(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071826
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182263
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056HA29
2C056HA34
2C056KD06
(57)【要約】
【課題】シートに付着した未乾燥の液体と読取部とが接触しない画像読取装置を提供する。
【解決手段】プリンタ10は、シートSの画像を読み取る読取部30と、搬送向きPにおいて、第1搬送ローラ対51と読取部30との間の第1位置、および、読取部30と第2搬送ローラ対52との間の第2位置のうちの少なくとも一方であって、搬送路33において読取部30と同じ側に位置しており、搬送向きPと交差する交差方向9に沿った軸線周りに回転する回転体と、を備える。読取部30は、ガラス板76を有する。回転体は、径方向外向きへ突出してシートに接触する複数の突起91Bを有する。複数の突起91Bの先端91BBは、回転体の回転により、搬送路33においてガラス板76よりも支持部28に近い位置へ位置し得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが通過する搬送路を有する筐体と、
シートに液体を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドよりもシートの搬送向きの下流に位置しており、シートを上記搬送向きへ搬送する第1搬送ローラ対と、
上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送向きの下流に位置しており、シートを上記搬送向きへ搬送する第2搬送ローラ対と、
上記搬送向きにおいて上記第1搬送ローラ対と上記第2搬送ローラ対との間に位置しており、シートの画像を読み取る読取部と、
上記搬送路において上記読取部と対向しており、シートを支持するシート支持部と、
上記読取部と上記シート支持部との間に位置するガラス板と、
上記搬送向きにおいて、上記第1搬送ローラ対と上記読取部との間の第1位置、および、上記読取部と上記第2搬送ローラ対との間の第2位置のうちの少なくとも一方であって、上記搬送路において上記読取部と同じ側に設けられており、上記搬送向きと交差する交差方向に沿った軸線周りに回転する回転体と、を備えており、
上記読取部は、
上記ガラス板を通じて上記シート支持部へ照射光を照射する光源と、
シートからの反射光を上記ガラス板を通じて受光する受光部と、を有しており、
上記回転体は、径方向外向きへ突出してシートに接触する複数の突起を有しており、
上記複数の突起の先端は、上記搬送路において上記ガラス板よりも上記シート支持部に近い位置へ位置する画像読取装置。
【請求項2】
上記回転体は、上記第1位置に位置する第1回転体と上記第2位置に位置する第2回転体とを有する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記回転体は、上記搬送路の上記交差方向の中央に設けられる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
第1支持部材と、
第2支持部材と、を更に備えており、
上記第1搬送ローラ対は、第1駆動ローラと、上記第1駆動ローラとの間でシートを挟持する第1従動ローラと、を有しており、
上記第2搬送ローラ対は、第2駆動ローラと、上記第2駆動ローラとの間でシートを挟持する第2従動ローラと、を有しており、
上記第2支持部材は、上記第1従動ローラおよび上記第2従動ローラを支持しており、
上記第1支持部材は、上記読取部および上記回転体を支持する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記回転体の外径は、上記第1従動ローラの外径および上記第2従動ローラの外径よりも小さい請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
上記回転体は、上記交差方向に間隔を空けて複数設けられる請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
上記ガラス板の厚みは、上記ガラス板と上記シート支持部との最短距離よりも小さい請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
上記搬送向きにおいて上記記録ヘッドと上記第1搬送ローラ対との間に位置しており、シートに付着した液体またはシートの少なくともいずれか一方を加熱する加熱部を更に備える請求項1から7のいずれかに記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートに記録された画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シート読取り装置が開示されている。シート読取り装置は、イメージセンサを備える。イメージセンサは、搬送路を搬送されるシート上の画像を読み取る。イメージセンサはケーシングを有する。ケーシングの下面は開口する。ケーシング内には、光源、レンズ、および受光部が位置する。ケーシングの開口は、ガラス板により封止されている。ケーシングは、上部筐体に装着された保持部材に保持されている。保持部材は底板を備える。底板は、透光孔を有する。透光孔を通じてイメージセンサから光が発射され、また、イメージセンサに光が入射する。ガラス板とシートとの間に底板があるため、ガラス板とシートとが離れている。これにより、シートに付着している未乾燥のインクが、ガラス板に付着し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート読取り装置では、底板が、シートに付着した未乾燥のインクと接触し得る。底板との接触により、未乾燥のインクがシートにおいて拡がり、シートの画像が乱れるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートに付着した未乾燥の液体と読取部とが接触しない画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像読取装置は、筐体と、記録ヘッドと、第1搬送ローラ対と、第2搬送ローラ対と、読取部と、シート支持部と、ガラス板と、回転体と、を備える。筐体は、シートが通過する搬送路を有する。記録ヘッドは、シートに液体を吐出する。第1搬送ローラ対は、上記記録ヘッドよりもシートの搬送向きの下流に位置しており、シートを上記搬送向きへ搬送する。第2搬送ローラ対は、上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送向きの下流に位置しており、シートを上記搬送向きへ搬送する。読取部は、上記搬送向きにおいて上記第1搬送ローラ対と上記第2搬送ローラ対との間に位置しており、シートの画像を読み取る。シート支持部は、上記搬送路において上記読取部と対向しており、シートを支持する。ガラス板は、上記読取部と上記シート支持部との間に位置する。上記回転体は、上記搬送向きにおいて、上記第1搬送ローラ対と上記読取部との間の第1位置、および、上記読取部と上記第2搬送ローラ対との間の第2位置うちの少なくとも一方にある。上記回転体は、上記搬送路において上記読取部と同じ側に設けられており、上記搬送向きと交差する交差方向に沿った軸線周りに回転する。上記読取部は、上記ガラス板を通じて上記支持部へ照射光を照射する光源と、シートからの反射光を上記ガラス板を通じて受光する受光部と、を有する。上記回転体は、径方向外向きへ突出してシートに接触する複数の突起を有する。上記複数の突起の先端は、上記搬送路において上記ガラス板よりも上記シート支持部に近い位置へ位置する。
【0007】
搬送路において、シートが回転体の複数の突起と当接することにより、シートがガラス板に接触しない。その結果、シートに付着した液体がガラス板に接触することが防止される。複数の突起により、回転体に突起が設けられていない場合に比べて、回転体とシートとの接触面積が小さくなる。これにより、シートに付着した未乾燥の液体が搬送向きへ拡げられることが少ない。
【0008】
(2)上記回転体は、上記第1位置に位置する第1回転体と上記第2位置に位置する第2回転体とを有してもよい。
【0009】
第1位置においてシートが第1回転体と接触し、第2位置においてシートが第2回転体と接触する。これによりシートがガラス板に一層接触しない。
【0010】
(3)上記回転体は、上記搬送路の上記交差方向の中央に位置する。
【0011】
交差方向においてシートの中央に回転体が当接するので、シートとガラス板とが一層接触しない。
【0012】
(4)上記画像読取装置は、第1支持部材と第2支持部材とを更に備えてもよい。上記第1搬送ローラ対は、第1駆動ローラと、上記第1駆動ローラとの間でシートを挟持する第1従動ローラと、を有してもよい。上記第2搬送ローラ対は、第2駆動ローラと、上記第2駆動ローラとの間でシートを挟持する第2従動ローラと、を有してもよい。上記第2支持部材は、上記第1従動ローラおよび上記第2従動ローラを支持してもよい。上記第1支持部材は、上記読取部および上記回転体を支持してもよい。
【0013】
読取部および回転体が第1支持部材に支持されることにより、ガラス板と回転体との相対的な位置精度が高い。
【0014】
(5)上記回転体の外径は、上記第1従動ローラの外径および上記第2従動ローラの外径よりも小さくてもよい。
【0015】
回転体の外径が第1従動ローラの外径および第2従動ローラの外径よりも大きい場合に比べて、回転体がガラス板に近い位置に配置できる。
【0016】
(6)上記回転体は、上記交差方向に間隔を空けて複数設けられてもよい。
【0017】
シートとガラス板との接触が確実に抑制される。
【0018】
(7)上記ガラス板の厚みは、上記ガラス板と上記シート支持部との最短距離よりも小さくてもよい。
【0019】
ガラス板とシート支持部との間の間隔が大きくなるので、第1搬送ローラ対によって搬送されるシートがガラス板に一層接触しない。
【0020】
(8)上記画像読取装置は、上記搬送向きにおいて上記記録ヘッドと上記第1搬送ローラ対との間に位置しており、シートに付着した液体またはシートの少なくともいずれか一方を加熱する加熱部を更に備えてもよい。
【0021】
加熱部に加熱されたシートが変形しても、シートがガラス板に接触しない。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、シートに付着した未乾燥の液体が読取部と接触しない。その結果、シートに記録された画像が乱れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1(A)は、プリンタ10の外観を模式的に示す斜視図、
図1(B)は、筐体カバー13が開位置にあるプリンタ10を模式的に示す斜視図。
【
図2】
図2は、
図1の線II-IIに沿うプリンタ10の縦断面を示す模式図。
【
図3】
図3は、支持機構25を含む周辺を上方から視た模式図。
【
図4】
図4は、
図1の線II-IIに沿う筐体カバー13の縦断面においてCISユニット30を含む周辺の拡大図。
【
図5】
図5は、第4拍車ローラ91が搬送路33の左右方向9の中央に位置した状態を示す模式図。
【
図6】
図6は、複数の第4拍車ローラ91が左右方向9に間隔を空けて位置した状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本開示の一例にすぎず、本開示の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0025】
実施形態では、
図1(A)に示されるように、プリンタ10が使用可能に設置された状態を基準として上下方向が定義される。プリンタ10において排出口16が設けられている側を前側として、前後方向が定義される。プリンタ10を前方から見て左右方向が定義される。左右方向は、交差方向の一例である。
【0026】
図1、
図2に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。プリンタ10は、画像読取装置の一例である。
【0027】
[プリンタ10の外観構成]
プリンタ10は、筐体1を有する。筐体1は、略直方体形状である。筐体1の内部にプリンタ10の内部空間11がある。筐体1は、筐体ケース12および筐体カバー13からなる。
【0028】
筐体ケース12の前壁15には、排出口16が位置する。排出口16は、左右に細長い矩形形状の貫通孔である。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁17に、軸受およびシャフトにより取り付けられる。
【0029】
筐体カバー13は、閉位置および開位置の間でシャフトの回転軸18を中心に回動する。筐体カバー13が閉位置にある状態が
図1(A)に示される。筐体カバー13が開位置にある状態およびシャフトの回転軸18が
図1(B)に示される。シャフトの回転軸18は、左右方向に沿って延びる。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口19を閉塞し、開位置の筐体カバー13は、開口19を開放する。なお、
図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0030】
[プリンタ10の内部構成]
図2に示されるように、プリンタ10は、内部空間11に、ロールホルダ21、テンショナ22、搬送部23、記録ヘッド24、支持機構25、ヒータ26、ヒータカバー27、基準板29、CISユニット30、および拍車ホルダユニット31を備える。CISユニット30の「CIS」は、A Contact Image Sensorの略である。ヒータ26は、加熱部の一例である。基準板29は、シート支持部の一例である。CISユニット30は、読取部の一例である。拍車ホルダユニット31は、第2支持部材の一例である。
【0031】
[ロールホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁36によりシート収容空間37が区画される。シート収容空間37には、ロールホルダ21を支持する第1フレームが設けられる。ロールホルダ21は、シート収容空間37内で第1フレームにより支持される。ロールホルダ21には、ロール体38が装着される。ロール体38は、芯管と、芯管に巻回されたシートSと、を有する。ロール体38は、芯管を有さないロール状に巻回されたシートSでもよい。なお、ロールホルダ21は、省略されてもよい。この場合、シート収容空間37には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容されてもよい。隔壁36の後端と、後壁17との間には、シートSが通過する隙間39がある。シートSは、隙間39を通してロール体38から引き出される。ロール体38から引き出されたシートSは、テンショナ22に掛けられる。
【0032】
[テンショナ22]
テンショナ22は、隔壁36より上方であり、かつ後壁17付近に位置する。テンショナ22は、内部空間11内で左右両端付近に位置する2つの第2フレームに支持される。テンショナ22は、2つの第2フレーム間で左右方向に延びる。テンショナ22は、バネにより後向きに付勢される。テンショナ22は、前後方向に移動可能である。テンショナ22は、後向きに膨らむ湾曲面40を有している。ロール体38から引き出されたシートSは、湾曲面40に下方から掛けられて湾曲面40の上端を通過して、テンショナ22の前方に位置する搬送ローラ対41に向かって延びる。湾曲面40に掛けられたシートSが搬送ローラ対41によって前向きに搬送されることにより、テンショナ22は、シートSに後向きのテンションを付与する。
【0033】
[搬送部23]
搬送部23は、シートSを搬送路33に沿って搬送する。搬送部23は、ロール体38から引き出したシートSを排出口16に搬送する。搬送部23は、搬送ローラ対41と、第1排出ローラ対51と、第2排出ローラ対52と、を有する。第1排出ローラ対51は、第1搬送ローラ対の一例である。第2排出ローラ対52は、第2搬送ローラ対の一例である。
【0034】
図2において、内部空間11には、シートSの搬送路33が形成される。搬送路33は、ロール体38から上方に延びた後、テンショナ22の上端から前向きに延びて排出口16に至る。つまり、ロール体38とテンショナ22との間におけるシートSが搬送される搬送向きPは上向きであり、テンショナ22と排出口16との間における搬送向きPは、前向きである。
【0035】
搬送ローラ対41は、テンショナ22の前方に位置する。搬送ローラ対41は、駆動ローラ42およびピンチローラ43を有する。駆動ローラ42は、搬送路33の下方に位置する。駆動ローラ42は、左右方向に沿って延びている。駆動ローラ42は、左右方向に沿った軸線回りに回転可能に第3フレームに支持されている。駆動ローラ42は、モータから伝達される駆動力によって回転する。ピンチローラ43は、搬送路33の上方に位置する。ピンチローラ43は、駆動ローラ42の上端に上方から当接する。搬送ローラ対41は、駆動ローラ42とピンチローラ43との間にシートSをニップしつつ前向きにシートSを搬送する。
【0036】
第1排出ローラ対51は、CISユニット30の後方、且つヒータ26の前方に位置する。第1排出ローラ対51は、第1排出ローラ28Aと第1拍車ローラ317Aとを有する。第1排出ローラ28Aは、左右方向に沿って延びている。第1排出ローラ28Aは、左右方向に沿った軸線回りに回転可能に第3フレームに支持されている。第1排出ローラ28Aは、モータから伝達される駆動力によって回転する。第1拍車ローラ317Aは、左右方向に沿った軸線回りに回転可能に拍車ホルダユニット31に支持されている。なお、第1拍車ローラ317Aは、左右方向に間隔を空けて複数設けられてもよい。拍車ホルダユニット31については後述する。第1排出ローラ対51は、第1排出ローラ28AがシートSの下面に当接し、第1拍車ローラ317AがシートSの上面に当接した状態、すなわち、第1排出ローラ28Aと第1拍車ローラ317Aとの間にシートSをニップした状態で、前向きにシートSを搬送する。第1拍車ローラ317Aは、第1従動ローラの一例である。
【0037】
第2排出ローラ対52は、CISユニット30の前方、且つ排出口16の後方に位置する。第2排出ローラ対52は、第2排出ローラ28Bと第2拍車ローラ317Bとを有する。第2排出ローラ28Bは、左右方向に沿って延びている。第2排出ローラ28Bは、左右方向に沿った軸線回りに回転可能に第4フレームに支持されている。第2排出ローラ28Bは、モータから伝達される駆動力によって回転する。第2拍車ローラ317Bの形状および大きさは、第1拍車ローラ317Aの形状および大きさと同じである。第2拍車ローラ317Bは、拍車ホルダユニット31に回転可能に支持されている。なお、第2拍車ローラ317Bは、左右方向に間隔を空けて複数設けられてもよい。第2排出ローラ対52は、第2排出ローラ28BがシートSの下面に当接し、第2拍車ローラ317BがシートSの上面に当接した状態、すなわち、第2排出ローラ28Bと第2拍車ローラ317Bとの間にシートSをニップした状態で、前向きにシートSを搬送する。第2拍車ローラ317Bは、第2従動ローラの一例である。
【0038】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、ピンチローラ43の前方且つ支持機構25の上方の位置で第4フレームに支持される。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル70が開口する面であるノズル面71を有している。記録ヘッド24は、インクタンクからチューブを介してインクの供給を受ける。インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含有し、シートSへの定着に加熱を要する。記録ヘッド24は、支持機構25に支持されたシートSへ向かって複数のノズル70からインクを吐出する。これにより、シートSの記録面にインクによる画像が記録される。インクは、液体の一例である。
【0039】
[支持機構25]
支持機構25は、搬送ローラ対41より前方、且つ記録ヘッド24の直下に位置し、第5フレームにより支持される。支持機構25は、搬送ベルト60と、駆動プーリ61と、従動プーリ62と、シート支持部材63と、を有する。
【0040】
駆動プーリ61と従動プーリ62は、
図2に示されるように、前後方向に離れて位置する。搬送ベルト60は、駆動プーリ61および従動プーリ62に張架された無端ベルトである。駆動プーリ61は、モータで生成された動力によって回転する。これにより、駆動プーリ61は、搬送ベルト60および従動プーリ62を回転する。
【0041】
搬送ベルト60は、
図2および
図3に示されるように、搬送面64を有している。搬送面64は、搬送ベルト60の上端の矩形状の部分である。搬送面64は、記録ヘッド24のノズル面71と上下方向に対向している。搬送面64の左右方向の幅は、シートSの左右方向の幅よりも小さい。搬送面64は、搬送ローラ対41とヒータ26との間においてシートSを下方から支持する。これにより、搬送ベルト60は、シートSに搬送力を付与する。
【0042】
図3に示されるように、シート支持部材63は、左支持部材65および右支持部材66を有する。左支持部材65は、搬送ベルト60の左隣に位置する。左支持部材65は、前向き及び上向きに開放する箱型である。左支持部材65は、底壁、後壁、左壁、および右壁を有する。底壁は、左支持部材65の底を構成する。後壁は、左支持部材65の後側を構成する。左壁は、左支持部材65の左側を構成する。右壁は、左支持部材65の右側を構成する。左支持部材65は、搬送面64に支持されるシートSを搬送面64の左隣で支持する左支持面を有する。左支持部材65は、左支持面から下向きに凹んだ左流路65Aを有する。左流路65Aは、前後方向に沿って延び、前向き及び上向きに開放された空間である。左支持部材65は、左貫通孔67Lを有する。左貫通孔67Lは、左支持部材65の底壁を上下方向に沿って貫通する。左貫通孔67Lは、左流路65Aの後端部に上向きに開口する。左流路65Aは、左右方向に複数設けられる。左貫通孔67Lは、各左流路65Aに設けられる。
【0043】
右支持部材66は、搬送ベルト60の右隣に位置する。右支持部材66は、前向き及び上向きに開放する箱型である。右支持部材66は、底壁、後壁、左壁、および右壁を有する。底壁は、右支持部材66の底を構成する。後壁は、右支持部材66の後側を構成する。左壁は、右支持部材66の左側を構成する。右壁は、左支持部材66の右側を構成する。右支持部材66は、搬送面64に支持されるシートSを搬送面64の右隣で支持する右支持面を有する。右支持部材66は、右支持面から下向きに凹んだ右流路66Aを有する。右流路66Aは、前後方向に沿って延び、前向き及び上向きに開放された空間である。右支持部材66は、右貫通孔67Rを有する。右貫通孔67Rは、右支持部材66の底壁を上下方向に沿って貫通する。右貫通孔67Rは、右流路66Aの後端部に上向きに開口する。右流路66Aは、左右方向に複数設けられる。右貫通孔67Rは、各右流路66Aに設けられる。
【0044】
各左貫通孔67Lに別々の分岐チューブが接続されている。各右貫通孔67Rに別々の分岐チューブが接続されている。これらの分岐チューブは、1本の合流チューブに接続されている。合流チューブに1つの吸引ポンプが接続される。吸引ポンプが駆動すると、各左流路65Aおよび各右流路66Aに搬送向きPと反対向きに流れる気流が発生する。これにより、シートSは、左支持部材65の左支持面および右支持部材66の右支持面に吸着しつつ、搬送ベルト60から付与される搬送力によって前向きに搬送される。
【0045】
[ヒータ26]
ヒータ26は、支持機構25と第1排出ローラ対51との前後方向の間に位置している。ヒータ26は、第5フレームに支持されている。ヒータ26は、伝熱プレート73およびフィルムヒータ74を有する。伝熱プレート73は、金属製である。伝熱プレート73は、搬送ベルト60の搬送面64と概ね同じ上下位置に支持面73Aを有する。支持面73Aは、前後方向および左右方向に拡がっている。支持面73Aは、支持機構25から送り出されたシートSの下面を支持する。フィルムヒータ74は、伝熱プレート73の下面に固定されている。フィルムヒータ74は、ポリイミド等の樹脂で形成されたフィルムとフィルムに形成された電熱線とを有する。フィルムヒータ74は、コントローラ(不図示)の制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレート73を介して、伝熱プレート73上のシートSに伝わる。シートSに伝わった熱は、シートSそのもの、シートSに吐出されたインク、シートSに含浸したインクを加熱し、シートSから水分を蒸発させる。
【0046】
[ヒータカバー27]
ヒータカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置する。ヒータカバー27は、
図1(B)に示されるように、筐体カバー13の左壁14および右壁20の間で前後左右に拡がる。ヒータカバー27は、伝熱プレート73の支持面73A全域を覆っている。ヒータカバー27は、直方体状の空間を有する箱型である。ヒータカバー27の下面にスリットが形成される。ヒータカバー27内には、第3拍車ローラ75が設けられる。第3拍車ローラ75は、左右方向に平行な回転軸周りに回転可能にヒータカバー27に支持される。第3拍車ローラ75の下端は、ヒータカバー27の下面に対しスリットを通して若干下方に突出する。なお、
図2では、3つの第3拍車ローラ75がヒータカバー27の下面に対し若干下方に突出する。この場合、ヒータカバー27の下面に3つの第3拍車ローラ75に対応して3つのスリットが形成される。
【0047】
[基準板29]
基準板29は、前後方向において第1排出ローラ28Aと第2排出ローラ28Bとの間に位置している。基準板29は、第6フレームに支持されている。基準板29は、支持面29Aを有する。支持面29Aは、第1排出ローラ28Aの上端および第2排出ローラ28Bの上端と上下方向において概ね同じ位置である。支持面29Aは、前後方向および左右方向に拡がっている。支持面29Aは、上向きであり、白色に着色されている。
【0048】
[CISユニット30]
CISユニット30は、シートSに記録された画像を読み取る。CISユニット30は、ヒータ26よりも前方に位置している。より具体的には、
図4に示されるように、CISユニット30は、第1排出ローラ対51と第2排出ローラ対52との前後方向の間に位置する。CISユニット30は、上下方向において基準板29の直上に位置する。CISユニット30は、第1排出ローラ対51と第2排出ローラ対52との前後方向の間に位置する筐体77に支持されている。筐体77は、第1支持部材の一例である。
【0049】
筐体77は、本体部77A、第1支持部77B、および第2支持部77Cを有する。本体部77Aは、左右方向に長い直方体形状の箱である。本体部77Aは、上壁、前壁、後壁、左壁、右壁、及び底壁を有する。上壁は、本体部77Aの上側を構成する。前壁は、本体部77Aの前側を構成する。後壁は、本体部77Aの後側を構成する。左壁は、本体部77Aの左側を構成する。右壁は、本体部77Aの右側を構成する。底壁は、本体部77Aの底を構成する。底壁は、本体部77Aの内部空間を下向きに開放する開口85を有する。開口85は、基準板29と上下方向に対向する。開口85は、前後方向および左右方向に拡がる。開口85は、前後方向よりも左右方向に長い。CISユニット30は、基板78、LEDアレイ79、ロッドレンズアレイ80、およびラインセンサ81を本体部77Aの内部空間に有する。LEDアレイ79は、光源の一例である。ラインセンサ81は、受光部の一例である。
【0050】
基板78は、本体部77Aの内部空間において、上下方向における上寄りに位置している。基板78は、前後方向および左右方向に拡がる平板形状である。基板78には、LEDアレイ79、およびラインセンサ81が搭載されている。
【0051】
LEDアレイ79は、LEDから照射される光をシートSに向けて出射する。ラインセンサ81の直下にはロッドレンズアレイ80が位置している。ロッドレンズアレイ80は、左右方向に配列された複数のロッドレンズを含む。ロッドレンズアレイ80は、シートSでの反射光をラインセンサ81に結像させる。ラインセンサ81は、左右方向に配列された複数のPhotodiode(PD)を有する。ラインセンサ81は、各PDへの入射光量に応じて各PDに対応したレベルを有するデータを出力する。
【0052】
LEDアレイ79と基準板29との間にガラス板76が配置されている。ガラス板76は、開口85の上下方向の下方に位置する。ガラス板76は、本体部77Aの下面に固定されている。ガラス板76は、前後方向および左右方向に拡がる。ガラス板76は、開口85よりも前後方向および左右方向に長い。言い換えると、ガラス板76は、開口85全体を覆う。ガラス板76の左右方向の長さは、ガラス板76の前後方向の長さよりも長い。ガラス板76の上面および下面76Aは、左右方向に長い長方形状である。ガラス板76の厚みL1は、ガラス板76の下面76Aと基準板29の支持面29Aとの上下方向の距離L2よりも小さい。ガラス板76の厚みL1は、例えば、0.4mm~1.0mmの範囲である。距離L2は、例えば、1.2mm~2.2mmの範囲である。距離L2は、最短距離の一例である。ガラス板76は、LEDアレイ79から出射された光、および、画像が記録されたシートSで反射した反射光を透過する。
【0053】
第1支持部77Bは、CISユニット30の前後方向における後方位置Bに位置する。後方位置Bは、第1拍車ローラ317AとCISユニット30との前後方向の間である。後方位置Bは、第1位置の一例である。第1支持部77Bは、本体部77Aの後壁の後面に設けられる。第1支持部77Bは、左右方向に沿って延びている。第1支持部77Bの左右方向の長さは、ガラス板76の左右方向の長さと略等しい。第1支持部77Bは、右方から左方へ視てU字状の断面形状を有する。第1支持部77Bは、前壁、後壁、および底壁を有する。前壁は、U字状の前側を構成する。後壁は、U字状の後側を構成する。底壁は、U字状の下側を構成する。
図5に示されるように、第1支持部77Bは、底壁を上下方向に貫通する第1スリット82を有する。第1スリット82は、第1支持部77Bの底壁の左右方向の中央に位置している。第1スリット82の左右方向の位置は、搬送路33の左右方向の中央と一致している。第1スリット82は、前後方向に沿って延びている。第1支持部77Bは、第4拍車ローラ91を支持する。第4拍車ローラ91は、第1回転体の一例である。
【0054】
第4拍車ローラ91は、第1スリット82を通して第1支持部77Bの底壁よりも下方に突出している。これにより、第4拍車ローラ91は、搬送路33の左右方向の中央に位置している。第4拍車ローラ91は、第1支持部77BのU字状の内面によって軸線Aを中心に回転可能に支持される。軸線Aは、左右方向に沿って延びる。第4拍車ローラ91は、第1拍車ローラ317Aおよび第2拍車ローラ317Bと同じ形状を有する。第4拍車ローラ91は、第1拍車ローラ317Aよりも小さい。第4拍車ローラ91は、円形状の回転部91Aおよび複数の突起91Bを有する。
【0055】
回転部91Aの左右方向の厚みは、突起91Bの左右方向の厚みよりも大きい。複数の突起91Bは、回転部91Aの外周面から径方向外向きへ突出している。複数の突起91Bは、回転部91Aの回転方向に沿って全周に亘って等間隔に並んでいる。各突起91Bの左右方向の厚みは、回転部91Aの左右方向の厚みよりも小さい。各突起91Bの先端側は、各突起91Bの基端側よりも小さい。各突起91Bは、左右方向から視て先細りである。本実施形態では、
図4に示されるように、各突起91Bは、右方から左方へ視て三角形状である。各突起91Bの先端91BBは、回転部91Aの回転中心を中心とする仮想円上に位置する。
【0056】
第4拍車ローラ91の外径D1は、第1拍車ローラ317Aの外径D2よりも小さい。第4拍車ローラ91の外径D1は、複数の突起91Bの先端91BBを通る仮想円の直径である。第1拍車ローラ317Aの外径D2は、第1拍車ローラ317Aの外周面から突出する複数の突出端を通る仮想円の直径である。複数の突起91Bの先端91BBは、第4拍車ローラ91の回転に伴って、ガラス板76の下面76Aよりも下方へ位置する。言い換えると、複数の突起91Bの先端91BBは、第4拍車ローラ91の回転に伴って、搬送路33においてガラス板76の下面76Aよりも基準板29の支持面29Aに近い位置へ位置する。
【0057】
第2支持部77Cは、CISユニット30の前後方向における前方位置Fに位置する。前方位置Fは、第2拍車ローラ317BとCISユニット30との前後方向の間である。前方位置Fは、第2位置の一例である。第2支持部77Cは、本体部77Aの前壁の前面に設けられる。第2支持部77Cは、左右方向に沿って延びている。第2支持部77Cの左右方向の長さは、ガラス板76の左右方向の長さと略等しい。第2支持部77Cは、左右方向から視てU字状の断面形状を有する。第2支持部77Cは、前壁、後壁、および底壁を有する。前壁は、U字状の前側を構成する。後壁は、U字状の後側を構成する。底壁は、U字状の下側を構成する。第2支持部77Cは、底壁を上下方向に貫通する第2スリット93を有する。第2スリット93は、
図5に示されるように、第2支持部77Cの底壁の左右方向の中央に位置している。第2スリット93の位置は、左右方向において搬送路33の左右方向の中央と一致している。第2スリット93は、前後方向に沿って延びている。第2支持部77Cは、第5拍車ローラ95を支持する。第5拍車ローラ95は、第2回転体の一例である。
【0058】
第5拍車ローラ95は、第2スリット93を通して第2支持部77Cの底壁よりも下方に突出している。これにより、第5拍車ローラ95は、
図5に示されるように、搬送路33の左右方向の中央に位置している。第5拍車ローラ95は、第2支持部77CのU字状の内面によって軸線Aを中心に回転可能に支持される。第5拍車ローラ95の形状および大きさは、第4拍車ローラ91と同一の形状および大きさを有する。このため、第5拍車ローラ95において第4拍車ローラ91と対応する要素については、
図5において第4拍車ローラ91と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
[拍車ホルダユニット31]
図4に示されるように、拍車ホルダユニット31は、第1排出ローラ28Aおよび第2排出ローラ28Bの上方に位置している。拍車ホルダユニット31は、第1拍車ローラ317Aを支持する第1拍車ホルダ313Aと、第2拍車ローラ317Bを支持する第2拍車ホルダ313Bと、を有する。
【0060】
第1拍車ホルダ313Aは、第1支持部77Bの後方において第1排出ローラ28Aの上方に位置している。第1拍車ホルダ313Aは、搬送路33において第1排出ローラ28Aと上下方向に対向している。第1拍車ホルダ313Aは、第1支持部77Bよりも左右方向に長い略直方体の外観形状を有する。第1拍車ホルダ313Aは、第1支持部77Bよりも左右方向の外方まで延びている。第1拍車ホルダ313Aは、右方から左方へ視て、前後方向よりも上下方向に長い内部空間を有する。第1拍車ホルダ313Aは、右方から左方へ視て、U字状の断面形状を有する。第1拍車ホルダ313Aは、前壁、後壁、および底壁を有する。前壁は、U字状の前側を構成する。後壁は、U字状の後側を構成する。底壁は、U字状の下側を構成する。第1拍車ホルダ313Aは、底壁を上下方向に貫通する複数の第3スリットを有する。複数の第3スリットは、左右方向に間隔を空けて位置している。各第3スリットは、前後方向に沿って延びている。各第3スリットを通して、第1拍車ローラ317Aが第1拍車ホルダ313Aの底壁よりも下方に突出している。各第1拍車ローラ317Aは、第1拍車ホルダ313Aの内部空間に形成された内壁に回転可能に支持されている。第1拍車ホルダ313Aの後壁には、その後面から後方に延びる第1嵌合部97が設けられる。
【0061】
第2拍車ホルダ313Bは、第2支持部77Cの前方において第2排出ローラ28Bの上方に位置している。第2拍車ホルダ313Bは、搬送路33において第2排出ローラ28Bと上下方向に対向している。第2拍車ホルダ313Bは、第2拍車ローラ317Bを回転可能に支持する。第2拍車ホルダ313Bは、第1拍車ホルダ313Aと同一の形状および大きさを有する。第2拍車ホルダ313Bの前壁には、前壁の前面から前方に延びる第2嵌合部98が設けられる。
【0062】
第1拍車ホルダ313Aと第2拍車ホルダ313Bとは、左連結部材および右連結部材によって前後方向に連結されている。左連結部材は、第1拍車ホルダ313Aの左端部と第2拍車ホルダ313Bの左端部とを前後方向に連結している。右連結部材は、第1拍車ホルダ313Aの右端部と第2拍車ホルダ313Bの右端部とを前後方向に連結している。なお、第1拍車ホルダ313Aと第2拍車ホルダ313Bとは、連結されていなくてもよい。
【0063】
筐体カバー13に配置された第7フレームに第1シャフト111および第2シャフト112が固定されている。第1シャフトは、第2シャフトの後方に間隔を空けて位置する。第1シャフト111および第2シャフト112は、左右方向に沿って延びる。第1シャフト111および第2シャフト112は、拍車ホルダユニット31を支持する。第1シャフト111は、第1嵌合部97と嵌合している。第2シャフト112は、第2嵌合部98と嵌合している。
【0064】
[プリンタ10の動作]
プリンタ10は、プリンタ10と通信可能な情報処理装置からシートSに記録される画像を示す印刷データを受信すると画像記録を実行する。情報処理装置としては、例えば、PCが挙げられる。
【0065】
画像記録時には、ロール体38、駆動ローラ42、駆動プーリ61、第1排出ローラ28A、第2排出ローラ28Bが回転する。これにより、シートSは、ロール体38から繰り出されてテンショナ22の方へ搬送される。
【0066】
搬送ローラ対41は、テンショナ22によって張力が付与されたシートSをニップし、搬送ベルト60の搬送面64に向けてシートSを前向きに搬送する。搬送ベルト60は、前向きに走行する自身の搬送面64により、シートSをさらに前向きに搬送する。このとき、シートSは、左支持部材65の左支持面および右支持部材66の右支持面に吸着されつつ搬送される。記録ヘッド24は、印刷データに基づいて各ノズル70からインクを支持機構25により支持されるシートSに向けて吐出する。これにより、シートSには、画像が記録される。画像が記録されたシートSは、ヒータ26およびヒータカバー27間へと送られ、ヒータ26の支持面73A上でさらに前方へと搬送される。シートSには、フィルムヒータ74が発した熱が、伝熱プレート73を介して加えられる。この熱により、画像が記録されたシートS上またはシートS内の水分が蒸発する。インクが乾燥すると、画像はシートSに定着する。
【0067】
ヒータ26を通過したシートSは、第1排出ローラ対51における第1排出ローラ28Aと第1拍車ローラ317Aとの間にニップされ、さらに前方へと搬送される。第1排出ローラ対51によって前方へと搬送されるシートSは、基準板29の支持面29Aに支持されつつ、第2排出ローラ対52における第2排出ローラ28Bと第2拍車ローラ317Bとの間にニップされる。第2排出ローラ対52によってニップされたシートSは、さらに前方へと搬送される。このとき、第4拍車ローラ91の複数の突起91Bの先端91BBがシートSに接触することによって第4拍車ローラ91が回転する。同時に、第5拍車ローラ95の複数の突起91Bの先端91BBがシートSに接触することによって第5拍車ローラ95が回転する。これにより、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95の複数の突起91BがシートSを押し下げる方向に作用する。その結果、
図4に示されるように、支持面29Aに対して、ロール体38の巻癖によるシートSの浮き上がりが抑制される。
【0068】
また、このとき、CISユニット30は、シートSに記録された画像を光学的に読み取り、読取結果を示す読取データをコントローラに出力する。このとき、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95によってシートSの浮き上がりが抑制されているため、CISユニット30の下方においてシートSの姿勢が安定し、CISユニット30による読取精度が良くなる。コントローラは、読取データに基づいて、シートSに記録された画像の品質を判定する。シートSは、画像が読み取られた後に排出口16から排出される。
【0069】
[実施形態の作用効果]
プリンタ10では、搬送路33における第1搬送ローラ対51とCISユニット30との間において、第4拍車ローラ91の複数の突起91BがシートSに当接する。さらに、搬送路33における第2搬送ローラ対52とCISユニット30との間において、第5拍車ローラ95の複数の突起91BがシートSに当接する。これにより、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95の複数の突起91BがシートSを押し下げる方向に作用する。その結果、支持面29Aに対して、ロール体38の巻癖によるシートSの浮き上がりが抑制される。このため、シートSがガラス板76の下面76Aに接触しないので、シートSに付着した未乾燥のインクがガラス板76に接触しない。第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95は、回転部91Aの外周面から径方向外向きへ突出する複数の突起91Bを有する。このため、突起91BがシートSに接触するが、突起91Bがない場合は、回転部91AがシートSに接触する。突起91BとシートSの接触面積は、回転部91AとシートSの接触面積よりも小さい。したがって、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95とシートSとの接触面積が、突起91Bが省略される場合と比べて小さい。したがって、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95とシートSに付着した未乾燥のインクとが接触する可能性が低い。その結果、シートSに付着した未乾燥のインクが搬送向きPとは反対向きに拡げられることが防止される。
【0070】
プリンタ10では、第4拍車ローラ91を支持する第1支持部77Bは、CISユニット30の前後方向における後方位置Bに位置している。第5拍車ローラ95を支持する第2支持部77Cは、CISユニット30の前後方向における前方位置Fに位置している。このため、第4拍車ローラ91は、後方位置BにおいてシートSと接触する。第5拍車ローラ95は、前方位置FにおいてシートSと接触する。このため、第4拍車ローラ91と第5拍車ローラ95との前後方向の間においてシートSの浮き上がりが確実に抑制される。その結果、第4拍車ローラ91と第5拍車ローラ95のうちの一方のみがシートSと接触する場合に比べて、シートSがガラス板76の下面76Aに接触することがより確実に防止される。
【0071】
プリンタ10では、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95は、搬送路33の左右方向の中央に位置するので、左右方向においてシートSの中央に接触する。このため、シートSの浮き上がりが左右方向においてバランス良く抑制される。その結果、シートSがガラス板76の下面76Aに接触することがより確実に防止される。
【0072】
プリンタ10では、CISユニット30、第4拍車ローラ91、および第5拍車ローラ95が筐体77に支持されている。このため、CISユニット30のガラス板76と第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95との相対的な位置精度が高い。したがって、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95の複数の突起91Bがガラス板76に対してシートSを押し下げる方向により確実に作用する。
【0073】
プリンタ10では、第4拍車ローラ91の外径および第5拍車ローラ95の外径は、第1拍車ローラ317Aの外径および第2拍車ローラ317Bの外径よりも小さい。このため、第4拍車ローラ91の外径D1が第1拍車ローラ317Aの外径D2よりも大きい場合に比べて、第4拍車ローラ91は、前後方向においてガラス板76に近い位置でシートSに接触できる。また、第5拍車ローラ95の外径D1が第2拍車ローラ317Bの外径D2よりも大きい場合に比べて、第5拍車ローラ95は、前後方向においてガラス板76に近い位置でシートSに接触できる。このため、シートSがガラス板76の下面76Aに接触することがより確実に防止される。
【0074】
プリンタ10では、ガラス板76の厚みL1は、ガラス板76の下面76Aと基準板29の支持面29Aとの上下方向8の距離L2よりも小さい。言い換えると、距離L2がガラス板76の厚みL1よりも大きい。このため、第1排出ローラ対51によって搬送されるシートSがガラス板76の下面76Aに接触することがより確実に防止される。
【0075】
プリンタ10では、第4拍車ローラ91は、ヒータ26によって加熱されたシートSに接触するので、シートSがヒータ26の熱によって変形しても、シートSがガラス板76の下面76Aに接触しない。このため、シートSに付着した未乾燥のインクがガラス板76の下面76Aに付着することが抑制される。
【0076】
[変形例]
プリンタ10では、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95が設けられたが、第4拍車ローラ91および第5拍車ローラ95のうちの一方が省略されてもよい。
【0077】
プリンタ10では、第1支持部77Bは、1つの第4拍車ローラ91を支持したが、
図6に示されるように、複数の第4拍車ローラ91を支持してもよい。この場合、複数の第4拍車ローラ91は、左右方向に間隔を空けて位置する。
【0078】
プリンタ10では、第2支持部77Cは、1つの第5拍車ローラ95を支持したが、複数の第5拍車ローラ95を支持してもよい。この場合、複数の第5拍車ローラ95は、
図6に示されるように、左右方向に間隔を空けて位置する。
【0079】
プリンタ10では、各突起91Bは、左右方向から視て三角形状であったが、基端側よりも先端側が前後方向に小さくなる形状であればよい。例えば、突起91Bは、短軸に沿って楕円を二等分した半楕円状に形成されてもよい。この場合、突起91Bは、その長軸方向が回転部91Aの半径方向に沿うように、回転部91Aの外周面から延びる。プリンタ10では、複数の突起91Bは、回転部91Aの外周面に回転方向に沿って並んでいたが、回転部91Aの外周面にランダムに位置してもよい。この場合、変形例における回転部91Aの軸方向の厚みは、複数の突起91Bを回転部91Aの外周面にランダムに配置しやすくする。このため、回転部91Aの軸方向の厚みは、上記実施形態における回転部91Aの回転部91Aの軸方向の厚みよりも大きくされてもよい。
【0080】
プリンタ10では、第4拍車ローラ91は、筐体77における第1支持部77Bに支持されたが、内部空間11内で左右両端付近に位置する第8フレームに固定されたシャフトに支持されてもよい。第5拍車ローラ95は、筐体77における第2支持部77Cに支持されたが、内部空間11内で左右両端付近に位置する第9フレームに固定されたシャフトに支持されてもよい。
【0081】
プリンタ10では、ヒータ26が設けられたが、ヒータ26は省略されてもよい。この場合、シートSへの定着に加熱を要しないインクが用いられる。
【符号の説明】
【0082】
1・・・筐体
10・・・プリンタ(画像読取装置の一例)
24・・・記録ヘッド
26・・・ヒータ(加熱部の一例)
29・・・基準板(シート支持部の一例)
30・・・CISユニット(読取部の一例)
31・・・拍車ホルダユニット(第2支持部材の一例)
33・・・搬送路
51・・・第1排出ローラ対(第1搬送ローラ対の一例)
52・・・第2排出ローラ対(第2搬送ローラ対の一例)
76・・・ガラス板
77・・・筐体(第1支持部材の一例)
79・・・LEDアレイ(光源の一例)
81・・・ラインセンサ(受光部の一例)
91・・・第4拍車ローラ(回転体の一例)
91B・・・突起
91BB・・・先端
95・・・第5拍車ローラ(回転体の一例)
A・・・軸線
B・・・後方位置(第1位置の一例)
F・・・前方位置(第2位置の一例)
L1・・・厚み
L2・・・距離(最短距離)
D1・・・外径
D2・・・外径
S・・・シート