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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071842
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】駐車場自動設計システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/10 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
E04H6/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182294
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】518424279
【氏名又は名称】株式会社ダイスネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】神田 信孝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久人
(72)【発明者】
【氏名】河村 賢一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 文秀
(72)【発明者】
【氏名】北條 秀夫
(57)【要約】
【課題】駐車場のレイアウトを自動で設計することができる駐車場自動設計システムを提供する。
【解決手段】軌跡シミュレーションは、レイアウト作成処理の一部の処理として実行される。軌跡シミュレーションの目的は、(1)駐車場内車道幅C及び最適な駐車スペースZを算出すること、及び、(2)最適な駐車場のレイアウトを出力することである。軌道シミュレーションでは、まず、隣の車両との干渉(駐車間スペースYとの干渉)を避けるための駐停車前(後)進距離Xを算出する。ついで、車両軌跡(外側)A及び車両軌跡(内側)Bの軌跡シミュレーション(クロソイド曲線等を用いたシミュレーション)を実行し、駐車スペースZ(駐車スペース情報:例えば、1台の車を駐車するために必要となる幅方向の長さ)を算出する。最後に、これまで算出してきた各種数値や、車種情報、台数情報等に基づいて駐車場のレイアウトを自動設計する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場のレイアウトを自動で設計する駐車場自動設計システムであって、
前記駐車場に駐車する車種ごとの車種データを記憶している記憶手段と、
前記駐車場に駐車する車の台数情報、前記駐車場に駐車する車の車種情報、及び、前記駐車場のエリア情報を入力可能な入力手段と、
前記車種データ及び前記車種情報に基づいて前記駐車場に駐車する車の1台あたりの駐車スペース情報を算出し、前記車種データ及び前記車種情報に基づいて前記駐車場に駐車する車の軌跡情報を算出し、前記台数情報、前記エリア情報、前記駐車スペース情報及び前記軌跡情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成する制御手段と、
を備える駐車場自動設計システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記入力手段は、前記駐車場に隣接する建物の入口情報を入力可能であり、
前記制御手段は、前記入口情報に基づいて前記レイアウトを作成することを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項3】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕がないと判断した場合には、前記台数情報の再入力を促すことを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項4】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、前記収納台数を増加させることを可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項5】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、迂回路を設定することを可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項6】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、前記駐車場に駐車する車の1台あたりの前記駐車スペース情報を拡大する方向に変更可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項7】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、前記駐車場の内部に配置する車幅情報を拡大する方向に変更可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項8】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、駐車場に駐車する車の向きに基づいて前記軌跡情報を算出可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システム。
【請求項9】
請求項1に記載の駐車場自動設計システムにおいて、
前記制御手段は、複数種類の算出手法のうち指定された算出手法に基づいて前記軌跡情報を算出可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場自動設計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、障害物を回避するための駐車支援を行うことが可能な駐車支援装置(例えば、特許文献1)や、任意の駐車開始位置から駐車軌跡を算出できる駐車軌跡算出装置(例えば、特許文献2)、経路決定の際の演算量の削減を図ることができる駐車支援装置(例えば、特許文献3)、目標位置への車両の移動に要する時間を短くできる車両走行支援装置(例えば、特許文献4)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-214223号公報
【特許文献2】特開2016-11080号公報
【特許文献3】特開2016-60223号公報
【特許文献4】特開2018-158674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術としては、上記のような文献が存在しているが、駐車場のレイアウトを自動で設計することができる技術は存在しない。
【0005】
そこで、本発明は、駐車場のレイアウトを自動で設計することができる駐車場自動設計システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段の駐車場自動設計システムは、駐車場のレイアウトを自動で設計する駐車場自動設計システムであって、前記駐車場に駐車する車種ごとの車種データを記憶している記憶手段と、前記駐車場に駐車する車の台数情報、前記駐車場に駐車する車の車種情報、及び、前記駐車場のエリア情報を入力可能な入力手段と、前記車種データ及び前記車種情報に基づいて前記駐車場に駐車する車の1台あたりの駐車スペース情報を算出し、前記車種データ及び前記車種情報に基づいて前記駐車場に駐車する車の軌跡情報を算出し、前記台数情報、前記エリア情報、前記駐車スペース情報及び前記軌跡情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成する制御手段と、を備える駐車場自動設計システムである。
【0008】
本解決手段によれば、各種情報に基づいて駐車スペース情報を算出し、軌跡情報を算出し、駐車スペース情報及び軌跡情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成するため、少ない情報を入力するだけで駐車場のレイアウトを自動で設計することができる。
【0009】
解決手段2:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記入力手段は、前記駐車場に隣接する建物の入口情報を入力可能であり、前記制御手段は、前記入口情報に基づいて前記レイアウトを作成することを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0010】
本解決手段によれば、制御手段は、入口情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成するため、建物の入口に配慮した駐車場のレイアウトを作成することができる。
【0011】
解決手段3:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕がないと判断した場合には、前記台数情報の再入力を促すことを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0012】
本解決手段によれば、収納台数に余裕がないと判断した場合には、台数情報の再入力を促すため、駐車場のレイアウトを柔軟に変更することができる。
【0013】
解決手段4:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、前記収納台数を増加させることを可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0014】
本解決手段によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、収納台数を増加させることを可能とするため、駐車場に利用する土地を最大限に活用することができる。
【0015】
解決手段5:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、迂回路を設定することを可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0016】
本解決手段によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、迂回路を設定することを可能とするため、迂回路の設定によって駐車を行いやすい駐車場のレイアウトを作成することができる。
【0017】
解決手段6:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、前記駐車場に駐車する車の1台あたりの前記駐車スペース情報を拡大する方向に変更可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0018】
本解決手段によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、駐車場に駐車する車の1台あたりの駐車スペース情報を拡大する方向に変更可能とするため、駐車スペース情報の拡大によって駐車を行いやすい駐車場のレイアウトを作成することができる。
【0019】
解決手段7:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、前記駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否かを判断し、前記収納台数に余裕があると判断した場合には、前記駐車場の内部に配置する車幅情報を拡大する方向に変更可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0020】
本解決手段によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、駐車場の内部に配置する車幅情報を拡大する方向に変更可能とするため、車幅情報の拡大によって駐車を行いやすい駐車場のレイアウトを作成することができる。
【0021】
解決手段8:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、駐車場に駐車する車の向きに基づいて前記軌跡情報を算出可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0022】
本解決手段によれば、制御手段は、駐車場に駐車する車の向きに基づいて軌跡情報を算出するため、駐車する車の向きも考慮した駐車場のレイアウトを作成することができる。
【0023】
解決手段9:本解決手段の駐車場自動設計システムは、上述したいずれかの解決手段において、前記制御手段は、複数種類の算出手法のうち指定された算出手法に基づいて前記軌跡情報を算出可能とすることを特徴とする駐車場自動設計システムである。
【0024】
本解決手段によれば、制御手段は、複数種類の算出手法のうち指定された算出手法に基づいて軌跡情報を算出するため、1つの算出手法しか指定することができない場合と比較して、駐車場のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、駐車場のレイアウトを自動で設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態の駐車場自動設計システム10を示す図である。
図2】レイアウト作成処理の流れを示すフローチャートである。
図3】軌跡情報を算出する際に用いる算出手法について説明する図である。
図4】軌跡シミュレーションの概要を示す図である。
図5】軌跡シミュレーションの表示例を示す図である。
図6】軌跡シミュレーションの表示例を示す図である。
図7】軌跡シミュレーションの表示例を示す図である。
図8】第1例の駐車場のレイアウトを示す図である。
図9】第2例の駐車場のレイアウトを示す図である。
図10】第3例の駐車場のレイアウトを示す図である。
図11】第4例及び第5例の駐車場のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態の駐車場自動設計システム10を示す図である。駐車場自動設計システム10は、駐車場のレイアウトを自動で設計するシステムである。駐車場自動設計システム10は、記憶部11(記憶手段)と、入力部12(入力手段)と、制御部13(制御手段)と、表示部14と、を備える。
【0028】
記憶部11は、駐車場に駐車する車種ごとの車種データを記憶している部分である(車両データベース)。記憶部11は、車種ごとに、全幅、全長等が記憶された車種データを記憶している。車種データには、前オーバーハング、ホイールベース(最遠軸距離)、後オーバーハング、トレッド、車体最小回転半径、最小回転半径、車の高さ等が含まれてもよい。また、車種データには、車種ごとに必要な駐車スペース情報が含まれていてもよい。
【0029】
車種データは、運転者の技量や運転時の状況を考慮したデータとすることもできる。
(例1)一般運転者向け:幅=2200mm、長さ=(全長+α)mm
(例2)運転未熟者及び杖・松葉杖使用者の場合:幅=2900mm、長さ=(全長+α)mm
(例3)車椅子使用者に介添え者有りの場合:幅=3300mm、長さ=(全長+α)mm
(例4)身障者一人で、かつ、車椅子を回転する場合:幅=3500mm、長さ=(全長+α)mm
斜め駐車時の駐車スペース情報は、斜めの角度に関する情報と、(例1)~(例4)に関する情報とを組み合わせることができる。
【0030】
入力部12は、駐車場に駐車する車の台数情報、駐車場に駐車する車の車種情報、及び、駐車場のエリア情報を入力可能な部分である。また、入力部12は、駐車場に隣接する建物の入口情報(建物(入口)位置情報)を入力可能である。入力部12は、例えば、キーボードやマウス、タッチデバイス等とすることができる。入力部12は、他のシステムやプログラムから情報を受け付けることもできる。
【0031】
制御部13は、車種データ及び車種情報に基づいて駐車場に駐車する車の1台あたりの駐車スペース情報を算出し、車種データ及び車種情報に基づいて駐車場に駐車する車の軌跡情報を算出し(軌跡シミュレーションを実行し)、台数情報、エリア情報、駐車スペース情報及び軌跡情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成する。制御部13は、車両軌跡作成ツールを利用可能であり、軌跡情報を算出する際には、車両軌跡作成ツールを利用して、軌跡情報を算出することができる。
【0032】
制御部13は、入口情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成することができる。また、制御部13は、駐車場に駐車する車の向きに基づいて軌跡情報を算出可能とする。さらに、制御部13は、複数種類の算出手法のうち指定された算出手法に基づいて軌跡情報を算出可能とする。記憶部11には、駐車場自動設計システム10を動作させるためのプログラムが格納されており、制御部13は、このプログラムを実行することにより駐車場自動設計システム10を制御することができる。
【0033】
表示部14は、制御部13によって作成された駐車場のレイアウト等を表示する部分である。表示部14は、例えば、液晶表示器とすることができる。
【0034】
駐車場自動設計システム10の概要は、以下の通りである。駐車場の敷地内には、必要な台数を駐車可能な駐車スペースを用意する必要がある。駐車場の設計においては、駐車台数に対する駐車場の専有面積が課題となる。また、倉庫、工場、オフィス、商用施設の駐車場の場合、駐車する車には搬入搬出用の大型貨物車両が含まれる。駐車場自動設計システム10は、車種データ及び車種情報に基づいて(車両データベースを参照して)、車種によって1台に必要な駐車スペース情報、車両の軌跡情報、及び、駐車場内車道幅を算出する。さらに、台数情報及び車種情報を設定することで、必要な専有面積を抽出する。さらに、台数情報及び車種情報に優先順位をつけることで、優先順位の高い車種を優先的に配置し、駐車場のレイアウトを自動で配置(設計)することができる。駐車場内車道幅(駐車場内車道面積)を最小とするために、駐車場内車道上に縦列駐車もしくは斜め駐車を優先することができる。なお、指定する台数情報は、専有面積に対する台数であるため、設定される車種によっては収納台数が変更され、駐車場のレイアウトも自動で変更される。駐車場自動設計システム10は、既存の建築設計用ソフトをプラットフォームとしてアドオンとして機能させてもよく、既存の建築設計用ソフトを介さない単独のシステムとして機能させてもよい。
【0035】
図2は、レイアウト作成処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、制御部13が実行する。
ステップS100:制御部13は、入力部12からの条件入力を受け付ける。条件入力として受け付ける情報は、台数情報、車種情報、駐車場のエリア情報、建物(入口)位置情報、オプション情報である。台数情報は、駐車場に駐車する車の台数を示す値(例えば、20台、25台等)である。車種情報は、駐車場に駐車する車の車種を示す情報(例えば、A社第1車、B社第2車等)である。なお、車種情報において複数の車種を選択する場合、台数情報は車種ごとに入力する(例えば、A社第1車を10台、B社第2車を10台等)。
【0036】
駐車場のエリア情報は、駐車場のエリアに関する情報(例えば、駐車場の経度及び緯度、駐車場の土地の地番、駐車場の面積、駐車場の形状等)である。駐車場のエリア情報は、既存の建築設計用ソフトがプラットフォームとなっている場合は、その既存の建築設計用ソフトから入力してもよく、既存の建築設計用ソフトがプラットフォームとなっていない場合は、所定の地図システムやユーザの手入力により入力してもよい。建物(入口)位置情報は、駐車場に隣接する建物の位置に関する建物情報と、駐車場に隣接する建物の入口の位置に関する入口情報とを含んでいる。なお、入口は出入口であってもよい。
【0037】
オプション情報は、任意に入力可能な情報である。オプション情報としては、運転手レベル情報(一般運転者、運転未熟者及び杖・松葉杖使用者、車椅子使用者に介添え者有り、身障者一人で、かつ、車椅子を回転する者等の情報)、植栽追加情報(植栽有り、植栽無し等の情報)、駐車向き情報(前向き駐車、後向き駐車、斜め駐車、縦列駐車等の情報)、迂回路設定情報(迂回路有り、迂回路無し等の情報)、法令チェック情報(法令チェックの有無に関する情報)等である。なお、本処理では、スペースが余った時の処理(収納台数を増加させる処理)、すなわち、ステップS106Yesを経由してステップS100に戻ってきた時の処理も実行可能である。ステップS106Yesを経由してステップS100に戻ってきた場合には、制御部13は、自動で又はユーザにより再設定された値により台数情報を追加する処理(収納台数を増加させる処理)を実行する。
【0038】
ステップS101:制御部13は、ステップS100で受け付けた車種情報に基づいて駐車スペース情報(例えば、1台の車を駐車するために必要となる幅方向の長さ;図4の駐車スペースZ参照)を算出する。すなわち、制御部13は、車種データ及び車種情報に基づいて駐車場に駐車する車の1台あたりの駐車スペース情報を算出する。例えば、ユーザにより入力された車種情報が「A社第2車」であった場合、制御部13は、「A社第2車」の車種データを参照する。「A社第2車」の車種データは、全幅が「1690mm」となっているため、「A社第2車」の1台あたりの駐車スペース情報は、「1690mm」よりも大きい値として算出される(例えば、「2200mm」)。全幅にいずれの値を加算するかについては、ユーザによって任意に設定できるようにしてもよく、固定値を加算するようにしてもよく、運転手レベル情報に応じた値を加算するようにしてもよい。
【0039】
ステップS102:制御部13は、駐車場の仮レイアウトを作成する処理を実行し、駐車場内車道幅情報を算出する処理を実行する。具体的には、制御部13は、台数情報及び駐車スペース情報に基づいて駐車場の仮レイアウトを作成し、仮レイアウト上に配置する車道の駐車場内車道幅情報を算出する。駐車場の仮レイアウトを作成する際には、駐車ブロックを作成し、その駐車ブロックの中に一又は複数の駐車領域を作成する。駐車ブロックは、入口情報を参照し、建物の入口に近い場所から配置していくことが好ましい。なお、台数情報及び車種情報に優先順位がついている場合には、優先順位が高い車種を建物の入口に近い場所に配置することができる。
【0040】
ステップS103:制御部13は、軌跡シミュレーションを実行する。具体的には、制御部13は、駐車場に駐車する1台ごとに必要な面積を算出し、指定された車の角度(車の向き)及び指定された算出手法に基づいて駐車場に駐車する車の軌跡情報を算出し、一の車の軌跡が他の車の駐車領域に接触するか否かを確認する。
例えば、「A社第2車」の1台に必要な面積は、7926100mm(=1690mm×4690mm)である。なお、この面積は、最小面積であり、ユーザの設定やオプション情報等に応じて任意に増加可能である。そして、この面積を有する領域を1台用の駐車領域とし、駐車領域を移動させて車の軌跡を形成し、接触確認を行う。
【0041】
制御部13は、接触確認において、一の車の軌跡が他の車の駐車領域に接触すると判断した場合には、仮レイアウト上に配置した駐車領域を移動させて、一の車の軌跡が他の車の駐車領域に接触しないように、仮レイアウトを変更する。また、制御部13は、設定した駐車場内車道内を車が正常に(いずれのものにもぶつからないで)通過可能であるか否かを確認する。設定した駐車場内車道内を車が正常に通過可能でないと判断した場合には、仮レイアウト上に配置した駐車場内車道や駐車領域等を移動させて、設定した駐車場内車道内を正常に車が通過可能なように、仮レイアウトを変更する。
【0042】
ステップS104:制御部13は、駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があるか否か(駐車場を配置する土地に追加の駐車領域を配置する余裕があるか否か)を判断する。駐車場に駐車する車の収納台数に余裕があると判断した場合には(Yes)、制御部13は、次にステップS106を実行する。一方、駐車場に駐車する車の収納台数に余裕がないと判断した場合には(No)、制御部13は、次にステップS105を実行する。
【0043】
ステップS105:制御部13は、台数情報の再入力(修正又は再入力)を促す処理を実行する。この場合、制御部13は、表示部14に「収納台数に余裕がありません。台数を減らしてください。」といったメッセージを表示する。本処理を終えると、制御部13は、ステップS100に戻って処理を継続する。
【0044】
ステップS106:制御部13は、台数追加の処理を実行するか否かを判断する。この場合、制御部13は、表示部14に「収納台数に余裕があります。台数を追加しますか?」といったメッセージとともに、「はい」及び「いいえ」のボタンを表示する。ユーザによって「はい」のボタンが押下され、台数追加の処理を実行すると判断した場合には(Yes)、制御部13は、ステップS100に戻って処理を継続する。一方、ユーザによって「いいえ」のボタンが押下され、台数追加の処理を実行しないと判断した場合には(No)、制御部13は、次にステップS107を実行する。
【0045】
ステップS107:制御部13は、迂回路設定の処理を実行するか否かを判断する。迂回路の設定は、表示部14を用いてユーザに問い合わせをしてもよく、空きスペースを利用して制御部13が自動的に迂回路を設定してもよく、オプション情報を参照して迂回路を設定してもよい。いずれにしても、迂回路設定の処理を実行すると判断した場合には(Yes)、制御部13は、次にステップS108を実行する。一方、迂回路設定の処理を実行しないと判断した場合には(No)、制御部13は、次にステップS109を実行する。
【0046】
ステップS108:制御部13は、仮レイアウト上に迂回路を設定する処理を実行する。迂回路は、駐車場の任意の場所に設定することができる。また、迂回路は、一の駐車ブロックと他の駐車ブロックとの間に、行き止まりの駐車場内車道がある場合、行き止まりとなっている駐車場内車道に接続するように設定する(駐車場内車道の行き止まりをなくすように迂回路を設定する)ことが好ましい。
【0047】
ステップS109:制御部13は、駐車スペース情報及び車幅情報の拡大処理を実行する。具体的には、制御部13は、空きスペースに応じて駐車スペース情報を拡大(1台あたりの駐車スペースの長さをプラスへ修正、駐車領域の面積をプラスへ修正)したり、車幅情報を拡大(駐車場内車道幅をプラスへ修正)したりする処理を実行する。なお、制御部13は、安全面の確保の観点から、駐車スペース情報及び車幅情報の縮小処理(マイナス方向への修正)は実行しない。マイナス方向への修正が必要となる場合には、マイナス方向への修正は行わず、その代わりに、ステップS105に示すように台数情報の再入力を促す。
【0048】
ステップS110:制御部13は、ステップS100で受け付けたオプション情報に基づいてオプション処理を実行する。具体的には、制御部13は、運転手レベル情報に基づいて駐車領域の面積を広げたり、運転手レベル情報に基づいて駐車領域を身障者用の領域にしたり、植栽追加情報に基づいて植栽を追加したり、駐車向き情報に基づいて、車の駐車向きを変更したり、迂回路設定情報に基づいて迂回路を設定したり迂回路をなくしたりする処理を実行したり、法令チェック情報に基づいて法令チェック処理を実行したりする。なお、本処理を実行することにより、仮レイアウトを変更した場合には、再度、ステップS103の軌跡シミュレーションを実行するようにしてもよい。
【0049】
ここで、法令チェック処理とは、駐車場のレイアウトが、駐車場の基本法法令(1:駐車場法、2:駐車場法施行令、3:駐車場法施工規則、4:駐車場法施行令第15条の認定基準)、建築基準法の関係法令(1:建築基準法(建ぺい率制限(建築基準法第53条)、容積率制限(建築基準法第52条、同52条4項、同52条5項、同52条6項)、高さの制限(建築基準第法56条)、隣地境界線からの高さの斜線制限(建築基準法第56条1項2号)、建築物の各部の高さ(建築基準法第56条1項3号)、高度地区(建築基準法第58条))、2:建築基準法施行令(駐車場に関する制限(建築基準法施行令第2条1項4号、同2条3項)、自動車車庫の用途規制(建築基準法施行令第130条5号、同130条5項5号、同130条8項)、隣地との関係で制限が緩和される場合(建築基準法施行令第134条、同135条)))、都市計画地域での法令(都市計画法)、駐車及び駐車場の設備に関する法律(消防法)、道路交通法に関する法令(1:道路交通法、2:道路交通法施行令、3:時間制限駐車区間規制の実施に際しての留意事項の詳細について)、車庫に関する適用法令(1:自動車保管場所確保等に関する法律、2:自動車保管場所確保等に関する法律施行令)等に適合しているか否かをチェックする処理である。法令に関する事項は、記憶部11に記憶されている。制御部13は、仮レイアウトが法令に適合しているか(違反していないか)をチェックしたり、法令で必要となる項目を仮レイアウトに追加したりすることができる。なお、制御部13は、すべての法令をチェックする必要はなく、重要な部分だけをチェックしてもよく、重要な部分の注意喚起を促す情報を表示部14に表示するようにしてもよい。
【0050】
ステップS111:制御部13は、レイアウト作成処理を実行する。ステップS102で作成した仮レイアウトに対して、ステップS102以降の処理で変更を加えたレイアウトを作成する。作成したレイアウトは、表示部14に表示することができる。
以上の処理を終えると、制御部13は、レイアウト作成処理を終了する。
【0051】
図3は、軌跡情報を算出する際に用いる算出手法について説明する図である。本実施形態では、軌跡情報を算出する際に用いる算出手法として、3つの算出手法が用意されている。第1算出手法は、クロソイド曲線を用いた手法である。クロソイド曲線におけるクロソイド長(第1クロソイド長=第2クロソイド長)は、車の時速や車のハンドルの回転角によるが、本実施形態では時速5kmを前提に、小型車を5.6mと設定し、大型車を8.4mと設定している。図3(A)に示すように、第1算出手法においては、「第1クロソイド(点線)→円弧(実線)→第2クロソイド(点線)」からなる曲線を描く。
【0052】
第2算出手法は、単心曲線を用いた手法である。特に図示はしていないが、第2算出手法においては、指定した角度の止めハンドルで最小回転半径による曲線を描く。第3算出手法は、内法回転半径を用いた手法である。図3(B)に示すように、自動四輪車の屈曲部の内法回転半径は5m以上であることが好ましい。図3(C)に示すように、自動二輪車の屈曲部の内法回転半径は3m以上であることが好ましい。本実施形態では、車路(施行令第8条第3項)に従ってシミュレーションを行っており、図3(D)に示すように、5mの内法回転半径で3.5mの車幅を配置するようにしている。
【0053】
図4は、軌跡シミュレーションの概要を示す図である。以下に示す軌跡シミュレーションは、図2のレイアウト作成処理の一部の処理(例えば、ステップS103の軌跡シミュレーションの処理)として実行される。軌跡シミュレーションの目的は、(1)駐車場内車道幅C及び最適な駐車スペースZを算出すること、及び、(2)最適な駐車場のレイアウトを出力することである。
【0054】
軌道シミュレーションでは、まず、隣の車両との干渉(駐車間スペースYとの干渉)を避けるための駐停車前(後)進距離Xを算出する。ついで、車両軌跡(外側)A及び車両軌跡(内側)Bの軌跡シミュレーション(クロソイド曲線等を用いたシミュレーション)を実行し、駐車スペースZ(駐車スペース情報:例えば、1台の車を駐車するために必要となる幅方向の長さ)を算出する。最後に、これまで算出してきた各種数値や、車種情報、台数情報等に基づいて駐車場のレイアウトを自動設計する。なお、道路設計の場合は緩和曲線を必要とするが、駐車場設計の場合は速度が限りなく0に近いため、緩和曲線を考慮しなくてもよい。
【0055】
図5図7は、軌跡シミュレーションの表示例を示す図である。図2のレイアウト作成処理の実行中には、以下の表示画面を表示することができる。図5に示すように、表示部14には、車両軌跡チェック表示画面20が表示される。車両軌跡チェック表示画面20には、車種情報を選択するためのプルダウンメニュー部21と、回転角情報を入力するための数値入力部22と、軌跡シミュレーションに用いる算出手法を選択するための機能選択ボタン23と、選択事項をクリア(初期化)するためのキャンセルボタン24と、凡例を展開するための展開ボタン25とが表示される。なお、機能選択ボタン23のうち、クロソイド及び単心曲線は必須項目とし、内法回転半径は任意項目とすることができる(内法回転半径のボタンは設けなくてもよい)。
【0056】
プルダウンメニュー部21には、複数の車種情報が表示されるようになっており、ユーザがマウス等を操作して、プルダウンメニュー部21をクリックすると、プルダウンメニュー部21が下方に延びて複数の車種情報が表示される。車種情報としては、A社の第1車、A社の第2車、B社の第1車、B社の第2車、C社の第1トラック、C社の第2トラック、C社の第3トラック、D社の第1バス、D社の第2バス、D社の第3バス、D社のトラック、E社の大型ダンプ、救急車、消防車(はしご車)、消防車(スノーケル車)、ゴミ収集車等が表示される。
【0057】
そして、ここではユーザがマウス等を操作して、車種情報として「A社の第2車」を選択したものとする。この場合、図6に示すように、プルダウンメニュー部21には「A社の第2車」が表示され、プルダウンメニュー部21の下部には、選択した車種情報に対応する車種データ26が表示される。具体的には、車種データ26として、A:全幅1690mm、B:全長4690mm、C:前オーバーハング800mm、D:ホイールベース2730mm、E:後オーバーハング1160mm、F:トレッド1455mm、最小回転半径5500mmが表示されている。
【0058】
ユーザがマウス等を操作して、展開ボタン25をクリックすると、凡例表示画面27が展開する。凡例表示画面27では、選択した車種情報に対応する車画像28(側面図、正面図、背面図)とともに、車種データ26に表示されている各種数値(各種長さ)がいずれの部分の長さに該当するのかを示す矢印画像29が表示される。なお、ユーザがマウス等を操作して、展開ボタン25を再びクリックすると、凡例の展開が終了し、凡例表示画面27が非表示となる。
【0059】
数値入力部22には、回転角情報を入力することができるようになっており、図示の例では、「90(度)」が入力されている。そして、使用したい機能選択ボタン23を押下し、任意のポイントをクリックすると、選択した車種情報に対応する車の軌跡情報が描画される。ここでは、ユーザがマウス等を操作して、3つの機能選択ボタン23の中から、クロソイド曲線に対応するボタン(「クロソイド」の文字情報が表示された機能選択ボタン23)を押下し、車両軌跡チェック表示画面20以外の任意のポイント(車両軌跡チェック表示画面20の下方の領域)をクリックしたものとする。そうすると、図7に示すように、クロソイド曲線を用いて算出された車の軌跡情報(車両軌跡)が描画される。
【0060】
このように、ユーザは、プルダウンメニュー部21を利用して車種情報を選択し、数値入力部22を利用して回転角情報を入力し、機能選択ボタン23を利用して意図した算出手法を選択することができる。
【0061】
図8は、第1例の駐車場のレイアウトを示す図である。第1例の駐車場のレイアウト30では、4つの駐車ブロック31が配置されており、各駐車ブロック31には、5台分の駐車領域32が配置されている。また、各駐車ブロック31の右側には、植栽領域33が配置されている。第1例の駐車場のレイアウト30を作成する際には、軌跡シミュレーションが実行されており、一の車の軌跡は、他の車の駐車ブロック31や駐車領域32に接触しないようになっている(以下のレイアウトでも同様)。なお、一の車の軌跡は、他の車の軌跡に接触してもよいが、収納台数に余裕がある場合には、一の車の軌跡が、他の車の軌跡に接触しないようにして駐車を行いやすい駐車場とすることも可能である。第1例の駐車場のレイアウト30は、ユーザが、例えば、「台数情報=20台」、「車種情報=A社第1車」、「植栽=有り」、「迂回路=無し」といった内容を選択した場合に作成される駐車場のレイアウトの一例である。なお、第1例の駐車場のレイアウト30の右下の部分には、駐車場の入口が配置されている。
【0062】
図9は、第2例の駐車場のレイアウトを示す図である。第2例の駐車場のレイアウト40は、第1例の駐車場のレイアウト30と比較して、迂回路43が追加されており、駐車領域42も4台分追加されている。第2例の駐車場のレイアウト40では、4つの駐車ブロック41が配置されており、図中上から見て1段目の駐車ブロック41には9台分の駐車領域42が配置されており、図中上から見て2段目から4段目の駐車ブロック41には、5台分の駐車領域42が配置されている。また、2段目から4段目の駐車ブロック41の左側には、上下方向に延びた迂回路43が配置されている。第2例の駐車場のレイアウト40は、ユーザが、例えば、「台数情報=24台」、「車種情報=A社第2車」、「植栽=無し」、「迂回路=有り」といった内容を選択した場合に作成される駐車場のレイアウトの一例である。
【0063】
図10は、第3例の駐車場のレイアウトを示す図である。図10(A)に示す駐車場のレイアウト50では、2つの駐車ブロック51が配置されており、各駐車ブロック51には、5台分の駐車領域52が配置されている。各駐車領域52は、前向き駐車又は後向き駐車用の駐車領域52となっている。このため、2つの駐車ブロック51の間に配置される駐車場内車道幅C1は、前向き駐車又は後向き駐車に必要となる値を確保する必要がある。図10(A)に示す駐車場のレイアウト50は、ユーザが、例えば、オプション情報において、「駐車向き情報=前向き駐車又は後向き駐車」といった内容を選択した場合に作成されるレイアウトの一例である。
【0064】
一方、図10(B)に示す駐車場のレイアウト60では、2つの駐車ブロック61が配置されており、各駐車ブロック61には、5台分の駐車領域62が配置されている。ただし、各駐車領域62は、斜め駐車用の駐車領域となっている。このため、2つの駐車ブロック61の間に配置される駐車場内車道幅C2は、駐車場内車道幅C1よりも狭くすることができる。また、駐車領域62の出車角度(回転角)は、図10(A)の出車角度(90度)よりも緩やかにすることができる(45~65度程度)。図10(B)に示す駐車場のレイアウト60は、ユーザが、例えば、オプション情報において、「駐車向き情報=斜め駐車」といった内容を選択した場合に作成される駐車場のレイアウトの一例である。
【0065】
このように、斜め配置は、駐車場内車道幅の削減に効果的である。図10(B)に示すように、出車角度を緩やかにすることで駐車場内車道幅を削減することができる。そして、土地の形状により選択肢を変更、組み合わせが可能であり、軌跡シミュレーションを用いることで土地の有効利用が可能となる。
【0066】
図11は、第4例及び第5例の駐車場のレイアウトを示す図である。図11(A)に示す第4例の駐車場のレイアウト70では、1つの駐車ブロック71が配置されており、駐車ブロック71には、5台分の駐車領域72が配置されている。5台分の駐車領域72のうち、右側2つの駐車領域72は、身障者用の駐車領域72Sとなっている。そして、この身障者用の駐車領域72Sは、建物73の入口74に最も近い位置に自動的に配置される。このように、制御部13は、建物73の入口74に関する入口情報に基づいてレイアウトを作成する。図11(A)に示す第4例の駐車場のレイアウト70は、ユーザが、例えば、オプション情報において、「運転手レベル情報=身障者一人で、かつ、車椅子を回転する者(2台)」といった内容を選択した場合に作成されるレイアウトの一例である。
【0067】
図11(B)に示す第5例の駐車場のレイアウト80では、3つの駐車ブロック81が配置されており、各駐車ブロック81には、5台分の駐車領域82が配置されている。図中上から見て1段目の駐車ブロック81には、大型貨物車両用の駐車領域82が配置されており、かつ、斜め駐車用の駐車領域82が配置されている。一方、図中上から見て2段目及び3段目の駐車ブロック81には、一般乗用車用の駐車領域82が配置されており、かつ、前向き又は後向き駐車用の駐車領域82が配置されている。図11(B)に示す第5例の駐車場のレイアウト80は、ユーザが、例えば、「A社の第1車(10台)、C社の第1トラック(5台)」といった内容を選択し、オプション情報において、「駐車向き情報=A社の第1車(前向き駐車又は後向き駐車)、C社の第1トラック(斜め駐車)」といった内容を選択した場合に作成されるレイアウトの一例である。なお、トラックやバス等の大型車両に関しては、オプション情報で選択しなくても、初期設定で斜め駐車や縦列駐車が選択されるようにし、オプション情報で斜め駐車や縦列駐車を解除できるようにしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態によれば、入力部12に入力された各種情報に基づいて駐車スペース情報を算出し、軌跡情報を算出し、駐車スペース情報及び軌跡情報に基づいて駐車場のレイアウトを作成するため、少ない情報を入力するだけで駐車場のレイアウトを自動で設計することができる。
(2)本実施形態によれば、制御部13は、入口情報(建物(入口)位置情報)に基づいて駐車場のレイアウトを作成するため、建物73の入口74に配慮した駐車場のレイアウトを作成することができる。
(3)本実施形態によれば、収納台数に余裕がないと判断した場合には、表示部14を利用して台数情報の再入力を促すため、駐車場のレイアウトを柔軟に変更することができる。
【0069】
(4)本実施形態によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、収納台数を増加させることを可能とするため(収納台数の増加を提案することができるため)、駐車場に利用する土地を最大限に活用することができる。
(5)本実施形態によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、迂回路43を設定することを可能とするため、迂回路43の設定によって駐車を行いやすい駐車場のレイアウトを作成することができる。
(6)本実施形態によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、駐車場に駐車する車の1台あたりの駐車スペース情報を拡大する方向に変更可能とする(1台あたりの駐車スペースをプラスへ修正可能とする)ため、駐車スペース情報の拡大によって駐車を行いやすい駐車場のレイアウトを作成することができる。
【0070】
(7)本実施形態によれば、収納台数に余裕があると判断した場合には、駐車場の内部に配置する車幅情報を拡大する方向に変更可能とする(駐車場内車道幅をプラスへ修正可能とする)ため、車幅情報の拡大によって駐車を行いやすい駐車場のレイアウトを作成することができる。
(8)本実施形態によれば、制御部13は、駐車場に駐車する車の向き(前向き駐車、後向き駐車、斜め駐車の向き等)に基づいて軌跡情報を算出するため、駐車する車の向きも考慮した駐車場のレイアウトを作成することができる。
(9)本実施形態によれば、制御部13は、複数種類の算出手法(クロソイド曲線、単心曲線、内法回転半径)のうち指定された算出手法に基づいて軌跡情報を算出するため、1つの算出手法しか指定することができない場合と比較して、駐車場のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0071】
(10)従来、人の手による駐車場の設計では、考慮しなければならない車種の漏れが発生していた。また、大きさの異なる複数の車種を駐車する駐車場では、レイアウト完了後の修正は多くの労力が必要であった。また、従来の駐車場の設計では、以下のような課題がある。従来の駐車場のレイアウトは、車種情報及び台数情報の変更が多く、その度に修正を行う必要がある。従来の駐車場のレイアウトは、車種情報の変更、台数情報の変更、レイアウト変更の容易性が低い。身障者用の駐車領域は、駐車場入口や建物の入口(入口付近にあるスロープ)に最も近く配置する必要がある。大型貨物車両の駐車領域は、駐車場内車道を多く使うため、スペースの確保が難しい。このような課題に対して、本実施形態によれば、以下のような効果を発揮することができる。車種情報及び台数情報等を指定するだけで駐車場のレイアウトを完成することができる。レイアウト確定後の台数変更等のレイアウト変更が容易になる。身障者用の駐車領域は、駐車場入口や建物の入口に最も近く配置する車種等の優先付けを設定できる。大型貨物車両の駐車領域は、駐車場内車道を少なくするために駐車場内に縦列駐車もしくは斜め駐車を優先することで敷地内を有効活用することができる。
【0072】
〔変形形態〕
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
(1)駐車スペース情報は、長さに関する情報であってもよく、面積に関する情報であってもよい。
(2)表示部14に表示した駐車場のレイアウトは、記憶部11に保存したり、外部のシステムに送信したりすることができる。
(3)駐車向き情報を設定した場合、数値入力部22(回転角情報)には、駐車の向きに応じた角度が自動で入力されるようにしてもよい。
【0073】
(4)駐車ブロックの数は、ユーザが指定できるようにしてもよい。また、駐車ブロックは、レイアウト上に作成しないようにしてもよい。
(5)身障者用の駐車領域は、建物の入口の近くに配置する例で説明したが、建物の配置や駐車場入口の配置によっては、駐車場入口の近くに配置するようにしてもよい。
(6)コンピュータを、駐車場自動設計システム10又は駐車場自動設計システム10の一部として機能させるためのプログラムを単独で販売(実施)してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 駐車場自動設計システム
11 記憶部
12 入力部
13 制御部
14 表示部
20 車両軌跡チェック表示画面
21 プルダウンメニュー部
22 数値入力部
23 機能選択ボタン
24 キャンセルボタン
25 展開ボタン
26 車種データ
27 凡例表示画面
28 車画像
29 矢印画像
30、40、50、60、70、80 レイアウト
31、41、51、61、71、81 駐車ブロック
32、42、52、62、72、72S、82 駐車領域
33 植栽領域
43 迂回路
73 建物
74 入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11