(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071834
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182276
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】君島 康紀
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】ビアホールの内面が深さ方向に対し傾斜を有していても、ビア導体の断線やクラックを抑制できる配線基板を提供する。
【解決手段】第1絶縁層2と、第1絶縁層の上に形成されている第1導体層3と、第1導体層を覆うように第1絶縁層の上に形成されている第2絶縁層4と、第2絶縁層において、第1導体層の一部が露出するように形成されたビアホール5と、ビアホールの内面5a及び第2絶縁層における第1絶縁層と対応する面の反対面である第1面4aに形成されたシード層6と、ビアホールの内面のシード層上に形成されたビア導体7と、第1面に形成された第2導体層8と、を備える配線基板1であって、ビア導体は、5層以上のめっき膜を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に形成されている第1導体層と、
前記第1導体層を覆うように前記第1絶縁層の上に形成されている第2絶縁層と、
前記第2絶縁層において、前記第1導体層の一部が露出するように形成されたビアホールと、
前記ビアホールの内面及び前記第2絶縁層における前記第1絶縁層と対応する面の反対面である第1面に形成されたシード層と、
前記ビアホールの内面のシード層上に形成されたビア導体と、
前記第1面に形成された第2導体層と、を備える配線基板であって、
前記ビア導体は、5層以上のめっき膜を含んでいる。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記めっき膜は、電解めっき膜である。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記めっき膜は、銅を主成分として含んでいる。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記第2導体層は、第1面に形成された前記シード層と、シード層上に形成された5層以上のめっき膜とからなる。
【請求項5】
請求項4に記載の配線基板において、前記第2導体層のシード層と前記ビアホール内面のシード層とが連続して形成されるとともに、前記第2導体層の5層以上のめっき膜と前記ビアホール内面の5層以上のビア導体層とが連続して形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビア導体を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ビア導体を有する配線基板の一例を開示している。
図3に示すように、特許文献1に開示された配線基板51は、第1絶縁層52と、第1絶縁層52上に形成された第1導体層53と、第1導体層53を覆うように形成された第2絶縁層54と、第2絶縁層54において、第1導体層53の一部が露出するように形成されたビアホール55と、ビアホール55の内面に形成されたビア導体56と、第1導体層53の上面にビア導体56と同時に形成された第2導体層57と、を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された配線基板51において、ビアホール55の側面が深さ方向に対し傾斜を有する。そのため、単一層で形成されているビア導体56に深さ方向の応力が発生すると、ビア導体56の断線やクラック発生の虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成されている第1導体層と、前記第1導体層を覆うように前記第1絶縁層の上に形成されている第2絶縁層と、前記第2絶縁層において、前記第1導体層の一部が露出するように形成されたビアホールと、前記ビアホールの内面及び前記第2絶縁層における前記第1絶縁層と対応する面の反対面である第1面に形成されたシード層と、前記ビアホールの内面のシード層上に形成されたビア導体と、前記第1面に形成された第2導体層と、を備える配線基板であって、前記ビア導体は、5層以上のめっき膜を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図2】(a)~(e)は、それぞれ、本発明に係る配線基板の一実施形態を製造する各工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、
図1~
図3に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0008】
図1は、本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図1において、本発明に係る配線基板1は、第1絶縁層2と、第1絶縁層2の上に形成されている第1導体層3と、第1導体層3を覆うように第1絶縁層2の上に形成されている第2絶縁層4と、第2絶縁層4において、第1導体層3の一部が露出するように形成されたビアホール5と、ビアホール5の内面5a及び第2絶縁層4における第1絶縁層2と対応する面の反対面である第1面4aに形成されたシード層6と、ビアホール5の内面5aのシード層6上に形成されたビア導体7と、第1面4aに形成された第2導体層8と、を備えている。以上の構成は、従来の配線基板の構成と同じである。
【0009】
本発明に係る配線基板1の特徴は、ビア導体7が、5層以上のほぼ同じ幅を有するめっき膜(ここでは、5層のめっき膜7-1~7-5)を含んでいる点にある。なお、
図1に示す実施態様では、好ましい態様として、第2導体層8が5層のほぼ同じ幅を有するめっき膜8-1~8-5で形成されており、ビア導体7を構成する5層のめっき膜7-1~7-5が、第2導体層8を構成する5層のめっき膜8-1~8-5と各別に連続して形成されている。また、ビア導体7の最上層となるめっき膜7-6と第2導体層8の最上層となるめっき膜8-6とが連続して形成されており、ビア導体7と第2導体層8の上面を平面としている。さらに、本発明に係る配線基板1では、第2導体層8は5層以上のめっき膜を含む必要はなく、少なくともビア導体7が5層以上のめっき膜で構成されていれば、その効果を達成することができる。
【0010】
なお、本発明に係る配線基板1において、めっき膜7-1~7-6は電解めっき膜であることが好ましい。また、めっき膜7-1~7-6は銅を主成分として含んでいることが好ましい。
【0011】
本発明に係る配線基板1では、ビア導体7が5層以上のめっき膜で形成されているため、ビアホール5の内面5aが深さ方向に対し傾斜を有していても、ビア導体7の断線やクラックを抑制することができる。ここで、ビア導体7の多層構造を5層以上と限定するのは、多層構造が5層未満であると、ビア導体7の断線やクラック発生を十分に抑制することができないためである。
【0012】
<本発明の配線基板の製造方法について>
図2(a)~(e)は、それぞれ、本発明に係る配線基板の一実施形態を製造する各工程を模式的に示す断面図である。以下、
図2(a)~(e)を参照して、本発明に係る配線基板の製造方法の一実施形態を説明する。
【0013】
まず、
図2(a)に示すように、第1絶縁層2を準備し、第1絶縁層2上に所定の回路パターンに沿って第1導体層3を形成する。第1絶縁層2の下層には他の複数の導体層および絶縁層が交互に形成されている場合が多いが、図では省略されている。第1絶縁層2には、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。
【0014】
次に、
図2(b)に示すように、第1導体層3を覆うように第1絶縁層2の上に第2絶縁層4を形成する。第2絶縁層4も、第1絶縁層2と同様に、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。
【0015】
次に、
図2(c)に示すように、第2絶縁層4において、第1導体層3の一部が露出するようにビアホール5を形成する。ビアホール5は、内面5aが深さ方向に対し傾斜を有しており、例えばマスクを用いて炭酸ガスレーザまたはUV-YAGレーザ等により形成することができる。
【0016】
次に、
図2(d)に示すように、ビアホール5の内面5a及び第2絶縁層4における第1絶縁層2と対応する面の反対面である第1面4aに、シード層6を形成する。シード層6は、無電解銅めっき処理等の無電解めっき処理や、スパッタにより形成することができる。
【0017】
次に、
図2(e)に示すように、ビアホール5の内面5aのシード層6上にビア導体7を形成するとともに、第2絶縁層4の第1面4aに第2導体層8を形成する。本実施形態では、ビア導体7を構成する5層のほぼ同じ幅のめっき膜7-1~7-5およびめっき膜7-6が、第2導体層8を構成する5層のほぼ同じ幅のめっき膜8-1~8-5およびめっき膜8-6と各別に連続して形成されている。
【0018】
ここでは、ビア導体7を構成する5層のめっき膜7-1~7-5およびめっき膜7-6と、第2導体層8を構成する5層のめっき膜8-1~8-5とめっき膜8-6とは、例えばめっきレジストを用いて銅を主成分とする電解めっき処理を行うことで連続して形成されている。そして、5層のほぼ同じ幅のめっき膜7-1~7-5およびめっき膜7-6と5層のほぼ同じ幅のめっき膜8-1~8-5およびめっき膜8-6とは、一例として、各層ごとに電解めっき処理時の電流密度を5段階に段階的に高くまたは低く変化させることで形成している。他の方法でも、ビア導体7を構成する5層のめっき膜7-1~7-5およびめっき膜7-6と、第2導体層8を構成する5層のめっき膜8-1~8-5とめっき膜8-6とを形成することができれば、どのような方法をもとることができる。なお、第2導体層8は多層構造に限定されない。
【0019】
上述したように、一例として、
図2(a)~(e)に示した製造方法により、ビア導体7が5層以上のめっき膜を含む配線基板1を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 配線基板
2 第1絶縁層
3 第1導体層
4 第2絶縁層
4a 第1面
5 ビアホール
5a 内面
6 シード層
7 ビア導体
7-1~7-6 めっき膜
8 第2導体層
8-1~8-6 めっき膜