IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワンダーランド スイツァーランド アーゲーの特許一覧

<>
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図1
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図2
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図3
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図4
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図5
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図6
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図7
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図8
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図9
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図10
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図11
  • 特開-連結構造及びベビーカー 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071764
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】連結構造及びベビーカー
(51)【国際特許分類】
   B62B 9/20 20060101AFI20240517BHJP
   B62B 7/08 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B62B9/20
B62B7/08
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060232
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2022128159の分割
【原出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】202110960905.3
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲陰▼ 洪涛
(72)【発明者】
【氏名】胡 志▲強▼
(57)【要約】
【課題】ケーブルの行程を著しく変化させずに管部を比較的大きな角度で相対回転させること。
【解決手段】連結構造は、第一部材と第二部材とを連結することに用いられ、第一部材と第二部材とは互いに枢着されて回転軸線を中心に互いに対して回転する。連結構造は、第一部材に固定的に連結される第一継手部材と、第二部材に固定的に連結され、回転軸線を中心に第一継手部材に回転可能に連結される第二継手部材と、を含み、第二継手部材は、回転軸線に対して略垂直な回転面と、回転面から回転軸線に平行な方向に沿ってそれぞれ突起し、回転軸線の両側に位置する第一位置制限部及び第二位置制限部と、を含む。連結構造はさらに少なくとも一つの伝動部材を含み、それは第一部材及び第二部材の中に延伸して穿設され、第一位置制限部と第二位置制限部との間から連結構造を貫通し、それにより第一部材と第二部材との間の回転に応じて柔軟に曲がることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材(300)と第二部材(400)とを連結することに用いられ、前記第一部材(300)と第二部材(400)とは互いに枢着されて回転軸線(X)を中心に互いに対して回転することができる連結構造(100、200)であって、
前記連結構造(100、200)は、第一継手部材(110、210)、第二継手部材(120、220)、蓋部(130)及び少なくとも一つの伝動部材を含み、
前記第一継手部材(110、210)は、前記第一部材(300)に固定的に連結され、
前記第二継手部材(120、220)は、前記第二部材(400)に固定的に連結され、且つ前記回転軸線(X)を中心に回転可能に前記第一継手部材(110、210)に連結され、
前記第二継手部材(120、220)は、
前記回転軸線(X)に対して略垂直な回転面(121、221)と、
前記回転面(121、221)から前記回転軸線(X)に平行な方向に沿ってそれぞれ突起する第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)と、
を含み、
前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)は、前記回転軸線(X)の両側に位置し、
前記蓋部(130)は、前記第二継手部材(120、220)が前記蓋部(130)と前記第一継手部材(110、210)との間に位置するように、前記第二継手部材(120、220)に外側から被覆され、前記蓋部(130)は、前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)を覆い、前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)に一対一に連結される2つの連結部を有し、且つ前記第二継手部材(120、220)と、前記第一位置制限部(122、222)と、第二位置制限部(123、223)と共に前記伝動部材が穿設されるための通路が形成され、
少なくとも一つの前記伝動部材は、前記第一部材(300)及び前記第二部材(400)に延伸して穿設され、且つ前記第一位置制限部(122、222)と第二位置制限部(123、223)との間から前記連結構造(100、200)を貫通し、それにより前記第一部材(300)と前記第二部材(400)との間の回転に応じて曲がることができる
ことを特徴とする連結構造。
【請求項2】
各前記連結部に貫通孔が形成されており、
前記第一位置制限部(122、222)と第二位置制限部(123、223)とは、対応する前記連結部に形成された前記貫通孔にそれぞれ挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項3】
2つの連結部材をさらに含み、
前記第一位置制限部(122、222)には、第一連結孔が形成されており、
第二位置制限部(123、223)には、第二連結孔が形成されており、
1つの前記連結部材は、1つの前記貫通孔を貫通して前記第一連結孔に挿入され、他の前記連結部材は、他の前記貫通孔を貫通して前記第二連結孔に挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項4】
前記第一継手部材(110、210)及び前記第二継手部材(120、220)は前記回転軸線(X)方向に沿って重なり、前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)は前記第一継手部材(110、210)から離れている方向に向かって突起する
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項5】
前記第一継手部材(110、210)および/または前記第二継手部材(120、220)は円盤状の部材であり、且つ該円盤の中心が前記回転軸線(X)上にある
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項6】
前記第一位置制限部(122、222)と第二位置制限部(123、223)との間の連結線は、前記伝動部材の延伸方向にほぼ垂直である
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項7】
前記伝動部材の外部は、伝動部材スリーブが被覆され、前記伝動部材スリーブは基本的に前記連結構造(100、200)内で摺動せず、前記伝動部材は前記伝動部材スリーブ内で摺動することができる
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項8】
前記第一位置制限部(122、222)及び前記第二位置制限部(123、223)はそれぞれ前記回転面(121、221)から突出する柱状を呈し、且つ前記第一位置制限部(122、222)及び前記第二位置制限部(123、223)の側立面からそれぞれ互いに接近するように傾斜して延出する第一リブ(224)及び第二リブ(225)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項9】
前記第一部材(300)及び前記第二部材(400)はそれぞれ中空の管状部材であり、前記伝動部材は前記第一部材(300)及び前記第二部材(400)の中空内部を貫通する
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記伝動部材は、ドリフト伝動部材及び折り畳み伝動部材を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項11】
前記蓋部(130)は、前記回転面(121、221)から露出した前記伝動部材を覆う
ことを特徴とする請求項1に記載の連結構造(100、200)。
【請求項12】
ベビーカーであって、
車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられて乳幼児が座ることに用いられるシートと、
前記車体フレームの下方に取り付けられる車輪と、
前記車体フレームの両側からそれぞれ上向きに延伸する縦方向部、及び前記車体フレームの上方で二つの前記縦方向部を連結する横方向部を含むアームレスト部材と、を含み、
前記アームレスト部材の前記縦方向部はそれぞれ二つのセクションに分けられ、請求項1~11のいずれか一項に記載の連結構造(100、200)が二つの前記セクションの間に連結され、一方のセクションは前記第一部材(300)であり、他方のセクションは前記第二部材(400)であり、前記伝動部材の一端は前記横方向部に位置する操作装置に連結され、前記伝動部材の他端は作動装置に連結され、前記操作装置の操作駆動力を前記作動装置に伝達させる
ことを特徴とするベビーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は連結構造、及び該連結構造を有するベビーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーカーは一般的な乗り物であり、それは一般的に車輪のような走行部材、乳幼児が座るためのシート部材、及び成人の推力を支持するアームレスト部材を有する。一部のベビーカーにおいて、ベビーカーのアームレスト部材は折り畳み可能または相対的に回転可能な複数の管部に分割され、それによりベビーカーの折り畳み機能を提供しまたは成人によるベビーカーの操作を容易にする。これらの折り畳み可能または相対的に回転可能な管部の連結部には、連結構造が設けられる。
【0003】
同時に、ベビーカーのアームレスト部材には、操作部材が設けられ、それは例えばベビーカーの走行、旋回または制動を制御することに用いられる。このため、操作駆動力を伝達するためのケーブルはアームレスト部材の管部の中を貫通する。
【0004】
そこから生じる1つの問題は、連結構造がケーブルの機能に影響を及ぼし得ることである。例えば、図4に示す従来の連結構造では、ケーブルは、連結構造の一定径の回転軸を迂回するように、回転軸の一方の外周面に沿って円弧状に迂回する。通常、ケーブルは回転軸の約半周を迂回する。しかしながら、連結構造によって連結された二つの管部が相対的に回転すると、ケーブルが回転軸を迂回する円弧の角度がそれに応じて変化し、その結果、連結構造におけるケーブルの行程(または軌道)が変化する。連結構造によって連結された二つの管部が大きな角度で回転すると、ケーブルの行程に大きな影響を与え、例えば、ケーブルが強く引っ張られたり、緩みすぎたりする可能性があり、これにより、ケーブルの張力がそれに応じて変化し、操作駆動力を確実に伝達することが困難となる。
【0005】
図4は従来技術の連結構造500を示す。ここで、伝動部材540は1つの半円形の行程で連結構造100の中心部分を迂回する必要がある。このように、アームレスト部材の上部セクションが回転すると、伝動部材540の迂回行程が対応して変化し、それにより伝動部材540の張力の変化を引き起こし、ユーザの操作に不利である。
【0006】
したがって、ケーブルの既定の操作性を確保するために、ケーブルの行程を著しく変化させることなく、二つの管部を比較的大きな角度で相対回転させることができる新たな連結構造を提案する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本願に係る連結構造は、第一部材と第二部材とを連結することに用いられ、前記第一部材と第二部材とは互いに枢着されて回転軸線を中心に互いに対して回転することができる。前記連結構造は、前記第一部材に固定的に連結される第一継手部材と、前記第二部材に固定的に連結され、且つ前記回転軸線を中心に回転可能に前記第一継手部材に連結される第二継手部材と、を含み、前記第二継手部材は、前記回転軸線に対して略垂直な回転面と、前記回転面から前記回転軸線に平行な方向に沿ってそれぞれ突起する第一位置制限部及び第二位置制限部と、を含み、前記第一位置制限部及び第二位置制限部は前記回転軸線の両側に位置する。前記連結構造はさらに少なくとも一つの伝動部材を含み、それは前記第一部材及び前記第二部材に延伸して穿設され、且つ前記第一位置制限部と第二位置制限部との間から前記連結構造を貫通し、それにより前記第一部材と前記第二部材との間の回転に応じて曲がることができる。
【0008】
一実施例において、前記第一継手部材及び前記第二継手部材は前記回転軸線方向に沿って重なり、前記第一位置制限部及び第二位置制限部は前記第一継手部材から離れている方向に向かって突起する。
【0009】
一実施例において、前記連結構造は、さらに蓋部を含み、前記蓋部は、前記第二継手部材が前記蓋部と前記第一継手部材との間に位置するように、前記第二継手部材に外側から被覆され、前記蓋部には、前記第一位置制限部及び第二位置制限部を覆い、且つ前記第二継手部材と、前記第一位置制限部と、第二位置制限部と共に前記伝動部材が穿設されるための通路が形成される。
【0010】
一実施例において、前記第一継手部材および/または前記第二継手部材は円盤状の部材であり、且つ該円盤の中心が前記回転軸線上にある。
【0011】
一実施例において、前記第一位置制限部と第二位置制限部との間の連結線は、前記伝動部材の延伸方向にほぼ垂直である。
【0012】
一実施例において、前記伝動部材の外部は、伝動部材スリーブが被覆され、前記伝動部材スリーブは、基本的に前記連結構造内で摺動せず、前記伝動部材は前記伝動部材スリーブ内で摺動することができる。
【0013】
一実施例において、前記第一位置制限部及び前記第二位置制限部はそれぞれ前記回転面から突出する柱状を呈し、且つ前記第一位置制限部及び前記第二位置制限部の側立面からそれぞれ互いに接近するように傾斜して延出する第一リブ及び第二リブを有する。
【0014】
一実施例において、前記第一部材及び前記第二部材はそれぞれ中空の管状部材であり、前記伝動部材は前記第一部材及び前記第二部材の中空内部を貫通する。
【0015】
一実施例において、少なくとも1つの前記伝動部材は、ドリフト伝動部材及び折り畳み伝動部材を含む。
【0016】
本願に係るベビーカーは、車体フレームと、前記車体フレームに取り付けられて乳幼児が座ることに用いられるシートと、前記車体フレームの下方に取り付けられる車輪と、前記車体フレームの両側からそれぞれ上向きに延伸する縦方向部、及び前記車体フレームの上方で二つの前記縦方向部を連結する横方向部を含むアームレスト部材と、を含み、前記アームレスト部材の各縦方向部は二つのセクションに分けられ、本願に係る連結構造が二つの前記セクションの間に連結され、一方のセクションは前記第一部材であり、他方のセクションは前記第二部材であり、前記伝動部材の一端は前記横方向部に位置する操作装置に連結され、前記伝動部材の他端は作動装置に連結され、前記操作装置の操作駆動力を前記作動装置に伝達させる。
【0017】
以下、図面を参照しながら本願の実施例を具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願に係るベビーカーを示す斜視図である。
図2】本願に係るベビーカーを示す側面図であり、アームレストの第一管部と第二管部とは第一角度を呈する。
図3】本願に係るベビーカーを示す側面図であり、アームレストの第一管部と第二管部とは第二角度を呈する。
図4】従来技術のベビーカーのアームレストの連結構造を示す一部断面斜視図である。
図5】本願の第一実施例に係る連結構造を示す正面図である。
図6図5に対応する縦断面図である。
図7】本願に係る連結構造を示す側面図であり、内部構造を示すために蓋部を取り外し、且つ第一管部と第二管部は第一角度を呈する。
図8】本願に係る連結構造を示す側面図であり、内部構造を示すために蓋部を取り外し、且つ第一管部と第二管部は第二角度を呈する。
図9】本願に係る連結構造を示す斜視図である。
図10】本願に係るベビーカーのアームレスト部材を示し、アームレストの二つの管部の間に本願に係る連結構造が取り付けられる。
図11】本願に係るベビーカーのアームレスト部材を示す他の実施例であり、本願の第二実施例に係る連結構造が取り付けられる。
図12】本願の第二実施例に係る連結構造の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書では特定の実施例を参照して本発明を記述及び説明するが、本発明は、示されている詳細に限定されるものではない。具体的に、特許請求の等価物の範囲内において、本発明から逸脱することなく、これらの詳細に対して様々な変更を行うことができる。
【0020】
本明細書に係る「前」、「後」、「上」、「下」などの方向記述は、理解を容易にするためのものに過ぎず、本発明は、これらの方向に限定されるものではなく、実際の状況に応じて調整することができる。典型的な実施例を参照して本願を列挙して説明したが、使用される用語は説明及び例示的なものであり、限定的な用語ではない。
【0021】
まず図1ないし図3を参照すると、本願に係るベビーカーを全体的に示す。図に示すように、ベビーカーは車体フレーム、シート、車輪、及びアームレスト部材を含む。ここでシートは車体フレームに取り付けられて乳幼児が座ることに用いられる。車輪は、車体フレームの下に取り付けられて走行機能を提供する。アームレスト部材は車体フレームの上方に取り付けられ、車体フレームの両側からそれぞれ上向きに延伸する縦方向部、及び車体フレームの上方で二つの縦方向部を連結する横方向部を含む。
【0022】
本実施例において、アームレスト部材は屈曲可能である。すなわち、アームレスト部材の各縦方向部は二つのセクションに分けられ、一方のセクション(下部セクション)は車体フレームに連結され、他方のセクション(上部セクション)は下部セクションに対して横方向軸線を中心に回転可能である。横方向部は上部セクションに連結されている。このようにして、上部セクションの回転は、横方向部の高さを変化させる機能と、アームレスト部材の折り畳み機能とを提供する。上部セクションと下部セクションとの間には本願に係る連結構造100が設けられる。
【0023】
ユーザがベビーカーを容易に操作するために、アームレスト部材には(例えば横方向部には)操作装置が設けられ、例えば第一操作装置310及び第二操作装置320(図10参照)である。これらの操作装置は例えばレンチの形式でアームレスト部材に設置される。ユーザは第一操作装置310及び第二操作装置320を引くことによってアームレスト部材内部の対応する伝動部材140、150を駆動し、伝動部材140、150の他端はアームレスト部材を貫通してベビーカーの作動装置(例えばブレーキ、車体フレーム折り畳み装置、及び車輪指向装置)に連結され、それにより第一操作装置310及び第二操作装置320の操作駆動力を対応する作動装置に伝達する。伝動部材140、150は可撓性伝動部材であってもよく、例えばケーブルまたは鋼線である。
【0024】
本願の連結構造100の設計に基づき、アームレスト部材の上部セクションが回転することを許容し、その中の伝動部材140、150に干渉することがない。特に、上部セクションが異なる位置に回転する場合、伝動部材140、150の連結構造100における行程は明らかに変化しない。
【0025】
次に図5ないし図6を参照しながら本願に係る連結構造100を具体的に説明する。
【0026】
図に示すように、本願に係る連結構造100は、第一継手部材110、第二継手部材120、及び蓋部130を含む。第一継手部材110及び第二継手部材120はそれぞれ第一部材300及び第二部材400(図1)に連結することに用いられる。本実施例において、第一部材300及び第二部材400はそれぞれ上部セクション及び下部セクションであるが、他の実施例において、上部セクション及び下部セクションを交換することができる。他の実施例において、連結構造100はアームレスト部材以外の部材に用いられてもよく、第一継手部材110及び第二継手部材120は該部材の二つの相対的に回転するセクションに対応して連結される。
【0027】
第一継手部材110及び第二継手部材120は互いに枢着されて回転軸線Xを中心に互いに対して回転することができる。第一継手部材110及び第二継手部材120はピボット軸、弧状スライダ‐スライドレール構造、または他の適切な形式によって枢動可能に連結されてもよい。下記に説明するように、第一継手部材110及び第二継手部材120のいかなる枢動連結方式も伝動部材140、150を妨げない。
【0028】
図に示される実施例において、第一継手部材110及び第二継手部材120はいずれも円盤状の部材であり、且つ該円盤の中心はいずれも回転軸線X上にある。しかしこれは必須ではなく、第一継手部材110及び第二継手部材120は矩形、管状又は必要に応じて他の幾何学的形状であってもよい。
【0029】
図7に示すように、第二継手部材120は回転面121、第一位置制限部122及び第二位置制限部123を有する。ここで回転面121は回転軸線Xにほぼ垂直であり、第一位置制限部122及び第二位置制限部123はそれぞれ回転面121から回転軸線Xに平行な方向に沿って突起する。第一位置制限部122及び第二位置制限部123は回転軸線Xの両側に位置する。一実施例において、回転面121は第二継手部材120の第一継手部材110から離れている一方側に位置する。
【0030】
伝動部材140、150は第一位置制限部122と第二位置制限部123との間から連結構造100を貫通し、それにより第一部材300と第二部材400との間の回転に応じて曲がることができる。
【0031】
本願の実施例において、複数の伝動部材140、150、例えばドリフト伝動部材140、150及び折り畳み伝動部材140、150が設けられてもよく。各伝動部材140、150の両端はそれぞれベビーカーの異なる操作装置及び異なる作動装置に連結される。例えば、一方の伝動部材140、150は第一操作装置310(図10参照)及び第一作動装置に連結され、他方の伝動部材140、150は第二操作装置320(図10参照)及び第二作動装置に連結される。一実施例において、第一作動装置は車輪に連結される指向構造であり、即ち第一操作装置を操作することによって車輪の指向またはロック解除を実現することができ、ここに連結された伝動部材はすなわちドリフト伝動部材である。一実施例において、第二作動装置は車体フレーム折り畳み関節構造であり、第二操作装置によって車体フレーム折り畳み関節のロック解除を実現することができ、それにより車体フレームの折り畳みが実現され、ここに連結された伝動部材はすなわち折り畳み伝動部材である。上記の第一作動装置及び第二作動装置は例示に過ぎず、本願は作動装置の具体的なタイプに限定されないことを理解されたい。
【0032】
図に示される実施例において、第一継手部材110及び第二継手部材120は回転軸線X方向に沿って重なり、第一位置制限部122及び第二位置制限部123は第一継手部材110から離れている方向に突起する。このように、伝動部材140、150は第二継手部材120の第一継手部材110から離れている表面に沿って延伸して連結構造100を貫通する。従って、第一継手部材110と第二継手部材120との間に枢動構造(例えば回転軸または弧状スライダ‐スライドレール構造)が設けられる場合、伝動部材140、150は枢動構造が占める空間を通過せず、枢動構造を迂回する必要がない。本実施例において、第二継手部材120の第一位置制限部122と第二位置制限部123との間は空き空間であってもよく、それにより伝動部材140、150が第一位置制限部122と第二位置制限部123との間で揺動することを許容する。他の実施例において、第一位置制限部122及び第二位置制限部123は第二継手部材120の回転面121から第一継手部材(110)に向かって突起してもよく、このような構造において、第一継手部材110と第二継手部材120との間の枢動構造は第一位置制限部122と第二位置制限部123との間の空間を占有しないように設置され、例えば第一位置制限部122と第二位置制限部123の外側の弧状スライダ‐スライドレール構造である。
【0033】
図に示される実施例において、第一位置制限部122と第二位置制限部123との間の連結線は伝動部材140、150の延伸方向にほぼ垂直である。すなわち、第一位置制限部122及び第二位置制限部123は伝動部材140、150の両側に対称的に分布する。他の実施例において、第一位置制限部122及び第二位置制限部123は伝動部材140、150の両側に非対称的に分布してもよい。
【0034】
次に、図7及び図8を参照すると、本願に係る連結構造100の操作を説明する。
【0035】
図7に示すように、この時に第一部材300及び第二部材400は第一角度(図2)を呈し、すなわち、両者はほぼ同じ直線上にある。この時、伝動部材140、150は第一位置制限部122と第二位置制限部123との間から連結構造100を貫通する。図8において、第一部材300と第二部材400とは第二角度を呈し、すなわち、両者の間は屈曲構造を呈する。この時、伝動部材140、150は、第一位置制限部122及び第二位置制限部123によって回転軸線Xから逸脱するかまたは枢動構造を迂回することがないように制限される。伝動部材140、150が回転軸線Xから逸脱されると、伝動部材140、150の連結構造100内での行程が減少し、伝動部材140、150が枢動構造を迂回すると、伝動部材140、150の連結構造100内での行程が増加することを理解されたい。しかしながら、本願の連結構造100に基づき、第一部材300と第二部材400が相対的に回転する場合、伝動部材140、150の連結構造100内での行程は基本的に変化しない。
【0036】
次に、図9を参照すると、連結構造100の蓋部130が示されている。蓋部130は、第二継手部材120が蓋部130と第一継手部材110との間に位置するように、第二継手部材120に外部から被覆される。蓋部130は、第一位置制限部122及び第二位置制限部123を覆い、且つ第二継手部材120と、第一位置制限部122と、第二位置制限部123と共に伝動部材140、150が穿設されるための通路が形成される。蓋部130の機能は伝動部材140、150、第一位置制限部122、第二位置制限部123が露出することを防止し、及び連結構造100の外部装飾に用いられることを理解されたい。蓋部130は必須ではなく、いくつかの実施例において蓋部130を省略してもよい。
【0037】
次に、図10を参照すると、ベビーカーのアームレスト部材に取り付けられる本願に係る連結構造100が示されている。図のように、連結構造100は、アームレスト部材の二つの縦方向部に対称的に取り付けられ、且つ内側から外側への順序は、蓋部130、第二継手部材120、及び第一継手部材110である。なお、連結構造100の取り付け順序は逆であってもよく、すなわち、内側から外側への順序は、第一継手部材110、第二継手部材120、及び蓋部130であってもよい。伝動部材140、150は、アームレスト部材の単一または両方の縦方向部に同時に配置されてもよく、図面の簡略化のために、図10には一方の伝動部材140、150のみが示されていることを理解されたい。
【0038】
次に、図11ないし図12を参照して本願に係る連結構造200の第二実施例を説明する。第二実施例は第一実施例とほぼ同じであり、すなわち、第一継手部材210、第二継手部材220、及び蓋部(図示せず)を有する。第二継手部材220は回転面221、第一位置制限部222、及び第二位置制限部223を含む。
【0039】
第一実施例と異なる点は、第二実施例における第二継手部材220がさらに第一リブ224、及び第二リブ225を含むことである。第一リブ224及び第二リブ225はそれぞれ第一位置制限部222及び第二位置制限部223の側立面から互いに接近するように傾斜して延出し、ペンチのように伝動部材140、150を挟む。
【0040】
一般的には、第一実施例は伝動部材スリーブを有する伝動部材140、150により適し、すなわち、伝動部材140、150の外部に伝動部材スリーブが被覆され、伝動部材スリーブは基本的に連結構造100内で摺動せず、伝動部材140、150は伝動部材スリーブ内で摺動することができる。第二実施例は伝動部材スリーブがない状況により適し、すなわち、伝動部材140、150はそのまま連結構造100内で摺動する。しかしながら第一実施例及び第二実施例は、上記の伝動部材スリーブの有無の状況に限定されない。
【0041】
以上のように、本願は新規な連結構造100を提供し、それは相対的に回転可能な二つの部材を連結することに用いられ、伝動部材140、150が該二つの部材を貫通して延伸することが許容され、且つ該二つの部材の相対回転が伝動部材140、150の連結構造100における行程に基本的に影響を与えないようにする。
【0042】
本願は、本願の精神及び実質を逸脱することなく様々な形態で具体的に実施することができるので、上記実施例はいずれかの上記の詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲に限定された範囲内に最も広く解釈されるべきであり、従って特許請求の範囲またはその等価範囲内に属する全ての変更はいずれも特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。
【0043】
[付記項1]
第一部材(300)と第二部材(400)とを連結することに用いられ、前記第一部材(300)と第二部材(400)とは互いに枢着されて回転軸線(X)を中心に互いに対して回転することができる連結構造(100、200)であって、
前記連結構造(100、200)は、第一継手部材(110、210)、第二継手部材(120、220)及び少なくとも一つの伝動部材を含み、
前記第一継手部材(110、210)は、前記第一部材(300)に固定的に連結され、
前記第二継手部材(120、220)は、前記第二部材(400)に固定的に連結され、且つ前記回転軸線(X)を中心に回転可能に前記第一継手部材(110、210)に連結され、
前記第二継手部材(120、220)は、
前記回転軸線(X)に対して略垂直な回転面(121、221)と、
前記回転面(121、221)から前記回転軸線(X)に平行な方向に沿ってそれぞれ突起する第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)と、を含み、
前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)は、前記回転軸線(X)の両側に位置し、
少なくとも一つの前記伝動部材は、前記第一部材(300)及び前記第二部材(400)に延伸して穿設され、且つ前記第一位置制限部(122、222)と第二位置制限部(123、223)との間から前記連結構造(100、200)を貫通し、それにより前記第一部材(300)と前記第二部材(400)との間の回転に応じて曲がることができる
ことを特徴とする連結構造。
[付記項2]
前記第一継手部材(110、210)及び前記第二継手部材(120、220)は前記回転軸線(X)方向に沿って重なり、前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)は前記第一継手部材(110、210)から離れている方向に向かって突起する
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項3]
前記連結構造(100、200)は、さらに蓋部(130)を含み、前記蓋部(130)は、前記第二継手部材(120、220)が前記蓋部(130)と前記第一継手部材(110、210)との間に位置するように、前記第二継手部材(120、220)に外側から被覆され、前記蓋部(130)は、前記第一位置制限部(122、222)及び第二位置制限部(123、223)を覆い、且つ前記第二継手部材(120、220)と、前記第一位置制限部(122、222)と、第二位置制限部(123、223)と共に前記伝動部材が穿設されるための通路が形成される
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項4]
前記第一継手部材(110、210)および/または前記第二継手部材(120、220)は円盤状の部材であり、且つ該円盤の中心が前記回転軸線(X)上にある
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項5]
前記第一位置制限部(122、222)と第二位置制限部(123、223)との間の連結線は、前記伝動部材の延伸方向にほぼ垂直である
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項6]
前記伝動部材の外部は、伝動部材スリーブが被覆され、前記伝動部材スリーブは基本的に前記連結構造(100、200)内で摺動せず、前記伝動部材は前記伝動部材スリーブ内で摺動することができる
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項7]
前記第一位置制限部(122、222)及び前記第二位置制限部(123、223)はそれぞれ前記回転面(121、221)から突出する柱状を呈し、且つ前記第一位置制限部(122、222)及び前記第二位置制限部(123、223)の側立面からそれぞれ互いに接近するように傾斜して延出する第一リブ(224)及び第二リブ(225)を有する
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項8]
前記第一部材(300)及び前記第二部材(400)はそれぞれ中空の管状部材であり、前記伝動部材は前記第一部材(300)及び前記第二部材(400)の中空内部を貫通する
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項9]
少なくとも1つの前記伝動部材は、ドリフト伝動部材及び折り畳み伝動部材を含む
ことを特徴とする付記項1に記載の連結構造(100、200)。
[付記項10]
ベビーカーであって、
車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられて乳幼児が座ることに用いられるシートと、
前記車体フレームの下方に取り付けられる車輪と、
前記車体フレームの両側からそれぞれ上向きに延伸する縦方向部、及び前記車体フレームの上方で二つの前記縦方向部を連結する横方向部を含むアームレスト部材と、を含み、
前記アームレスト部材の前記縦方向部はそれぞれ二つのセクションに分けられ、付記項1~9のいずれか一項に記載の連結構造(100、200)が二つの前記セクションの間に連結され、一方のセクションは前記第一部材(300)であり、他方のセクションは前記第二部材(400)であり、前記伝動部材の一端は前記横方向部に位置する操作装置に連結され、前記伝動部材の他端は作動装置に連結され、前記操作装置の操作駆動力を前記作動装置に伝達させる
ことを特徴とするベビーカー。
【符号の説明】
【0044】
100 連結構造(第一実施例)
110 第一継手部材
120 第二継手部材
121 回転面
122 第一位置制限部
123 第二位置制限部
130 蓋部
140、150 伝動部材
X 回転軸線
200 連結構造(第二実施例)
210 第一継手部材
220 第二継手部材
221 回転面
222 第一位置制限部
223 第二位置制限部
224 第一リブ
225 第二リブ
300 第一部材(例えば、アームレスト部材の上部セクション)
310 第一操作装置
320 第二操作装置
400 第二部材(例えば、アームレスト部材の下部セクション)
500 連結構造(従来技術)
540 伝動部材(従来技術)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12