(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071790
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】搬送装置に用いられる方向転換装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/29 20060101AFI20240520BHJP
B65G 39/02 20060101ALI20240520BHJP
B65G 47/54 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B65G47/29 C
B65G39/02 Z
B65G47/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182202
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸尚
【テーマコード(参考)】
3F016
3F033
3F081
【Fターム(参考)】
3F016AA01
3F016CD01
3F033GA06
3F033GC03
3F081BE04
3F081BE08
3F081CC01
3F081CC12
3F081CE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易で低コストでありつつ、使用時に十分な搬送能力を発揮できる搬送装置に用いられる方向転換装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置に用いられる方向転換装置は、搬送装置に用いられる方向転換装置であって、X軸方向に荷物を搬送するX搬送路とY軸方向に荷物を搬送するY搬送路との交差位置に備わり、前記X軸方向に回動するXチェーンコンベヤと、前記Xチェーンコンベヤに備わり、X軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のXローラーと、前記Y軸方向に回動するYチェーンコンベヤと、前記Yチェーンコンベヤに備わり、Y軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のYローラーと、前記Xチェーンコンベヤの回動を制御するX回動制御部と、前記Yチェーンコンベヤの回動を制御するY回動制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置に用いられる方向転換装置であって、
X軸方向に荷物を搬送するX搬送路とY軸方向に荷物を搬送するY搬送路との交差位置に備わり、
前記X軸方向に回動するXチェーンコンベヤと、
前記Xチェーンコンベヤに備わり、X軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のXローラーと、
前記Y軸方向に回動するYチェーンコンベヤと、
前記Yチェーンコンベヤに備わり、Y軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のYローラーと、
前記Xチェーンコンベヤの回動を制御するX回動制御部と、
前記Yチェーンコンベヤの回動を制御するY回動制御部と、を備え、
前記方向転換装置が形成する平面は、前記荷物が前記X軸方向と前記Y軸方向とでの方向転換をする方向転換平面であり、
前記方向転換平面において、前記荷物が前記X軸方向に搬送される期間(以下、「X軸搬送期間」という)においては、
前記X回動制御部は、前記Xチェーンコンベヤを回動させて、前記荷物を前記X軸方向に搬送し、
前記Xローラーは、前記荷物の底面に摩擦を付与し、
前記Yローラーは、前記荷物の搬送方向である前記X軸方向に自由回転し、
前記方向転換平面において、前記荷物が前記Y軸方向に搬送される期間(以下、「Y軸搬送期間」という)においては、
前記Y回動制御部は、前記Yチェーンコンベヤを回動させて、前記荷物をY軸方向に搬送し、
前記Yローラーは、前記荷物の底面に摩擦を付与し、
前記Xローラーは、前記荷物の搬送方向である前記Y軸方向に自由回転し、
前記X軸搬送期間と前記Y軸搬送期間との変化によって、前記方向転換平面において、前記荷物の搬送方向が転換できる、搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項2】
前記方向転換平面において、前記Xローラーおよび前記Yローラーは、前記荷物の底面と接触する、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項3】
前記Xローラーと前記Yローラーは、略同一平面にある、請求項2記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項4】
前記X軸方向と前記Y軸方向とは、略直交している、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項5】
前記Xローラーを前記Xチェーンコンベヤに取り付け、前記Yローラーを前記Yチェーンコンベヤに取り付ける、取り付け具を更に備える、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項6】
前記Xローラーおよび前記Yローラーの個数は、前記荷物の大きさ、形状および重量の少なくとも一つに基づいて、可変である、請求項5記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項7】
前記Xローラーおよび前記Yローラーの少なくとも一方は、表面粗さを有する、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項8】
前記Xローラーおよび前記Yローラーの少なくとも一方は、弾性力を有する、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項9】
前記複数のXローラー同士の間隔および前記複数のYローラー同士の間隔は、前記荷物の短手方向の幅の半分未満である、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項10】
前記X軸搬送期間と前記Y軸搬送期間とは、前記X軸搬送期間の終了前に、その一部が重複する、請求項1記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【請求項11】
前記重複により、前記方向転換平面における前記荷物の移動曲線が、カーブを有する、請求項10記載の搬送装置に用いられる方向転換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置などで荷物を搬送する際に、搬送方向を転換する場合に、昇降機などの特殊な機器を必要とせずに荷物の搬送方向の方向転換を行える搬送装置に用いられる方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造工場や荷物の流通センターなどにおいて、様々な荷物を、コンベヤ装置などで搬送することが行われる。流通や配送に回される荷物が、目的地別に分けられるために搬送されたり、製造工場で、部品や完成品などの物品が荷物として搬送されたりする。更に、製造工場や流通センターなどでは、次の工程に移行するために、物品を含む荷物を搬送することが多く行われている。
【0003】
また、製造された物品、配送前の商品などの荷物の検査のために、コンベヤ装置などで荷物が搬送されることも多くある。あるいは、製造工場の製造ラインにおいて、必要な荷物が搬送されることも多々ある。
【0004】
荷物は、軽量のもの重量の大きいもの、様々な形状のもの、小型のもの、大型のものなどがある。あるいは、荷物は、複数の物品を収容したパレットであったり段ボールであったりすることもある。
【0005】
このように、製造工場や流通センターなどにおいては、様々な荷物がコンベヤ装置などの搬送装置によって搬送されている。製造ラインや出荷ライン等に応じたルートに沿って搬送装置が構成されている。
【0006】
上述した通り、搬送装置はコンベヤ装置などにより構成されていることが多い。ベルトコンベヤやローラーコンベヤなど、荷物を効率的に搬送できる機構により、搬送装置は構成されている。このような搬送装置を構成するコンベヤ装置は、直線方向に荷物を搬送させることがほとんどである。
【0007】
一方で、製造工程、集荷・出荷工程などの様々な目的に応じて、搬送ルートは様々であり、直線だけで構成できない。このため、搬送装置の途中において、荷物を方向転換させる必要がある。特に、略直角に方向転換する必要がある。
【0008】
このような場合には、X軸方向に搬送する搬送装置とY軸方向に搬送する搬送装置とを、方向転換するように組み合わせて、荷物をX軸方向からY軸方向への搬送に方向転換する必要がある。例えば、X軸とY軸とが略直交で交差している場合には、略直角に方向転換させる必要がある。
【0009】
コンベヤ装置などで構成される搬送装置は、上述の通り直線方向のみにしか搬送できない。このため、X軸方向の搬送装置とY軸方向の搬送装置の交差部分において、方向転換させる装置を備える必要がある。従来技術においては、昇降装置をこの方向転換する部位に備えて、X軸方向(もしくはY軸方向)から搬送されてきた荷物を昇降装置が上昇(もしくは下降)させる。上昇(もしくは下降)した荷物が、Y軸方向(もしくはX軸方向)の搬送装置に受け渡される。受け渡されて荷物がそのまま搬送される。
【0010】
こうして荷物が方向転換される。搬送装置は直線方向にしか荷物を搬送できないので、同じ平面上でX軸方向の搬送装置からY軸方向の搬送装置への荷物を受け渡して方向転換できない。コンベヤ装置などの搬送方向が異なるX軸方向とY軸方向とでは、荷物を搬送させつつ同じ平面でつながった別方向の搬送装置に荷物を渡せないからである。
【0011】
このような特性のため、X軸方向の搬送装置とY軸方向の搬送装置とは、異なる高さに設置される。両者の交差位置に昇降装置が備わり、異なる高さ平面で荷物の昇降での受け渡しが行われ、荷物の搬送方向が転換される。
【0012】
このような従来技術では、異なる方向の搬送装置の交差位置において高コストで複雑な構造を有する昇降装置を備えなければならない問題があった。また、昇降装置による方向転換で、搬送に必要となる所要時間が長くなり、製造工場や流通センターでの作業コストが増大する問題があった。
【0013】
また、異なる方向の搬送装置同士を異なる高さに設置しなければならないので、搬送装置全体に必要となる空間が大きくなり、運用コスト、施工コスト、管理コストが大きくなる問題もある。これが相まって、搬送に要する作業時間が更に長大化する問題もあった。
【0014】
このような状況で、直交転換についての技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1は、進行方向回転ホイールが互いに対をなし、回転軸に沿って等間隔で複数配置され、搬送物品の搬送方向と揃う方向に進行方向回転ホイールが配列された回転軸が連続する搬送方向ローラー部100と、この搬送方向ローラー部の搬送方向と直角方向に配列された方向転換ローラー部200を含み、搬送方向ローラー部の進行方向回転ホイールと、方向転換ローラー部の進行方向回転ホイールが互いに直角方向に交差するようにし、これらのアイドルローラーが互いに同一の高さを有するマルチゲートコンベヤであって、方向転換ローラー部が上下に昇降するようにする昇降手段が備えられたマルチゲートコンベヤを、開示する。
【0017】
交差する回転ホイールにより、搬送物品の搬送方向を直角に転換する。
【0018】
しかしながら、特許文献1は次のような問題を有している。
【0019】
特許文献1の
図2に示すように、特許文献2の技術で用いられるローラーは特殊な加工により設計・製造される必要がある。設計・製造・素材などの面で高コストとなり、装置全体のコストを増大させる問題がある。特に高い精度での製造が求められるので、その点でもコスト増や製造までのリードタイムを増加させる問題がある。また、特許文献1の装置は、複数のローラーを配したホイールを多数必要としている。これにより、コストの増大や精度を確保するための困難性がある。
【0020】
また、シャフトが複数のホイールを支える構造を有している。このシャフトに支えられた複数のホイールが、搬送物品を支えながら搬送する。このとき、直交する方向に回転するホイールによって、搬送物品は直交転換する。しかしながら、複雑な構造を有する重量の大きい複数のホイールをシャフトに備えている。
【0021】
このため、シャフトが自重あるいは搬送物品の荷重でたわんでしまう。あるいは、製作(製造)時点での湾曲(精度不足)がありえる。このような場合には、シャフトに備わる複数のホイールのいずれかが下がってしまって、搬送物品の底面に接触できずに備わるホイールすべてが搬送物品を支持できなくなる問題がある。支持できないとなると、すべてのホイールの回転が搬送物品に伝わらず、搬送物品の搬送力が低下する問題がある。
【0022】
また、搬送物品が重かったり大きかったりする場合には、この問題が顕著となり、搬送物品の特性によって、搬送能力が変動する問題がある。搬送能力が変動すると、搬送装置を用いた搬送システムの信頼性や搬送システム設計の困難性に繋がってしまう問題もある。搬送管理などのコストや手間が増大する問題がある。
【0023】
このようなシャフトたわみを防止しようとすると、シャフトの強度や径などを大きくする必要があるが、コスト増を招く問題がある。
【0024】
以上のように、従来技術では、装置の複雑化、設計・製作で高い精度が求められる、部品、設計、製造、使用のいずれにおいても高コストとなる問題があった。加えて、実際の使用では、搬送能力を十分に出せない問題があった。
【0025】
本発明は、上記の課題に鑑み、簡易で低コストでありつつ、使用時に十分な搬送能力を発揮できる搬送装置に用いられる方向転換装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題に鑑み、本発明の搬送装置に用いられる方向転換装置は、搬送装置に用いられる方向転換装置であって、
X軸方向に荷物を搬送するX搬送路とY軸方向に荷物を搬送するY搬送路との交差位置に備わり、
前記X軸方向に回動するXチェーンコンベヤと、
前記Xチェーンコンベヤに備わり、X軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のXローラーと、
前記Y軸方向に回動するYチェーンコンベヤと、
前記Yチェーンコンベヤに備わり、Y軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のYローラーと、
前記Xチェーンコンベヤの回動を制御するX回動制御部と、
前記Yチェーンコンベヤの回動を制御するY回動制御部と、を備え、
前記方向転換装置が形成する平面は、前記荷物が前記X軸方向と前記Y軸方向とでの方向転換をする方向転換平面であり、
前記方向転換平面において、前記荷物が前記X軸方向に搬送される期間(以下、「X軸搬送期間」という)においては、
前記X回動制御部は、前記Xチェーンコンベヤを回動させて、前記荷物を前記X軸方向に搬送し、
前記Xローラーは、前記荷物の底面に摩擦を付与し、
前記Yローラーは、前記荷物の搬送方向である前記X軸方向に自由回転し、
前記方向転換平面において、前記荷物が前記Y軸方向に搬送される期間(以下、「Y軸搬送期間」という)においては、
前記Y回動制御部は、前記Yチェーンコンベヤを回動させて、前記荷物をY軸方向に搬送し、
前記Yローラーは、前記荷物の底面に摩擦を付与し、
前記Xローラーは、前記荷物の搬送方向である前記Y軸方向に自由回転し、
前記X軸搬送期間と前記Y軸搬送期間との変化によって、前記方向転換平面において、前記荷物の搬送方向が転換できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の搬送装置に用いられる方向転換装置は、X軸方向への搬送装置とY軸方向への搬送装置との交差位置にあって、搬送する荷物のX軸方向とY軸方向の方向転換を行える。このとき、同一平面で方向転換を行えるので、昇降機などを必要としない。
【0028】
また、汎用のチェーンコンベヤの回動により方向転換の領域で荷物を搬送し、回動方向の異なるチェーンコンベヤで方向転換するので、簡便な構成での装置で方向転換を実現できる。結果として、低コストでの装置の実現ができる。
【0029】
チェーンコンベヤによる搬送と方向転換であり、チェーンコンベヤに取り付けられたローラーに底面を接触させた状態での方向転換である。よって、従来技術のようにたわんで接触不足が起きて搬送能力が下がる問題も解消される。このため、使用時の管理が簡便化され、メンテナンスコストも低減できる。また、搬送能力を落とさないので、方向転換を含めた搬送全体の作業時間の効率化を実現できる。
【0030】
異なる回転方向の2種類のローラーは、回動方向と同じ回転方向となるローラーは、荷物の搬送を促し、回動方向と異なる回転方向となるローラーは、回動での搬送でのグリップ(荷物への摩擦付与)を行う。このため、交差する方向のローラーが、荷物の搬送を阻害しない。同一平面での方向転換を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】特許文献1の技術で使用されるホイールの正面図である。
【
図2】特許文献1の技術で使用される搬送装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における方向転換装置の平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1におけるチェーンコンベヤ周辺の拡大図である。
【
図5】本発明の実施の形態1におけるXチェーンコンベヤとYチェーンコンベヤの拡大図である。
【
図6】取り付け具によりチェーンコンベヤにローラーが取り付けられた状態を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施の形態2におけるローラーをチェーンコンベヤに取り付ける状態を示す説明図である。
【
図8】方向転換装置によるX軸方向への搬送を示す模式図である。
【
図9】方向転換装置によるY軸方向への搬送を示す模式図である。
【
図10】本発明の実施の形態2における搬送期間の重複の概念を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の第1の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置は、搬送装置に用いられる方向転換装置であって、
X軸方向に荷物を搬送するX搬送路とY軸方向に荷物を搬送するY搬送路との交差位置に備わり、
前記X軸方向に回動するXチェーンコンベヤと、
前記Xチェーンコンベヤに備わり、X軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のXローラーと、
前記Y軸方向に回動するYチェーンコンベヤと、
前記Yチェーンコンベヤに備わり、Y軸方向と略直交方向に自由回転可能な複数のYローラーと、
前記Xチェーンコンベヤの回動を制御するX回動制御部と、
前記Yチェーンコンベヤの回動を制御するY回動制御部と、を備え、
前記方向転換装置が形成する平面は、前記荷物が前記X軸方向と前記Y軸方向とでの方向転換をする方向転換平面であり、
前記方向転換平面において、前記荷物が前記X軸方向に搬送される期間(以下、「X軸搬送期間」という)においては、
前記X回動制御部は、前記Xチェーンコンベヤを回動させて、前記荷物を前記X軸方向に搬送し、
前記Xローラーは、前記荷物の底面に摩擦を付与し、
前記Yローラーは、前記荷物の搬送方向である前記X軸方向に自由回転し、
前記方向転換平面において、前記荷物が前記Y軸方向に搬送される期間(以下、「Y軸搬送期間」という)においては、
前記Y回動制御部は、前記Yチェーンコンベヤを回動させて、前記荷物をY軸方向に搬送し、
前記Yローラーは、前記荷物の底面に摩擦を付与し、
前記Xローラーは、前記荷物の搬送方向である前記Y軸方向に自由回転し、
前記X軸搬送期間と前記Y軸搬送期間との変化によって、前記方向転換平面において、前記荷物の搬送方向が転換できる。
【0033】
この構成により、昇降装置を必要とせず同一平面で荷物を方向転換できる。また、装置の高コスト化や複雑化をしないで実現できる。
【0034】
本発明の第2の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記方向転換平面において、前記Xローラーおよび前記Yローラーは、前記荷物の底面と接触する。
【0035】
この構成により、同一平面において方向転換できる。また、搬送方向と異なる回転方向のローラーからは回動のための摩擦を受け、搬送方向と同じ回転方向のローラーからは回動のための補助を受けることができる。
【0036】
本発明の第3の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第2の発明に加えて、前記Xローラーと前記Yローラーは、略同一平面にある。
【0037】
この構成により、同一平面での荷物の方向転換が可能である。
【0038】
本発明の第4の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記X軸方向と前記Y軸方向とは、略直交している。
【0039】
この構成により、直交の方向転換が可能である。
【0040】
本発明の第5の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記Xローラーを前記Xチェーンコンベヤに取り付け、前記Yローラーを前記Yチェーンコンベヤに取り付ける、取り付け具を更に備える。
【0041】
この構成により、必要に応じた取り付けや取り外しが可能であり、交換なども容易である。
【0042】
本発明の第6の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記Xローラーおよび前記Yローラーの個数は、前記荷物の大きさ、形状および重量の少なくとも一つに基づいて、可変である。
【0043】
この構成により、荷物の特性に柔軟に対応した方向転換装置を構成できる。
【0044】
本発明の第7の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記Xローラーおよび前記Yローラーの少なくとも一方は、表面粗さを有する。
【0045】
この構成により、摩擦を十分に付与できる。
【0046】
本発明の第8の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記Xローラーおよび前記Yローラーの少なくとも一方は、弾性力を有する。
【0047】
この構成により、荷物の特性に対応して荷物に接触をすることができる。
【0048】
本発明の第9の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記複数のXローラー同士の間隔および前記複数のYローラー同士の間隔は、前記荷物の短手方向の幅の半分未満である。
【0049】
この構成により、荷物の落下が生じない。
【0050】
本発明の第10の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第1の発明に加えて、前記X軸搬送期間と前記Y軸搬送期間とは、前記X軸搬送期間の終了前に、その一部が重複する。
【0051】
この構成により、方向転換に要する時間を短縮できる。
【0052】
本発明の第11の発明における搬送装置に用いられる方向転換装置では、第10の発明に加えて、前記重複により、前記方向転換平面における前記荷物の移動曲線が、カーブを有する。
【0053】
この構成により、方向転換を適切に行いながら、所要時間を短縮できる。
【0054】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
(実施の形態1)
【0056】
(発明者による分析)
発明者は従来技術である特許文献1の問題点について次のように解析した。
【0057】
図1は、特許文献1の技術で使用されるホイールの正面図である。
図2は、特許文献1の技術で使用される搬送装置の側面図である。特許文献1の技術は、ホイール500,501を必要とする。このホイール500,501は、外周にクラウニング加工を施したローラーを配したものである。また、ホイール500,501のように直径の異なる2種類のホイールを必要とする。クラウニングローラーは専用製作品であり、コストが大きくなる問題がある。また、高い精度が必要であることで、装置全体の製作の難しさやコスト増の問題にも繋がる。
【0058】
また、ホイール500は、
図2のようにシャフト505に取り付けられている。このシャフト505が荷重でたわんだり、製作時点で湾曲したりしていると、
図2に示すように荷物510の搬送時に、荷物510の底面へのホイール500の接触が不十分、不均一となる。
図2では、この状態を示している。このようになると安定した搬送ができなくなる。
【0059】
このような問題を生じさせないためには、シャフトの強度増強や大型化などが必要となる。これは、コスト増や装置の大型化につながる。また、装置全体の製作の難しさにもつながる。特許文献1では、板ガラス搬送を想定しているが、それでも、このような問題は生じうる。更には、より重い荷物の搬送を行う場合には、この問題はより大きくなる。
【0060】
このように、従来技術である特許文献1の技術には問題がある。
【0061】
(全体概要)
搬送装置に用いられる方向転換装置(以下、適宜「方向転換装置」と略す)の全体概要について、説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における方向転換装置の平面図である。方向転換装置1とその周囲の一部を上方から見た状態を示している。なお、図の見やすさのために、適宜簡略して記載している。方向転換装置1は、搬送装置に用いられる。搬送装置は、荷物200を搬送する装置であり、コンベヤ機構などを備えることで荷物を搬送できる。
【0062】
この搬送装置は、X軸方向に荷物を搬送するX搬送路20と、Y軸方向に荷物を搬送するY軸搬送路30を備える。もちろん、他の方向の搬送路や必要となる他の要素を備えていてもよい。方向転換装置1は、このX軸搬送路20とY軸搬送路30との交差位置に備わる。この交差位置において、方向転換装置1が形成する平面が、方向転換平面2である。
【0063】
方向転換装置1は、交差位置に生じる空間に備わり、その交差位置での平面に備わる。言い換えれば、方向転換装置1が、方向転換平面2を形成する。この方向転換平面2において、方向転換装置1により、荷物の搬送方向が転換される。
【0064】
方向転換装置1は、Xチェーンコンベヤ3、Xローラー31、Yチェーンコンベヤ4、Yローラー41,X回動制御部5,Y回動制御部6を、備える。
【0065】
Xチェーンコンベヤ3は、X軸方向に回動する。チェーンコンベヤであるので、チェーン上の部材が荷物の底面に接触して、これが回動することで荷物を搬送する。Xチェーンコンベヤ3は、駆動による自らの回動により、荷物200を移動させる。
図3に示すX軸方向に回動することで、X搬送路20から方向転換平面2に入った荷物をX軸方向に搬送できる。
図3の中に記載の回動方向は、Xチェーンコンベヤ3の回動方向である。
【0066】
Xローラー31は、Xチェーンコンベヤ3に備わり、X軸方向と略直交方向に自由回転可能なローラーである。X軸方向とY軸方向とが略直交である場合には、Xローラー31は、Y軸方向に自由回転する。自由回転であるので、荷物200の底面が接触して荷物200がXローラー31の回転方向に移動する場合には、この荷物200の移動圧力に応じてXローラー31が回転する。荷物200の移動方向がXローラー31の回転方向でなければ、Xローラー31は回転しない。荷物200の移動による力が加わる場合に自由回転するのが、Xローラー31である。
【0067】
このため、荷物200がY軸方向に移動するときに、Xローラー31は回転する。
【0068】
Yチェーンコンベヤ4は、Y軸方向に回動する。チェーンコンベヤであるので、チェーン上の部材が荷物200の底面に接触して、この部材が回動することで荷物を搬送する。Yチェーンコンベヤ4は、駆動による自らの回動により、荷物200を移動させる。
図3に示すY軸方向に回動することで、方向転換平面2にある荷物200を、Y軸方向に搬送できる。X軸方向への搬送が終わった荷物200に対して、Yチェーンコンベヤ4がY軸方向に移動圧力を付与して、Y軸方向へ搬送させる。
【0069】
Yローラー41は、Yチェーンコンベヤ4に備わり、Y軸方向と略直交方向に自由回転可能なローラーである。X軸方向とY軸方向とが略直交である場合には、Yローラー41は、X軸方向に自由回転する。自由回転であるので、荷物200の底面が接触して荷物200がYローラー41の回転方向に移動する場合には、この荷物200の移動圧力に応じてYローラー41が回転する。荷物200の移動方向がYローラー41の回転方向でなければ、Yローラー41は回転しない。荷物200の移動による力が加わる場合に自由回転するのが、Yローラー41である。
【0070】
このため、荷物200がX軸方向に移動するときに、Yローラー41は回転する。
【0071】
X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3の回動を制御する。X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3を回動させる場合には回動させ、回動の必要がない場合には回動を止める。X搬送路20から方向転換平面2に入った場合には、X回動制御部5がXチェーンコンベヤ3を回動させる。
【0072】
このとき、方向転換平面2において、X軸方向の搬送からY軸方向の搬送へ切り替えるまでにおいて、X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3を回動させる。Y軸方向への搬送へ切り替えるところで、X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3の回動を止める。
【0073】
すなわち、荷物200がX搬送路20から方向転換平面2に入って、X軸方向に搬送される期間(Y軸方向に搬送方向が変わるまでの期間)である「X軸搬送期間」において、X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3を回動させて、荷物200をX軸方向に搬送する。
【0074】
Y回動制御部6は、Yチェーンコンベヤ4の回動を制御する。Y回動制御部6は、Yチェーンコンベヤ4を回動させる必要のある場合には回動させ、回動の必要がない場合には回動を止める。方向転換平面2において、X軸方向の搬送からY軸方向への搬送に切り替わった後の期間である「Y軸搬送期間」において、Y回動制御部6は、Yチェーンコンベヤ4を回動させる。
【0075】
荷物200が、方向転換平面2かY搬送路30に到達するところで、Y軸搬送期間は終了する。Y搬送路30に到達すると、Y搬送路30が荷物200をそのまま搬送する。これにより、Y回動制御部6は、Yチェーンコンベヤ4の回動を止める。
【0076】
(方向転換動作)
方向転換平面2において、Xローラー31およびYローラー41とは、荷物200の底面と接触する。特に、方向転換の搬送時に同時に接触できる。Xローラー31とYローラー41とは、略同一平面に存在する。これにより、同時接触が可能である。
【0077】
X搬送期間においては、X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3を回動させて、X搬送路20から方向転換平面2に入った荷物200を、X軸方向に搬送する。このとき、荷物200の移動方向はXローラー31の回転方向と異なるので、Xローラー31は、回転しない。ただし、X軸搬送期間において、荷物200の底面はXローラー31に接触している。このため、回転しないXローラー31は、荷物200の底面に摩擦を付与する。
【0078】
この摩擦付与によって、Xチェーンコンベヤ3の回動での荷物200のX軸方向への搬送能力が高まる。
【0079】
一方で、Yローラー41は、荷物200の搬送方向であるX軸方向に自由回転する。荷物200の底面はYローラー41に接触している。Yローラー41はX軸方向に自由回転するので、X軸搬送期間においては、荷物200の移動に伴ってYローラー41が回転する。この回転により、荷物200のX軸方向への搬送が補助される。
【0080】
このように、X軸搬送期間では、Xチェーンコンベヤ3の回動で荷物200はX軸方向に搬送され、Xローラー31による摩擦付与とYローラー41による回転補助とが合わさって、荷物200がX軸方向に搬送される。
【0081】
Y軸搬送期間においては、Y回動制御部6は、Yチェーンコンベヤ4を回動させる。このとき、X回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3の回動を停止させている。Yチェーンコンベヤ4の回動により、荷物200をY軸方向に搬送する。これにより、方向転換平面2における荷物200は、Y軸方向の搬送へ方向転換される。
【0082】
方向転換平面2において、Xチェーンコンベヤ3による搬送からYチェーンコンベヤ4による搬送に切り替わることで、荷物200のX軸方向からY軸方向への搬送方向の転換ができる。
【0083】
Y軸搬送期間においては、荷物200の移動方向はYローラー41の回転方向と異なるので、Yローラー41は回転しない。ただ、Y軸搬送期間において、荷物200の底面はYローラー41に接触している。このため、回転しないYローラー41は、荷物200の底面に摩擦を付与する。
【0084】
この摩擦付与によって、Yチェーンコンベヤ4の回動での荷物200のY軸方向への搬送能力が高まる。
【0085】
一方で、Xローラー31は、、荷物200の搬送方向であるY軸方向に自由回転する。荷物200の底面はXローラー31に接触している。Xローラー31はY軸方向に自由回転するので、Y軸搬送期間においては、荷物200の移動に伴ってXローラー31が回転する。この回転により、荷物200のY軸方向への搬送が補助される。
【0086】
このように、Y軸搬送期間では、Yチェーンコンベヤ4の回動で荷物200はY軸方向に搬送され、Yローラー41による摩擦付与とXローラー31による回転補助とが合わさって、荷物200がY軸方向に搬送される。
【0087】
このように、Xチェーンコンベヤ3とYチェーンコンベヤ4のそれぞれの回動により、荷物200は、X軸方向の移動からY軸方向への移動に切り替わり、搬送方向が転換される。
【0088】
Xローラー31はXチェーンコンベヤ3の表面を構成して、Xチェーンコンベヤ3と荷物200との接触部分となる。Xチェーンコンベヤ3そのものは回動し、この回動に伴って、Xローラー31も回動方向に沿って移動する。すなわち、Xチェーンコンベヤ3の回動によって、Xローラー31は荷物200に摩擦を付与して荷物200を移動させる。このとき、Yチェーンコンベヤ4のYローラー41は自由回転で荷物200の移動を補助する。他方、Yローラー41とYチェーンコンベヤ4についても、同様である。
【0089】
特許文献1では、ホイールの回転方向と荷物の移動方向がそろっている。このため、移動させるホイールと荷物とは、点接触に過ぎない。このため、たわみなどの問題が生じる。
【0090】
本発明では、移動方向に回転しないローラーが荷物と接触するので、線接触(面接触)である。これにより、回動しているチェーンコンベヤのたわみなども生じにくいし、荷物の移動力も高まる。
【0091】
以上のように、方向転換平面2において、荷物200の搬送方向が転換できる。このとき、従来技術のような昇降機を必要とせず、全体の小型化やリードタイムの削減ができる。また、特許文献1のようなシャフトとホイールの組み合わせを必要としないので、たわみなどによる問題もない。
【0092】
荷物200に接触して回動して移動させるチェーンコンベヤで移動させつつ方向転換するので、たわみなども生じないし、部材コストや製作コストも低減できる。また、チェーンコンベヤを構成するローラーは、回転補助と摩擦とを付与できるので、同一平面にあっても方向転換を妨げず、むしろ動作時間の短縮に寄与できる。
【0093】
(各部の詳細)
【0094】
次に各部の詳細などについて説明する。
【0095】
(X軸方向とY軸方向)
方向転換装置1であるので、X軸とY軸とは、交差している。このとき、X軸方向とY軸方向とが略直交していることも好適である。略直交していることで、略直交方向への方向転換が可能となる。
【0096】
搬送装置においては、荷物200の搬送目的に応じて、略直交する搬送方向を組み合わされることがある。このような構成の中においては、X軸方向とY軸方向が略直交した方向転換装置1は、有用である。
【0097】
もちろん、略直交以外の角度での交差であってもよい。このとき、交差角度に応じて、Xローラー31とYローラー41の取り付け角度を調整することが必要である。
【0098】
(チェーンコンベヤ)
図4は、本発明の実施の形態1におけるチェーンコンベヤ周辺の拡大図である。
【0099】
Xチェーンコンベヤ3、Yチェーンコンベヤ4は、回動可能である。その表面にXローラー31,Yローラー41を取り付けている。Xローラー31およびYローラー41は、荷物200の底面に接触する。
図4では、荷物200の底面に接触している状態が示されている。
【0100】
Xチェーンコンベヤ3は、X軸方向に回動する。この回動に伴って、取り付けられているXローラー31はXチェーンコンベヤ3と共に移動していく。この移動に伴って、荷物200の底面に摩擦を付与しつつ、荷物200を回動方向であるX軸方向に移動させる。
【0101】
このように、Xチェーンコンベヤ3はXローラー31を取り付けた構成で、回動する。この回動において、Xローラー31が荷物200に摩擦を付与しながら荷物200をX軸方向に搬送できる。
【0102】
一方、既述したように、このXローラー31は、Y軸方向への搬送の際にY軸方向に回転できる。これにより、Xローラー31は、Y軸方向での搬送を補助できる。勿論、搬送を阻害しない。
【0103】
Yチェーンコンベヤ4は、Y軸方向に回動する。この回動に伴って、取り付けられているYローラー41はYチェーンコンベヤ4と共に移動していく。この移動に伴って、荷物200の底面に摩擦を付与しつつ、荷物200を回動方向であるY軸方向に移動させる。
【0104】
このように、Yチェーンコンベヤ4はYローラー41を取り付けた構成で、回動する。この回動において、Yローラー41が荷物200に摩擦を付与しながら荷物200をY軸方向に搬送できる。
【0105】
一方、既述したように、このYローラー41は、X軸方向への搬送の際に、X軸方向に回転できるる。これによりYローラー41は、X軸方向での搬送を補助できる。勿論、搬送を阻害しない。
【0106】
図5は、本発明の実施の形態1におけるXチェーンコンベヤとYチェーンコンベヤの拡大図である。
図5に示されるように、Xチェーンコンベヤ3とYチェーンコンベヤ4とが交差して備わっている。Xチェーンコンベヤ3は、回動によって、荷物200をX軸方向に搬送する。このとき、Xローラー31の回転方向はY軸方向なので回転せずに、荷物200の底面に摩擦を付与する。Yローラー41は、X軸方向に回転して、荷物200のX軸方向の搬送を補助する。
【0107】
Yチェーンコンベヤ4は、回動により、荷物200をY軸方向に搬送する。このとき、Yローラー41の回転方向はX軸方向なので回転せずに、荷物200の底面に摩擦を付与する。Xローラー31は、Y軸方向に回転して、荷物200のY軸方向への搬送を補助する。
【0108】
ここで、Xチェーンコンベヤ3に取り付けられるXローラー31の個数は、荷物200の大きさ、形状および重量の少なくとも一つに基づいて可変であることも好ましい。Xローラー31が荷物200の底面に摩擦を付与する、あるいは回転を付与するので、搬送能力などの観点から、その個数を荷物200の状況で可変にできるのが好ましい。
【0109】
Yチェーンコンベヤ4に取り付けられるYローラー41についても同様である。
【0110】
Xローラー31およびYローラー41の少なくとも一方は、表面粗さを有することも好適である。上述した通り、Xローラー31は、X軸方向への搬送の際に、荷物200の底面に摩擦を付与する。このため、表面粗さを有すると、摩擦付与の能力や効率が高まる。
【0111】
同様に、Yローラー41は、Y軸方向への搬送の際に、荷物200の表面に摩擦を付与する。このため、表面粗さを有すると、摩擦付与の能力や効率が高まる。
【0112】
表面粗さは、表面処理により実現してもよいし、摩擦力を上げる塗料などを塗布することで実現してもよい。また、搬送装置が搬送する荷物200の種類や重量などに応じて、表面粗さの度合いを決めることも好適である。
【0113】
Xローラー31とYローラー41の少なくとも一方は、弾性力を有することも好適である。例えば、素材がゴムや軟性樹脂のような弾性力を有するものでXローラー31やYローラー41が構成されればよい。
【0114】
弾性力を有することで、荷物200の形状や重量に対応して(重量が大きく、ローラーに接触する部分の荷物の変形などに対応して)、自由回転による搬送補助を、より効率的に行える。あるいは、回転方向でない摩擦付与においても、荷物200の形状や重量に対応して(重量が大きく、ローラーに接触する部分の荷物の変形などに対応して)、十分に付与できる。
【0115】
また、Xローラー31とYローラー41の荷物200との接触面は略同一平面に存在する。しかし、製作上のばらつきで、複数のXローラー31やYローラー41の中で径にわずかな相違がある場合もある。あるいは、Xチェーンコンベヤ3とYチェーンコンベヤ4との位置関係において、製作上の不均一が生じることもあり得る。
【0116】
このような場合でも、Xローラー31とYローラー41が弾性力を有していれば、このようなずれや相違を吸収できる。
【0117】
以上のように実施の形態1における方向転換装置は、従来技術のような昇降機を必要とせず、コスト高や複雑化などの問題も解決できる。また、同一平面での方向転換ができる。更に、特許文献1のようなたわみによる弊害やこれに伴う製作上の困難性やコスト高などを解決できる。
【0118】
(実施の形態2)
【0119】
次に、実施の形態2について説明する。
【0120】
(取り付け具)
Xローラー31をXチェーンコンベヤ3に取り付け、Yローラー41をYチェーンコンベヤ4に取り付ける取り付け具を更に備える。
図6は、取り付け具によりチェーンコンベヤにローラーが取り付けられた状態を示す模式図である。取り付け状態を、下方、側面、正面から見たそれぞれを示している。
【0121】
Xチェーンコンベヤ3には取り付け具8が取り付けられる。同様に、Yチェーンコンベヤ4には取り付け具8が取り付けられる。取り付け具8は、チェーンコンベヤに装着されており、Xローラー31,Yローラー41を取り付け可能な構造を有している。例えば、取り付け具8はねじ孔を有しており、Xローラー31,Yローラー41をねじで取り付けることができる。
【0122】
図6では、取り付け具8により、Xローラー31がXチェーンコンベヤ3に取り付けられ、Yローラー41がYチェーンコンベヤ4に取り付けられている、
【0123】
取り付けにおいては、
図7のように取り付け具8とのねじ止めを介して、チェーンコンベヤにローラーが取り付けられる。
図7は、本発明の実施の形態2におけるローラーをチェーンコンベヤに取り付ける状態を示す説明図である。
【0124】
取り付け具8によって取り付けられることで、チェーンコンベヤにローラーを容易に取り付けることができる。必要な個数を必要な場所に、ローラーを取り付けることができる。また、必要に応じて、容易に取り外すこともできる。 これらの結果、状況や目的に応じた、柔軟性のある方向転換装置1を構成することができる。また、ローラーの損傷などの不具合が生じた場合でも、交換などが容易である。
【0125】
(ローラーの間隔)
Xチェーンコンベヤ3は、複数のXローラー31を装着する。Yチェーンコンベヤ4は、複数のYローラー41を装着する。ここで、複数のローラーは、
図6,
図7のように、略等間隔で取り付けられてもよい。また、不均等な間隔で取り付けられてもよい。
【0126】
ここで、複数のXローラー31同士の間隔および複数のYローラー41同士の間隔は、荷物200の短手方向の幅の半分未満であることも好適である。荷物200の底面は、Xローラー31およびYローラー41の上面に接触して、搬送される。すなわち、方向転換平面においては、荷物200は、Xローラー31およびYローラー41に支持された状態である。
【0127】
このため、荷物の短手方向の幅の半分未満の間隔であれば、荷物200のローラーへの乗り方や搬送時の姿勢の違いに関わらず、荷物200がローラー同士の間から落下することが防止される。
【0128】
(搬送期間の重複により搬送時間の短縮)
実施の形態1では、荷物200は、方向転換装置1において、まずX軸方向に搬送されてからY軸方向に搬送される。
図8,
図9は、この状態を示している。
図8は、方向転換装置によるX軸方向への搬送を示す模式図である。
図9は、方向転換装置によるY軸方向への搬送を示す模式図である。
【0129】
方向転換装置1は、まずX搬送路20から方向転換平面2に入った荷物200を、方向転換平面2において所定位置までX軸方向に搬送する。所定位置とは、Y軸方向への搬送に切り替える位置である。
【0130】
所定位置まで来ると、X軸方向への搬送が終了する。具体的にはX回動制御部5は、Xチェーンコンベヤ3の回動を終了させる。
【0131】
この後に、Y回動制御部6はYチェーンコンベヤ4を回動させて、荷物200をY軸方向に搬送する。最終的に、荷物200は、Y搬送路30に到達する。その後は、Y搬送路30により搬送される。
【0132】
すなわち、X軸方向への必要な量の搬送、これに続いてY軸方向への必要量の搬送が切り替わることで、方向転換装置1は、荷物200の搬送方向の方向転換を行う。つまり、X搬送期間とY搬送期間とが、分かれている処理である。
【0133】
これに対して、X搬送期間とY搬送期間とは、X搬送期間の終了前にその一部が重複することもよい。
【0134】
図10は、本発明の実施の形態2における搬送期間の重複の概念を示す概念図である。X帆走期間とY搬送期間とこの2つが重複する期間とを概念として理解しやすいように示している。
【0135】
X搬送期間においては、X回動制御部5がXチェーンコンベヤ3を回動させて、荷物200はX軸方向に移動する。所定位置まで荷物200が到達する前に、Y回動制御部6がYチェーンコンベヤ4を回動させ始める。このとき、X回動制御部5もXチェーンコンベヤ3の回動を行っている。すなわち、Xチェーンコンベヤ3とYチェーンコンベヤ4との両方が回動している重複期間が生じる(X搬送期間とY搬送期間との重複期間)。
【0136】
この重複期間においては、荷物200は、X軸方向とY軸方向のそれぞれに交差する方向に搬送される。すなわち、荷物200の移動曲線がカーブを有するようになる。
【0137】
その後、Xチェーンコンベヤ3は回動を停止して、Yチェーンコンベヤ4のみが回動を続ける。これにより、Y軸方向に荷物200が移動して、Y搬送路30に到達する。この後は、Yチェーンコンベヤ4も回動を停止する。Y搬送路30の搬送機構によって、荷物200がY搬送路30で搬送される。
【0138】
このようにX搬送期間とY搬送期間が重複することで、方向転換装置1での方向転換による搬送時間を短縮することができる。
【0139】
なお、実施の形態1~2で説明された搬送装置に用いられる方向転換装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0140】
1 方向転換装置
2 方向転換平面
3 Xチェーンコンベヤ
31 Xローラー
4 Yチェーンコンベヤ
41 Yローラー
5 X回動制御部
6 Y回動制御部
8 取り付け具
20 X搬送路
30 Y搬送路
200 荷物