(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007183
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】加泥材混合土の改質方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/13 20060101AFI20240111BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20240111BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20240111BHJP
C09K 17/40 20060101ALI20240111BHJP
C09K 17/18 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
E21D9/13 C
C02F11/00 C ZAB
B01D21/01 102
B01D21/01 107A
B01D21/01 107B
C09K17/40 P
C09K17/18 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108473
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】390006758
【氏名又は名称】株式会社立花マテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 志照
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】富田 正文
(72)【発明者】
【氏名】中尾 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 祐人
【テーマコード(参考)】
2D054
4D015
4D059
4H026
【Fターム(参考)】
2D054AC04
2D054DA32
4D015BA03
4D015BA04
4D015BA06
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4D015CA20
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4D059AA09
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4D059DB08
4D059DB24
4D059DB28
4H026CB04
4H026CB08
4H026CC06
(57)【要約】
【課題】新規な加泥材混合土の改質方法を提供すること。
【解決手段】加泥材混合土に(A)カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤、又は、アニオン性アクリルアミド及び金属塩と、(B)アニオン性高分子凝集剤と、を添加することにより加泥材混合土を改質する方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加泥材混合土の改質方法であって、
前記加泥材混合土に(A)カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤、又は、アニオン性アクリルアミド及び金属塩と、(B)アニオン性高分子凝集剤と、を添加することを特徴とする、加泥材混合土の改質方法。
【請求項2】
前記加泥材混合土が、ベントナイト、粘土鉱物、粘土鉱物に類する鉱物、水溶性高分子、ケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つを含む加泥材を含有する、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項3】
前記加泥材混合土が、ベントナイトを含む加泥材を含有する、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項4】
前記カチオン性無機凝集剤が、ポリ塩化アルミニウム又は硫酸第二鉄である、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項5】
前記カチオン性低分子量ポリマー凝集剤が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルジメチルアミンの中和塩又は四級化物からなる群から選択される少なくとも1種を構成単量体として含む、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項6】
前記カチオン性低分子量ポリマー凝集剤の重量平均分子量が1万~1000万である、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項7】
前記アニオン性アクリルアミド及び金属塩において、アニオン性アクリルアミドが、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸アンモニウムを構成単量体として含む、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項8】
前記アニオン性アクリルアミド及び金属塩において、アニオン性アクリルアミドの重量平均分子量が500万~2000万であって、金属塩を25~30質量%含む、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項9】
前記アニオン性高分子凝集剤が、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸を構成単量体として含む、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項10】
前記アニオン性高分子凝集剤の重量平均分子量が、500万~2000万である、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項11】
前記加泥材混合土に前記(A)成分を添加後に、前記(B)成分を添加することを特徴とする、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項12】
前記加泥材混合土に前記(B)成分を添加後に、前記(A)成分を添加することを特徴とする、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項13】
前記加泥材混合土に前記(A)成分及び(B)成分を同時に添加することを特徴とする、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【請求項14】
加泥材混合土のコーン指数を200kN/m2以上に改質することを特徴とする、請求項1に記載の加泥材混合土の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加泥材混合土の改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
泥土圧シールド工法では、掘削土砂に加泥材を添加して加泥材混合土とし、塑性流動性を持たせることで、切羽の安定性を確保するとともに、スクリューコンベアから円滑に排土することを可能にする。加泥材混合土の塑性流動性が低い場合には、チャンバー内で土砂の閉塞や付着が発生し、掘進速度の低下や掘進停止等の問題が生じうる。他方で、加泥材混合土の塑性流動性が高い場合には、スクリューコンベアから噴発が発生して、切羽に適切な泥土圧が作用せず、切羽が不安定化する。したがって、泥土圧シールド工法の施工管理にあたっては、チャンバー内の加泥材混合土の塑性流動性が適切に管理されていることが必要になる。
【0003】
しかし、加泥材混合土の塑性流動性が管理されているがゆえに、スクリューコンベアから排土される加泥材混合土は泥状を呈し、このため建設汚泥として産業廃棄物として処分されることが多い。これに対して、加泥材混合土を改質して、標準仕様ダンプトラックに山積みすることができ、かつ、その上を人が歩ける状態(コーン指数がおおむね200kN/m2以上)にすることができれば、かかる改質土を盛土材、埋戻し材等の用途で再利用することが可能になる(「建設汚泥再利用技術基準」参照)。
【0004】
特許文献1では、掘削添加剤混合土砂等の泥土に、両性高分子凝集剤を添加撹拌し、イオンコンプレックスによって水不溶性物質を生成させる掘削添加剤混合土砂等の泥土の改質処理方法であって、前記掘削添加剤混合土砂等の泥土に、アニオン性高分子凝集剤及び/又は無機系固化材を添加撹拌することで、掘削添加剤混合土砂等の泥土を、自立性を有する土砂に改質することについて記載されている。
【0005】
また特許文献2では、有機高分子エマルジョンを主成分とする加泥材を含む低流動化泥土に用いる改質材であって、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸第一鉄及び炭酸カルシウムを必須含有成分とする、固化不溶化中性改質材について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6679030号公報
【特許文献2】特開2021-084930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規な加泥材混合土の改質方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、加泥材混合土に改質材として(A)カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤、又は、アニオン性アクリルアミド及び金属塩と、(B)アニオン性高分子凝集剤と、を添加することにより加泥材混合土を改質できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の各発明に関する。
[1]加泥材混合土の改質方法であって、加泥材混合土に(A)カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤、又は、アニオン性アクリルアミド及び金属塩と、(B)アニオン性高分子凝集剤と、を添加することを特徴とする、加泥材混合土の改質方法。
[2]加泥材混合土が、ベントナイト、粘土鉱物、粘土鉱物に類する鉱物、水溶性高分子、及び、ケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つを含む加泥材を含有する、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[3]加泥材混合土が、ベントナイトを含む加泥材を含有する、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[4]カチオン性無機凝集剤が、ポリ塩化アルミニウム又は硫酸第二鉄である、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[5]カチオン性低分子量ポリマー凝集剤が、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルジメチルアミンの中和塩又は四級化物からなる群から選択される少なくとも1種を構成単量体として含む、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[6]カチオン性低分子量ポリマー凝集剤の重量平均分子量が、1万~1000万である、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[7]アニオン性アクリルアミド及び金属塩において、アニオン性アクリルアミドが、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸アンモニウムを構成単量体として含む、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[8]アニオン性アクリルアミド及び金属塩において、アニオン性アクリルアミドの重量平均分子量が500万~2000万であって、金属塩を25~30質量%含む、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[9]アニオン性高分子凝集剤が、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸を構成単量体として含む、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[10]アニオン性高分子凝集剤の重量平均分子量が、500万~2000万である、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[11]加泥材混合土に前記(A)成分を添加後に、前記(B)成分を添加することを特徴とする、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[12]加泥材混合土に前記(B)成分を添加後に、前記(A)成分を添加することを特徴とする、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[13]加泥材混合土に前記(A)成分及び(B)成分を同時に添加することを特徴とする、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
[14]加泥材混合土のコーン指数を200kN/m2以上に改質することを特徴とする、[1]に記載の加泥材混合土の改質方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新規な加泥材混合土の改質方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る加泥材混合土の改質方法が適用されるシールド掘削機の構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」、「メタクリレート」及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様とする。
【0014】
[加泥材混合土]
本実施形態に係る加泥材混合土には、泥土圧シールド工法においてシールド掘削機で掘削する際に生じる掘削土砂に、一般に使用される加泥材が含まれていればよく、特に限定されない。
【0015】
掘削土砂としては、特に限定されず、例えば、礫分、砂分、細砂、粘土、シルト等が含まれていてもよい。
【0016】
加泥材としては、特に限定されず、例えば、ベントナイト、粘土鉱物、粘土鉱物に類する鉱物、水溶性高分子、ケイ酸ナトリウム等を含有するものが例示できる。
加泥材にベントナイト、粘土鉱物、粘土鉱物に類する鉱物を含有させることにより、掘削土砂を、塑性流動性及び不透水性を有する良好な土砂とするために必要な微細粒子を補うことができる。
粘土鉱物としては、例えば、セピオライト、アタパルジャイト、エトリンガイド、カオリンクレー、モンモリロナイト、へクトライト、サポナイト、バイデライト等を挙げることができる。これらの粘土鉱物は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合せて用いてもよい。
粘土鉱物に類する鉱物としては、例えば、ゼオライト、パリゴルスカライト、雲母等を挙げることができる。これらの粘土鉱物に類する鉱物は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また加泥材に水溶性高分子、ケイ酸ナトリウム等を含有させることにより、掘削土砂の粘性を増大させることができる。水溶性高分子としては、例えば、カルボキシルメチルセルロース、グアーガム、澱粉、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等を挙げることができる。これらの水溶性高分子は1種を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
とりわけ、特殊気泡材(OK-1、レオフォームOL-10等)と圧縮空気により作られる気泡を使用する場合に比べて、ベントナイト等の粘土を主材とする加泥材を使用する場合には、掘削土砂に添加する加泥材及び水分の量が多くなるため、加泥材混合土を改質することが難しいとされている。
本実施形態に係る加泥材混合土の改質方法は、ベントナイト等の粘土を含有する加泥材が使用された場合であっても、加泥材混合土を好適に改質することができる。
【0018】
[(A)成分]
本実施形態に係る加泥材混合土の改質方法では、改質材の(A)成分として、カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤、又は、アニオン性アクリルアミド及び金属塩を用いる。
【0019】
<カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤>
(カチオン性無機凝集剤)
カチオン性無機凝集剤としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いればよく、例えば、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の鉄塩;ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、アルミン酸ナトリウム等のアルミニウム塩;消石灰、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。これらのカチオン性無機凝集剤は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態で使用するカチオン性無機凝集剤としては、粘土鉱物の層間水を効率よく排出させ、また水溶性高分子の膨潤を阻害し粘性を低下させ、さらにケイ酸ナトリウムをケイ酸塩として固定化し粘性を低下させるという観点から、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄が好ましく、ポリ塩化アルミニウムがより好ましい。
【0020】
本実施形態で使用するカチオン性無機凝集剤の添加量は、特に限定されず、カチオン性無機凝集剤の種類、カチオン性低分子量ポリマー凝集剤の種類及び添加量、(B)成分の種類及び添加量、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。カチオン性無機凝集剤の添加量としては、加泥材混合土に含まれている粘土鉱物の層間水を十分に排出させ、また水溶性高分子の膨潤を阻害し粘性を低下させ、さらにケイ酸ナトリウムをケイ酸塩として固定化し粘性を低下させるという観点から、例えば、加泥材混合土1m3当たりに対して、カチオン性無機凝集剤の有効成分量が0.1~6.3kg/m3になるように添加することが好ましく、0.3~3.2kg/m3になるように添加することがより好ましい。
【0021】
(カチオン性低分子量ポリマー凝集剤)
カチオン性低分子量ポリマー凝集剤としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いればよく、カチオン性の単量体を構成単量体として有するものを用いることができる。カチオン性の単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルジメチルアミン及びこれらの中和塩、4級化物等を挙げることができる。また4級化物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0022】
カチオン性低分子量ポリマー凝集剤としては、例えば、上記カチオン性の単量体と、(メタ)アクリルアミド、N、N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系の単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系の単量体等の少なくとも1種と、を構成単量体として有する共重合体を用いることができる。
【0023】
本実施形態におけるカチオン性低分子量ポリマー凝集剤としては、カチオン性の単量体とアクリルアミド系及び/又はアクリル酸エステル系の単量体とを構成単量体として有する共重合体において、カチオン性の単量体の構成単位が20~80モル%含まれる共重合体を用いることが好ましく、40~80モル%含まれる共重合体を用いることがより好ましい。
【0024】
カチオン性低分子量ポリマー凝集剤の重量平均分子量は、粘土鉱物と相互作用して層間水を効率よく排出させるという観点から、1万~1000万であることが好ましく、5万~500万であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値から求めることができる。
【0025】
カチオン性低分子量ポリマーの市販品としては、例えば、栗田工業株式会社製のソイルフレッシュP-101等が挙げられる。
【0026】
本実施形態で使用するカチオン性低分子量ポリマーの添加量は、特に限定されず、カチオン性無機凝集剤の種類及び添加量、カチオン性低分子量ポリマー凝集剤の種類、(B)成分の種類及び添加量、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。カチオン性低分子量ポリマーの添加量としては、加泥材混合土に含まれている粘土鉱物の層間水を十分に排出させるという観点から、例えば、加泥材混合土1m3当たりに対して、カチオン性低分子量ポリマーの有効成分量が0.1~5.0kg/m3になるように添加することが好ましく、0.3~3.0kg/m3になるように添加することがより好ましい。
【0027】
(カチオン性無機凝集剤とカチオン性低分子量ポリマーの添加量比)
本実施形態で使用するカチオン性無機凝集剤とカチオン性低分子量ポリマーの添加量比(質量比)は、特に限定されず、カチオン性無機凝集剤の種類、カチオン性低分子量ポリマーの種類、(B)成分の種類及び添加量、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。カチオン性無機凝集剤とカチオン性低分子ポリマーの添加量比としては、例えば、カチオン性無機凝集剤の有効成分とカチオン性低分子量ポリマーの有効成分との添加量比が、5:1~10となるように添加することが好ましく、5:1~8となるように添加することがより好ましい。
【0028】
<アニオン性アクリルアミド及び金属塩>
(アニオン性アクリルアミド)
アニオン性アクリルアミドとしては、特に限定されず、公知慣用のものを用いればよく、例えば、アクリルアミド系の単量体及びアニオン性の単量体を構成単量体として有する共重合体を用いることができる。アニオン性の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸系の単量体や、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリールスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸系の単量体等が挙げられる。アニオン性の単量体は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)塩、アンモニウム塩等であってもよい。
【0029】
本実施形態で使用するアニオン性アクリルアミドとしては、粘土鉱物の層間水を効率よく排出させるという観点から、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸アンモニウムとの共重合体を用いることが好ましい。
【0030】
本実施形態におけるアニオン性アクリルアミドとしては、アクリルアミド系の単量体とアニオン性の単量体とを構成単量体として有する共重合体において、アクリルアミド系の単量体とアニオン性の単量体との構成モル比が、20~85:80~15であることが好ましく、30~75:70~25であることがより好ましく、30~50:70~50であることがさらに好ましい。
【0031】
アニオン性アクリルアミドの重量平均分子量としては、粘土鉱物の層間水を効率よく排出させるという観点から、500万~2000万であることが好ましく、800万~1500万であることがより好ましい。
【0032】
アニオン性アクリルアミドの市販品としては、例えば、株式会社立花マテリアル製のクリーンSP-AD等が挙げられる。
【0033】
(金属塩)
金属塩としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いればよく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等を用いることができる。これらの金属塩は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
本実施形態で使用する金属塩としては、粘土鉱物の層間水を効率よく排出させ、また水溶性高分子の膨潤を阻害し粘性を低下させ、さらにケイ酸ナトリウムをケイ酸塩として固定化し粘性を低下させるという観点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。
【0035】
(アニオン性アクリルアミドと金属塩の添加量)
本実施形態で使用するアニオン性アクリルアミド及び金属塩の添加量は、特に限定されず、(B)成分の種類及び添加量、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。アニオン性アクリルアミド及び金属塩の添加量としては、加泥材混合土に含まれている粘土鉱物の層間水を十分に排出させ、また水溶性高分子の膨潤を阻害し粘性を低下させ、さらにケイ酸ナトリウムをケイ酸塩として固定化し粘性を低下させるという観点から、例えば、加泥材混合土1m3当たりに対して、アニオン性アクリルアミド及び金属塩の有効成分である金属塩の添加量が0.3~10kg/m3になるように添加することが好ましく、0.6~7.2kg/m3になるように添加することがより好ましい。
【0036】
(アニオン性アクリルアミドと金属塩の添加量比)
本実施形態で使用するアニオン性アクリルアミドと金属塩の添加量比(質量比)は、特に限定されず、アニオン性アクリルアミドの種類、金属塩の種類、(B)成分の種類及び添加量、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。アニオン性アクリルアミドと金属塩の添加量比としては、例えば、アニオン性アクリルアミドと金属塩との添加量比が、1~3:40~70となるように添加することが好ましく、1~3:50~60となるように添加することがより好ましい。
【0037】
[(B)成分]
本実施形態に係る加泥材混合土の改質方法では、改質材の(B)成分として、アニオン性高分子凝集剤を用いる。
【0038】
<アニオン性高分子凝集剤>
アニオン性高分子凝集剤としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いればよく、例えば、アクリルアミド系の単量体及びアニオン性の単量体を構成単量体として有する共重合体を用いることができる。本実施形態で使用するアニオン性高分子凝集剤としては、自由水を効率よく吸水するという観点から、アクリルアミドとカルボン酸系の単量体との共重合体が好ましく、アクリルアミドと(メタ)アクリル酸との共重合体がより好ましい。
【0039】
アニオン性高分子凝集剤の重量平均分子量としては、効率よく自由水を吸水し、また土粒子を団粒化するという観点から、500万~2000万であることが好ましく、800万~1500万であることがより好ましい。
【0040】
本実施形態におけるアニオン性高分子凝集剤としては、アクリルアミド系の単量体とアニオン性の単量体とを構成単量体として有する共重合体において、アクリルアミド系の単量体とアニオン性の単量体との構成モル比が、20~85:80~15であることが好ましく、30~75:70~25であることがより好ましく、30~50:70~50であることがさらに好ましい。
【0041】
アニオン性高分子凝集剤の市販品としては、例えば、株式会社立花マテリアル製のクリーンSP-NL等が挙げられる。
【0042】
本実施形態で使用するアニオン性高分子凝集剤の添加量は、特に限定されず、(A)成分の種類及び添加量、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。アニオン性高分子凝集剤の添加量としては、効率よく自由水を吸水し、また土粒子を団粒化するという観点から、例えば、加泥材混合土1m3当たりに対して、アニオン性高分子凝集剤の有効成分量が0.05~30kg/m3になるように添加することが好ましく、0.1~20kg/m3になるように添加することがより好ましい。
【0043】
[(A)成分と(B)成分の添加量比]
本実施形態における改質材としての(A)成分と(B)成分の添加量比(質量比)は、特に限定されず、(A)成分の種類、(B)成分の種類、加泥材混合土の組成や性質等に応じて適宜設定される。
(A)成分がカチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマーである場合、(A)成分と(B)成分の添加量比としては、例えば、(A)カチオン性無機凝集剤の有効成分とカチオン性低分子量ポリマーの有効成分と(B)アニオン性高分子凝集剤の有効成分との添加量比が8~29:6~21:1~70となるように添加することが好ましく、8~15:6~11:3~60となるように添加することがより好ましい。
また(A)成分がアニオン性アクリルアミド及び金属塩である場合、(A)成分と(B)成分の添加量比としては、例えば、(A)アニオン性アクリルアミド及び金属塩の有効成分である金属塩の添加量と(B)アニオン性高分子凝集剤の有効成分との添加量の比が285:20~280となるように添加することが好ましく、285:30~200となるように添加することがより好ましい
【0044】
[加泥材混合土の改質方法]
本実施形態に係る加泥材混合土の改質方法は、例えば、泥土加圧シールド工法や気泡シールド工法等の泥土圧シールド工法によって排出された加泥材混合土に対して使用することができる。
【0045】
<改質材の添加方法>
加泥材混合土に、改質材である(A)成分及び(B)成分を添加する方法は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。(A)成分と(B)成分を添加する順序については、(A)成分を添加後に(B)成分を添加してもよく、(B)成分を添加後に(A)成分を添加してもよく、(A)成分と(B)成分を同時に添加してもよい。同時に添加する場合には、(A)成分と(B)成分とを混合して一液化したものを添加してもよい。
(A)成分は、加泥材に含まれる粘土鉱物の層間水を効率よく排出させるために役立つ成分と推測され、他方で(B)成分は、上記排出された水を吸収し、また土粒子を団粒化するために役立つ成分と推測される。このため、加泥材混合土を効率よく改質するという観点から、(A)成分を添加後に(B)成分を添加することが好ましい。
また(A)成分としてアニオン性アクリルアミドを用いた場合には、(B)成分であるアニオン性高分子凝集剤との相互作用が大きくなり、(A)成分と(B)成分を同時に添加した場合であっても、加泥材混合土を効率よく改質することが可能である。さらに興味深いことに、(A)成分がカチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマーを用いた場合であっても、(B)成分であるアニオン性高分子凝集剤と同時に添加することができ、一液型の加泥材混合土の改質材として好適に用いることができる。
【0046】
ここで、加泥材混合土に(A)成分と(B)成分とを添加する方法の一例について、図面を用いて説明する。
図1は、泥土圧シールド工法に用いられるシールド掘削機の一例である。シールド掘削機1は、カッター11、掘進用加泥材注入口12、スクリューコンベア13、(A)成分及び(B)成分の注入口14、練混ぜ翼16、チャンバー17、土圧計18を備える。
【0047】
カッター11により土砂を掘削し、掘削された土砂に対して掘削用加泥材注入口12から加泥材を注入する。掘削土砂に加泥材を添加し、加泥材混合土とすることで、掘削土砂に塑性流動性、止水性等を付与することができる。スクリューコンベア13は、チャンバー17内の加泥材混合土を、シールド掘削機1の外に排出する排土装置である。
【0048】
スクリューコンベアに、(A)成分及び(B)成分を注入する開口部として注入口14を設けることにより、スクリューコンベアを用いて加泥材混合土を搬送する際に、加泥材混合土に(A)成分及び(B)成分を添加し混合することができる。シールドジャッキ15は、泥土圧を発生させ、切羽の安定を図るための推力装置である。練混ぜ翼16は、掘削土砂と推進用加泥材とをチャンバー17内で練混ぜるための翼である。土圧計18は、泥土圧を測定することによって掘削を管理する装置である。
【0049】
(A)成分及び(B)成分の注入口14は、複数設けられていてもよく、(A)成分の注入口を(B)成分の注入口よりもチャンバーよりに設けることで、(A)成分を添加した後に(B)成分を添加することができる。
スクリューコンベアで加泥材混合土を搬送している間に、加泥材混合土に(A)成分及び(B)成分を添加して改質することにより、改質土をズリトロ、トラック等で掘削現場から処理場、再利用現場等に搬送することが容易になり簡便である。
他方で、加泥材混合土を貯蔵場所、処理場等に搬出した後に、(A)成分及び(B)成分を添加して改質することもでき、混合手段としてはバックホウ、強制撹拌型ミキサ、パン型ミキサ、パドルミキサ、ロータリーハンマミキサ、4軸直列混合式ミキサ等を用いて混合することができる。
【0050】
[改質土]
加泥材混合土に改質材である(A)成分と(B)成分とを添加して混合することにより、コーン指数が200kN/m2以上である改質土を得ることができる。
改質土のコーン指数が200kN/m2以上とすることにより、第1~4種処理土として盛土材、埋戻し材、充填材等の用途で再利用することが可能になり、エコロジカルである。
【実施例0051】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0052】
[1.試験用材料の作製]
<試験用加泥材混合土の作製>
試験用加泥材混合土を作製するにあたって、試験用土砂、試験用気泡材及び試験用加泥材として以下のものを用いた。
【0053】
(試験用土砂)
試験用土砂として、礫分64.6%、砂分29.1%、細粒分(粘土・シルト分)6.3%、含水比10.0%のものを用いた。
【0054】
(試験用気泡材)
試験用気泡材として、レオフォームOL-10(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を1.0質量%濃度に水で希釈した後、発泡機にて発泡倍率10倍となるように調整して作製された気泡を用いた。なお、ここで「発泡倍率」とは、希釈した溶液の体積に対する発泡後の気泡材体積の体積比をさすものとする。
【0055】
(試験用加泥材)
試験用加泥材として、ベントナイト、ケイ酸ナトリウム、高分子及び水を配合したものを作製した。より具体的には、試験用加泥材1m3当たりに対して上記各成分を以下の分量を配合して作製した。
まずA液として、ベントナイト(製品名:T-3、株式会社立花マテリアル製)80kg/m3(加泥材1m3当たりを意味する)と、水918kg/m3とを混合して8%ベントナイト溶液を作製した。次いでB液として、ケイ酸ナトリウム62.7(製品名:クリーンバック急硬剤Q、株式会社立花マテリアル製)kg/m3と、高分子(製品名:クリーンSP-NL、株式会社立花マテリアル製)1.0kg/m3とを混合したものを作製した。
上記A液998kg/m3とB液63.7kg/m3を混合し、試験用加泥材とした。
【0056】
(試験用加泥材混合土)
試験用土砂をパン型ミキサに入れ、設定含水比(10.0%)相当の水を添加し、1分30秒間撹拌混合した。天地返しをした後、さらに1分30秒間撹拌混合した。ここに、まず試験用気泡材を15v/v%(地山土量当たり)添加し、30秒間撹拌混合した後、天地返しをしてさらに30秒間撹拌混合した。次いで試験用加泥材を20v/v%(地山土量当たり)添加し、30秒撹拌混合した後、天地返しをしてさらに30秒間撹拌混合し、試験用加泥材混合土を作製した。
【0057】
<試験用改質材の作製>
試験用改質材である(A)試験用カチオン性無機凝集剤及びカチオン性低分子量ポリマー凝集剤、並びに、試験用アニオン性アクリルアミド及び試験用金属塩と、(B)試験用アニオン性高分子凝集剤として、以下のものを用いた。
【0058】
(試験用カチオン性無機凝集剤及び試験用カチオン性低分子量ポリマー凝集剤)
試験用カチオン性無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(製品名:タイパック(有効成分Al2O3の含有量は10.0~11.0質量%)、大明化学工業株式会社製)をそのまま使用した。
また試験用カチオン性低分子量ポリマー凝集剤として、ソイルフレッシュP-101(栗田工業株式会社製)の粉体を水に溶解して10質量%水溶液として使用した。
【0059】
(試験用アニオン性アクリルアミド及び試験用金属塩)
試験用アニオン性アクリルアミドとして、クリーンSP-AD(株式会社立花マテリアル製)を用いた。また試験用金属塩として塩化カルシウム(株式会社トクヤマ製)を用いた。
上記クリーンSP-AD及び塩化カルシウムを混合して、アクリルアミド・アクリル酸アンモニウム共重合体を0.5~1.5質量%、塩化カルシウムを25~30質量%含有する水溶液を調整した。
【0060】
(試験用アニオン性高分子凝集剤)
試験用アニオン性高分子凝集剤として、クリーンSP-NL(株式会社立花マテリアル製)をそのまま使用した。
【0061】
[2.試験用加泥材混合土への試験用改質材の添加及び混合、並びに、改質土のコーン指数試験]
<試験用加泥材混合土への試験用改質剤の添加及び混合>
上記で作製した試験用加泥材混合土に試験用改質剤を以下の方法で添加し混合した。
試験用加泥材混合土に、表1~表3に記載の順序及び添加量で試験用(A)成分及び(B)成分を添加し、改質土を作製した。
表1記載の試験用(A)成分及び(B)成分については、試験用加泥材混合土に試験用(A)成分を添加し、パン型ミキサで1分30秒間撹拌混合し天地返しをした後、試験用(B)成分を添加し、パン型ミキサで1分30秒間撹拌混合した。また表2記載の試験用(A)成分及び(B)成分については、試験用加泥材混合土に試験用(B)成分を添加し、パン型ミキサで1分30秒間撹拌混合し天地返しをした後、試験用(A)成分を添加し、パン型ミキサで1分30秒間撹拌混合した。さらに表3記載の試験用(A)成分及び(B)成分については、試験用(A)成分及び(B)成分を一液として試験用加泥材混合土に添加し、パン型ミキサで1分30秒間撹拌混合し天地返しをした後、さらにパン型ミキサで1分30秒間撹拌混合した。
【0062】
<改質土のコーン指数試験>
上記で作製した改質土のコーン指数の測定は、JIS A 1228:2020「締固めた土のコーン指数試験方法」に準拠して以下の方法で行った。
まず上記改質土を目開き4.75mmの篩にかけ通過分をコーン指数試験の試料土とした。試料土を内径10cmの突き固め試験用モールドに3層に分けて投入し、2.5kgランマーを落下高さ30cmで各層25回ずつ突き固めた。これを用いてコーン指数試験を行った。
コーン指数が200kN/m2以上の場合を、〇と評価し、200kN/m2未満の場合を×と評価した。その結果を表1~3に示す。
【0063】
表1~3に記載の試験用(A)成分及び(B)成分の詳細は以下のとおりである。
<試験用(A)成分>
(カチオン性無機凝集剤)
・PAC:ポリ塩化アルミニウム(製品名:タイパック、大明化学工業株式会社製)([Al2(OH)nCl6-n]m 但し、1≦n≦5、m≦10、有効成分であるAl2O3を10.0~11.0質量%含有)
(カチオン性低分子ポリマー凝集剤)
・ソイルフレッシュP-101(10質量%水溶液):メタクリル酸エステル系カチオンポリマー(栗田工業株式会社製)(有効成分量:90~100%、嵩比重:0.6±0.1)
(アニオン性アクリルアミド)
・クリーンSP-AD及び金属塩:アクリルアミド・アクリル酸アンモニウム共重合体及び塩化カルシウム(アクリルアミド・アクリル酸アンモニウム共重合体を0.5~1.5質量%、有効成分である塩化カルシウムを25~30質量%含有)
<試験用(B)成分>
(アニオン性高分子凝集剤)
・クリーンSP-NL:アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体(株式会社立花マテリアル製)(有効成分量:35~40質量%)
【0064】
【0065】
表1の比較例1の結果から、試験用加泥材混合土に試験用(A)成分及び(B)成分のいずれをも添加しない場合には、コーン指数が14kN/m2と低い値を示すことが分かる。また表1の比較例2及び5のように試験用加泥材混合土に試験用(A)成分のみを添加した場合や、比較例8のように試験用加泥材混合土に試験用(B)成分のみを添加した場合には、コーン指数がいずれも200kN/m2よりも低い値を示した。
これに対し、実施例1~12のように試験用加泥材混合土に試験用(A)成分及び(B)成分の両方を添加した場合には、いずれの場合もコーン指数が200kN/m2以上の値を示し、良好な結果を与えた。
他方で、比較例3、4、6及び7のように試験用加泥材混合土に試験用(A)成分及び(B)成分の両方を添加した場合であっても、試験用(B)成分の有効成分添加量が、試験用(A)成分の有効成分添加量に比べて、少なすぎる場合や多すぎる場合には、改質土のコーン指数は200kN/m2を下回るという結果が得られた。
【0066】
【0067】
表2の実施例13から、試験用加泥材混合土に試験用(B)成分を添加した後に、試験用(A)成分を添加した場合であっても、改質土のコーン指数は200kN/m2以上の値を示し、良好な結果を与えることが分かる。
他方で、表1の実施例4及び5の結果と表2の実施例13の結果を比較すると、加泥材混合土に試験用(A)成分を添加した後に試験用(B)成分を添加した方が、試験用(B)成分を添加した後に試験用(A)成分を添加するように、加泥材混合土をより効果的に改質できると推測することができる。
【0068】
【0069】
表3の実施例14~22の結果から、試験用加泥材混合土に試験用(A)成分としてPAC及びソイルフレッシュP-101、又は、クリーンSP-AD及び金属塩と、試験用(B)成分としてクリーンSP-NLを一液型にして同時に添加した場合であっても、改質土のコーン指数は200kN/m2以上の値を示し、良好な結果を与えることが分かる。このため、試験用(A)成分と(B)成分とは、一液型の改質剤として有効に利用できることが分かる。