(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071780
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】電気泳動ディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20240517BHJP
G02F 1/16757 20190101ALI20240517BHJP
G02F 1/1681 20190101ALI20240517BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20240517BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/16757
G02F1/1681
G02F1/1685
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061333
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2022573243の分割
【原出願日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】63/035,086
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シャオロン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(57)【要約】
【課題】好適な電気泳動ディスプレイデバイスを提供すること。
【解決手段】電気泳動媒体は、流体と、4つの異なる色を有する第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子(W、Y、R、B)とを備える。第1および第3の粒子は、一方の極性の電荷を有し、第2および第4の粒子は、反対の極性の電荷を有し、第1の粒子は、第3の粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有し、第2の粒子は、第4の粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有する。1つの粒子は、白色(W)であり、1つの非白色粒子(B)は、部分的に光透過性を有し、残りの2つの非白色粒子(R、Y)は、光反射性を有する。5つの粒子媒体を作成するために、第3の光反射性を有する粒子(G)が添加されてもよい。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
【0002】
本願は、米国特許第9,170,468号、第9,361,836号、第9,513,527号、第9,541,814号、第9,640,119号、第9,812,073号、第9,922,603号、第10,147,366号、第10,234,742号、第10,431,168号、第10,509,293号、第10,586,499号、および第10,782,586号に関連する。
【0003】
前述の仮出願および特許、ならびに下記に述べられる全ての他の米国特許および公開されている同時係属中の出願の内容全体は、参照によって本明細書に援用される。
【0004】
(発明の背景)
【0005】
前述の特許および公開されている出願は、電気泳動媒体と、そのような媒体を駆動する方法と、そのような媒体を組み込んだ電気泳動ディスプレイデバイスとを説明する。電気泳動媒体は、流体と、流体中に分散している第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備え、そのような媒体は、以降、「4粒子電気泳動媒体」と称され得る。ある場合には、媒体は、第5のタイプの粒子も備える。4つまたは5つのタイプの粒子は、相互と異なる光学特性(典型的には、色)を有する。第1のタイプの粒子は、高正電荷を保有し、第2のタイプの粒子は、高負電荷を保有している。第3のタイプの粒子は、低正電荷を保有し、第4のタイプの粒子は、低負電荷を保有している(電荷強度は、ゼータ電位の観点から測定される)。第5のタイプの粒子は、いずれかの極性の中程度の電荷を保有している。電気泳動ディスプレイデバイスでは、電気泳動媒体は、フロント電極とリア電極との間に配置され、ディスプレイは、通常、フロント電極(ビュー)側からビューされる。典型的なマルチピクセルディスプレイでは、フロント電極が連続的であり、複数のピクセル、および典型的にはディスプレイ全体を横切って延在する一方、別個のリア電極が、各ピクセルに関して提供され、表示される色がピクセル単位ベースで制御されることを可能にする。
【0006】
第1および第2のタイプの粒子の光学特性は、第1または第2のタイプの粒子がフロント電極に隣接して置かれることを可能にするために十分である期間にわたって、電気泳動媒体を横切って適切な極性の高電界を印加することによって、(原理上、)ビュー側において表示されることができる。第3のタイプの粒子の光学特性を表示するためには、第2のタイプの粒子が、最初に、適切な極性の高電界を印加することによってビュー表面に駆動され、次いで、第1、第2、および第4のタイプの粒子がビュー表面から離されながら第3のタイプの粒子をこの表面に隣接して置かせるために、反対の極性の低電界が、印加される(このシーケンスの第2の部分が高負粒子(第2のタイプの粒子)の光学特性から低正粒子(第3のタイプの粒子)の光学特性への変化を伴うことに留意されたい)。同様に、第4のタイプの粒子の光学特性を表示するためには、第1のタイプの粒子が、最初に、適切な極性の高電界を印加することによってビュー表面に駆動され、次いで、第1、第2、および第3のタイプの粒子がビュー表面から離されながら第4のタイプの粒子をこの表面に隣接して置かせるために、反対の極性の低電界が、印加される(ここでも、このシーケンスの第2の部分が高正粒子(第1のタイプの粒子)の光学特性から低負粒子(第4のタイプの粒子)の光学特性への変化を伴うことに留意されたい)。中程度の荷電粒子の色を表示するためには、中程度の荷電粒子と反対の極性の低荷電粒子が、最初に、ビュー表面に駆動され、次いで、ビュー表面に向かって中程度の荷電粒子を駆動するある極性を有する中程度の電界が、印加される(ここでも、最後のステップが、ある低荷電粒子の光学特性から反対の極性の中程度の荷電粒子の光学特性への変化を伴う)。実践においては、種々のタイプの粒子の最適な分離を達成するために、波形(駆動パルスのシーケンス)は、前述の単純な概要が示唆するものより著しく複雑であり得、(a)すでに説明された1つまたは2つの基本的な駆動パルスの繰り返し、(b)駆動パルス間のゼロ電圧の期間、(c)種々のタイプの粒子を均一に混合するように意図されているシェイクパルス(急速に交互する正および負パルス)の使用、ならびに(d)波形の全体的インパルスをゼロまたはゼロ付近にするように意図されている直流(DC)バランスパルス(電気泳動ディスプレイへのDCバランス状態にない波形の繰り返される印加は、最終的に、ディスプレイへの損傷を生じさせ得ることが知られており、損傷は、表示される画像の品質を低減させ得、最終的には、表示を完全に損なわせ得る)のうちのいずれか1つまたはそれより多くを含み得る。前述の波形特徴の全てに関して、例えば、前述の米国特許第9,640,119号(特許文献1)を参照されたい。
【0007】
大半の場合には明示的に述べられないが、ビュー側において見られる色(または他の光学特性)が、フロント電極に直接隣接する粒子の色のみによって決定されるように、4および5粒子電気泳動媒体は、光透過性粒子ではなく光散乱性(「反射」)粒子を使用し、他の粒子の相対的位置は、関係しない。故に、そのような電気泳動媒体は、4つまたは5つの独立な光学状態のみを表示するが、それらは、種々のタイプの粒子がランダムに混合されている「粒子混合物」状態(典型的には、灰色がかっている)、および、2つのタイプの粒子がビュー側に隣接して置かれている他の混合された状態も表示し得、例えば、ビュー表面に隣接する赤色および黄色粒子を混合することによって、橙色が、生み出され得る。
【0008】
多くの用途、例えば電子棚札等の電子掲示板において、黒色、白色、ならびに3つの原色、例えば、赤色、緑色および青色、または青色、赤色および黄色を表示することが可能であることが望ましいため、4つの独立な光学状態に対する4粒子電気泳動媒体のこの限界は、深刻な実践上の不利点である。良好な黒色および白色状態がテキストに関して重要である一方、3つの原色は、ディザリングによるフルカラー表示を可能にする。これまでは、4粒子電気泳動媒体は、典型的には、2つの「強調」色(通常、赤色および黄色)を伴う良好な黒色および白色を有するか、または白色および3つの原色を有するかのいずれかを行い、3つの原色の混合物に頼って(多くの場合、不十分な)「プロセス」ブラックを生み出していた。
【0009】
第5の(および随意に第6の)タイプの粒子を電気泳動媒体の中に組み込むことによって4粒子電気泳動媒体の前述の不利点を克服することが知られており、例えば、米国特許第9,541,814号(特許文献2)および第9,922,603号(特許文献3)を参照されたい。しかしながら、電気泳動媒体中の粒子のタイプの数を増大させることは、種々の粒子上の電荷の厳密な制御に関する増大させられた必要性と、(増大させられた色汚染をもたらし得る)種々の粒子の間の相互作用に関する増大させられた可能性と、長くされた波形とのため、適切な粒子を選定することをより困難にし、米国特許第9,541,814号および第9,922,603号において説明されている5および6粒子電気泳動媒体は、少なくとも1つの3ステップ波形を要求し、一方の極性の中程度の荷電粒子の色を表示するために、最初に、一方の極性の高荷電粒子の色を表示し、次いで、反対の極性の低荷電粒子の色を表示し、最後に、一方の極性の中程度の荷電粒子の色を表示することが必要である。
【0010】
発明者らは、現在、部分的に光透過性を有する粒子のタイプのうちの1つを選定することによって、4粒子電気泳動媒体が5つの別個の光学状態を表示するように作製され得ることを見出している。6つの光学状態、例えば、黒色、白色、赤色、緑色、青色、および黄色の表示を可能にするために、第5の粒子が、添加されてもよい(実践においては、典型的には、黒色/白色/赤色/緑色/青色システムが十分な彩度の黄色を提供しない一方、黒色/白色/青色/赤色/黄色システムは十分な彩度の緑色を提供しないため、そのような第6の光学状態が望ましい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第9640119号明細書
【特許文献2】米国特許第9541814号明細書
【特許文献3】米国特許第9922603号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
【0013】
故に、本発明は、流体と、流体中に分散している第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備える電気泳動媒体を提供し、第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、互いと異なる第1、第2、第3、および第4の色をそれぞれ有し、第1および第3のタイプの粒子は、一方の極性の電荷を有し、第2および第4のタイプの粒子は、反対の極性の電荷を有し、第1のタイプの粒子は、第3のタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有し、第2のタイプの粒子は、第4のタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有し、タイプの粒子のうちの1つは、白色であり、タイプの非白色粒子のうちの1つは、部分的に光透過性を有し、残りの2つのタイプの非白色粒子は、光反射性を有する。電気泳動媒体は、第1、第2、第3、および第4の色の全てと異なる第5の色を有する第5のタイプの荷電粒子をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、第5のタイプの粒子は、光反射性を有し、部分的に光透過性を有するタイプの粒子と同一の極性の電荷を帯びている。いくつかの実施形態では、第5のタイプの粒子は、同一の極性の電荷を帯びている他の2つのタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、白色タイプの粒子は、第3または第4のタイプの粒子である、すなわち、低荷電タイプの粒子の1つである。また、白色粒子が、低荷電タイプの粒子の1つである場合、部分的に光透過性を有するタイプの粒子は、白色粒子と反対の極性の高荷電(または5つの荷電粒子が、存在する場合、中程度の荷電)タイプの粒子であり得る。この場合、部分的に光透過性を有するタイプの粒子と同一の電荷を帯びている光反射性を有するタイプの粒子(または5つの粒子系において、そのうちの1つ)が、2つのタイプの粒子の混合物が実質的に全ての可視放射線を吸収するような、すなわち、プロセスブラックを提供するような光学特性を有することが有利である。
【0015】
本発明の電気泳動媒体では、第4の粒子は、白色であり得、第2の粒子は、色において黄色であり得、第1および第3の粒子は、赤色および青色であり得る(いずれの順序でもよい)が、
図6A~6Fを参照して下記に検討される理由から、第1の粒子が赤色であり、部分的に光透過性を有することが有利であり得る。第5の粒子は、存在する場合、例えば、緑色、シアン色、またはマゼンタ色であり得るが、一般に、上記で検討される理由から、緑色が好ましい。
【0016】
本発明の4粒子電気泳動媒体は、少なくとも5つの色を表示することができる(全ての4つのタイプの粒子がランダムに混合されている、完全に混合された状態を考慮しない)。白色粒子および2つの光反射性を有するタイプの粒子の色は、単に、各タイプの粒子をビュー表面に隣接させることによって表示されることができる。部分的に光透過性を有するタイプの粒子の色は、ビュー表面を通して進入する光が白色粒子による散乱と、部分的に光透過性を有する粒子を通した通過とを受けるように、このタイプの粒子と白色粒子の混合物をビュー表面に隣接させることによって、表示されることができ、最終的に、光透過性タイプの粒子の色とともにビュー表面から再び現れる(この色形成の実践的詳細に関する
図3Aを参照して下記の検討を参照されたい)。表示される第5の色は、ビュー表面を通して進入する光が光透過性タイプの粒子を通過し、次いで、本質的に、光透過性粒子の直接背後の反射性を有するタイプの粒子によって全体的に吸収されるように、同一の極性の電荷を帯びている反射性粒子が直接背後に(すなわち、ビュー表面から光透過性粒子の対向側上に直接)ある状態で、光透過性粒子をビュー表面に隣接させることによって表示されるプロセスブラックである。明らかに、このプロセスブラックが十分になるためには、2つのタイプの粒子によって組み合わせられた吸収が可視スペクトル全体を横切って延在することが必要であり、これは、2つのタイプの粒子が赤色および青色であることが好ましいためであり(いずれの順序でもよい)、赤色および青色粒子が全ての可視光をともに吸収するように配列することが比較的に容易であるためである。赤色および青色顔料が優れたプロセスブラックを生み出すことが可能である吸収スペクトルの例が、下記に与えられる。本発明のいくつかの4粒子電気泳動媒体は、2つの非白色光反射性を有するタイプの粒子の混合物をビュー表面に隣接させることによって、第6の色を有用に表示し得、これらの2つのタイプの粒子が、黄色および青色であるとき、これは、緑色を生み出す。本発明の5粒子媒体は、6つの色を表示することができ、追加の色は、第3の非白色反射性粒子の色である。
【0017】
すでに示されたように、本発明の電気泳動媒体では、1つのタイプの粒子が白色であり、別のタイプは部分的に光透過性を有する一方、残りの2つまたは3つのタイプの粒子は、光反射性(すなわち、光散乱)である。実践においては、当然ながら、完全光散乱粒子または完全非光散乱光透過性粒子のようなものはなく、光散乱粒子の最小光散乱度と、光透過性粒子において許容可能な最大許容可能光散乱度とは、使用される正確な顔料、その屈折率およびサイズ、その色、当該粒子層の厚さ(それ自体は、電気泳動媒体層の厚さおよびその媒体中の各タイプの粒子のロード量に依存する)、および理想的所望の色からのある程度の逸脱に耐えるためのユーザの能力または適応力等の因子に応じて、幾分か変動し得る。顔料の散乱および吸収特性は、白色および暗背景に対して、適切なマトリクスまたは液体中に分散している顔料のサンプルの拡散反射率の測定によって査定されてもよい。そのような測定からの結果は、当技術分野において周知のいくつかのモデル、例えば、1次元Kubelka-Munk処理に従って解釈され得る。
【0018】
顔料の光透過率は、コントラスト比によって最も便宜的に測定され、これは、(本願の目的のために)規定された反射率(Rw)の白色材料が背景の同一試料の反射率に対する、規定された反射率(Rb)の黒色材料が背景の試料の視感反射率の比率として定義される。
CR=Rb/Rw
コントラスト比(CR)は、不透明度のインジケータであり、当然ながら、電気泳動媒体中に存在する顔料の層の厚さならびに使用される顔料のタイプに伴って変動する。一般に、CR=0.98において、完全不透明度を得る。塗料の隠蔽力は、黒色基板にわたって得られる反射率が白色基板にわたって得られるものの98%である程度まで、黒色と白色基板との間のコントラストを排除するためのその能力であると理解される。この電気泳動媒体において使用される光透過性顔料の層は、約0.5以下、好ましくは、0.3以下のコントラスト比を有するべきである。下記に説明される実験において使用される青色顔料は、約0.2のコントラスト比を有する。反射性顔料は、約0.6以上、好ましくは、約0.7以上のコントラスト比を有するべきである。
【0019】
本発明の電気泳動媒体は、カプセル化または非カプセル化されてもよい。カプセル化される場合、電気泳動媒体が、米国特許第6,930,818号において説明されているように(その内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される)、複数のマイクロセル内に含まれ得る。ディスプレイセルは、その形状またはサイズにかかわらず、マイクロカプセル、マイクロチャネル、または均等物等の他のタイプのマイクロコンテナであってもよい。代替として、電気泳動媒体は、カプセル内にカプセル化され得、または、電気泳動流体の複数の個別の液滴およびポリマー材料の連続的な位相を備える、いわゆるポリマー分散電気泳動媒体の形態であり得る。そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴が、いかなる個別のカプセル膜も各個々の液滴と関連付けられない場合であっても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得る。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。
【0020】
本発明は、本発明の電気泳動媒体の層を備える電気泳動ディスプレイデバイスであって、フロントおよびリア電極が電気泳動媒体の層の対向側上に配置され、電圧制御手段がフロントおよびリア電極の電位を制御するように配列されている電気泳動ディスプレイデバイスに拡張される。本発明は、本発明の電気泳動媒体の層を含むフロントプレーン積層、反転フロントプレーン積層、または二重離型フィルムにも拡張される。フロントプレーン積層、反転フロントプレーン積層、および二重離型フィルムの定義に関しては下記を参照されたい。
【0021】
本発明は、本発明の電気泳動ディスプレイデバイスを駆動する方法にも拡張される。第1の駆動方法は、
(i)ある極性を有する第1の駆動電圧を印加し、第1の期間にわたって、ビュー表面に向かって、部分的に光透過性を有するタイプの粒子と、部分的に光透過性を有するタイプの粒子と同一の極性の電荷を帯びている光反射性を有する粒子とを駆動することと、
(ii)ステップ(i)の後、第1の期間より長い第2の期間にわたって、駆動電圧を印加しないことと、
(iii)ステップ(i)および(ii)を繰り返し、それによって、2つのタイプの粒子の混合物の色(好ましくは、黒色)がビュー表面に表示されることを引き起こすことと
を含む。
【0022】
第2の駆動方法は、
(i)ある極性を有する第2の駆動電圧を印加し、第3の期間にわたって、ビュー表面に向かって、部分的に光透過性を有するタイプの粒子を駆動することと、
(ii)第3の期間より長い第4の期間にわたって、第2の駆動電圧と反対の極性および第2の駆動電圧未満の大きさを有する第3の駆動電圧を印加することと、
(iii)ステップ(i)および(ii)を繰り返すことと、
(iv)ステップ(i)および(ii)の繰り返し後、第5の期間にわたって、第3の駆動電圧を印加することと、
(v)第6の期間にわたって、駆動電圧を印加しないことと、
(vi)ステップ(iv)および(iv)を繰り返すことと、
(vii)ステップ(iv)および(v)の繰り返し後、第7の期間にわたって、第2の駆動電圧を印加することと、
(viii)第7の期間より長い第8の期間にわたって、第3の駆動電圧と同一の極性を有するが第3の駆動電圧より小さい大きさを有する第4の駆動電圧を印加することと、
(ix)ステップ(vii)および(viii)を繰り返すが、ステップ(viii)の繰り返しがステップ(vii)の繰り返しに続くことなく終結し、それによって、ビュー表面において光透過性タイプの粒子の色を表示することと
を含む。
【0023】
この第2の駆動方法では、ゼロ電圧の期間が、各ステップ(i)と後続ステップ(ii)との間および/または各ステップ(vii)と後続ステップ(viii)との間に挿入されてもよい。
【0024】
本発明の第3の駆動方法は、
(i)ある極性を有する第5の駆動電圧を印加し、第9の期間にわたって、ビュー表面に向かって、一方の極性の2つのタイプの粒子を駆動することと、
(ii)第9の期間より長い第10の期間にわたって、第5の駆動電圧と反対の極性および第5の駆動電圧未満の大きさを有する第6の駆動電圧を印加することと、
(iii)ステップ(i)および(ii)を繰り返すことと、
(iv)ステップ(i)および(ii)の繰り返し後、第4の駆動電圧と同一の極性を有する第6の駆動電圧を印加することであって、第6の駆動電圧の印加の大きさおよび/または時間は、ビュー表面において第2のタイプの粒子の色を表示するようにディスプレイを駆動するために十分ではなく、それによって、ビュー表面において、2つの非白色の光反射性を有する粒子の混合物の色を表示することと
を含む。
【0025】
この第3の駆動方法では、ゼロ電圧の期間が、各ステップ(i)と後続ステップ(ii)との間に挿入されてもよい。
【0026】
本発明の駆動方法の各々は、シェイク波形の1つもしくはそれより多くの期間および/またはDCバランス波形の1つもしくはそれより多くの期間(すなわち、印加される総波形の全体的インパルスを低減もしくは排除するように、非ゼロ電圧がディスプレイに印加される期間)の後に続いてもよい。
【0027】
本発明の駆動方法のいずれにおいても、駆動パルスのシーケンスが繰り返されるとき、繰り返しは、少なくとも4回、好ましくは、少なくとも8回であり得る。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
流体と、前記流体中に分散している第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備える電気泳動媒体であって、前記第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、互いと異なる第1、第2、第3、および第4の色をそれぞれ有し、前記第1および第3のタイプの粒子は、一方の極性の電荷を有し、前記第2および第4のタイプの粒子は、反対の極性の電荷を有し、前記第1のタイプの粒子は、前記第3のタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有し、前記第2のタイプの粒子は、前記第4のタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有し、前記タイプの粒子のうちの1つは、白色であり、前記タイプの非白色粒子のうちの1つは、部分的に光透過性を有し、前記残りの2つのタイプの非白色粒子は、光反射性を有する、電気泳動媒体。
(項目2)
前記白色タイプの粒子は、前記第3または第4のタイプの粒子である、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目3)
前記部分的に光透過性を有するタイプの粒子は、前記白色粒子と反対の極性の高荷電タイプの粒子である、項目2に記載の電気泳動媒体。
(項目4)
前記部分的に光透過性を有するタイプの粒子と同一の電荷を帯びている前記光反射性を有するタイプの粒子は、前記2つのタイプの粒子の混合物が実質的に全ての可視放射線を吸収するような光学特性を有する、項目3に記載の電気泳動媒体。
(項目5)
前記第1のタイプの粒子は、光透過性を有し、前記第2のタイプの粒子は、黄色であり、前記第4のタイプの粒子は、白色であり、前記第1および第3のタイプの粒子は、赤色および青色である(いずれの順序でもよい)、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目6)
前記光透過性顔料の層は、約0.5以下のコントラスト比を有する、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目7)
前記光透過性顔料の層は、約0.3以下のコントラスト比を有する、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目8)
前記第1、第2、第3、および第4の色の全てと異なる第5の色を有する第5のタイプの荷電粒子をさらに備える、項目1に記載の電気泳動媒体。
(項目9)
前記第5のタイプの粒子は、光反射性を有し、前記部分的に光透過性を有するタイプの粒子と同一の極性を有する電荷を帯びている、項目8に記載の電気泳動媒体。
(項目10)
前記第5のタイプの粒子は、前記同一の極性の電荷を帯びている他の2つのタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有する、項目9に記載の電気泳動媒体。
(項目11)
項目1に記載の電気泳動媒体の層を備える電気泳動ディスプレイデバイスであって、フロントおよびリア電極が、電気泳動媒体の層の対向側上に配置され、電圧制御手段が、前記フロントおよびリア電極の電位を制御するように配列されている、電気泳動ディスプレイデバイス。
(項目12)
項目1に記載の電気泳動媒体の層を含むフロントプレーン積層、反転フロントプレーン積層、または二重離型フィルム。
(項目13)
項目11に記載の電気泳動ディスプレイデバイスを駆動する方法であって、前記方法は、
(i)ある極性を有する第1の駆動電圧を印加し、第1の期間にわたって、ビュー表面に向かって、部分的に光透過性を有するタイプの粒子と、前記部分的に光透過性を有するタイプの粒子と同一の極性の電荷を帯びている光反射性を有する粒子とを駆動することと、
(ii)ステップ(i)の後、前記第1の期間より長い第2の期間にわたって、駆動電圧を印加しないことと、
(iii)ステップ(i)および(ii)を繰り返し、それによって、前記2つのタイプの粒子の混合物の色が前記ビュー表面に表示されることを引き起こすことと
を含む、方法。
(項目14)
項目11に記載の前記電気泳動ディスプレイデバイスを駆動する方法であって、前記方法は、
(i)ある極性を有する第2の駆動電圧を印加し、第3の期間にわたって、ビュー表面に向かって、部分的に光透過性を有するタイプの粒子を駆動することと、
(ii)前記第3の期間より長い第4の期間にわたって、前記第2の駆動電圧と反対の極性および前記第2の駆動電圧未満の大きさを有する第3の駆動電圧を印加することと、
(iii)ステップ(i)および(ii)を繰り返すことと、
(iv)ステップ(i)および(ii)の前記繰り返し後、第5の期間にわたって、前記第3の駆動電圧を印加することと、
(v)第6の期間にわたって、駆動電圧を印加しないことと、
(vi)ステップ(iv)および(iv)を繰り返すことと、
(vii)ステップ(iv)および(v)の前記繰り返し後、第7の期間にわたって、前記第2の駆動電圧を印加することと、
(viii)前記第7の期間より長い第8の期間にわたって、前記第3の駆動電圧と同一の極性を有するが前記第3の駆動電圧より小さい大きさを有する第4の駆動電圧を印加することと、
ステップ(vii)および(viii)を繰り返すが、ステップ(viii)の繰り返しがステップ(vii)の繰り返しに続くことなく終結し、それによって、前記ビュー表面において前記光透過性タイプの粒子の色を表示する、ことと
を含む、方法。
(項目15)
ゼロ電圧の期間が、各ステップ(i)と後続ステップ(ii)との間および/または各ステップ(vii)と後続ステップ(viii)との間に挿入される、項目14に記載の方法。
(項目16)
項目11に記載の前記電気泳動ディスプレイデバイスを駆動する方法であって、前記方法は、
(i)ある極性を有する第5の駆動電圧を印加し、第9の期間にわたって、ビュー表面に向かって、一方の極性の2つのタイプの粒子を駆動することと、
(ii)前記第9の期間より長い第10の期間にわたって、前記第5の駆動電圧と反対の極性および前記第5の駆動電圧未満の大きさを有する第6の駆動電圧を印加することと、
(iii)ステップ(i)および(ii)を繰り返すことと、
(iv)ステップ(i)および(ii)の前記繰り返し後、前記第4の駆動電圧と同一の極性を有する第6の駆動電圧を印加することであって、前記第6の駆動電圧の印加の大きさおよび/または時間は、前記ビュー表面において前記第2のタイプの粒子の色を表示するように前記ディスプレイを駆動するために十分ではなく、それによって、前記ビュー表面において、2つの非白色の光反射性を有する粒子の混合物の色を表示する、ことと
を含む、方法。
(項目17)
ゼロ電圧の期間が、各ステップ(i)と後続ステップ(ii)との間に挿入される、項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
(図面の簡単な説明)
【0029】
【
図1】付随の図面の
図1は、本発明の4粒子ディスプレイデバイスを通した概略的断面である。
【0030】
【
図2】
図2は、
図1のディスプレイデバイスにおける使用のための好ましい顔料粒子の吸収スペクトルを示す。
【0031】
【
図3A】
図3A~3Fは、
図1のものに類似した概略的断面ではあるが、
図1のディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図3B】
図3A~3Fは、
図1のものに類似した概略的断面ではあるが、
図1のディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図3C】
図3A~3Fは、
図1のものに類似した概略的断面ではあるが、
図1のディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図3D】
図3A~3Fは、
図1のものに類似した概略的断面ではあるが、
図1のディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図3E】
図3A~3Fは、
図1のものに類似した概略的断面ではあるが、
図1のディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図3F】
図3A~3Fは、
図1のものに類似した概略的断面ではあるが、
図1のディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【0032】
【
図4】
図4は、本発明の駆動方法に組み込まれ得るDCバランス波形およびシェイク波形を図示する。
【0033】
【
図5A】
図5A~5Fは、
図3A~3Fに示される遷移を実行するために使用され得る波形をそれぞれ示す。
【
図5B】
図5A~5Fは、
図3A~3Fに示される遷移を実行するために使用され得る波形をそれぞれ示す。
【
図5C】
図5A~5Fは、
図3A~3Fに示される遷移を実行するために使用され得る波形をそれぞれ示す。
【
図5D】
図5A~5Fは、
図3A~3Fに示される遷移を実行するために使用され得る波形をそれぞれ示す。
【
図5E】
図5A~5Fは、
図3A~3Fに示される遷移を実行するために使用され得る波形をそれぞれ示す。
【
図5F】
図5A~5Fは、
図3A~3Fに示される遷移を実行するために使用され得る波形をそれぞれ示す。
【0034】
【
図6A】
図6A~6Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、赤色の部分的に光透過性を有する粒子を使用したディスプレイデバイス内の種々の光学遷移を示す。
【
図6B】
図6A~6Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、赤色の部分的に光透過性を有する粒子を使用したディスプレイデバイス内の種々の光学遷移を示す。
【
図6C】
図6A~6Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、赤色の部分的に光透過性を有する粒子を使用したディスプレイデバイス内の種々の光学遷移を示す。
【
図6D】
図6A~6Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、赤色の部分的に光透過性を有する粒子を使用したディスプレイデバイス内の種々の光学遷移を示す。
【
図6E】
図6A~6Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、赤色の部分的に光透過性を有する粒子を使用したディスプレイデバイス内の種々の光学遷移を示す。
【
図6F】
図6A~6Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、赤色の部分的に光透過性を有する粒子を使用したディスプレイデバイス内の種々の光学遷移を示す。
【0035】
【
図7A】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図7B】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図7C】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図7D】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図7E】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【
図7F】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
【0036】
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
【0038】
上記に示されるように、一側面では、本発明は、5つの別個の光学状態を表示するように作製され得る4粒子電気泳動媒体を提供する。電気泳動媒体は、流体と、流体中に分散している第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備え、全ての4つのタイプの粒子は、異なる色を有する。第1および第3のタイプの粒子は、一方の極性の電荷を帯びており、第2および第4のタイプの粒子は、反対の極性の電荷を帯びている。第1のタイプの粒子は、第3のタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有し、第2のタイプの粒子は、第4のタイプの粒子より大きなゼータ電位または電気泳動移動度を有する(したがって、2対の逆荷電粒子において、一方の対は、他方の対より強い電荷を保有している。したがって、4つのタイプの粒子は、高正粒子、高負粒子、低正粒子、および低負粒子とも称され得る)。1つのタイプの粒子は、白色である。非白色タイプの粒子のうちの1つが部分的に光透過性を有する一方、非白色粒子の残りの2つのタイプは、光反射性を有する。
【0039】
図1に示される実施例として、青色粒子(B)および黄色粒子(Y)は、逆荷電粒子の第1の対であり、この対において、青色粒子は、高正粒子であり、黄色粒子は、高負粒子である。赤色粒子(R)および白色粒子(W)は、逆荷電粒子の第2の対であり、この対において、赤色粒子は、低正粒子であり、白色粒子は、低負粒子である。当然ながら、前述の電荷は、極性において逆転され得、ディスプレイは、下記に説明される駆動波形の極性が逆転される必要があることを除き、同一の様式において機能し続け得ることを理解されたい。
【0040】
白色粒子は、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、Sb2O3、BaSO4、PbSO4、または同等物等の無機顔料から形成されてもよい。
【0041】
非白色および非黒色の粒子は、赤、緑、青、マゼンタ、シアン、または黄色等の色とは独立である。色粒子のための顔料は、限定ではないが、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含んでもよい。それらは、カラーインデックスハンドブック「New Pigment Application Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1986)および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1984)で説明されている一般的に使用される有機顔料である。具体例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、Sun Chemicalフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ダイアリライドイエロー、またはダイアリライドAAOTイエローを含む。
図1のディスプレイにおける使用のための好ましい部分的に光透過性を有する青色顔料は、Kremer Pigmente GmbH & Co. KG, Hauptstr. 41-47, DE-88317 (Aichstetten, Germany)から入手可能なKremer 45030、「Ultramarine Blue, greenish extra」、ナトリウムアルミニウムスルホケイ酸塩顔料、C.I.顔料青色29:77007である。この光透過性青色顔料は、前述のHostaperm Red D3G 70顔料と組み合わせて有用に使用され得る。
【0042】
図2に図示されるように、この青色顔料は、約450nmにおけるピーク透過率と、400~約530nmの可視範囲にわたる実質透過率とを有する。他方、Hostaperm Red D3G 70顔料は、約555nmを下回ると本質的に非反射性である。故に、2つの顔料が
図3Aに示されるように配列されているとき、光透過性青色顔料がビュー表面に隣接し、反射性赤色顔料がビュー表面から青色顔料の真逆側にある状態では、ビュー表面を通して進入し、青色顔料を通過する全ての可視放射線は、赤色顔料によって吸収され、ビュー表面は、黒色に見える。
【0043】
非白色粒子は、赤色、緑色、青色、および黄色等の無機顔料であってもよい。例は、限定ではないが、CI顔料青色28、CI顔料緑色50、およびCI顔料黄色227を含んでもよい。
【0044】
色に加えて、4つのタイプの粒子は、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または、機械読取のために意図されているディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化という意味での疑似色等の他の違う光学特性を有してもよい。
【0045】
本発明のディスプレイ流体を利用したディスプレイ層は、
図1に示されるように、2つの表面、すなわち、ビュー側の第1の表面(13)と、第1の表面(13)の反対側の第2の表面(14)とを有する。ディスプレイ流体は、2つの表面の間に挟まれている。第1の表面(13)側には、透明電極層(例えば、ITO)である共通電極(11)があり、ディスプレイ層の上部全体にわたって広がっている。第2の表面(14)側には、複数のピクセル電極(12a)を備える電極層(12)がある。しかしながら、本発明は、いずれのぐ隊的な電極構成にも限定されない。
【0046】
ピクセル電極は、米国特許第7,046,228号に説明されている(その内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される)。薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを用いたアクティブマトリクス駆動がピクセル電極の層に関して記述されているが、本発明の範囲は、電極が所望の機能を果たす限り、他のタイプの電極アドレスを包含することに留意されたい。
【0047】
図1の2本の垂直点線の間の各空間は、ピクセルを表す。示されるように、各ピクセルは、対応するピクセル電極を有する。共通電極に印加された電圧と、対応するピクセル電極に印加された電圧との間の電位差によって、電界が、ピクセルに関して生成される(付随の図面に図示される種々の波形において、プロットされた電位差は、ピクセル電極12aに印加されたものであり、共通電極は、通常そうであるように、接地電圧に保たれていると仮定されていることに留意されたい。ピクセルによって表示される色は、共通電極11に隣接する粒子に依存するため、図面において正電位差が示されるとき、共通電極は、ピクセル電極に対して負であり、正荷電粒子は、共通電極に引き寄せられる)。
【0048】
4つのタイプの粒子が分散している溶媒は、透明かつ無色である。これは、好ましくは、高い粒子移動度のために、低い粘度と、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の誘電率とを有する。好適な誘電溶媒の例は、Isopar(登録商標)、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体等の炭化水素、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン等のハロゲン化溶媒、ならびに、3M Company(St. Paul MN)からのFC-43、FC-70、またはFC-5060等のペルフルオロ化溶媒、TCI America(Portland, Oregon)からのポリ(ペルフルオロプロピレンオキシド)等のポリマーを含む低分子量ハロゲン、Halocarbon Product Corp.(River Edge, NJ)からのHalocarbon Oils等のポリ(クロロトリフルオロエチレン)、AusimontからのGaldenまたはDuPont(Delaware)からのKrytox OilsおよびGreases K-Fluid Series等のペルフルオロポリアルキルエーテル、Dow-corning(DC-200)からのポリジメチルシロキサン系シリコン油を含む。
【0049】
一実施形態では、「低電荷」粒子によって保有される電荷は、「高電荷」粒子によって保有される電荷の約50%、好ましくは、約5%~約30%未満であり得る。別の実施形態では、「低電荷」粒子は、「高電荷」粒子によって保有される電荷の約75%、または約15%~約55%未満であり得る。さらなる実施形態では、示されるような電荷レベルの比較が、同一の電荷極性を有する2つのタイプの粒子に適用される。
【0050】
電荷強度は、ゼータ電位の観点から測定されてもよい。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU-100信号処理ユニット、ESA EN#Attn フロースルーセル(K:127)を伴うColloidal Dynamics AcoustoSizer IIMによって決定される。サンプルにおいて使用される溶媒の密度、溶媒の誘電率、溶媒中の音速、溶媒の粘度等の計器定数は、全て試験温度(25℃)において、試験前に入力される。顔料サンプルは、(通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体である)溶媒中に分散し、5~10重量%に希釈される。サンプルは、電荷制御剤対粒子の1:10の重量比を伴う電荷制御剤(Berkshire Hathawayの子会社であるLubrizol Corporationから入手可能であるSolsperse 19Kであり、「Solsperse」は、登録商標である)も含む。希釈サンプルの質量が、決定され、次いで、サンプルは、ゼータ電位の決定のためにフロースルーセルの中にロードされる。
【0051】
「高正」粒子および「高負」粒子のアンプリチュードは、同一であり得、または異なり得る。同様に、「低正」粒子および「低負」粒子のアンプリチュードは、同一であり得、または異なり得る。しかしながら、「高正」またはより大きな電荷強度もしくはより大きな電荷の大きさを伴う正粒子のゼータ電位は、「低正」またはより少ない電荷強度もしくはより小さい電荷の大きさを伴う正粒子のゼータ電位より大きく、高負および低負粒子に関して、同一のロジックが従う。同一の場のもとでの同一の媒体では、より高い荷電粒子が、より大きな電気泳動移動度を有し、すなわち、より高い荷電粒子が、より低い荷電粒子より少ない時間で同一の距離を横断する。
【0052】
同一の流体では、2対の高-低電荷粒子は、異なるレベルの電荷差を有し得ることにも留意されたい。例えば、一方の対では、低正荷電粒子は、高正荷電粒子の電荷強度の30%である電荷強度を有してもよく、別の対では、低負荷電粒子は、高負荷電粒子の電荷強度の50%である電荷強度を有してもよい。
【0053】
以下の実施例は、そのようなディスプレイ流体を利用したディスプレイデバイスを例示する。
【0054】
(実施例)
本実施例は、
図3A~3Fにおいて実証される。高正光透過性粒子は、青色(B)であり、高負粒子は、黄色(Y)であり、低正粒子は、赤色(R)であり、低負粒子は、白色(W)である。
図3Aに示される遷移は、完全に混合された状態から開始し、これは、「(M)」で示され、下記に説明されるように、シェイクパルスを印加することによって生み出される。高正電位差(例えば、+15V)および無電位差(0V)の交互パルスが十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加されると、青色(B)および赤色(R)粒子は、共通電極(21)またはビュー側に向かって駆動され、黄色および白色粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動される。赤色(R)および白色(W)粒子は、より弱い電荷を保有しているため、高荷電青色および黄色粒子より遅く移動する。結果として、青色粒子は、(
図3Aに図示されるように)赤色粒子が青色粒子のすぐ下にある状態で共通電極に直接隣接して置かれる。上記にすでに検討された理由から、これは、ピクセルが黒色に見えることを引き起こし、これは、
図3Aにおいて「(K)」で示され、白色および黄色粒子は、反射赤色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。
【0055】
同様に、
図3Bに示される遷移は、完全に混合された状態(M)から開始し、これは、下記に説明されるように、シェイクパルスを印加することによって生み出される。高負電位差(例えば、-15V)および無電圧(0V)の交互パルスが十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加されるとき、青色(B)および赤色(R)粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動され、黄色および白色粒子は、共通電極側に向かって駆動される。赤色(R)および白色(W)粒子は、それらがより弱い電荷を保有しているため、高荷電青色および黄色粒子より遅く移動する。結果として、反射性黄色粒子は、共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが黄色に見えることを引き起こし、これは、
図3Bにおいて「(Y)」で示される。白色、赤色、および青色粒子は、全て、反射黄色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。原理上、黄色は-15Vおよび0Vの交互パルスによって生み出され得るが、実践においては、
図5Bを参照して下記に説明されるようなより複雑な波形が、好ましい。
【0056】
図3Cに示される遷移は、完全に混合された状態(M)から開始する。高負電位差(例えば、-15V)および低正電位差(例えば、+8V)の交互パルスが、低正パルスが高負パルスよりはるかに長い状態で、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加されるとき、赤色(R)粒子は、共通電極21側に向かって駆動され、白色粒子(W)は、ピクセル電極22a側に向かって駆動される。振動電界の効果は、電気泳動層の厚さの中央において高荷電青色および黄色粒子が相互を繰り返し通り過ぎることを引き起こすことであり、高荷電正粒子と負粒子との間の強電気的引力は、これらの粒子の移動を大きく減速させ、電気泳動層の厚さの中央にそれらを保持する傾向にある。しかしながら、低正パルスによって発生させられる電界は、低荷電の白色および赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、低正赤色粒子(R)が共通電極21側の端まで移動し、低負白色粒子がピクセル電極22a側に移動することを可能にする。結果として、反射性赤色粒子は、共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが赤色に見えることを引き起こし、これは、
図3Cにおいて「(R)」で示され、白色、黄色および青色粒子は、全て、反射赤色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。重要なこととして、本システムは、より弱い荷電粒子が反対の極性のより強い荷電粒子から分離されることを可能にする。
【0057】
図3Dに示される遷移は、完全に混合された状態(M)から開始する。高正電位差(例えば、+15V)および低負電位差(例えば、-8V)の交互パルスが、低負パルスが高正パルスよりはるかに長い状態で、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加され、赤色(R)粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動され、白色粒子(W)は、共通電極21側に向かって駆動される。
図3Cに示される遷移と同様に、振動電界の効果は、高荷電青色および黄色粒子をともに電気泳動層の厚さの中央に留まらせることである。しかしながら、低負パルスによって発生させられる電界は、低荷電の白色および赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、低正赤色粒子(R)がピクセル電極22a側の端まで移動し、低負白色粒子が共通電極21側に移動することを可能にする。結果として、白色粒子は、共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが白色に見えることを引き起こし、これは、
図3Dにおいて「(W)」で示され、赤色、黄色、および青色粒子は、全て、白色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。原理上、白色は+15Vおよび-8Vの交互パルスによって生み出され得るが、実践においては、
図5Dを参照して下記に説明されるようなより複雑な波形が、好ましい。
【0058】
図3Eに示される遷移は、
図3Dに示される白色状態(W)から開始する。この状態にあるデバイスに対して、正電位差パルスが、印加され、その全体的インパルスは、
図3Aに示される黒色状態(K)にデバイスを駆動するためには十分でない。正パルスは、高荷電青色粒子が共通電極21側に向かって移動し、白色粒子がピクセル電極22a側に向かって移動することを引き起こす。しかしながら、高荷電青色粒子は低荷電白色粒子より迅速に移動するため、青色粒子および白色粒子の混合物が、ビュー表面を通して可視であり、それによって、ピクセルは、青色に見える。
【0059】
一見、
図3Eから、フロント電極に直接隣接して配置される白色顔料からの反射のため、ビュー表面において見られる青色の彩度は大幅に低減されるように見える。しかしながら、
図3E(また、
図3A~3D、
図3F、
図6A~6F、および
図7A~7F)は、全て、極めて概略的であることを理解されたい。実践においては、顔料粒子は、球状ではなく(例えば、電気泳動媒体において白色顔料として一般に使用されるルチルチタニアは、正方晶であり、正四角柱を形成する傾向にある等、使用される結晶性顔料は、ある結晶面に沿って優先的に破砕するため)、粒子は、サイズにおいて著しく変動し、白色粒子からの「反射」は、鏡面反射ではなく、本質的にランバート光散乱であり、
図3Eに図示されるものより数層多くの粒子の層が、存在する(層の正確な数は、当然ながら、電気泳動媒体中の粒子のロード量、この媒体の厚さ、および個々の粒子のサイズに依存するが、実践においては、通常、少なくとも5~10の層が、存在する)。全ての前述の因子の全体的効果は、ビュー表面を通して電気泳動媒体に進入する非常に小さい割合の可視光のみが白色粒子によってビュー表面を通して後方に直接反射されることであり、実践においては、十分な彩度の青色が、達成され得る。
【0060】
また、
図3Aが完全に別個の層における青色および赤色粒子を示す一方、
図3Eは青色および白色粒子の完全な混合を示すが、これらは2つの極限状態を表しており、実践においては、完全に別個の層と完全な混合との間に連続的な段階変化が存在し得ることを理解されたい。必要な色が得られることを前提として、本発明は、粒子の正確な位置、およびそれらの他の粒子との混合の程度に関するいずれの理論的解説にも限定されない。
【0061】
最後に、
図3Fに示される遷移は、
図3Cに示される赤色状態(R)から開始する。この状態にあるデバイスに対して、負電位差パルスが、印加され、その全体的インパルスは、
図3Bに示される黄色状態(Y)にデバイスを駆動するためには十分でない。負パルスは、高負黄色粒子が共通電極(21)側に向かって移動することを引き起こす一方、低正赤色粒子は、ピクセル電極(22a)側に向かってはるかによりゆっくりと移動する。結果は、赤色および黄色粒子の混合物が共通電極21を通して可視であり、ピクセルが橙色に見えることである。
【0062】
色明度および色純度の両方を確実にするために、上記で検討される遷移のいずれかに先立って、DCバランスおよび/またはシェイク波形が、使用されてもよい。シェイク波形は、多くのサイクルにわたって一対の反対駆動パルスを繰り返すことから成る。例えば、シェイク波形は、20ミリ秒間の+15Vパルスおよび20ミリ秒間の-15Vパルスから成ってもよく、そのような一対のパルスは、50回繰り返される。そのようなシェイク波形の合計時間は、2,000ミリ秒である。実践においては、シェイクパルスにおいて少なくとも10回の繰り返しがあってもよい(すなわち、10対の正および負パルス)。シェイク波形は、光学状態(黒色、白色、赤色、または黄色)にかかわらず、駆動電圧が印加される前に印加されてもよい。シェイク波形が印加された後、光学状態は、純白色、純黒色、純黄色、または純赤色のいずれでもない。そうではなく、色状態は、4つのタイプの顔料粒子の混合からくるものである。
【0063】
シェイク波形内の駆動パルスの各々は、1つの高荷電粒子の色から他の高荷電粒子の色への完全な遷移(本実施例では、青色から黄色、または逆も同様)から要求される駆動時間の50%を超えない(または30%、10%、または5%を超えない)時間にわたって印加される。例えば、完全黒色状態から完全黄色状態までディスプレイデバイスを駆動する(または逆も同様)ために300ミリ秒かかる場合、シェイク波形は、各々150ミリ秒以下にわたって印加される正および負パルスから成ってもよい。実践においては、パルスがより短いことが好ましい。説明されるようなシェイク波形は、本発明の駆動方法において使用されてもよい。本願の全体を通した図面の全てにおいて、シェイク波形は、短縮されている(すなわち、パルスの数が実際の数より少ない)。
【0064】
DCバランス波形は、全体的波形の全体的インパルス(すなわち、時間に対する電圧の積分)を小さい値(可能である場合、ゼロ)に低減させるように設計される。例えば、米国特許第6,531,997号および第6,504,524号で検討されているように、問題が、直面され得、ディスプレイを駆動するために使用される方法が、ゼロまたはほぼゼロの電気光学系媒体を横切る正味時間平均の印加電界をもたらさない場合、ディスプレイの耐用年数が、低減され得る。電気光学系媒体を横切るゼロ正味時間平均の印加電界をもたらす波形は、便宜的に「直流バランス状態にある」または「DCバランス状態にある」波形と称される。
【0065】
図4は、DCバランス区分42の後に続くシェイク区分44を備える、組み合わせられたDCバランス/シェイク波形を図示する。
図4は、高正電位差を有するものとしてDCバランス区分42を図示するが、DCバランス区分は、印加される波形の残りのインパルスに応じて、高もしくは低の正もしくは負電位差、またはゼロ電位差を有し得ることを理解されたい。
【0066】
さらに、
図4は、単一DCバランス区分の後に続く単一シェイク区分を図示するが、組み合わせられたDCバランス/シェイク波形が互いに交互する複数のDCバランス区分と複数のシェイク区分とを含み得、DCバランス区分またはシェイク区分のいずれかで開始および終了し得る。複数のDCバランス区分の使用は、(例えば)1つまたはそれより多くのDCバランス区分を高電圧に設定し、1つまたはそれより多くをゼロに設定することによって、単一DCバランス区分を用いた場合より、ゼロ全体的波形インパルスにより近いアプローチを達成することが可能であり得る点において有利であり得る。複数のDCバランス区分が、継続時間および印加される電位差の両方において相互から変動してもよい。同様に、複数のシェイク区分は、継続時間、電位差の大きさ、および周波数において相互と異なり得る。
【0067】
図5Aは、
図3Aの遷移をもたらして黒色光学状態を生み出すために使用される波形を図示する。この波形は、本発明の第1の駆動方法の実施例である。混合された状態Mを達成するための、高負電圧VH2における継続時間t1のDCバランス区分およびシェイク区分Sの後(t1およびシェイク区分Sの両方の継続時間は、
図5Aでは大きく低減されており、複数のDCバランスおよびシェイク区分が、当然ながら使用され得る)、(i)継続時間t2のゼロ電圧の期間、(ii)継続時間t3の高正駆動電圧VH1の期間、(iii)t3より大幅に大きい継続時間t4のゼロ電圧の期間、ならびに(iv)(ii)および(iii)の数回の繰り返し(典型的には、4~8回の繰り返し)が、ピクセル電極に印加される。
【0068】
図5Bは、
図3Bの遷移をもたらして黄色光学状態(すなわち、第2の粒子の色)を生み出すために使用される波形を図示する。すでに示されたように、原理上、黄色は、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに高負電位差(例えば、-15V)および無電圧(0V)の交互パルスを印加することによって生み出されることができる。しかしながら、純黄色を確実にするために、
図5Bに示されるようなはるかに複雑な波形が、好ましい。
図5Aを参照してすでに説明されたものと本質的に同じである継続時間t1のDCバランス区分およびシェイク区分Sの後、
図5Bの波形は、継続時間t5のゼロ電圧の期間の後に続く(i)高負電位差VH2の継続時間t6の短期間、(ii)継続時間t7のゼロ電圧の期間、および(iii)t6より長い期間t8にわたる低正電位差VL1の期間を備える。典型的には、VL1の大きさは、VH2の約半分であり、t7は、長さにおいてt6と同等であり、t8は、t6の約10倍大きい。例えば、t6およびt7の各々が50ミリ秒であり得る一方、t8は、500ミリ秒であり得る。ステップ(i)、(ii)および(iii)は、次いで、
図5Bにおいて「[×m]」によって示されるように、数回繰り返され、典型的には、これらのステップは、4~6回繰り返されてもよい。これらの繰り返しの後に続いて、(iv)高負電位差VH2が、t6より長い期間t9にわたって印加され、次いで、(v)VL1より低い(典型的には、VH1の約3分の1の)低正電位差VL3が、t8より短い期間t10にわたって印加される。ステップ(iv)および(v)は、次いで、
図5Bにおいて「[×n]」によって示されるように、繰り返され、典型的には、これらのステップは、2~3回繰り返されてもよい。
図5Bの波形の最後の部分は、t9より長い期間t11にわたる高負電位差VH2の印加と、継続時間t12のゼロ電圧の期間と、期間t11にわたる高負電位差VH2の第2の印加とを備える。容易に明白となるように、波形のこの部分におけるVH2の印加の数と、継続時間t11とは、実験的に調節されることができる。
【0069】
図5Cは、
図3Cの遷移をもたらして赤色光学状態(すなわち、第2の粒子の色)を生み出すために使用される波形を図示する。
図5Cに示される波形は、
図5Bに示される波形の最初の部分に似ており、
図5Aを参照してすでに説明されたものと本質的に同じである継続時間t1のDCバランス区分およびシェイク区分Sの後、
図5Cの波形は、継続時間t13のゼロ電圧の期間の後に続く(i)高負電位差VH2の継続時間t14の短期間、(ii)継続時間t15のゼロ電圧の期間、および、t14より長い期間t16にわたる低正電位差VL1の期間を備える。典型的には、VL1の大きさは、VH2の約半分であり、t15は、長さにおいてt14と同等であり、t16は、t14の約10倍大きい。例えば、t6およびt7の各々が50ミリ秒であり得る一方、t8は、500ミリ秒であり得る。ステップ(i)、(ii)および(iii)は、次いで、
図5Cに示されるように、数回繰り返され、典型的には、これらのステップは、6~10回繰り返されてもよい。波形は、良好な赤色を確実にするために、VL1の最後の印加から0Vまで遷移することによって終了する。容易に明白となるように、この波形におけるVH2およびVL1の印加の数と、継続時間t14およびt16とは、実験的に調節されることができる。
【0070】
図5Dは、
図3Dの遷移をもたらして白色光学状態(すなわち、第4の粒子の色)を生み出すために使用される波形を図示する。驚くことではないが、
図5Dに示される波形の最初の部分が、(極性における変化を伴っているが)
図5Cに示される「赤色」波形に似ており、
図5Aを参照してすでに説明されたものと本質的に同じである継続時間t1’のDCバランス区分(DCバランス区分は、この例では高正である)およびシェイク区分Sの後、
図5Dの波形は、(i)高正電位差VH1の継続時間t17の短期間(この例では、シェイク区分Sと高駆動電位差の印加との間にゼロ電圧の期間はないことに留意されたい)、(ii)継続時間t18のゼロ電圧の期間、および、t17より長い期間t19にわたる低負電位差VL2の期間を備える。典型的には、VL2の大きさは、VH1の約半分であり、t18は、長さにおいてt17と同等であり、t19は、t17の約10倍大きい。例えば、t6およびt7の各々が50ミリ秒であり得る一方、t8は、500ミリ秒であり得る。ステップ(i)、(ii)および(iii)は、次いで、
図5Dに示されるように、数回繰り返され、典型的には、これらのステップは、6~10回繰り返されてもよい。しかしながら、純白色を確実にするために、(iv)継続時間t20のゼロ電位差にわたる期間を伴うステップ(i)、(ii)および(iii)の繰り返しの後に続く(v)期間t21にわたる低負電位差VL2の印加、ならびに、ステップ(iv)および(v)の繰り返しが有利であることが見出されている。典型的には、ステップ(iv)および(v)は、6~10回繰り返され、t20は、t18と同等であり、t21は、t19より短い。容易に明白となるように、この波形におけるVH1およびVL2の印加の数と、継続時間t17、t18、t19、t20、およびt21とは、実験的に調節されることができる。
【0071】
図5Eは、
図3Eの遷移をもたらして青色光学状態(すなわち、第1の粒子の色)を生み出すために使用される波形を図示し、この波形は、本発明の第2の駆動方法の実施例である。驚くことではないが、
図5Eに示される波形の最初の部分は、
図5Dに示される「白色」波形と同じである。しかしながら、前項で検討されるステップ(iv)および(v)の繰り返し後、
図5Eの波形は、(vi)t17より短い期間t22にわたる高正電位差VH1の印加、(vii)t18より短い期間t23にわたるゼロ電位差の印加、(viii)t19またはt21より短い期間t24にわたる、VL2より小さい大きさを有する低負電位差VL4の印加、および、ステップ(vi)~(viii)の繰り返しを続けるが、ステップ(vi)の繰り返しの後にステップ(viii)の繰り返しが続かずに、すなわち、
図3Eを参照して上記に説明されるように、最後の正の駆動パルスで終了する。典型的には、VL4の大きさは、VL2の約75パーセントであり、典型的には、ステップ(vi)~(viii)は、10~20回繰り返されてもよい。容易に明白となるように、この波形におけるVH1およびVL4の印加の数と、継続時間t22、t23、およびt24とは、実験的に調節されることができる。
【0072】
最後に、
図5Fは、
図3Fに示される遷移をもたらして橙色光学状態を生み出すために使用される波形を示し、この波形は、本発明の第3の駆動方法の実施例である。
図5Fに示される波形は、最後の短低負電位差パルスSPの追加を除き、
図5Cに示される「赤色」波形と同じであり、そのインパルスは、赤色光学状態(R)から黄色光学状態(Y)に電気泳動媒体を駆動するためには不十分である(
図3B参照)。パルスSPの大きさおよび継続時間は、広く変動し得、大きさおよび継続時間の光学組み合わせが、実験的に決定されてもよい。
【0073】
電荷制御剤顔料の添加とともに、Isopar E中で、部分的に光透過性を有する青色顔料としての前述のKremer45030と、ルチルチタニア白色顔料と、光反射性を有する1254 DPP Red 254(DCL Corporationから入手可能)と、Novoperm Yellow HR 70-EDS(Clariant Corporation, Holden MAから入手可能)とを使用して、
図1に示されるような4粒子電気泳動媒体を調合した。さらに、非最適化された波形を使用して、以下の5つの色を生み出した。
【表1】
【0074】
図1、
図3A~3F、および
図5A~5Fに示される電気泳動媒体は、第1のタイプの部分的に光透過性を有する高正青色粒子と、第2のタイプの反射性高負黄色粒子と、第3のタイプの反射性低正赤色粒子と、第4のタイプの低負白色粒子とを備える。しかしながら、部分的に光透過性を有する高正粒子を赤色にし、反射性低正粒子を青色にすることによって、他の色も生み出されることができ、具体的には、この組み合わせは、下記の
図6A~6Fに示されるように、電気泳動媒体が黒色、白色、赤色、青色、および緑色を表示することを可能にする。したがって、本システムは、黒色、白色、および3つの通常の加法混色を表示することが可能であり、追加の色が、領域変調(ディザリング)によって発生させられてもよい。
【0075】
図6Aは、
図3Aに示されるものに類似した遷移を示し、完全に混合された状態(M)から開始する。最終状態(K)では、赤色光透過性粒子は、
図3Aと比較された場合の赤色および青色粒子の位置の逆転にもかかわらず、黒色光学状態が依然として発生させられるように、(
図6Aに図示されるように)青色反射性粒子が赤色光透過性粒子のすぐ下にある状態で共通電極21に直接隣接して置かれる。
【0076】
図6Bは、
図3Bに示されるものに類似した遷移を示す。共通電極に隣接する黄色粒子が白色、赤色、および青色粒子を覆い隠すため、
図3Bと比較された場合の
図6Bにおける赤色および青色粒子の位置の逆転が光学状態に応じた効果を有しないように、黄色状態が、再び生み出される。
【0077】
図6Cは、
図3Cに示されるものに類似した遷移を示す。
図3Cと同様に、
図6Cの遷移は、低正粒子を共通電極に隣接させ、これらの低正粒子は今、反射性青色粒子であるため、
図3Cの赤色光学状態ではなく、青色光学状態が、生み出される。
【0078】
図6Dは、
図3Dに示されるものに類似した遷移を示す。共通電極に隣接する白色粒子が黄色、赤色、および青色粒子を覆い隠すため、
図3Dと比較された場合の
図6Dにおける赤色および青色粒子の位置の逆転が光学状態に応じた効果を有しないように、白色状態が、再び生み出される。
【0079】
図6Eは、
図3Eに示されるものに類似した遷移を示す。
図3Eと同様に、
図6Eの遷移は、高正粒子および白色粒子の混合物を共通電極に隣接させ、これらの高正粒子は今、光透過性赤色粒子であるため、
図3Eの青色光学状態ではなく、赤色光学状態(R)が、生み出される。
【0080】
最後に、
図6Fは、
図3Fに示されるものに類似した遷移を示す。初期状態は、低正粒子が共通電極に隣接して置かれている状態であり、これは、
図6Fにおける媒体では、青色光学状態(B)である。故に、最終状態は、共通電極に隣接する低正青色粒子および高負黄色粒子の混合物を有し、故に、緑色光学状態(G)が、表示される。
【0081】
図3A~3Fの遷移をそれぞれもたらすための、
図5A~5Fを参照して上記に説明される波形の各々は、
図6A~6Fの対応する遷移をそれぞれもたらすために使用されることもできる。
【0082】
図7A~7Fは、
図3A~3Fのものに類似した概略的断面ではあるが、本発明の5粒子ディスプレイデバイスが受け得る種々の光学遷移を示す。
図7A~7Fに示される電気泳動媒体は、一般に、
図3A~3Fに示されるものに類似し、したがって、高負荷電黄色粒子(Y)、低荷電負白色粒子(W)、および低荷電正赤色粒子(R)、および、赤色粒子より大きなゼータ電位を有する光透過性正荷電青色粒子(B)を備える。しかしながら、
図7A~7Fに示される電気泳動媒体は、青色粒子(B)より大きなゼータ電位を有する高荷電正緑色粒子(G)をさらに備えるため、青色粒子は、単に中程度の正粒子である。黄色、白色、および緑色粒子は、全て、光反射性を有する。
【0083】
図7Aに示される遷移は、完全に混合された状態から開始し、これは、「(M)」で示され、下記に説明されるように、シェイクパルスを印加することによって生み出される。この遷移は、
図3Aに示されるものの類似物であり、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに高正電位差(例えば、+15V)および無電位差(0V)の交互パルスを印加し、それによって、共通電極(21)またはビュー側に向かって緑色(G)、青色(B)および赤色(R)粒子を駆動し、ピクセル電極22a側に向かって黄色(Y)および白色(W)粒子を駆動する。緑色粒子は青色および赤色粒子より高荷電であるため、緑色粒子は、(
図7Aに図示されるように)青色および赤色粒子が緑色粒子のすぐ下にある状態で共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが緑色に見えることを引き起こし、これは、
図7Aにおいて「(G)」で示され、青色、赤色、白色、および黄色粒子は、全て、反射赤色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。
【0084】
図7Bに示される遷移は、
図3Bに示されるもののまさに類似物であり、高負電位差(例えば、-15V)および無電圧(0V)の交互パルスが、完全に混合された状態(M)にあるピクセルのピクセル電極22aに印加されるとき、黄色および白色粒子は、共通電極側に向かって駆動され、赤色、青色、および緑色粒子は、ピクセル電極側に向かって駆動される。黄色粒子は白色粒子より高荷電であるため、反射性黄色粒子は、共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが黄色に見えることを引き起こし、これは、
図7Bにおいて「(Y)」で示され、白色、赤色、青色、および緑色粒子は、全て、反射黄色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。
【0085】
図7Cに示される遷移は、
図7Bに示される黄色状態(Y)から開始する。高負電位差(例えば、-15V)および低正電位差(例えば、+8V)の交互パルスが、低正パルスが高負パルスよりはるかに長い状態で、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加されるとき、赤色(R)粒子は、共通電極21側に向かって駆動され、白色粒子(W)は、ピクセル電極22a側に向かって駆動される。振動電界の効果は、電気泳動層の厚さの中央において高荷電緑色および黄色粒子、ならびに中程度の荷電青色粒子が相互を繰り返し通り過ぎることを引き起こすことであり、これらの荷電正粒子と負粒子との間の強電気的引力は、これらの粒子の移動を大きく減速させ、電気泳動層の厚さの中央にそれらを保持する傾向にある。しかしながら、低正パルスによって発生させられる電界は、低荷電の白色および赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、低正赤色粒子(R)が共通電極21側の端まで移動し、低負白色粒子がピクセル電極22a側に移動することを可能にする。結果として、反射性赤色粒子は、共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが赤色に見えることを引き起こし、これは、
図7Cにおいて「(R)」で示され、白色、黄色、青色、および緑色粒子は、全て、反射赤色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。
【0086】
図7Dに示される遷移は、
図7Aに示される緑色状態(G)から開始する。高正電位差(例えば、+15V)および低負電位差(例えば、-8V)の交互パルスが、低負パルスが高正パルスよりはるかに長い状態で、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加されるとき、赤色(R)粒子は、ピクセル電極22a側に向かって駆動され、白色粒子(W)は、共通電極21側に向かって駆動される。
図7Cに示される遷移と同様に、振動電界の効果は、高荷電緑色および黄色粒子、ならびに中程度の荷電青色粒子をともに電気泳動層の厚さの中央に留まらせることである。しかしながら、低負パルスによって発生させられる電界は、低荷電の白色および赤色粒子を分離するために十分であり、それによって、低正赤色粒子(R)がピクセル電極22a側の端まで移動し、低負白色粒子が共通電極21側に移動することを可能にする。結果として、白色粒子は、共通電極に直接隣接して置かれ、したがって、ピクセルが白色に見えることを引き起こし、これは、
図7Dにおいて「(W)」で示され、赤色、黄色、青色、および緑色粒子は、全て、白色粒子によって覆い隠され、表示される色に影響を及ぼさない。
【0087】
図7Eに示される遷移は、
図7Dに示される白色状態(W)から開始する。高正電位差(例えば、+15V)および中程度の負電位差(例えば、-10V)の交互パルスが、負パルスが正パルスよりはるかに長い状態で、十分な長さの期間にわたってピクセル電極22aに印加され、青色粒子は、緑色/黄色/青色粒子凝集体から「脱出」し、徐々に共通電極21に向かって移行する。白色粒子が、同様に反対方向に移行させられ、それによって、青色および白色粒子の混合物が、共通電極に隣接して形成され、
図7Eにおいて「(B)」で示される青色が、ビュー表面を通して見られる。赤色粒子は、ピクセル電極から離れるように移行する。
図7Eは、黄色および緑色粒子と混合されている赤色粒子を図示するが、共通電極に隣接する青色および白色粒子が黄色、緑色、および赤色粒子を覆い隠すため、そのような混合が形成されるかどうか、または赤色粒子がピクセル電極に隣接する別個の層内に留まるかどうかは、表示される色に関係しない。青色の彩度に関する、
図3Eに関して上記でなされた考察と、青色および白色粒子が混合されるか、または個別の層にあるかという問いは、
図7Eに図示される青色状態にも適用される。
【0088】
最後に、
図7Fに示される遷移は、
図7Aに示される緑色状態(G)から開始する。適切な波形の印加(下記に検討される)は、正荷電の緑色、青色、および赤色粒子が共通電極21から離れるように移動することを引き起こす。しかしながら、緑色粒子は、青色および赤色粒子より強く荷電されているため、緑色粒子が、青色および赤色粒子より迅速に移動し、したがって、
図7Fに図示されるような個別の層において、または混合された層として、青色および赤色粒子を共通電極に隣接したままにする。いずれの場合にも、
図7Fにおいて「(K)」で示される黒色状態が、
図3Aを参照してすでに検討された理由のため、生み出される。赤色および青色粒子が緑色、黄色、および白色粒子を覆い隠すため、緑色、黄色、および白色粒子の正確な位置は見える色に影響を及ぼさないが、白色および黄色粒子の両方が、黄色粒子が白色より迅速に移動しながらピクセル電極22aから離れるように移動するため、最も可能性の高い状態は、電気泳動層の中央に凝集される緑色および黄色粒子と、ピクセル電極に隣接する白色粒子とを伴う、
図7Fに図示される状態である。
【0089】
図7Aおよび
図7Bに示される遷移は、
図5Aおよび
図5Bに示される波形をそれぞれ使用してもたらされることができる(これらの波形のある最適化が、使用される粒子の正確な電気泳動移動度、それらの上の電荷、および類似の因子に応じて要求され得ることを理解されたい)。同様に、混合された状態(M)から
図7Bに示される黄色状態(Y)への、および、そこから
図7Cに示される赤色状態(R)への全体的遷移は、
図5Cに示される波形を使用してもたらされることができる。また、混合された状態(M)から
図7Aに示される緑色状態(G)への、および、そこから
図7Dに示される白色状態(W)への全体的遷移は、
図5Dに示される波形を使用してもたらされることができる。
【0090】
図7Eに示される白色/青色遷移は、
図8Aに示される波形を使用してもたらされてもよい。この波形は、継続時間t25の電圧VH1の短高正パルスの後に続く継続時間t26のゼロ電圧の期間、および継続時間t27の中程度の負電圧VLIの期間を備え、t27は、t25より大幅に大きい。このシーケンスは、次いで、数回繰り返され、5回の繰り返しが
図8Aに図示されるが、繰り返しの数は、広く変動し得る。混合された状態(M)から開始して青色状態(B)を生み出すために、
図5Dに示される波形の後に、
図8Aに示される波形が印加されるべきであることを理解されたい。
【0091】
図7Fに示される緑色/黒色遷移は、多くの場合、単一短高電圧負パルス(または、ゼロ電圧の期間によって分離されている短い一連の高電圧負パルス)によってもたらされ得、これは、緑色粒子が青色および赤色粒子の下を移動するために十分であり、それによって、赤色および青色粒子の混合物を共通電極に隣接したままにし、所望の黒色を生み出す。したがって、
図3Aの波形の後に続いて、1つまたはそれより多くの高電圧負パルスを使用して、黒色が、
図7Aに示される混合された状態(M)から生み出されることができる。しかしながら、ある場合には、緑色、青色、および赤色粒子の精密な電気泳動移動度に応じて、そのような1つまたはそれより多くの高電圧負パルスの使用は、平均して、青色粒子を赤色粒子より共通電極からさらに離れるように設置する傾向にあり、暗赤色から赤みを帯びた色までの範囲に及ぶ色をもたらし得る。この問題が生じる場合、
図7Fの緑色/黒色遷移は、
図8Bの波形を使用してもたらされてもよい。
【0092】
図8Bの波形は、継続時間t28の短い高負パルスから開始し、継続時間t29のゼロ電圧の期間が、その後に続き、t29は、t28より大きい。高負パルスおよびゼロ電圧のこのシーケンスが繰り返され、継続時間t28の第3の高負パルスが、その後に続き、必要な場合、より大きい数またはより小さい数のパルスが、当然ながら使用されてもよい。
図8Bを
図5Aと比較することによって、3つの負パルスの効果が、共通電極への緑色粒子の駆動およびピクセル電極への黄色粒子の駆動を部分的に逆転させ、それによって、電気泳動層の中央近傍に緑色および黄色粒子の両方を設置することが分かり、それらは、以前に説明されたように凝集し得る。
図8Bに示される波形の第2の部分は、継続時間t30の各々が継続時間t31のゼロ電圧の期間によって分離されている3つの中程度の電圧正パルスを備え、t30は、t28より大きい。印加される継続時間t28およびt30ならびに駆動電圧は、正パルスによって印加されるインパルスが、負パルスによって印加されるものと実質的に等しい大きさであるが、極性が反対であるように選定される。正パルスは、採用される中程度の電圧が緑色/黄色凝集体を分裂させるためには不十分であるため、実質的に、黄色および緑色粒子の位置に変化を生じさせないが、これらの正パルスは、
図8Bの波形の印加に先立って、それらが占有した部分に対して赤色、青色、および白色粒子を実質的に復元し、したがって、
図7Fで(K)において示される最終的な粒子位置を生み出す。
【0093】
前述から、本発明は、4つの異なるタイプの粒子のみを使用して、少なくとも5つ、ある場合には、6つの有用な色を発生させ得る4粒子電気泳動媒体を提供し得ることが分かる。本発明の5粒子電気泳動媒体は、少なくとも6つの有用な色を発生させることができる。実践においては、(例えば)
図7Aに示される5つの粒子系によって生み出される緑色は顔料粒子の天然色である一方、
図6Fに示される4つの粒子系によって生み出される緑色は、青色および黄色粒子の正確な位置に応じて幾分か変動し得るため、前者は、後者より一貫しており、後者は、ディスプレイの耐用年数にわたって精密に維持することが困難であり得ることに留意されたい。
【0094】
本発明の電気泳動媒体およびデバイスは、例えば、以下に記載されるような従来技術で説明されている粒子、流体、封入材料、および電気泳動デバイス設計のうちのいずれかを利用してもよい。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)。
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)。
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)。
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)。
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,825,829号、第6,982,178号、第7,112,114号、第7,158,282号、第7,236,292号、第7,443,571号、第7,513,813号、第7,561,324号、第7,636,191号、第7,649,666号、第7,728,811号、第7,729,039号、第7,791,782号、第7,826,129号、第7,839,564号、第7,843,621号、第7,843,624号、第8,034,209号、第8,068,272号、第8,077,381号、第8,177,942号、第8,390,301号、第8,482,835号、第8,786,929号、第8,830,553号、第8,854,721号、第9,075,280号、第9,238,340号、第9,470,950号、第9,554,495号、第9,563,099号、第9,733,540号、第9,778,536号、第9,835,925号、第10,444,591号、および第10,466,564号、ならびに、米国特許出願公開第2007/0237962号、第2009/0168067号、および第2011/0164301号参照)。
(f)ディスプレイにおいて使用されるバックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびに方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)。
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第6,017,584号、第6,545,797号、第6,664,944号、第6,788,452号、第6,864,875号、第6,914,714号、第6,972,893号、第7,038,656号、第7,038,670号、第7,046,228号、第7,052,571号、第7,075,502号、第7,167,155号、第7,385,751号、第7,492,505号、第7,667,684号、第7,684,108号、第7,791,789号、第7,800,813号、第7,821,702号、第7,839,564号、第7,910,175号、第7,952,790号、第7,956,841号、第7,982,941号、第8,040,594号、第8,054,526号、第8,098,418号、第8,159,636号、第8,213,076号、第8,363,299号、第8,422,116号、第8,441,714号、第8,441,716号、第8,466,852号、第8,503,063号、第8,576,470号、第8,576,475号、第8,593,721号、第8,605,354号、第8,649,084号、第8,670,174号、第8,704,756、第8,717,664号、第8,786,935号、第8,797,634号、第8,810,899号、第8,830,559号、第8,873,129号、第8,902,153号、第8,902,491号、第8,917,439号、第8,964,282号、第9,013,783号、第9,116,412号、第9,146,439号、第9,164,207号、第9,170,467号、第9,170,468号、第9,182,646号、第9,195,111号、第9,199,441号、第9,268,191号、第9,285,649号、第9,293,511号、第9,341,916号、第9,360,733号、第9,361,836号、第9,383,623号、第9,423,666号、第9,436,056号、第9,459,510号、第9,513,527号、第9,541,814号、第9,552,780、第9,640,119号、第9,646,547号、第9,671,668号、第9,697,778号、第9,726,959号、第9,740,076号、第9,759,981号、第9,761,181号、第9,778,538号、第9,779,670号、第9,779,671号、第9,812,073号、第9,829,764号、第9,921,451号、第9,922,603号、第9,989,829号、第10,032,419号、第10,036,929号、第10,036,931号、第10,332,435号、第10,339,876号、第10,353,266号、第10,366,647号、第10,372,010号、第10,380,931号、第10,380,955号、第10,431,168号、第10,444,592号、第10,467,984号、第10,475,399号、第10,509,293号、および第10,514,583号、ならびに、米国特許出願公開第2008/0043318号、第2008/0048970号、第2009/0225398号、第2010/0156780号、第2011/0043543号、第2012/0326957号、第2013/0242378号、第2013/0278995号、第2014/0055840号、第2014/0078576号、第2015/0103394号、第2015/0118390号、第2015/0124345号、第2015/0268531号、第2015/0301246号、第2016/0026062号、第2016/0048054号、および第2016/0116818号参照)。
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)。
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)。
【0095】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の対向側上に配置されている少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの1つは、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、層の両方が、電極層であり、電極層の一方または両方は、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化されている。例えば、ある電極層は、細長い行電極にパターン化されてもよく、他方は、行電極に直角に延びている細長い列電極にパターン化されてもよく、ピクセルは、行および列電極の交差によって画定される。代替として、より一般に、ある電極層は、単一の連続的な電極の形態を有し、他の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、マトリクスの各々は、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。
【0096】
3層電気泳動ディスプレイの製造は、通常、少なくとも1つの積層動作を伴う。例えば、前述の特許および出願のうちのいくつかでは、カプセル化電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスが、説明され、プロセスにおいて、結合剤中にカプセルを備えるカプセル化電気泳動媒体が、プラスチックフィルム上に酸化インジウムスズ(ITO)または(最終ディスプレイの1つの電極として作用する)類似伝導性コーティングを備える可撓性基板上にコーティングされ、カプセル/結合剤コーティングは、基板に堅く接着される電気泳動媒体のコヒーレント層を形成するように乾燥させられる。別個に、ピクセル電極のアレイと、駆動回路にピクセル電極を接続するための導体の適切な配列とを含むバックプレーンが、調製される。最終ディスプレイを形成するために、その上にカプセル/結合剤層を有する基板が、積層接着剤を使用してバックプレーンに積層される。そのようなプロセスの1つの好ましい形態では、バックプレーン自体が、可撓性を有し、プラスチックフィルムまたは他の可撓性基板上にピクセル電極および導体を印刷することによって調製される。このプロセスによるディスプレイの大量生産のための明白な積層技法は、積層接着剤を使用したロール積層である。
【0097】
前述の米国特許第6,982,178号に検討されているように(第3段落第63行~第5段落第46行参照)、電気泳動ディスプレイにおいて使用される構成要素の多くと、そのようなディスプレイを製造するために使用される方法とが、液晶ディスプレイ(LCD)において使用される技術から導かれる。例えば、電気泳動ディスプレイは、透明基板上で、トランジスタまたはダイオードのアレイおよびピクセル電極の対応するアレイを備えるアクティブマトリクスバックプレーンと、「連続的な」フロント電極(複数のピクセルおよび典型的にはディスプレイ全体にわたって延在する、電極という意味において)とを利用し、これらの構成要素は、LCDと本質的に同一であり得る。しかしながら、LCDを組み立てるために使用される方法は、カプセル化電気泳動ディスプレイと併用されることができない。LCDは、通常、別個のガラス基板上にバックプレーンおよびフロント電極を形成し、次いで、小開口をそれらの間に残しながらこれらの構成要素をともに接着して固着し、真空下に結果として生じるアセンブリを設置し、液体結晶の槽内にアセンブリを浸漬させることによって組み立てられ、それによって、液体結晶が、バックプレーンとフロント電極との間の開口を通して流動する。最後に、定位置に液体結晶を伴って、開口は、最終的なディスプレイを提供するためにシールされる。
【0098】
このLCD組立プロセスは、カプセル化電気泳動ディスプレイに容易に転用されることができない。電気泳動材料は、典型的には、固体である(すなわち、固体外側表面を有する)ため、これらの2つの完全なものが相互に固着される前に、バックプレーンとフロント電極との間に存在しなければならない。さらに、いずれにも取り付けられずにフロント電極とバックプレーンとの間に単に設置される液体結晶材料と対照的に、固体電気光学系媒体は、通常、両方に固着される必要があり、固体電気光学系媒体がフロント電極上に形成される大半の場合、これは、一般に、回路を含むバックプレーン上に媒体を形成するより容易であるため、フロント電極/電気光学系媒体組み合わせは、次いで、典型的には、接着剤を用いて電気光学系媒体の表面全体を被覆し、熱、圧力、および可能性として真空下で積層することによって、バックプレーンに積層される。故に、固体電気泳動ディスプレイの最終的な積層のための殆どの従来技術方法は、本質的に、その中で(典型的には)電気光学系媒体、積層接着剤、およびバックプレーンが、最終的な組立に先立って直接合体されるバッチ方法であり、大量生産により良好に適合された方法を提供することが望ましい。
【0099】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生産に良好に適合された固体電気光学系ディスプレイ(カプセル化電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明する。本質的に、この特許は、光透過性導電性層、導電性層と電気接触する固体電気光学系媒体の層、接着剤層、および離型シートを順に備える、いわゆる「フロントプレーン積層」(「FPL」)を説明する。典型的には、光透過性導電性層は、好ましくは、基板が恒久的変形を伴わずに、(例えば)10インチ(254mm)の直径のドラムの周囲に手動で巻着され得るという意味において可撓性を有する光透過性基板上に運ばれる。用語「光透過性」は、この特許および本明細書において、そのように指定される層が、その層を通して見ている観察者が電気光学媒体の表示状態の変化を観察することを可能にするために十分な光を透過させ、通常、導電性層および隣接する基板(存在する場合)を通してビューされることを意味するように使用され、電気光学媒体が非可視波長における反射率の変化を示す場合、用語「光透過性」は、当然ながら、関係する非可視波長の透過を指すと解釈されるべきである。基板は、典型的には、ポリマーフィルムであって、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有する。導電性層は、便宜上、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属もしくは金属酸化物層であり、または伝導性ポリマーであってもよい。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムは、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)からの「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として市販されており、そのような市販の材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果と併用され得る。
【0100】
そのようなフロントプレーン積層を使用した電気光学系ディスプレイの組立は、フロントプレーン積層から離型シートを除去し、接着剤層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下でバックプレーンと接着剤層を接触させ、それによって、バックプレーンに、接着剤層、電気光学系媒体の層、および導電性層を固着させることによってもたらされてもよい。このプロセスは、フロントプレーン積層が大量生産され得、次いで、特定のバックプレーンと併用するために必要とされる任意のサイズの部片に切断され得るため、典型的には、ロール/ロールコーティング技法を使用して、大量生産に良好に適合されている。
【0101】
米国特許第7,561,324号は、本質的に前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーン積層の簡略化されたバージョンである、いわゆる「二重離型シート」を説明する。二重離型シートの1つの形態は、2つの接着剤層の間に挟まれた固体電気泳動媒体の層を備え、接着剤層の一方または両方は、離型シートによって被覆されている。二重離型シートの別の形態は、2つの離型シートの間に挟まれた固体電気泳動媒体の層を備える。二重離型フィルムの両方の形態は、一般に、すでに説明されたフロントプレーン積層から電気光学系ディスプレイを組み立てるためのプロセスに類似したプロセスにおける使用を意図されるが、2つの別個の積層を伴い、典型的には、第1の積層において、二重離型シートはフロントサブアセンブリを形成するようにフロント電極に積層され、次いで、第2の積層において、フロントサブアセンブリは最終ディスプレイを形成するようにバックプレーンに積層されるが、これらの2つの積層の順序は、所望の場合、逆転されることができる。
【0102】
米国特許第7,839,564号は、前述の米国特許第6,982,178号で説明されたフロントプレーン積層の変形である、いわゆる「反転フロントプレーン積層」を説明する。この反転フロントプレーン積層は、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも1つ、接着剤層、固体電気泳動媒体の層、ならびに離型シートを順に備える。この反転フロントプレーン積層は、電気泳動層とフロント電極またはフロント基板との間に積層接着剤の層を有する電気光学系ディスプレイを形成するために使用され、第2の典型的には接着剤の薄い層は、電気泳動層とバックプレーンの間に存在する場合とそうではない場合とがある。そのような電気光学系ディスプレイは、良好な分解能を良好な低温度性能と組み合わせることができる。
【外国語明細書】