(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007185
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】太陽電池装置
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20240111BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H02S40/22
G02B5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108479
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】井桁 幸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【テーマコード(参考)】
2H148
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2H148FA04
2H148FA09
2H148FA12
2H148FA22
5F151JA02
5F151JA03
5F151JA21
5F151JA23
5F251JA02
5F251JA03
5F251JA21
5F251JA23
(57)【要約】
【課題】光を導光する際の損失を抑制することが可能な太陽電池装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、太陽電池装置は、第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する透明基板と、前記透明基板の前記第2主面側に配置され、複数の液晶分子を含むコレステリック液晶を有する液晶層と、前記透明基板の前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に配置され、それぞれ短冊状に形成され、所定の間隔をおいて並んでいる複数の太陽電池と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する透明基板と、
前記透明基板の前記第2主面側に配置され、複数の液晶分子を含むコレステリック液晶を有する液晶層と、
前記透明基板の前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に配置され、それぞれ短冊状に形成され、所定の間隔をおいて並んでいる複数の太陽電池と、
を備える、太陽電池装置。
【請求項2】
前記太陽電池の短辺方向に沿って並ぶ前記液晶分子の配向方向は、互いに異なり、
前記太陽電池の長辺方向に沿って並ぶ前記液晶分子の配向方向は、ほぼ一致している、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項3】
前記複数の太陽電池は、前記透明基板の前記第1主面側及び前記第2主面側にそれぞれ配置され、
前記第1主面側に配置された前記複数の太陽電池の間隔は、前記第2主面側に配置された前記複数の太陽電池の間隔より小さい、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項4】
さらに、透明な保護基板を備え、
前記複数の太陽電池は、前記透明基板と前記保護基板との間に位置している、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項5】
前記透明基板は、局所的に配置された散乱体を含み、
前記太陽電池は、前記散乱体に対向している、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項6】
さらに、前記散乱体に対向する反射体を備え、
前記散乱体は、前記太陽電池と前記反射体との間に位置している、請求項5に記載の太陽電池装置。
【請求項7】
さらに、前記透明基板の前記第2主面において局所的に配置された散乱体を備え、
前記太陽電池は、前記散乱体に対向している、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項8】
さらに、前記透明基板の前記第1主面に接する平面及び前記平面に対向する曲面を有する透明部材と、
前記透明部材の前記曲面を覆う反射膜と、を備え、
前記太陽電池は、前記透明基板の前記第2主面側において、前記透明部材に対向している、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項9】
前記太陽電池は、シリコン系太陽電池である、請求項1に記載の太陽電池装置。
【請求項10】
前記太陽電池は、有機薄膜太陽電池である、請求項1に記載の太陽電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶材料を用いた液晶偏光格子が提案されている。このような液晶偏光格子では、所望の反射性能を得る観点で、格子周期T、液晶層の屈折率異方性Δn(液晶層の異常光に対する屈折率neと常光に対する屈折率noとの差分)、及び、液晶層の厚さdといった各種パラメータの調整が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、光を導光する際の損失を抑制することが可能な太陽電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、太陽電池装置は、
第1主面及び前記第1主面に対向する第2主面を有する透明基板と、前記透明基板の前記第2主面側に配置され、複数の液晶分子を含むコレステリック液晶を有する液晶層と、前記透明基板の前記第1主面側及び前記第2主面側の少なくとも一方に配置され、それぞれ短冊状に形成され、所定の間隔をおいて並んでいる複数の太陽電池と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、太陽電池装置10の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、液晶光学素子100を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、液晶層3に含まれるコレステリック液晶31の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、液晶光学素子100を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した太陽電池PVの間隔Gを説明するための図である。
【
図6】
図6は、太陽電池PVの間隔Gの範囲について他の観点で説明するための図である。
【
図7】
図7は、太陽電池装置10の他の例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示した太陽電池PVの間隔Gを説明するための図である。
【
図9】
図9は、太陽電池装置10の他の例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、液晶光学素子100の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示した液晶層3に含まれる液晶分子の配向パターンの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、液晶光学素子100の他の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、
図12に示した液晶層3に含まれる液晶分子の配向パターンの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、太陽電池装置10のバリエーションを示す図である。
【
図15】
図15は、太陽電池装置10のバリエーションを示す図である。
【
図16】
図16は、太陽電池装置10のバリエーションを示す図である。
【
図17】
図17は、太陽電池装置10のバリエーションを示す図である。
【
図18】
図18は、太陽電池装置10のバリエーションを示す図である。
【
図19】
図19は、液晶光学素子100のバリエーションを示す図である。
【
図20】
図20は、液晶光学素子100のバリエーションを示す図である。
【
図21】
図21は、液晶光学素子100のバリエーションを示す図である。
【
図22】
図22は、液晶光学素子100のバリエーションを示す図である。
【
図23】
図23は、太陽電池PVの液晶光学素子100への設置例を示す図である。
【
図24】
図24は、太陽電池PVの液晶光学素子100への他の設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。Z軸に沿った方向をZ方向または第1方向A1と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向A2と称し、X軸に沿った方向をX方向または第3方向A3と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸及びZ軸によって規定される面をX-Z平面と称し、Y軸及びZ軸によって規定される面をY-Z平面と称する。
【0009】
図1は、太陽電池装置10の一例を示す斜視図である。
太陽電池装置10は、液晶光学素子100と、複数の太陽電池PVと、を備えている。液晶光学素子100は、透明基板1と、液晶層3と、を備えている。
図1には示していないが、液晶光学素子100は、透明基板1と液晶層3との間に介在する配向膜を備える場合がある。また、液晶光学素子100は、液晶層3と太陽電池PVとの間に接着層を備える場合がある。
【0010】
透明基板1は、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。透明基板1は、例えば、可撓性を有する透明な合成樹脂板によって構成されていてもよい。透明基板1は、任意の形状を取り得る。例えば、透明基板1は、湾曲していてもよい。
【0011】
本明細書において、『光』は、可視光及び不可視光を含むものである。例えば、可視光域の下限の波長は360nm以上400nm以下であり、可視光域の上限の波長は760nm以上830nm以下である。可視光は、第1波長帯(例えば400nm~500nm)の第1成分(青成分)、第2波長帯(例えば500nm~600nm)の第2成分(緑成分)、及び、第3波長帯(例えば600nm~700nm)の第3成分(赤成分)を含んでいる。不可視光は、第1波長帯より短波長帯の紫外線、及び、第3波長帯より長波長帯の赤外線を含んでいる。
本明細書において、『透明』は、無色透明であることが好ましい。ただし、『透明』は、半透明又は有色透明であってもよい。
【0012】
透明基板1は、X-Y平面に沿った平板状に形成され、第1主面F1と、第2主面F2と、を有している。第1主面F1及び第2主面F2は、X-Y平面に略平行な面であり、第1方向A1において、互いに対向している。
【0013】
液晶層3は、透明基板1の第2主面F2の側に配置されている。液晶層3の詳細については後述する。
【0014】
複数の太陽電池PVは、透明基板1の第1主面F1の側、及び、透明基板1の第2主面F2の側の少なくとも一方の側に配置されている。また、複数の太陽電池PVは、それぞれ短冊状に形成され、所定の間隔をおいて並んでいる。図示した例では、太陽電池PVの各々は、第3方向A3に延出し、第2方向A2に沿って一定の間隔Gを置いて並んでいる。つまり、第2方向A2は太陽電池PVの短辺方向に相当し、第3方向A3は太陽電池PVの長辺方向に相当する。一例では、太陽電池PVの短辺方向に沿った幅Wは、間隔Gと同等以下である。
【0015】
図示した例は、複数の太陽電池PVが透明基板1の第2主面F2の側に配置された例に相当する。太陽電池PVの各々は、液晶層3に接するように配置されている。つまり、太陽電池PVは、液晶層3を挟んで透明基板1と対向している。太陽電池PVを液晶光学素子100に設ける手法として、別途製造された太陽電池PVが液晶層3に接着されてもよいし、液晶層3の表面に材料を塗布することで液晶層3の上に太陽電池PVが直接形成されてもよい。
【0016】
太陽電池PVの一例としては、シリコン系太陽電池、有機薄膜太陽電池などが挙げられる。シリコン系太陽電池は、非晶質シリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコンなどを用いて形成されている。有機薄膜太陽電池は、有機半導体太陽電池、ペロブスカイト型太陽電池などを含み、使用する材料によって光透過性を有する場合がある。
【0017】
図2は、液晶光学素子100を模式的に示す断面図である。なお、
図1に示した太陽電池PVの図示を省略している。
【0018】
液晶層3は、拡大して模式的に示すように、コレステリック液晶31を有している。コレステリック液晶31は、第1方向A1にほぼ平行な螺旋軸AXを有し、また、第1方向A1に沿った螺旋ピッチPを有している。螺旋ピッチPは、螺旋の1周期(液晶分子が360度回転するのに要する螺旋軸AXに沿った層厚)を示す。
【0019】
このような液晶層3は、透明基板1を介して入射した光LTiのうち、螺旋ピッチP及び屈折率異方性Δnに応じて決定する選択反射帯域の円偏光を反射する。なお、本明細書において、液晶層3における「反射」とは、液晶層3の内部における回折を伴うものである。
【0020】
液晶層3において、コレステリック液晶31は、選択反射帯域のうち、コレステリック液晶31の旋回方向に対応した円偏光を反射する反射面32を有している。なお、本明細書において、円偏光は、厳密な円偏光であってもよいし、楕円偏光に近似した円偏光であってもよい。
【0021】
次に、液晶光学素子100の光学作用について説明する。
【0022】
図示した例では、液晶層3が透明基板1の側から入射した光LTiの少なくとも一部を透明基板1に向けて反射する場合について説明する。
【0023】
液晶光学素子100に入射する光LTiは、例えば、可視光、紫外線、及び、赤外線を含んでいる。
ここでは、理解を容易にするために、光LTiは、透明基板1に対して略垂直に入射するものとする。なお、透明基板1に対する光LTiの入射角度は、特に限定されない。
【0024】
光LTiは、第1主面F1から透明基板1の内部に進入し、第2主面F2から出射して、液晶層3に入射する。そして、液晶層3は、反射面32において光LTiの一部を透明基板1に向けて反射し、その他の光を透過する。反射された光LTrは、波長λの円偏光である。例えば、波長λは、赤外線の波長帯である。液晶層3を透過した光LTtは、例えば可視光Vを含んでいる。
【0025】
液晶層3で反射された光LTrの透明基板1への進入角θaは、透明基板1における光導波条件を満足するように設定される。ここでの進入角θaとは、透明基板1と空気との界面で全反射を起こす臨界角以上の角度に相当する。進入角θaは、透明基板1の第1主面F1に直交する垂線に対する角度を示す。
【0026】
透明基板1、及び、液晶層3が同等の屈折率を有している場合、これらの積層体が単体の光導波体となり得る。この場合、光LTrは、透明基板1と空気との界面、及び、液晶層3と空気との界面において、反射を繰り返しながら導光される。
【0027】
図3は、液晶層3に含まれるコレステリック液晶31の一例を説明するための図である。
なお、
図3では、液晶層3を第1方向A1に拡大して図示している。また、簡略化のため、コレステリック液晶31を構成する液晶分子LM1として、X-Y平面に平行な同一平面に位置する複数の液晶分子のうちの1つの液晶分子LM1を図示している。図示した液晶分子LM1の配向方向は、同一平面に位置する複数の液晶分子の平均的な配向方向に相当する。
【0028】
点線で囲んだ1つのコレステリック液晶31に着目すると、コレステリック液晶31は、旋回しながら第1方向A1に沿って螺旋状に積み重ねられた複数の液晶分子LM1によって構成されている。複数の液晶分子LM1は、コレステリック液晶31の一端側の液晶分子LM11と、コレステリック液晶31の他端側の液晶分子LM12と、を有している。液晶分子LM11は、透明基板1に近接している。
【0029】
液晶層3において、第2方向A2に沿って隣接するコレステリック液晶31の配向方向は、互いに異なっている。また、第2方向A2に沿って隣接するコレステリック液晶31の空間位相は、互いに異なっている。
第2方向A2に沿って隣接する液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なっている。複数の液晶分子LM11の配向方向は、第2方向A2に沿って連続的に変化している。
第2方向A2に沿って隣接する液晶分子LM12の配向方向も、互いに異なっている。複数の液晶分子LM12の配向方向も、第2方向A2に沿って連続的に変化している。
【0030】
図中に一点鎖線で示す液晶層3の反射面32は、X-Y平面に対して傾斜している。反射面32とX-Y平面とのなす角度を反射面32の傾斜角度θと称する。傾斜角度θは、鋭角である。反射面32は、液晶分子LM1の配向方向が揃った面、あるいは、空間位相が揃った面(等位相面)に相当する。
【0031】
このような液晶層3は、液晶分子LM1の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM1の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、液晶光学素子100は、液晶層3に電界を形成するための電極を備えていない。
【0032】
一般的に、コレステリック液晶を有する液晶層において、垂直入射した光に対する選択反射帯域Δλは、コレステリック液晶の螺旋ピッチP、液晶層の屈折率異方性Δn(異常光に対する屈折率neと常光に対する屈折率noとの差分)に基づいて、次の式(1)で示される。
Δλ=Δn*P …(1)
選択反射帯域Δλの具体的な波長範囲は、(no*P)以上、(ne*P)以下の範囲である。
【0033】
図4は、液晶光学素子100を模式的に示す平面図である。
図4には、コレステリック液晶31の空間位相の一例が示されている。ここに示す空間位相は、コレステリック液晶31に含まれる液晶分子LM1のうち、透明基板1の近傍に位置する液晶分子LM11の配向方向として示している。
【0034】
第2方向A2に沿って並んだコレステリック液晶31の各々について、液晶分子LM11の配向方向は互いに異なる。つまり、コレステリック液晶31の空間位相は、第2方向A2に沿って異なる。ここでの第2方向A2は、
図1を参照して説明したように、太陽電池PVの短辺方向に相当する。
【0035】
一方、第3方向A3に沿って並んだコレステリック液晶31の各々について、液晶分子LM11の配向方向は略一致する。つまり、コレステリック液晶31の空間位相は、第3方向A3において略一致する。ここでの第3方向A3は、
図1を参照して説明したように、太陽電池PVの長辺方向に相当する。
【0036】
特に、第2方向A2に並んだコレステリック液晶31に着目すると、各液晶分子LM11の配向方向は、一定角度ずつ異なっている。つまり、第2方向A2に沿って並んだ複数の液晶分子LM11の配向方向は、線形に変化している。したがって、第2方向A2に沿って並んだコレステリック液晶31の空間位相は、第2方向A2に沿って線形に変化している。その結果、
図3に示した液晶層3のように、X-Y平面に対して傾斜する反射面32が形成される。ここでの「線形に変化」は、例えば、液晶分子LM11の配向方向の変化量が1次関数で表されることを示す。なお、ここでの液晶分子LM11の配向方向とは、X-Y平面における液晶分子LM11の長軸方向に相当する。
【0037】
ここで、一平面内において、第2方向A2に沿って液晶分子LM11の配向方向が180度だけ変化するときの2つの液晶分子LM11の間隔を周期Tと定義する。なお、
図4においてDPは、液晶分子LM11の旋回方向を示している。
図3に示した反射面32の傾斜角度θは、周期T及び螺旋ピッチPによって適宜設定される。
【0038】
ここで、太陽電池PVが透明基板1の第2主面F2側に配置される場合を想定し、太陽電池PVの間隔Gの好ましい範囲について
図5を参照しながら説明する。
【0039】
ここでは、光LTiは、透明基板1の法線Nに沿って入射するものとし、液晶光学素子100を透過する光については図示及び説明を省略する。液晶層3の反射面32で反射された光LTrの回折角αは、光LTrの波長λ、及び、コレステリック液晶31の周期Tに基づいて、図中の式(1)で表される。
【0040】
反射面32で反射された光LTrが透明基板1と空気との第1界面で反射された後に液晶層3と空気との第2界面でさらに反射されるとき、反射面32での反射位置から第2界面での反射位置までの距離を全反射距離Lと表す。全反射距離Lは、透明基板1及び液晶層3の総厚d、及び、回折角αに基づき、図中の式(2)で表される。
【0041】
図中の式(3)で示すように、太陽電池PVの間隔Gは、全反射距離Lより小さいことが望ましい。これにより、反射面32で反射されてから太陽電池PVまで導光される光LTrの導光距離、あるいは、液晶光学素子100の内部での反射回数を少なくすることができる。このため、光LTrが透明基板1及び液晶層3に付着した異物や微小なクラックに起因して散乱されたり、光LTrが液晶光学素子100の外部に漏れ出たりする不具合が抑制される。したがって、液晶光学素子100から太陽電池PVに光を導光する際の損失が抑制され、発電効率の低下が抑制される。
【0042】
なお、太陽電池PVが不透明である場合、液晶光学素子100の透過率を向上する観点では、太陽電池PVの幅Wは小さいことが望ましく、また、間隔Gは小さいことが望ましい。
【0043】
太陽電池PVは、例えば非可視光、特に赤外線を受光して発電する。このため、例えば光LTrの波長λを700nmとして間隔Gを設定することが望ましい。
【0044】
図6は、太陽電池PVの間隔Gの範囲について他の観点で説明するための図である。
図5に示した例は、波長λの光LTiが反射面32において一方向(図の右側の方向)のみに反射される場合を想定していたが、
図6に示す例は、光LTiが反射面32において一方向(図の右側の方向)に反射されるのに加えて、光LTiの一部が他の方向(図の左側の方向)に回折される場合を想定している。
【0045】
例えば、反射面32で回折された光LTdが透明基板1と空気との第1界面で反射された後に液晶層3と空気との第2界面でさらに反射されるとき、反射面32での回折位置から第2界面での反射位置までの距離は、
図5を参照して説明した全反射距離Lとほぼ等しい。全反射距離Lは、透明基板1及び液晶層3の総厚d、及び、回折角αに基づき、図中の式(2)で表される。
図中の式(4)で示すように、太陽電池PVの間隔Gは、全反射距離Lの2倍より小さいことが望ましい。
【0046】
図7は、太陽電池装置10の他の例を示す斜視図である。
図7に示す例は、
図1に示した例と比較して、複数の太陽電池PVが透明基板1の第1主面F1の側に配置された点で相違している。太陽電池PVの各々は、透明基板1に接するように配置されている。太陽電池PVを液晶光学素子100に設ける手法として、別途製造された太陽電池PVが液晶層3に接着されてもよいし、液晶層3の表面に材料を塗布することで液晶層3の上に太陽電池PVが直接形成されてもよい。
【0047】
複数の太陽電池PVは、それぞれ短冊状に形成され、所定の間隔をおいて並んでいる。図示した例では、太陽電池PVの各々は、第3方向A3に延出し、第2方向A2に沿って一定の間隔Gを置いて並んでいる。つまり、第2方向A2は太陽電池PVの短辺方向に相当し、第3方向A3は太陽電池PVの長辺方向に相当する。
【0048】
ここで、太陽電池PVが透明基板1の第1主面F1側に配置される場合を想定し、太陽電池PVの間隔Gの好ましい範囲について
図8を参照しながら説明する。
【0049】
ここでは、光LTiは、透明基板1の法線Nに沿って入射するものとし、液晶光学素子100を透過する光については図示及び説明を省略する。液晶層3の反射面32で反射された光LTrの回折角αは、
図5を参照して説明した式(1)で表される。また、全反射距離Lは、
図5を参照して説明した式(2)で表される。
【0050】
この場合、図中の式(5)で示すように、太陽電池PVの間隔Gは、全反射距離Lの1/2より小さいことが望ましい。これにより、反射面32で反射されてから太陽電池PVまで導光される光LTrの導光距離、あるいは、液晶光学素子100の内部での反射回数を少なくすることができる。これにより、上記の例と同様に、液晶光学素子100から太陽電池PVに光を導光する際の損失が抑制され、発電効率の低下が抑制される。
【0051】
図9は、太陽電池装置10の他の例を示す斜視図である。
図9に示す例は、
図1に示した例と比較して、複数の太陽電池PVが透明基板1の第1主面F1の側及び第2主面F2の側にそれぞれ配置された点で相違している。
【0052】
第1主面F1の側において、太陽電池PVの各々は、透明基板1に接するように配置されている。また、第2主面F2の側において、太陽電池PVの各々は、液晶層3に接するように配置され、液晶層3を挟んで透明基板1と対向している。
【0053】
複数の太陽電池PVは、それぞれ短冊状に形成され、所定の間隔をおいて並んでいる。図示した例では、太陽電池PVの各々は、第3方向A3に延出している。第1主面F1の側に配置された複数の太陽電池PVは、第2方向A2に沿って一定の間隔G1を置いて並んでいる。第2主面F2の側に配置された複数の太陽電池PVは、第2方向A2に沿って一定の間隔G2を置いて並んでいる。間隔G1は、
図8を参照して説明した式(5)に基づいて設定されることが望ましい。また、間隔G2は、
図5を参照して説明した式(3)または
図6を参照して説明した式(4)に基づいて設定されることが望ましい。このため、間隔G1は、間隔G2よりも小さい(G1<G2)。
【0054】
次に、液晶光学素子100の変形例について説明する。
【0055】
図10は、液晶光学素子100の変形例を模式的に示す断面図である。太陽電池PVは、図中に点線で示している。
液晶層3は、第1層3A及び第2層3Bを有している。第1層3Aは、透明基板1と第2層3Bとの間に位置している。図示していないが、液晶光学素子100は、透明基板1と液晶層3との間に介在する配向膜を備える場合がある。
【0056】
第1層3A及び第2層3Bは、それぞれ拡大して模式的に示すように、コレステリック液晶31A及び31Bを有している。コレステリック液晶31Aは、第1方向A1にほぼ平行な螺旋軸AXAを有し、また、第1方向A1に沿った螺旋ピッチPAを有している。コレステリック液晶31Bは、第1方向A1にほぼ平行な螺旋軸AXBを有し、また、第1方向A1に沿った螺旋ピッチPBを有している。螺旋軸AXAは螺旋軸AXBと平行である。螺旋ピッチPAは、螺旋ピッチPBと同一であるが、螺旋ピッチPBとは異なっていてもよい。コレステリック液晶31Aの旋回方向は、コレステリック液晶31Bの旋回方向とは逆である。
【0057】
第1層3Aの反射面32Aの傾斜方向は、第2層3Bの反射面32Bの傾斜方向とは異なる。反射面32Aは、入射した光LTiを図の右側に向けて反射するように傾斜している。反射面32Bは、入射した光LTiを図の左側に向けて反射するように傾斜している。
【0058】
反射面32Aで反射された光LTrAの回折角αAは、反射面32Bで反射された光LTrBの回折角αBと同一であるが、回折角αBとは異なっていてもよい。回折角αAが回折角αBと同一である場合、光LTrAの全反射距離LAは、光LTrBの全反射距離LBと同一である。
【0059】
このような変形例では、太陽電池PVの間隔Gは、全反射距離LA及びLBの総和より小さいことが望ましい。
【0060】
図11は、
図10に示した液晶層3に含まれる液晶分子の配向パターンの一例を示す図である。
図11においては、第1層3Aに含まれる液晶分子のうち、X-Y平面に平行な一平面内に配列した液晶分子LMAの配向パターンを示し、また、第2層3Bに含まれる液晶分子のうち、X-Y平面に平行な一平面内に配列した液晶分子LMBの配向パターンを示している。
【0061】
第1層3Aにおいて、第2方向A2に並んだ液晶分子LMAの各々の配向方向は、互いに異なる。例えば、A-A’線に沿って並んだ5つの液晶分子LMAに着目すると、液晶分子LMAの各々の配向方向は、第2方向A2に沿って(図の左から右に向かって)、時計回りに一定角度ずつ変化している。なお、第3方向A3に並んだ液晶分子LMAの各々の配向方向は略一致する。
【0062】
第2層3Bにおいて、第2方向A2に並んだ液晶分子LMBの各々の配向方向は、互いに異なる。例えば、B-B’線に沿って並んだ5つの液晶分子LMBに着目すると、液晶分子LMBの各々の配向方向は、第2方向A2に沿って(図の左から右に向かって)、時計回りに一定角度ずつ変化している。なお、第3方向A3に並んだ液晶分子LMBの各々の配向方向は略一致する。
【0063】
このような液晶層3の製造方法の一例について、以下に簡単に説明する。
まず、透明基板1の上に配向膜を形成した後に、配向膜に配向処理を行う。その後、配向膜の上に、コレステリック液晶31Aを形成するための第1液晶材料を塗布し、その後、第1液晶材料を硬化する。これにより、コレステリック液晶31Aを有する第1層3Aが形成される。
その後、第1層3Aの上に、コレステリック液晶31Bを形成するための第2液晶材料を塗布する。第2液晶材料は、第1液晶材料とは異なるカイラル剤を含んでいる。その後、第2液晶材料を硬化する。これにより、コレステリック液晶31Bを有する第2層3Bが形成される。このようにして形成された第2層3Bの液晶分子LMAは、第1層3Aの液晶分子LMBの配向パターンを引き継ぐ。このため、
図11に示したような配向パターンが形成される。但し、コレステリック液晶31Aの旋回方向は、コレステリック液晶31Bの旋回方向とは逆である。このため、
図10に示したように、第1層3Aに形成される反射面32Aの傾斜方向は、第2層3Bに形成される反射面32の傾斜方向とは異なる。
【0064】
図12は、液晶光学素子100の他の変形例を模式的に示す断面図である。太陽電池PVは、図中に点線で示している。
図12に示す変形例は、
図10に示した変形例と比較して、反射面32A及び反射面32Bがいずれも入射した光LTiを図の右側に向けて反射するように傾斜している点で相違している。
【0065】
液晶層3の第1層3Aは、透明基板1と第2層3Bとの間に位置し、コレステリック液晶31Aを有している。コレステリック液晶31Aは、第1方向A1にほぼ平行な螺旋軸AXAを有し、また、第1方向A1に沿った螺旋ピッチPAを有している。
液晶層3の第2層3Bは、コレステリック液晶31Bを有している。コレステリック液晶31Bは、第1方向A1にほぼ平行な螺旋軸AXBを有し、また、第1方向A1に沿った螺旋ピッチPBを有している。螺旋軸AXAは螺旋軸AXBと平行である。螺旋ピッチPAは、螺旋ピッチPBと同一であるが、螺旋ピッチPBとは異なっていてもよい。コレステリック液晶31Aの旋回方向は、コレステリック液晶31Bの旋回方向とは逆である。
【0066】
このような変形例では、太陽電池PVの間隔Gは、光LTrAの全反射距離LAより小さく、また、光LTrBの全反射距離LBより小さいことが望ましい。
【0067】
図13は、
図12に示した液晶層3に含まれる液晶分子の配向パターンの一例を示す図である。
図13においては、第1層3Aに含まれる液晶分子のうち、X-Y平面に平行な一平面内に配列した液晶分子LMAの配向パターンを示し、また、第2層3Bに含まれる液晶分子のうち、X-Y平面に平行な一平面内に配列した液晶分子LMBの配向パターンを示している。
【0068】
第1層3Aにおいて、第2方向A2に並んだ液晶分子LMAの各々の配向方向は、互いに異なる。例えば、A-A’線に沿って並んだ5つの液晶分子LMAに着目すると、液晶分子LMAの各々の配向方向は、第2方向A2に沿って(図の左から右に向かって)、時計回りに一定角度ずつ変化している。なお、第3方向A3に並んだ液晶分子LMAの各々の配向方向は略一致する。
【0069】
第2層3Bにおいて、第2方向A2に並んだ液晶分子LMBの各々の配向方向は、互いに異なる。例えば、B-B’線に沿って並んだ5つの液晶分子LMBに着目すると、液晶分子LMBの各々の配向方向は、第2方向A2に沿って(図の左から右に向かって)、反時計回りに一定角度ずつ変化している。なお、第3方向A3に並んだ液晶分子LMBの各々の配向方向は略一致する。
【0070】
このような液晶層3の製造方法の一例について、以下に簡単に説明する。
まず、透明基板1の上に配向膜を形成した後に、配向膜に配向処理を行う。その後、配向膜の上に、コレステリック液晶31Aを形成するための第1液晶材料を塗布し、その後、第1液晶材料を硬化する。これにより、コレステリック液晶31Aを有する第1層3Aが形成される。
一方で、別途用意した支持体の上に配向膜を形成した後に、配向膜に配向処理を行う。その後、配向膜の上に、コレステリック液晶31Bを形成するための第2液晶材料を塗布し、その後、第2液晶材料を硬化する。これにより、コレステリック液晶31Bを有する第2層3Bが形成される。その後、第2層3Bのみを支持体から剥離し、第1層3Aに第2層3Bを接着する。
このように、第1層3Aとは別途形成された第2層3Bの液晶分子LMAは、第1層3Aの液晶分子LMBとは異なる配向パターンを有することができる。このため、
図13に示したような配向パターンが形成される。
【0071】
図10乃至
図13を参照して説明した変形例では、液晶層3が第1層3A及び第2層3Bを有している。コレステリック液晶31Aの螺旋ピッチPAがコレステリック液晶31Bの螺旋ピッチPBと同一であり、コレステリック液晶31Aの旋回方向がコレステリック液晶31Bの旋回方向とは逆である場合、液晶光学素子100に入射する光LTiのうち、同一波長λの光LTrの反射率が向上する。例えば、コレステリック液晶31Aの旋回方向が右回りであり、コレステリック液晶31Bの旋回方向が左回りである場合、コレステリック液晶31Aの反射面32Aにおいては、波長λの光のうちの右回りの円偏光が反射され、コレステリック液晶31Bの反射面32Bにおいては、波長λの光のうちの左回りの円偏光が反射される。このため、
図2等を参照して説明した例と比較して、液晶層3での反射率が向上し、また、太陽電池PVでの発電効率が向上する。
【0072】
なお、液晶層3は、3層以上の積層体であってもよい。また、液晶層3は、螺旋ピッチが異なる層を含んでいてもよい。
【0073】
図10乃至
図13を参照して説明した変形例は、複数の太陽電池PVが第2主面F2の側に配置される場合に限らず、複数の太陽電池PVが第1主面F1の側に配置される場合、あるいは、複数の太陽電池PVが第1主面F1及び第2主面F2の双方に配置される場合にも適用可能である。
【0074】
次に、太陽電池装置10のバリエーションについて
図14乃至
図18を参照しながら説明する。
【0075】
図14に示す例において、太陽電池装置10は、液晶光学素子100及び太陽電池PVに加えて、保護基板21及び22を備えている。保護基板21は、液晶光学素子100と保護基板22との間に位置している。保護基板21及び22は、いずれも透明な基板であり、ガラス板または合成樹脂板である。液晶光学素子100の液晶層3は、光LTiが入射する側に面している。複数の太陽電池PVは、透明基板1と保護基板21との間に位置するとともに、保護基板21と保護基板22との間にも位置している。
これにより、太陽電池PVが保護される。また、透明基板1と保護基板21との間の太陽電池PVで発電に利用できなかった光を、保護基板21と保護基板22との間の太陽電池PVで発電に利用することができる。
【0076】
図15に示す例において、太陽電池装置10の構成要素は、
図14に示した例と同一であるが、液晶光学素子100の透明基板1は、光LTiが入射する側に面している。複数の太陽電池PVは、液晶層3と保護基板21との間に位置するとともに、保護基板21と保護基板22との間にも位置している。
このような例でも、
図14に示した例と同様の効果が得られる。
【0077】
図16に示す例において、太陽電池装置10の構成要素は、
図14に示した例と同一であるが、保護基板21は、光LTiが入射する側に面している。保護基板22は、保護基板21と液晶光学素子100との間に位置している。複数の太陽電池PVは、保護基板21と保護基板22との間に位置するとともに、保護基板22と透明基板1との間にも位置している。
このような例でも、
図14に示した例と同様の効果が得られる。
【0078】
図17に示す例において、太陽電池装置10は、2つの液晶光学素子100A及び100Bと、保護基板21と、を備えている。液晶光学素子100Aは、保護基板21と液晶光学素子100Bとの間に位置している。液晶光学素子100A及び100Bは、同一構成であり、それぞれ透明基板1及び液晶層3を備えている。保護基板21は、光LTiが入射する側に面している。複数の太陽電池PVは、保護基板21と液晶光学素子100Aの透明基板1との間に位置するとともに、液晶光学素子100Aの液晶層3と液晶光学素子100Bの透明基板1との間にも位置している。
このような例でも、
図14に示した例と同様の効果が得られる。
【0079】
図18に示す例において、太陽電池装置10は、液晶光学素子100と、太陽電池PVと、保護基板21と、保護基板22と、を備えている。保護基板21は、光LTiが入射する側に面している。保護基板22は、保護基板21と液晶光学素子100との間に位置している。複数の太陽電池PVは、保護基板21と保護基板22との間に位置するとともに、保護基板22と透明基板1との間にも位置している。液晶光学素子100において、液晶層3は支持体30に形成され、支持体30は透明基板1に接着されている。
このような例でも、
図14に示した例と同様の効果が得られる。
【0080】
図14乃至
図18に示した例に限らず、液晶層3は、保護基板21及び22の各主面に配置されてもよい。
【0081】
次に、液晶光学素子100のバリエーションについて
図19乃至
図22を参照しながら説明する。
【0082】
図19に示す例において、透明基板1は、局所的に配置された散乱体41を含んでいる。散乱体41は、太陽電池PVにおいて発電に利用する波長λの光を散乱するものである。例えば、散乱体41は、可視光を透過し、赤外線を散乱するものが適用可能である。
太陽電池PVは、第1方向A1において散乱体41に対向している。図示した例では、太陽電池PVは、透明基板1の第2主面F2の側に配置され、液晶層3を挟んで散乱体41に対向している。なお、太陽電池PVは、第1主面F1の側に配置されてもよい。
このような例において、液晶光学素子100に入射した光LTiは、反射を繰り返して散乱体41で散乱される。太陽電池PVは、散乱体41で散乱された光の一部を受光して発電する。
【0083】
図20に示す例においては、液晶光学素子100は、さらに反射体42を備えている。反射体42は、第1方向A1において散乱体41に対向している。散乱体41は、太陽電池PVと反射体42との間に位置している。図示した例では、反射体42は、第1主面F1に配置されている。
このような例においては、散乱体41で散乱された光が反射体42によって太陽電池PVに向けて反射される。このため、
図19に示した例と比較して、発電効率が向上する。
【0084】
図21に示す例においては、液晶光学素子100は、さらに散乱体43を備えている。散乱体43は、第2主面F2において局所的に配置され、液晶層3で覆われている。太陽電池PVは、第1方向A1において、液晶層3を介して散乱体43に対向している。
このような例においても、太陽電池PVは、散乱体41で散乱された光の一部を受光して発電する。
【0085】
図22に示す例においては、液晶光学素子100は、さらに透明部材44と、反射膜45と、を備えている。透明部材44は、第1主面F1に接する平面441と、平面441に対向する凸状の曲面442と、を有している。このような透明部材44は、透明基板1と同等の屈折率を有していることが望ましい。反射膜45は、曲面442を覆っている。
太陽電池PVは、第1方向A1において透明部材44に対向している。図示した例では、太陽電池PVは、透明基板1の第2主面F2の側に配置され、透明基板1及び液晶層3を挟んで透明部材44に対向している。
このような例において、液晶光学素子100に入射した光LTiは、反射を繰り返した後に、透明部材44に導光され、反射膜45で反射される。太陽電池PVは、反射膜45で反射された光を受光して発電する。
【0086】
次に、太陽電池PVの液晶光学素子100への設置方法について説明する。
【0087】
図23は、太陽電池PVの液晶光学素子100への設置例を示す図である。
図示した例では、太陽電池PVは、例えばシリコン系太陽電池であり、液晶光学素子100とは別途形成されたものである。このような太陽電池PVは、透明な接着剤50を介して液晶光学素子100に接着される。図示した例では、太陽電池PVは、接着剤50により液晶層3に接着されている。なお、太陽電池PVは、接着剤により透明基板1の第1主面F1に接着されてもよい。
【0088】
図24は、太陽電池PVの液晶光学素子100への他の設置例を示す図である。
図示した例では、太陽電池PVは、例えば有機薄膜太陽電池であり、液晶光学素子100に材料を塗布することで形成されたものである。図示した例では、太陽電池PVは、液晶層3の表面に直接形成されている。なお、太陽電池PVは、透明基板1の第1主面F1に直接形成されてもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、光を導光する際の損失を抑制することが可能な太陽電池装置を提供することができる。
【0090】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
10…太陽電池装置 PV…太陽電池
100…液晶光学素子
1…透明基板 F1…第1主面 F2…第2主面
3…液晶層 31…コレステリック液晶 32…反射面
21,22…保護基板
41…散乱体 42…反射体 43…散乱体 44…透明部材 45…反射膜
50…接着剤