(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071829
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】切除装置、処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20240520BHJP
B41J 11/68 20060101ALI20240520BHJP
B65H 35/02 20060101ALI20240520BHJP
B26D 1/24 20060101ALI20240520BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B26D7/26
B41J11/68
B65H35/02
B26D1/24 C
B26D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182271
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
【テーマコード(参考)】
2C058
3C021
【Fターム(参考)】
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA07
2C058LA19
2C058LB10
2C058LB19
2C058LC12
3C021JA03
3C021JA09
(57)【要約】
【課題】切除装置等において、一対の搬送ロールに挟持されて搬送される用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制する。
【解決手段】切除装置は、用紙の一部を挟持して搬送する一対の中程搬送ロールと、搬送路の一対の中程搬送ロールの搬送方向Tdと直交する方向の外側に離れた両側領域にそれぞれ配置され、用紙の搬送方向Tdに沿う左右の切除端部を個別に挟持して搬送する一対の端部搬送ロールと一対の端部搬送ロールの一方のロール内側端部に接近して同心状に取り付けられて用紙の切除端部との境目を切断する円板刃とを有する左右の切断ユニットと、を備え、左右の切断ユニット30A,30Bは、端部搬送ロールの軸方向C2,C3が中程搬送ロールの軸方向と平行する状態と中程搬送ロールの軸方向C1に対して搬送方向Tdの上流側に傾く状態に変更可能に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路の搬送方向と直交する方向の中程領域に配置され、前記用紙の一部を挟持して搬送する一対の中程搬送ロールと、
前記搬送路の前記一対の中程搬送ロールから前記搬送方向と直交する方向の外側に離れた両側領域にそれぞれ配置され、前記用紙の前記搬送方向に沿う左右の切除端部を個別に挟持して搬送する一対の端部搬送ロールと前記一対の端部搬送ロールの一方のロール内側端部に接近して同心状に取り付けられて前記用紙の前記切除端部との境目を切断する円板刃とを有する左右の切断ユニットと、
を備え、
前記左右の切断ユニットは、前記端部搬送ロールの軸方向が、前記中程搬送ロールの軸方向と平行する状態と前記中程搬送ロールの軸方向に対して前記搬送方向の上流側に傾く状態に変更可能に配置されている切除装置。
【請求項2】
前記左右の切断ユニットは、前記用紙の種類に対応して、前記平行する状態と前記傾く状態のいずれかに変更される請求項1に記載の切除装置。
【請求項3】
前記左右の切断ユニットは、前記傾く状態の傾き角度が、前記用紙の種類に対応して変更される請求項2に記載の切除装置。
【請求項4】
前記左右の切断ユニットは、前記一対の端部搬送ロールから前記搬送方向と直交する方向の内側に離れた位置の軸部分に取り付けられ、前記用紙の前記切断の後で残す部分を挟持して搬送する一対の補助搬送ロールを有している請求項1に記載の切除装置。
【請求項5】
前記左右の切断ユニットは、前記一対の補助搬送ロールと前記一対の中程搬送ロールとの間の地点を支点にして前記傾く状態になる請求項4に記載の切除装置。
【請求項6】
用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路の途上に配置されて前記用紙を処理する処理部と、
を備え、
前記処理部として、前記搬送路を搬送される用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部を切除する切除処理部を有し、前記切除処理部が請求項1乃至5のいずれか1項に記載の切除装置で構成されている処理装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された用紙を搬送する過程で後処理する後処理装置と、
を備え、
前記後処理装置が、請求項6に記載の処理装置を有している画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切除装置、処理装置および画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、用紙の搬送方向に沿う側縁を切断して除去する側縁除去部を備えた後処理装置やそれを画像形成装置と組み合わせた画像形成システムが記載されている。また特許文献1には、その側縁除去部が、用紙の流れに対して垂直に設けられた軸に固定された円板状の刃を備えるロータリーカッターユニット、押さえ部材等を配置して構成されていることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6791301号公報(段落0032,0045-0052、
図1-3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを、左右の切断ユニットの円板刃が同心状に取り付けられた一対の端部搬送ロールの軸方向が左右の切断ユニットの間に配置される一対の中程搬送ロールの軸方向と常に平行する状態である場合に比べて、抑制できる切除装置、処理装置および画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、
用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路の搬送方向と直交する方向の中程領域に配置され、前記用紙の一部を挟持して搬送する一対の中程搬送ロールと、
前記搬送路の前記一対の中程搬送ロールから前記搬送方向と直交する方向の外側に離れた両側領域にそれぞれ配置され、前記用紙の前記搬送方向に沿う左右の切除端部を個別に挟持して搬送する一対の端部搬送ロールと前記一対の端部搬送ロールの一方のロール内側端部に接近して同心状に取り付けられて前記用紙の前記切除端部との境目を切断する円板刃とを有する左右の切断ユニットと、
を備え、
前記左右の切断ユニットは、前記端部搬送ロールの軸方向が、前記中程搬送ロールの軸方向と平行する状態と前記中程搬送ロールの軸方向に対して前記搬送方向の上流側に傾く状態に変更可能に配置されている切除装置である。
【0006】
第2の発明は、上記第1の発明の切除装置において、
前記左右の切断ユニットは、前記用紙の種類に対応して、前記平行する状態と前記傾く状態のいずれかに変更されるものである。
【0007】
第3の発明は、上記第2の発明の切除装置において、
前記左右の切断ユニットは、前記傾く状態の傾き角度が、前記用紙の種類に対応して変更されるものである。
【0008】
第4の発明は、上記第1の発明の切除装置において、
前記左右の切断ユニットは、前記一対の端部搬送ロールから前記搬送方向と直交する方向の内側に離れた位置の軸部分に取り付けられ、前記用紙の前記切断の後で残す部分を挟持して搬送する一対の補助搬送ロールを有しているものである。
【0009】
第5の発明は、上記第4の発明の切除装置において、
前記左右の切断ユニットは、前記一対の補助搬送ロールと前記一対の中程搬送ロールとの間の地点を支点にして前記傾く状態になるものである。
【0010】
第6の発明は、
用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路の途上に配置されて前記用紙を処理する処理部と、
を備え、
前記処理部として、前記搬送路を搬送される用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部を切除する切除処理部を有し、前記切除処理部が上記第1から第5の発明のいずれかの切除装置で構成されている処理装置である。
【0011】
第7の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された用紙を搬送する過程で後処理する後処理装置と、
を備え、
前記後処理装置が、上記第6の発明の処理装置を有している画像形成システムである。
【発明の効果】
【0012】
上記第1の発明によれば、用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを、左右の切断ユニットの円板刃が同心状に取り付けられた一対の端部搬送ロールの軸方向が左右の切断ユニットの間に配置される一対の中程搬送ロールの軸方向と常に平行する状態である場合に比べて、抑制できる。
【0013】
上記第2の発明によれば、左右の切断ユニットを、用紙の種類以外の条件に対応させて平行する状態と傾く状態のいずれかに変更する場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制できる。
上記第3の発明によれば、左右の切断ユニットにおける傾く状態の傾き角度を用紙の種類に対応して調整しない場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを適切に抑制できる。
【0014】
上記第4の発明によれば、左右の切断ユニットが一対の補助搬送ロールを有していない場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制でき、用紙の切除後に残す部分の良好な搬送ができる。
上記第5の発明によれば、左右の切断ユニットが一対の補助搬送ロールと一対の中程搬送ロールとの間の地点以外の地点を支点にして傾く状態になる場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを適切に抑制できる。
【0015】
上記第6の発明によれば、処理部の切除装置において用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制できる。
【0016】
上記第7の発明によれば、後処理装置の切除装置において用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に係る切除装置の概要図である。
【
図4】(A)は切断ユニットの軸方向の平行する状態を示す概要図、(B)は切断ユニットの軸方向の傾く状態を示す概要図である。
【
図5】(A)は切除装置の制御構成の一部を示すブロック図、(B)は傾く状態にすべき用紙の種類を示す図表である。
【
図6】切断ユニットの軸方向の変更動作を示すフローチャートである。
【
図7】(A)は切断ユニットの軸方向が平行する状態のときの作用を示す概要図、(B)は切断ユニットの軸方向が傾く状態のときの作用を示す概要図である。
【
図8】実施の形態2に係る画像形成システムの概要図である。
【
図9】
図8の画像形成システムにおける後処理装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1には、本発明の実施の形態1に係る切除装置1がその側方から見た状態で概念的に示されている。
図2には、切除装置1の内部がその上方から見た状態で概念的に示されている。
本明細書および図面では実質的に同一の構成要素に対して同一の符号を付し、また本明細書ではその構成要素の重複説明を省略する。
【0020】
・切除装置の構成
切除装置1は、
図2に示されるように、用紙9を搬送させながら、その用紙9のうち搬送方向Tdに沿う左右の不要な端部である切除端部92A,92Bを切断して除去する、いわゆるトリミング処理を行う装置である。
図2における符号91は、用紙9のうち切除端部92A,92Bを切断して除去した後に残す部分である。用紙9は、切除端部92A,92Bを有し、その切除端部92A,92Bの少なくとも一方の切除を必要とするものであればよい。このため、用紙9の種類、寸法等については、搬送しながらの切除処理が可能であれば特に限定されない。
【0021】
実施の形態1に係る切除装置1は、筐体10と、筐体10の内部に配置される用紙9の搬送路11と、搬送路11の通路領域に配置される搬送ユニット20および左右の切断ユニット30A,30Bと、を備えている。
また、切除装置1は、左右の切断ユニット30A,30Bが一対の補助搬送ロール36,37を有している。
さらに、切除装置1は、搬送路11の通路領域に配置される一対の導入ロール12,13および一対の排出ロール15,16を備えている。
【0022】
筐体10は、内部空間を有する構造体である。筐体10は、
図1に示されるように、その一側面に用紙9が導入される導入口10cが設けられ、その一側面とは反対側の側面に用紙9が排出される排出口10dが設けられている。
【0023】
搬送路11は、筐体10の内部空間において用紙9を導入口10cから排出口10dに至るまで搬送するときの通路である。搬送路11は、用紙9を通過させる搬送空間を形成するように配置される通路部材と、用紙9を挟持して後述する複数の一対の搬送ロールとで構成されている。また、搬送路11は、用紙9を所要の搬送方向Tdに搬送するようになっている。
【0024】
搬送ユニット20は、
図2に示されるように、搬送路11の通路領域のうち搬送方向Tdと直交する方向の中程領域に配置されて用紙9を搬送するよう構成された部分である。
上記中程領域は、搬送路11の通路領域のうち搬送方向Tdと直交する方向の中間位置を中心にしてその両側に一定の範囲で存在する領域である。この中程領域は、左右の切断ユニット30A,30Bの間に挟まれた領域と言い換えることができる。
【0025】
搬送ユニット20は、用紙9の一部を挟持して搬送する一対の中程搬送ロール21,22を有している。上記用紙9の一部は、上記中程領域におけるほぼ中央の部分である。
【0026】
中程搬送ロール21,22は、金属等の材料で形成される軸23a,23bと、その軸23a,23bにそれぞれ取り付けられる、ゴム等の材料で形成される円筒状のロール本体とで構成されている。
中程搬送ロール21,22は、例えば、その一方の中程搬送ロール22が、モータ等の回転駆動装置18から伝達される動力を受けることにより軸23bと共に回転駆動する駆動ロールになっている。また、その他方の中程搬送ロール21が、中程搬送ロール22と接触して駆動力を受けることにより軸23aを中心に従動して回転する従動ロールになっている。
【0027】
搬送ユニット20は、中程搬送ロール21の軸23aと中程搬送ロール22の軸23bとが、搬送路11の搬送空間を確保した形態からなる支持フレーム29等の所要の部位に、図示しない軸受を介して回転可能にそれぞれ取り付けられている。
【0028】
実施の形態1では、駆動ロールとしての中程搬送ロール22のロール径が、従動ロールとしての中程搬送ロール21のロール径よりも大径になっている。しかし、ロール径の大小関係は、この大小関係に限定されない(この点は、中程搬送ロール以外の後述する一対のロールの場合においても同様である。)。
【0029】
次に、左右の切断ユニット30A,30Bは、
図2に示されるように、用紙9の搬送方向Tdに対する左右の所要の部分を搬送方向Tdに沿ってそれぞれ切断するよう構成された部分である。
【0030】
また、左右の切断ユニット30A,30Bは、搬送路11の通路領域のうち一対の中程搬送ロール21,22から用紙9の搬送方向Tdと直交する方向の外側に離れた左右両側の領域にそれぞれ配置されている。
左右の切断ユニット30A,30Bは、
図2や
図3に示されるように、一対の端部搬送ロール31,32と円板刃34とを有している。
【0031】
一対の端部搬送ロール31,32は、用紙9の搬送方向Tdに沿う左右の切除端部92A,92Bを個別に挟持して搬送する一対の搬送ロールである。
端部搬送ロール31,32は、金属等の材料で形成される軸33a,33bと、その軸33a,33bにそれぞれ取り付けられる、ゴム等の材料で形成される円筒状のロール本体とで構成されている。
【0032】
端部搬送ロール31,32は、例えば、その一方の端部搬送ロール31が、回転駆動装置18から伝達される動力を受けることにより軸33aと共に回転駆動する駆動ロールになっている。また、その他方の端部搬送ロール32が、端部搬送ロール31と接触して駆動力を受けることにより軸33bを中心に従動して回転する従動ロールになっている。
【0033】
円板刃34は、
図2又は
図3に示されるように、一対の端部搬送ロール31,32の一方のロール内側端部32bに接近して同心状に取り付けられて、用紙9の切除端部92A,92Bとの境目9eを切断する円板状の切断刃である。
この円板刃34は、例えばロータリーカッターとも称される。
【0034】
実施の形態1における円板刃34は、
図3に示されるように、切断ユニット30A,30Bにおける各端部搬送ロール32の中程搬送ロール21,22と向かい合う内側端部32bに所要の隙間をあけるよう接近して同心状になるよう取り付けられている。
円板刃34は、実際、軸33bに固定して取り付けられている。円板刃34は、回転駆動する軸33bにより、端部搬送ロール32と共に同じ方向に回転する。
【0035】
また、円板刃34は、
図1や
図3に示されるように、端部搬送ロール32の外周面から突出するよう端部搬送ロール32のロール径よりも大きい外径からなる刃である。円板刃34の突出する量は、用紙9の切断を可能にする程度の寸法である。
また、円板刃34は、
図3等に示されるように、その外周端がテーパー面を有する刃形状になっている。そのテーパー面は、端部搬送ロール32の内側端部から中程搬送ロール21,22側にそれぞれむけて軸33aに接近するよう傾斜する斜面として形成されている。
【0036】
さらに、実施の形態1における円板刃34は、
図3に示されるように、その端部搬送ロール32の外周面から突出する側面部分が押さえ部材35の側面に接触した状態で回転するよう配置されている。
押さえ部材35は、端部搬送ロール31の内側端部に接して取り付けられる円筒状の部材である。また、押さえ部材35は、
図3に示されるように、その外周面の内側部分に、端部搬送ロール32の内側端部32bが接触する関係になっている。
【0037】
切断ユニット30A,30Bは、端部搬送ロール31の軸33aと端部搬送ロール32の軸33bとが、搬送路11の搬送空間を確保した形態からなる支持フレーム39等の所要の部位に図示しない軸受を介して回転可能にそれぞれ取り付けられている。
【0038】
次に、一対の補助搬送ロール36,37は、用紙9の切断した後に残す部分91の一部を挟持して搬送する一対の搬送ロールである。
また、補助搬送ロール36,37は、左右の切断ユニット30A,30Bにおける一対の端部搬送ロール31,32から搬送方向Tdと直交する方向の内側にそれぞれ離れた位置の軸部分に取り付けられる。
上記軸部分は、軸33aの一部分と軸33bの一部分である。上記用紙9の残す部分91の一部は、用紙9のうち搬送方向Tdに沿う左右の端部付近である。
【0039】
一対の補助搬送ロール36,37は、上記軸33a,33bにそれぞれ取り付けられる、ゴム等の材料で形成される円筒状のロール本体で構成されている。
また、補助搬送ロール36,37は、その一方である補助搬送ロール36が端部搬送ロール31と同じロール径からなる駆動ロールになり、その他方の補助搬送ロール37が端部搬送ロール32と同じロール径からなる従動ロールになっている。
【0040】
さらに、切断ユニット30A,30Bは、
図3等に示されるように、搬送方向Tdと直交する方向に移動させられる左右の移動装置40A,40Bを有している。
【0041】
切断ユニット30A,30Bは、左右の移動装置40A,40Bを作動させることにより、左右の円板刃34の搬送方向Tdと直交する方向における位置が所要の位置に変更(又は調節)される。
【0042】
左右の移動装置40A,40Bは、切断ユニット30A,30Bの支持フレーム39をそれぞれ保持する左右の保持台41A,41Bと、保持台41A,41Bをそれぞれ支持するとともに移動時に案内する左右のガイド軸42A,42Bとを備えている。
【0043】
左右の保持台41A,41Bは、切断ユニット30A,30Bの支持フレーム39をその下方からそれぞれ保持する構造体である。また、保持台41A,41Bは、ガイド軸42A,42Bに対して移動(摺動)可能に取り付けられている。
さらに、保持台41A,41Bは、図示しないカム機構、ラック・ピニオン機構、タイミングベルト等の機構とモータ等の駆動装置とを組み合わせてなる移動駆動装置の駆動力を受けてガイド軸42A,42Bにそれぞれ沿って移動させられる。
【0044】
左右のガイド軸42A,42Bは、円柱状の部材である。ガイド軸42A,42Bは、筐体10の左右側面部から搬送路11の搬送領域のうち上記左右両側の領域に至る位置まで、搬送方向Tdと直交する方向と平行して直線状に延びた状態で配置されている。
これにより、左の切断ユニット30Aは、
図3に示されるように、左の移動装置40Aにより左のガイド軸42Aに沿って矢印D1,D2で示す方向(外側および内側)に移動可能である。右の切断ユニット30Bは、右の移動装置40Bにより右のガイド軸42Bに沿って矢印E1,E2で示す方向(内側および外側)に移動可能である。
【0045】
次に、一対の導入ロール12,13は、
図1に示されるように、筐体10の導入口10cを通して搬送される用紙9を挟持して搬送ユニット20と左右の切断ユニット30A,30Bにむけて搬送する一対の搬送ロールである。
また、一対の導入ロール12,13は、搬送路11の搬送領域のうち筐体10の導入口10cと搬送ユニット20および左右の切断ユニット30A,30Bとの間の位置に配置されている。
【0046】
導入ロール12,13は、用紙9を挟持して、搬送ユニット20における一対の中程搬送ロール21,22の間と、左右の切断ユニット30A,30Bにおける一対の端部搬送ロール31,32および一対の補助搬送ロール36,37の各間に導入するように搬送する。
【0047】
導入ロール12,13は、
図1や
図2等に示されるように、金属等の材料で形成される軸14a,14bと、その軸14a,14bにそれぞれ取り付けられるゴム等の材料で形成される円筒状のロール本体とで構成されている。軸14a,14bは、筐体10の側面部等の所要の部位に軸受を介して取り付けられている。
実施の形態1における導入ロール12,13は、上記ロール本体として、左右の円板刃34どうしの間に相当する内側領域に4つ配置し、また左右の円板刃34の外側に相当する各外側領域に1つずつ配置している。
【0048】
また、導入ロール12,13は、例えば、その一方の導入ロール13が、回転駆動装置18から伝達される回転動力を受けることにより軸14bと共に回転駆動する駆動ロールになっている。また、その他方の導入ロール12が、導入ロール13と接触して駆動力を受けることにより軸14aを中心に従動して回転する従動ロールになっている。
【0049】
次に、一対の排出ロール15,16は、
図1に示されるように、用紙9を挟持して排出口10dにむけて搬送する一対の搬送ロールである。
また、一対の排出ロール15,16は、搬送路11の搬送領域のうち搬送ユニット20および左右の切断ユニット30A,30Bと筐体10の排出口10dとの間の位置に配置されている。
【0050】
排出ロール15,16は、搬送ユニット20および左右の切断ユニット30A,30Bを通過した用紙9の切断した後に残す部分91および切除端部92A,92Bをそれぞれ挟持して、筐体10の排出口10dを通して排出するように搬送する。
【0051】
排出ロール15,16は、
図1や
図2等に示されるように、金属等の材料で形成される軸17a,17bと、その軸17a,17bにそれぞれ取り付けられる、ゴム等の材料で形成される円筒状のロール本体とで構成されている。軸17a,17bは、筐体10の側面部、回転駆動装置18等の所要の部位に軸受を介して取り付けられている。
【0052】
実施の形態1における排出ロール15,16は、上記ロール本体として、左右の円板刃34どうしの間に相当する内側領域に3つ配置し、また左右の円板刃34の外側に相当する各外側領域に1つずつ配置している。
この場合、内側領域に配置される3つの排出ロール15,16は、用紙9の切断した後に残す部分91を挟持して搬送する。また、内側領域に配置される計2つの排出ロール15,16は、用紙9の切除端部92A,92Bをそれぞれ挟持して搬送する。
【0053】
また、排出ロール15,16は、例えば、その一方の排出ロール16が、回転駆動装置18から伝達される回転動力を受けることにより軸17bと共に回転駆動する駆動ロールになっている。また、その他方の排出ロール15が、排出ロール16と接触して駆動力を受けることにより軸17aを中心に従動して回転する従動ロールになっている。
【0054】
そして、左右の切断ユニット30A,30Bは、
図4に示されるように、端部搬送ロール31,32の軸方向C2,C3が、中程搬送ロール21,22の軸方向C1と平行する状態(
図4(A))と中程搬送ロール21,22の軸方向C1に対して搬送方向Tdの上流側に傾く状態(
図4(B))に変更可能に配置されている。
【0055】
左右の切断ユニット30A,30Bは、一対の中程搬送ロール21,22のある側の端部付近の地点を支点にして回動可能に設けられている。
このときの支点は、例えば、端部搬送ロール31,32等の軸33aおよび軸33bの軸心を通過する直線からなる軸線であることが好ましい。
【0056】
実施の形態1における切断ユニット30A,30Bは、支持フレーム39が、一対の補助搬送ロール36,37と一対の中程搬送ロール21,22との間の地点を支点にして回動するように設けられている。
より具体的には、切断ユニット30A,30Bは、
図2や
図3に示されるように、支持フレーム39のうち中程搬送ロール21,22がある側の端部の中央部に設置する支持軸47を支点にして回動するように設けられている。
【0057】
支持軸47は、軸33aおよび軸33bの軸心を通過する直線を軸線とする軸になる。また、支持軸47は、切断ユニット30A,30Bの各支持フレーム39と左右の移動装置40A,40Bの保持台41A,41Bとの間を連結するよう設けられる。これにより、切断ユニット30A,30Bの各支持フレーム39は、保持台41A,41Bに対して支持軸47を支点にして回動する。
【0058】
また、切断ユニット30A,30Bは、
図2や
図3に示されるように、支持軸47を支点にして回動させることにより上記平行する状態と上記傾く状態のいずれかに切り換える回動装置45A,45Bを有している。
【0059】
回動装置45A,45Bは、切断ユニット30A,30Bの支持フレーム39を、支持軸47を支点にして回動させる装置として構成されている。回動装置45A,45Bとしては、カム機構、ピニオン・ラック機構等の機構とモータ等の駆動装置を組み合わせた装置が適用される。
【0060】
切断ユニット30A,30Bの上記平行する状態は、上記回動する支点(支持軸47)において端部搬送ロール31,32の軸方向C2,C3が中程搬送ロール21,22の軸方向C1と交差する角度α(
図4(B))が、0°又は0°±0.2°の範囲にあるときになる。この平行する状態は、例えば、軸方向C2,C3が軸方向C1と同じ直線状に存在するような状態になることとも言い表すこともできる。
切断ユニット30A,30Bの上記傾く状態は、例えば、上記回動する支点(支持軸47)において端部搬送ロール31,32の軸方向C2,C3が中程搬送ロール21,22の軸方向C1と交差する角度αが、0.6°以上1.0°以下の範囲にあるときになる。上記傾く状態のときの角度αは、任意に選定することができる。この傾く状態は、例えば、軸方向C2,C3が日本のカタカナ文字の「ハの字」に似た状態になることと言い表すこともできる。
【0061】
さらに、切断ユニット30A,30Bは、用紙9の切除幅W2に応じて円板刃34の位置が変更されるとともに、用紙9の種類に対応して上記平行する状態と上記傾く状態のいずれかに変更されるよう構成されている。
【0062】
切除装置1では、
図1や
図5(A)に示されるように、切除装置1の機能および動作を制御する制御部19を備えている。制御部19は、中央演算処理装置、各種メモリ、入出力装置等を備えて構成されている。
【0063】
制御部19には、
図5(A)に示されるように、用紙9の切除幅W2を検出する用紙の切除幅の検出部190A、用紙9の種類を検出する用紙の種類の検出部190B等の検出部や図示しない必要な操作機器が接続されている。
【0064】
用紙の切除幅の検出部190Aと用紙の種類の検出部190Bは、例えば図示しない操作機器における入力部への使用者の入力情報等を検出する検出手段で構成される。このときの操作機器や検出部190A,190Bは、切除装置1に装備されるものである場合に限らず、切除装置1を利用する装置側に装備されるものであっても構わない。
切除幅W2は、切除前の搬送時の幅W1からなる用紙9から左右の切除端部92A,92Bを切除した後の搬送時の幅に相当する。また、切除幅W2は、切除前の用紙9の搬送時の幅W1よりも狭い幅寸法になる(W2<W1)。
【0065】
また、制御部19は、
図5(A)に示されるように、切断ユニット30A,30Bの移動装置40A,40B、回動装置45A,45B等の制御対象機器が接続されている。制御部19は、制御プログラム、制御データ、検出情報等に基づいて所要の制御信号を制御対象機器に送信する。
【0066】
実施の形態1における制御部19は、
図6に示されるように、用紙9の種類の検出情報により切断ユニット30A,30Bを上記平行する状態と上記傾く状態のいずれかに変更するよう回動装置45A,45Bの動作を制御するようになっている。
【0067】
また、制御部19は、
図5(B)にも示されるように、切断ユニット30A,30Bを上記傾く状態にすべき用紙9の情報が制御データとしてメモリに格納されている。傾く状態にすべき用紙9としては、例えば、薄紙(坪量が82g/m
2以下の用紙)、他に設定される種類等の種類からなる用紙が挙げられる。
ちなみに、厚紙等の種類からなる用紙9は、上記平行する状態でもよいものになる。
【0068】
ここで、切除装置1は、単独で使用する場合、切除する対象の用紙9を収容して供給する用紙供給装置と組み合わせて使用することができる。
また、切除装置1は、単独で使用する場合、用紙9の切断した後に残す部分91を筐体10の排出口10dから排出してから収容する排出収容部等の付属品を設けてもよい。切除装置1は、用紙9の切断した後に残す部分91を排出口10dから排出したものを更に処理する他の処理装置と組み合わせて使用することもできる。
さらに、切除装置1は、用紙9の切除端部92A,92Bを筐体10の排出口10dから排出してから回収する回収部等の付属品を設けてもよい。
【0069】
・切除装置の動作
次に、切除装置1の作動について説明する。
【0070】
はじめに、切除装置1では、用紙9の切除処理の時期になると、制御部19が、
図6に示されるように切除する対象の用紙9の切除幅W2の情報を用紙の切除幅の検出部190Aから入手する(ステップ101:S101)。
【0071】
この際、現状の左右の円板刃34どうしの間隔が所要の切除幅W2と異なっている場合には、左右の切断ユニット30A,30Bは、制御部19の制御により、その間隔が所要の切除幅W2になるよう移動装置40A,40Bが作動して必要量だけ移動させられる(S102、S103)。一方、現状の左右の円板刃34どうしの間隔が所要の切除幅W2と同じである場合には、切断ユニット30A,30Bの移動は行われない。
【0072】
続いて、切除装置1では、制御部19が、切除する対象の用紙9の種類の情報を用紙の種類の検出部190Bから入手し(S104)、その用紙9の種類が傾く状態にすべき種類であるか否かが判断される(S105)。
【0073】
このステップ105(S105)において、用紙9の種類が薄紙等のような傾く状態にすべき種類である場合は、左右の切断ユニット30A,30Bは、制御部19の制御により、回動装置45A,45Bが作動して必要量だけ回動させられ、
図4(B)に示されるように傾く状態にされる(S106)。
【0074】
続いて、切除装置1では、制御部19の制御により、回転駆動装置18が作動して導入ロール12,13と、中程搬送ロール21,22と、端部搬送ロール31,32および補助搬送ロール36,37と、排出ロール15,16がそれぞれ回転始動し、用紙9の搬送と切断が行われる(S107)。
【0075】
この際、切除装置1に搬入される用紙9は、その先端9aが一時停止する導入ロール12,13の間に衝突した後、導入ロール12,13が回転し始めることで挟持される。しかる後、用紙9は、中程搬送ロール21,22の間と端部搬送ロール31,32および補助搬送ロール36,37の間にむけて導入される。
【0076】
このときの用紙9は、中程搬送ロール21,22に挟持されて搬送方向Tdに沿って搬送される。その一方で、用紙9は、傾く状態にある左右の切断ユニット30A,30Bにおいて端部搬送ロール31,32と補助搬送ロール36,37とに挟持されて搬送されるとともに、円板刃34によって切除端部92A,92Bとの境目9eが切断される。
【0077】
この際、傾く状態にある左右の切断ユニット30A,30Bにおける端部搬送ロール31,32と補助搬送ロール36,37は、用紙9を把持して搬送するとき、
図7(B)に白抜きの矢印で例示されるように、用紙9に対し、搬送方向Tdに対して左右の外側にそれぞれ傾いた方向の搬送力を与える。
これにより、用紙9は、その左右両端の端部が、切断ユニット30A,30Bにおいて左右の外側に広げられるような力を受けながら搬送される。
【0078】
この結果、切除装置1では、用紙9が切断ユニット30A,30Bによる切断を受ける際に、用紙9が斜行する、たるむ、片寄る等のように変動することが起こりにくくなり、用紙9が変動しない状態で切断される。
【0079】
これに対して、薄紙等のような種類からなる用紙9のときに左右の切断ユニット30A,30Bが上記平行する状態になっている場合は、その用紙9が切断ユニット30A,30Bを通過して切断されるとき、用紙9が斜行する、たるむ、片寄る等のように変動して切断されやすくなる。
【0080】
詳しくは、平行する状態にある左右の切断ユニット30A,30Bにおける端部搬送ロール31,32と補助搬送ロール36,37は、用紙9を把持して搬送するとき、
図7(A)に白抜きの矢印で例示されるように、用紙9に対し、搬送方向Tdにむく搬送力の他に、搬送方向Tdに対して左右の両側に傾いた方向の搬送力を与える。
これにより、用紙9は、その左右両端の端部が各種方向の搬送力を受けやすくなる。
【0081】
このため、このときの用紙9は、上記したように変動しやすくなり、その変動した状態で切断されることになる。この結果、このときの用紙9の切断した後に残す部分91は、その全体の形状が望まれる四角形ではなく、平行四辺形や台形のような形状になってしまうことがある。
この点、切除装置1において上記したように左右の切断ユニット30A,30Bを傾けた状態に変更した場合は、用紙9の切断した後に残す部分91は、その全体の形状が望まれる四角形で得られやすくなる。
【0082】
続いて、切除装置1では、用紙9の切断した後に残す部分91が、所要の切除幅W2で切断された後、搬送路11の内側領域に配置される排出ロール15,16に挟持されて排出口10dに向けて搬送される。
また、切除装置1では、用紙9から切断された左右の切除端部92A,92Bが、搬送路11の左右端部領域に配置される排出ロール15,16に挟持されて排出口10dに向けて搬送される。
【0083】
切除装置1では、上記種類の用紙9の切断がすべて終了するまで続行される(S107~S108)。
また、上記種類の用紙9の切断がすべて終了すると、左右の切断ユニット30A,30Bは、制御部19の制御により、回動装置45A,45Bが作動して必要量だけ回動させられ平行する状態に戻される(S109)。
【0084】
一方、ステップ105(S105)において用紙9の種類が厚紙等のような傾く状態にすべき種類でない場合は、左右の切断ユニット30A,30Bは、初期状態が平行する状態に設定するときであれば、制御部19の制御により回動装置45A,45Bが作動することなく、
図4(A)に示されるように平行する状態にされる(S111)。
【0085】
続いて、切除装置1では、制御部19の制御により、回転駆動装置18が作動して用紙9の搬送と切断が行われる(S112)。
このときの用紙9は、中程搬送ロール21,22に挟持されて搬送方向Tdに沿って搬送される。その一方で、用紙9は、平行する状態にある左右の切断ユニット30A,30Bにおいて端部搬送ロール31,32と補助搬送ロール36,37とに挟持されて搬送されるとともに、円板刃34によって切除端部92A,92Bとの境目9eが切断される。
【0086】
この際、平行する状態にある左右の切断ユニット30A,30Bにおける端部搬送ロール31,32と補助搬送ロール36,37は、用紙9を把持して搬送するとき、上述した通り、
図7(A)に白抜きの矢印で例示されるように、用紙9に対し、搬送方向Tdにむく搬送力の他に、搬送方向Tdに対して左右の両側に傾いた方向の搬送力を与える。
しかし、このときの用紙9は、厚紙等の種類であるため、その左右両端の端部が各種方向の搬送力を受けても変動することがなく搬送される。
【0087】
この結果、このときの切除装置1においても、用紙9が切断ユニット30A,30Bによる切断を受ける際に、用紙9が斜行する、たるむ、片寄る等のように変動することが起こりにくくなり、用紙9が変動しない状態で良好に切断される。
また、このときの切除装置1でも、上記種類の用紙9の切断がすべて終了するまで続行される(S112~S113)。
【0088】
以上説明したように、切除装置1によれば、用紙9の左右の切除端部92A,92Bの境目9eを左右の切断ユニット30A,30Bの円板刃34で切断するときに用紙9が変動して切断されることが、切断ユニット30A,30Bが平行する状態にある場合に比べると、抑制される。
【0089】
実施の形態2.
図8には、本発明の実施の形態2に係る画像形成システム100がその側方から見た状態で概念的に示されている。
図9には、画像形成システム100における後処理装置5がその側方から見た状態で概念的に示されている。
【0090】
画像形成システム100は、
図8に示されるように、用紙9に画像を形成する画像形成装置6と、画像形成装置6で画像が形成された用紙9を搬送する過程で後処理する後処理装置5を備えている。
【0091】
はじめに、画像形成装置6は、
図8に示されるように、筐体60を有し、その筐体60の内部に像形成部61と用紙供給部65と用紙搬送路67が設けられている。
【0092】
筐体60には、使用者への情報の表示を行うとともに使用者の操作情報を受け付ける表示操作機器68が設けられている。また、筐体60の内部には、画像形成装置6の機能および動作を制御する制御部69を備えている。制御部69は、中央演算処理装置、各種メモリ、入出力装置等を備えて構成されている。
【0093】
像形成部61は、電子写真方式、液滴吐出方式、感熱転写方式等の画像形成方式を用いて、画像形成装置6に入力される画像情報に基づく用紙9への像形成を行う部分である。
図8中の符号62は、像形成部61のうち用紙9に対して像を最終的に形成する要部である。また、符号63は、例えば筐体60の上端部に設置され、原稿から画像を読み取って読取画像情報を生成して像形成部61に送る原稿読取部である。
【0094】
用紙供給部65は、同種又は異種の用紙9を収容するとともに所要の用紙9を像形成部61にむけて供給する部分である。実施の形態2では、3種類の用紙9A,9B,9Cが収容されている場合を例示する。
【0095】
用紙搬送路67は、用紙供給部65から像形成部61までの間と像形成部61から筐体60の排出口までの間で用紙9を搬送する主な通路である。用紙搬送路67は、用紙9を通過させる搬送空間を形成するように配置される通路部材と、用紙9を挟持して後述する複数の一対の搬送ロールとで構成されている。
【0096】
そして、画像形成装置6では、用紙供給部65から用紙搬送路67を経由して搬送供給される用紙9(9A,9B,9C)に対し、像形成部61において画像情報に対応した所望の画像が形成される。
また、画像形成装置6では、画像が形成された用紙9を、用紙搬送路67を経由して後処理装置5に搬入するようになっている。
【0097】
次に、後処理装置5は、
図8や
図9に示されるように、筐体50を有し、その筐体50の内部に用紙9が搬送される搬送路51と、搬送路51の途上に配置されて用紙9を処理する2つの処理部53,54とを備えている。
【0098】
筐体50の側面部には、用紙9が搬入される搬入口50aと、用紙9が排出される排出口50bが設けられている。
また、筐体50の内部には、後処理装置5の機能および動作を制御する制御部59を備えている。制御部59は、中央演算処理装置、各種メモリ、入出力装置等を備えて構成されている。筐体50の外部には、後処理された後に筐体50の外部に排出される用紙9を収容する排出収容部58が設けられている。
【0099】
搬送路51は、筐体50の内部において少なくとも処理部53,54を順次通過させるように用紙9を所要の搬送方向Tdに搬送する通路である。搬送路51は、用紙9を通過させる搬送空間を形成するように配置される通路部材と、用紙9を挟持して後述する複数の一対の搬送ロール52A,52B等とで構成されている。
搬送路51は、筐体50の内部において処理部53,54を効率よく順次通過するよう曲がりくねった形態の通路として設けられている。
また、搬送路51は、その途上に、後述する分岐重送路51A,51Bおよび分岐回避路51Cを有している。
【0100】
処理部53は、第一処理部である。
第一処理部である処理部53は、例えば、用紙9に折り筋を形成する折り筋形成処理部として構成されている。また、処理部53は、筐体50の内部の上部側に配置されている。
【0101】
処理部54は、第二処理部である。
第二処理部である処理部54は、用紙9の搬送方向Tdに沿う左右の切除端部を切除する切除処理部として構成されている。また、処理部54は、実施の形態1に係る切除装置1(
図1~
図7参照)により構成されている。
さらに、処理部54は、筐体50の内部の下部側に配置されている。
【0102】
搬送路51は、
図9に示されるように、搬送路51のうち搬入口50aから処理部53に至るまでの区間に、端部位置検出部S1、傾き検出部S2、第一補正部55A、第二補正部55Bおよび端部位置検出部S3等を備えている。
端部位置検出部S1は、搬入口50aから搬入された用紙9の先端、後端等の端部を検出する部分である。傾き検出部S2は、搬入されて搬送路51を搬送させる用紙9の斜行(傾き)を検出する部分であり、光学センサ等で構成されている。
第一補正部55Aは、用紙9の傾きを補正する部分であり、スイングする一対の搬送ロール等で構成されている。
第二補正部55Bは、第一補正部55Aを通過した後の用紙9の傾きを再度補正する部分であり、用紙9の先端9aを突き当てる一対の搬送ロールと、用紙9のたわむ部分を収容するたわみ収容部55C等で構成されている。
端部位置検出部S3は、処理部53に導入される用紙9の左右両端の位置を検出する部分であり、光学センサ等で構成されている。
【0103】
また、搬送路51は、
図9に示されるように、処理部54を通過して排出口50bに至る区間に、通路が2つに分岐された分岐重送路51A,51Bを有している。分岐重送路51A,51Bは、2つの用紙9を分岐した通路に個別に送り込んで一時的に停止収容させた後、同時に送り出して重ねた状態にして搬送することを可能にする通路である。
さらに、搬送路51は、
図9に示されるように、処理部53に至る位置(例えば第一補正部55Aと第二補正部55Bの間)でショートパスが可能な分岐回避路51Cを有している。分岐回避路51Cは、用紙9を処理部53,54の通過を回避して排出口50bにむけて直に搬送することを可能にする通路である。
分岐重送路51A,51Bの分岐部と分岐回避路51Cの分岐部には、用紙9の搬送先を切り換えて案内する分岐爪Rb1,Rb2が配置されている。
【0104】
また、筐体50の内部には、処理部54の切除装置1により切除された左右の切除端部92A,92B(
図2参照)を落下させて排出する排出通路56が設けられている。排出通路56は、処理部54から排出される切除端部92A,92Bが自重で落下するようにして通過する通路として構成されている。
さらに、筐体50の内部には、排出通路56から排出される切除端部92A,92Bを回収して収容する回収容器57が配置されている。回収容器57は、処理部54の下方側に存在するよう設置されている。
【0105】
そして、後処理装置5では、用紙9の処理部53,54による処理を行う場合、用紙9を搬送路51により処理部53、処理部54の順で通過させるよう搬送される。
【0106】
この場合、用紙9は、まず処理部53の折り筋形成処理部において、所要の部位に折り筋用の押付け部材が押し付けられて折り筋が形成される。
【0107】
続いて、用紙9は、処理部54の切除処理部において、切除装置1により用紙9の左右の切除端部92A,92Bとの境目9e(
図2参照)が切断されて除去される。
これにより、用紙9のうち切断した後に残す部分91(
図2参照)は、切除装置1から送り出されて分岐重送路51A,51Bのいずれか一方に搬送される。また、用紙9のうち左右の切除端部92A,92Bは、切除装置1から送り出されて排出通路56を経由した後、回収容器57に回収される。
【0108】
そして、処理部54の切除処理部においては、実施の形態1に係る切除装置1の場合と同様に、左右の切断ユニット30A,30Bが上記平行する状態と上記傾く状態に変更可能に配置されている(
図3,
図4等参照)。
【0109】
また、左右の切断ユニット30A,30Bは、実施の形態1に係る切除装置1の場合と同様に、用紙9の種類に応じて上記平行する状態と上記傾く状態のいずれかに変更されるようになっている。
例えば、画像形成装置6から搬入される用紙9A,9Cが傾く状態にすべき種類の用紙であると仮定した場合、その用紙9A,9Cの切除処理を行うときは切断ユニット30A,30Bが上記傾く状態にされる。また、画像形成装置6から搬入される用紙9Bが傾く状態にすべき種類の用紙でないと仮定した場合、その用紙9Bの切除処理を行うときは切断ユニット30A,30Bが上記平行する状態にされる。
【0110】
このため、処理部54の切除処理部は、実施の形態1に係る切除装置1の場合と同様に動作して切除処理が行われる。
【0111】
ちなみに、用紙9の切除幅W2および種類の情報は、画像形成装置6の表示操作機器68で入力される情報や画像形成装置6に接続されている情報端末から入力される情報として入手される。また、切除装置1の制御部19については、後処理装置5の制御部59の一部として構成してもよい。
【0112】
したがって、後処理装置5によれば、処理部54の切除処理部を構成する切除装置1において用紙9の左右の切除端部92A,92Bの境目9eを左右の切断ユニット30A,30Bにおける円板刃34で切断するときに用紙9が変動して切断されることが、実施の形態1に係る切除装置1の場合と同様に抑制される。この結果、後処理装置5では、処理部54における用紙9の切除処理が適切かつ良好に行われる。
【0113】
また、画像形成システム100によれば、後処理装置5における処理部54を構成する切除装置1において用紙9の左右の切除端部92A,92Bの境目9eを左右の切断ユニット30A,30Bにおける円板刃34で切断するときに用紙9が変動して切断されることが、実施の形態1に係る切除装置1の場合と同様に抑制できる。この結果、画像形成システム100では、後処理装置5の処理部54における用紙9の切除処理が適切かつ良好に行われる。
【0114】
変形例.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態1、2として例示した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変形や実施が可能である。このため、本発明は、例えば、以下に例示する変形例も含むものである。
【0115】
切除装置1における左右の切断ユニット30A,30Bについては、上記傾く状態にするときの傾き角度の一例である交差する角度αを、用紙9の種類に対応して変更するように構成してもよい。
例えば、傾く状態にすべき種類のうちの1種の用紙9の切除処理を行うときには、角度αを0.6°とする。また、その種類のうち別種の用紙9の切除処理を行うときには、角度αを1.0°とする。
このように構成した切除装置1では、左右の切断ユニット30A,30Bにおける傾く状態のときの角度αを用紙9の種類に対応して調整しない場合に比べると、その傾く状態が用紙9の種類ごとに適合する角度αからなる傾き状態になる。このため、この切除装置1では、用紙9の左右の切除端部92A,92Bの境目9eを左右の切断ユニット30A,30Bの円板刃34で切断するときに用紙9が変動して切断されることがより適切に抑制される。
【0116】
切除装置1における左右の切断ユニット30A,30Bについては、その支持フレーム39と一対の中程搬送ロール21,22との間に設ける支持軸47を支点にして回動する場合に限定されない。例えば、左右の切断ユニット30A,30Bについては、支持フレーム39のうち一対の中程搬送ロール21,22とは反対側になる端部の地点や、一対の端部搬送ロール31,32と一対の補助搬送ロール36,37との間の地点等を支点にして回動するように構成してもよい。
【0117】
切除装置1における搬送ユニット20については、一対の中程搬送ロール21,22を2組以上配置したものであってよい。
【0118】
切除装置1における左右の切断ユニット30A,30Bについては、用紙9の切断した後に残す部分91の良好な搬送性が確保されるのであれば、一対の補助搬送ロール36,37を配置しないものであってよい。
【0119】
後処理装置5については、切除処理部とする処理部54以外の処理部53として、折り筋形成処理以外の処理を行う処理部を適用してもよい。
また、後処理装置5については、切除処理部とする処理部54以外の処理部として、複数の処理部を備えたものであってよい。
さらに、後処理装置5については、排出収容部58に代えて、用紙9の異なる処理を行うことが可能な別の後処理装置を連結して配置しても構わない。
【0120】
(付記)
(((1)))
用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路の搬送方向と直交する方向の中程領域に配置され、前記用紙の一部を挟持して搬送する一対の中程搬送ロールと、
前記搬送路の前記一対の中程搬送ロールから前記搬送方向と直交する方向の外側に離れた両側領域にそれぞれ配置され、前記用紙の前記搬送方向に沿う左右の切除端部を個別に挟持して搬送する一対の端部搬送ロールと前記一対の端部搬送ロールの一方のロール内側端部に接近して同心状に取り付けられて前記用紙の前記切除端部との境目を切断する円板刃とを有する左右の切断ユニットと、
を備え、
前記左右の切断ユニットは、前記端部搬送ロールの軸方向が、前記中程搬送ロールの軸方向と平行する状態と前記中程搬送ロールの軸方向に対して前記搬送方向の上流側に傾く状態に変更可能に配置されている切除装置。
(((2)))
前記左右の切断ユニットは、前記用紙の種類に対応して、前記平行する状態と前記傾く状態のいずれかに変更される(((1)))に記載の切除装置。
(((3)))
前記左右の切断ユニットは、前記傾く状態の傾き角度が、前記用紙の種類に対応して変更される(((2)))に記載の切除装置。
(((4)))
前記左右の切断ユニットは、前記一対の端部搬送ロールから前記搬送方向と直交する方向の内側に離れた位置の軸部分に取り付けられ、前記用紙の前記切断の後で残す部分を挟持して搬送する一対の補助搬送ロールを有している(((1)))から(((3)))のいずれかに記載の切除装置。
(((5)))
前記左右の切断ユニットは、前記一対の補助搬送ロールと前記一対の中程搬送ロールとの間の地点を支点にして前記傾く状態になる(((4)))に記載の切除装置。
(((6)))
用紙が搬送される搬送路と、
前記搬送路の途上に配置されて前記用紙を処理する処理部と、
を備え、
前記処理部として、前記搬送路を搬送される用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部を切除する切除処理部を有し、前記切除処理部が(((1)))から(((5)))のいずれかに記載の切除装置で構成されている処理装置。
(((7)))
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置で画像が形成された用紙を搬送する過程で後処理する後処理装置と、
を備え、
前記後処理装置が、(((6)))に記載の処理装置を有している画像形成システム。
【0121】
(((1)))に係る切除装置によれば、用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを、左右の切断ユニットの円板刃が同心状に取り付けられた一対の端部搬送ロールの軸方向が左右の切断ユニットの間に配置される一対の中程搬送ロールの軸方向と常に平行する状態である場合に比べて、抑制できる。
(((2)))に係る切除装置によれば、左右の切断ユニットを、用紙の種類以外の条件に対応させて平行する状態と傾く状態のいずれかに変更する場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制できる。
(((3)))に係る切除装置によれば、左右の切断ユニットにおける傾く状態の傾き角度を用紙の種類に対応して調整しない場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを適切に抑制できる。
(((4)))に係る切除装置によれば、左右の切断ユニットが一対の補助搬送ロールを有していない場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制でき、用紙の切除後に残す部分の良好な搬送ができる。
(((5)))に係る切除装置によれば、左右の切断ユニットが一対の補助搬送ロールと一対の中程搬送ロールとの間の地点以外の地点を支点にして傾く状態になる場合に比べて、用紙の左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを適切に抑制できる。
(((6)))に係る処理装置によれば、処理部の切除装置において用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制できる。
(((7)))に係る画像形成システムによれば、後処理装置の切除装置において用紙の搬送方向に沿う左右の切除端部の境目を左右の切断ユニットの円板刃で切断するときに用紙が変動して切断されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0122】
1 …切除装置
5 …後処理装置(処理装置の一例)
6 …画像形成装置
9 …用紙
9e…境目
11,51…搬送路
21,22…一対の中程搬送ロール
30A,30B…左右の切断ユニット
31,32…一対の端部搬送ロール
32b…内側端部(内側端部の一例)
34…円板刃
36,37…一対の補助搬送ロール
47…支持軸(支点の一例)
53…処理部
54…処理部(切除処理部の一例)
91…切断した後に残す部分
92A,92B…左右の切除端部
100…画像形成システム
C1…中程搬送ロールの軸方向
C2,C3…端部搬送ロールの軸方向
Td…搬送方向
α …交差する角度(傾き角度の一例)