御部は、前記入力部で入力された前記箔転写領域の後端が前記シートの後端よりも前記シートの搬送方向の上流に配置される場合には、前記シートが前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させてもよい。
【0023】
また、前記制御部は、第1シートが搬送されている間に次の第2シートが搬送される場合において、前記第1シートの前記箔転写領域である第1箔転写領域の後端から前記第1シートの後端までの第1長さが、所定長さ以下である場合には、前記第1箔転写領域が前記転写位置を通過してから、前記第2シートの前記箔転写領域である第2箔転写領域が前記転写位置を通過するまでの間、前記一方のローラを前記圧接位置に維持し、前記第1長さが前記所定長さよりも大きい場合には、前記第1シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記第1箔転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させてもよい。
【0024】
第1長さが所定長さ以下である場合には、第1シートの箔転写領域と第2シートとの間で一方のローラを離間させると、一方のローラを離間させる意味がなくなる。また、第1長さが所定長さよりも大きい場合には、第1シートの箔転写領域と第2シートとの間で一方のローラを圧接させたままにすると、第1シートの箔転写領域と第2シートとの間で一方のローラを離間させる方法と比べ、箔フィルムの搬送量が大きくなる。
【0025】
前述した構成によれば、第1長さが所定長さ以下である場合には、一方のローラを圧接させたままにするので、一方のローラの無駄な離間を抑制することができる。また、第1長さが所定長さよりも大きい場合には、一方のローラを離間させるので、箔フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、箔フィルムの無駄な搬送を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】フィルムユニットを分解して示す斜視図である。
図4】供給リールの軸方向の一端側の構造を示す断面図である。
図5】供給リールの軸方向の他端側の構造を示す断面図である。
図6】箔転写装置の構成を簡略化して示す図である。
図7】全面転写処理、先端転写処理、後端転写処理、中央転写処理の違いを示す図(a)~(d)である。
図8】制御部の動作を示すフローチャートである。
図9】全面転写処理を示すフローチャートである。
図10】先端転写処理を示すフローチャートである。
図11】後端転写処理を示すフローチャートである。
図12】中央転写処理を示すフローチャートである。
図13】第1変形例に係る先端転写処理を示すフローチャートである。
図14】第1変形例に係る後端転写処理を示すフローチャートである。
図15】第1変形例に係る中央転写処理を示すフローチャートである。
図16】2枚のシート間で加熱ローラを離間・圧接させる場合の箔フィルムの搬送量と、2枚のシート間で加熱ローラを圧接させたままにする場合の箔フィルムの搬送量との関係を示す図(a)~(c)である。
図17】連続転写処理を示すフローチャートである。
図18】第1先端転写処理を示すフローチャートである。
図19】第2先端転写処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、箔転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の右側を「前」とし、図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」とし、図1の紙面奥側を「右」とする。また、図1の上下を「上下」とする。
【0029】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。つまり、箔転写装置1は、シートSのトナー像の上に箔を転写することで、シートSに箔の画像を形成している。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0030】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0031】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。
【0032】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、搬送ローラの一例としての、ピックアップローラ11A、リタードローラ11Bおよび上流側搬送ローラ11Cを備えている。
【0033】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。
【0034】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0035】
上流側搬送ローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。上流側搬送ローラ11Cは、ピックアップローラ11Aと転写部50との間に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
【0036】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、搬送ローラの一例としての、下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bを備えている。
【0037】
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0038】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUと、メインモータ80を備えている。
【0039】
フィルムユニットFUは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、第2案内軸42と、第3案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0040】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0041】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0042】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0043】
供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。
【0044】
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。
【0045】
なお、図1等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0046】
第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41、第2案内軸42および第3案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0047】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。
【0048】
このような第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0049】
第2案内軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。第2案内軸42は、転写部50を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させている。
【0050】
第3案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度(以下、「剥離角度」ともいう。)を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と第2案内軸42の間で張架される部分と、第2案内軸42と第3案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第3案内軸43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内している。
【0051】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、圧接離間機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0052】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0053】
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、メインモータ80によって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび箔フィルムFが搬送される。なお、メインモータによって加熱ローラが回転駆動されることで加圧ローラが従動回転される構成としてもよい。
【0054】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱している。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。
【0055】
圧接離間機構70は、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、加圧ローラ51と加熱ローラ61で箔フィルムFを挟んだニップ状態と、少なくとも1つのローラが箔フィルムFから離れたニップ解除状態とに切り替えるための機構である。本実施形態では、圧接離間機構70は、加熱ローラ61を、図6に実線で示す圧接位置と、図6に仮想線で示す離間位置との間で移動させることで、加熱ローラ61を箔フィルムFに対して接触・離間させている。ここで、圧接位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51に圧接した位置である。また、離間位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離間した位置である。
【0056】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0057】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22が転写される。
【0058】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。
【0059】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0060】
図3に示すように、フィルムユニットFUは、樹脂などからなるホルダ100と、ホルダ100に着脱可能なフィルムカートリッジ200とを備えている。フィルムカートリッジ200は、前述した箔フィルムFが巻回された供給リール31および巻取リール35と、供給ケース32とを備えている。
【0061】
供給リール31(詳しくは、供給ケース32)および巻取リール35は、ホルダ100に対して、供給リール31の軸方向に直交する方向に着脱可能となっている。そして、フィルムカートリッジ200は、ホルダ100に取り付けられた状態において、筐体本体21に着脱可能となっている。
【0062】
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなり、略円筒状の外周壁32Aと、外周壁32Aの両端に設けられる略円板状の2つの側壁32Bとを有する。供給リール31は、供給ケース32の各側壁32Bに回転可能に支持されている。
【0063】
ホルダ100は、ベースフレーム110と、ベースフレーム110に回動可能(移動可能)に支持される回動フレーム120とを有している。ベースフレーム110は、第1保持部111と、第2保持部112と、2つの連結部113と、2つの取手114とを有している。
【0064】
第1保持部111は、供給ケース32を保持する部位である。第1保持部111は、供給ケース32を介して供給リール31を保持している。第1保持部111は、断面視略円弧状の外周壁111Aと、2つの側壁111Bとを有する。
【0065】
外周壁111Aは、供給ケース32の外周面に沿って配置されている。各側壁111Bは、供給リール31の軸方向において、外周壁111Aの各端部に配置されている。
【0066】
各側壁111Bは、供給ケース32の着脱時に供給ケース32をガイドする着脱ガイドGを有している。2つのうち一方の側壁111Bには、ギヤ機構130が設けられている。ギヤ機構130は、筐体本体21に設けられる供給側トルクリミッタTL2(図6参照)の負荷を供給リール31に付与するための機構である。なお、ギヤ機構130の構造については、後で説明する。
【0067】
第2保持部112は、巻取リール35を保持する部位である。詳しくは、第2保持部112は、回動フレーム120とともに、中空のケースを構成しており、中空のケース内に巻取リール35を収容している。
【0068】
2つの連結部113は、第1保持部111と第2保持部112とを連結する部位である。詳しくは、各連結部113は、供給リール31の軸方向に間隔を開けて配置されている。
【0069】
このように連結部113が形成されることで、ホルダ100は、供給リール31の軸方向に直交する直交方向に貫通する貫通穴100Aを有している。各取手114は、各連結部113の上に配置されている。
【0070】
供給リール31は、軸方向の一端に供給ギヤ31Gを有している。供給ギヤ31Gは、供給ケース32に形成された切欠から外部に露出している。供給ギヤ31Gは、フィルムカートリッジ200がホルダ100に取り付けられた状態において、前述したギヤ機構130と噛み合うように構成されている。
【0071】
巻取リール35は、前述した巻取軸部35Aと、2つのフランジ35Bと、巻取ギヤ35Cとを有している。フランジ35Bは、巻取軸部35Aに巻回される箔フィルムFの幅方向の移動を規制するための部位である。フランジ35Bは、巻取軸部35Aよりも大径の円板状に形成されており、巻取軸部35Aの両端部に設けられている。
【0072】
巻取ギヤ35Cは、箔転写装置1に設けられるメインモータ80から駆動力を受け、駆動力を巻取軸部35Aに伝達するためのギヤである。巻取ギヤ35Cは、軸方向において、フランジ35Bの外側に配置されている。巻取ギヤ35Cは、巻取軸部35Aと同軸に配置されている。
【0073】
図4に示すように、供給リール31に負荷を付与するためのギヤ機構130は、フレームギヤ131と、ギヤ列132とを備えている。フレームギヤ131は、筐体本体21に設けられる筐体ギヤ21Gと噛み合うギヤである。フレームギヤ131は、筐体ギヤ21Gを介して後述する供給側トルクリミッタTL2などに連結されている。
【0074】
ギヤ列132は、フレームギヤ131と供給ギヤ31Gを連結するギヤ列である。ギヤ列132は、第1ギヤ133と、第2ギヤ134とを備えている。第1ギヤ133は、フレームギヤ131に噛み合っている。第2ギヤ134は、2段ギヤであり、大径ギヤ部134Aと、小径ギヤ部134Bとを有する。
【0075】
大径ギヤ部134Aは、小径ギヤ部134Bよりも大径のギヤである。大径ギヤ部134Aは、第1ギヤ133に噛み合っている。小径ギヤ部134Bは、供給ギヤ31Gに噛み合っている。
【0076】
図5に示すように、供給リール31の軸方向の他端には、第1負荷付与機構310が設けられている。第1負荷付与機構310は、供給リール31を回転可能に支持する供給ケース32との間で摩擦力を発生させることで供給リール31に第1負荷トルクLT1を付与する機構である。
【0077】
第1負荷付与機構310は、供給リール31に固定される固定部材311と、固定部材311に対して軸方向に移動可能な可動部材312と、固定部材311と可動部材312との間に配置されるコイルバネ313と、供給ケース32に固定される摩擦パッド314とを備えている。
【0078】
固定部材311は、円筒状に形成された供給軸部31Aに嵌合されることで、供給軸部31Aに固定されている。可動部材312は、固定部材311によって軸方向に移動可能に支持されている。
【0079】
そして、可動部材312は、コイルバネ313によって摩擦パッド314に付勢されている。これにより、供給リール31が回転すると、可動部材312と摩擦パッド314との間で摩擦力が生じるので、第1負荷付与機構310によって供給リール31に第1負荷トルクLT1が付与される。
【0080】
図6に示すように、メインモータ80は、前述したように巻取リール35および加圧ローラ51に駆動力を付与する他、シート搬送部10にも駆動力を付与している。ここで、図6においては、便宜上、箔転写装置1の構成を簡略化して図示している。
【0081】
箔転写装置1は、メインモータ80の駆動力を巻取リール35に伝達するための構成として、巻取側トルクリミッタTL1と、ギヤG1とを主に備えている。巻取側トルクリミッタTL1は、メインモータ80から巻取リール35に加わる駆動トルクDTを所定値以下に制限する機能を有している。
【0082】
巻取側トルクリミッタTL1は、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。また、巻取側トルクリミッタTL1は、ギヤG1を介して巻取ギヤ35Cに連結されている。
【0083】
箔転写装置1は、メインモータ80の駆動力をシート搬送部10に伝達するための構成として、ピックアップクラッチC1と、ギヤG2と、搬送クラッチC3とを主に備えている。ピックアップクラッチC1は、メインモータ80からピックアップローラ11Aへの駆動力の伝達を切り替えるための電磁クラッチである。
【0084】
ピックアップクラッチC1は、図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。また、ピックアップクラッチC1は、ギヤG2を介してピックアップローラ11Aに連結されている。
【0085】
シート搬送部10を構成する各ローラのうち、ピックアップローラ11A以外のローラ(11B,11C,12A,12B)は、搬送クラッチC3と図示せぬギヤを介してメインモータ80に連結されている。搬送クラッチC3は、メインモータ80から各ローラ(11B,11C,12A,12B)への駆動力の伝達を切り替えるための電磁クラッチである。これにより、搬送クラッチC3を接続状態にすると、各ローラ(11B,11C,12A,12B)が回転し、搬送クラッチC3を切断状態にすると、各ローラ(11B,11C,12A,12B)が停止するようになっている。
【0086】
箔転写装置1は、メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達するための構成として、伝達機構TMと、駆動切替手段の一例としてのローラクラッチC5とを主に備えている。伝達機構TMは、ローラクラッチC5から加圧ローラ51へ駆動力を伝達するためのギヤG3と、メインモータ80からローラクラッチC5へ駆動力を伝達するための図示せぬギヤとを備えている。
【0087】
ローラクラッチC5は、伝達機構TMの状態を、加圧ローラ51に駆動力を伝達させる伝達状態と、加圧ローラ51への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切替可能な電磁クラッチである。つまり、ローラクラッチC5は、加圧ローラ51、および、加圧ローラ51に従動回転する加熱ローラ61の駆動と停止を切り替えている。詳しくは、加圧ローラ51に駆動力が入力されると加熱ローラ61が連れ回りして駆動する。また、加圧ローラ51への駆動力の伝達が切断されると、加圧ローラ51が停止するとともに、加圧ローラ51に従動回転していた加熱ローラ61も停止する。
【0088】
箔転写装置1は、供給側トルクリミッタTL2と、リールクラッチC2と、接離モータ90と、操作部であるタッチパネルTPと、制御部300とをさらに備えている。
【0089】
供給側トルクリミッタTL2は、第2負荷トルクLT2を供給リール31に付与するための部材である。ここで、第2負荷トルクLT2は、巻取リール35に加わる駆動トルクDTから前述した第1負荷トルクLT1を引いた値よりも大きな値に設定されている。また、前述した第1負荷トルクLT1は、巻取リール35に加わる駆動トルクDTよりも小さな値に設定されている。供給側トルクリミッタTL2は、供給リール31に負荷トルクLTを付与する負荷付与手段である。そして、この負荷付与手段と、リールクラッチC2とによって、供給リール31に加わる負荷トルクLTと巻取リール35に加わる駆動トルクDTとの関係を変更可能なトルク変更手段が構成されている。
【0090】
供給側トルクリミッタTL2は、リールクラッチC2に連結されている。リールクラッチC2は、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31の接続状態を変更可能とする電磁クラッチである。リールクラッチC2が供給側トルクリミッタTL2と供給リール31の接続状態を変更することで、供給リール31に付与される負荷トルクLTの大きさが変更されるようになっている。詳しくは、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31との接続が切れた状態においては、供給リール31に付与される負荷トルクLTは、第1負荷トルクLT1となり、駆動トルクDTよりも小さな値となる。また、供給側トルクリミッタTL2と供給リール31とが接続された状態においては、供給リール31に付与される負荷トルクLTは、第1負荷トルクLT1に第2負荷トルクLT2を加えた値となり、駆動トルクDTよりも大きな値となる。
【0091】
リールクラッチC2は、筐体ギヤ21Gと前述したギヤ機構130(図示略)を介して供給ギヤ31Gに連結されている。また、筐体ギヤ21Gは、検知ギヤG4と噛み合っている。検知ギヤG4は、複数のスリットが形成された回転板を有するギヤである。回転板の各スリットは、図示せぬロータリエンコーダによって検出されることで、供給リール31の回転速度を検出することが可能となっている。
【0092】
接離モータ90は、圧接離間機構70を駆動して、加圧ローラ51および加熱ローラ61の状態を、ニップ状態とニップ解除状態とに切り替えるためのモータである。また、圧接離間機構70の近傍には、加熱ローラ61の位置を検出する位置センサSAが設けられている。ここで、位置センサSAとしては、例えば光センサなどを用いることができる。
【0093】
また、ピックアップローラ11Aと上流側搬送ローラ11Cとの間には、転写部50に向けて搬送されるシートSの通過を検出する、シートセンサの一例としての第1シートセンサSS1が設けられている。さらに、下流側搬送ローラ12Aと排出ローラ12Bとの間には、転写部50から送り出されるシートSの通過を検出する第2シートセンサSS2が設けられている。
【0094】
ここで、第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2としては、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。このような構成とすることで、第1シートセンサSS1および第2シートセンサSS2のそれぞれにおいて、シートSの先端が通過したこと、シートSの後端が通過したことを検出することが可能となっている。
【0095】
また、第1シートセンサSS1は、シートSと接触することで第1姿勢となり、シートSから外れることで第2姿勢となるため、シートSが第1シートセンサSS1を通過する間、第1シートセンサSS1は第1姿勢に保たれる。第1姿勢に保持されている時間は、シートSの搬送方向の長さに対応しているため、第1シートセンサSS1は、シートSの搬送方向の長さも検出可能となっている。
【0096】
なお、加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを搬送しているときに、各ローラ51,61と巻取リール35との間で箔フィルムFが弛まないように、巻取リール35、詳しくは巻取軸部35Aの周速は、加圧ローラ51の周速よりも大きくなるように設定されている。詳しくは、周速の関係が前述の関係となるように、メインモータ80の駆動力を加圧ローラ51に伝達する伝達機構TMと、メインモータ80の駆動力を巻取リール35に伝達する機構が構成されている。
【0097】
なお、各ローラ51,61で箔フィルムFを挟んでいる状態では、巻取軸部35Aの回転は加圧ローラの周速に規制されるので、箔転写中においては、巻取軸部35Aの実際の周速と加圧ローラ51の実際の周速は略同じである。そのため、前述した巻取軸部35Aの周速とは、仮に各ローラ51,61がニップ解除状態で、かつ、負荷トルクLTが駆動トルクDTよりも小さい関係であるときの仮想の周速をいう。なお、実際の制御においては、巻取軸部35Aの周速がこのような仮想の周速になることはない。
【0098】
本実施形態では、前述したトルク変更手段(供給側トルクリミッタTL2およびリールクラッチC2)と、駆動切替手段(ローラクラッチC5)とによって、規制切替手段が構成されている。規制切替手段は、加熱ローラ61および加圧ローラ51による供給リール31からの箔フィルムFの引き出しを規制する規制状態と、規制を解除する解除状態とに切替可能となっている。
【0099】
詳しくは、規制切替手段は、圧接離間機構70がニップ解除状態である場合には、ローラクラッチC5の状態に関わらず、リールクラッチC2が接続されてLT>DTになると規制状態となり、リールクラッチC2が切断されてLT<DTになると解除状態となる。また、規制切替手段は、圧接離間機構70がニップ状態であり、かつ、リールクラッチC2が切断されてLT<DTになる場合には、ローラクラッチC5が切断、つまり遮断状態となることで規制状態となり、ローラクラッチC5が接続、つまり伝達状態となることで解除状態となる。つまり、加熱ローラ61および加圧ローラ51が圧接された状態で、かつ、トルクの関係がLT<DTになる場合において、加圧ローラ51および加熱ローラ61が停止すると、供給リール31から箔フィルムFが引き出されない規制状態となり、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転すると、供給リール31から箔フィルムFが引き出される解除状態となる。
【0100】
タッチパネルTPは、ユーザによって操作されるボタンなどを表示するパネルである。なお、タッチパネルTPは、図1に示すように、例えばカバー22の上面に設けられている。
【0101】
タッチパネルTPは、第1ボタンB1と、第2ボタンB2と、第3ボタンB3と、第4ボタンB4と、入力部B5と、スタートボタンB6とを、表示する。第1ボタンB1は、箔転写の処理を全面転写モードで行うためのボタンである。第2ボタンB2は、箔転写の処理を先端転写モードで行うためのボタンである。
【0102】
第3ボタンB3は、箔転写の処理を後端転写モードで行うためのボタンである。第4ボタンB4は、箔転写の処理を中央転写モードで行うためのボタンである。入力部B5は、タッチパネルTPに表示される数値などを変更するための複数のボタンを有している。スタートボタンB6は、箔転写を実行するためのボタンである。
【0103】
前述した各転写モードでは、箔を転写すべき領域である箔転写領域TA(図7(a)参照)の位置または長さが異なっている。具体的に、全面転写モードは、シートSの全面に箔転写を行うモードであり、シートSの先端から箔転写領域TAまでの距離が第1距離未満であり、かつ、シートSの後端から箔転写領域TAまでの距離が第2距離未満である場合に相当する。ここで、第1距離および第2距離は、例えばシートSの長さの1/3程度の距離とすることができる。
【0104】
先端転写モードは、シートSの先端側の一部のみに箔転写を行うモードであり、シートSの先端から箔転写領域TAまでの距離が第1距離未満であり、かつ、シートSの後端から箔転写領域TAまでの距離が第2距離以上である場合に相当する。後端転写モードは、シートSの後端側の一部のみに箔転写を行うモードであり、シートSの先端から箔転写領域TAまでの距離が第1距離以上であり、かつ、シートSの後端から箔転写領域TAまでの距離が前記第2距離未満である場合に相当する。
【0105】
中央転写モードは、シートSの中央の一部のみに箔転写を行うモードであり、シートSの先端から箔転写領域TAまでの距離が第1距離以上であり、かつ、シートSの後端から箔転写領域TAまでの距離が第2距離以上である場合に相当する。なお、本実施形態では、各転写モードにおける箔転写領域TAの範囲、詳しくは搬送方向における長さは、各転写モードに応じた固定値にそれぞれ設定されているものとする。例えば、全面転写モードにおける箔転写領域TAの長さは、シートSの長さと同程度の長さに設定することができ、その他の転写モードにおける箔転写領域TAの長さは、シートSの長さの1/3程度の長さに設定することができる。また、各転写モードにおける箔転写領域TAの幅(シートSの幅方向の長さ)は、シートSの幅と同程度の長さに設定することができる。
【0106】
ユーザは、タッチパネルTPに表示されたボタンB1~B4を選択することで、各転写モードを選択することが可能となっている。
【0107】
転写モードが選択された後、スタートボタンB6が押されると、タッチパネルTPは、各モードに応じた指令や箔転写領域TAの情報を制御部300に出力する。以下の説明では、全面転写モードが選択された場合に制御部300に出力される指令を、「全面転写指令」と称し、先端転写モードが選択された場合に制御部300に出力される指令を、「先端転写指令」と称する。また、後端転写モードが選択された場合に制御部300に出力される指令を、「後端転写指令」と称し、中央転写モードが選択された場合に制御部300に出力される指令を、「中央転写指令」と称する。
【0108】
制御部300は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。制御部300は、タッチパネルTPから出力されてくる指令に基づいて、前述した各転写モードで箔転写を実行可能となっている。
【0109】
制御部300は、各転写モードにおいて転写指令を受けると、加熱ローラ61を離間位置に位置させ、かつ、規制切替手段を規制状態、つまりトルクの関係をLT>DTとした状態で、加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の転写位置へシートSが搬送されるように、搬送ローラ(11A~12B)を駆動させる処理を実行可能となっている。その後、制御部300は、各転写モードに応じた処理を実行する。
【0110】
以下に、各転写モードでの処理を、図7(a)~(d)を用いて簡単に説明する。なお、箔転写を実行していない初期状態において、加熱ローラ61は離間位置に位置し、加圧ローラ51は停止状態であり、トルクの関係はLT>DTとなっている。
【0111】
図7(a)に示すように、全面転写モードの前半の制御(箔転写領域TAへの箔転写前の制御)において、制御部300は、シートSの先端が加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の転写位置に到達する前に、搬送ローラ(11A~12B)を停止させることで、シートSの搬送を止める。その後、制御部300は、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。つまり、シートSの先端が転写位置に到達する前にシートSの搬送が止まっているので、制御部300は、シートSの先端が転写位置に到達する前に、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させている。
【0112】
加熱ローラ61が圧接位置に位置した後、制御部300は、トルクの関係をLT<DTに変更して、搬送ローラ(11A~12B)および加圧ローラ51を駆動させることで、シートSとともに箔フィルムFを搬送して、箔転写領域TAへの箔転写を実行する。つまり、制御部300は、加熱ローラ61が圧接位置に位置した後、規制切替手段を解除状態にして、箔フィルムFの搬送を行う。
【0113】
また、図7(b)に示すように、全面転写モードの後半の制御(箔転写領域TAへの箔転写後の制御)において、制御部300は、シートSの後端が転写位置を通過した後に、搬送ローラ(11A~12B)および加圧ローラ51を停止させることで、シートSおよび箔フィルムFの搬送を止める。その後、制御部300は、トルクの関係をLT>DTに変更して、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置に移動させる。その後、制御部300は、搬送ローラ(11A~12B)の駆動を再開して、シートSを筐体2の外に排出させる。
【0114】
先端転写モードの前半の制御は、全面転写モードの前半の制御(図7(a)参照)と同じである。図7(c)に示すように、先端転写モードの後半の制御において、制御部300は、全面転写モードとは異なり、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、箔転写領域TAが転写位置を通り過ぎた後に、搬送ローラ(11A~12B)および加圧ローラ51を停止させることで、シートSおよび箔フィルムFの搬送を止める。つまり、制御部300は、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、箔転写領域TAが転写位置を通り過ぎた後に、規制切替手段を規制状態にして、箔フィルムFの搬送を止める。その後、制御部300は、全面転写モードの後半の制御と同様の制御を行う。
【0115】
図7(d)に示すように、後端転写モードの前半の制御において、制御部300は、全面転写モードとは異なり、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、箔転写領域TAが転写位置に到達する前に、搬送ローラ(11A~12B)を停止させることで、シートSの搬送を止める。その後、制御部300は、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。
【0116】
つまり、制御部300は、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、箔転写領域TAが転写位置に到達する前に、加熱ローラ61を圧接位置に移動させる。また、制御部300は、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、加熱ローラ61が圧接位置に到達する前に、搬送ローラ(11A~12B)を停止させる。その後、制御部300は、全面転写モードの前半の制御と同様の制御を行う。なお、後端転写モードの後半の制御は、全面転写モードの後半の制御(図7(b)参照)と同じである。
【0117】
中央転写モードの前半の制御は、後端転写モードの前半の制御(図7(d)参照)と同じである。中央転写モードの後半の制御は、先端転写モードの後半の制御(図7(c)参照)と同じである。
【0118】
次に、制御部300の動作について、詳細に説明する。制御部300は、箔転写装置1の電源が投入された後、図8に示す処理を繰り返し実行している。
【0119】
図8に示す処理において、制御部300は、まず、全面転写指令があるか否かを判断する(S101)。ステップS101において全面転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、全面転写処理を実行して(S102)、本処理を終了する。
【0120】
ステップS101において全面転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、先端転写指令があるか否かを判断する(S103)。ステップS103において先端転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、先端転写処理を実行して(S104)、本処理を終了する。
【0121】
ステップS103において先端転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、後端転写指令があるか否かを判断する(S105)。ステップS105において後端転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、後端転写処理を実行して(S106)、本処理を終了する。
【0122】
ステップS105において後端転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、中央転写指令があるか否かを判断する(S107)。ステップS107において中央転写指令があると判断した場合には(Yes)、制御部300は、中央転写処理を実行して(S108)、本処理を終了する。ステップS107において中央転写指令がないと判断した場合には(No)、制御部300は、本処理を終了する。
【0123】
次に、図9を参照して、全面転写処理について説明する。
図9に示す全面転写処理において、制御部300は、加熱ローラ61内のヒータをONにした後(S1)、リールクラッチC2を接続する(S2)。詳しくは、制御部300は、ヒータをONにしてから加熱ローラ61の温度がある程度目標温度に近くなったときに、リールクラッチC2を接続する。
【0124】
ステップS2においてリールクラッチC2を接続すると、負荷トルクLTが、LT1+LT2となり、駆動トルクDTよりも大きくなる。ステップS2の後、制御部300は、メインモータ80をONにする(S3)。つまり、制御部300は、全面転写の指令を受けると、規制切替手段が規制状態にある状態で、メインモータ80を駆動する。メインモータ80をONにすると、メインモータ80の駆動力が巻取側トルクリミッタTL1を介して巻取リール35に伝達される。これにより、巻取リール35に駆動トルクDTが加わるが、ステップS2の処理によって、LT>DTとなっているため、負荷トルクLTによって供給リール31からの箔フィルムFの引き出しが規制される。そのため、駆動トルクDTが加わった巻取リール35によって箔フィルムFが引っ張られるが、供給リール31および巻取リール35の回転が止まっているため、箔フィルムFは、搬送されることなく、所定のテンションが加わった状態で止まっている。
【0125】
ステップS3の後、制御部300は、ピックアップクラッチC1を接続することで、シートSの供給を実行する(S4)。詳しくは、制御部300は、1枚のシートSをピックアップローラ11Aで搬送するのに必要な時間だけピックアップクラッチC1に電流を流すことで、ピックアップローラ11Aを所定時間だけ駆動させる。なお、ピックアップローラ11Aの駆動の停止は、第1シートセンサSS1でシートSの先端を検知したタイミングに基づいて決めてもよい。
【0126】
ステップS4の後、制御部300は、シートSの先端が転写位置の直前に到達したか否かを判定する(S5)。詳しくは、ステップS5において、制御部300は、第1シートセンサSS1でシートSの先端の通過を検出してからの経過時間に基づいて、シートSの先端が転写位置の直前に到達したか否かを判定している。なお、後述するシートSの後端または箔転写領域TAが転写位置の直前に到達したかの判定や、シートSの先端、後端または箔転写領域TAが転写位置を通り過ぎたかの判定も、同様に行われる。
【0127】
ステップS5においてシートSの先端が転写位置の直前に到達したと判定した場合には(Yes)、制御部300は、搬送ローラ(11A~12B)を停止させる(S6)。これにより、シートSの先端が転写位置の直前に位置する状態で、シートSの搬送が止められる。
【0128】
ステップS6の後、制御部300は、接離モータ90をONにして、加熱ローラ61を離間位置から圧接位置へ移動させる(S7)。詳しくは、制御部300は、ステップS7において、接離モータ90をONにした後、位置センサSAからの信号に基づいて、加熱ローラ61が圧接位置に位置したか否かを判定し、圧接位置に位置したと判定したときに接離モータ90をOFFにする。なお、制御部300は、加熱ローラ61を圧接位置から離間位置へ移動させるときにも、同様に接離モータ90を制御する。
【0129】
ステップS7の後、詳しくは加熱ローラ61が圧接位置に移動した後、制御部300は、リールクラッチC2を切断する(S8)。これにより、加圧ローラ51および加熱ローラ61がニップ状態になった後に、負荷トルクLTが、LT1となって、駆動トルクDTよりも小さくなる。ここで、加圧ローラ51および加熱ローラ61がニップ状態になる前に、LT<DTにしてしまうと、巻取リール35が回転し始めて、箔フィルムFが無駄に搬送されてしまう。そのため、前述したように、加圧ローラ51および加熱ローラ61がニップ状態になった後、つまり加圧ローラ51と加熱ローラ61との間で箔フィルムFを挟んだ後に、LT<DTとすることで、巻取リール35が回転し始めるのを規制することができ、箔フィルムFの無駄な搬送が抑えられる。
【0130】
なお、ステップS6~S8の各処理を行うタイミングは、本実施形態とは異なる順序で行ってもよいし、略同時に行ってもよい。
【0131】
なお、リールクラッチC2の切断のタイミングは、例えば、接離モータ90をONするタイミングや、位置センサSAから加熱ローラ61が離間位置に位置しないことを示す信号を受けたタイミングに基づいて決めることもできる。ここで、位置センサSAが、加熱ローラ61が離間位置に位置する間、第1信号(例えばLow信号)を出力し、加熱ローラ61が離間位置から移動し始めた直後に第2信号(例えばHigh信号)を出力する場合には、第2信号が、離間位置に位置しないことを示す信号に相当する。
【0132】
ステップS8の後、制御部300は、搬送クラッチC3およびローラクラッチC5を接続する(S9)。これにより、メインモータ80から搬送ローラ(11B~12B)および加圧ローラ51に駆動力が伝達されるので、シートSと箔フィルムFの搬送が開始される。
【0133】
ステップS9の後、制御部300は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検出したか否かを判定する(S10)。ステップS10においてシートSの後端を検出したと判定した場合には(Yes)、制御部300は、シートSの後端を検出してからの経過時間に基づいて、シートSの後端が転写位置を通過したか否かを判定する(S11)。つまり、ステップS11において、箔転写領域TA上のトナー像への箔転写が完了したか否かを判定する。
【0134】
ここで、シートSの後端が転写位置を通過したとの判定タイミング、つまり箔転写の完了のタイミングは、シートSの箔転写領域TAの後端が、剥離ローラとしての第2案内軸42(図1参照)を通過したタイミングなどとすることができる。
【0135】
なお、本実施形態では、箔転写の完了のタイミングを、シートSの箔転写領域TAの後端が第2案内軸42を通過した後のタイミング、具体的には、シートSの後端が転写位置を通過した時刻から所定時間後のタイミングとする。このように箔転写の完了のタイミングを設定することで、シートSのトナー像からの箔フィルムFの剥離が完了する前に箔フィルムFが止まることが抑制されるので、箔フィルムFをトナー像から良好に剥離することができる。
【0136】
ステップS11においてシートSの後端が転写位置を通過したと判断した場合には(Yes)、制御部300は、搬送クラッチC3およびローラクラッチC5を切断して、搬送ローラ(11B~12B)および加圧ローラ51を停止させるとともに、リールクラッチC2を接続してトルクの関係をLT>DTとする(S12)。ステップS12において、搬送ローラ(11B~12B)および加圧ローラ51を停止させることで、シートSと箔フィルムFの搬送が止められる。
【0137】
なお、本実施形態では、搬送ローラ(11B~12B)および加圧ローラ51の停止とリールクラッチC2の接続を略同時とするが、本発明はこれに限定されず、異なるタイミングで行ってもよい。
【0138】
ステップS12の後、制御部300は、接離モータ90をONして、加熱ローラ61を加圧ローラ51から離間させる(S13)。ここで、前述したようにステップS12においてトルクの関係をLT>DTとしているので、ステップS13において加熱ローラ61を加圧ローラ51から離間させても、箔フィルムFの搬送が開始されることはなく、箔フィルムFは止まったままとなる。
【0139】
ステップS13の後、制御部300は、搬送クラッチC3を接続して、搬送ローラ(11B~12B)を駆動させる(S14)。これにより、シートSの搬送が再開されて、シートSが筐体2の外に排出される。
【0140】
ステップS14の後、制御部300は、ヒータ等をOFFにする終了処理を行った後(S15)、本処理を終了する。ここで、終了処理では、ヒータをOFFする他、メインモータのOFF、各クラッチの切断などを行う。
【0141】
次に、図10を参照して、先端転写処理について説明する。先端転写処理は、後半の一部の処理が全面転写処理と異なるだけで、その他の処理は全面転写処理と同様であるため、同じ処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0142】
図10に示す先端転写処理において、制御部300は、ステップS1~S9の処理を行った後、シートSの先端側に位置する箔転写領域TAが転写位置を通過したか否かを判定する(S31)。つまり、ステップS31において、制御部300は、シートSの先端側に位置する箔転写領域TAへの箔転写が完了したか否かを判定する。ステップS31において箔転写領域TAが転写位置を通過したと判定した場合には、ステップS12~S15の処理を実行して、本処理を終了する。
【0143】
次に、図11を参照して、後端転写処理について説明する。後端転写処理は、前半の一部の処理が全面転写処理と異なるだけで、その他の処理は全面転写処理と同様であるため、同じ処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0144】
図11に示す後端転写処理において、制御部300は、ステップS1~S4の処理を行った後、シートSの後端側に位置する箔転写領域TAが転写位置の直前に到達したか否かを判定する(S41)。ステップS41において箔転写領域TAが転写位置の直前に到達したと判定した場合には(Yes)、制御部300は、ステップS6の処理を実行する。その後、制御部300は、ステップS7~S15の処理を実行して、本処理を終了する。
【0145】
次に、図12を参照して、中央転写処理について説明する。中央転写処理は、前半の処理が後端転写処理と同様であり、後半の処理が先端転写処理と同様であるため、同じ処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0146】
制御部300は、中央転写処理の前半においては、ステップS1~S4,S41,S6~S9の処理を実行する。その後の後半においては、制御部300は、ステップS31,ステップS12~S15の処理を実行して、本処理を終了する。
【0147】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
中央転写モードまたは後端転写モードにおける箔転写を行う前において、シートSが転写位置に存在するときに、供給リール31からの箔フィルムFの引き出しが開始されるので、シートSが転写位置に到達する前に供給リール31からの箔フィルムFの引き出しが開始される場合(例えば全面転写モード)と比べ、箔フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
【0148】
中央転写モードまたは後端転写モードにおける箔転写を行う前において、停止した状態の加圧ローラ51に対して加熱ローラ61が圧接する前に、シートSの搬送が止められるので、停止した状態の各ローラ51,61の圧接中にシートSが搬送されることによってシートSが撓んでしまうのを抑制することができる。
【0149】
中央転写モードまたは先端転写モードにおける箔転写を行った後において、シートSが転写位置に存在するときに供給リール31からの箔フィルムFの引き出しが規制されるので、シートSが転写位置を通り過ぎた後に供給リール31からの箔フィルムFの引き出しを規制する場合(例えば全面転写モード)と比べ、箔フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
【0150】
中央転写モードまたは先端転写モードにおける箔転写を行った後において、圧接状態の各ローラ51,61が停止する際に、シートSの搬送が止められるので、停止した状態の各ローラ51,61の圧接中にシートSが搬送されることによってシートSが撓んでしまうのを抑制することができる。
【0151】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造や処理には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0152】
前記実施形態では、各転写モードにおける箔転写領域TAの範囲が、各転写モードに応じた固定値にそれぞれ設定されているものとしたが、本発明はこれに限定されず、入力部B5の複数のボタンを操作することで、先端転写モード、中央転写モードおよび後端転写モードにおける箔転写領域TAの長さを変更できるように構成してもよい。
【0153】
具体的には、ユーザによって、全面転写モード以外の転写モードが選択された後、入力部B5が操作されることで、全面転写モード以外の転写モードにおける、箔転写領域TAの長さを設定できるように構成することができる。
【0154】
詳しくは、入力部B5は、シートSの搬送方向における箔転写領域TAの位置および長さを特定するための情報を入力可能となっている。例えば、先端転写モードにおいては、箔転写領域TAの先端の位置が例えばシートSの先端付近の位置に決まっているため、箔転写領域TAの後端の位置を、シートSの先端からの距離として入力することで、箔転写領域TAが設定される。また、後端転写モードにおいては、箔転写領域TAの後端の位置が例えばシートSの後端付近の位置に決まっているため、箔転写領域TAの先端の位置を、シートSの先端からの距離として入力することで、箔転写領域TAが設定される。
【0155】
また、中央転写モードにおいては、例えば、箔転写領域TAの先端と後端の各位置を、それぞれシートSの先端からの距離として入力することで、箔転写領域TAが設定される。なお、中央転写モードにおいて、箔転写領域TAの先端の位置を、シートSの先端からの距離として入力し、その後、箔転写領域TAの長さを入力することで、箔転写領域TAを設定してもよい。
【0156】
このように箔転写領域TAの範囲を自由に設定可能とすることで、例えば、所定長さのシートSに箔転写を行った後、所定長さとは異なる長さのシートSに箔転写を行う場合であっても、シートSの長さに応じて箔転写領域TAの範囲を設定することができる。ただし、このように箔転写領域TAの範囲をユーザが自由に決めることができる場合には、ユーザの誤入力によって、箔転写領域TAがシートSの範囲外に配置されるおそれがある。
【0157】
この場合に、前記実施形態のような処理を制御部300が行うと、シートSの範囲外に設定されている箔転写領域TAが転写位置を通過している最中も、箔フィルムFが搬送されてしまい無駄となる問題が生じる。この問題を解消すべく、制御部300は、図13図15に示すような先端転写処理、後端転写処理および中央転写処理を実行するように構成されていてもよい。
【0158】
図13に示す先端転写処理において、制御部300は、ステップS1~S9の処理を実行する。ステップS9の後、制御部300は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検出したか否かを判定する(S51)。ステップS51においてシートSの後端を検出したと判定した場合には(Yes)、制御部300は、シートSの長さを算出する(S52)。詳しくは、制御部300は、第1シートセンサSS1によってシートSの先端を検出してからシートSの後端を検出するまでの時間と、シートSの搬送速度とに基づいて、シートSの長さを算出する。
【0159】
ステップS52の後、制御部300は、箔転写領域TAがシートSの範囲外であるか否かを判定する(S53)。ここで、箔転写領域TAの位置と長さは、入力部B5で入力したとき、つまり箔転写を実行する前に、制御部300によって把握される。そのため、制御部300は、ステップS53において、箔転写領域TAの位置および長さとシートSの長さに基づいて、箔転写領域TAがシートSの範囲外であるか否かを判定する。
【0160】
詳しくは、箔転写領域TAの位置および長さは、前述したようにシートSの先端を基準とした距離に基づいて設定されるので、制御部300は、ステップS53において、実質、入力部B5で入力された箔転写領域TAの後端がシートSの後端よりもシートSの搬送方向の上流に配置されるか否かを判定している。
【0161】
ステップS53において箔転写領域TAがシートSの範囲外であると判定した場合には(Yes)、制御部300は、前記実施形態の全面転写処理と同じように、シートSの後端が転写位置を通過したか否かを判定する(S11)。また、ステップS53において箔転写領域TAがシートSの範囲外でないと判定した場合には(No)、制御部300は、前記実施形態の先端転写処理と同じように、箔転写領域TAが転写位置を通過したか否かを判定する(S31)。
【0162】
ここで、箔転写領域TAの範囲を設定可能な場合において、例えば前記実施形態の先端転写処理を実行すると、箔転写領域TAがシートSの範囲外にあっても、制御部300は、ステップS31の処理を実行してしまう。これにより、シートSの範囲外の箔転写領域TAが転写位置を通過するまで、箔フィルムFが無駄に搬送されてしまう。
【0163】
これに対し、本実施形態では、制御部300は、箔転写領域TAがシートSの範囲外である場合には、箔転写領域TAが転写位置を通り過ぎる前であって、かつ、シートSが転写位置を通り過ぎた後に(S11,Yes)、規制切替手段を規制状態とする、詳しくは加圧ローラ51を停止させるとともにトルクの関係をLT>DTとする(S12)。これにより、シートSの範囲外の箔転写領域TAが転写位置を通り過ぎる前に箔フィルムFの搬送が止まるので、箔フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
【0164】
なお、制御部300は、規制切替手段を規制状態とした後に(S12)、加熱ローラ61を離間位置に移動させ(S13)、その後、ステップS14,S15の処理を実行して、本処理を終了する。また、制御部300は、ステップS31でYesと判定した後、ステップS12~S15の処理を実行して、本処理を終了する。
【0165】
図14に示す後端転写処理において、制御部300は、ステップS1~S4,S41の処理を実行する。ステップS41において箔転写領域TAが転写位置の直前に到達したと判定した場合には(Yes)、制御部300は、ステップS6~S15の処理を実行して、本処理を終了する。
【0166】
ステップS41において箔転写領域TAが転写位置の直前に到達していないと判定した場合には(No)、制御部300は、第1シートセンサSS1でシートSの後端を検出したか否かを判定する(S61)。ステップS61においてシートSの後端を検出したと判定した場合には(Yes)、制御部300は、シートSの長さを算出する(S62)。
【0167】
ステップS62の後、制御部300は、箔転写領域TAがシートSの範囲外であるか否かを判定する(S63)。ステップS63において箔転写領域TAがシートSの範囲外であると判定した場合には(Yes)、制御部300は、シートSを排出して(S64)、本処理を終了する。詳しくは、ステップS64において、制御部300は、加圧ローラ51を離間位置に位置させたままの状態で、シートSが転写位置を通り過ぎ、転写位置を通り過ぎたシートSが最下流の搬送ローラ(12B)を通り過ぎるように、搬送ローラ(11B~12B)を駆動させ、かつ、シートSが搬送ローラ(12B)を通り過ぎた後に搬送ローラ(11B~12B)を停止させる。
【0168】
これにより、箔転写領域TAがシートSの範囲外である場合には、箔転写を行わずに、シートSが排出されるので、箔フィルムFが無駄に搬送されるのを抑制することができる。なお、ステップS61またはステップS63においてNoと判定した場合には、制御部300は、ステップS41の処理に戻る。
【0169】
図15に示す中央転写処理は、前半の処理が図14の後端転写処理と同様であり、後半の処理が図13の先端転写処理と同様であるため、同じ処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0170】
制御部300は、中央転写処理の前半においては、ステップS1~S4,S41,S6~S9,S61~S64の処理を実行する。その後の後半においては、制御部300は、ステップS51~S53,S11,S31,ステップS12~S15の処理を実行する。
【0171】
図16に示すように、制御部300は、複数のシートSを所定のシート間隔cで連続して搬送することで、複数のシートSに対して連続して箔転写を行う連続転写処理を実行可能に構成されていてもよい。ここで、図16においては、便宜上、箔フィルムFの図示は省略している。
【0172】
連続転写処理において、制御部300は、第1シートSH1を搬送している間に次の第2シートSH2を搬送する。なお、連続転写処理は、各転写モードにおいて実行してもよいが、以下の説明では、先端転写モードにおける連続転写処理を代表して説明することとする。また、箔転写領域の先端は、シートSの先端と一致することとする。
【0173】
第1シートSH1が搬送されている間に次の第2シートSH2を搬送される場合においては、第1シートSH1の箔転写領域である第1箔転写領域TA1の後端から第1シートSH1の後端までの第1長さL1の大きさに応じて、制御部300の処理を変更するのが好ましい。具体的には、第1箔転写領域TA1と第2シートSH2の箔転写領域である第2箔転写領域TA2の間において、加熱ローラ61を離間させた後圧接させる処理を行うか、加熱ローラ61を圧接させたままにする処理を行うかを、第1長さL1の大きさに応じて変更するとよい。
【0174】
ここで、第1箔転写領域TA1に箔転写を行った後に、加熱ローラ61を離間させるタイミングは、図16(a)に示すように、第1箔転写領域TA1の後端が、シートSから箔フィルムFを剥離させる剥離ローラとしての第2案内軸42に到達したときである。そのため、第1箔転写領域TA1への箔転写後に、加熱ローラ61を離間させる場合には、箔フィルムFは、転写位置から第2案内軸42までの距離に相当する第2長さaだけ、箔転写に利用されないで無駄に搬送される。
【0175】
また、第1箔転写領域TA1への箔転写後に離間させた加熱ローラ61を圧接するタイミングは、図16(b)に示すように、第2シートSH2の先端が転写位置の直前に到達したときである。そのため、第1箔転写領域TA1への箔転写後に加熱ローラ61を離間させる場合には、箔フィルムFは、転写位置の直前に到達した第2シートSH2の先端から転写位置までの距離に相当する第3長さbだけ、無駄に搬送される。以上により、シート間において加熱ローラ61を離間・圧接させる処理を行う場合には、箔フィルムFの無駄な搬送量は、a+bとなる。
【0176】
一方、加熱ローラ61を圧接させたままにする処理を行う場合には、前述した第1長さL1と、シート間隔cとを足した長さが、箔フィルムFの無駄な搬送量となる。そのため、図16(b)に示すように、第1長さL1がある程度大きな値αである場合には、L1+c>a+bとなって、加熱ローラ61を圧接させたままにする処理を行う場合の方が、箔フィルムFの無駄な搬送量が大きくなる。また、図16(c)に示すように、第1長さL1がある程度小さな値βである場合には、L1+c<a+bとなって、加熱ローラ61を離間させる意味がなくなる。詳しくは、L1+c<a+bとなる場合には、第1箔転写領域TA1の後端が第2案内軸42を通過するまで待ってから離間させたときには、既に第2シートSH2の先端が転写位置の直前を通過してしまっていて、このような状況で圧接を行っても、第2シートSH2の先端(第2箔転写領域TA2)が転写位置を通過するまでに圧接を完了できず、離間させる意味がなくなる。
【0177】
ここで、第1長さL1は、ユーザによって設定される箔転写領域TAの大きさによって変化する変数である。また、第2長さa、第3長さbおよびシート間隔cは、それぞれ固定値である。詳しくは、シート間隔cは、c<a+bとなるような固定値である。そのため、L1>a+b-cである場合に、加熱ローラ61を離間・圧接させる処理を行い、L1≦a+b-cである場合に、加熱ローラ61を圧接させたままにする処理を行うと、箔フィルムFの無駄な搬送や加熱ローラ61の無駄な離間を抑制できることが分かる。
【0178】
具体的に、制御部300は、第1長さL1が所定長さLth(=a+b-c)よりも大きい場合には、シートSが転写位置に存在するときであって、かつ、第1箔転写領域TA1が転写位置を通り過ぎた後に、規制切替手段を前記規制状態とし、規制切替手段を規制状態とした後に、加熱ローラ61を離間位置に移動させる第1先端転写処理を実行する。また、制御部300は、第1長さL1が所定長さLth以下である場合には、第1箔転写領域TA1が転写位置を通過してから、第2箔転写領域TA2が転写位置を通過するまでの間、加熱ローラ61を圧接位置に維持する第2先端転写処理を実行する。
【0179】
次に、制御部300の動作について詳細に説明する。
制御部300は、例えば複数枚のシートSがシートトレイ3にセットされた状態で、スタートボタンB6が押された場合に、図17に示す連続転写処理を実行する。なお、本実施形態においては、シートSの長さは、連続転写処理の実行前において、例えば入力部B5で入力されたりすることなどによって、制御部300によって予め把握されているものとする。
【0180】
連続転写処理において、制御部300は、まず、入力部B5で入力された箔転写領域TAの情報やシートSの長さの情報に基づいて、第1箔転写領域TA1の後端から第1シートSH1の後端までの第1長さL1を算出する(S71)。ステップS71の後、制御部300は、第1長さL1が所定長さLthよりも大きいか否かを判定する(S72)。
【0181】
ステップS72においてL1>Lthであると判定した場合には(Yes)、制御部300は、第1先端転写処理を実行して(S73)、本処理を終了する。ステップS72においてL1>Lthでないと判定した場合には(No)、制御部300は、第2先端転写処理を実行して(S74)、本処理を終了する。
【0182】
図18に示すように、第1先端転写処理において、制御部300は、図10の先端転写処理におけるステップS1~S9,S31,S12~S14と同様の処理を実行する。つまり、制御部300は、シートSの先端が転写位置の直前に到達した際に加熱ローラ61を圧接して箔転写を行い、箔転写の終了後に加熱ローラ61を離間させる。ステップS14の後、制御部300は、次に箔転写を行うシートSがあるか否かを判定する(S81)。
【0183】
ステップS81において次のシートSがあると判定した場合には(Yes)、制御部300は、ステップS5の処理に戻り、次のシートSに対しても加熱ローラ61の圧接・離間を行う。ステップS81において次のシートSがないと判定した場合には(No)、制御部300は、ステップS15の処理を実行して、本処理を終了する。
【0184】
図19に示すように、第2先端転写処理において、制御部300は、図10の先端転写処理におけるステップS1~S9,S31と同様の処理を実行する。つまり、制御部300は、シートSの先端が転写位置の直前に到達した際に、加熱ローラ61を圧接させ、箔転写を行う。
【0185】
ステップS31においてYesと判定した場合、つまり箔転写が完了した場合には、制御部300は、次に箔転写を行うシートSがあるか否かを判定する(S91)。ステップS91において次のシートSがあると判定した場合には(Yes)、制御部300は、ステップS31の処理に戻る。つまり、制御部300は、第1シートSH1への箔転写が完了しても、加熱ローラ61を離間させずに圧接位置のままに維持することで、次の第2シートSH2への箔転写を行う。
【0186】
ステップS91において次のシートSがないと判定した場合には(No)、制御部300は、ステップS12~S15の処理を実行して、本処理を終了する。つまり、最後のシートSへの箔転写が完了した後、制御部300は、加熱ローラ61を離間させて、終了処理(S15)等を行う。
【0187】
この形態によれば、第1長さL1が所定長さLth以下である場合には、加熱ローラ61を圧接させたままにするので、加熱ローラ61の無駄な離間を抑制することができる。また、第1長さL1が所定長さLthよりも大きい場合には、シートS間において加熱ローラ61を離間させるので、箔フィルムFの無駄な搬送を抑制することができる。
【0188】
前記実施形態では、各モードにおいて加圧ローラ51を停止させる際などにおいて、搬送ローラ(11A~12B)のすべてを停止させたが、本発明はこれに限定されず、シートSに接触している搬送ローラだけを停止させてもよい。
【0189】
前記実施形態では、加熱ローラ61を加圧ローラ51に対して圧接・離間させたが、本発明はこれに限定されず、加圧ローラを加熱ローラに対して圧接・離間させてもよい。
【0190】
前記実施形態では、駆動切替手段としてローラクラッチC5を例示したが、本発明はこれに限定されず、駆動切替手段は、例えば、加圧ローラまたは加熱ローラを駆動するための専用のモータであって、メインモータとは別のモータであってもよい
【0191】
前記実施形態では、箔転写装置として、シート上に形成されたトナー像の上に箔を転写するものを例示したが、本発明はこれに限定されず、箔転写装置は、シートに箔を転写するものであればどのようなものであってもよい。
【0192】
前記実施形態では、箔転写用フィルムカートリッジFCをホルダ100を介して筐体本体21に着脱可能としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、箔転写用フィルムカートリッジが筐体本体に直接着脱可能となっていてもよい。
【0193】
前記実施形態では、箔転写用フィルムカートリッジFCに供給リール31と巻取リール35を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、箔転写用フィルムカートリッジに供給リールを設け、筐体に巻取リールを設けてもよい。
【0194】
前記実施形態では、入力部の一例としてタッチパネルTPに表示されるボタンを例示したが、本発明はこれに限定されず、入力部は、例えばユーザの操作によって押圧位置と解除位置に移動可能な押しボタン(スイッチ)などであってもよい。
【0195】
前記実施形態では、タッチパネルTPからの信号に基づいて制御部が各モードを実行するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置と箔転写装置が一体に構成される場合には、印刷転写指令に含まれる画像データに基づいて制御部がシート上のトナー領域の大きさや位置を判断し、トナー領域の大きさや位置に基づいて各モードを選択してもよい。
【0196】
前記実施形態では、位置センサとして光センサを例示したが、本発明はこれに限定されず、位置センサは、例えば、圧接離間機構に連動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとで構成されてもよい。
【0197】
前記実施形態では、シートセンサを、レバーと、レバーの位置を検知する光センサとで構成したが、本発明はこれに限定されず、シートセンサは、例えば、光センサのみで構成されていてもよい。
【0198】
前記実施形態では、箔フィルムFの搬送を止めるために、LT>DTとする構成としたが、本発明はこれに限定されず、LT≧DTとする構成としてもよい。
【0199】
前記実施形態では、トルク変更手段として、供給リール31に付与する負荷トルクLTを変更するリールクラッチC2および供給側トルクリミッタTL2を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、トルク変更手段は、駆動トルクの大きさを変更するものであってもよい。例えば、巻取リールを駆動するためのモータを、メインモータとは別の専用モータとし、この専用モータをトルク変更手段としてもよい。この場合、専用モータの駆動・停止を切り替えることで、負荷トルクLTと駆動トルクDTの関係を、LT<DTとLT=DTとすることができる。
【0200】
また、トルク変更手段は、供給リール31に係合して供給リール31の回転を止める係合位置と、供給リール31から外れて供給リール31の回転を許可する退避位置との間で移動可能な部材としてもよい。つまり、供給リールの回転をロック・解除可能な機械的なロック機構であってもよい。
【0201】
なお、ローラクラッチC5およびピックアップクラッチC1の代わりに、加圧ローラ51を回転させるための専用のモータと、ピックアップローラ11Aを回転させるための専用のモータを設けてもよい。
【0202】
前記実施形態では、駆動切替手段として、ローラクラッチC5を例示したが、本発明はこれに限定されず、駆動切替手段は、例えば、加圧ローラまたは加熱ローラに駆動力を伝達するための伝達機構の所定のギヤに噛み合う位置と、所定のギヤから外れる位置との間で揺動する振子ギヤなどであってもよい。
【0203】
前記実施形態では、箔フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、箔フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
【0204】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0205】
1 箔転写装置
11A ピックアップローラ
11B リタードローラ
11C 上流側搬送ローラ
12A 下流側搬送ローラ
12B 排出ローラ
31 供給リール
35 巻取リール
51 加圧ローラ
61 加熱ローラ
70 圧接離間機構
300 制御部
F 箔フィルム
S シート
TA 箔転写領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写層を含むフィルムにシートを重ねて、前記シートに前記転写層を転写する転写装置であって、
前記フィルムが巻回される供給リールと
記シートを搬送する搬送ローラと、
前記フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、
前記加熱ローラとの間で前記フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラによる前記供給リールからの前記フィルムの引き出しを規制する規制状態と、前記規制を解除する解除状態とに切替可能な規制切替手段と、
前記加熱ローラおよび前記加圧ローラのうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、前記他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる圧接離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
記規制切替手段前記規制状態であり、前記シートが前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置に存在、かつ、前記シート上における、前記転写層を転写すべき領域である転写領域前記転写位置よりも前記シートの搬送方向上流側にあるときに、前記搬送ローラを停止するように制御するとともに、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させるように前記圧接離間機構を制御し、
前記一方のローラ前記圧接位置に移動させた後に、前記規制切替手段前記解除状態となるように制御することを特徴とする転写装置
【請求項2】
前記転写領域は、トナー像が形成されている領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記規制切替手段は、前記加圧ローラおよび前記加熱ローラの駆動と停止を切り替える駆動切替手段を備え、
前記制御部は、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止させることで、前記規制切替手段を前記規制状態とし、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを駆動させることで、前記規制切替手段を前記解除状態とすることを特徴とする請求項1に記載の転写装置
【請求項4】
前記一方のローラの位置を検出する位置センサを備え、
前記制御部は、前記位置センサからの信号に基づいて、前記一方のローラが前記圧接位置に位置したか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項5】
前記制御部は、
前記シートの先端から前記転写領域までの距離が第1距離以上である場合には、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記転写領域が前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とし、
前記シートの先端から前記転写領域までの距離が前記第1距離未満である場合には、前記シートが前記転写位置に到達する前に、前記一方のローラを前記圧接位置に移動させ、前記一方のローラが前記圧接位置に位置した後に、前記規制切替手段を前記解除状態とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項6】
前記シートの搬送方向における前記転写領域の位置および長さを特定するための情報を入力可能な入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部で入力された前記転写領域が前記シートの範囲外に配置される場合には、前記一方のローラを前記離間位置に位置させた状態で、前記シートが前記転写位置を通り過ぎ、前記転写位置を通り過ぎた前記シートが前記搬送ローラを通り過ぎるように、前記搬送ローラを駆動させ、かつ、前記シートが前記搬送ローラを通り過ぎた後に前記搬送ローラを停止させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項7】
記制御部は、
記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、
前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項8】
前記制御部は、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止させることで、前記規制切替手段を前記規制状態とし、
前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを駆動させることで、前記規制切替手段を前記解除状態とし、
前記前記加圧ローラおよび前記加熱ローラを停止する際に、前記シートに接触している前記搬送ローラを停止させることを特徴とする請求項に記載の転写装置
【請求項9】
前記シートの先端の通過を検出するシートセンサであって、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラよりも上流に配置されるシートセンサを備え、
前記制御部は、
前記シートセンサで前記シートの先端の通過を検出してからの経過時間に基づいて、前記転写領域が前記転写位置を通り過ぎたか否かを判定することを特徴とする請求項7または請求項のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項10】
前記制御部は、
前記シートの後端から前記転写領域までの距離が第2距離以上である場合には、前記シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させ、
前記シートの後端から前記転写領域までの距離が前記第2距離未満である場合には、前記シートが前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項7から請求項のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項11】
前記シートの搬送方向における前記転写領域の位置および長さを特定するための情報を入力可能な入力部を備え、
前記制御部は、
前記入力部で入力された前記転写領域の後端が前記シートの後端よりも前記シートの搬送方向の上流に配置される場合には、前記シートが前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の転写装置
【請求項12】
前記制御部は、
第1シートが搬送されている間に次の第2シートが搬送される場合において、
前記第1シートの前記転写領域である第1転写領域の後端から前記第1シートの後端までの第1長さが、所定長さ以下である場合には、前記第1転写領域が前記転写位置を通過してから、前記第2シートの前記転写領域である第2転写領域が前記転写位置を通過するまでの間、前記一方のローラを前記圧接位置に維持し、
前記第1長さが前記所定長さよりも大きい場合には、前記第1シートが前記転写位置に存在するときであって、かつ、前記第1転写領域が前記転写位置を通り過ぎた後に、前記規制切替手段を前記規制状態とし、前記規制切替手段を前記規制状態とした後に、前記一方のローラを前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の転写装置