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特開2024-71846磁気データ読取装置、駅務機器、磁気データ読取方法、および磁気データ読取プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071846
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】磁気データ読取装置、駅務機器、磁気データ読取方法、および磁気データ読取プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/08 20060101AFI20240520BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20240520BHJP
   G11B 17/34 20060101ALI20240520BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G06K7/08 040
G11B5/09 371C
G11B17/34 A
G11B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182298
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593092482
【氏名又は名称】JR東日本メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 健
(72)【発明者】
【氏名】神津 隼人
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 圭太
(72)【発明者】
【氏名】走川 司
(72)【発明者】
【氏名】田頭 葵
(57)【要約】
【課題】搬送路に沿って搬送される磁気媒体に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になるのを防止し、且つ読取ヘッドの押圧力の調整にかかる作業負担を低減する。
【解決手段】入力部には、搬送路に沿って搬送される磁気媒体に押圧される読取ヘッドによる磁気データの読み取り信号が入力される。第1検出部が入力部に入力された磁気データの読み取り信号の振幅の性質を検出し、第2検出部が入力部に入力された磁気データの読み取り信号の周期の性質を検出する。判定部は、取得部において磁気データの取得が行えた場合、検出された磁気データの読み取り信号の振幅の性質、および磁気データの読み取り信号の周期の性質を用いて、磁気媒体に対する読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される磁気媒体に押圧される読取ヘッドによる磁気データの読み取り信号が入力される入力部と、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の振幅の性質を検出する第1検出部と、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の周期の性質を検出する第2検出部と、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号を処理して磁気データを取得する取得部と、
前記取得部において磁気データの取得が行えた場合、前記第1検出部によって検出された磁気データの読み取り信号の振幅の性質、および前記第2検出部によって検出された磁気データの読み取り信号の周期の性質を用いて前記磁気媒体に対する前記読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する判定部と、
を備えた磁気データ読取装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記取得部において磁気データの取得が行えなかった場合、読取エラーと判定する、
請求項1に記載の磁気データ読取装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の先頭から末尾までにおける複数個所で振幅を抽出し、抽出した箇所間での振幅の変化を、磁気データの読み取り信号の振幅の性質として検出する、
請求項1、または2に記載の磁気データ読取装置。
【請求項4】
前記第2検出部は、前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の先頭から末尾までにおける複数個所で周期を抽出し、抽出した箇所間での周期の変化を、磁気データの読み取り信号の周期の性質として検出する、
請求項1、または2に記載の磁気データ読取装置。
【請求項5】
前記読取ヘッドによる磁気データの読取時間を検出する第3検出部を備え、
前記判定部は、前記取得部において磁気データの取得が行えた場合、前記第3検出部によって検出された磁気データの読取時間も用いて前記磁気媒体に対する前記読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する、
請求項1、または2に記載の磁気データ読取装置。
【請求項6】
前記磁気媒体には、磁気データが記録される複数のトラックが形成され、
前記搬送路には、前記読取ヘッドよりも上流側に、搬送されている前記磁気媒体に押圧され、この磁気媒体の一部のトラックに磁気データを書き込む書込ヘッドが設けられ、
前記判定部は、
前記書込ヘッドにより磁気データが書き込まれないトラックの読み取り信号について、前記第1検出部において検出された振幅の性質、および前記第2検出部において検出された周期の性質と、
前記書込ヘッドにより磁気データが書き込まれるトラックの読み取り信号について、前記第1検出部において検出された振幅の性質、および前記第2検出部において検出された周期の性質と、
を用いて、前記磁気媒体に対する前記読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうか、および前記磁気媒体に対する前記書込ヘッドの押圧力が適正であるかどうか、を判定する、
請求項1、または2に記載の磁気データ読取装置。
【請求項7】
前記判定部は、判定対象の複数の前記磁気媒体毎に、その磁気媒体に対する判定結果を総合し、前記磁気媒体に対する前記読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する、
請求項1、または2に記載の磁気データ読取装置。
【請求項8】
請求項1、または2に記載の磁気データ読取装置を備えた駅務機器。
【請求項9】
搬送路に沿って搬送される磁気媒体に押圧される読取ヘッドによる磁気データの読み取り信号が入力部に入力される磁気データ読取装置のコンピュータが、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の振幅の性質を検出する第1検出ステップと、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の周期の性質を検出する第2検出ステップと、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号を処理して磁気データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで磁気データを取得できた場合、前記第1検出ステップで検出された磁気データの読み取り信号の振幅の性質、および前記第2検出ステップで検出された磁気データの読み取り信号の周期の性質を用いて前記磁気媒体に対する前記読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する判定ステップと、
を実行する磁気データ読取方法。
【請求項10】
搬送路に沿って搬送される磁気媒体に押圧される読取ヘッドによる磁気データの読み取り信号が入力部に入力される磁気データ読取装置のコンピュータに、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の振幅の性質を検出する第1検出ステップと、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号の周期の性質を検出する第2検出ステップと、
前記入力部に入力された磁気データの読み取り信号を処理して磁気データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで磁気データを取得できた場合、前記第1検出ステップで検出された磁気データの読み取り信号の振幅の性質、および前記第2検出ステップで検出された磁気データの読み取り信号の周期の性質を用いて前記磁気媒体に対する前記読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する判定ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送路に沿って搬送されている磁気媒体に記録されている磁気データを読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動改札機、精算機、券売機等の駅務機器は、搬送路に沿って搬送されているキップ等の磁気券(磁気媒体)を磁気ヘッドで押圧し、この磁気券に記録されている乗車券データを読み取っている。
【0003】
例えば、特許文献1に示されているように、磁気ヘッドとピンチローラとが、搬送路を挟んで対向して配置されている。磁気券は、磁気ヘッドとピンチローラとの間を通過するときに、磁気データの読み取りが行われる。磁気ヘッドが磁気券を押圧する押圧力は、磁気ヘッドとピンチローラとの隙間が大きくなるつれて小さくなる。
【0004】
また、特許文献1にも示されているように、磁気ヘッドとピンチローラとの隙間(ギャップ)の調整作業が煩雑で手間がかかる作業であった。この特許文献1では、シリコンゴムよりも熱変形が少ないアクリロニトリル・ブタジエンゴムで形成したピンチローラを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-228393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、磁気ヘッドとピンチローラとのギャップの経時変化を無くし、磁気ヘッドとピンチローラとのギャップの調整を不要にすることはできない。また、磁気ヘッドとピンチローラとのギャップの経時変化の大きさは、駅務機器間で異なる。
【0007】
したがって、定期的に行っている保守点検作業で、各駅務機器の磁気ヘッドとピンチローラとのギャップの調整を行う場合、特に調整が必要でない駅務機器(磁気ヘッドとピンチローラとのギャップの経時変化が小さい駅務機器)も調整の対象になる。すなわち、作業者は、磁気ヘッドとピンチローラとのギャップの調整が必要でない駅務機器に対しても、このギャップ調整を行うことになり、作業負担が大きかった。
【0008】
また、駅務機器は、磁気ヘッドとピンチローラとのギャップが経時変化によって、保守点検の前に磁気券に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になると、稼働を停止させることになる。
【0009】
この発明の目的は、搬送路に沿って搬送される磁気媒体に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になるのを防止し、且つ読取ヘッドの押圧力の調整にかかる作業負担を低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の磁気データ読取装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0011】
入力部には、搬送路に沿って搬送される磁気媒体に押圧される読取ヘッドによる磁気データの読み取り信号が入力される。第1検出部が、入力部に入力された磁気データの読み取り信号の振幅の性質を検出する。また、第2検出部が、入力部に入力された磁気データの読み取り信号の周期の性質を検出する。
【0012】
取得部が、入力部に入力された磁気データの読み取り信号を処理して磁気データを取得する。取得部と、
判定部が、取得部において磁気データの取得が行えた場合、第1検出部によって検出された磁気データの読み取り信号の振幅の性質、および第2検出部によって検出された磁気データの読み取り信号の周期の性質を用いて磁気媒体に対する読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する。
【0013】
この構成によれば、磁気媒体に記録されている磁気データの読み取りが行えているときに、磁気媒体に対する読取ヘッドの押圧力を調整する必要があるかどうかを判定することができる。したがって、搬送路に沿って搬送される磁気媒体に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になるのを防止し、且つ読取ヘッドの押圧力の調整にかかる作業負担を低減することができる。
【0014】
また、判定部は、例えば、取得部において磁気データの取得が行えなかった場合、読取エラーと判定する構成にすればよい。
【0015】
また、例えば、第1検出部は、入力部に入力された磁気データの読み取り信号の先頭から末尾までにおける複数個所で振幅を抽出し、抽出した箇所間での振幅の変化を、磁気データの読み取り信号の振幅の性質として検出してもよい。
【0016】
また、例えば、第2検出部は、入力部に入力された磁気データの読み取り信号の先頭から末尾までにおける複数個所で周期を抽出し、抽出した箇所間での周期の変化を、磁気データの読み取り信号の周期の性質として検出してもよい。
【0017】
このように構成すれば、処理負荷を抑えることができる。
【0018】
また、例えば、読取ヘッドによる磁気データの読取時間を検出する第3検出部を備え、判定部は、取得部において磁気データの取得が行えた場合、第3検出部によって検出された磁気データの読取時間も用いて磁気媒体に対する読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する構成にしてもよい。
【0019】
また、例えば、磁気媒体には、磁気データが記録される複数のトラックが形成され、搬送路には、読取ヘッドよりも上流側に、搬送されている磁気媒体に押圧され、この磁気媒体の一部のトラックに磁気データを書き込む書込ヘッドが設けられていてもよい。
【0020】
この場合、判定部は、
書込ヘッドにより磁気データが書き込まれないトラックの読み取り信号について、第1検出部において検出された振幅の性質、および第2検出部において検出された周期の性質と、
書込ヘッドにより磁気データが書き込まれるトラックの読み取り信号について、第1検出部において検出された振幅の性質、および前記第2検出部において検出された周期の性質と、
を用いて、磁気媒体に対する読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうか、および磁気媒体に対する書込ヘッドの押圧力が適正であるかどうか、を判定する構成であってもよい。
【0021】
また、例えば、判定部は、判定対象の複数の磁気媒体毎に、その磁気媒体に対する判定結果を総合し、磁気媒体に対する読取ヘッドの押圧力が適正であるかどうかを判定する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、搬送路に沿って搬送される磁気媒体に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になるのを防止し、且つ読取ヘッドの押圧力の調整にかかる作業負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この例の読取装置を適用する磁気媒体の搬送路を示す概略図である。
図2】磁気データの読取信号の振幅と、読取ヘッドの押圧力の適否との関係を説明する図である。
図3】磁気データの読取信号の周期と、読取ヘッドの押圧力の適否との関係を説明する図である。
図4】この例の読取装置の主要部の構成を示す図である。
図5】入力部に入力される磁気データの読取信号を示す図である。
図6図6(A)は、磁気データの読取信号の例を示す図であり、図6(B)は、磁気データの構成を示す図である。
図7】この例の読取装置の動作を示すフローチャートである。
図8】変形例2の読取装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図9】変形例2の読取装置の動作を示すフローチャートである。
図10】自動改札機における磁気媒体の搬送路を示す概略図である。
図11】磁気媒体である乗車券に設けられている磁気データの記録トラックを説明する図であり、図11(A)はエドモンソン券、図11(B)は85mm券である。
図12】変形例3の読取装置の主要部の構成を示す図である。
図13】自動改札機による磁気券の搬送処理を示すフローチャートである。
図14】書込ヘッド、および読取ヘッドのそれぞれに対して磁気媒体である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する処理を示すフローチャートである。
図15】書込ヘッド、および読取ヘッドのそれぞれに対して磁気媒体である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0025】
<1.適用例>
図1は、この例の読取装置を適用する磁気媒体の搬送路を示す概略図である。図1に示すように磁気媒体8が搬送される搬送路5には、読取ヘッド6とピンチローラ7とが搬送路5を挟んで対向して配置されている。磁気媒体8は、搬送路5に沿って搬送され、読取ヘッド6とピンチローラ7との間を通過する。読取ヘッド6は、磁気媒体8に記録されている磁気データの読取信号を読取装置1に出力する。
【0026】
読取装置1は、入力された磁気データの読取信号を処理し、磁気媒体8に記録されている磁気データを取得する。
【0027】
また、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号の振幅の性質を検出する。磁気データの読取信号は、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が小さくなるにつれて、振幅の幅が小さくなる。読取装置1は、磁気データの読取信号の振幅が図2に示すL11~L14の範囲内であるとき、磁気データの読取信号から磁気データを取得できる。また、読取装置1は、磁気データの読取信号の振幅が図2に示すL11よりも小さい場合、または磁気データの読取信号の振幅が図2に示すL14よりも大きい場合、磁気データの読取信号から磁気データを取得できないことがある(磁気データの読取信号から磁気データを取得できることもある。)。
【0028】
また、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号の周期の性質を検出する。磁気データの読取信号は、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が大きくなるにつれて、周期が長くなる。読取装置1は、磁気データの読取信号の周期が図3に示すT11~T14の範囲内であるとき、磁気データの読取信号から磁気データを取得できる。また、読取装置1は、磁気データの読取信号の振幅が図3に示すT11よりも小さい場合、または磁気データの読取信号の振幅が図3に示すT14よりも大きい場合、磁気データの読取信号から磁気データを取得できないことがある(磁気データの読取信号から磁気データを取得できることもある。)。
【0029】
公知のように、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力は、読取ヘッド6とピンチローラ7とのギャップが大きく(広く)なるにつれて小さくなる(読取ヘッド6とピンチローラ7とのギャップが小さく(狭く)なるにつれて大きくなる。)。
【0030】
この例では、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号を処理し、磁気データを取得することができなかった場合、読取エラーと判定する。
【0031】
また、この例では、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号を処理し、磁気データを取得することができた場合、入力された磁気データの読取信号の振幅の性質、および入力された磁気データの読取信号の周期の性質を検出する。
【0032】
読取装置1は、入力された磁気データの読取信号の振幅が、図2に示したL12~L13の範囲内であり、且つ入力された磁気データの読取信号の周期が、図3に示したT12~T13の範囲内であると、読取ヘッド6により磁気媒体8の押圧力が適正であると判定する。すなわち、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号の振幅が、図2に示したL12~L13の範囲内であり、且つ入力された磁気データの読取信号の周期が、図3に示したT12~T13の範囲内であると、現時点で、読取ヘッド6とピンチローラ7とのギャップの調整(読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力の調整)が不要であると判定する。
【0033】
一方、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号の振幅が、図2に示したL12~L13の範囲内でない、または入力された磁気データの読取信号の周期が、図3に示したT12~T13の範囲内でないと、読取ヘッド6により磁気媒体8の押圧力が適正でないと判定する。すなわち、読取装置1は、入力された磁気データの読取信号の振幅が、図2に示したL12~L13の範囲内でない、または入力された磁気データの読取信号の周期が、図3に示したT12~T13の範囲内でない場合、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力の調整が必要であると判定する。
【0034】
このように、この例の読取装置1は、入力された磁気データの読取信号を処理し、磁気データを取得することができない状態になる前に、読取ヘッド6の押圧力の調整が必要であるかどうかを判定することができる。したがって、この例の読取装置1は、作業者等に対して、読取ヘッド6の押圧力の調整が必要であるかどうかを知らせることができる。すなわち、この例の読取装置1は、読取ヘッド6の押圧力が適正であれば、読取ヘッド6の押圧力を調整する必要がないことを作業者に知らせることができる。これにより、作業者が、読取ヘッド6の押圧力を調整しなくてもよいときに、読取ヘッド6の押圧力の調整を行うのを止められるので、読取ヘッド6の押圧力の調整にかかる作業負担を低減できる。
【0035】
また、この例の読取装置1は、磁気媒体8に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になる前に、読取ヘッド6の押圧力が必要であることを判定するので、この読取装置1が適用された機器の稼働率の低下も防止できる。
【0036】
<2.構成例>
図4は、この例の読取装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例の読取装置1は、制御ユニット11と、入力部12と、A/D変換部13と、出力部14とを備えている。
【0037】
制御ユニット11は、読取装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、第1検出部11a、第2検出部11b、取得部11c、および判定部11dを有している。制御ユニット11が有する第1検出部11a、第2検出部11b、取得部11c、および判定部11dについては、後述する。
【0038】
入力部12には、読取ヘッド6が接続されている。入力部12には、読取ヘッド6による磁気媒体8に記録されている磁気データの読取信号が入力される。入力部12に入力される磁気データの読取信号は、図5に示す周期信号である。図5では、横軸が時間を示し、縦軸が電圧を示している。磁気データの読取信号は、周期の変化によって、磁気データが示す値(0、または1)を示す。具体的には、磁気データが1である読取信号の周期は、磁気データが0である読取信号の周期のほぼ半分である。
【0039】
なお、図5では、読取ヘッド6の押圧力が適正であるときの磁気データの読取信号を示している。
【0040】
また、図6(B)に示すように、磁気媒体8に記録されている磁気データは、STX、データ本体、ETXの順に並んでいる。STXは、データの開始を示すコードであり、ETXは、データの終了を示すコードである。データ本体は、例えば、磁気媒体8がキップ、定期券等の乗車券である場合、乗車券データ(有効期間、有効区間等にかかるデータ)であり、クレジットカードである場合、カード番号等にかかるカードデータである。
【0041】
なお、図6(A)は、読取ヘッド6で読み取った読取信号を示している。読取信号は、STXの開始からETXの終了までを含んでおり、STXの手前から、ETXの後ろまで続いている。
【0042】
A/D変換部13は、入力部12に入力された磁気データの読取信号をディジタル信号に変換し、制御ユニット11に入力する。入力部12とA/D変換部13との間には、特に図示していないが、読取信号に対してノイズを除去するフィルタ回路、および読取信号を増幅するアンプ回路を備えていてもよい。
【0043】
出力部14は、読取ヘッド6の押圧力の調整が必要であるかどうかを判定した判定結果を出力する。また、出力部14は、入力部12に入力された磁気データの読取信号が示す磁気データを出力する。
【0044】
次に、制御ユニット11が有する第1検出部11a、第2検出部11b、取得部11c、および判定部11dについて説明する。
【0045】
第1検出部11aは、入力部12に入力された磁気データの読取信号の振幅の変化を、A/D変換部13によって変換されたディジタルデータを基に検出する。この例では、磁気データの読取信号の振幅の変化が、この発明で言う磁気データの読取信号の振幅の性質に相当する。
【0046】
第2検出部11bは、入力部12に入力された磁気データの読取信号の周期の変化を、A/D変換部13によって変換されたディジタルデータを基に検出する。この例では、磁気データの読取信号の周期の変化が、この発明で言う磁気データの読取信号の周期の性質に相当する。
【0047】
取得部11cは、A/D変換部13によって変換されたディジタルデータを処理し、磁気媒体8に記録されていた磁気データを取得する。
【0048】
判定部11dは、第1検出部11aが検出した磁気データの読取信号の振幅の変化、および第2検出部11bが検出した磁気データの読取信号の周期の変化を基に、読取ヘッド6の押圧力の調整が必要であるかどうかを判定する。
【0049】
読取装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる磁気データ読取プログラムを実行したときに、第1検出部11a、第2検出部11b、取得部11c、および判定部11dとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる磁気データ読取プログラムを展開する領域や、この磁気データ読取プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる磁気データ読取方法を実行するコンピュータである。
【0050】
<3.動作例>
図7は、この例の読取装置の動作を示すフローチャートである。読取装置1は、読取ヘッド6が磁気媒体8から読み取った磁気データの読取信号が入力部12に入力されるのを待つ(s1)。読取装置1は、磁気データの読取信号の入力が開始されると、この読取信号の記憶開始する(s2)。s2では、A/D変換部13によって変換された読取信号のディジタル値を時系列に記憶する。このディジタル値は、制御ユニット11に設けられたメモリ(不図示)に記憶される。A/D変換部13は、磁気データの読取信号を予め定められたサンプリングタイムでサンプリングする。読取装置1は、磁気データの読取信号の入力の終了を待って(s3)、s2で開始した読取信号の記憶を終了する(s4)。
【0051】
読取装置1は、s1~s4の処理を行うことにより、読取ヘッド6が磁気媒体8から読み取った磁気データの読取信号のディジタル値をメモリに記憶する。
【0052】
取得部11cが、メモリに記憶した磁気データの読取信号を処理し、この読取信号が示す磁気データを取得する(s5)。取得部11cは、時系列に記憶している読取信号を処理し、この読取信号が示す2値のビット列を取得する。取得部11cは、取得したビット列に対してSTX、およびETXの検出を行う。取得部11cは、検出したSTXとETXとの間に位置するビット列を磁気データ(データ本体)として取得する。
【0053】
判定部11dは、s5で磁気媒体8に記録されていた磁気データを取得できたかどうかを判定する(s6)。読取装置1は、磁気媒体8に記録されていた磁気データを取得できなかった場合、出力部14において読取エラーを出力し(s12)、s1に戻る。
【0054】
また、読取装置1は、磁気媒体8に記録されていた磁気データを取得できた場合、第1検出部11aが、今回メモリに記憶した磁気データについて振幅の性質を検出するとともに、第2検出部11bが、今回メモリに記憶した磁気データについて周期の性質を検出する(s7、s8)。
【0055】
磁気データの読取信号に対して振幅の性質を検出する箇所、および周期の性質を検出する箇所が予め定められている。磁気データの読取信号に対して定められている振幅の性質を検出する箇所と、磁気データの読取信号に対して定められている周期の性質を検出する箇所とは、同じ箇所であってもよいし、異なる箇所であってもよい。この例では、磁気データの読取信号に対して、振幅の性質、および周期の性質を検出する箇所は同じである。また、磁気データの読取信号に対して、振幅の性質、および周期の性質を検出する箇所を3カ所定めている。具体的には、STXの手前の4周期(8ビット)、ETXの後ろの4周期(8ビット)、およびデータ本体の略真ん中の4周期(8ビット)を、磁気データの読取信号の振幅の性質、および磁気データの読取信号の周期の性質を検出する箇所に定めている。
【0056】
なお、磁気データの読取信号に対して定められている振幅の性質、および周期の性質を検出する箇所は3カ所に限らず、何か所であってもよい。
【0057】
第1検出部11aは、振幅の性質を検出する箇所毎に、振幅の大きさを検出し(この例では、箇所毎に、振幅の大きさを4周期検出する。)、箇所毎に検出した振幅の大きさの平均を、磁気データの読取信号の振幅の性質として算出する。また、第2検出部11bは、周期の性質を検出する箇所毎に、周期の長さを検出し(この例では、箇所毎に、振幅の大きさを4周期検出する。)、箇所毎に検出した周期の長さの平均を、磁気データの読取信号の周期の性質として算出する。
【0058】
なお、STXとETXとの間に設定した箇所(データ本体にかかる箇所)については、「0」のビットと「1」のビットとが混在し、「1」のビットの周期は、「0」のビットの周期の半分である。したがって、第2検出部11bは、STXとETXとの間に設定された箇所(データ本体にかかる箇所)については、「0」のビットについて周期を検出する。すなわち、STXとETXとの間に設定された箇所(データ本体にかかる箇所)については、第2検出部11bによって周期が検出された区間は、時間的に連続しているとは限らない。また、第1検出部11aも、STXとETXとの間に設定した箇所(データ本体にかかる箇所)については、第2検出部11bが周期を検出したビットについて、振幅の大きさを検出してもよい。
【0059】
判定部11dは、第1検出部11aが検出した磁気データの読取信号の振幅の性質、及び第2検出部11bが検出した磁気データの読取信号の性質を基に、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する(s9)。上記の説明から明らかなように、この例では、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと判定された場合においても、磁気媒体8に記録されている磁気データの読み取りが行えている。判定部11dは、s7で磁気データの読取信号の振幅の性質として検出した振幅の大きさが図2に示したL12~L13の範囲内であり、且つs8で磁気データの読取信号の周期の性質として検出した周期の長さが図3に示したT12~T13の範囲内である場合、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であると判定する。言い換えれば、判定部11dは、s7で磁気データの読取信号の振幅の性質として検出した振幅の大きさが図2に示したL12~L13の範囲内でない、またはs8で磁気データの読取信号の周期の性質として検出した周期の長さが図3に示したT12~T13の範囲内でない場合、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと判定する。
【0060】
読取装置1は、出力部14において、s9における判定結果、およびs5で取得した磁気データを出力し(s10、s11)、s1に戻る。
【0061】
このように、この例の読取装置1は、磁気媒体8に記録されている磁気データの読み取りが行えない状態になる前に、経時変化によって、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でない状態(読取ヘッド6とピンチローラ7とのギャップ調整が必要な状態)になっているかどうかを判定し、その判定結果を出力する。このため、作業者は、読取ヘッド6とピンチローラ7とのギャップ調整が必要な状態になっていると判定された時点で、読取装置1に対して読取ヘッド6とピンチローラ7とのギャップ調整を行えばよい。したがって、作業者が、読取ヘッド6の押圧力を調整しなくてもよいときに、読取ヘッド6の押圧力の調整を行うのを止められるので、読取ヘッド6の押圧力の調整にかかる作業負担を低減できる。
【0062】
また、この例の読取装置1は、磁気媒体8に記録されている磁気データを読み取りが行えない状態になる前に、読取ヘッド6の押圧力が必要であることを判定するので、この読取装置1が適用された機器の稼働率の低下も防止できる。
【0063】
また、判定部11dは、磁気媒体8に記録されている磁気データを読み取る毎に、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを仮判定する構成にしてもよい。この場合、判定部11dは、直近の設定枚数(例えば、10枚)の磁気媒体8の中で、磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと仮判定された磁気媒体8の枚数が閾値枚数に達すると、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないとの判定を確定する。このように構成すれば、磁気媒体8の不良によって、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと誤判定するのを抑えられる。
【0064】
また、判定部11dは、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと仮判定した磁気媒体8の枚数が閾値枚数(例えば、3~5枚)連続したときに、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないとの判定を確定する構成であってもよい。
【0065】
この場合も、磁気媒体8の不良によって、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと誤判定するのを抑えられる。
【0066】
<4.変形例>
・変形例1
この変形例1の読取装置1は、上記の例と同様に、図4に示した構成である。この変形例1の読取装置1は、図7に示した処理を実行するが、s7~s10にかかる処理が相違する。
【0067】
具体的には、s7では、磁気データの読取信号に対して振幅の性質を検出する箇所毎に、その箇所における振幅の大きさを検出する。この変形例1では、箇所毎に検出した振幅の大きさの平均値を算出しない点で、上記の例と異なる。
【0068】
また、s8では、磁気データの読取信号に対して周期の性質を検出する箇所毎に、その箇所における周期の長さを検出する。この変形例1では、箇所毎に検出した周期の長さの平均値を算出しない点で、上記の例と異なる。
【0069】
s9では、判定部11dは、s7で振幅の大きさを検出した全ての箇所で、検出した振幅の大きさがL12~L13の範囲内であり、且つ、s8で周期の長さを検出した全ての箇所で、検出した周期の長さがT12~T13の範囲内であれば、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であると判定する。言い換えれば、s7で振幅の大きさを検出したいずれかの箇所で、検出した振幅の大きさがL12~L13の範囲内でない場合、またはs8で周期の長さを検出したいずれかの箇所で、検出した周期の長さがT12~T13の範囲内でない場合、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと判定する。
【0070】
また、判定部11dは、振幅の大きさを検出する箇所を奇数箇所とし、検出した振幅の大きさがL12~L13の範囲内であった箇所が、検出した振幅の大きさがL12~L13の範囲内でない箇所よりも多く、且つ、周期の長さを検出する箇所を奇数箇所とし、検出した周期の長さがT12~T13の範囲内であった箇所が、検出した周期の長さがT12~T13の範囲内でない箇所よりも多かった場合、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であると判定してもよい。
【0071】
また、判定部11dは、磁気データの読取信号の振幅の大きさ、および磁気データの読取信号の周期の長さを基に、上記以外の判定手法で、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定してもよい。
【0072】
・変形例2
図8は、この変形例2の読取装置の主要部の構成を示すブロック図である。図8では、図4に示した構成と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0073】
この変形例2の読取装置1Aは、第3検出部11eを制御ユニット11Aに有している点で上記の例と異なる。
【0074】
第3検出部11eは、磁気データの読取信号を基に、図6に示したSTXの開始から、ETXの終了までの読み取りに要した読取時間を検出する。この読取時間は、磁気媒体8が読取ヘッド6の設置位置を通過するのに要した時間に応じて変化する。この読取時間は、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が大きくなるにつれて長くなる。言い換えれば、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が小さくなるにつれて短くなる。
【0075】
この変形例2では、判定部11dは、読取時間をも用いて読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する。
【0076】
図9は、この変形例2の読取装置の動作を示すフローチャートである。図9では、図7に示した処理と同様の処理については、同じステップ番号を付している。
【0077】
この変形例2の読取装置1Aは、上記したs1~s8、s12に処理を行う。また、第1検出部11aがs7で振幅の性質を検出し、第2検出部11bがs8で周期の性質を検出すると、第3検出部11eが読取時間を検出する(s21)。読取時間は、STXの開始から、ETXの終了までの読み取りに要した時間である。
【0078】
判定部11dは、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する(s22)。s22では、判定部11dは、以下に示す(1)~(3)の3つの条件を満足したときに、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であると判定する。
(1)磁気データの読取信号の振幅の性質として検出した振幅の大きさが図2に示したL12~L13の範囲内である。
(2)磁気データの読取信号の周期の性質として検出した周期の長さが図3に示したT12~T13の範囲内である。
(3)読取時間が予め定めたT20~T21の範囲内である。
【0079】
判定部11dは、上記(1)~(3)のいずれかの条件を満足しない場合、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと判定する。
【0080】
なお、s22では、上記(1)~(3)の3つの条件の内、2つ以上を満足しない場合に、判定部11dが、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと判定してもよい。言い換えれば、s22では、上記(1)~(3)の3つの条件の内、2つ以上を満足する場合に、判定部11dが、読取ヘッド6が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であると判定してもよい。
【0081】
・変形例3
図10は、自動改札機における磁気媒体の搬送路を示す概略図である。磁気媒体8は、キップ、定期券等の磁気券である。
【0082】
磁気媒体8が搬送される搬送路5には、搬送方向に読取ヘッド61、読取ヘッド62、書込ヘッド63、読取ヘッド64がこの順に並べて配置されている。読取ヘッド61には、搬送路5を挟んで対向する位置にピンチローラ71が配置されている。同様に、読取ヘッド62には、搬送路5を挟んで対向する位置にピンチローラ72が配置され、書込ヘッド63には、搬送路5を挟んで対向する位置にピンチローラ73が配置されて、読取ヘッド64には、搬送路5を挟んで対向する位置にピンチローラ74が配置されている。また、読取ヘッド62と、書込ヘッド63との間には、搬送路5に沿って搬送されている磁気媒体8の表裏面を反転させるための反転搬送路80が設けられている。
【0083】
読取ヘッド61と読取ヘッド62とは、磁気媒体8の搬送方向に隣接して設けられている。読取ヘッド61は、搬送路5の下側に配置され、読取ヘッド62は、搬送路5の上側に配置されている。書込ヘッド63、および読取ヘッド64は、搬送路5の下側に配置されている。読取ヘッド61、62、64は、磁気媒体8の対向面に記録されている磁気データを読み取る。書込ヘッド63は、磁気媒体8の対向面に対して磁気データを書き込む。
【0084】
公知のように、自動改札機100では、利用者が磁気媒体8(磁気券)を投入口(不図示)に投入することから、投入口に投入された磁気媒体8の磁気データの記録面(磁気シートが貼付されている面)が読取ヘッド61に対向する場合もあれば、読取ヘッド62に対向する場合もある。自動改札機100は、投入口に投入された磁気媒体8に対する磁気データの読み取りが、読取ヘッド61で行えたか、読取ヘッド62で行えたかを判定することにより、この磁気媒体8が投入された向きを検出することができる。
【0085】
なお、自動改札機100は、投入口に投入された磁気媒体8に対する磁気データの読み取りが、読取ヘッド61、および読取ヘッド62のいずれにおいても行えなかった場合、読取エラーとして処理する。
【0086】
自動改札機100は、投入口に投入された磁気媒体8の読み取りが読取ヘッド61で行えず、読取ヘッド62で行えた場合、反転搬送路80を利用して磁気媒体8の表裏を反転させる。反転搬送路80は、搬送方向に搬送している磁気媒体8の分岐路であり、磁気媒体8を分岐路である反転搬送路80に搬送する。そして、反転搬送路80に搬送された磁気媒体8は、これまでの搬送において後端側であった端部を、先端側にして搬送路5に送出される。これにより、磁気媒体8は、表裏面が反転された状態になる。
【0087】
このように、磁気媒体8は、反転搬送路80によって、磁気データの記録面が書込ヘッド63、および読取ヘッド64に対向する向きに反転させられる。
【0088】
また、自動改札機100が、磁気媒体8に磁気データで記録されている乗車券情報を読み取り、この乗車券情報を基に、改札通路における利用者の通行を制限する処理については、周知であるので、ここでは特に説明しない。
【0089】
自動改札機100で乗車券として磁気媒体8には、キップ等のエドモンソン券と、定期券等の85mm券がある。図11は、磁気媒体である乗車券に設けられている磁気データの記録トラックを説明する図である。図11(A)はエドモンソン券、図11(B)は85mm券である。エドモンソン券には、磁気データが記録される3つのトラックA~Cが設けられている。また、85mm券には、磁気データが記録される8つのトラックA~Hが設けられている。
【0090】
自動改札機100は、投入された磁気券がエドモンソン券、または85mm券のいずれであっても、書込ヘッド63でトラックBに対して磁気データを書き込むが、トラックCに対して磁気データを書き込まない。
【0091】
なお、この変形例3では、トラックA、D~Hに対して、書込ヘッド63で磁気データを書き込むか、書き込まないかについて特に限定しない。
【0092】
図12は、この変形例3の読取装置の主要部の構成を示すブロック図である。この変形例3の読取装置1Bは、磁気媒体8に対して磁気データを書き込むための構成を備えている点で、図4に示した読取装置1と相違している。
【0093】
具体的には、制御ユニット11Bは、書込指示部11fを追加的に有している。書込指示部11fは、磁気媒体8に対する磁気データの書き込みを制御する。
【0094】
また、入力部12は、入力チャンネルを3チャンネル有する。各入力チャンネルには、読取ヘッド61、62、64が1つずつ接続される。
【0095】
また、出力部14に代わる入出力部15は、上位装置との間でデータの入出力を行う。上位装置は、例えば、自動改札機100の制御ユニットである。入出力部15には、上位装置から磁気媒体8に書き込むデータが入力される。
【0096】
D/A変換部17は、磁気媒体8に書き込むデータをD/A変換を行う。
【0097】
出力部16には、書込ヘッド63が接続されている。出力部16は、磁気媒体8に書き込むデータに応じた信号を出力する。
【0098】
この例の読取装置1Bは、読取ヘッド61、62、64毎に、磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する。また、書込ヘッド63についても、磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する。
【0099】
図13は、自動改札機による磁気券の搬送処理を示すフローチャートである。自動改札機100は、投入口に磁気券である磁気媒体8が投入されるのを待つ(s31)。自動改札機100は、投入口に磁気券が投入されると、読取装置1Bが磁気データの読み取りを行う。また、自動改札機100は、今回投入された磁気券の表裏を反転させる反転要否を判定する(s32)。s32では、今回投入された磁気券に記録されている磁気データの読み取りが、読取ヘッド61で行え、読取ヘッド62で行えなかった場合、磁気券の反転不要と反転する。一方、今回投入された磁気券に記録されている磁気データの読み取りが、読取ヘッド62で行え、読取ヘッド61で行えなかった場合、磁気券の反転要と反転する。
【0100】
自動改札機100は、s32で今回投入された磁気券について反転要と判定すると、この磁気券を反転させる(s33)。s33では、磁気券を搬送路5から反転搬送路80に搬送し、表裏を反転させて搬送路5に戻して、搬送する。また、自動改札機100は、必要に応じて、上位装置からの指示にしたがって、書込ヘッド63により磁気データの書き込み行う。このとき、自動改札機100は、少なくとも磁気媒体8のトラックBに対して磁気データの書き込みを行い、トラックCに対して磁気データの書き込みを行わない。
【0101】
自動改札機100は、磁気券の搬送が完了すると(s34)、s31に戻る。
【0102】
読取装置1Bは、読取ヘッド61、62については、図7に示した処理を行い、読取ヘッド61、62が磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定し、その判定結果を出力する。
【0103】
次に、読取装置1Bが、書込ヘッド63、および読取ヘッド64のそれぞれに対して磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する処理について説明する。図14、および図15は、書込ヘッド、および読取ヘッドのそれぞれに対して磁気媒体である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する処理を示すフローチャートである。
【0104】
この例では、この処理は、トラックB、およびトラックCを含む各トラックに記録されている磁気データが読取ヘッド61、または読取ヘッド62で読み取れた磁気媒体8に対して実行する。言い換えれば、各トラックに記録されている磁気データが読取ヘッド61、および読取ヘッド62で読み取れていない磁気媒体8に対して実行しない。
【0105】
なお、ここで言うトラックB、およびトラックCに記録されている磁気データが読取ヘッド61、または読取ヘッド62で読み取れているとは、読取ヘッド61、または読取ヘッド62について、磁気媒体8である磁気券の押圧力が適正でないと判定した場合ではなく、磁気データをs6で取得できたと判定した場合である。
【0106】
読取装置1は、読取ヘッド64が磁気媒体8から読み取った磁気データの読取信号が入力部12に入力されるのを待つ(s41)。読取装置1は、磁気データの読取信号の入力が開始されると、この読取信号の記憶開始し(s42)、磁気データの読取信号の入力の終了を待って(s43)、s42で開始した読取信号の記憶を終了する(s44)。このs41~s44にかかる処理は、上記したs1~s4にかかる処理と同様の処理である。
【0107】
読取装置1Bは、取得部11cにおいて、メモリに記憶した磁気データの読取信号を処理し、この読取信号が示す磁気データを取得する(s45)。
【0108】
読取装置1Bは、全トラックに記録されている磁気データを取得できたかどうかを判定する(s46)。読取装置1Bは、いずれかのトラックに記録されている磁気データを取得できなかった場合、磁気データを取得できなかったトラックに非書込トラックがあったかどうかを判定する(s50)。ここで言う非書込トラックとは、書込ヘッド63による磁気データの書き込みが行われないトラックであり、例えばトラックCである。逆に言うと、ここで言う書込トラックは、書込ヘッド63による磁気データの書き込みが行われるトラックであり、例えばトラックBである。すなわち、この例では、トラックCは、書込トラックではなく、トラックBは、非書込トラックではない。
【0109】
読取装置1Bは、非書込トラックに記録されている磁気データを取得できなかった場合、読取ヘッド64の読み取りエラーを出力し(s52)、s41に戻る。また、読取装置1Bは、非書込トラックに記録されている磁気データを取得できた場合(すなわち、書込トラックに記録されている磁気データを取得できなかった場合)、書込ヘッド63による書込エラーを出力し(s51)、s41に戻る。
【0110】
読取装置1Bは、記録されている磁気データを取得できなかったトラックが無かった場合(全てのトラックについて、記録されている磁気データを取得できた場合)、トラック毎に磁気データの振幅の性質を検出するとともに、周期の性質を検出する(s47、s48)。判定部11dが、トラック毎に、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定する(s49)。s47~s49にかかる処理は、トラック毎に判定する点で相違しているが、上記したs7~s9にかかる処理とほぼ同様である。s49では、書込ヘッド63、または読取ヘッド64を特定して、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定していない。
【0111】
図15に移って、判定部11dは、全てのトラックに対して、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であると判定した場合、書込ヘッド63、および読取ヘッド64の両ヘッドについて、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であると判定する(s61、s62)。
【0112】
また、判定部11dは、いずれかのトラックに対して、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正でないと判定した場合、適正でないと判定したトラックの中に、非書込トラックがあるかどうかを判定する(s63)。言い換えれば、s63では、適正でないと判定した全てのトラックが、書込トラックであるかどうかを判定している。
【0113】
判定部11dは、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正でないと判定したトラックの中に非書込トラックがなければ、書込ヘッド63が磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正でないと判定する(s64)。s64では、読取ヘッド64については、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であるとも、適正でないとも判定しない。
【0114】
また、判定部11dは、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正でないと判定したトラックの中に非書込トラックがあれば、読取ヘッド64が磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正でないと判定する(s65)。s65では、書込ヘッド63については、磁気媒体8である磁気券を押圧する押圧力が適正であるとも、適正でないとも判定しない。
【0115】
読取装置1Bは、入出力部15において、s62、s64、またはs65での判定結果、およびs45で取得した磁気データを出力し(s66、s67)、s41に戻る。
【0116】
このように、この変形例3では、書込ヘッド63についても、磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であるかどうかを判定することができる。
【0117】
また、上記した変形例3では、各トラックに記録されている磁気データが読取ヘッド61、または読取ヘッド62で読み取れた磁気媒体8に対して実行するとしたが、磁気データを読み取った読取ヘッド61、または読取ヘッド62が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正であると判定した場合に行ってもよい(読取ヘッド61、または読取ヘッド62が磁気媒体8を押圧する押圧力が適正でないと判定した場合に行わない構成であってもよい。)。
【0118】
また、この発明にかかる読取装置は、自動改札機100に限らず、券売機、精算機等の他の駅務機器にも適用できる。
【0119】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、上記した全ての例の説明で示したフローチャートにおける各ステップの順番は、あくまでも一例であり、可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。
【0120】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
搬送路(5)に沿って搬送される磁気媒体(8)に押圧される読取ヘッド(6)による磁気データの読み取り信号が入力される入力部(12)と、
前記入力部(12)に入力された磁気データの読み取り信号の振幅の性質を検出する第1検出部(11a)と、
前記入力部(12)に入力された磁気データの読み取り信号の周期の性質を検出する第2検出部(11b)と、
前記入力部(12)に入力された磁気データの読み取り信号を処理して磁気データを取得する取得部(11c)と、
前記取得部(11c)において磁気データの取得が行えた場合、前記第1検出部(11a)によって検出された磁気データの読み取り信号の振幅の性質、および前記第2検出部(11b)によって検出された磁気データの読み取り信号の周期の性質を用いて前記磁気媒体(8)に対する前記読取ヘッド(6)の押圧力が適正であるかどうかを判定する判定部(11d)と、
を備えた磁気データ読取装置(1)。
【符号の説明】
【0121】
1、1A、1B…読取装置
5…搬送路
6、61、62、64…読取ヘッド
7、71~74…ピンチローラ
8…磁気媒体
11、11A、11B…制御ユニット
11a…第1検出部
11b…第2検出部
11c…取得部
11d…判定部
11e…第3検出部
11f…書込指示部
12…入力部
13…A/D変換部
14…出力部
15…入出力部
16…出力部
17…D/A変換部
63…書込ヘッド
80…反転搬送路
100…自動改札機
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