(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071863
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20240520BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240520BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182340
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡部 学
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥 ハヤト
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR11
4F213WA25
4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
4F213WL95
(57)【要約】
【課題】複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる情報処理システムを提供すること。
【解決手段】複数の三次元造形物を造形する造形物造形工程に関する情報を第1情報として取得し、複数の三次元造形物の数量に関する情報を第2情報として取得し、三次元造形装置のステージ上に載置される造形プレートと三次元造形物との間に位置するように造形プレート上に造形される下地層を造形プレート上に造形する下地層造形工程に関する情報を第3情報として取得し、造形プレートの在庫の数量に関する情報を第4情報として取得し、複数の三次元造形物の造形において使用される造形プレートの使用数量に応じた複数の推定造形時間を算出し、算出された複数の推定造形時間のうち最も短い推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を出力部に出力させる、情報処理システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、
三次元造形装置が複数の三次元造形物を造形する造形物造形工程に関する情報を第1情報として取得する第1情報取得部と、
前記複数の三次元造形物の数量に関する情報を第2情報として取得する第2情報取得部と、
前記三次元造形装置のステージ上に載置される造形プレートと前記三次元造形物との間に位置するように前記造形プレート上に造形される下地層を前記造形プレート上に造形する下地層造形工程に関する情報を第3情報として取得する第3情報取得部と、
前記造形プレートの在庫の数量に関する情報を第4情報として取得する第4情報取得部と、
前記第1情報と前記第2情報と前記第3情報と前記第4情報とに基づいて、前記三次元造形装置による前記複数の三次元造形物の造形において使用される前記造形プレートの使用数量に応じた複数の推定造形時間を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記複数の推定造形時間のうち最も短い推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を出力部に出力させる出力制御部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記第4情報には、前記下地層が造形されている前記造形プレートの在庫の数量を示す情報が含まれている、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第4情報には、前記下地層が造形されていない前記造形プレートの在庫の数量と、前記下地層が造形されている前記造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報が含まれている、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記出力情報には、前記最も短い推定造形時間に対応する前記使用数量を示す情報が含まれている、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記出力情報には、前記最も短い推定造形時間を示す情報が含まれている、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記出力情報には、前記下地層が造形されていない前記造形プレートの在庫の数量と、前記下地層が造形されている前記造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報と、前記下地層が積層されている前記造形プレートの在庫の数量を示す情報と、前記下地層が積層されている前記造形プレートのそれぞれを識別する識別情報とのうちの少なくとも1つが含まれている、
請求項3又は4に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部を溶融した造形材料を積層して三次元造形物を造形する三次元造形装置を制御する装置についての研究、開発が行われている。
【0003】
ここで、三次元造形装置では、ステージと三次元造形物との密着性を向上させるため、三次元造形装置のステージ上に造形プレートを載置し、造形プレート上に三次元造形物を造形する方法が用いられることがある。
【0004】
これに関し、複数の造形プレートを1つずつ三次元造形装置が三次元造形物の造形を行う造形領域内に供給するプレート供給装置を備え、自動的に連続して複数の三次元造形物を1個単位又は複数個単位で順に造形することができる三次元造形装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、造形プレートがステージ上に載置される毎に、造形プレートの上面の傾きを検出し、略水平な平面を有する下地層を、三次元造形物を造形するための土台として造形プレート上に造形する三次元造形方法も知られている。しかしながら、このような三次元造形方法を、特許文献1に記載されたような三次元造形装置へ適用した場合、三次元造形装置は、造形プレートがステージ上に載置される毎に当該下地層を造形プレート上に造形することになり、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムが増大してしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本開示の一態様は、1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形装置が複数の三次元造形物を造形する造形物造形工程に関する情報を第1情報として取得する第1情報取得部と、前記複数の三次元造形物の数量に関する情報を第2情報として取得する第2情報取得部と、前記三次元造形装置のステージ上に載置される造形プレートと前記三次元造形物との間に位置するように前記造形プレート上に造形される下地層を前記造形プレート上に造形する下地層造形工程に関する情報を第3情報として取得する第3情報取得部と、前記造形プレートの在庫の数量に関する情報を第4情報として取得する第4情報取得部と、前記第1情報と前記第2情報と前記第3情報と前記第4情報とに基づいて、前記三次元造形装置による前記複数の三次元造形物の造形において使用される前記造形プレートの使用数量に応じた複数の推定造形時間を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記複数の推定造形時間のうち最も短い推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を出力部に出力させる出力制御部と、を備える情報処理システムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】三次元造形装置1の構成の一例を示す図である。
【
図2】2つの造形プレートを用いた三次元造形方法の流れの一例を示す図である。
【
図5】第1造形プレート上に造形された第1下地層から第1造形物を離間させる離間工程の流れの一例を示す図である。
【
図6】制御装置60のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】制御装置60の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置60が判定する処理の流れの一例を示す図である。
【
図12】第1出力処理の流れの一例を示す図である。
【
図14】第2出力処理の流れの一例を示す図である。
【
図16】第3出力処理の流れの一例を示す図である。
【
図17】2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置60が判定する処理の変形例の流れの一例を示す図である。
【
図18】第4出力処理の流れの一例を示す図である。
【
図19】第5出力処理の流れの一例を示す図である。
【
図20】第6出力処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<情報処理システムの概要>
まず、実施形態に係る情報処理システムの概要について説明する。
【0011】
実施形態に係る情報処理システムは、1以上の情報処理装置を含む。そして、当該情報処理システムは、第1情報取得部と、第2情報取得部と、第3情報取得部と、第4情報取得部と、算出部と、出力制御部を備える。第1情報取得部は、三次元造形装置が複数の三次元造形物を造形する造形物造形工程に関する情報を第1情報として取得する。第2情報取得部は、複数の三次元造形物の数量に関する情報を第2情報として取得する。第3情報取得部は、三次元造形装置のステージ上に載置される造形プレートと三次元造形物との間に位置するように造形プレート上に造形される下地層を造形プレート上に造形する下地層造形工程に関する情報を第3情報として取得する。第4情報取得部は、造形プレートの在庫の数量に関する情報を第4情報として取得する。算出部は、第1情報と第2情報と第3情報と第4情報とに基づいて、三次元造形装置による複数の三次元造形物の造形において使用される造形プレートの使用数量に応じた複数の推定造形時間を算出する。出力制御部は、算出部により算出された複数の推定造形時間のうち最も短い推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を出力部に出力させる。これにより、当該情報処理システムのユーザーは、最も短い推定造形時間に対応する使用数量の造形プレートを用いて、当該三次元造形装置に三次元造形物の造形を行わせることができる。その結果、当該情報処理システムは、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムが増大してしまうことを抑制することができる。
【0012】
以下では、実施形態に係る情報処理システムの構成と、実施形態に係る三次元造形装置の構成と、当該情報処理システムが行う処理とについて詳しく説明する。
【0013】
<三次元造形装置の構成>
以下、実施形態に係る三次元造形装置の構成について、三次元造形装置1を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、三次元造形装置1の構成の一例を示す図である。
【0015】
ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。また、以下では、一例として、Z軸の負方向が重力方向と一致している場合について説明する。このため、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し、Z軸の負方向を下方向又は単に下と称して説明する。
【0016】
三次元造形装置1は、ノズルNzを有する吐出部10と、三次元造形物が造形される造形面21を有するステージ20と、移動部30と、加熱部40と、温度検出部50と、実施形態に係る情報処理システムの一例である制御装置60と、データ生成装置70を備える。なお、三次元造形装置1において、制御装置60は、データ生成装置70と一体に構成されてもよい。また、三次元造形装置1は、データ生成装置70を備えない構成であってもよい。この場合、データ生成装置70は、三次元造形装置1の制御装置60へ外部から通信可能に接続される。また、三次元造形装置1は、制御装置60とデータ生成装置70とを備えない構成であってもよい。この場合、制御装置60は、三次元造形装置1へ外部から通信可能に接続される。また、この場合、データ生成装置70は、制御装置60へ外部から通信可能に接続される。
【0017】
三次元造形装置1は、ステージ20の造形面21に向かって吐出部10から図示しない造形材料Xを吐出させつつ、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置1は、N個のスライス層Lを積層させて1個の予め決められた形状の三次元造形物を造形する。ここで、Nは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。この場合、N個のスライス層Lのうち下から数えて1番目のスライス層Lは、造形面21上に積層される。
【0018】
また、三次元造形装置1では、ステージ20の造形面21上に造形プレートを取り付けることができる。造形プレートは、ステージ20に対して相対的に動かないように造形面21上に取り付け可能な略平板形状の部材であり、造形面21上に取り付けられた場合においてXY平面と略平行な上面を有する部材である。XY平面は、X軸とY軸とのそれぞれによって張られる仮想的な平面のことである。また、造形プレートは、造形面21から取り外し可能な部材でもある。造形面21上に造形プレートが取り付けられた場合、造形プレート上には、三次元造形物を造形するための土台として、略水平な平面を有する下地層が造形されることがある。三次元造形装置1は、下地層が造形された造形プレートが造形面21上に取り付けられている場合、造形プレート上の下地層に向かって吐出部10から造形材料Xを吐出させつつ、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置1は、造形プレート上の下地層上に、N個のスライス層Lを積層させて三次元造形物を造形することができ、その結果、造形プレート、下地層のそれぞれを介して、ステージ20と三次元造形物との間の密着性を向上させることができる。
【0019】
このような下地層として吐出される造形材料Xの種類は、三次元造形物として吐出される造形材料Xの種類に応じて予め決められる。以下では、説明の便宜上、下地層として吐出される造形材料Xを、造形材料X1と称し、三次元造形物として吐出される造形材料Xを造形材料X2と称して説明する。造形材料X1の種類が造形材料X2の種類に応じて決まるため、三次元造形装置1のユーザーは、造形材料X2の種類を変える毎に、造形材料X1の種類を変える必要がある。一方、三次元造形装置1は、造形面21上に造形プレートを取り付ける毎に、造形プレート上に下地層を積層させると、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを増大させてしまうことがある。そこで、三次元造形装置1のユーザーは、造形材料2の種類毎に、造形材料2の種類に対応する種類の造形材料X1によって下地層が造形された造形プレートを用意する。そして、当該ユーザーは、三次元造形装置1に吐出させる造形材料X2の種類を変えた場合、造形材料2の種類毎に用意した複数の造形プレートの中から、三次元造形装置1に吐出させる造形材料X2の種類に対応する種類の造形材料X1によって下地層が造形された造形プレートを造形面21上に取り付ける。この場合、三次元造形装置1は、造形材料X2の種類を変える毎に、造形プレート上に下地層を積層させる必要がなくなる。その結果、三次元造形装置1は、造形する複数の三次元造形物のうちの一部又は全部が互いに異なる種類の造形材料X2によって造形する三次元造形物であったとしても、それら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムが増大してしまうことを抑制することができる。なお、以下では、説明の便宜上、三次元造形物が造形される土台として、造形面21と、造形プレート上に造形された下地層の上面とを区別する必要が無い限り、まとめて土台面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元造形装置1のユーザーを、単にユーザーと称して説明する。
【0020】
土台面上に積層されるN個のスライス層Lのそれぞれは、土台面と平行な造形パスに沿って吐出された造形材料Xのことである。また、造形パスは、造形材料Xを吐出しながら移動するノズルNzのステージ20に対する走査経路のことである。すなわち、三次元造形装置1は、N個のスライス層Lのうちのn番目のスライス層Lの造形パスに沿って造形材料Xを吐出部10によって吐出し、n番目のスライス層Lをn-1番目のスライス層Lの上に積層させる。なお、nは、1以上N以下のいずれかの整数である。また、N個のスライス層Lのそれぞれは、単一の層によって構成されてもよく、積層された複数の層によって構成されてもよい。ここで、あるスライス層Lの造形パスには、当該スライス層Lの輪郭に沿ったノズルNzの走査経路であるアウトライン経路と、当該アウトライン経路に囲まれた領域内におけるノズルNzの走査経路であるインフィル経路とが含まれている。すなわち、あるスライス層Lは、当該スライス層Lのアウトライン経路に沿って吐出された造形材料Xと、当該スライス層Lのインフィル経路に沿って吐出された造形材料Xとによって構成される。なお、前述の下地層も、このようなスライス層Lが造形プレート上に積層されることによって造形される。従って、本実施形態における三次元造形物の造形方法の説明は、下地層の造形方法の説明でもある。
【0021】
また、三次元造形装置1は、熱可塑性樹脂を含む材料を、ノズルNzから造形材料Xとして吐出することができる。これにより、三次元造形装置1は、熱可塑性樹脂によって造形された三次元造形物、及び下地層のそれぞれを造形することができる。ここで、熱可塑性樹脂は、例えば、POM(Polyoxymethylene)等の結晶性樹脂であってもよく、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の非結晶性樹脂であってもよい。また、三次元造形装置1は、熱可塑性樹脂以外の他の素材を含む材料を、ノズルNzから造形材料Xとして吐出することもできる。
【0022】
三次元造形装置1は、このような三次元造形物の造形を行う造形制御を、三次元造形用データに基づいて行う。ここで、三次元造形装置1は、受け付けた操作に応じて、三次元造形用データを生成する。三次元造形用データは、N個のスライス層Lを予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置1に積層させるためのデータである。三次元造形装置1には、当該形状を示す形状データが記憶されている。形状データは、例えば、当該形状を示すデータであれば、如何なるデータであってもよく、例えば、STL(Stereolithography)データである。三次元造形装置1は、受け付けた操作と、形状データとに基づいて、形状データが示す形状を有する仮想的な造形体と、造形体を支持するために造形体に付加される仮想的な支持体とのうち、少なくとも造形体を含む仮想的なオブジェクトを示すオブジェクトデータを生成する。造形体は、積層されるN個のスライス層Lが有する部分のうち、1個の三次元造形物としてN個のスライス層Lから切り離される部分のことである。また、支持体は、積層されたN個のスライス層Lが有する部分のうち、造形体を支持する部分のことである。ただし、支持体は、前述の下地層の上方に造形される。このため、支持体は、下地層と異なる物体である。
【0023】
オブジェクトデータを生成した後、三次元造形装置1は、生成したオブジェクトデータを記憶する。オブジェクトデータを記憶した後、三次元造形装置1は、スライス条件情報に基づいて、オブジェクトをN個のスライス層VLに仮想的にスライスする。このように三次元造形装置1によりオブジェクトが仮想的にスライスされたN個のスライス層VLのそれぞれは、前述のN個のスライス層Lのそれぞれに対応する。そこで、以下では、説明の便宜上、これらN個のスライス層VLのうちn番目のスライス層VLを、スライス層VLnと称し、前述のN個のスライス層Lのうちn番目のスライス層Lを、スライス層Lnと称して説明する。この場合、例えば、1番目のスライス層VL1は、1番目のスライス層L1に対応する。ここで、スライス条件情報は、三次元造形装置1が記憶したオブジェクトデータが示すオブジェクトをN個のスライス層VLに仮想的にスライスするためのスライス条件を示す情報のことである。スライス条件情報には、N個のスライス層VLの数を示す情報、N個のスライス層VLのそれぞれの厚みを示す情報等の情報が、スライス条件を示す情報として含まれている。
【0024】
オブジェクトを仮想的にスライスした後、三次元造形装置1は、造形パス生成条件情報に基づいて、スライスしたN個のスライス層VLのそれぞれ毎に、スライス層VLの造形パスを生成する。造形パスは、前述した通り、造形材料Xを吐出しながら移動するノズルNzのステージ20に対する走査経路のことである。このため、n番目のスライス層VLnの造形パスに沿って吐出された造形材料Xが、スライス層VLnに対応する現実のスライス層Lnのことである。
【0025】
ここで、n番目のスライス層VLnは、オブジェクトに含まれる造形体と支持体とのうちの少なくとも一方がスライスされたスライス層のうちの1つである。このため、n番目のスライス層VLnには、造形体がスライスされた部分と、支持体がスライスされた部分とのうちの少なくとも一方が含まれている。n番目のスライス層VLnに含まれる部分のうち造形体がスライスされた部分は、換言すると、n番目のスライス層VLnに含まれる領域のうち造形体に含まれる造形体領域のことである。また、n番目のスライス層VLnに含まれる部分のうち支持体がスライスされた部分は、換言すると、n番目のスライス層VLnに含まれる領域のうち支持体に含まれる支持体領域のことである。すなわち、n番目のスライス層VLnは、造形体領域の層と、支持体領域の層とのうちの少なくとも一方を含んでいる。そして、造形体領域の層は、第1ソリッド層、造形層の2種類に分類される。第1ソリッド層は、造形体のソリッド層のことである。造形体は、第1ソリッド層と、第1ソリッド層と第1ソリッド層との間に積層される造形層とによって構成される。すなわち、造形体は、第1ソリッド層と、造形層とを積層させることによって造形される。また、支持体領域の層は、第2ソリッド層、支持層、ラフト層の3種類に分類される。第2ソリッド層は、支持体のソリッド層のことである。ラフト層は、土台面の上方において、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のそれぞれが積層される土台となる層のことである。支持体は、第2ソリッド層と、第2ソリッド層と第2ソリッド層との間に積層される支持層と、ラフト層とによって構成される。すなわち、支持体は、第2ソリッド層と、支持層と、ラフト層とを積層させることによって造形される。例えば、ある造形体の形状がオーバーハングを有する形状である場合、当該造形体が有する部分のうちオーバーハングの部分は、このような支持体により支持される。以上のことから、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層VLnに含まれる層によって分類される。例えば、n番目のスライス層VLnが第1ソリッド層のみを含んでいる場合、n番目のスライス層VLnの種類は、第1ソリッド層である。また、例えば、n番目のスライス層VLnが第1ソリッド層と第2ソリッド層とを含んでいる場合、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層VLnに含まれる層のうち造形体がスライスされた層の種類と、n番目のスライス層VLnに含まれる層のうち支持体がスライスされた層の種類との組み合わせ、すなわち、第1ソリッド層と第2ソリッド層との組み合わせによって表される。そして、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層Lnの種類でもある。このため、三次元造形装置1は、スライス条件情報に基づいて、n番目のスライス層VLnの種類を特定することができるとともに、スライス層Lnの種類を特定することができる。
【0026】
N個のスライス層VLそれぞれの造形パスを生成した後、三次元造形装置1は、生成したN個のスライス層VLそれぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する。ここで、造形パス生成条件情報は、N個のスライス層VLそれぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す情報のことである。造形パス生成条件情報には、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの形状を示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの幅を示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの厚みを示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合におけるノズルNzの移動速度を示す情報、ノズルNzから吐出する造形材料Xの種類を示す情報等の情報が含まれている。また、ある造形パスを示す造形パス情報には、当該造形パスの幅を示す情報、当該造形パスの厚みを示す情報、当該造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合のノズルNzの移動速度を示す情報等の他の情報が含まれている。
【0027】
三次元造形装置1は、以上のようにして生成した三次元造形用データに基づいて、三次元造形物を造形する造形制御を行う。また、三次元造形装置1は、造形制御において土台面上にN個のスライス層Lを積層させる場合、ラフト層、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のうちの一部又は全部によって表される種類のスライス層Lとして、N個のスライス層Lのそれぞれを吐出部10によって土台面上に吐出し、N個のスライス層Lを積層させて1個の三次元造形物を造形する。
【0028】
吐出部10は、造形材料Xを土台面上に吐出する吐出装置である。吐出部10は、前述のノズルNzとともに、1種類以上の材料を溶融させて造形材料Xとする材料溶融部と、材料供給部を有する。ここで、吐出部10において、材料供給部と材料溶融部との間は、供給路によって接続される。材料溶融部とノズルNzとの間は、連通孔によって接続される。ノズルNzは、連通孔を通って材料溶融部から供給される造形材料Xを先端から吐出する。
【0029】
材料供給部には、造形材料Xとなる材料として、ペレット、粉末等の状態の1種類以上の材料が収容される。以下では、一例として、材料供給部に収容される材料が、ペレット状の熱可塑性樹脂を含む場合について説明する。材料供給部は、例えば、ホッパーによって構成される。材料供給部に収容された材料は、材料供給部の下方に設けられた供給路を介して、材料溶融部に供給される。
【0030】
材料溶融部は、スクリューケースと、スクリューケース内に収容されたフラットスクリューと、フラットスクリューを駆動させる駆動モーターと、スクリューケース内においてフラットスクリューよりも下方に固定されたバレルを備える。
【0031】
フラットスクリューは、扁平な円柱形状を有し、円柱の外周から円柱の中心軸に向かう渦状の溝部が円柱の底面に形成されたスクリューである。
【0032】
バレルには、連通孔が設けられている。また、バレルには、ヒーターが内蔵されている。ヒーターの温度は、制御装置60によって制御される。
【0033】
回転しているフラットスクリューと、バレルとの間には、造形材料Xとなる材料が供給路を介して材料供給部から供給される。回転しているフラットスクリューと、バレルとの間に供給された材料は、フラットスクリューの回転と、バレルに内蔵されたヒーターによる加熱とによって、少なくとも一部が溶融されて、流動性を有するペースト状の造形材料Xとなる。ペースト状の造形材料Xは、フラットスクリューの回転によって、バレルに設けられた連通孔を介してノズルNzに供給される。そして、ノズルNzに供給された造形材料Xは、ノズルNzの先端から土台面に向かって吐出される。
【0034】
移動部30は、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる。より具体的には、移動部30は、吐出部10とステージ20とのいずれか一方又は両方を移動させることにより、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる。以下では、一例として、移動部30が、ステージ20を移動させることにより、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる場合について説明する。例えば、移動部30は、吐出部10をZ軸に沿って移動させる第1移動機構部31と、ステージ20を吐出部10に対してX軸及びY軸に沿って移動させる第2移動機構部32を備えている。本実施形態では、
図1に示した第1移動機構部31は、吐出部10をZ軸に沿って移動させる昇降装置によって構成され、吐出部10をZ軸に沿って移動させるためのモーターを有している。
図1に示した第2移動機構部32は、ステージ20をX軸及びY軸に沿って移動させる水平搬送装置によって構成され、ステージ20をX軸に沿って移動させるためのモーター、及び、ステージ20をY軸に沿って移動させるためのモーターを有している。第1移動機構部31及び第2移動機構部32は、制御装置60により制御される。なお、移動部30は、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させることに加えて、後述する温度検出部50とステージ20との相対的な位置を変化させる構成であってもよい。この場合、移動部30は、吐出部10のノズルNzと温度検出部50との相対的な位置を変化させない構成であってもよく、吐出部10のノズルNzと温度検出部50との相対的な位置を変化させる構成であってもよい。
図1に示した例では、温度検出部50は、吐出部10に設けられている。このため、当該例では、移動部30は、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させることに加えて、後述する温度検出部50とステージ20との相対的な位置を変化させる。そして、当該例では、移動部30は、吐出部10のノズルNzと温度検出部50との相対的な位置を変化させない。
【0035】
加熱部40は、吐出部10により吐出された造形材料Xを含む造形領域を加熱する。ここで、造形領域は、三次元造形装置1が三次元造形物及び下地層の造形を行う領域のことである。より具体的には、造形領域は、土台面を含む領域のうち、1個の三次元造形物又は下地層として土台面上にN個のスライス層Lが積層された場合におけるN個のスライス層Lの全体を含む領域のことである。加熱部40は、造形領域を加熱可能な構成であれば、如何なる構成であってもよい。
図1に示した例では、加熱部40は、土台面と対向する面を有し、造形領域を加熱する平板形状のパネルヒーターである。この場合、加熱部40は、平板形状の加熱部40が有する下面と、造形面21との間に挟まれた領域を造形領域として加熱する。なお、加熱部40は、制御装置60により制御される。また、
図1に示した例では、加熱部40には、前述のノズルNzが挿通される貫通孔が設けられている。このため、加熱部40は、ノズルNzの周囲に設けられており、ノズルNzとともに動く。なお、加熱部40は、パネルヒーターに代えて、温風を送り込むチャンバー方式のヒーターであってもよく、カートリッジヒーターであってもよく、造形領域内を加熱可能な他の如何なる種類のヒーターであってもよい。また、三次元造形装置1は、加熱部40を備えない構成であってもよい。
【0036】
温度検出部50は、土台面上に積層されるスライス層Lの上面の温度を検出する温度センサーである。
図1に示した例では、温度検出部50は、加熱部40の下面に設けられている。そして、温度検出部50は、検出した温度を示す情報を制御装置60に出力する。また、三次元造形装置1は、温度検出部50を備えない構成であってもよい。
【0037】
制御装置60は、三次元造形装置1の全体を制御する。制御装置60は、データ生成装置70によって生成された三次元造形用データを、ネットワーク又は記録媒体を介して取得する。制御装置60は、予め記憶された三次元造形用プログラムを実行することによって、三次元造形用データに応じて吐出部10と移動部30との動作を制御する造形制御を行うことにより、三次元造形物を造形する。なお、制御装置60は、単一のコンピューターのような単一の情報処理装置により構成される情報処理システムであってもよく、2以上の情報処理装置を含む情報処理システムであってもよい。制御装置60が2以上の情報処理装置を含む情報処理システムである場合、制御装置60に含まれる2以上の情報処理装置は、互いに通信可能に接続される。また、制御装置60は、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。以下では、一例として、制御装置60が、単一の情報処理装置により構成される情報処理システムである場合について説明する。
【0038】
前述の造形制御は、吐出部10、移動部30についての制御のことである。より具体的には、造形制御は、土台面上にN個のスライス層Lを積層させて予め決められた形状の1個の三次元造形物を造形する制御のことである。ここで、N個のスライス層Lのうちのn番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Ln-1の上に積層される。この際、n番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Lnの上に積層された場合、n番目のスライス層Lnの熱によりn-1番目のスライス層Ln-1の一部を溶融させる。このため、n番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Ln-1と接合される。その結果、土台面上において、N個のスライス層Lは、1個の三次元造形物として積層される。このため、実施形態では、0番目のスライス層L0は、土台面のことを意味する。すなわち、実施形態において、1番目のスライス層L1は、0番目のスライス層L0、すなわち、土台面上に積層される。
【0039】
造形制御によってn番目のスライス層Lnをn-1番目のスライス層Ln-1の上に積層させる場合、制御装置60は、吐出部10、移動部30を制御し、n番目のスライス層Lnに対応するn番目のスライス層VLnの造形パスに沿った造形材料Xの吐出を吐出部10によって行う。これにより、制御装置60は、n番目のスライス層Lnをn-1番目のスライス層Ln-1の上に積層させることができる。以上のような制御を造形制御として行うことにより、制御装置60は、造形材料Xの吐出を順に行い、土台面上にN個のスライス層Lを積層させて、1個の三次元造形物を造形する。
【0040】
データ生成装置70は、三次元造形装置1が三次元造形物を造形するために用いる三次元造形用データを生成する装置である。データ生成装置70は、上記において説明した三次元造形装置1が三次元造形用データを生成する方法により、三次元造形用データを生成する。このため、ここでは、当該方法の説明については、省略する。また、データ生成装置70は、受け付けた操作に応じて、上記の形状データを記憶する。なお、データ生成装置70は、形状データを生成可能であってもよく、形状データを生成不可能であってもよい。データ生成装置70が形状データを生成不可能である場合、データ生成装置70は、他の装置からネットワーク又は記憶媒体を介して形状データを取得する。また、データ生成装置70は、受け付けた操作に応じて、前述のスライス条件情報、造形パス生成条件情報等を記憶する。
【0041】
データ生成装置70は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であるが、これらに限られるわけではない。より具体的には、データ生成装置70は、1以上のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。
【0042】
<2つの造形プレートを用いた三次元造形方法>
以上のような構成の三次元造形装置1は、下地層が予め造形された造形プレートを用いることにより、造形プレート及び、下地層を介して、ステージ20と三次元造形物との間の密着性を向上させることができる。また、三次元造形装置1は、造形する複数の三次元造形物のうちの一部又は全部が互いに異なる種類の造形材料X2によって造形する三次元造形物であったとしても、それら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムが増大してしまうことを抑制することができる。しかしながら、以下において説明する三次元造形方法を用いると、三次元造形装置1は、造形する複数の三次元造形物の全部が互いに同じ種類の造形材料X2によって造形する三次元造形物である場合において、それら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを、更に短くすることができる。ここで、当該三次元造形方法は、2つの造形プレートを用いた方法である。そこで、以下では、説明の便宜上、これら2つの造形プレートのうちの一方を第1造形プレートと称し、これら2つの造形プレートのうちの他方を第2造形プレートと称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1造形プレート上に造形された下地層を、第1下地層と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2造形プレート上に造形された下地層を、第2下地層と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1下地層上に造形される三次元造形物を、まとめて第1造形物と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2下地層上に造形される三次元造形物を、まとめて第2造形物と称して説明する。
【0043】
図2は、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法の流れの一例を示す図である。ユーザーは、ある種類の造形材料X2を用い、且つ、第1造形プレートと第2造形プレートとの2つの造形プレートを用いて、複数の三次元造形物を三次元造形装置1に造形させる場合、
図2に示したフローチャートの工程を行うことにより、複数の三次元造形物を1個単位又は複数単位で順に三次元造形装置1に造形させることができる。なお、以下では、一例として、
図2に示したステップS110の工程が行われるよりも前のタイミングにおいて、当該種類に対応する種類の造形材料X1により構成された第1下地層が第1造形プレート上に造形されており、且つ、当該造形材料X1により構成された第2下地層が第2造形プレート上に造形されている場合について説明する。
【0044】
ユーザーは、第1造形工程を実行する(ステップS110)。ここで、
図3は、第1造形工程の流れの一例を示す図である。
【0045】
ユーザーは、三次元造形装置1のステージ20の造形面21上に、第1造形プレートを取り付ける(ステップS111)。
【0046】
次に、ユーザーは、三次元造形装置1の加熱部40によって、造形領域が予め決められた温度になるまで造形領域を加熱する(ステップS112)。
図3では、ステップS112の工程が「予備加熱」によって示されている。
【0047】
次に、ユーザーは、三次元造形装置1によって、第1造形プレート上の第1下地層上に、三次元造形物を第1造形物として造形する(ステップS113)。なお、ユーザーは、ステップS110~ステップS140の繰り返し工程において初回に実行されるステップS113の工程で、第1造形物の造形を開始するよりも前に、第1造形プレートへの第1下地層の造形を三次元造形装置1に行わせてもよい。また、ステップS113の工程が実行される毎に造形される第1造形物のうちの一部又は全部は、互いに形状が異なる三次元造形物であってもよく、互いに形状が同じ三次元造形物であってもよい。
【0048】
次に、ユーザーは、三次元造形装置1のステージ20の造形面21から、第1下地層上に第1造形体が造形されたままの状態の第1造形プレートを取り外す(ステップS114)。ステップS114の工程が実行された後、ユーザーは、
図3に示したフローチャートの工程、すなわち、第1造形工程を終了する。
【0049】
ステップS110の工程が終了した後、ユーザーは、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了したか否かを判定する(ステップS120)。例えば、ユーザーは、ステップS120において、三次元造形装置1に造形させる複数の三次元造形物のうち、現時点で造形していない三次元造形物の数量が0である場合、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了すると判定する。一方、例えば、ユーザーは、ステップS120において、三次元造形装置1に造形させる複数の三次元造形物のうち、現時点で造形していない三次元造形物の数量が1以上である場合、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了しないと判定する。
【0050】
ユーザーは、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了したと判定した場合(ステップS120-YES)、
図2に示したフローチャートの工程を終了する。
【0051】
一方、ユーザーは、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了しないと判定した場合(ステップS120-NO)、第2造形工程を実行する(ステップS130)。ここで、
図4は、第2造形工程の流れの一例を示す図である。
【0052】
ユーザーは、第1造形工程におけるステップS114において第1造形プレートが取り外された後の造形面21上に、第2造形プレートを取り付ける(ステップS131)。
【0053】
次に、ユーザーは、三次元造形装置1の加熱部40によって、造形領域が予め決められた温度になるまで造形領域を加熱する(ステップS132)。
図4では、ステップS132の工程が「予備加熱」によって示されている。
【0054】
次に、ユーザーは、三次元造形装置1によって、第2造形プレート上の第2下地層上に、三次元造形物を第2造形物として造形する(ステップS133)。なお、ユーザーは、ステップS110~ステップS140の繰り返し工程において初回に実行されるステップS133の工程で、第2造形物の造形を開始するよりも前に、第2造形プレートへの第2下地層の造形を三次元造形装置1に行わせてもよい。また、ステップS133において造形される第2造形物は、ステップS113において造形される第1造形物と異なる形状の三次元造形物であってもよい。また、ステップS133の工程が実行される毎に造形される第2造形物のうちの一部又は全部は、互いに形状が異なる三次元造形物であってもよく、互いに形状が同じ三次元造形物であってもよい。
【0055】
次に、ユーザーは、三次元造形装置1のステージ20の造形面21から、第2下地層上に第2造形体が造形されたままの状態の第2造形プレートを取り外す(ステップS134)。ステップS134の工程が実行された後、ユーザーは、
図4に示したフローチャートの工程、すなわち、第2造形工程を終了する。
【0056】
ステップS130の工程が終了した後、ユーザーは、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了したか否かを判定する(ステップS140)。ステップS140の工程は、ステップS120の工程と同様の工程である。このため、本実施形態では、ステップS140の工程についての詳細な説明を省略する。
【0057】
ユーザーは、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了したと判定した場合(ステップS140-YES)、
図2に示したフローチャートの工程を終了する。
【0058】
一方、ユーザーは、三次元造形装置1による三次元造形物の造形が終了しないと判定した場合(ステップS140-NO)、ステップS110に遷移し、第1造形工程を再び実行する。
【0059】
ここで、ユーザーは、ステップS114の工程が実行される毎に、ステップS114の工程において第1造形プレートが取り外されてから、次にステップS111の工程が実行されるまでの間の期間内において、
図2に示したフローチャートの工程のうち当該期間内において実行される工程の少なくとも一部と並列に、第1造形プレート上の第1下地層から第1造形物を離間させる離間工程を繰り返し実行する。
図5は、第1造形プレート上の第1下地層から第1造形物を離間させる離間工程の流れの一例を示す図である。
【0060】
ステップS114の工程が実行された後、ユーザーは、ステップS114において造形面21から取り外した第1造形プレートを、図示しない保温室内に格納して冷却する(ステップS210)。このため、ユーザーは、ステップS210において、第1造形プレートを、三次元造形装置1の造形領域から保温室内へ搬送する。ここで、保温室は、保温室の内部の空間を予め決められた温度に保温することができる。このため、ユーザーは、ステップS210の工程において、第1造形プレートの上方に造形されている第1造形物を、予め決められた温度になるまで冷却することができる。
【0061】
次に、ユーザーは、ステップS210において第1造形物が予め決められた温度まで冷却されるまで待機し、第1造形物が予め決められた温度まで冷却された後、第1造形プレート上の第1下地層から第1造形物を離間させる(ステップS220)。ただし、ステップS220において、ユーザーは、第1造形プレート上の第1下地層を、第1造形プレートから離間させない。このため、第1造形プレートは、ステップS110~ステップS140の繰り返し工程において、造形面21上への第1下地層の造形を繰り返すことなく、第1下地層が造形された状態が保持されたまま繰り返し使用することができる。ステップS220の工程が行われた後、ユーザーは、
図5に示したフローチャートの工程を終了する。
【0062】
ユーザーは、以上のような離間工程を、ステップS114の工程が実行される毎に、ステップS114の工程において第1造形プレートが取り外されてから、次にステップS111が実行されるまでの間の期間内において繰り返し実行する。このため、ステップS114の工程が実行される毎にユーザーにより実行される離間工程の実行時間は、第2造形工程の実行時間の一部又は全部と重なる。なお、ステップS114の工程が実行される毎にユーザーにより実行される離間工程の実行時間は、第2造形工程の実行時間より短い時間であってもよく、第2造形工程の実行時間より長い時間であってもよく、第2造形工程の実行時間と同じ時間であってもよい。
【0063】
また、ユーザーは、ステップS134の工程が実行される毎に、ステップS134の工程において第2造形プレートが取り外されてから、次にステップS131が実行されるまでの間の期間内において、
図2に示したフローチャートの工程のうち当該期間内において実行される工程の少なくとも一部と並列に、第2造形プレート上の第2下地層から第2造形物を離間させる離間工程を繰り返し実行する。なお、第2造形プレート上の第2下地層から第2造形物を離間させる離間工程の流れは、第1造形プレート上の第1下地層から第1造形物を離間させる離間工程の流れと同じ流れである。このため、本実施形態では、第2造形プレート上の第2下地層から第2造形物を離間させる離間工程の流れについて詳細な説明を省略する。なお、ステップS114の工程が実行される毎にユーザーにより実行される離間工程の場合と同様に、ステップS134の工程が実行される毎にユーザーにより実行される離間工程の実行時間は、第1造形工程の実行時間の一部又は全部と重なる。なお、ステップS134の工程が実行される毎にユーザーにより実行される離間工程の実行時間は、第1造形工程の実行時間より短い時間であってもよく、第1造形工程の実行時間より長い時間であってもよく、第1造形工程の実行時間と同じ時間であってもよい。
【0064】
以上のように、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法は、三次元造形装置1を用いて三次元造形物を造形する三次元造形方法である。また、当該三次元造形方法は、第1造形工程と、第2造形工程と、繰り返し使用工程を有する。第1造形工程は、第1造形物として造形体を、第1造形プレート上に造形された第1下地層上に造形する工程である。第2造形工程は、第2造形物として造形体を、第2造形プレート上に造形された第2下地層上に造形する工程である。繰り返し使用工程は、第1造形工程において使用される造形プレートを、造形プレート上に積層された下地層を離間させることなく、繰り返し使用する工程である。また、繰り返し使用工程は、第2造形工程において使用される造形プレートを、造形プレート上に積層された下地層を離間させることなく、繰り返し使用する工程でもある。第1造形工程では、第1下地層が形成された第1造形プレートを使用する。第2造形工程では、第2下地層が形成された第2造形プレートを使用する。また、当該三次元造形方法では、第1造形工程と第2造形工程との少なくとも一方を複数回実行する場合、第1造形工程と第2造形工程とは、交互に実行される。また、当該三次元造形方法では、当該場合、第1造形プレートと第2造形プレートとは、交互に使用される。また、当該三次元造形方法では、第1下地層は、第1造形プレートと第1造形物との間に位置するように第1造形プレート上に造形される層である。また、当該三次元造形方法では、第2下地層は、第2造形プレートと第2造形物との間に位置するように第2造形プレート上に造形される層である。これにより、当該三次元造形方法は、第1造形工程と、第2造形工程とのそれぞれと並列に離間工程を行うことができ、その結果、造形する複数の三次元造形物の全部が互いに同じ種類の造形材料X2によって造形する三次元造形物である場合において、それら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを短くすることができる。
【0065】
<制御装置のハードウェア構成>
以下、
図6を参照し、制御装置60のハードウェア構成について説明する。
図6は、制御装置60のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0066】
制御装置60は、プロセッサー61と、記憶部62と、入力受付部63と、通信部64と、表示部65を備える。なお、制御装置60は、三次元造形装置1と別体に構成された情報処理システムであってもよい。この場合、三次元造形装置1は、この情報処理システムと通信可能に接続され、この情報処理システムにより制御される。
【0067】
プロセッサー61は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサー61は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーであってもよい。また、プロセッサー61は、複数のプロセッサーにより構成されてもよい。プロセッサー61は、記憶部62に記憶された各種のプログラム、各種の命令等を実行することにより、制御装置60が有する各種の機能を実現する。
【0068】
記憶部62は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部62は、制御装置60に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部62は、制御装置60が処理する各種のプログラム、各種の命令、各種の情報等を記憶する。例えば、記憶部62は、三次元造形用データ等を記憶する。
【0069】
入力受付部63は、表示部65に表示された画像を見ながら行われるユーザーからの操作を受け付ける。入力受付部63は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド等を含む入力装置である。なお、入力受付部63は、表示部65と一体に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0070】
通信部64は、例えば、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0071】
表示部65は、画像を表示する。表示部65は、制御装置60が備えるディスプレイとして、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネル等を含む表示装置である。
【0072】
<制御装置の機能構成>
以下、
図7を参照し、制御装置60の機能構成について説明する。
図7は、制御装置60の機能構成の一例を示す図である。
【0073】
制御装置60は、記憶部62と、入力受付部63と、通信部64と、表示部65と、制御部66を備える。
【0074】
制御部66は、制御装置60の全体を制御する。制御部66は、装置制御部661と、取得部662と、算出部663と、表示制御部664を備える。制御部66が備えるこれらの機能部は、例えば、プロセッサー61が、記憶部62に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0075】
装置制御部661は、三次元造形装置1の全体を制御する。例えば、装置制御部661は、吐出部10と、移動部30と、加熱部40とのそれぞれを制御する。
【0076】
取得部662は、受け付けた操作に応じて、記憶部62の記憶領域、他の装置等から各種の情報を取得する。なお、取得部662は、取得する情報毎に、互いに別体の機能部として複数構成されてもよい。
【0077】
算出部663は、各種の値を算出する。
【0078】
表示制御部664は、各種の画像を生成する。表示制御部664は、生成した画像を表示部65に表示させる。なお、制御装置60がスピーカーを備える場合、表示制御部664は、表示部65に画像を表示させるとともに、スピーカーに音を出力させる出力制御部として構成されてもよい。また、当該場合、表示部65は、表示部65とともにスピーカーを備える出力部として構成されてもよい。ここで、出力部は、表示部65、スピーカーのうちの一部又は全部に代えて、又は、表示部65、スピーカーの両方に加えて、情報を出力可能な他の機能部を備える構成であってもよい。この場合、出力制御部は、当該他の機能部に情報を出力させる。
【0079】
<2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置が判定する処理>
以下、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置60が判定する処理について説明する。2つの造形プレートを用いた三次元造形方法は、下地層が造形された造形プレートの在庫が2つある場合と、下地層が造形された造形プレートの在庫が1つある場合と、下地層が造形された造形プレートの在庫がない場合とのそれぞれにおいて、サイクルタイムが変わってしまう。これは、サイクルタイムに下地層の造形に要する時間が加算されてしまうからである。その結果、ユーザーは、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いずに、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を三次元造形装置1に造形させた方が、サイクルタイムを短くすることができることがある。そこで、制御装置60は、
図8に示したフローチャートの処理を実行することにより、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができる。
【0080】
図8は、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置60が判定する処理の流れの一例を示す図である。以下では、一例として、
図8に示したステップS310の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、三次元造形装置1が複数の三次元造形物を造形する造形物造形工程に関する情報を含む第1情報が記憶部62に記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、三次元造形装置1に造形させる複数の三次元造形物の数量に関する情報を含む第2情報が記憶部62に記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、三次元造形装置1が下地層を造形プレート上に造形する下地層造形工程に関する情報を含む第3情報が記憶部62に記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、造形プレートの在庫の数量に関する情報を第4情報が記憶部62に記憶されている場合について説明する。
【0081】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第2情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS310)。ここで、
図9は、第2情報の一例を示す図である。
図9に示した例では、第2情報は、テーブル形式の情報である。第2情報は、1以上のロットのそれぞれを示すレコード毎に、レコードが示すロットを識別するロット識別情報、当該ロットにおいて造形される三次元造形物を識別する造形物識別情報、当該ロットにおける造形体についての造形材料X2の種類を示す造形体材料種類情報、当該ロットにおいて造形される三次元造形物の数量を示す数量情報、当該ロットにおいて支持体の造形の有無を示す支持体有無情報、当該ロットにおける支持体についての造形材料X2の種類を示す支持体材料種類情報等が互いに対応付けられている。なお、あるロットにおける支持体材料種類情報が、あるレコードに含まれている場合、当該レコードに含まれる支持体材料種類情報は、例えば、
図9に示したテーブルに含まれるレコードのうち、上から2つ目のレコードに示したように、ヌル情報であるが、これに限られるわけではない。また、第2情報は、1以上のロット毎にこれらの情報を互いに対応付ける他の形式の情報であってもよい。
【0082】
次に、算出部663は、ステップS310において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードが示すロットを1つずつ選択し、選択したロット毎に、ステップS330~ステップS380の処理を繰り返し行う(ステップS320)。
【0083】
ステップS320においてロットを選択した後、算出部663は、選択したロットを示すレコードを第2情報の中から特定し、特定したレコードに含まれる造形体材料種類情報及び支持体材料種類情報に基づいて、下地層として吐出部10に吐出させる造形材料X1の種類を、下地材料種類として特定する(ステップS320)。例えば、算出部663は、記憶部62に予め記憶された対応情報に基づいて、下地材料種類を特定する。対応情報は、造形体材料種類情報及び支持体材料種類情報の組み合わせ毎に、当該組み合わせと、下地材料種類を示す下地材料種類情報とが対応付けられた情報のことである。対応情報は、例えば、テーブル形式の情報であるが、他の形式の情報であってもよい。この場合、算出部663は、ステップS320において、特定したレコードに含まれる造形体材料種類情報及び支持体材料種類情報の組み合わせに対応付けられた下地材料種類情報を、対応情報の中から抽出し、抽出した下地材料種類情報が示す下地材料種類を、ステップS320において特定する下地材料種類として特定する。
【0084】
次に、算出部663は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫があるか否かを判定する(ステップS340)。例えば、算出部663は、記憶部62に予め記憶された第4情報に基づいて、ステップS340の判定を行う。この場合、取得部662は、ステップS340において、記憶部62に予め記憶された第4情報を記憶部62から読み出して取得する。ここで、第4情報に含まれる情報のうち造形プレートの在庫の数量に関する情報には、下地材料種類情報毎に、下地材料種類情報が示す下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が含まれている。なお、第4情報には、例えば、下地材料種類情報毎に、下地材料種類情報が示す下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されていない造形プレートの在庫の数量と、下地材料種類情報が示す下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報等のような他の情報が含まれる構成であってもよい。算出部663は、ステップS340において、下地材料種類情報が示す下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が示す数量が1以上である場合、当該在庫があると判定する。一方、算出部663は、ステップS340において、下地材料種類情報が示す下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が示す数量が0である場合、当該在庫がないと判定する。なお、取得部662は、ステップS340において、表示部65に表示された情報受付画像P1を介して、当該在庫の有無を示す情報を取得する構成であってもよい。この場合、算出部663は、取得部662により取得された当該情報に基づいて、当該造形プレートの在庫があるか否かを判定する。なお、算出部663は、他の方法により、当該造形プレートの在庫があるか否かを判定する構成であってもよい。ここで、
図10は、情報受付画像P1の一例を示す図である。
【0085】
図10に示した例では、情報受付画像P1は、情報D1と、ボタンB1と、ボタンB2を含む。なお、情報受付画像P1は、情報D1とボタンB1とボタンB2とのうちの一部又は全部に代えて、又は、情報D1とボタンB1とボタンB2との全部に加えて、他の情報、他の画像、他のGUI(Graphical User Interface)等を含む構成であってもよい。
【0086】
情報D1は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫があるか否かを問う文章を示す情報である。
図10に示した例では、情報D1は、「「PS-0355」の下地が造形されたステージの在庫はありますか?」によって示されている。なお、情報D1における「ステージ」は、造形プレートのことであり、ステージ20のことではない。
【0087】
ボタンB1は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫があることを制御装置60に特定させるGUIである。取得部662は、ボタンB1に対する選択操作が行われた場合、当該造形プレートの在庫があることを示す情報を取得する。ここで、選択操作は、クリック、タップ等のことである。
【0088】
ボタンB2は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫がないことを制御装置60に特定させるGUIである。取得部662は、ボタンB2に対する選択操作が行われた場合、当該造形プレートの在庫がないことを示す情報を取得する。
【0089】
算出部663は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫があると判定した場合(ステップS340-YES)、当該在庫の数量が1であるか否かを判定する(ステップS350)。例えば、算出部663は、記憶部62に予め記憶された第4情報に基づいて、ステップS350の判定を行う。ここで、算出部663は、ステップS350において、下地材料種類情報が示す下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が示す数量が1である場合、当該在庫の数量が1であると判定する。一方、算出部663は、ステップS350において、当該在庫の数量を示す情報が示す数量が2以上である場合、当該在庫の数量が2以上であると判定する。なお、取得部662は、ステップS350において、表示部65に表示された情報受付画像P2を介して、当該在庫の数量を示す情報を取得する構成であってもよい。この場合、算出部663は、取得部662により取得された当該情報に基づいて、当該造形プレートの在庫の数量が1であるか否かを判定する。なお、算出部663は、他の方法により、当該造形プレートの在庫の数量が1であるか否かを判定する構成であってもよい。ここで、
図11は、情報受付画像P2の一例を示す図である。
【0090】
図11に示した例では、情報受付画像P2は、情報D2と、入力欄Rと、ボタンB3を含む。なお、情報受付画像P2は、情報D2とボタンB3とボタンB4とのうちの一部又は全部に代えて、又は、情報D2とボタンB3とボタンB4との全部に加えて、他の情報、他の画像、他のGUI等を含む構成であってもよい。
【0091】
情報D2は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量の入力を促す文章を示す情報である。
図11に示した例では、情報D1は、「「PS-0355」の下地が造形されたステージの在庫数を入力してください。」によって示されている。なお、情報D2における「ステージ」も、造形プレートのことであり、ステージ20のことではない。
【0092】
入力欄Rは、ユーザーにより数値が入力される欄である。
【0093】
ボタンB3は、入力欄Rへの数値の入力が完了したことを制御装置60に特定させるGUIである。取得部662は、ボタンB3に対する選択操作が行われた場合、入力欄Rに数値が入力されている数値を示す情報を、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報を取得する。そして、表示制御部664は、当該場合、情報受付画像P2の表示部65への表示を削除する。
【0094】
算出部663は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量が2以上であると判定した場合(ステップS350-NO)、造形プレート上への下地層の積層を1回も行なわずに、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能な状態であるため、第1出力処理を行う(ステップS360)。ここで、
図12は、第1出力処理の流れの一例を示す図である。
【0095】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第1情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS361)。ここで、
図13は、第1情報の一例を示す図である。
図13に示した例では、第1情報は、テーブル形式の情報である。第1情報は、三次元造形物のそれぞれを示すレコード毎に、レコードが示す三次元造形物を識別する造形物識別情報、レコードが示す三次元造形物の造形における予熱工程時間を示す第1予熱工程時間情報、当該造形におけるノズル調整時間を示す第1ノズル調整時間情報、当該造形におけるステージ調整時間を示す第1ステージ調整時間情報、当該造形における造形工程時間を示す第1造形工程時間情報、当該造形における待機工程時間を示す第1造形待機工程時間情報、当該造形におけるフラッシング時間を示す第1造形フラッシング時間情報、当該造形に要する合計時間を示す第1合計時間情報等が互いに対応付けられている。なお、第1情報は、造形物識別情報毎にこれらの情報を互いに対応付ける他の形式の情報であってもよい。ここで、当該予熱工程時間は、ステップS112の工程、ステップS132の工程等において実行される加熱部40による加熱工程に要する時間のことである。当該ノズル調整時間は、ノズルNzの高さ、ノズルNzのXY平面内における位置それぞれのゼロ点調整に要する時間のことである。当該ステージ調整時間は、ノズルNzとステージ20との間の相対的な位置関係についての調整に要する時間のことである。当該待機工程時間は、ステップS210における三次元造形物の冷却に要する時間のことである。当該フラッシング時間は、ノズルNzのフラッシングに要する時間のことである。フラッシングは、ノズルNzに付着したゴミ等の各種の物質をノズルNzから取り除く作業のことである。当該合計時間は、当該予備工程時間と、当該ノズル調整時間と、当該ステージ調整時間と、当該待機工程時間と、当該フラッシング時間との合計である。なお、第1合計時間情報は、第1情報に含まれない構成であってもよい。この場合、当該合計時間は、算出部663により算出される。
【0096】
次に、算出部663は、ステップS361において取得部662により取得された第1情報に基づいて、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間として推定される推定造形時間Aを算出する(ステップS362)。ここで、推定造形時間Aは、
図2~
図5に示したフローチャートの工程によって、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形を行った場合に、当該造形に要すると推定される時間のことである。推定造形時間Aは、例えば、第1合計時間情報が示す合計時間から、第1待機工程時間情報が示す待機工程時間を差し引いた値に、造形される複数の三次元造形物の数量を乗じた値として算出される。これは、下地層が積層された造形プレートの在庫の数量が2以上である場合、
図2~
図5に示したフローチャートの工程によって、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間の中から当該待機工程時間の分を省くことができ、且つ、造形プレート上に下地層を積層する時間を省くことができるからである。ステップS362において、算出部663は、ステップS310において取得部662により取得された第2情報の中から、ステップS320において選択したロットを示すレコードを第1対象レコードとして特定する。第1対象レコードを特定した後、算出部663は、第1対象レコードに含まれる情報のうちの造形物識別情報を特定する。当該造形物識別情報を特定した後、算出部663は、特定した当該造形物識別情報を含むレコードを、ステップS361において取得部662により取得された第1情報の中から、第2対象レコードとして特定する。第2対象レコードを特定した後、算出部663は、第2対象レコードに含まれる第1合計時間情報が示す合計時間から、第2対象レコードに含まれる第1待機工程時間情報が示す待機工程時間を差し引いた値を算出する。当該値を算出した後、算出部663は、第1対象レコードが示すロットにおいて造形される複数の三次元造形物の数量を示す情報を特定し、特定した当該情報が示す数量を、算出した当該値に乗じた値を、推定造形時間Aとして算出する。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間Aを算出する構成であってもよい。
【0097】
次に、算出部663は、ステップS362において算出した推定造形時間Aを、最短推定造形時間として特定する(ステップS363)。これは、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量が2以上である場合、下地層の造形を1回も行うことなく、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形することができ、その結果、これら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを、下地層の造形を1回以上行う場合と比較して、最も短くすることができるからである。ここで、最短推定造形時間は、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間として推定された推定造形時間のうち、最も短い時間であると推定される推定造形時間のことである。
【0098】
次に、表示制御部664は、算出部663により特定された最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を生成し(ステップS364)、生成した出力情報を含む出力情報画像を生成する。なお、表示制御部664は、例えば、制御装置60にスピーカーが備えられている場合、音声情報として出力情報を生成する構成であってもよい。ここで、ステップS364において生成された出力情報には、造形プレートの使用数量のうち、最短推定造形時間に対応する造形プレートの使用数量を示す情報が含まれている。なお、ステップS364において生成された出力情報には、最短推定造形時間を示す情報が含まれている構成であってもよい。この場合、ユーザーは、例えば、複数の三次元造形物の造形を含む業務スケジュールが立てやすくなる。また、当該出力情報には、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されていない造形プレートの在庫の数量と、当該下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報が含まれている構成であってもよい。また、当該出力情報には、当該下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が含まれている構成であってもよい。これらの場合、ユーザーは、例えば、他のロットにおいて使用できる造形プレートの在庫の有無を容易に判断することができる。また、当該出力情報には、当該下地層が積層されている造形プレートのそれぞれを識別する識別情報が含まれている構成であってもよい。この場合、ユーザーは、例えば、使用する造形プレートの保管場所等を容易に特定することができる。
【0099】
次に、表示制御部664は、ステップS365において生成した出力情報画像を表示部65に表示させ(ステップS365)、
図12に示した第1出力処理を終了する。これにより、制御装置60は、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0100】
ステップS360の第1出力処理が行われた後、算出部663は、ステップS320に遷移し、次のロットを選択する。なお、算出部663は、ステップS320において、未選択のロットが存在しない場合、ステップS320~ステップS380の繰り返し処理を終了し、
図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0101】
一方、算出部663は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量が1であると判定した場合(ステップS350-YES)、造形プレート上への下地層の積層を1回行なうことによって、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能な状態であるため、第2出力処理を行う(ステップS370)。ここで、
図14は、第2出力処理の流れの一例を示す図である。
【0102】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第3情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS371)。ここで、
図15は、第3情報の一例を示す図である。
図15に示した例では、第3情報は、テーブル形式の情報である。第3情報は、下地材料種類のそれぞれを示すレコード毎に、レコードが示す下地材料種類を示す下地材料種類情報、レコードが示す下地材料種類の造形材料X1を用いた下地層の造形における予熱工程時間を示す第2予熱工程時間情報、当該造形におけるノズル調整時間を示す第2ノズル調整時間情報、当該造形におけるステージ調整時間を示す第2ステージ調整時間情報、当該造形における造形工程時間を示す第2造形工程時間情報、当該造形における待機工程時間を示す第2積層待機工程時間情報、当該造形におけるフラッシング時間を示す第2フラッシング時間情報、当該造形に要する合計時間を示す第2合計時間情報等が互いに対応付けられている。なお、第3情報は、下地材料種類情報毎にこれらの情報を互いに対応付ける他の形式の情報であってもよい。ここで、当該予熱工程時間は、下地層の造形において実行される加熱部40による加熱工程に要する時間のことである。当該ノズル調整時間は、下地層の造形において、ノズルNzの高さ、ノズルNzのXY平面内における位置それぞれのゼロ点調整に要する時間のことである。当該ステージ調整時間は、下地層の造形において、ノズルNzとステージ20との間の相対的な位置関係についての調整に要する時間のことである。当該待機工程時間は、造形した下地層の冷却に要する時間のことである。当該フラッシング時間は、下地層の造形において、ノズルNzのフラッシングに要する時間のことである。当該合計時間は、当該予備工程時間と、当該ノズル調整時間と、当該ステージ調整時間と、当該待機工程時間と、当該フラッシング時間との合計である。なお、第2合計時間情報は、第3情報に含まれない構成であってもよい。この場合、当該合計時間は、算出部663により算出される。
【0103】
次に、取得部662は、記憶部62に予め記憶された第1情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS372)。なお、ステップS372の処理と、ステップS371の処理とは、並列に行われてもよく、逆の順で行われてもよい。
【0104】
次に、算出部663は、ステップS371において取得部662により取得された第3情報と、ステップS372において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間として推定される推定造形時間Bを算出する(ステップS363)。ここで、推定造形時間Bは、下地層の造形プレート上への造形を1回行うことによって、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量を2にした後に、
図2~
図5に示したフローチャートの工程によって、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形を行った場合において、当該造形に要すると推定される時間のことである。推定造形時間Bは、例えば、推定造形時間Aに、第2合計時間情報が示す合計時間を加算した値として算出される。これは、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量が1である場合、下地層の造形プレートへの積層を1回行うことによって、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量が2となり、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能になるからである。ステップS373において、算出部663は、
図12に示したステップS362の処理と同様の処理により、推定造形時間Aを算出する。推定造形時間Aを算出した後、算出部663は、ステップS320において抽出した下地材料種類情報を含むレコードを、下地層積層工程情報の中から、第3対象レコードとして特定する。第3対象レコードを特定した後、算出部663は、特定した第3対象レコードに含まれる第2合計時間情報が示す合計時間を、算出した推定造形時間Aに加算した値を、推定造形時間Bとして算出する。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間Bを算出する構成であってもよい。
【0105】
次に、算出部663は、ステップS371において取得部662により取得された第3情報と、ステップS372において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間として推定される推定造形時間Cを算出する(ステップS364)。ここで、推定造形時間Cは、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行せず、下地層が造形された1つの造形プレートを繰り返し使用することによって三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形を行った場合において、複数の三次元造形物の造形に要すると推定される時間のことである。推定造形時間Cは、例えば、造形合計時間情報が示す合計時間に、造形される複数の三次元造形物の数量を乗じた値として算出される。ステップS374において、算出部663は、
図12に示したステップS362の処理において説明したように第1対象レコード及び第2対象レコードを特定し、特定した第2対象レコードに含まれる造形合計時間情報が示す合計時間を特定する。当該合計時間を特定した後、算出部663は、特定した第1対象レコードが示すロットにおいて造形される複数の三次元造形物の数量を示す情報を特定し、特定した情報が示す数量を、特定した当該合計時間に乗じた値を、推定造形時間Cとして算出する。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間Cを算出する構成であってもよい。
【0106】
次に、算出部663は、ステップS373において算出した推定造形時間Bが、ステップS374において算出した推定造形時間Cより小さいか否かを判定する(ステップS375)。
【0107】
算出部663は、ステップS373において算出した推定造形時間Bが、ステップS374において算出した推定造形時間Cより短いと判定した場合(ステップS375-YES)、推定造形時間Bを、最短推定造形時間として特定する(ステップS376)。何故なら、この判定結果は、下地層の造形を1回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、下地層の造形を1回も行わずに、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形するよりもサイクルタイムが短くなることを示しているからである。
【0108】
次に、表示制御部664は、算出部663により特定された最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を生成し(ステップS377)、生成した出力情報を含む出力情報画像を生成する。なお、表示制御部664は、例えば、制御装置60にスピーカーが備えられている場合、音声情報として出力情報を生成する構成であってもよい。ここで、ステップS377において生成された出力情報には、造形プレートの使用数量のうち、最短推定造形時間に対応する造形プレートの使用数量を示す情報が含まれている。なお、ステップS377において生成された出力情報には、最短推定造形時間を示す情報が含まれている構成であってもよい。この場合、ユーザーは、例えば、複数の三次元造形物の造形を含む業務スケジュールが立てやすくなる。また、当該出力情報には、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されていない造形プレートの在庫の数量と、当該下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報が含まれている構成であってもよい。また、当該出力情報には、当該下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が含まれている構成であってもよい。これらの場合、ユーザーは、例えば、他のロットにおいて使用できる造形プレートの在庫の有無を容易に判断することができる。また、当該出力情報には、当該下地層が積層されている造形プレートのそれぞれを識別する識別情報が含まれている構成であってもよい。この場合、ユーザーは、例えば、使用する造形プレートの保管場所等を容易に特定することができる。
【0109】
次に、表示制御部664は、ステップS377において生成した出力情報画像を表示部65に表示させ(ステップS378)、
図14に示した第2出力処理を終了する。これにより、制御装置60は、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0110】
ステップS370の第2出力処理が行われた後、算出部663は、ステップS320に遷移し、次のロットを選択する。なお、算出部663は、ステップS320において、未選択のロットが存在しない場合、ステップS320~ステップS380の繰り返し処理を終了し、
図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0111】
一方、算出部663は、ステップS373において算出した推定造形時間Bが、ステップS374において算出した推定造形時間C以上と判定した場合(ステップS375-NO)、推定造形時間Cを、最短推定造形時間として特定する(ステップS379)。何故なら、この判定結果は、下地層の造形を1回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方よりも、下地層の造形を1回も行わずに、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、サイクルタイムが短くなることを示しているからである。ステップS379の処理が行われた後、算出部663は、ステップS377に遷移する。
【0112】
一方、算出部663は、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫がないと判定した場合(ステップS340-NO)、造形プレート上への下地層の積層を2回行なうことによって、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能な状態であるため、第3出力処理を行う(ステップS380)。ここで、
図16は、第3出力処理の流れの一例を示す図である。
【0113】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第3情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS381)。
【0114】
次に、取得部662は、記憶部62に予め記憶された第1情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS382)。なお、ステップS382の処理と、ステップS381の処理とは、並列に行われてもよく、逆の順で行われてもよい。
【0115】
次に、算出部663は、ステップS381において取得部662により取得された第3情報と、ステップS382において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間として推定される推定造形時間Dを算出する(ステップS383)。ここで、推定造形時間Dは、下地層の造形プレート上への造形を2回行うことによって、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量を2にした後に、
図2~
図5に示したフローチャートの工程によって、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形を行った場合において、当該造形に要すると推定される時間のことである。推定造形時間Dは、例えば、推定造形時間Bに、第2合計時間情報が示す合計時間を更に加算した値として算出される。これは、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量が0である場合、下地層の造形プレートへの造形を2回行うことによって、下地層が造形された造形プレートの在庫の数量が2となり、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能になるからである。ステップS383において、算出部663は、
図14に示したステップS373の処理と同様の処理により、推定造形時間Bを算出する。推定造形時間Bを算出した後、算出部663は、
図14に示したステップS373の処理において説明したように第2合計時間情報が示す合計時間を特定し、特定した当該合計時間を、算出した推定造形時間Bに加算した値を、推定造形時間Dとして算出する。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間Dを算出する構成であってもよい。
【0116】
次に、算出部663は、ステップS371において取得部662により取得された第3情報と、ステップS372において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形に要する時間として推定される推定造形時間Eを算出する(ステップS384)。ここで、推定造形時間Eは、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行せず、下地層が積層された1つの造形プレートを繰り返し使用することによって三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形を行った場合に、当該造形に要すると推定される時間のことであり、すなわち、推定造形時間Bのことである。ステップS384において、算出部663は、
図14に示したステップS373の処理と同様の処理により推定造形時間B、すなわち、推定造形時間Eを算出する。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間Eを算出する構成であってもよい。
【0117】
次に、算出部663は、ステップS383において算出した推定造形時間Dが、ステップS384において算出した推定造形時間Eより小さいか否かを判定する(ステップS385)。
【0118】
算出部663は、ステップS383において算出した推定造形時間Dが、ステップS384において算出した推定造形時間Eより短いと判定した場合(ステップS385-YES)、推定造形時間Dを、最短推定造形時間として特定する(ステップS386)。何故なら、この判定結果は、下地層の造形を2回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、下地層の造形を1回行った後に、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形するよりもサイクルタイムが短くなることを示しているからである。
【0119】
次に、表示制御部664は、算出部663により特定された最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を生成し(ステップS387)、生成した出力情報を含む出力情報画像を生成する。なお、表示制御部664は、例えば、制御装置60にスピーカーが備えられている場合、音声情報として出力情報を生成する構成であってもよい。ここで、ステップS387において生成された出力情報には、造形プレートの使用数量のうち、最短推定造形時間に対応する造形プレートの使用数量を示す情報が含まれている。なお、ステップS387において生成された出力情報には、最短推定造形時間を示す情報が含まれている構成であってもよい。この場合、ユーザーは、例えば、複数の三次元造形物の造形を含む業務スケジュールが立てやすくなる。また、当該出力情報には、ステップS320において特定した下地材料種類の造形材料X1によって構成された下地層が造形されていない造形プレートの在庫の数量と、当該下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報が含まれている構成であってもよい。また、当該出力情報には、当該下地層が造形されている造形プレートの在庫の数量を示す情報が含まれている構成であってもよい。これらの場合、ユーザーは、例えば、他のロットにおいて使用できる造形プレートの在庫の有無を容易に判断することができる。また、当該出力情報には、当該下地層が積層されている造形プレートのそれぞれを識別する識別情報が含まれている構成であってもよい。この場合、ユーザーは、例えば、使用する造形プレートの保管場所等を容易に特定することができる。
【0120】
次に、表示制御部664は、ステップS387において生成した出力情報画像を表示部65に表示させ(ステップS388)、
図16に示した第3出力処理を終了する。これにより、制御装置60は、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0121】
ステップS380の第3出力処理が行われた後、算出部663は、ステップS320に遷移し、次のロットを選択する。なお、算出部663は、ステップS320において、未選択のロットが存在しない場合、ステップS320~ステップS380の繰り返し処理を終了し、
図8に示したフローチャートの処理を終了する。
【0122】
一方、算出部663は、ステップS383において算出した推定造形時間Dが、ステップS374において算出した推定造形時間E以上と判定した場合(ステップS385-NO)、推定造形時間Eを、最短推定造形時間として特定する(ステップS389)。何故なら、この判定結果は、下地層の造形を2回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方よりも、下地層の造形を1回も行った後に、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、サイクルタイムが短くなることを示しているからである。ステップS389の処理が行われた後、算出部663は、ステップS387に遷移する。
【0123】
以上のように、制御装置60は、1以上の情報処理装置を含んで構成されてもよい。そして、制御装置60は、取得部662と、算出部663と、表示制御部664を備える。取得部662は、第1情報と、第2情報と、第3情報と、第4情報とのそれぞれを取得する。なお、取得部662は、第1情報を取得する第1取得部と、第2情報を取得する第2取得部と、第3情報を取得する第3取得部と、第4情報を取得する第4取得部とに分割されていてもよい。算出部663は、第1情報と第2情報と第3情報と第4情報とに基づいて、三次元造形装置1による複数の三次元造形物の造形において使用される造形プレートの使用数量に応じた複数の推定造形時間を算出する。そして、表示制御部664は、算出部663により算出された複数の推定造形時間のうち最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を表示部65に表示させる。これにより、ユーザーは、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判断することができる。すなわち、制御装置60は、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0124】
<2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置が判定する処理の変形例>
以下、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置60が判定する処理の変形例について説明する。
図8に示したフローチャートの処理は、ステップS320において選択されたロット毎にステップS330~ステップS380の処理を繰り返し実行していた。しかしながら、制御装置60は、
図17に示したように、第2情報に含まれるレコードのそれぞれが示すロットの全部に対して一括で、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定する構成であってもよい。
図17は、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを制御装置60が判定する処理の変形例の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、
図17に示したステップS410の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報のそれぞれが記憶部62に記憶されている場合について説明する。
【0125】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第2情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS410)。
【0126】
次に、算出部663は、ステップS410において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードに含まれる造形体材料種類情報及び支持体材料種類情報に基づいて、当該第2情報に含まれる各レコードが示すロットにおいて使用される下地材料種類を、重複しないようにすべて特定する(ステップS420)。例えば、算出部663は、記憶部62に予め記憶された対応情報に基づいて、これらすべての下地材料種類を特定する。
【0127】
ステップS420においてすべての下地材料種類を特定した後、算出部663は、特定したすべての下地材料種類について、下地層が造形されている造形プレートの在庫があるか否かを判定する(ステップS430)。例えば、算出部663は、ステップS420において特定したすべての下地材料種類が種類A1~種類A3の3つの種類であった場合、ステップS430において、種類A1の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫ST1と、種類A2の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫ST2と、種類A3の造形材料X1によって構成された下地層が造形されている造形プレートの在庫ST3とのそれぞれがあるか否かを判定する。そして、算出部663は、これら3つの在庫のすべてがあると判定した場合、特定したすべての下地材料種類について、下地層が造形されている造形プレートの在庫があると判定する。一方、算出部663は、これら3つの在庫のうちの少なくとも1つがないと判定した場合、特定したすべての下地材料種類について、下地層が造形されている造形プレートの在庫がないと判定する。ここで、算出部663は、例えば、記憶部62に予め記憶された第4情報に基づいて、ステップS430の判定を行う。なお、算出部663は、他の方法により、ステップS430の判定を行う構成であってもよい。
【0128】
算出部663は、ステップS420において特定したすべての下地材料種類について、下地層が造形されている造形プレートの在庫があると判定した場合(ステップS430-YES)、それらすべての下地材料種類のうちの少なくとも1つについて、造形プレートの在庫の数量が1であるか否かを判定する(ステップS440)。例えば、算出部663は、ステップS420において特定したすべての下地材料種類が種類A1~種類A3の3つの種類であった場合、在庫ST1と在庫ST2と在庫ST3との3つの在庫の少なくとも1つの数量が1であるか否かを判定する。算出部663は、これら3つの在庫の少なくとも1つの数量が1である場合、ステップS420において特定したすべての下地材料種類のうちの少なくとも1つについて、造形プレートの在庫の数量が1であると判定する。一方、算出部663は、これら3つの在庫それぞれの数量がすべて2以上である場合、ステップS420において特定したすべての下地材料種類について、造形プレートの在庫の数量が2以上であると判定する。ここで、算出部663は、例えば、記憶部62に予め記憶された第4情報に基づいて、ステップS440の判定を行う。なお、算出部663は、他の方法により、ステップS430の判定を行う構成であってもよい。
【0129】
算出部663は、ステップS420において特定したすべての下地材料種類について、造形プレートの在庫の数量が1以上であると判定した場合(ステップS440-NO)、ステップS310において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードが示すすべてのロットについて、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能な状態であると判定する。その結果、算出部663は、第4出力処理を行う(ステップS450)。ここで、
図18は、第4出力処理の流れの一例を示す図である。
【0130】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第1情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS451)。
【0131】
次に、算出部663は、ステップS451において取得部662により取得された第1情報に基づいて、ステップS410において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードが示すロット毎に、前述の推定造形時間Aを算出する。そして、算出部663は、当該各レコードが示すロット毎に算出した推定造形時間Aの総和を、推定造形時間A’として算出する(ステップS452)。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間A’を算出する構成であってもよい。
【0132】
次に、算出部663は、ステップS452において算出した推定造形時間A’を、最短推定造形時間として特定する(ステップS453)。これは、ステップS410において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードが示すすべてのロットについて、下地層の造形を1回も行うことなく、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形することができ、その結果、これら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを、下地層の造形を1回以上行う場合と比較して、最も短くすることができるからである。
【0133】
次に、表示制御部664は、算出部663により特定された最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を生成し(ステップS454)、生成した出力情報を含む出力情報画像を生成する。なお、本実施形態において、ステップS454の処理については、
図12に示したステップS364の処理と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0134】
次に、表示制御部664は、ステップS454において生成した出力情報画像を表示部65に表示させ(ステップS455)、
図18に示した第4出力処理を終了する。これにより、制御装置60は、第2情報に含まれるレコードのそれぞれが示すロットの全部に対して一括で、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0135】
以上のようにステップS450の第4出力処理が行われた後、算出部663は、
図17に示したフローチャートの処理を終了する。
【0136】
一方、算出部663は、ステップS420において特定したすべての下地材料種類のうちの少なくとも1つについて、造形プレートの在庫の数量が1であると判定した場合(ステップS440-YES)、ステップS410において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードが示すロットのうちの少なくとも1つについて、造形プレート上への下地層の積層を1回行なうことによって、
図2~
図5に示したフローチャートの工程を実行可能な状態であると判定する。その結果、算出部663は、第5出力処理を行う(ステップS460)。ここで、
図19は、第5出力処理の流れの一例を示す図である。
【0137】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第3情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS461)。
【0138】
次に、取得部662は、記憶部62に予め記憶された第1情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS462)。なお、ステップS462の処理と、ステップS461の処理とは、並列に行われてもよく、逆の順で行われてもよい。
【0139】
次に、算出部663は、ステップS461において取得部662により取得された第3情報と、ステップS462において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、前述の推定造形時間A’を算出する。また、算出部663は、これらすべてのロットのうち、造形プレートの在庫の数量が1であることに対応する1以上のロットを特定し、特定した1以上のロットのそれぞれについての第2合計時間情報が示す合計時間の総和を算出する。そして、算出部663は、算出した推定造形時間A’に、算出した当該総和を加算した値を、推定造形時間B’として算出する(ステップS463)。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間B’を算出する構成であってもよい。
【0140】
次に、算出部663は、ステップS461において取得部662により取得された第3情報と、ステップS462において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、ステップS410において取得部662により取得された第2情報に含まれる各レコードが示すすべてのロット毎に、前述の推定造形時間Cを算出する。そして、算出部663は、これらすべてのロット毎に算出した推定造形時間Cの総和を、推定造形時間C’として算出する(ステップS464)。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間C’を算出する構成であってもよい。
【0141】
次に、算出部663は、ステップS464において算出した推定造形時間B’が、ステップS464において算出した推定造形時間C’より小さいか否かを判定する(ステップS465)。
【0142】
算出部663は、ステップS463において算出した推定造形時間B’が、ステップS464において算出した推定造形時間C’より短いと判定した場合(ステップS465-YES)、推定造形時間B’を、最短推定造形時間として特定する(ステップS466)。何故なら、この判定結果は、造形プレートの在庫の数量が1であることに対応する1以上のロットのそれぞれにおいて下地層の造形を1回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、すべてのロットにおいて下地層の造形を1回も行わずに、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形するよりもサイクルタイムが短くなることを示しているからである。
【0143】
ここで、本実施形態では、前述した通り、ステップS460の第5出力処理は、推定造形時間B’と推定造形時間C’との比較を行っている。しかしながら、これは、処理を単純化するために過ぎない。すなわち、第5出力処理は、より詳細な判定を行うため、3以上の推定造形時間同士の比較等を行ってもよい。
【0144】
次に、表示制御部664は、算出部663により特定された最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を生成し(ステップS467)、生成した出力情報を含む出力情報画像を生成する。なお、本実施形態において、ステップS467の処理については、
図14に示したステップS377の処理と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0145】
次に、表示制御部664は、ステップS467において生成した出力情報画像を表示部65に表示させ(ステップS468)、
図19に示した第5出力処理を終了する。これにより、制御装置60は、第2情報に含まれるレコードのそれぞれが示すロットの全部に対して一括で、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0146】
一方、算出部663は、ステップS463において算出した推定造形時間B’より、ステップS464において算出した推定造形時間C’が短いと判定した場合(ステップS465-NO)、推定造形時間C’を、最短推定造形時間として特定する(ステップS469)。何故なら、この判定結果は、造形プレートの在庫の数量が1であることに対応する1以上のロットのそれぞれにおいて下地層の造形を1回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方より、すべてのロットにおいて下地層の造形を1回も行わずに、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形した方が、サイクルタイムが短くなることを示しているからである。ステップS469の処理を行った後、算出部663は、ステップS467に遷移する。
【0147】
以上のようにステップS460の第5出力処理が行われた後、算出部663は、
図17に示したフローチャートの処理を終了する。
【0148】
一方、算出部663は、ステップS420において特定したすべての下地材料種類のうちの少なくとも1つについて、下地層が造形されている造形プレートの在庫がないと判定した場合(ステップS430-NO)、第6出力処理を行う(ステップS470)。ここで、
図20は、第6出力処理の流れの一例を示す図である。
【0149】
取得部662は、記憶部62に予め記憶された第3情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS471)。
【0150】
次に、取得部662は、記憶部62に予め記憶された第1情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS472)。なお、ステップS472の処理と、ステップS471の処理とは、並列に行われてもよく、逆の順で行われてもよい。
【0151】
次に、算出部663は、ステップS471において取得部662により取得された第3情報と、ステップS472において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、前述の推定造形時間A’を算出する。また、算出部663は、これらすべてのロットのうち、造形プレートの在庫の数量が0であることに対応する1以上のロットを特定し、特定した1以上のロットのそれぞれについての第2合計時間情報が示す合計時間の総和を算出する。そして、算出部663は、算出した推定造形時間A’に、算出した当該総和を加算した値を、推定造形時間D’として算出する(ステップS473)。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間D’を算出する構成であってもよい。
【0152】
次に、算出部663は、ステップS461において取得部662により取得された第3情報と、ステップS462において取得部662により取得された第1情報とに基づいて、前述の推定造形時間B’を、推定造形時間E’として算出する(ステップS474)。なお、算出部663は、他の方法により、推定造形時間E’を算出する構成であってもよい。
【0153】
次に、算出部663は、ステップS473において算出した推定造形時間D’が、ステップS474において算出した推定造形時間E’より小さいか否かを判定する(ステップS475)。
【0154】
算出部663は、ステップS473において算出した推定造形時間D’が、ステップS474において算出した推定造形時間E’より短いと判定した場合(ステップS475-YES)、推定造形時間D’を、最短推定造形時間として特定する(ステップS476)。何故なら、この判定結果は、造形プレートの在庫の数量が0であることに対応する1以上のロットのそれぞれにおいて下地層の造形を2回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、当該1以上のロットのそれぞれにおいて下地層の造形を1回行った後に、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形するよりもサイクルタイムが短くなることを示しているからである。
【0155】
ここで、本実施形態では、前述した通り、ステップS470の第6出力処理は、推定造形時間D’と推定造形時間E’との比較を行っている。しかしながら、これは、処理を単純化するために過ぎない。すなわち、第6出力処理は、より詳細な判定を行うため、3以上の推定造形時間同士の比較等を行ってもよい。
【0156】
次に、表示制御部664は、算出部663により特定された最短推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を生成し(ステップS477)、生成した出力情報を含む出力情報画像を生成する。なお、本実施形態において、ステップS477の処理については、
図16に示したステップS387の処理と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0157】
次に、表示制御部664は、ステップS477において生成した出力情報画像を表示部65に表示させ(ステップS478)、
図20に示した第6出力処理を終了する。これにより、制御装置60は、第2情報に含まれるレコードのそれぞれが示すロットの全部に対して一括で、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0158】
一方、算出部663は、ステップS473において算出した推定造形時間D’が、ステップS474において算出した推定造形時間E’以上と判定した場合(ステップS475-NO)、推定造形時間E’を、最短推定造形時間として特定する(ステップS479)。何故なら、この判定結果は、造形プレートの在庫の数量が0であることに対応する1以上のロットのそれぞれにおいて下地層の造形を2回行った後に、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方よりも、当該1以上のロットのそれぞれにおいて下地層の造形を1回も行った後に、1つの造形プレートを用いた通常の三次元造形方法によって複数の三次元造形物を造形する方が、サイクルタイムが短くなることを示しているからである。ステップS479の処理が行われた後、算出部663は、ステップS477に遷移する。
【0159】
以上のようなステップS470の第6出力処理が行われた後、算出部663は、
図17に示したフローチャートの処理を終了する。
【0160】
以上のように、制御装置60は、
図17に示したフローチャートの処理を実行することによっても、第2情報に含まれるレコードのそれぞれが示すロットの全部に対して一括で、2つの造形プレートを用いた三次元造形方法を用いるべきか否かを判定することができ、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0161】
なお、上記において説明した内容は、如何様に組み合わされてもよい。
【0162】
<付記>
[1]
1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形装置が複数の三次元造形物を造形する造形物造形工程に関する情報を第1情報として取得する第1情報取得部と、前記複数の三次元造形物の数量に関する情報を第2情報として取得する第2情報取得部と、前記三次元造形装置のステージ上に載置される造形プレートと前記三次元造形物との間に位置するように前記造形プレート上に造形される下地層を前記造形プレート上に造形する下地層造形工程に関する情報を第3情報として取得する第3情報取得部と、前記造形プレートの在庫の数量に関する情報を第4情報として取得する第4情報取得部と、前記第1情報と前記第2情報と前記第3情報と前記第4情報とに基づいて、前記三次元造形装置による前記複数の三次元造形物の造形において使用される前記造形プレートの使用数量に応じた複数の推定造形時間を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記複数の推定造形時間のうち最も短い推定造形時間に基づく情報を含む出力情報を出力部に出力させる出力制御部と、を備える情報処理システム。
[2]
前記第4情報には、前記下地層が造形されている前記造形プレートの在庫の数量を示す情報が含まれている、[1]に記載の情報処理システム。
[3]
前記第4情報には、前記下地層が造形されていない前記造形プレートの在庫の数量と、前記下地層が造形されている前記造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報が含まれている、[2]に記載の情報処理システム。
[4]
前記出力情報には、前記最も短い推定造形時間に対応する前記使用数量を示す情報が含まれている、[1]から[3]のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
[5]
前記出力情報には、前記最も短い推定造形時間を示す情報が含まれている、[4]に記載の情報処理システム。
[6]
前記出力情報には、前記下地層が造形されていない前記造形プレートの在庫の数量と、前記下地層が造形されている前記造形プレートの在庫の数量との合計を示す情報と、前記下地層が積層されている前記造形プレートの在庫の数量を示す情報と、前記下地層が積層されている前記造形プレートのそれぞれを識別する識別情報とのうちの少なくとも1つが含まれている、[3]又は[4]に記載の情報処理システム。
[7]
三次元造形装置を用いて三次元造形物を造形する三次元造形方法であって、第1造形物として三次元造形物を、第1造形プレート上に造形された第1下地層上に造形する第1造形工程と、第2造形物として三次元造形物を、第2造形プレート上に造形された第2下地層上に造形する第2造形工程と、前記第1造形工程と、前記第2造形工程とのうちの少なくとも一方の造形工程を複数回実行する場合、前記複数回実行する前記少なくとも一方の造形工程において、前記第1造形プレートと前記第2造形プレートとのうち、前記少なくとも一方の造形工程において使用される造形プレートから、前記第1下地層と前記第2下地層とのうち、前記少なくとも一方において使用される造形プレート上に積層された下地層を離間させることなく、前記少なくとも一方の造形工程において使用される造形プレートを繰り返し使用する繰り返し使用工程と、を有し、前記少なくとも一方の造形工程を前記複数回実行する場合、前記第1造形工程と前記第2造形工程とは、交互に実行され、前記少なくとも一方の造形工程を前記複数回実行する場合、前記第1造形プレートと前記第2造形プレートとは、交互に使用され、前記第1下地層は、前記第1造形プレートと前記第1造形物との間に位置するように前記第1造形プレート上に造形される層であり、前記第2下地層は、前記第2造形プレートと前記第2造形物との間に位置するように前記第2造形プレート上に造形される層である、三次元造形方法。
[8]
前記少なくとも一方の造形工程を前記複数回実行する場合、前記複数回実行する前記少なくとも一方の造形工程が実行される毎に、前記第1造形物と前記第2造形物とのうち、前記少なくとも一方の造形工程において造形された造形物を、前記少なくとも一方において使用される造形プレート上に造形された下地層から離間させる離間工程を有する、[7]に記載の三次元造形方法。
[9]
前記少なくとも一方の造形工程を前記複数回実行する場合、前記第1造形工程と前記第2造形工程とのうち実行中ではない方の造形工程において造形された造形物についての前記離間工程の実行時間は、前記第1造形工程と前記第2造形工程とのうち実行中である方の造形工程の実行時間と重なっている、[8]に記載の三次元造形方法。
[10]
前記少なくとも一方の造形工程を前記複数回実行する場合、前記複数回実行する前記少なくとも一方の造形工程が実行される毎に、前記少なくとも一方の造形工程において造形された造形物が造形された前記造形プレートを、前記三次元造形装置が三次元造形物の造形を行う領域から搬送する搬送工程を有する、[7]から[9]のうちいずれか一項に記載の三次元造形方法。
【0163】
以上、この開示の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0164】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、三次元造形装置1、制御装置60、データ生成装置70等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0165】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0166】
1…三次元造形装置、10…吐出部、20…ステージ、21…造形面、30…移動部、31…第1移動機構部、32…第2移動機構部、40…加熱部、50…温度検出部、60…制御装置、61…プロセッサー、62…記憶部、63…入力受付部、64…通信部、65…表示部、66…制御部、70…データ生成装置、661…装置制御部、662…取得部、663…算出部、664…表示制御部、Nz…ノズル、TC…三次元座標系、X、X1、X2…造形材料