(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071793
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】光学装置及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240520BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G01N21/84 E
G03F7/20 505
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182206
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】権平 皓
【テーマコード(参考)】
2G051
2H197
【Fターム(参考)】
2G051BC01
2G051BC10
2H197BA02
2H197BA09
2H197CA07
2H197CA12
2H197DB06
2H197DB16
2H197DB19
2H197DC03
2H197DC11
(57)【要約】
【課題】熱的安定性を向上させることができる光学装置及び検査装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る光学装置1は、光学部材30を有し、光が入射する筐体10と、筐体10へ入射した入射光Lのパワーが変化する場合に、変化した後のパワーを所定時間で積分したエネルギーが、変化する前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、変化した後の入射光Lを制御する制御部20と、を備える。入射光Lのパワーが変化する場合は、入射光Lの入射の停止及び再開を含んでもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材を有し、光が入射する筐体と、
前記筐体へ入射した入射光のパワーが変化する場合に、変化した後の前記パワーを所定時間で積分したエネルギーが、変化する前の前記パワーを前記所定時間で積分した前記エネルギーと同じになるように、変化した後の前記入射光を制御する制御部と、
を備えた光学装置。
【請求項2】
前記入射光の前記パワーが変化する場合は、前記入射光の入射の停止及び再開を含み、
変化する前の前記入射光は、前記所定時間に一定値の前記パワーを有し、
前記制御部は、前記停止及び前記再開を含む前記入射光の前記パワーを前記所定時間で積分した前記エネルギーが、前記一定値を前記所定時間で積分した前記エネルギーと同じになるように、変化した後の前記入射光を制御する、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記入射光の前記再開の直後に、前記入射光の前記停止を行った停止時間と同じ時間だけ、前記入射光の前記パワーに前記一定値を付加する、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記入射光の前記再開の後であって、前記停止から前記所定時間内に、前記入射光の前記停止を行った停止時間を一定数で割った時間だけ、前記入射光の前記パワーに前記一定値の前記一定数倍の前記パワーを付加する、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記入射光を生成する光源と、
前記光源と異なり、前記入射光の前記パワーに付加する付加光を生成する付加光源をさらに備えた、
請求項3または4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記入射光は、複数のパルスが繰り返し入射されるパルス列を含むパルス光であり、
前記制御部は、前記再開の直後に、前記再開の直前の前記パワーが前記一定値から低下した分の前記パワーを付加する、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記再開の直後に、前記パルス列の強度を大きくすることによって、前記一定値から低下した分の前記パワーを付加する、
請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記再開の直後に、前記パルス列の繰り返し周波数を大きくすることによって、前記一定値から低下した分の前記パワーを付加する、
請求項6に記載の光学装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記停止及び前記再開を含む前記所定時間を制御する、
請求項6に記載の光学装置。
【請求項10】
変化する前の前記パワーに対応させて、変化した後の前記入射光の前記パワーを含むパラメータを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記パラメータに基づいて、変化した後の前記入射光を制御する、
請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項11】
前記筐体の内部の温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサが検出した温度に基づいて、変化した後の前記入射光を制御する、
請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項12】
請求項1~4、6~9のいずれか1項に記載の前記光学装置を備え、
前記入射光で検査対象を検査する検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パルス発振動作を行うことによって、パルス光を照射する光学装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パルス発振動作のレーザ光等の光源を用いる光学装置において、一時的に発光を停止させ、再発光させる動作を繰り返す場合がある。例えば、CCDを用いた露光装置では、露光後のCCDの転送時に同期させて、露光光を停止させている。このように、発光と、停止等の非発光とを繰り返している場合には、発光時と非発光時とにおける駆動電流及び光の有無により、光路を含む光学装置の各部に温度変化が生じてしまう。発光時と非発光時との時間比率が一定であれば、準定常状態となり、温度を安定化させることはできる。しかしながら、発光時と非発光時との時間比率が変われば安定する温度が変わり、光学装置の熱的安定性を保つことが困難となる。
【0005】
本開示の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、熱的安定性を向上させることができる光学装置及び検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光学装置は、光学部材を有し、光が入射する筐体と、前記筐体へ入射した入射光のパワーが変化する場合に、変化した後の前記パワーを所定時間で積分したエネルギーが、変化する前の前記パワーを前記所定時間で積分した前記エネルギーと同じになるように、変化した後の前記入射光を制御する制御部と、を備える。
【0007】
上記光学装置では、前記入射光の前記パワーが変化する場合は、前記入射光の入射の停止及び再開を含み、変化する前の前記入射光は、前記所定時間に一定値の前記パワーを有し、前記制御部は、前記停止及び前記再開を含む前記入射光の前記パワーを前記所定時間で積分した前記エネルギーが、前記一定値を前記所定時間で積分した前記エネルギーと同じになるように、変化した後の前記入射光を制御してもよい。
【0008】
上記光学装置では、前記制御部は、前記入射光の前記再開の直後に、前記入射光の前記停止を行った停止時間と同じ時間だけ、前記入射光の前記パワーに前記一定値を付加してもよい。
【0009】
上記光学装置では、前記制御部は、前記入射光の前記再開の後であって、前記停止から前記所定時間内に、前記入射光の前記停止を行った停止時間を一定数で割った時間だけ、前記入射光の前記パワーに前記一定値の前記一定数倍の前記パワーを付加してもよい。
【0010】
上記光学装置では、前記入射光を生成する光源と、前記光源と異なり、前記入射光の前記パワーに付加する付加光を生成する付加光源をさらに備えてもよい。
【0011】
上記光学装置では、前記入射光は、複数のパルスが繰り返し入射されるパルス列を含むパルス光であり、前記制御部は、前記再開の直後に、前記再開の直前の前記パワーが前記一定値から低下した分の前記パワーを付加してもよい。
【0012】
上記光学装置では、前記制御部は、前記再開の直後に、前記パルス列の強度を大きくすることによって、前記一定値から低下した分の前記パワーを付加してもよい。
【0013】
上記光学装置では、前記制御部は、前記再開の直後に、前記パルス列の繰り返し周波数を大きくすることによって、前記一定値から低下した分の前記パワーを付加してもよい。
【0014】
上記光学装置では、前記制御部は、前記停止及び前記再開を含む前記所定時間を制御してもよい。
【0015】
上記光学装置では、変化する前の前記パワーに対応させて、変化した後の前記入射光の前記パワーを含むパラメータを記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記パラメータに基づいて、変化した後の前記入射光を制御してもよい。
【0016】
上記光学装置では、前記筐体の内部の温度を検出する温度センサをさらに備え、前記制御部は、前記温度センサが検出した温度に基づいて、変化した後の前記入射光を制御してもよい。
【0017】
本開示に係る検査装置は、上記記載の前記光学装置を備え、前記入射光で検査対象を検査する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱的安定性を向上させることができる光学装置及び検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態1に係る光学装置を例示した構成図である。
【
図2】実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行わない場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体に入射する入射光のパワーを示し、右側の縦軸は、筐体の内部の温度を示す。
【
図3】実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行わない場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、
図2のt=5000前後を拡大し、入射光に含まれるパルス列を付加した図である。
【
図4】実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体に入射する入射光のパワーを示し、右側の縦軸は、筐体の内部の温度を示す。
【
図5】実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、
図4のt=5000前後を拡大し、入射光に含まれるパルス列を付加した図である。
【
図6】実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、
図4のt=5000前後を拡大し、入射光に含まれるパルス列を付加した図である。
【
図7】実施形態1の変形例に係る光学装置を例示した構成図である。
【
図8】実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光Lの制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフである。
【
図9】実施形態2に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行わない場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体に入射する入射光のパワーを示し、右側の縦軸は、筐体の内部の温度を示す。
【
図10】実施形態2に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体に入射する入射光のパワーを示し、右側の縦軸は、筐体の内部の温度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施の形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1に係る光学装置を説明する。
図1は、実施形態1に係る光学装置を例示した構成図である。
図1に示すように、光学装置1は、筐体10及び制御部20を備える。光学装置1は、さらに、光源40、記憶部50、温度センサ60を備えてもよい。なお、光源40及び記憶部50は、光学装置1と分離して設けられてもよいし、温度センサ60は、光学装置1に設けられなくてもよい。光学装置1は、例えば、検査対象を検査する検査装置である。なお、光学装置1は、筐体10及び制御部20を有していれば、検査装置に限らず、測定対象を測定する測定装置、撮像対象を撮像する撮像装置、露光対象を露光する露光装置、加工対象を加工する加工装置等でもよい。
【0022】
筐体10は、内部に光学部材30を有している。光学部材30は、例えば、ミラー、ミラー保持部材、レンズ、レンズ保持部材、ステージ等であるが、これらに限らない。筐体10は、光源40から光Lが入射する空間である。筐体10の内部は、所定のガスを含む空間でもよいし、真空等の低圧の空間でもよい。筐体10は、温度を測定する温度センサ60を有してもよい。温度センサ60は、筐体10の内部の光路及び光学部材30の少なくともいずれかの温度を測定する。温度センサ60が測定した筐体10の光路及び光学部材30の少なくともいずれかの温度を筐体10の内部の温度と呼ぶ。
【0023】
制御部20は、光源40から筐体10へ入射する入射光Lを制御する。制御部20は、例えば、入射光Lのパワーを制御する。入射光Lが複数のパルスを含むパルス光の場合には、制御部20は、パルス光の繰り返し周波数を制御してもよい。制御部20は、光源40の発光及び発振等を直接制御することにより、入射光Lを制御してもよいし、光源40から出射した光のパワー及び繰り返し周波数を調整する調整装置を制御することにより、入射光Lを制御してもよい。
【0024】
図2は、実施形態1に係る光学装置1において、制御部20が入射光Lの制御を行わない場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体10に入射する入射光Lのパワーを示し、右側の縦軸は、筐体10の内部の温度を示す。時間(tと呼ぶ場合がある。)、パワー(Pと呼ぶ場合がある。)及び温度(Tと呼ぶ場合がある。)は、特定の各値で規格化したものである。
【0025】
図2に示すように、例えば、t=5000までは、筐体10へパワーP=1.0の一定値の入射光Lが入射されている。なお、一定値とは、厳密に一定な値だけでなく、不可避な測定誤差を含む範囲で一定の値を含む。
【0026】
t=5000において、入射光Lのパワーが変化している。具体的には、t=5000において、入射光LのパワーがP=1.0からP=0.0に変化する。そして、t=5000から、入射光Lの停止及び再開が繰り返される。これにより、入射光Lのパワーは、P=0.0とP=1.0とを繰り返す。
【0027】
例えば、t=5000~5250の250間隔は、発光が停止され、入射光Lの入射が停止されている。t=5250~6750の1500間隔は、入射光Lの入射が再開され、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている。
【0028】
t=6750~7000の250間隔は、発光が停止され、入射光Lの入射が停止されている。t=7000~8500の1500間隔は、入射光Lの入射が再開され、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている。t=8500~8750の250間隔は、発光が停止され、入射光Lの入射が停止されている。
【0029】
入射光Lの入射が停止される度に、筐体10の内部の温度は、下がっている。例えば、入射光Lのパワーの変化前の筐体10の内部の温度を1.0とする。具体的には、入射光Lが入射されている時の筐体10の内部の温度を1.0とする。入射光Lのパワーの変化後では、筐体10の内部の温度は、徐々に低下している。
【0030】
例えば、t=5000~5250の250間隔に、筐体10の内部の温度は、T=1.0から0.01下がる。t=6750~7000の250間隔に、筐体10の内部の温度は、T=0.99から0.01下がる。t=8500~8750の250間隔に、筐体10の内部の温度は、T=0.98から0.01下がる。つまり、入射光Lの入射が停止する度に、0.01ずつ低下している。
【0031】
図3は、実施形態1に係る光学装置において、制御部20が入射光Lの制御を行わない場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、
図2のt=5000前後を拡大し、入射光Lに含まれるパルス列を付加した図である。
図3に示すように、入射光Lは、例えば、複数のパルスが繰り返し入射されるパルス列を含むパルス光である。入射光Lのパワーが変化する場合は、パルス列を含む入射光Lの入射の停止及び再開を含んでいる。t=5000~5250の250間隔は、パルス列の入射が停止されている。t=5250からは、パルス列の入射が再開されている。t=5000~5250の250間隔に、筐体10の内部の温度は、T=1.0から0.01下がる。このように、制御部20が入射光Lの制御を行わない場合には、入射光Lの入射の停止時間の割合に応じて入熱量が下がってしまう。ここで、入射光Lの制御は、入射光Lのパワー及び繰り返し周波数等のパラメータの補正を含む。具体的には、入射光Lの制御は、入射光Lに含まれるパルス列の強度及び繰り返し周波数等のパラメータを含む。制御部20が入射光Lの制御を行わない場合には、入射光Lのパワーの変化後において、パワーの変化を含めた入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーは、入射光Lのパワーの変化前において、入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーと異なるようになる。なお、変化前の所定時間と、変化後の所定時間は、同じ時間の長さである。同じ時間の長さは、厳密に同じ時間の長さだけでなく、不可避な測定誤差を含めた範囲で同じ時間の長さを意味する。
【0032】
例えば、入射光Lのパワーの変化後の変化を含めた入射光Lのパワーをt=5000~6750の1750間隔で積分したエネルギーは、入射光Lのパワーの変化前に入射した入射光Lのパワーをt=3250~5000の1750間隔で積分したエネルギーと異なっている。
【0033】
したがって、入射光Lのパワーの変化の前後で、筐体10の内部の温度に変化が生じる。すなわち、発光時と非発光時に駆動電流及び光の有無により、光路を含む各部に温度変化が生じてしまう。発光時と非発光時の時間比率が一定であれば、準定常状態となり温度は安定できる。しかしながら、発光時と非発光時の時間比率が変われば、安定する温度が変わり、光学装置1の熱的安定を保つことができない。
【0034】
図4は、実施形態1に係る光学装置1において、制御部20が入射光Lの制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体10に入射する入射光Lのパワーを示し、右側の縦軸は、筐体10の内部の温度を示す。
【0035】
図3に示すように、例えば、t=4750までは、筐体10へパワーP=1.0の一定値の入射光Lが入射されている。t=4750において、入射光Lのパワーが変化している。具体的には、t=4750において、入射光LのパワーがP=1.0からP=0.0に変化する。そして、t=4750から、入射光Lの停止及び再開が繰り返される。
【0036】
例えば、t=4750~5000の250間隔は、発光が停止され、入射光Lの入射が停止されている。t=5000~5250の250間隔は、入射光Lの入射が再開され、発光の停止分を補うように、パワーP=2.0の入射光Lが入射されている。t=5250~6500の1250間隔は、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている。
【0037】
t=6500~6750の250間隔は、発光が停止され、入射光Lの入射が停止されている。t=6750~7000の250間隔は、入射光Lの入射が再開され、発光の停止分を補うように、パワーP=2.0の入射光Lが入射されている。t=7000~8250の1250間隔は、入射光Lの入射が再開され、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている。
【0038】
t=8250~8500の250間隔は、発光が停止され、入射光Lの入射が停止されている。t=8500~8750の250間隔は、入射光Lの入射が再開され、発光の停止分を補うように、パワーP=2.0の入射光Lが入射されている。t=8750~10000の1250間隔は、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている。
【0039】
入射光Lが停止される度に、筐体10の内部の温度は低下する。しかしながら、入射光Lの入射が再開され、発光の停止分を補うように、パワーP=2.0の入射光Lが入射される度に筐体10の内部の温度は元に戻っている。
【0040】
例えば、入射光Lのパワーの変化前の筐体10の内部の温度を1.0とする。具体的には、連続光が入射されている時の筐体10の内部の温度を1.0とする。t=4750~5000の250間隔における入射光Lの停止によって、温度は、0.1下がる。しかしながら、入射の再開直後のt=5000~5250の250間隔におけるパワーP=2.0の入射光Lの入射によって、温度は、0.1上がる。これにより、筐体10の内部の温度は、元の温度T=1.0に戻る。そして、t=5250~6500の1250間隔におけるパワーP=1.0の入射光Lの入射によって、筐体10の内部の温度は、T=1.0を維持するようになる。
【0041】
同様に、t=6500~6750の250間隔における入射光Lの停止によって、温度は、0.1下がる。しかしながら、入射の再開直後のt=6750~7000の250間隔におけるパワーP=2.0の入射光Lの入射によって、温度は、0.1上がる。これにより、筐体10の内部の温度は、元の温度T=1.0に戻る。そして、t=7000~8250の1250間隔におけるパワーP=1.0の入射光Lの入射によって、筐体10の内部の温度はT=1.0を維持するようになる。
【0042】
t=8250~8500の250間隔における入射光Lの停止によって、温度は、0.1下がる。しかしながら、入射の再開直後のt=8500~8750の250間隔におけるパワーP=2.0の入射光Lの入射によって、温度は、0.1上がる。これにより、筐体10の内部の温度は、元の温度T=1.0に戻る。そして、t=8750~10000の1250間隔におけるパワーP=1.0の入射光Lの入射によって、筐体10の内部の温度はT=1.0を維持するようになる。
【0043】
このように、制御部20が入射光Lを制御する場合には、平均入熱量は、一定に保たれるため、筐体10の内部の温度は、一定に保たれる。具体的には、制御部20は、筐体10へ入射した入射光Lのパワーが変化する場合に、変化した後のパワーを所定時間で積分したエネルギーが、変化する前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、変化した後の入射光Lを制御する。したがって、パワーの変化後の変化を含めたパワーを所定時間で積分したエネルギーは、パワーの変化前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じになっている。なお、エネルギーが同じとは、厳密にエネルギーが同じ場合だけでなく、不可避な測定誤差を含めた範囲で同じことを意味する。
【0044】
入射光Lのパワーがt=4750で変化する場合に、パワーの変化後の変化を含めたパワーをt=4750~6500の1750間隔で積分したエネルギーは、変化前のパワーをt=3000~4750の1750間隔で積分したエネルギーと同じである。
【0045】
入射光Lのパワーが変化する場合は、入射光Lの入射の停止及び再開を含んでもよい。また、変化する前の入射光Lは、所定時間に一定値のパワーを有してもよい。その場合には、制御部20は、入射光Lの停止及び再開を含む入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーが、一定値を所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、変化した後の入射光Lを制御する。
【0046】
具体的には、制御部20は、入射光Lの再開の直後に、入射光Lの停止を行った停止時間と同じ時間だけ、入射光Lのパワーに一定値のパワーを付加する。例えば、制御部20は、入射光Lの入射の停止を行ったt=4750~5000と同じ250間隔だけ、入射光Lの再開の直後のt=5000~5250に、P=1.0のパワーを付加する。これにより、t=5000~5250の250間隔は、パワーがP=2.0となる。このようにして、入射光Lの入射の停止分を補うことができる。
【0047】
入射光Lの停止を補うパワーを付加する場合には、入射の再開直後が望ましい。これにより、筐体10の内部の温度を速やかに元に戻すことができる。しかしながら、入射の再開後であって、入射の停止から所定時間内であれば、元の温度から外れた温度が多少続くが、筐体10の内部の温度に戻すことができる。
【0048】
また、入射光Lの停止分を補う方法として、停止した時間=付加する時間としたが、これに限らない。例えば、入射光Lの停止を行った停止時間を一定数で割った場合に、一定数で割った時間だけ、入射光Lのパワーに一定値の一定数倍のパワーを付加してもよい。具体的には、入射光Lの停止をt=4750~5000の250間隔行ったとする。停止時間を2で割ると125間隔である。したがって、入射光Lの再開直後のt=5000~5125の125間隔に、入射光Lのパワーに、P=2.0のパワーを付加してもよい。この場合には、t=5000~5125の入射光Lのパワーは合計P=3.0となる。このように、制御部20は、入射光Lの再開の後であって、停止から所定時間内に、入射光Lの停止を行った停止時間を一定数で割った時間だけ、入射光Lのパワーに一定値の一定数倍のパワーを付加してもよい。一定数は、整数でもよい。
【0049】
図5及び
図6は、実施形態1に係る光学装置において、制御部が入射光の制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、
図4のt=5000前後を拡大し、入射光に含まれるパルス列を付加した図である。
図5及び
図6に示すように、入射光Lは、複数のパルスが繰り返し入射されるパルス列を含むパルス光でもよい。制御部20は、入射光Lの再開の直後に、再開の直前のパワーが一定値から低下した分のパワーを付加する。この際に、
図5に示すように、制御部20は、入射光Lの再開の直後に、パルス列の繰り返し周波数を大きくすることによって、一定値から低下した分のパワーを付加してもよい。例えば、一定値の2倍のパワーを付加する場合には、制御部20は、パルス列の繰り返し周波数を2倍にする。また、
図6に示すように、制御部20は、入射光Lの再開の直後に、パルス列の強度を大きくすることによって、一定値から低下した分のパワーを付加してもよい。例えば、一定値の2倍のパワーを付加する場合には、制御部20は、パルス列の強度を2倍にする。
【0050】
図7は、実施形態1の変形例に係る光学装置を例示した構成図である。
図7に示すように、変形例の光学装置1aは、入射光Lを生成する光源40に加えて、さらに、付加光源41を備えている。付加光源41は、光源40とは異なる別の部材である。付加光源41は、入射光Lのパワーに付加する付加光を生成する。具体的には、付加光源41は、上述した入射光Lの停止分を補う付加光を生成する。付加光源41を用いて付加光を生成することにより、光源40のパワーを変化させることがないので、光源40を安定化させることができる。入射光Lのパワーの変化は、入射の停止及び再開に限らず、入射する入射光の低下及び増大を含んでもよい。すなわち、入射光Lのパワーの変化は、パワーP=0とパワーP=1との繰り返しに限らず、0.0<P<1.0と、P≧1との繰り返しでもよい。入射光Lがパルス列を含むパルス光の場合に、変化する前の入射光Lは、所定時間に一定値のパワーを有してもよい。制御部20は、パルス光のパワーが変化した後のパルス光のパワーを所定時間で積分したエネルギーが、変化前の一定値を所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、変化した後のパルス光を制御してもよい。
【0051】
例えば、制御部20は、各パルス列の立ち上がり直後に、各パルス列の立ち上がり直前のパワーが低下した分のパワーを付加してもよい。前述したように、t=4750~5000、t=6500~6750、及び、t=8250~8500における入射光Lの入射の停止等によって、パワーが低下した分のパワーを、各パルス列の立ち上がり直後のt=5000~5250、t=6750~7000、及び、t=8500~8750に付加してもよい。
【0052】
光学装置1は、記憶部50をさらに備えてもよい。記憶部50は、パワーが変化する前の入射光Lのパワーに対応させて、変化した後の入射光Lのパワーを含むパラメータを記憶する。例えば、記憶部50は、パワーがP=1.0の入射光Lが停止した後のt=250後に入射される入射光Lのパラメータとして、パワーP=2.0の入射光Lを250間隔入射することが記憶されている。
【0053】
制御部20は、記憶部50に記憶されたパラメータに基づいて、変化した後の入射光を制御してもよい。
【0054】
入射光Lのパワーが変化する場合は、入射光Lの入射の停止及び再開を複数回含む場合でもよい。その場合には、制御部20は、入射光Lの停止及び再開を複数回含む入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーが、パワーの変化前にパワーが所定時間示した一定値を所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、入射光Lを制御する。
【0055】
温度センサ60は、筐体10の内部の温度を検出する。例えば、温度センサ60は、ミラー、ミラー保持部材、レンズ、レンズ保持部材、ステージ等の光学部材30の温度を検出する。温度センサ60は、検出した筐体10の内部の温度を制御部20に出力する。
【0056】
制御部20は、温度センサ60が検出した温度に基づいて、変化した後の入射光Lを制御してもよい。例えば、記憶部50は、筐体10の内部の温度がT=0.01だけ下がった場合に、パワーP=1.0の入射光Lを付加することを記憶する。よって、制御部20は、温度センサ60が検出した温度に基づいて、パワーが変化した後の入射光LをP=1.0付加させるように制御する。
【0057】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の光学装置1は、入射光Lのパワーが変化した場合に、変化の前後で入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーが等しくなるように変化後の入射光Lを制御する。具体的には、例えば、入射光Lの停止に応じて、一時的に入射光Lのパワーを増加させる。これにより、入射光Lの停止した分に応じて入熱量を増加せることができる。よって、光学装置1の熱的安定性を向上させることができる。
【0058】
制御部20は、入射光Lに含まれたパルス列の強度を大きくすることによって、パワーを付加してもよいし、パルス列の繰り返し周波数を大きくすることによって、パワーを付加してもよい。また、制御部20は、パルス列の強度及び繰り返し周波数を組み合わせることによって、パワーを付加してもよい。このように、制御部20によってパワーの付加を制御するので、高精度に入熱量を制御することができる。
【0059】
入射光Lのパワーを大きくする方法としては、1本の入射光Lのパワーを上げる方法の他、変形例のように、光源40及び付加光源41等から出射された複数の入射光Lを用いる方法を採用してもよい。また、入射光Lを停止した分を補うように入射光Lのパワーを制御する場合には、停止した時間=増加させる時間としてもよい。また、入射光Lを停止した停止時間の半分の時間だけ、2倍にしたパワーの追加光を入射光Lに付加してもよい(結果的にパワーは3倍になる)。これにより、光源40のパワーを変更しなくてもよいので探偵性を向上させることができる。
【0060】
光学装置1は、筐体10に入射する入射光Lを、連続光とすることもできるし、パルス光とすることもできる。
図8は、実施形態1に係る光学装置1において、制御部20が入射光Lの制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフである。
図8では、入射光Lの強度(目盛図示せず)を点線で示している。
図8に示すように、入射光Lは、入力パワーの変化の前後において、連続発振された連続光でもよい。また、入射光Lは、入力パワーの変化の前後において、連続光からパルス光に変化してもよいし、パルス光から連続光に変化してもよい。よって、光学装置1の用途の自由度を向上させることができる。例えば、入射光Lで検査対象を検査する検査装置に光学装置1を用いることができる。
【0061】
また、光学装置1の記憶部50は、あらかじめ、パワーが変化する前のパワーに対応させて、変化した後の入射光Lのパラメータを記憶する。よって、入射光Lのパワーの変化に応じて迅速に対応することができる。これにより、光学装置1の熱的安定性を向上させることができる。
【0062】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る光学装置を説明する。本実施形態の光学装置は、入射光Lのパワーの他、パルス光の繰り返し周波数が変化する場合、及び、入射光Lの停止及び再開の周期が変化する場合に対応する。
図9は、実施形態2に係る光学装置において、制御部20が入射光Lの制御を行わない場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体に入射する入射光のパワーを示し、右側の縦軸は、筐体の内部の温度を示す。
【0063】
図9に示すように、本実施形態の光学装置1において、入射光Lは、複数のパルス列を含む。光学装置1においても入射光Lのパワーが変化する。本実施形態に係る入射光Lのパワーの変化は、2つの変化を含んでいる。1つ目の変化は、入射光Lの停止及び再開である。入射光Lにおける1つのパルス列を含む1つの周期は、入射光Lの停止及び再開を含む。2つ目の変化は、入射光Lの停止及び再開の周期の変化である。入射光Lは、入射の停止及び再開の周期が異なる短時間露光条件及び長時間露光条件を含む。
【0064】
光学装置1は、t=50000までは、短時間露光条件で入射光Lを筐体10に入射させる。t=50000からは、長時間露光条件で入射光Lを筐体10に入射させる。各条件において、入射光Lは、パルス列を含んでもよい。
【0065】
短時間露光条件は、例えば、t=1650の周期で100間隔だけ入射光Lを停止させる。つまり、入射光Lの停止(100間隔)とパワーP=1.0の入射光Lの入射(1550間隔)とを繰り返す。短時間露光条件では、入射光Lは、パワーP=1.0で1550間隔の幅を有する複数のパルス列を含んでいる。短時間露光条件では、各周期において、入射光LのパワーがP=1.0から変化している。
【0066】
短時間露光条件においては、入射光Lが停止される度に、筐体10の内部の温度は、下がっている。例えば、t=0では、筐体10の内部の温度は、T=1.0であるが、t=50000では、T=0.87まで低下する。このように、短時間露光条件では、筐体10の内部の温度は、徐々に低下する。
【0067】
短時間露光条件において、1つのパルス列を含む1つの周期は、入射光Lの停止及び再開を含む。入射の再開時にパルス列が入射される。入射の停止及び再開を含む入射光のパワーを所定時間で積分したエネルギーは、入射の停止前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと異なっている。具体的には、例えば、入射の停止の100間隔及び再開後の100間隔を合わせた200間隔で積分したエネルギーは、入射の停止前の200間隔で積分したエネルギーと異なっている。
【0068】
長時間露光条件は、例えば、t=3300の周期で100間隔だけ入射光Lを停止させる。つまり、入射光Lの停止(100間隔)とパワーP=1.0の入射光Lの入射(3200間隔)とを繰り返す。長時間露光条件では、入射光Lは、パワーP=1.0で3200間隔の幅を有する複数のパルス列を含んでいる。長時間露光条件でも、各周期において、入射光LのパワーがP=1.0から変化している。
【0069】
長時間露光条件においては、入射光Lの入射が再開される度に、筐体10の内部の温度は、上がっている。例えば、t=50000では、筐体10の内部の温度は、T=0.87であるが、t=100000では、T=0.93まで上昇する。このように、長時間露光条件では、筐体10の内部の温度は、徐々に上昇する。しかしながら、筐体10の内部の温度は、入射光Lの入射が始まったT=1.0までは回復しない。
【0070】
長時間露光条件において、1つのパルス列を含む1つの周期は、入射光Lの停止及び再開を含む。入射の再開時にパルス列が入射される。入射の停止及び再開を含む入射光のパワーを所定時間で積分したエネルギーは、入射の停止前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと異なっている。具体的には、例えば、入射の停止の100間隔及び再開後の100間隔を合わせた200間隔で積分したエネルギーは、入射の停止前の200間隔で積分したエネルギーと異なっている。
【0071】
このように、短時間露光条件及び長時間露光条件のいずれの条件でも、1つ目の変化、すなわち、1つのパルス列における入射光Lのパワーの変化の前後において、所定時間で積分したエネルギーは異なっている。
【0072】
また、2つ目の変化、すなわち、入射光Lの停止及び再開の周期が異なる短時間露光条件及び長時間露光条件における入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーも異なっている。具体的には、入射光Lのパワーを短時間露光条件のt=0~50000で積分したエネルギーは、長時間露光条件のt=50000~100000で積分したエネルギーと異なっている。
【0073】
したがって、制御部20が入射光Lの制御を行わない場合には、入射光Lのパワーが変化する前後で、入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーが異なる。具体的には、入射光Lの入射の停止及び再開の割合に応じて入熱量が変化する。また、入射光Lの停止及び再開の周期に応じて入熱量が変化する。制御部20が入射光Lの制御を行わない場合には、短時間露光条件及び長時間露光条件のいずれの場合でも、筐体10の内部の温度を安定化することが困難である。
【0074】
図10は、実施形態2に係る光学装置1において、制御部20が入射光Lの制御を行う場合の入力パワー及び温度を例示したグラフであり、横軸は、時間を示し、左側の縦軸は、筐体10に入射する入射光Lのパワーを示し、右側の縦軸は、筐体10の内部の温度を示す。
【0075】
図10に示すように、本実施形態の光学装置1においても、入射光Lは、複数のパルス列が繰り返し入射される。本実施形態でも入射光Lのパワーは変化する。そして、入射光Lのパワーの変化は、
図9と同様に、2つの変化を含んでいる。1つ目の変化は、入射光Lの入射の停止及び再開である。2つ目の変化は、入射光Lの停止及び再開の周期の変化である。
【0076】
光学装置1は、t=50000までは、短時間露光条件で入射光Lを筐体10に入射させる。t=50000からは、長時間露光条件で入射光Lを筐体10に入射させる。短時間露光条件と長時間露光条件とは、入射光Lの停止及び再開の周期が異なる。
【0077】
短時間露光条件は、例えば、t=1650の周期で100間隔だけ入射光Lを停止させる。そして、再開直後の100間隔だけ、パワーP=2.0の入射光Lを入射させる。その後、パワーP=1.0の入射光を入射させる。つまり、入射光Lの停止(100間隔)、パワーP=2.0の入射光Lの入射(100間隔)、及び、パワーP=1.0の入射光Lの入射(1450間隔)を繰り返す。短時間露光条件では、入射光Lは、パワーP=2.0及びP=1.0で1550間隔の幅を有する複数のパルス列を含んでいる。短時間露光条件では、各周期において、入射光Lの停止によって、入射光LのパワーがP=1.0から変化している。
【0078】
制御部20が制御する場合の短時間露光条件においては、入射光Lの入射が停止される度に、筐体10の内部の温度は低下する。しかしながら、入射光Lの入射が再開され、発光の停止分を補うように、パワー2.0の入射光Lが入射される度に筐体10の内部の温度は元に戻っている。
【0079】
例えば、入射光Lの停止前の温度をT=1.0とする。具体的には、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている時の筐体10の内部の温度をT=1.0とする。100間隔における入射光Lの停止によって、温度は、0.01下がる。しかしながら、入射光Lの再開直後の100間隔におけるパワーP=2.0の入射光Lの入射によって、温度は、0.01上がる。これにより、筐体10の内部の温度は、元の温度T=1.0に戻る。そして、1450間隔におけるパワーP=1.0の入射光Lの入射によって、筐体10の内部の温度はT=1.0を維持するようになる。
【0080】
短時間露光条件において、1つのパルス列を含む1つの周期は、入射光Lの停止及び再開を含む。入射の停止及び再開を含む入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーは、入射の停止前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じである。
【0081】
具体的には、例えば、入射の停止の100間隔及び再開後のパワーがP=2.0の100間隔を合わせた200間隔で積分したエネルギーは、入射の停止前の200間隔で積分したエネルギーと同じである。制御部20は、各パルス列の立ち上がり直後に、各パルス列の立ち上がり直前のパワーが低下した分のパワーを付加する。このようにして、制御部20は、パワーの変化の前後のエネルギーを同じエネルギーにする。
【0082】
長時間露光条件は、例えば、t=3300の周期で100間隔だけ入射光Lを停止させる。そして、再開直後の100間隔だけ、パワーP=2.0の入射光Lを入射させる。その後、パワーP=1.0の入射光を入射させる。つまり、入射光Lの停止(100間隔)、パワーP=2.0の入射光Lの入射(100間隔)、及び、パワーP=1.0の入射光Lの入射(3100間隔)を繰り返す。長時間露光条件では、入射光Lは、パワーP=2.0及びP=1.0で3200間隔の幅を有する複数のパルス列を含んでいる。長時間露光条件では、各周期において、入射光Lの停止によって、入射光LのパワーがP=1.0から変化している。
【0083】
制御部20が制御する場合の長時間露光条件においては、入射光Lの入射が停止される度に、筐体10の内部の温度は低下する。しかしながら、入射光Lの入射が再開され、発光の停止分を補うように、パワー2.0の入射光Lが入射される度に筐体10の内部の温度は元に戻っている。
【0084】
例えば、入射光Lの停止前の温度をT=1.0とする。具体的には、パワーP=1.0の入射光Lが入射されている時の筐体10の内部の温度をT=1.0とする。100間隔における入射光Lの停止によって、温度は、0.01下がる。しかしながら、入射光Lの再開直後の100間隔におけるパワーP=2.0の入射光Lの入射によって、温度は、0.01上がる。これにより、筐体10の内部の温度は、元の温度T=1.0に戻る。そして、3100間隔におけるパワーP=1.0の入射光Lの入射によって、筐体10の内部の温度はT=1.0を維持するようになる。
【0085】
長時間露光条件において、1つのパルス列を含む1つの周期は、入射光Lの停止及び再開を含む。入射の停止及び再開を含む入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーは、入射の停止前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じである。
【0086】
具体的には、例えば、入射の停止の100間隔及び再開後のパワーがP=2.0の100間隔を合わせた200間隔で積分したエネルギーは、入射の停止前の200間隔で積分したエネルギーと同じである。制御部20は、各パルス列の立ち上がり直後に、各パルス列の立ち上がり直前のパワーが低下した分のパワーを付加してもよい。このようにして、制御部20は、パワーの変化の前後のエネルギーを同じエネルギーにする。
【0087】
このように、短時間露光条件及び長時間露光条件のいずれの条件でも、1つ目の変化、すなわち、1つのパルス列における入射光Lのパワーの変化後のパワーを所定時間で積分したエネルギーは、変化前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じである。
【0088】
また、2つ目の変化、すなわち、入射光Lの停止及び再開の周期が異なる短時間露光条件及び長時間露光条件における入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーも同じである。制御部20は、入射光Lの停止及び再開の周期が変化した後のパルス光のパワーを所定時間で積分したエネルギーが、周期が変化する前のパルス光のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、周期が変化した後の入射光Lを制御する。具体的には、例えば、入射光Lのパワーを短時間露光条件のt=0~50000で積分したエネルギーは、長時間露光条件のt=50000~100000で積分したエネルギーと同じである。
【0089】
したがって、制御部20が入射光Lの制御を行う場合には、制御部20は、入射光Lのパワーが変化する前後で、入射光Lのパワーを所定時間で積分したエネルギーが同じになるように制御する。制御部20は、入射光Lの停止及び再開の割合に応じて入熱量が同じになるように、パワーの変化後の入射光Lを制御する。また、制御部20は、入射光Lの停止及び再開の周期に応じて入熱量が同じになるように入射光Lを制御する。制御部20は、入射光Lの停止及び再開を含む所定時間を制御する。
【0090】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の光学装置1は、複数のパルス列が繰り返し入射される入射光Lを入射させる。したがって、入射光Lのパワーが変化する場合は、入射光Lの停止及び再開の周期の変化を含んでいる。このような場合でも、制御部20は、入射光Lのパワーが変化する前後において、所定時間で積分したエネルギーが同じになるように制御することができる。よって、光学装置1の熱的安定性を向上させることができる。
【0091】
なお入射光Lのパワーの変化は、入射光Lの停止及び再開だけでなく、入射光Lのパワーが低下する場合や、パワーが増加する場合を含んでもよい。このような場合でも、制御部20は、変化した後のパワーを所定時間で積分したエネルギーが、変化する前のパワーを所定時間で積分したエネルギーと同じになるように、変化した後の入射光を制御してもよい。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0092】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。また、実施形態1及び2の各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1、1a 光学装置
10 筐体
20 制御部
30 光学部材
40 光源
41 付加光源
50 記憶部
60 温度センサ
L 入射光