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特開2024-71818着色組成物、光硬化性組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子
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  • 特開-着色組成物、光硬化性組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子 図1
  • 特開-着色組成物、光硬化性組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071818
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】着色組成物、光硬化性組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/22 20060101AFI20240520BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240520BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240520BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240520BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C09B67/22 F
G02B5/20 101
C08F2/44 B
G02F1/1335 505
C09D17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182249
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 悠太
(72)【発明者】
【氏名】新戸 翔
【テーマコード(参考)】
2H148
2H291
4J011
4J037
【Fターム(参考)】
2H148BE08
2H148BE13
2H148BE16
2H148BE18
2H148BF16
2H148BG02
2H148BG11
2H148BH03
2H148BH12
2H148BH17
2H291FA02X
2H291FA85Z
2H291FA94X
2H291FB03
2H291FB04
2H291FB22
2H291FC10
2H291FC13
2H291FC32
2H291FC34
2H291HA06
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA01
2H291LA09
2H291LA22
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA02
4J011CC10
4J011PA43
4J011PA49
4J011PB25
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA23
4J011SA65
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J037CB19
4J037CB26
4J037CB28
4J037CC11
4J037CC21
4J037FF03
4J037FF23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保存安定性、異物やコントラストが良好なだけでなく、耐候性に優れ、経時均一性が良好な緑色画素を形成することができる着色組成物、光硬化性組成物、該組成物を用いたカラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子を提供する。
【解決手段】上記課題は、緑色フタロシアニン系顔料と、アゾメチン系金属錯体顔料と、下記一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体とを含むことを特徴とする着色組成物によって、解決される。
一般式(1)

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色フタロシアニン系顔料と、アゾメチン系金属錯体顔料と、下記一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体とを含むことを特徴とする着色組成物。
一般式(1)
【化1】

[一般式(1)中、Z~Z13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基、-SOH、-COOH、または、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を示す。Z~Z、および/または、Z10~Z13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。ただし、Z~Z13のうち少なくとも1つは、-SOH、-COOH、または、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩の構造を有する基である。]
【請求項2】
アゾメチン系金属錯体顔料の含有量をw1、一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体の含有量をw2としたとき、w1/(w1+w2)が0.02~0.40であることを特徴とする請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
色素誘導体としてさらに塩基性官能基を有する色素誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の着色組成物。
【請求項4】
緑色フタロシアニン系顔料の中心金属が、アルミニウムであることを特徴とする請求項1または3に記載の着色組成物。
【請求項5】
アゾメチン系金属錯体顔料が、C.I.ピグメントイエロー129であることを特徴とする請求項1または3に記載の着色組成物。
【請求項6】
請求項1または3に記載の着色組成物と、重合性化合物および/または光重合開始剤とを含むことを特徴とする光硬化性組成物。
【請求項7】
請求項6記載の光硬化性組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項7記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項7記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、光硬化性組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置、有機EL表示装置、デジタルカメラ、スマートフォン等の普及から、これらに使用されるカラーフィルタの需要が伸びている。カラーフィルタは、通過光を色分解し、それらの色が合成され画像を形成する。そのため、カラーフィルタには、高明度化や高コントラスト化、色再現性が求められる。また、装置の小型化によって1画素あたりの面積が小さくなる傾向にあり、カラーフィルタの薄膜化が求められている。
【0003】
カラーフィルタに用いられる着色剤は、耐性の観点から、顔料が用いられることが多く、緑色画素を形成する着色剤として、金属フタロシアニン顔料を用いることが知られている。例えば、特許文献1には、銅フタロシアニン顔料、亜鉛フタロシアニン顔料、及びキノフタロン顔料を含む着色感光性組成物が開示されている。また、特許文献2には、亜鉛フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントイエロー138、及びアゾバルビツール酸のニッケル錯体化合物を含む着色樹脂組成物が開示されている。しかし、金属フタロシアニン顔料を用いたカラーフィルタは、低酸素環境で光が照射されると、明度が低下するという問題(以下、耐候性という。)があった。さらに特許文献3には、耐候性を改善する手段としてC.I.ピグメントイエロー129を使用することが開示されているが、要求される品質は年々高まっており、更なる改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-098712号公報
【特許文献2】特開2013-037276号公報
【特許文献3】特開2018-155881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記課題に対して、保存安定性、異物やコントラストが良好なだけでなく、耐候性に優れ、経時均一性が良好な緑色画素を形成することができる着色組成物、光硬化性組成物、該組成物を用いたカラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有する着色組成物にて上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は、緑色フタロシアニン系顔料と、アゾメチン系金属錯体顔料と、一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体とを含むことを特徴とする着色組成物に関する。
【0008】
一般式(1)
【化1】

[一般式(1)中、Z~Z13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基、-SOH、-COOH、または、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩を示す。Z~Z、および/または、Z10~Z13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。ただし、Z~Z13のうち少なくとも1つは、-SOH、-COOH、または、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩の構造を有する基である。]
【0009】
また、本発明は、アゾメチン系金属錯体顔料の含有量をw1、一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体の含有量をw2としたとき、w1/(w1+w2)が0.02~0.40であることを特徴とする前記着色組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、色素誘導体としてさらに塩基性官能基を有する色素誘導体を含むことを特徴とする前記着色組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、緑色フタロシアニン系顔料の中心金属が、アルミニウムであることを特徴とする前記着色組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、アゾメチン系金属錯体顔料が、C.I.ピグメントイエロー129であることを特徴とする前記着色組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、前記着色組成物と、重合性化合物および/または光重合開始剤とを含むことを特徴とする光硬化性組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、前記光硬化性組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【0015】
また、本発明は、前記カラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置に関する。
【0016】
また、本発明は、前記カラーフィルタを備えたことを特徴とする固体撮像素子に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、保存安定性、異物やコントラストが良好なだけでなく、耐候性に優れ、経時均一性が良好な緑色画素を形成することができる着色組成物、光硬化性組成物、該組成物を用いたカラーフィルタ、液晶表示装置、および固体撮像素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、耐候性試験方法を示す概略図である。
図2図2は、液晶表示装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。着色剤は、顔料および染料を含む。
【0020】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、緑色フタロシアニン系顔料と、アゾメチン系金属錯体顔料と、一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体とを含むことを特徴とする。
【0021】
<緑色フタロシアニン系顔料>
本発明における緑色フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン構造を有する緑色顔料であれば特に制限が無く、公知のものを使用できる。
代表的な緑色フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニンまたはアルミフタロシアニン等を挙げることができる。カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、または63等を挙げることができ、中でも保存安定性が良好であり、コントラストが高く、耐候性に優れるため、C.I.ピグメントグリーン62または63が好ましい。
【0022】
<アゾメチン系金属錯体顔料>
本発明におけるアゾメチン系金属錯体顔料は、アゾメチン系金属錯体であれば特に制限が無く、公知のものを使用できる。緑色フタロシアニン顔料は光照射でフタロシアニンラジカルが発生すると考えられており、特に低酸素環境ではフタロシアニンラジカルの失活が起こりにくい。発生したフタロシアニンラジカルはフタロシアニン顔料の分解を促進するため、明度低下を引き起こす。アゾメチン系金属錯体顔料には、光照射により発生したフタロシアニンラジカルを基底状態のフタロシアニンへと失活させる効果があると推測されており、緑色フタロシアニン系顔料とアゾメチン系金属錯体顔料を併用することで緑色フタロシアニン系顔料分解による明度低下が抑制される。
代表的なアゾメチン系金属錯体顔料としてはC.I.ピグメントイエロー117または129を挙げることができ、中でも低酸素環境課での明度低下(耐候性)の観点から、C.I.ピグメントイエロー129が好ましい。
【0023】
<その他の着色剤>
本発明の着色組成物は、着色剤として、上記の顔料以外に顔料または染料を含有することができる。顔料としては、有機又は無機の顔料を、単独又は2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。以下に、本発明の着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0024】
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等を挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、177、224、242、269、254、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、254、291、295、296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料である。
【0025】
また、C.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、71、又は73等の橙色顔料も挙げることができる。
【0026】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
【0027】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、又は23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0028】
黄色顔料では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、118、119、120、123、126、127、128、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231、233、特開2012-226110号公報に記載された顔料等が挙げられる。好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231、233、特開2012-226110号公報に記載された顔料である。
【0029】
また、無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組合せて用いられる。
【0030】
<顔料の微細化>
着色剤として有機顔料を使用する場合は、微細化処理を行った後、他の原料と混合することが好ましい。微細化処理の方法は、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法等が挙げられる。これらの中でも湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等が好ましい。微細化処理後の有機顔料の平均一次粒子径は、10~80nmが好ましく、15~70nmがより好ましい。適度な粒子径により分散性がより向上し、被膜のコントラスト比がより向上する。なお、平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)の拡大画像から任意に選択した約20個の粒子の平均値である。なお、粒子の縦軸長さと横軸長さがある場合、縦軸長さを使用する。
【0031】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサー等のバッチ式又は連続式混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0032】
水溶性無機塩は、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩の使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部が好ましく、300~1000質量部がより好ましい。
【0033】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する。水溶性有機溶剤は、水に溶解(混和)し、水溶性無機塩を実質的に溶解しない化合物である。水溶性有機溶剤は、ソルトミリング時の温度上昇で揮発しにくい面で沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましい。
【0034】
ソルトミリング処理の際、必要に応じて樹脂を添加できる。樹脂は、例えば、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ水溶性有機溶剤に一部可溶であることがより好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部が好ましい。
【0035】
<染料>
染料は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料の誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0036】
また、染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の場合、酸性染料の無機塩;酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物との造塩化合物;これらアミノ基を有する樹脂成分と酸性染料等の造塩化合物等が挙げられる。酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0037】
塩基性染料は、有機酸、もしくは過塩素酸、またはこれらの金属塩との造塩化合物が挙げられる。造塩化合物の中でも塩基性染料の造塩化合物は、各種耐性、顔料との相溶性に優れているために好ましい。
【0038】
染料の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料等が挙げられる。これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料がより好ましい。染料の具体的な構造は「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0039】
<一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体>
本発明に用いられる一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体は少なくとも分子内に1つの-SOH、-COOH、または、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩の構造を有する。一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体とアゾメチン系金属錯体顔料を併用することにより、アゾメチン系金属錯体顔料自体の凝集を効果的に抑制することができるため保存安定性に優れる。中でも、保存安定性と経時均一性の観点から、一般式(1)のうち、Z10~Z13の隣接した基が一体となって芳香環を形成している構造であることが好ましい。
【0040】
一般式(1)
【化2】

[一般式(1)中、Z~Z13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基、-SOH、-COOH、およびこれら酸性基の1価~3価の金属塩またはアルキルアンモニウム塩を示す。Z~Z、および/または、Z10~Z13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成してもよい。ただし、Z~Z13のうち少なくとも1つは、-SOH、-COOH、または、これら酸性基の1価~3価の金属塩もしくはアルキルアンモニウム塩の構造を有する基である。]
【0041】
本発明に用いられる一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体の具体例として、下記に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、下記の例示化合物は-SOH、あるいは-COOHを置換基としたものだが、公知の方法で簡単に金属塩やアンモニウム塩にカウンター交換できる。
【0042】
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】
【化5】
【0045】
【化6】

【0046】
【化7】
【0047】
アゾメチン系金属錯体顔料の含有量をw1、一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体の含有量をw2としたとき、w1/(w1+w2)が0.02~0.40であることが好ましく、0.05~0.30であることがより好ましい。アゾメチン系金属錯体顔料の含有量と一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体の含有量を一定の比率にすることで保存安定性に優れるだけでなく、耐候性が良好な結果が得られる。
【0048】
<その他の色素誘導体>
本発明の着色組成物には、必要に応じて上記以外の色素誘導体を併用することができる。色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、またはリン酸基などの酸性置換基を有する化合物、ならびにこれらのアミン塩、スルホンアミド基、または末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
【0049】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体は、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体は、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体は、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体は、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体は、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体は、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体は、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体は、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体は、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、ナフトール系色素誘導体は、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体は、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基は、特開2004-307854号公報、塩基性置換基は、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0050】
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0051】
本発明の着色組成物は一般式(1)で表される酸性官能基を有する色素誘導体とともに、塩基性官能基を有する色素誘導体とを含むことが好ましい。これらの色素誘導体を併用することによって、アゾメチン系金属錯体顔料を効率的に分散することができ、異物の発生が抑えられるため、さらに優れた品質を達成できる。
【0052】
色素誘導体は、顔料100質量部に対し、1~100質量部添加することが好ましく、3~70質量部添加することがより好ましく、5~50質量部添加することがさらに好ましい。
【0053】
顔料に色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の顔料化処理を行う事で、顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化することができる。
【0054】
顔料に色素誘導体を添加し二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、色素誘導体が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち樹脂型分散剤の吸着が促進され、顔料、色素誘導体、樹脂型分散剤、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、着色組成物や着色硬化性組成物とした時の分散安定性や経時粘度安定性が向上する。また、相溶性が向上することで着色硬化性組成物をガラス基板等に塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、着色硬化性組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。また顔料表面が色素誘導体および樹脂型分散剤で吸着・被覆されることで、塗膜を加熱焼成した際の顔料の凝集や昇華による結晶析出を抑制できる。さらに現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
【0055】
<樹脂型分散剤>
本発明の着色組成物には公知の樹脂型分散剤を用いることができる。樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものであれば良く、具体的には、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0056】
酸性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、芳香族カルボン酸構造を有する樹脂型分散剤が挙げられ、それらはWO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等の公知の方法で製造することができる。特にオキセタン基を有する構成単位を含む樹脂型分散剤を含む場合、分散性に優れ、保存安定性が良好であり、また、塗膜のより良い硬化が期待できるため、経時均一性に優れる。
【0057】
塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが挙げられる。特に側鎖に3級アミノ基を有し、固形分当たりのアミン価が80~120mgKOH/gの樹脂型分散剤を含む場合、緑色フタロシアニン系顔料とアゾメチン系金属錯体顔料同士の分散性に優れ、異物が少なく耐候性が良好である。
【0058】
また、特開2009-185277号公報に開示されている様に、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(樹脂型分散剤の機能を有する)とを併用することも好ましい例として挙げられる。
【0059】
樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して3~200質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5~100質量%程度使用することがより好ましい。
【0060】
<バインダ樹脂>
本明細書の着色組成物は、バインダ樹脂を含むことができる。バインダ樹脂は、400~700nmの全波長領域において透過率が80%以上の樹脂である。なお、透過率は、95%以上が好ましい。バインダ樹脂は硬化性の面でいうと、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂、または熱硬化樹脂に活性エネルギー線反応性官能基を有しても良い。また、バインダ樹脂は、物性面でいうと、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性は、カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸性基が必要である。
【0061】
バインダ樹脂は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0062】
バインダ樹脂の含有量は、着色剤100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。適量含有すると被膜を容易に形成できる上、良好な色特性が得やすい。
【0063】
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0064】
<活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂>
活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、例えば以下に示す(i) (ii)の方法で導入できる。活性エネルギー線による効果で樹脂は、3次元架橋されることで架橋密度が上がり、薬品耐性が向上する。
【0065】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合して得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させる。次いで、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させることで、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
【0066】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0067】
不飽和一塩基酸は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0068】
多塩基酸無水物は、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。
【0069】
他の単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0070】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0071】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合で得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
【0072】
[方法(ii)]
方法(ii)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法である。
【0073】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0074】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0075】
アルカリ可溶性樹脂を構成できるその他単量体は、既に説明したその他のエチレン性不飽和単量体に加え、N-置換マレイミド類、アルキレンオキシ基含有単量体、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
N-置換マレイミド類は、例えば、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等が挙げられる。アルキレンオキシ基含有単量体は、例えば、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0076】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、既に説明した単量体を使用できる。
【0077】
リン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体は、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和単量体の水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物である。
【0078】
<エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂>
本明細書の着色組成物は、被膜の硬化度を調整するために、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂を含有できる。
【0079】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2,000以上40,000以下であり、3,000以上30,000以下が好ましく、4,000以上20,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2,000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。40,000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上200以下(KOHmg/g)であり、70以上180以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。200を超えると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
【0080】
バインダ樹脂の合成に使用する各原料は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0081】
<熱硬化性化合物>
本発明においては、バインダ樹脂として熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことが出来る。本発明の着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
【0082】
熱硬化性化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の着色組成物ではエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
【0083】
<光硬化性組成物>
本発明の光硬化性組成物は、本発明の着色組成物と、重合性化合物および/または光重合開始剤とを含む。重合性化合物には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0084】
<重合性化合物>
重合性化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0085】
(酸基を有する重合性化合物)
重合性化合物は、酸基を有する光重合性単量体を含有できる。酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
【0086】
酸基を有する光重合性単量体は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。具体例は、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
【0087】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を有する単量体を含有できる。前記単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0088】
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0089】
また、多官能イソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0090】
重合性化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0091】
重合性化合物の配合量は、光硬化性組成物の固形分100質量%中、1~50質量%が好ましく、2~40質量部がより好ましい。適量配合すると硬化性及び現像性がより向上する。
【0092】
<光重合開始剤>
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。
【0093】
光重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0094】
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。光硬化性組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
【0095】
オキシムエステル系化合物は、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。
【0096】
光重合開始剤の含有量は、着色剤100質量部に対し、2~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性及び現像性がより向上する。
【0097】
<増感剤>
さらに、本発明の光硬化性組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0098】
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
【0099】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0100】
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0101】
増感剤の含有量は、光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部でが好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量含有すると硬化性、現像性がより向上する。
【0102】
<チオール系連鎖移動剤>
本発明の光硬化性組成物は連鎖移動剤として、チオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる光硬化性組成物は高感度となる。
【0103】
また、チオール基が2個以上あるメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。より好ましくは、チオール基が4個以上ある多官能脂肪族チオールである。官能基数が増えることで、重合開始機能が向上し、パターンにおける表面から基材付近まで硬化させることができる。
【0104】
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0105】
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0106】
チオール系連鎖移動剤の含有量は、光硬化性組成物の固形分100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。適量含有すると光感度、テーパー形状が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
【0107】
<重合禁止剤>
本発明の光硬化性組成物は、重合禁止剤を含有できる。これによりフォトリソグラフィー法の露光時にマスクの回折光による感光を抑制できるため、所望の形状のパターンが得やすくなる。
【0108】
重合禁止剤としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。
【0109】
重合禁止剤の含有量は、光硬化性組成物の固形分100質量%中、0.01~0.4質量部が好ましい。この範囲において、重合禁止剤の効果が大きくなり、テーパーの直線性や塗膜のシワ、パターン解像性等が良好になる。
【0110】
<紫外線吸収剤>
本発明の光硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びサリシレート系化合物などが挙げられる。
【0111】
紫外線吸収剤の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。適量含有すると現像後の解像性がより向上する。
【0112】
また、光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、光硬化性組成物の固形分100質量%中、1~20質量%が好ましい。適量含有すると基板と被膜の密着性がより向上し、良好な解像性が得られる。
【0113】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0114】
トリアジン系化合物としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0115】
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0116】
サリチル酸エステル系化合物としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サリチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0117】
<酸化防止剤>
本発明の着色組成物、光硬化性組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、着色組成物、光硬化性組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を向上できる。特に着色組成物、光硬化性組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜架橋成分量が少なくなるため高感度の架橋成分の使用や、光重合開始剤の増量といった対応を取るため熱工程の黄変が強くなる現象が見られる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0118】
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0119】
ここれらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0120】
酸化防止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0121】
また酸化防止剤の含有量は、着色組成物、光硬化性組成物の固形分100質量%中、0.5~5.0質量%の場合、透過率、分光特性、及び感度が良好であるためより好ましい。
【0122】
<レベリング剤>
本発明の光硬化性組成物には、透明基板上での組成物の塗布性、着色被膜の乾燥性を良好することを目的として、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0123】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0124】
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK-300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ-7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0125】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレべリング剤が挙げられる。
【0126】
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC株式会社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム株式会社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
【0127】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0128】
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、2020G-HA、2025G、LS-106、LS-110、LS-114、MS-110、A-60、A-90、B-66、PP-290、ラテムルPD-420、PD-430、PD-430S、PD450、レオドールSP-L10、SP-P10、SP-S10V、SP-S20、SP-S30V、SP-O10V、SP-O30V、スーパーSP-L10、AS-10V、AO-10V、AO-15V、TW-L120、TW-L106、TW-P120、TW-S120V、TW-S320V、TW-O120V、TW-O106V、TW-IS399C、スーパーTW-L120、430V、440V、460V、MS-50、MS-60、MO-60、MS-165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH-25、CH-40、CH-60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニック(登録商標)L-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR-701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
【0129】
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0130】
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0131】
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0132】
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
【0133】
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0134】
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y-B、20N等が挙げられる。
【0135】
本発明の光硬化性組成物に界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。この範囲内であることで、光硬化性組成物の塗布性とパターン密着性、透過率のバランスが良好となる。
本発明の光硬化性組成物は、界面活性剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0136】
<貯蔵安定剤>
本発明の光硬化性組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
【0137】
<密着向上剤>
本発明の光硬化性組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
【0138】
密着向上剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、光硬化性組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
【0139】
<溶剤>
本発明の光硬化性組成物には、ガラス等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0140】
溶剤としては、当該分野で通常使用される溶剤を用いることが出来、沸点、SP値、蒸発速度、粘度などの性能を勘案し、塗布条件(速度、乾燥条件など)に合わせて適宜、単独または混合して使用される。
【0141】
使用される溶剤としては、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0142】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
【0143】
<着色組成物、光硬化性組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤を、分散剤、バインダ樹脂などの着色剤担体及び/又は溶剤中に、好ましくは分散助剤(色素誘導体や界面活性剤)と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0144】
また、光硬化性組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/又は光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0145】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物、光硬化性組成物は、重力加速度3000~25000Gの遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物、光硬化性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0146】
<水分量>
本発明の着色組成物、光硬化性組成物は、組成物に含まれる水の含有量が2質量%以下であることが好ましい。
【0147】
水の含有量が、上記範囲内の組成物であると、経時保存後でも分散安定性・感度に優れる。
【0148】
着色組成物、光硬化性組成物に含まれる水の含有量は、1.8質量%以下が好ましく、1.6質量%以下がより好ましく、この範囲の十分少ない水分量であれば、経時保存後でも分散安定性・感度に問題は起こりにくい。
【0149】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、着色組成物、光硬化性組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブスを投入し脱水する方法等が挙げられる。その中でも、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、製造する方法が好ましい。
【0150】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0151】
<特定金属元素量>
本発明の着色組成物、光硬化性組成物は、顔料の構成成分以外に少量のLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、及びCr(以下、特定金属原子ともいう)を含む金属成分が存在する場合がある。これら特定金属原子を含む金属成分が多く存在すると、保存安定性が阻害される場合、耐熱性が低下する場合、感度低下を引き起こす場合がある。
また、このような特定金属原子を含む金属成分が多く存在する組成物を用いて作成したカラーフィルタは、異物が発生する場合があり、結果として透過率低下を引き起こしやすい。本発明の着色組成物、光硬化性組成物に含まれる該金属成分中の特定金属原子の合計含有量は、組成物全体に対し、1~500質量ppmであることが好ましい。
【0152】
本発明の着色組成物、光硬化性組成物に含まれる特定金属原子の合計量は、組成物全体に対し、300質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属原子の合計量の下限は、特に限定されないが、組成物全体に対し、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れ、かつ異物の発生、透過率低下が少ないカラーフィルタを形成できる着色組成物、光硬化性組成物を得ることができる。
【0153】
本発明の着色組成物、光硬化性組成物に含まれる各特定金属原子の含有量は、組成物全体に対し、各々100質量ppm以下であることが好ましく、各々50質量ppm以下であることがより好ましい。
【0154】
また、顔料構造の一部にNi、Zn、Cu、Al、Fe、及びCo等の金属原子が含まれる場合には、顔料構造の一部を構成していないこれら金属原子が存在する場合がある。このような金属原子も少ない方がよく、以下の方法で特定金属原子と同様に取り除くことが出来る。さらに、Mn、Cs、Ti、Co、Si、Pd等、組成物の各種原料の製造工程で用いる材料(たとえば触媒)等により混入してしまうものも、低濃度であることが好ましい。
【0155】
着色組成物、光硬化性組成物に含まれる各種原料あるいは製造過程において装置から混入した金属原子を除去する方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報等による水洗による方法、特開2011-48736号公報に記載のマグネットによる磁性異物の除去等の方法が挙げられ、単独または複数の方法を適宜使用する。
【0156】
特定金属原子の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0157】
<トルエン量>
本発明の着色組成物、光硬化性組成物は、トルエンを含んでいても良く、含む場合はトルエンの含有量が0.1~10質量ppmであることが好ましい。トルエンの含有量の上限は、9質量ppm以下であることが好ましく、8質量ppm以下であることがより好ましく、7質量ppm以下であることが更に好ましい。下限は、0.2質量ppm以上であることが好ましく、0.3質量ppm以上であることがより好ましく、0.4質量ppm以上であることが更に好ましい。
【0158】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の光硬化性組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とする。
カラーフィルタの製造においては、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法等によって、フィルタセグメントとなるパターンを形成することができる。
【0159】
以下、パターンを形成する方法について詳細に説明する。
【0160】
(フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合)
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基板上に本発明の光硬化性組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて乾燥(プレベーク)した後、マスクを介してパターン状に露光し(露光工程)、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、必要に応じてパターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
【0161】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
【0162】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0163】
〔ポストベーク工程〕
現像後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。
温度は、80~300℃が好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。基材に耐熱性の低い素材を用いた場合や、光源として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた場合などは、温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0164】
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基板上に本発明の光硬化性組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法を参酌できる。
【0165】
<液晶表示装置>
本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタと、光源とを具備する。光源としては、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられるが、本発明においては赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDを使用することが好ましい。図2は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置10の概略断面図である。図2に示す装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および21を備え、それらの間には、液晶LCが封入されている。
【0166】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0167】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0168】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0169】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0170】
白色LED光源としては、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがあり、430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)や、430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)が好ましい。
【0171】
LED1としては、具体的にはNSSW306D-HG-V1(日亜化学社製)、NSSW304D-HG-V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0172】
LED2としては、具体的にはNSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0173】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサ、有機CMOSセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(スマートフォン、タブレット端末等)、車載カメラ、監視カメラ、光センサ等様々な用途に使用できる。
【実施例0174】
以下に、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0175】
実施例に先立ち、樹脂の質量平均分子量の測定方法の計算方法について説明する。
【0176】
(酸性官能基を有する樹脂型分散剤、及びバインダ樹脂の重量平均分子量(Mw))
酸性官能基を有する樹脂型分散剤、及びバインダ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0177】
(塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の平均分子量)
塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、装置としてHLC-8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして SUPER-AW3000を使用し、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。
【0178】
(樹脂型分散剤の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
【0179】
(樹脂型分散剤のアミン価(mgKOH/g))
塩基性樹脂型分散剤のアミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。
【0180】
(酸性官能基を有する色素誘導体の製造方法)
酸性官能基を有する色素誘導体C-1の製造
特開2014-035351号公報に記載の合成方法を参考にして、酸性官能基を有する色素誘導体C-1を得た。
【化8】
【0181】
酸性官能基を有する色素誘導体C-2の製造
特開2014-035351号公報に記載の合成方法を参考にして、酸性官能基を有する色素誘導体C-2を得た。
【化9】
【0182】
酸性官能基を有する色素誘導体C-3の製造
特開2014-035351号公報に記載の合成方法を参考にして、酸性官能基を有する色素誘導体C-3を得た。
【化10】
【0183】
酸性官能基を有する色素誘導体C-4の製造
特開2014-035351号公報に記載の合成方法を参考にして、酸性官能基を有する色素誘導体C-4を得た。
【化11】
【0184】
酸性官能基を有する色素誘導体C-5の製造
特許第4622016号公報に記載の合成方法を参考にして、酸性官能基を有する色素誘導体C-5を得た。
【化12】
【0185】
(塩基性官能基を有する色素誘導体の製造方法)
塩基性官能基を有する色素誘導体D-1の製造
特許第1863188号公報に記載の合成方法を参考にして、塩基性官能基を有する色素誘導体D-1を得た。
【化13】
【0186】
塩基性官能基を有する色素誘導体D-2の製造
特許第4983061号公報に記載の合成方法を参考にして、塩基性官能基を有する色素誘導体D-2を得た。
【化14】
【0187】
(酸性官能基を有する樹脂型分散剤の製造方法)
樹脂型分散剤1の製造
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、無水トリメリット酸6部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール2部、メトキシプロピルアセテート50部、ジメチルベンジルアミン0.1部を仕込んだ。窒素ガスで置換した後、反応容器内を120℃に加熱し4時間反応させ、次いで80℃で2時間反応させた。さらにターシャリーブチルアクリレート30部、ETERNACOLL OXMA(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、宇部興産製)20部、メタクリル酸5部、エチルアクリレート40部、メトキシプロピルアセテート20部を仕込み、反応容器内を80℃に保ちながら2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2部を15回に分けて30分ごとに添加した。最終添加から1時間後に固形分測定を行い、モノマーの95%が反応したことを確認した。最後に固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、固形分当たりの酸価66mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)24,000の樹脂型分散剤1を得た。
【0188】
樹脂型分散剤2の製造
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート140部、ベンジルメタクリレート30部、シクロへキシルアクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
トリメリット酸無水物35部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価109mgKOH/g、質量平均分子量8500の樹脂型分散剤2を得た。
【0189】
樹脂型分散剤3の製造
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート90部、エチルアクリレート50部、tert-ブチルアクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、質量平均分子量8500の樹脂型分散剤3を得た。
【0190】
(塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の製造方法)
樹脂型分散剤4の製造
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート50部、nーブチルメタクリレート20部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、固形分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート30部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、固形分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。反応溶液を室温まで冷却して重合を停止して窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体溶液を得た。GPC測定の結果、重合体のMw9900、分子量分布Mw/Mnが1.2であり、反応転化率は98.5%であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して固形分を測定し、先に合成した窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体溶液に固形分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、固形分当たりのアミン価が107.1mgKOH/gの樹脂型分散剤4を得た。
【0191】
樹脂型分散剤5の製造
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、固形分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレー20部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、固形分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。反応溶液を室温まで冷却して重合を停止して窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体溶液を得た。GPC測定の結果、重合体のMw9900、分子量分布Mw/Mnが1.2であり、反応転化率は98.5%であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して固形分を測定し、先に合成した窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体溶液に固形分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、固形分当たりのアミン価が71.4mgKOH/gの樹脂型分散剤5を得た。
【0192】
樹脂型分散剤6の製造
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート44部、nーブチルメタクリレート11部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、固形分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート45部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、固形分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。反応溶液を室温まで冷却して重合を停止して窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体溶液を得た。GPC測定の結果、重合体のMw9900、分子量分布Mw/Mnが1.2であり、反応転化率は98.5%であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して固形分を測定し、先に合成した窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体溶液に固形分が40質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、固形分当たりのアミン価が105.7mgKOH/gの樹脂型分散剤6を得た。
【0193】
(アクリル樹脂溶液の製造方法)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ジシクロペンタニルメタクリレート32.7部、ベンジルメタクリレート25.7部、グリシジルメタクリレート41.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸21.1部;(本反応で生じたグリシジル基の100%)]にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸37.3部(本反応で生じた水酸基の84%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して固形分を測定し、先に合成した樹脂溶液に固形分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して質量平均分子量(Mw)18000のアルカリ樹脂溶液を得た。
【0194】
(着色組成物の製造方法)
実施例1
着色組成物GM-1の製造
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、固形分が20質量%の着色組成物GM-1を得た。

緑色フタロシアニン系顔料GP-1 :10.76部
アゾメチン系金属錯体顔料B-1 : 0.16部
酸性官能基を有する色素誘導体C-1 : 0.97部
塩基性官能基を有する色素誘導体D-1 : 0.11部
樹脂型分散剤1 :10.00部
樹脂型分散剤4 :10.00部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :68.00部
【0195】
実施例2~15、比較例1~3
着色組成物GM-2~18の製造
以下、表1に示す組成に変更した以外は着色組成物GM-1と同様にして、着色組成物GM-2~18を得た。
【0196】
【表1】

緑色フタロシアニン系顔料GP-1 : C.I.ピグメントグリーン63(トーヨーカラー社製オプトリオングリーン8890)
緑色フタロシアニン系顔料GP-2 : C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製ファーストゲーングリーンA110)
アゾメチン系金属錯体顔料B-1 : C.I.ピグメントイエロー129(BASF社製イルガジンイエローL0800)
アゾメチン系金属錯体顔料B-2 : C.I.ピグメントイエロー117(BASF社製パリオトールイエロー4G)
その他の顔料GY-1 : 特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物(b)
【0197】
着色組成物YM-1の製造
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過し、固形分が20質量%の着色組成物YM-1を得た。

C.I.ピグメントイエロー138
(BASF社製「パリオトールイエローK0960-HD」 :10.92部
酸性官能基を有する色素誘導体C-5 : 0.97部
塩基性官能基を有する色素誘導体D-1 : 0.11部
樹脂型分散剤1 :10.00部
樹脂型分散剤4 :10.00部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :68.00部
【0198】
(着色組成物の評価)
得られた着色組成物の保存安定性と、それを用いて作製した塗膜の異物およびコントラスト比の評価を下記方法で行った。評価結果を表2に示す。
【0199】
(保存安定性の評価)
着色組成物の25℃における粘度を、E型粘度計(東機産業社製TUE-20L型)を用い回転数20rpmで測定した。着色組成物の作製当日の初期粘度と、40℃の恒温室にて7日間保存後に測定した粘度から、粘度変化率(%)(=(40℃7日間保存後の粘度-初期粘度)/初期粘度)を算出し、保存安定性を下記の基準にて評価した。

◎:粘度変化率が10%未満(極めて良好)
○:粘度変化率が10%以上、20%未満 (良好)
×:粘度変化率が20%以上(不良)
【0200】
(異物の評価)
着色組成物を100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.0μmになるように塗布し、次に70℃で20分間乾燥し、次いで、230℃で40分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。評価はオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行った。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして下記の基準にて評価した。

◎:異物の数が5個未満(極めて良好)
○:異物の数が5個以上、10個未満(良好
×:異物の数が10個以上(不良)
【0201】
(コントラスト比の評価)
コントラストテスター(壺坂電気株式会社製、装置名:CT-1)を用いて異物評価で作成した塗布基板のコントラスト比を測定した。この装置は2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設置する場所があり、偏光板の一方には光源を、更にその反対側には色彩輝度計を設置しているものである。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度) の比よりコントラストを算出している。なお、カラーフィルタのない状態であるブランクのコントラストが、10000となるように、あらかじめ調整してから測定した。コントラストは高いほど優れる。
【0202】
【表2】
【0203】
表2に示すように本発明の着色組成物は保存安定性、異物およびコントラスト比において良好な結果であった。
【0204】
(光硬化性組成物の製造方法)
実施例101
光硬化性組成物GR-1の製造
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過して、光硬化性組成物GR-1を得た。

着色組成物GM-1 :37.3部
着色組成物YM-1 :26.1部
アクリル樹脂溶液 : 2.6部
重合性化合物(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 1.6部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
光重合開始剤(BASF社製「OXE-02」) : 1.5部
エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :30.9部
【0205】
実施例102~115、比較例101~103
光硬化性組成物GR-2~18の製造
以下、着色組成物GM-1を表3に示す組成に変更した以外は光硬化性組成物GR-1と同様にして、光硬化性組成物GR-2~18を得た。
【0206】
【表3】
【0207】
(光硬化性組成物の評価)
得られた光硬化性組成物の耐候性と経時均一性の評価を下記方法で行った。評価結果を表4に示す。
【0208】
(耐候性の評価)
得られた光硬化性組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、減圧乾燥機にて溶剤を飛ばして硬化性組成物膜を得た。次いで、この基板を超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、50mJ/cm2で露光した。その後、この基板を23℃、0.1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中230℃で40分間加熱した。次いで、加熱後の基板を再びにスピンコート法によりオーバーコート剤(株式会社アサヒ化学研究所社製FR-1T-NSD9)を塗工した後、減圧乾燥機を用いて乾燥した。その後、基板をホットプレート上90℃で2分間焼成した後、さらにクリーンオーブン中230℃で60分間加熱した。次いで、得られた硬化性組成物膜およびオーバーコート剤付きの基板を2cm×5cmで断裁した。断裁した基板塗膜上に、紫外線硬化封止剤を0.020ml滴下した後、18mm×18mmのカバーガラスを被せ、カバーガラス端部にぬれ広がるまで水平状態で静置した。その後、断裁した基板の封止部分を超高圧水銀ランプを用い、照度30mW/cm2、50mJ/cm2で露光し、低酸素環境を再現した耐候性試験用基板を得た。( 図1)さらに得られた耐候性試験用基板のXYZ表色系における初期明度を測定した。その後、LED照明を200時間照射した後、初期明度測定と同じ箇所の明度を再度測定して照射後明度とする。明度変化率(%)(=(照射後明度-初期明度)/初期明度)を算出し、下記の基準にて評価した。

◎:明度変化率が-5.0%未満
○:明度変化率が-5.0%以上、-12.0%未満
×:明度変化率が-12.0%以上
【0209】
(経時均一性の評価)
得られた光硬化性組成物をスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、減圧乾燥機にて溶剤を飛ばして硬化性組成物膜を得た。次いで、この基板を超高圧水銀ランプを用い、1nm厚さの青板を介して紫外線を露光した。その後、クリーンオーブン中230℃で40分間加熱した。次いで、ポストベーク後の基板を再びにスピンコート法によりオーバーコート剤を塗工した後、減圧乾燥機を用いて乾燥した。その後、基板をホットプレート上90℃で2分間焼成した後、さらにクリーンオーブン中230℃で60分間加熱した。次いで、得られた硬化被膜上に、面積3.464×10-4m2の電極用のアルミニウムを蒸着し、硬化被膜をアルミ電極で挟んだサンプルを作製した。得られたサンプルに対して、インピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製「1260型」)を用いて、10Hz~1MHzまでの静電容量を、印過電圧100mVの条件で測定し、20Hzにおける初期誘電正接値を算出した。次に40℃の恒温室にて7日間保存した光硬化性組成物について同様の方法で測定を行い、20Hzにおける経時誘電正接値を算出した。さらに経時均一性(%)(=経時誘電正接値/初期誘電正接値)を算出し、下記の基準にて評価した。変化率が小さいほど経時均一性は良好であり、電気的信頼性が高いカラーフィルタであると言える。

◎:経時均一性が115%未満
○:経時均一性が115%以上、130%未満
×:経時均一性が130%以上
【0210】
【表4】
【0211】
表4に示すように本発明の光硬化性組成物は耐候性や経時均一性が良好な結果であった。
【符号の説明】
【0212】
1 カバーガラス
2 紫外線硬化封止剤
3 オーバーコート剤
4 光硬化性組成物膜
5 ガラス基板
6 バックライト
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶
図1
図2