(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071864
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、記憶装置、及び三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20240520BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240520BHJP
【FI】
B29C64/386
B33Y50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182341
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡部 学
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥 ハヤト
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AR11
4F213AR12
4F213AR19
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】造形プレートを用いた複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる情報処理システムを提供すること。
【解決手段】三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報を取得する第3取得部と、制御部と、を備え、制御部は、第1造形プレート識別情報と、第1三次元造形装置識別情報と、第1下地層関連情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる、情報処理システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、
三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、
前記第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、
前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報を取得する第3取得部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1造形プレート識別情報と、前記第1三次元造形装置識別情報と、前記第1下地層関連情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の使用回数を示す第1下地層使用回数情報が含まれており、
前記制御部は、前記第3取得部により取得された前記第1下地層関連情報に基づいて、前記第1下地層の使用回数が予め決められた第1閾値を超えているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層が造形されてからの経過時間を示す第1下地層経過時間情報が含まれており、
前記制御部は、前記第3取得部により取得された前記第1下地層関連情報に基づいて、前記第1下地層が造形されてからの経過時間が予め決められた第2閾値を超えているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の熱履歴を示す第1下地層熱履歴情報が含まれており、
前記第1下地層熱履歴情報には、前記第1下地層の熱履歴の積算値を示す第1熱履歴積算値情報が含まれており、
前記制御部は、前記第3取得部により取得された前記第1下地層関連情報に基づいて、前記第1下地層の熱履歴の積算値が予め決められた第3閾値を超えているか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、判定した結果に応じた情報を出力部に出力させる、
請求項2から4のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、
三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、
前記第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1造形プレート識別情報と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記第1取得部により取得された前記第1造形プレート識別情報に対応付けられた前記第1下地層関連情報を取得し、取得した前記第1下地層関連情報と、前記第2取得部により取得された前記第1三次元造形装置識別情報とに基づいて、前記第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、前記第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、
情報処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、判定した結果を示す情報を出力する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1取得部により取得された前記第1造形プレート識別情報は、二次元コードと、RFID(Radio Frequency Identification)タグと、IC(Integrated Circuit)タグとのいずれかから検出された情報である、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムが備える記憶装置であって、
三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報とを対応付けて記憶し、
前記第1下地層関連情報には、前記1以上の三次元造形装置のうち、前記第1下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報が含まれている、
記憶装置。
【請求項10】
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の使用回数を示す第1下地層使用回数情報が含まれている、
請求項9に記載の記憶装置。
【請求項11】
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層が造形された日時を示す第1下地層造形日時情報が含まれている、
請求項9に記載の記憶装置。
【請求項12】
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の熱履歴を示す第1下地層熱履歴情報が含まれている、
請求項9に記載の記憶装置。
【請求項13】
前記第1下地層熱履歴情報には、前記第1下地層が加熱された加熱時間を示す下地層加熱時間情報と、前記第1下地層が加熱された加熱温度を示す下地層加熱温度情報とのうちのいずれか一方又は両方が含まれている、
請求項12に記載の記憶装置。
【請求項14】
前記第1下地層関連情報と、前記第1三次元造形装置のノズルに関する第1ノズル関連情報とを対応付けて記憶し、
前記第1ノズル関連情報には、前記第1下地層を造形した三次元造形装置に装着されたノズルを識別するノズル識別情報が含まれている、
請求項9に記載の記憶装置。
【請求項15】
前記第1ノズル関連情報には、前記第1下地層を造形した三次元造形装置に取り付けられたノズルの交換履歴を示す情報が含まれている、
請求項14に記載の記憶装置。
【請求項16】
ステージと、
前記ステージに取り付けられた造形プレートの上方に造形材料を吐出する吐出ヘッドと、
前記ステージに前記造形プレートが取り付けられた場合、前記造形プレートが有する造形プレート識別情報を検出する検出部と、
前記ステージと前記吐出ヘッドとを相対移動させる移動部と、
制御部と、
を備え、
前記造形プレート識別情報は、前記造形プレートを識別する情報であり、
前記制御部は、前記造形プレート識別情報と、前記造形プレートの上面上に造形される下地層に関する下地層関連情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記検出部により検出された前記造形プレート識別情報に対応付けられた前記下地層関連情報を取得し、取得した前記下地層関連情報に基づいて、前記吐出ヘッドのノズルの高さと、前記ステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、
三次元造形装置。
【請求項17】
前記下地層関連情報には、前記下地層関連情報に関する前記下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報が含まれており、
前記制御部は、自装置を識別する三次元造形装置識別情報と、前記下地層関連情報に関する前記下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報とに基づいて、前記キャリブレーションを行うか否かを判定する、
請求項16に記載の三次元造形装置。
【請求項18】
記憶部を備え、
前記制御部は、前記造形プレート識別情報と、キャリブレーションの履歴を示すキャリブレーション履歴情報とを対応付けて前記記憶部又は前記記憶装置に記憶させる、
請求項16に記載の三次元造形装置。
【請求項19】
前記造形プレートが有する前記造形プレート識別情報は、二次元コードとして符号化された情報と、RFID(Radio Frequency Identification)タグに記憶された情報と、IC(Integrated Circuit)タグに記憶された情報とのいずれかの情報である、
請求項16に記載の三次元造形装置。
【請求項20】
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、
三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートの使用履歴に応じて、前記第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、前記第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、情報処理システム、記憶装置、及び三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部を溶融した造形材料を積層して三次元造形物のキャリブレーションについての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、ステージ上の載置面に対向する位置に配置された造形部と、載置面と造形部上の造形基準部との造形利用距離Lを検出する造形利用距離検出手段と、造形利用距離検出手段により検出した造形利用距離Lを用いて造形部により載置面上に造形物を造形する造形処理を実行する処理実行手段とを有する造形装置において、造形利用距離検出手段は、造形部と一体的に支持されていて載置面までの距離L1を検出する載置面距離検出部と、載置面距離検出部と造形基準部との距離L2を取得する基準部距離取得手段とを含み、載置面距離検出部が検出した距離L1から基準部距離取得手段が取得した距離L2を差し引いた距離(L1-L2)に基づいて、造形利用距離Lを検出する三次元造形装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、三次元造形装置では、三次元造形装置のステージ上に造形プレートを取り付けることができる場合がある。この場合、三次元造形装置は、ステージと三次元造形物との密着性を向上させることができる。しかしながら、特許文献1に記載されたキャリブレーション方法と、このような造形プレートの使用とを組み合わせた場合、三次元造形装置は、ステージへ造形プレートが取り付けられる毎に、キャリブレーションを行わなければならず、その結果、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを増大させてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示の一態様は、三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、前記第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報を取得する第3取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1造形プレート識別情報と、前記第1三次元造形装置識別情報と、前記第1下地層関連情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる、情報処理システムである。
【0007】
また、本開示の一態様は、三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制 御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、前記第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1造形プレート識別情報と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記第1取得部により取得された前記第1造形プレート識別情報に対応付けられた前記第1下地層関連情報を取得し、取得した前記第1下地層関連情報と、前記第2取得部により取得された前記第1三次元造形装置識別情報とに基づいて、前記第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、前記第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、情報処理システムである。
【0008】
また、本開示の一態様は、三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムが備える記憶装置であって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報とを対応付けて記憶し、前記第1下地層関連情報には、前記1以上の三次元造形装置のうち、前記第1下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報が含まれている、記憶装置である。
【0009】
また、本開示の一態様は、ステージと、前記ステージに取り付けられた造形プレートの上方に造形材料を吐出する吐出ヘッドと、前記ステージに前記造形プレートが取り付けられた場合、前記造形プレートが有する造形プレート識別情報を検出する検出部と、前記ステージと前記吐出ヘッドとを相対移動させる移動部と、制御部と、を備え、前記造形プレート識別情報は、前記造形プレートを識別する情報であり、前記制御部は、前記造形プレート識別情報と、前記造形プレートの上面上に造形される下地層に関する下地層関連情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記検出部により検出された前記造形プレート識別情報に対応付けられた前記下地層関連情報を取得し、取得した前記下地層関連情報に基づいて、前記吐出ヘッドのノズルの高さと、前記ステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、三次元造形装置である。
【0010】
また、本開示の一態様は、三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートの使用履歴に応じて、前記第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、前記第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、情報処理システムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】情報処理装置60のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置60の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】情報処理装置60が行うキャリブレーション判定処理の流れの一例を示す図である。
【
図5】テーブル形式の造形プレート使用履歴情報に含まれるレコードのうち、ある造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられた複数のレコードを例示する図である。
【
図6】第1情報処理装置が第1造形プレート上への第1下地層の造形を第1三次元造形装置に行わせる処理の流れの一例を示す図である。
【
図7】キャリブレーションの初期化が開始される前のタイミングにおいて重力方向と直交する方向に沿って見た場合の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。
【
図8】キャリブレーションの初期化を行った直後の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。
【
図9】ノズルキャリブレーションを行った直後の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。
【
図10】ステージキャリブレーションを行った直後の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
<情報処理システムの概要>
まず、実施形態に係る情報処理システムの概要について説明する。
【0014】
実施形態に係る情報処理システムは、三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む。当該情報処理システムは、第1取得部と、第2取得部と、第3取得部と、制御部を備える。第1取得部は、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する。第2取得部は、第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する。第3取得部は、第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報を取得する。制御部は、第1造形プレート識別情報と、第1三次元造形装置識別情報と、第1下地層関連情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる。これにより、当該情報処理システムは、第1造形プレート識別情報と、第1三次元造形装置識別情報と、第1下地層関連情報とが対応付けられた情報に基づいて、第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定することができる。その結果、当該情報処理システムは、造形プレートを用いた複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0015】
以下では、実施形態に係る情報処理システムの構成と、当該情報処理システムが行う処理とについて詳しく説明する。
【0016】
<情報処理システムの構成>
以下、実施形態に係る情報処理システムの構成について、情報処理システム1を例に挙げて説明する。
【0017】
図1は、情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0018】
ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。また、以下では、一例として、Z軸の負方向が重力方向と一致している場合について説明する。このため、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向又は単に上と称し、Z軸の負方向を下方向又は単に下と称して説明する。
【0019】
情報処理システム1は、M個の三次元造形装置100と、記憶装置200を備える。
図1に示した例では、M個の三次元造形装置100は、三次元造形装置100-1~三次元造形装置100-Mのそれぞれによって示されている。なお、Mは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。また、
図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、三次元造形装置100-2~三次元造形装置100-Nのそれぞれを、直方体形状の物体として示している。また、M個の三次元造形装置100のうちの一部又は全部は、以下において説明する第1三次元造形装置の機能を有する限りにおいて、互いに異なる構成であってもよく、互いに同じ構成であってもよい。以下では、一例として、M個の三次元造形装置100のそれぞれが、互いに同じ構成である場合について説明する。また、情報処理システム1では、M個の三次元造形装置100のうちの一部又は全部は、記憶装置200と一体に構成されてもよい。また、以下では、M個の三次元造形装置100のそれぞれを区別する必要が無い限り、まとめて三次元造形装置100と称して説明する。
【0020】
情報処理システム1では、三次元造形装置100は、ネットワークNWを介して、記憶装置200と通信可能に接続されている。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、移動体通信網等であるが、これらに限られるわけではない。また、ネットワークNWには、互いに異なる複数のネットワークが含まれていてもよい。この場合、M個の三次元造形装置100のうちの一部又は全部は、互いに異なるネットワークを介して記憶装置200と通信可能に接続される構成であってもよい。
【0021】
情報処理システム1では、M個の三次元造形装置100のそれぞれは、各種の情報を記憶装置200に記憶することにより、各種の情報を共有することができる。このような情報の共有により、情報処理システム1では、三次元造形装置100による複数の三次元造形物の造形についてのサイクルタイムが増大してしまうことを抑制することができる。
【0022】
三次元造形装置100は、ノズルNzを有する吐出部10と、三次元造形物が造形される造形面21を有するステージ20と、移動部30と、加熱部40と、温度検出部50と、検出部CMと、情報処理装置60と、データ生成装置70を備える。なお、三次元造形装置100において、情報処理装置60は、データ生成装置70と一体に構成されてもよい。また、三次元造形装置100は、データ生成装置70を備えない構成であってもよい。この場合、データ生成装置70は、三次元造形装置100の情報処理装置60へ外部から通信可能に接続される。また、三次元造形装置100は、情報処理装置60とデータ生成装置70とを備えない構成であってもよい。この場合、情報処理装置60は、三次元造形装置100へ外部から通信可能に接続される。また、この場合、データ生成装置70は、情報処理装置60へ外部から通信可能に接続される。また、三次元造形装置100が情報処理装置60を備えない場合、情報処理システム1は、M個の三次元造形装置100に代えて、M個の情報処理装置60を備える構成であってもよい。また、この場合、M個の情報処理装置60のうちの一部又は全部は、1個の情報処理装置として一体に構成されてもよい。また、この場合、M個の情報処理装置60のうちの一部又は全部は、記憶装置200と一体に構成されてもよい。
【0023】
三次元造形装置100は、ステージ20の造形面21に向かって吐出部10から図示しない造形材料Xを吐出させつつ、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置100は、N個のスライス層Lを積層させて1個の予め決められた形状の三次元造形物を造形する。ここで、Nは、1以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。この場合、N個のスライス層Lのうち下から数えて1番目のスライス層Lは、造形面21上に積層される。
【0024】
また、三次元造形装置100では、ステージ20の造形面21上に造形プレートを取り付けることができる。造形プレートは、ステージ20に対して相対的に動かないように造形面21上に取り付け可能な略平板形状の部材であり、造形面21上に取り付けられた場合においてXY平面と略平行な上面を有する部材である。XY平面は、X軸とY軸とのそれぞれによって張られる仮想的な平面のことである。また、造形プレートは、造形面21から取り外し可能な部材でもある。
【0025】
ここで、造形面21上に取り付け可能な1以上の造形プレートのそれぞれは、個々の造形プレートを識別する造形プレート識別情報を有している。例えば、当該1以上の造形プレートのそれぞれは、二次元コードとして符号化された情報として、個々の造形プレートを識別する造形プレート識別情報を有する。この場合、後述する検出部CMは、造形プレート識別情報が符号化された二次元コードから造形プレート識別情報を検出し、検出した造形プレート識別情報を情報処理装置60に出力する。これにより、情報処理装置60は、ユーザーによる操作に応じた造形プレート識別情報の取得における誤操作によって誤った造形プレート識別情報を取得してしまうことを抑制することができる。なお、当該1以上の造形プレートのそれぞれは、RFID(Radio Frequency Identification)タグに記憶された情報として、個々の造形プレートを識別する造形プレート識別情報を有する構成であってもよい。この場合、検出部CMは、造形プレート識別情報が記憶されたRFIDタグから造形プレート識別情報を検出し、検出した造形プレート識別情報を情報処理装置60に出力する。また、当該1以上の造形プレートのそれぞれは、IC(Integrated Circuit)タグに記憶された情報等として、個々の造形プレートを識別する造形プレート識別情報を有する構成であってもよい。この場合、検出部CMは、造形プレート識別情報が記憶されたICタグから造形プレート識別情報を検出し、検出した造形プレート識別情報を情報処理装置60に出力する。また、当該1以上の造形プレートのそれぞれは、他の方法により、個々の造形プレートを識別する造形プレート識別情報を有する構成であってもよい。
【0026】
ある造形プレートが造形面21上に取り付けられた場合、当該造形プレート上には、三次元造形物を造形するための土台として、略水平な平面を有する下地層が造形されることがある。三次元造形装置100は、下地層が造形された造形プレートが造形面21上に取り付けられている場合、当該造形プレート上の下地層に向かって吐出部10から造形材料Xを吐出させつつ、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置100は、当該造形プレート上の下地層上に、N個のスライス層Lを積層させて三次元造形物を造形することができ、その結果、当該造形プレート、下地層のそれぞれを介して、ステージ20と三次元造形物との間の密着性を向上させることができる。
【0027】
このような下地層として吐出される造形材料Xの種類は、三次元造形物として吐出される造形材料Xの種類に応じて予め決められる。以下では、説明の便宜上、下地層として吐出される造形材料Xを、造形材料X1と称し、三次元造形物として吐出される造形材料Xを造形材料X2と称して説明する。造形材料X1の種類が造形材料X2の種類に応じて決まるため、三次元造形装置100のユーザーは、造形材料X2の種類を変える毎に、造形材料X1の種類を変える必要がある。一方、三次元造形装置100は、造形面21上に造形プレートを取り付ける毎に、造形プレート上に下地層を積層させると、複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムを増大させてしまうことがある。そこで、三次元造形装置100のユーザーは、造形材料2の種類毎に、造形材料2の種類に対応する種類の造形材料X1によって下地層が造形された造形プレートを用意する。そして、当該ユーザーは、三次元造形装置100に吐出させる造形材料X2の種類を変えた場合、造形材料2の種類毎に用意した複数の造形プレートの中から、三次元造形装置100に吐出させる造形材料X2の種類に対応する種類の造形材料X1によって下地層が造形された造形プレートを造形面21上に取り付ける。この場合、三次元造形装置100は、造形材料X2の種類を変える毎に、造形プレート上に下地層を積層させる必要がなくなる。その結果、三次元造形装置100は、造形する複数の三次元造形物のうちの一部又は全部が互いに異なる種類の造形材料X2によって造形する三次元造形物であったとしても、それら複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムが増大してしまうことを抑制することができる。なお、以下では、説明の便宜上、三次元造形物が造形される土台として、造形面21と、造形プレート上に造形された下地層の上面とを区別する必要が無い限り、まとめて土台面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元造形装置100のユーザーを、単にユーザーと称して説明する。
【0028】
土台面上に積層されるN個のスライス層Lのそれぞれは、土台面と平行な造形パスに沿って吐出された造形材料Xのことである。また、造形パスは、造形材料Xを吐出しながら移動するノズルNzのステージ20に対する走査経路のことである。すなわち、三次元造形装置100は、N個のスライス層Lのうちのn番目のスライス層Lの造形パスに沿って造形材料Xを吐出部10によって吐出し、n番目のスライス層Lをn-1番目のスライス層Lの上に積層させる。なお、nは、1以上N以下のいずれかの整数である。また、N個のスライス層Lのそれぞれは、単一の層によって構成されてもよく、積層された複数の層によって構成されてもよい。ここで、あるスライス層Lの造形パスには、当該スライス層Lの輪郭に沿ったノズルNzの走査経路であるアウトライン経路と、当該アウトライン経路に囲まれた領域内におけるノズルNzの走査経路であるインフィル経路とが含まれている。すなわち、あるスライス層Lは、当該スライス層Lのアウトライン経路に沿って吐出された造形材料Xと、当該スライス層Lのインフィル経路に沿って吐出された造形材料Xとによって構成される。なお、前述の下地層も、このようなスライス層Lが造形プレート上に積層されることによって造形される。従って、本実施形態における三次元造形物の造形方法の説明は、下地層の造形方法の説明でもある。
【0029】
また、三次元造形装置100は、熱可塑性樹脂を含む材料を、ノズルNzから造形材料Xとして吐出することができる。これにより、三次元造形装置100は、熱可塑性樹脂によって造形された三次元造形物、及び下地層のそれぞれを造形することができる。ここで、熱可塑性樹脂は、例えば、POM(Polyoxymethylene)等の結晶性樹脂であってもよく、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の非結晶性樹脂であってもよい。また、三次元造形装置100は、熱可塑性樹脂以外の他の素材を含む材料を、ノズルNzから造形材料Xとして吐出することもできる。
【0030】
三次元造形装置100は、このような三次元造形物の造形を行う造形制御を、三次元造形用データに基づいて行う。ここで、三次元造形装置100は、受け付けた操作に応じて、三次元造形用データを生成する。三次元造形用データは、N個のスライス層Lを予め決められた形状の三次元造形物として三次元造形装置100に積層させるためのデータである。三次元造形装置100には、当該形状を示す形状データが記憶されている。形状データは、例えば、当該形状を示すデータであれば、如何なるデータであってもよく、例えば、STL(Stereolithography)データである。三次元造形装置100は、受け付けた操作と、形状データとに基づいて、形状データが示す形状を有する仮想的な造形体と、造形体を支持するために造形体に付加される仮想的な支持体とのうち、少なくとも造形体を含む仮想的なオブジェクトを示すオブジェクトデータを生成する。造形体は、積層されるN個のスライス層Lが有する部分のうち、1個の三次元造形物としてN個のスライス層Lから切り離される部分のことである。また、支持体は、積層されたN個のスライス層Lが有する部分のうち、造形体を支持する部分のことである。ただし、支持体は、前述の下地層の上方に造形される。このため、支持体は、下地層と異なる物体である。
【0031】
オブジェクトデータを生成した後、三次元造形装置100は、生成したオブジェクトデータを記憶する。オブジェクトデータを記憶した後、三次元造形装置100は、スライス条件情報に基づいて、オブジェクトをN個のスライス層VLに仮想的にスライスする。このように三次元造形装置100によりオブジェクトが仮想的にスライスされたN個のスライス層VLのそれぞれは、前述のN個のスライス層Lのそれぞれに対応する。そこで、以下では、説明の便宜上、これらN個のスライス層VLのうちn番目のスライス層VLを、スライス層VLnと称し、前述のN個のスライス層Lのうちn番目のスライス層Lを、スライス層Lnと称して説明する。この場合、例えば、1番目のスライス層VL1は、1番目のスライス層L1に対応する。ここで、スライス条件情報は、三次元造形装置100が記憶したオブジェクトデータが示すオブジェクトをN個のスライス層VLに仮想的にスライスするためのスライス条件を示す情報のことである。スライス条件情報には、N個のスライス層VLの数を示す情報、N個のスライス層VLのそれぞれの厚みを示す情報等の情報が、スライス条件を示す情報として含まれている。
【0032】
オブジェクトを仮想的にスライスした後、三次元造形装置100は、造形パス生成条件情報に基づいて、スライスしたN個のスライス層VLのそれぞれ毎に、スライス層VLの造形パスを生成する。造形パスは、前述した通り、造形材料Xを吐出しながら移動するノズルNzのステージ20に対する走査経路のことである。このため、n番目のスライス層VLnの造形パスに沿って吐出された造形材料Xが、スライス層VLnに対応する現実のスライス層Lnのことである。
【0033】
ここで、n番目のスライス層VLnは、オブジェクトに含まれる造形体と支持体とのうちの少なくとも一方がスライスされたスライス層のうちの1つである。このため、n番目のスライス層VLnには、造形体がスライスされた部分と、支持体がスライスされた部分とのうちの少なくとも一方が含まれている。n番目のスライス層VLnに含まれる部分のうち造形体がスライスされた部分は、換言すると、n番目のスライス層VLnに含まれる領域のうち造形体に含まれる造形体領域のことである。また、n番目のスライス層VLnに含まれる部分のうち支持体がスライスされた部分は、換言すると、n番目のスライス層VLnに含まれる領域のうち支持体に含まれる支持体領域のことである。すなわち、n番目のスライス層VLnは、造形体領域の層と、支持体領域の層とのうちの少なくとも一方を含んでいる。そして、造形体領域の層は、第1ソリッド層、造形層の2種類に分類される。第1ソリッド層は、造形体のソリッド層のことである。造形体は、第1ソリッド層と、第1ソリッド層と第1ソリッド層との間に積層される造形層とによって構成される。すなわち、造形体は、第1ソリッド層と、造形層とを積層させることによって造形される。また、支持体領域の層は、第2ソリッド層、支持層、ラフト層の3種類に分類される。第2ソリッド層は、支持体のソリッド層のことである。ラフト層は、土台面の上方において、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のそれぞれが積層される土台となる層のことである。支持体は、第2ソリッド層と、第2ソリッド層と第2ソリッド層との間に積層される支持層と、ラフト層とによって構成される。すなわち、支持体は、第2ソリッド層と、支持層と、ラフト層とを積層させることによって造形される。例えば、ある造形体の形状がオーバーハングを有する形状である場合、当該造形体が有する部分のうちオーバーハングの部分は、このような支持体により支持される。以上のことから、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層VLnに含まれる層によって分類される。例えば、n番目のスライス層VLnが第1ソリッド層のみを含んでいる場合、n番目のスライス層VLnの種類は、第1ソリッド層である。また、例えば、n番目のスライス層VLnが第1ソリッド層と第2ソリッド層とを含んでいる場合、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層VLnに含まれる層のうち造形体がスライスされた層の種類と、n番目のスライス層VLnに含まれる層のうち支持体がスライスされた層の種類との組み合わせ、すなわち、第1ソリッド層と第2ソリッド層との組み合わせによって表される。そして、n番目のスライス層VLnの種類は、n番目のスライス層Lnの種類でもある。このため、三次元造形装置100は、スライス条件情報に基づいて、n番目のスライス層VLnの種類を特定することができるとともに、スライス層Lnの種類を特定することができる。
【0034】
N個のスライス層VLそれぞれの造形パスを生成した後、三次元造形装置100は、生成したN個のスライス層VLそれぞれの造形パスを示す造形パス情報を含む三次元造形用データを生成する。ここで、造形パス生成条件情報は、N個のスライス層VLそれぞれの造形パスを生成するための造形パス生成条件を示す情報のことである。造形パス生成条件情報には、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの形状を示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの幅を示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスの厚みを示す情報、N個のスライス層VLそれぞれの種類毎の造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合におけるノズルNzの移動速度を示す情報、ノズルNzから吐出する造形材料Xの種類を示す情報等の情報が含まれている。また、ある造形パスを示す造形パス情報には、当該造形パスの幅を示す情報、当該造形パスの厚みを示す情報、当該造形パスに沿って造形材料Xを吐出する場合のノズルNzの移動速度を示す情報等の他の情報が含まれている。
【0035】
三次元造形装置100は、以上のようにして生成した三次元造形用データに基づいて、三次元造形物を造形する造形制御を行う。また、三次元造形装置100は、造形制御において土台面上にN個のスライス層Lを積層させる場合、ラフト層、第1ソリッド層、造形層、第2ソリッド層、支持層のうちの一部又は全部によって表される種類のスライス層Lとして、N個のスライス層Lのそれぞれを吐出部10によって土台面上に吐出し、N個のスライス層Lを積層させて1個の三次元造形物を造形する。
【0036】
吐出部10は、造形材料Xを土台面上に吐出する吐出装置である。吐出部10は、前述のノズルNzとともに、1種類以上の材料を溶融させて造形材料Xとする材料溶融部と、材料供給部を有する。ここで、吐出部10において、材料供給部と材料溶融部との間は、供給路によって接続される。材料溶融部とノズルNzとの間は、連通孔によって接続される。ノズルNzは、連通孔を通って材料溶融部から供給される造形材料Xを先端から吐出する。
【0037】
材料供給部には、造形材料Xとなる材料として、ペレット、粉末等の状態の1種類以上の材料が収容される。以下では、一例として、材料供給部に収容される材料が、ペレット状の熱可塑性樹脂を含む場合について説明する。材料供給部は、例えば、ホッパーによって構成される。材料供給部に収容された材料は、材料供給部の下方に設けられた供給路を介して、材料溶融部に供給される。
【0038】
材料溶融部は、スクリューケースと、スクリューケース内に収容されたフラットスクリューと、フラットスクリューを駆動させる駆動モーターと、スクリューケース内においてフラットスクリューよりも下方に固定されたバレルを備える。
【0039】
フラットスクリューは、扁平な円柱形状を有し、円柱の外周から円柱の中心軸に向かう渦状の溝部が円柱の底面に形成されたスクリューである。
【0040】
バレルには、連通孔が設けられている。また、バレルには、ヒーターが内蔵されている。ヒーターの温度は、情報処理装置60によって制御される。
【0041】
回転しているフラットスクリューと、バレルとの間には、造形材料Xとなる材料が供給路を介して材料供給部から供給される。回転しているフラットスクリューと、バレルとの間に供給された材料は、フラットスクリューの回転と、バレルに内蔵されたヒーターによる加熱とによって、少なくとも一部が溶融されて、流動性を有するペースト状の造形材料Xとなる。ペースト状の造形材料Xは、フラットスクリューの回転によって、バレルに設けられた連通孔を介してノズルNzに供給される。そして、ノズルNzに供給された造形材料Xは、ノズルNzの先端から土台面に向かって吐出される。
【0042】
移動部30は、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる。より具体的には、移動部30は、吐出部10とステージ20とのいずれか一方又は両方を移動させることにより、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる。以下では、一例として、移動部30が、ステージ20を移動させることにより、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させる場合について説明する。例えば、移動部30は、吐出部10をZ軸に沿って移動させる第1移動機構部31と、ステージ20を吐出部10に対してX軸及びY軸に沿って移動させる第2移動機構部32を備えている。本実施形態では、
図1に示した第1移動機構部31は、吐出部10をZ軸に沿って移動させる昇降装置によって構成され、吐出部10をZ軸に沿って移動させるためのモーターを有している。
図1に示した第2移動機構部32は、ステージ20をX軸及びY軸に沿って移動させる水平搬送装置によって構成され、ステージ20をX軸に沿って移動させるためのモーター、及び、ステージ20をY軸に沿って移動させるためのモーターを有している。第1移動機構部31及び第2移動機構部32は、情報処理装置60により制御される。なお、移動部30は、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させることに加えて、後述する温度検出部50とステージ20との相対的な位置を変化させる構成であってもよい。この場合、移動部30は、吐出部10のノズルNzと温度検出部50との相対的な位置を変化させない構成であってもよく、吐出部10のノズルNzと温度検出部50との相対的な位置を変化させる構成であってもよい。
図1に示した例では、温度検出部50は、吐出部10に設けられている。このため、当該例では、移動部30は、吐出部10のノズルNzとステージ20との相対的な位置を変化させることに加えて、後述する温度検出部50とステージ20との相対的な位置を変化させる。そして、当該例では、移動部30は、吐出部10のノズルNzと温度検出部50との相対的な位置を変化させない。
【0043】
加熱部40は、吐出部10により吐出された造形材料Xを含む造形領域を加熱する。ここで、造形領域は、三次元造形装置100が三次元造形物及び下地層の造形を行う領域のことである。より具体的には、造形領域は、土台面を含む領域のうち、1個の三次元造形物又は下地層として土台面上にN個のスライス層Lが積層された場合におけるN個のスライス層Lの全体を含む領域のことである。加熱部40は、造形領域を加熱可能な構成であれば、如何なる構成であってもよい。
図1に示した例では、加熱部40は、土台面と対向する面を有し、造形領域を加熱する平板形状のパネルヒーターである。この場合、加熱部40は、平板形状の加熱部40が有する下面と、造形面21との間に挟まれた領域を造形領域として加熱する。なお、加熱部40は、情報処理装置60により制御される。また、
図1に示した例では、加熱部40には、前述のノズルNzが挿通される貫通孔が設けられている。このため、加熱部40は、ノズルNzの周囲に設けられており、ノズルNzとともに動く。なお、加熱部40は、パネルヒーターに代えて、温風を送り込むチャンバー方式のヒーターであってもよく、カートリッジヒーターであってもよく、造形領域内を加熱可能な他の如何なる種類のヒーターであってもよい。また、三次元造形装置100は、加熱部40を備えない構成であってもよい。
【0044】
温度検出部50は、土台面上に積層されるスライス層Lの上面の温度を検出する温度センサーである。
図1に示した例では、温度検出部50は、加熱部40の下面に設けられている。そして、温度検出部50は、検出した温度を示す情報を情報処理装置60に出力する。また、三次元造形装置100は、温度検出部50を備えない構成であってもよい。
【0045】
検出部CMは、ステージ20の造形面21上に造形プレートが取り付けられた場合、情報処理装置60からの要求に応じて、造形面21上に取り付けられた造形プレートが有する造形プレート識別情報を検出し、検出した造形プレート識別情報を情報処理装置60に出力する。この一例において、当該造形プレート識別情報は、前述した通り、二次元コードとして符号化されている。このため、この一例において、検出部CMは、二次元コードとして符号化された情報を検出可能な撮像装置、二次元コードリーダー等であるが、これに代えて、二次元コードとして符号化された情報を検出可能な他の装置であってもよい。
図1に示した例では、検出部CMは、加熱部40の下面に設けられている。なお、検出部CMは、造形面21上に取り付けられた造形プレートから造形プレート識別情報を検出可能な他の位置に設けられる構成であってもよい。
【0046】
情報処理装置60は、三次元造形装置100の全体を制御する。情報処理装置60は、データ生成装置70によって生成された三次元造形用データを、ネットワーク又は記録媒体を介して取得する。情報処理装置60は、予め記憶された三次元造形用プログラムを実行することによって、三次元造形用データに応じて吐出部10と移動部30との動作を制御する造形制御を行うことにより、三次元造形物を造形する。なお、情報処理装置60は、単一のコンピューターのような単一の情報処理装置により構成される情報処理システムであってもよく、2以上の情報処理装置を含む情報処理システムであってもよい。情報処理装置60が2以上の情報処理装置を含む情報処理システムである場合、情報処理装置60に含まれる2以上の情報処理装置は、互いに通信可能に接続される。また、情報処理装置60は、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。以下では、一例として、情報処理装置60が、単一の情報処理装置である場合について説明する。
【0047】
前述の造形制御は、吐出部10、移動部30についての制御のことである。より具体的には、造形制御は、土台面上にN個のスライス層Lを積層させて予め決められた形状の1個の三次元造形物を造形する制御のことである。ここで、N個のスライス層Lのうちのn番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Ln-1の上に積層される。この際、n番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Lnの上に積層された場合、n番目のスライス層Lnの熱によりn-1番目のスライス層Ln-1の一部を溶融させる。このため、n番目のスライス層Lnは、n-1番目のスライス層Ln-1と接合される。その結果、土台面上において、N個のスライス層Lは、1個の三次元造形物として積層される。このため、実施形態では、0番目のスライス層L0は、土台面のことを意味する。すなわち、実施形態において、1番目のスライス層L1は、0番目のスライス層L0、すなわち、土台面上に積層される。
【0048】
造形制御によってn番目のスライス層Lnをn-1番目のスライス層Ln-1の上に積層させる場合、情報処理装置60は、吐出部10、移動部30を制御し、n番目のスライス層Lnに対応するn番目のスライス層VLnの造形パスに沿った造形材料Xの吐出を吐出部10によって行う。これにより、情報処理装置60は、n番目のスライス層Lnをn-1番目のスライス層Ln-1の上に積層させることができる。以上のような制御を造形制御として行うことにより、情報処理装置60は、造形材料Xの吐出を順に行い、土台面上にN個のスライス層Lを積層させて、1個の三次元造形物を造形する。
【0049】
データ生成装置70は、三次元造形装置100が三次元造形物を造形するために用いる三次元造形用データを生成する装置である。データ生成装置70は、上記において説明した三次元造形装置100が三次元造形用データを生成する方法により、三次元造形用データを生成する。このため、ここでは、当該方法の説明については、省略する。また、データ生成装置70は、受け付けた操作に応じて、上記の形状データを記憶する。なお、データ生成装置70は、形状データを生成可能であってもよく、形状データを生成不可能であってもよい。データ生成装置70が形状データを生成不可能である場合、データ生成装置70は、他の装置からネットワーク又は記憶媒体を介して形状データを取得する。また、データ生成装置70は、受け付けた操作に応じて、前述のスライス条件情報、造形パス生成条件情報等を記憶する。
【0050】
データ生成装置70は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であるが、これらに限られるわけではない。より具体的には、データ生成装置70は、1以上のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。
【0051】
記憶装置200は、サーバーとして機能可能な情報処理装置であれば、如何なる情報処理装置であってもよく、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC等の情報処理装置であるが、これらに限られるわけではない。より具体的には、記憶装置200は、1以上のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。記憶装置200は、情報処理装置60からの要求に応じて、各種の情報を記憶する。また、記憶装置200は、情報処理装置60からの要求に応じて、各種の情報を出力する。なお、記憶装置200は、M個の情報処理装置60のうちの一部又は全部の記憶部62と一体に構成されてもよい。
【0052】
<制御装置のハードウェア構成>
以下、
図2を参照し、情報処理装置60のハードウェア構成について説明する。
図2は、情報処理装置60のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0053】
情報処理装置60は、プロセッサー61と、記憶部62と、入力受付部63と、通信部64と、表示部65を備える。なお、情報処理装置60は、前述した通り、三次元造形装置100と別体に構成されてもよい。この場合、三次元造形装置100は、情報処理装置60と通信可能に接続され、情報処理装置60により制御される。
【0054】
プロセッサー61は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサー61は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーであってもよい。また、プロセッサー61は、複数のプロセッサーにより構成されてもよい。プロセッサー61は、記憶部62に記憶された各種のプログラム、各種の命令等を実行することにより、情報処理装置60が有する各種の機能を実現する。
【0055】
記憶部62は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む記憶装置である。なお、記憶部62は、情報処理装置60に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部62は、情報処理装置60が処理する各種のプログラム、各種の命令、各種の情報等を記憶する。例えば、記憶部62は、三次元造形用データ等を記憶する。
【0056】
入力受付部63は、表示部65に表示された画像を見ながら行われるユーザーからの操作を受け付ける。入力受付部63は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド等を含む入力装置である。なお、入力受付部63は、表示部65と一体に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0057】
通信部64は、例えば、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0058】
表示部65は、画像を表示する。表示部65は、情報処理装置60が備えるディスプレイとして、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネル等を含む表示装置である。
【0059】
<制御装置の機能構成>
以下、
図3を参照し、情報処理装置60の機能構成について説明する。
図3は、情報処理装置60の機能構成の一例を示す図である。
【0060】
情報処理装置60は、記憶部62と、入力受付部63と、通信部64と、表示部65と、制御部66を備える。
【0061】
制御部66は、情報処理装置60の全体を制御する。制御部66は、装置制御部661と、取得部662と、表示制御部663を備える。制御部66が備えるこれらの機能部は、例えば、プロセッサー61が、記憶部62に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0062】
装置制御部661は、三次元造形装置100の全体を制御する。例えば、装置制御部661は、吐出部10と、移動部30と、加熱部40とのそれぞれを制御する。
【0063】
取得部662は、受け付けた操作に応じて、記憶部62、記憶装置200、他の装置等から各種の情報を取得する。なお、取得部662は、取得する情報毎に、互いに別体の機能部として複数構成されてもよい。
【0064】
表示制御部663は、各種の画像を生成する。表示制御部663は、生成した画像を表示部65に表示させる。なお、情報処理装置60がスピーカーを備える場合、表示制御部663は、表示部65に画像を表示させるとともに、スピーカーに音を出力させる出力制御部として構成されてもよい。また、当該場合、表示部65は、表示部65とともにスピーカーを備える出力部として構成されてもよい。ここで、出力部は、表示部65、スピーカーのうちの一部又は全部に代えて、又は、表示部65、スピーカーの両方に加えて、情報を出力可能な他の機能部を備える構成であってもよい。この場合、出力制御部は、当該他の機能部に情報を出力させる。
【0065】
<制御装置が行うキャリブレーション判定処理>
上記において説明した情報処理装置60は、
図4に示したフローチャートの処理を、キャリブレーション判定処理として行う。キャリブレーション判定処理は、造形面21上に取り付けられる造形プレートの使用履歴に応じて、三次元造形装置100が行うキャリブレーションのうち、ノズルキャリブレーションとステージキャリブレーションとの2つのキャリブレーションのそれぞれを行うか否かを判定する処理である。ノズルキャリブレーションは、ノズルNzの高さについてのキャリブレーションのことである。ステージキャリブレーションは、ステージ20の高さについてのキャリブレーションのことである。なお、ノズルキャリブレーションは、ノズルNzのXY平面内における位置についてのキャリブレーションが含まれる構成であってもよく、当該キャリブレーションが含まれない構成であってもよい。また、ステージキャリブレーションは、ステージ20のXY平面内における位置についてのキャリブレーションが含まれる構成であってもよく、当該キャリブレーションが含まれない構成であってもよい。
【0066】
ここで、情報処理システム1では、三次元造形装置100のステージ20の造形面21上に取り付け可能な1以上の造形プレートそれぞれの使用履歴を示す造形プレート使用履歴情報が記憶装置200に記憶されている。すなわち、情報処理システム1では、M個の三次元造形装置100間において、造形プレート使用履歴情報が共有されている。このため、情報処理装置60は、記憶装置200に記憶された造形プレート使用履歴情報に基づいて、前述のキャリブレーション判定処理を行う。造形プレート使用履歴情報の詳細については、後述する。
【0067】
情報処理装置60は、例えば、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを行わないとキャリブレーション判定処理によって判定した場合、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを三次元造形装置100に行わすことなく、三次元造形物の造形を三次元造形装置100に開始させることができる。
【0068】
また、情報処理装置60は、例えば、ステージキャリブレーションを行い、且つ、ノズルキャリブレーションを行わないとキャリブレーション判定処理によって判定した場合、ノズルキャリブレーションを三次元造形装置100に行わせずに、ステージキャリブレーションを三次元造形装置100に行わせてから、三次元造形物の造形を三次元造形装置100に開始させることができる。
【0069】
また、情報処理装置60は、例えば、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを行うとキャリブレーション判定処理によって判定した場合、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを三次元造形装置100に行わせてから、三次元造形物の造形を三次元造形装置100に開始させることができる。
【0070】
以上のようなキャリブレーション判定処理によって、情報処理装置60は、造形プレートを用いた複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0071】
図4は、情報処理装置60が行うキャリブレーション判定処理の流れの一例を示す図である。なお、
図4では、M個の三次元造形装置100のうちの三次元造形装置100-1の情報処理装置60が行うキャリブレーション判定処理を例に挙げて、キャリブレーション判定処理の流れについて説明する。そこで、以下では、説明の便宜上、三次元造形装置100-1を第1三次元造形装置と称し、第1三次元造形装置の情報処理装置60を第1情報処理装置と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1三次元造形装置の造形面21を第1造形面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1情報処理装置の装置制御部661を第1装置制御部と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1情報処理装置の取得部662を第1取得部と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1情報処理装置の表示制御部663を第1表示制御部と称して説明する。なお、以下では、一例として、
図4に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、第1三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報が、第1情報処理装置の記憶部62に記憶されている場合について説明する。また、以下では、当該タイミングにおいて、第1造形面上に第1造形プレートが取り付けられ、その後、キャリブレーション判定処理を開始させる判定処理開始操作を第1情報処理装置が受け付けている場合について説明する。
【0072】
判定処理開始操作を受け付けた後、第1三次元造形装置の検出部CMは、第1造形面上に取り付けられた造形プレートが有する造形プレート識別情報を検出し、検出した造形プレート識別情報を第1情報処理装置に出力する。これにより、当該場合、第1取得部は、第1造形面上に取り付けられた造形プレートを識別する造形プレート識別情報を検出部CMから取得する(ステップS110)。なお、以下では、説明の便宜上、ステップS110において第1取得部が取得した造形プレート識別情報により識別される造形プレートを、第1造形プレートと称して説明する。また、キャリブレーション判定処理において、ステップS110の処理は、省略されてもよい。この場合、第1造形プレートを識別する造形プレート識別情報は、例えば、事前に受け付けた操作に応じて第1取得部によって取得され、記憶部62に記憶されている。そして、この場合、第1情報処理装置は、第1造形面上に第1造形プレートが取り付けられていない状態であっても、キャリブレーション判定処理を開始することができる。
【0073】
次に、第1取得部は、記憶装置200に予め記憶された造形プレート使用履歴情報を、ネットワークNWを介して記憶装置200から取得する(ステップS120)。ここで、造形プレート使用履歴情報について説明する。
【0074】
造形プレート使用履歴情報は、三次元造形装置100の造形面21上に取り付け可能な1以上の造形プレートそれぞれの使用履歴を示す情報のことである。造形プレート使用履歴情報には、造形日時情報、下地材料種類情報、ジョブ識別情報、熱履歴情報、設定値情報、三次元造形装置識別情報等が含まれている。以下では、一例として、造形プレート使用履歴情報が、テーブル形式の情報である場合について説明する。なお、造形プレート使用履歴情報は、これに代えて、他の形式の情報であってもよい。
【0075】
造形プレート使用履歴情報には、1以上の造形プレートのそれぞれを識別する造形プレート識別情報に対応付けられた1以上のレコードが格納されている。そして、造形プレート使用履歴情報において、ある造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられた1以上のレコードのそれぞれには、造形日時情報、下地材料種類情報、ジョブ識別情報、熱履歴情報、設定値情報、三次元造形装置識別情報等が含まれている。
図5は、テーブル形式の造形プレート使用履歴情報に含まれるレコードのうち、ある造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられた複数のレコードを例示する図である。ある造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられた1以上のレコードのうちのあるレコードに含まれる造形日時情報は、当該造形プレート上に物体が造形された日時を示す情報である。当該物体が三次元造形物であった場合、当該造形日時情報は、その三次元造形物が造形された日時を示す情報である。一方、当該物体が下地層であった場合、当該造形日時情報は、その下地層が造形された日時を示す情報である。そして、この場合、第1情報処理装置は、現在の日時と、当該造形日時情報が示す日時とに基づいて、当該下地層が造形されてからの経過時間を算出することができる。このため、当該造形日時情報は、当該経過時間を示す情報でもある。なお、当該レコードには、当該造形日時情報とともに、当該経過時間を示す情報が含まれる構成であってもよい。ただし、この場合、当該情報は、時間が経過する毎に情報処理装置60によって更新される情報である。当該経過時間を示す情報は、当該経過時間に応じた下地層のメンテナンスの実施に活用することができる。また、当該レコードに含まれる下地材料種類情報は、当該レコードに含まれる造形日時情報が示す日時において造形された物体が下地層であった場合において、その下地層を構成する造形材料X1の種類を示す情報であり、当該物体が下地層か否かを示す情報でもある。例えば、当該下地材料種類情報がヌル情報であった場合、当該下地材料種類情報は、当該物体が下地層ではなく、三次元造形物であることを示す。
図5では、ヌル情報が「-」によって示されている。また、当該レコードに含まれるジョブ識別情報は、当該物体の造形を三次元造形装置100へ行わせたジョブを識別する情報のことである。また、当該レコードに含まれる熱履歴情報は、当該造形プレートの熱履歴を示す情報であり、当該造形プレート上に下地層が造形されている場合、当該造形プレート上に造形された下地層の熱履歴を示す情報でもある。そして、当該熱履歴情報には、当該造形プレートの熱履歴の積算値を示す熱履歴積算値情報等が含まれている。当該熱履歴の積算値の詳細については、後述する。なお、
図5に示した例では、図が煩雑になるのを防ぐため、熱履歴情報が「xxx1」~「xxx4」のそれぞれによって示されている。また、当該熱履歴情報には、当該造形プレートが加熱された加熱時間を示す情報が含まれる構成であってもよい。当該情報は、当該造形プレート上に下地層が造形されている場合、下地層が加熱された加熱時間を示す情報でもある。第1情報処理装置は、例えば、加熱時間を、加熱部40の稼働時間として算出することができる。加熱時間を示す情報は、加熱時間に応じた下地層のメンテナンスの実施に活用することができる。また、当該熱履歴情報には、当該造形プレートが加熱された加熱温度を示す情報が含まれる構成であってもよい。当該情報は、当該造形プレート上に下地層が造形されている場合、下地層が加熱された加熱温度を示す情報でもある。第1情報処理装置は、例えば、加熱温度を、加熱部40に設定した温度として特定することができる。また、第1情報処理装置は、例えば、加熱温度を、造形領域内の温度を検出するセンサーによって特定してもよい。加熱温度を示す情報は、加熱温度に応じた下地層のメンテナンスの実施に活用することができる。また、当該レコードに含まれる設定値情報は、当該物体の造形を行った三次元造形装置100に設定された各種の設定値を示す情報である。各種の設定値は、例えば、加熱部40に設定された設定温度等であるが、これに限られるわけではない。なお、当該例では、図が煩雑になるのを防ぐため、設定値情報が「yyy1」~「yyy4」のそれぞれによって示されている。また、当該レコードに含まれる三次元造形装置識別情報は、当該造形を行った三次元造形装置100についての三次元造形装置識別情報である。なお、第1情報処理装置は、例えば、当該造形プレート上に造形された下地層を当該造形プレートから除去した場合、造形プレート使用履歴情報に含まれるレコードのうち、当該造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられたレコードを、記憶装置200の記憶領域の中から削除する。これにより、情報処理システム1は、記憶装置200の記憶領域の容量が足りなくなってしまうことを抑制することができる。また、これにより、第1情報処理装置は、当該造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられたレコードの中における、下地材料種類情報を含むレコードの数を最大で1にすることができる。この場合、第1情報処理装置は、当該造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられたレコードにおいて、下地材料種類情報を含むレコードから、最も新しく生成されたレコードまでのレコードの数をカウントすることにより、現在の日時において当該造形プレートに造形されている下地層の使用回数を算出することができる。このため、当該造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられたレコードは、当該使用回数を示す情報でもある。なお、当該造形プレートを識別する造形プレート識別情報に対応付けられたレコードのそれぞれには、当該使用回数を示す情報が含まれる構成であってもよい。以上のように、造形プレート使用履歴情報は、造形プレート上に造形された下地層に関する下地層関連情報でもある。当該使用回数を示す情報は、当該使用回数に応じた下地層のメンテナンスの実施に活用することができる。
【0076】
なお、ステップS120において、第1情報処理装置は、
図5に示したような造形プレート使用履歴情報の中から、第1下地層に関する情報を下地層関連情報として記憶部62から読み出す構成であってもよい。また、第1情報処理装置は、第1造形プレートが取り付けられた第1三次元造形装置に物体を造形させる毎に、造形日時情報、下地材料種類情報、ジョブ識別情報、熱履歴情報、設定値情報、三次元造形装置識別情報等を含む情報を記憶装置200に送信し、送信した情報を含むレコードを造形プレート使用履歴情報に追加する。このような処理をM個の三次元造形装置100のそれぞれが行うことにより、記憶装置200には、M個の三次元造形装置100間において共有される造形プレート使用履歴情報が記憶される。以下では、説明の便宜上、第1造形プレート上に造形された下地層を、第1下地層と称して説明する。
【0077】
ステップS120の処理が行われた後、第1装置制御部は、ステップS120において記憶装置200から取得部662が取得したプレート使用履歴情報の中から、ステップS110において取得部662が取得した造形プレート識別情報に対応付けられた1以上のレコードを、第1造形プレート使用履歴情報として抽出する。その後、第1装置制御部は、抽出した第1プレート使用履歴情報に基づいて、第1下地層が使用可能か否かを判定する(ステップS130)。ここで、ステップS130の処理について説明する。なお、取得部662は、ステップS120において、第1造形プレート使用履歴情報を取得する構成であってもよい。
【0078】
ステップS130において、第1装置制御部は、例えば、第1造形プレート使用履歴情報が予め決められた判定条件を満たす場合、第1下地層が使用可能であると判定する。一方、ステップS130において、第1装置制御部は、例えば、第1造形プレート使用履歴情報が判定条件を満たさない場合、第1下地層が使用不可能であると判定する。ここで、判定条件には、以下の条件1~条件4のそれぞれが含まれている。
【0079】
(条件1):第1造形プレート上に第1下地層が造形されていないこと。
(条件2):第1下地層の使用回数が予め決められた第1閾値を超えていること。
(条件3):第1下地層が造形されてから経過した経過時間が予め決められた第2閾値を超えていること。
(条件4):第1下地層の熱履歴の積算値が予め決められた第3閾値を超えていること。
【0080】
第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報が条件1~条件4のうちの少なくとも1つを満たす場合、第1造形プレート使用履歴情報が判定条件を満たすと判定する。一方、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報が条件1~条件4のすべてを満たさない場合、第1造形プレート使用履歴情報が判定条件を満たすと判定する。
【0081】
具体的には、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に、ヌル情報ではない下地層材料種類情報を含むレコードが含まれているか否かを判定する。そして、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に当該レコードが含まれていないと判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が条件1を満たすと判定する。これは、第1造形プレート使用履歴情報に当該レコードが含まれていない場合、第1造形プレート上に第1下地層が造形されていないこと、すなわち、第1下地層が使用不可能であることを意味するからである。一方、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に当該レコードが含まれていると判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が条件1を満たさないと判定する。
【0082】
また、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に基づいて、第1下地層の使用回数を算出する。第1下地層の使用回数を算出した後、第1装置制御部は、算出した第1下地層の使用回数が、第1閾値を超えているか否かを判定する。ここで、第1閾値は、三次元造形物の造形について、問題なく第1下地層を繰り返し使用することが可能な回数であり、事前の実験、シミュレーション等の結果に基づいて決定される値である。そして、第1装置制御部は、算出した使用回数が第1閾値を超えていると判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が上記の条件2を満たすと判定する。これは、算出した使用回数が第1閾値を超えている場合、三次元造形物の造形において、第1下地層が使用中に使用不可能な状態になる可能性が高いことを意味するからである。なお、本実施形態では、第1下地層が使用中に使用不可能な状態になる可能性が高いことは、第1下地層が使用不可能であることと等価なこととして扱う。一方、第1装置制御部は、算出した使用回数が第1閾値を超えていないと判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が上記の条件2を満たさないと判定する。
【0083】
また、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に基づいて、第1下地層が造形されてから経過した経過時間を算出する。経過時間を算出した後、装置制御部661は、算出した経過時間が、第2閾値を超えているか否かを判定する。ここで、第2閾値は、第1下地層の耐用期間であり、事前の実験、シミュレーション等の結果に基づいて決定される値である。そして、第1装置制御部は、算出した経過時間が第2閾値を超えていると判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が上記の条件3を満たすと判定する。これは、算出した経過時間が第2閾値を超えている場合、三次元造形物の造形において、第1下地層が使用中に使用不可能な状態になる可能性が高いこと、すなわち、第1下地層が使用不可能であることを意味するからである。一方、装置制御部661は、算出した経過時間が第2閾値を超えていないと判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が上記の条件3を満たさないと判定する。
【0084】
また、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に基づいて、第1下地層の熱履歴の積算値を算出する。ここで、第1下地層の熱履歴の積算値は、第1下地層が加熱されていた全期間における単位時間毎の第1下地層の加熱温度の積算値のことである。ここで、単位時間は、1分であるが、1秒等の単位時間として使用可能な他の時間であってもよい。例えば、当該全期間が60分間であり、この60分間のうちの前半の20分間における第1下地層の加熱温度が60[K]であり、この60分感のうちの後半の40分間における第1下地層の加熱温度が80[K]であった場合、第1下地層の熱履歴の積算値は、20分×60[K]+40分×80[K]=4400[K分]である。ここで、[K分]という単位は、電力量を表す[Wh]のような単位であり、熱履歴の積算値の単位として本実施形態において便宜的に使用する単位である。このような第1下地層の熱履歴の積算値が大きいほど、加熱によって第1下地層が受けるダメージは、大きくなる。このため、第1下地層の熱履歴の積算値は、加熱によって第1下地層が受けたダメージを示す値でもある。なお、第1下地層の熱履歴の積算値は、第1下地層が加熱されていた全期間を示す値であってもよく、最も高い第1下地層の加熱温度であってもよく、第1下地層の熱履歴に基づく他の値であってもよい。積算値を算出した後、第1装置制御部は、算出した積算値が、第3閾値を超えているか否かを判定する。ここで、第3閾値は、第1下地層が受けることが可能な最大のダメージに応じた値であり、事前の実験、シミュレーション等の結果に基づいて決定される値である。そして、第1装置制御部は、算出した積算値が第3閾値を超えていると判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が上記の条件4を満たすと判定する。これは、算出した積算値が第3閾値を超えている場合、三次元造形物の造形において、第1下地層が使用中に使用不可能な状態になる可能性が高いこと、すなわち、第1下地層が使用不可能であることを意味するからである。一方、第1装置制御部は、算出した積算値が第3閾値を超えていないと判定した場合、第1造形プレート使用履歴情報が上記の条件4を満たさないと判定する。なお、このような積算値は、積算値に応じた下地層のメンテナンスの実施に活用することができる。
【0085】
なお、判定条件には、条件1~条件4のうちの一部又は全部に代えて、又は、条件1~条件4の全部に加えて、1以上の他の条件が含まれる構成であってもよい。
【0086】
第1表示制御部は、第1下地層が使用不可能であると第1装置制御部が判定した場合(ステップS130-NO)、第1造形プレート上に第1下地層を造形するように促す通知を表示部65に表示させる(ステップS230)。ここで、第1表示制御部は、例えば、第1情報処理装置がスピーカーを備える場合、当該通知を示す音声をスピーカーから出力する構成であってもよい。この場合、第1表示制御部は、出力制御部として構成される。
図4では、ステップS230の処理を「下地層造形通知出力」によって示している。ステップS230の処理が行われた後、第1装置制御部は、
図4に示したフローチャートの処理を終了してもよく、他の処理を行ってもよい。このため、
図4では、ステップS230の処理が行われた後に第1装置制御部が遷移する処理が省略されている。
【0087】
一方、第1装置制御部は、第1下地層が使用可能であると判定した場合(ステップS130-YES)、第1三次元造形装置と、第1造形プレート上に第1下地層を造形した三次元造形装置100とが一致しているか否かを判定する(ステップS140)。
図4では、ステップS140の処理を「使用装置と造形装置とが一致?」によって示している。ステップS140において、例えば、第1装置制御部は、第1情報処理装置の記憶部62に予め記憶された第1三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報を当該記憶部62から読み出す。また、装置制御部661は、第1造形プレート使用履歴情報に含まれるレコードのうちの下地材料種類情報を含むレコードに含まれる三次元造形装置識別情報を特定する。当該三次元造形装置識別情報は、前述した通り、第1造形プレート上に第1下地層を造形した三次元造形装置100を識別する三次元造形装置識別情報である。このため、第1装置制御部は、当該記憶部62から読み出した三次元造形装置識別情報と、特定した三次元造形装置識別情報とが一致した場合、第1三次元造形装置と、第1造形プレート上に第1下地層を造形した三次元造形装置100とが一致していると判定する。一方、第1装置制御部は、当該記憶部62から読み出した三次元造形装置識別情報と、特定した三次元造形装置識別情報とが一致しない場合、第1三次元造形装置と、第1造形プレート上に第1下地層を造形した三次元造形装置100とが一致していないと判定する。
【0088】
第1装置制御部は、第1三次元造形装置と、第1造形プレート上に第1下地層を造形した三次元造形装置100とが一致していると判定した場合(ステップS140-YES)、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、第1三次元造形装置のノズルNzが交換されているか否かを判定する(ステップS150)。ここで、ステップS150の処理について説明する。
【0089】
記憶装置200には、造形プレート使用履歴情報とともに、造形プレート使用履歴情報に対応付けられたノズル関連情報が記憶されている。ノズル関連情報は、三次元造形装置100に取り付けられたノズルNzに関する情報のことである。ノズル関連情報には、ノズル交換履歴情報が含まれている。なお、ノズル関連情報には、ノズル交換履歴情報に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。ノズル交換履歴情報は、三次元造形装置100に取り付けられたノズルNzの交換履歴を示す情報のことである。ノズル交換履歴情報には、例えば、ノズルNzが交換された日時を示すノズル交換日時情報と、ノズルNzの交換によって三次元造形装置100に取り付けられた新たなノズルNzを識別するノズル識別情報と、ノズルNzの交換によって新たなノズルNzが取り付けられた三次元造形装置100を識別する三次元造形装置識別情報とが対応付けられた情報である。第1装置制御部は、ノズル交換履歴情報に基づいて、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、ノズルNzが交換されていたか否かを判定することができる。例えば、第1装置制御部は、第1造形プレート使用履歴情報に含まれるレコードのうちの下地材料種類情報を含むレコードに含まれている造形日時情報が示す日時を、第1日時として特定する。また、第1装置制御部は、ノズル関連情報に基づいて、第1三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報に対応付けられたノズル交換日時情報のうち最新のノズル交換日時情報が示す日時を、第2日時として特定する。そして、第1装置制御部は、第1日時よりも第2日時が新しい日時である場合、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、ノズルNzが交換されていたと判定する。一方、第1装置制御部は、第2日時よりも第1日時が新しい日時である場合、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、ノズルNzが交換されていないと判定する。なお、第1装置制御部は、ノズルNzの交換が行われる毎に、ノズル関連情報を生成し、生成したノズル関連情報を記憶装置200に送信し、送信したノズル関連情報を記憶装置200に記憶させる。この際、第1装置制御部は、ノズルNzの交換が行われたことを示す情報と、ノズルNzの交換によって三次元造形装置100に取り付けられた新たなノズルNzを識別するノズル識別情報とのそれぞれを、ユーザーから受け付けてもよく、他の方法により受け付けてもよい。
【0090】
第1装置制御部は、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、第1三次元造形装置のノズルNzが交換されていないと判定した場合(ステップS150-NO)、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションの両方を実施しないと判定する(ステップS160)。この際、第1装置制御部は、第1三次元造形装置の記憶部62に記憶された情報のうち、第1造形面上に第1造形プレートを取り付けた場合のノズルキャリブレーションの履歴を示す情報と、当該場合のステージキャリブレーションの履歴を示す情報とを当該記憶部62から取得する。このため、当該記憶部62には、当該場合のノズルキャリブレーションの履歴を示す情報と、当該場合のステージキャリブレーションの履歴を示す情報とが記憶されている。そして、第1装置制御部は、取得したこれら2つの情報に基づいて、ノズルNzの高さと第1三次元造形装置のステージ20の高さとのそれぞれについてのオフセットを当該記憶部62に記憶して設定する。これにより、第1装置制御部は、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを行わずとも、第1三次元造形装置の状態を、過去にノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを行った後の第1三次元造形装置の状態へ一致させることができる。なお、当該場合のノズルキャリブレーションの履歴を示す情報と、当該場合のステージキャリブレーションの履歴を示す情報とのうちのいずれか一方又は両方は、記憶装置200に記憶されている構成であってもよい。
【0091】
次に、第1表示制御部は、ステップS160の判定結果を示す判定結果情報を含む画像を生成し、生成した画像を、第1情報処理装置の表示部65に表示させることにより、当該判定結果情報を出力する(ステップS170)。なお、第1表示制御部は、例えば、第1情報処理装置がスピーカーを備える場合、当該判定結果情報を示す音声をスピーカーから出力する構成であってもよい。この場合、第1表示制御部は、出力制御部として構成される。ステップS170の処理が行われた後、第1装置制御部は、
図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0092】
一方、第1装置制御部は、第1三次元造形装置のノズルNzが交換されていると判定した場合(ステップS150-YES)、ステージキャリブレーションを実施せずに、ノズルキャリブレーションを実施すると判定する(ステップS180)。この際、第1装置制御部は、第1三次元造形装置の記憶部62に記憶された情報のうち、第1造形面上に第1造形プレートを取り付けた場合のステージキャリブレーションの履歴を示す情報を当該記憶部62から取得する。そして、第1装置制御部は、取得した当該情報に基づいて、ステージ20の高さについてのオフセットを当該記憶部62に記憶して設定する。これにより、第1装置制御部は、ステージキャリブレーションを行わずとも、第1三次元造形装置の状態を、過去にステージキャリブレーションを行った後の第1三次元造形装置の状態へ一致させることができる。ステップS180の処理が行われた後、第1装置制御部は、ステップS170に遷移し、ステップS180の判定結果を示す判定結果情報を含む画像を生成し、生成した画像を、第1情報処理装置の表示部65に表示させることにより、当該判定結果情報を出力する。
【0093】
一方、第1装置制御部は、第1三次元造形装置と、第1造形プレート上に第1下地層を造形した三次元造形装置100とが一致していないと判定した場合(ステップS140-NO)、第1三次元造形装置における第1造形プレートの使用履歴が過去にあるか否かを判定する(ステップS190)。
図4では、ステップS190の処理を「使用履歴あり?」によって示している。ステップS190において、第1装置制御部は、例えば、第1造形プレート使用履歴情報に含まれるレコードのうち第1下地層が造形された後の日時を示す造形日時情報を含むレコードの中に、第1三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報を含むレコードが存在しているか否かを判定する。そして、第1装置制御部は、当該レコードが存在していないと判定した場合、第1三次元造形装置における第1造形プレートの使用履歴が過去にないと判定する。一方、第1装置制御部は、当該レコードが存在していると判定した場合、第1三次元造形装置における第1造形プレートの使用履歴が過去にあると判定する。
【0094】
第1装置制御部は、第1三次元造形装置における第1造形プレートの使用履歴が過去にあると判定した場合(ステップS190-YES)、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、第1三次元造形装置のノズルNzが交換されているか否かを判定する(ステップS200)。なお、ステップS200の処理は、ステップS150の処理と同様の処理である。このため、本実施形態では、ステップS200の処理についての詳細な説明を省略する。
【0095】
第1装置制御部は、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、第1三次元造形装置のノズルNzが交換されていないと判定した場合(ステップS200-NO)、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションの両方を実施しないと判定する(ステップS210)。なお、ステップS210の処理は、ステップS160の処理と同様の処理である。このため、本実施形態では、ステップS210の処理についての詳細な説明を省略する。ステップS210の処理が行われた後、第1装置制御部は、ステップS170に遷移し、ステップS210の判定結果を示す判定結果情報を含む画像を生成し、生成した画像を、第1情報処理装置の表示部65に表示させることにより、当該判定結果情報を出力する。
【0096】
一方、第1装置制御部は、第1造形プレート上に第1下地層が造形された日時から現在に至るまでの期間内において、第1三次元造形装置のノズルNzが交換されていると判定した場合(ステップS200-YES)、ステージキャリブレーションを実施せずに、ノズルキャリブレーションを実施すると判定する(ステップS220)。なお、ステップS220の処理は、ステップS180の処理と同様の処理である。このため、本実施形態では、ステップS220の処理についての詳細な説明を省略する。ステップS220の処理が行われた後、第1装置制御部は、ステップS170に遷移し、ステップS220の判定結果を示す判定結果情報を含む画像を生成し、生成した画像を、第1情報処理装置の表示部65に表示させることにより、当該判定結果情報を出力する。
【0097】
一方、第1装置制御部は、第1三次元造形装置における第1造形プレートの使用履歴が過去にないと判定した場合(ステップS190-NO)、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションの両方を実施すると判定する(ステップS230)。ステップS230の処理が行われた後、第1装置制御部は、ステップS170に遷移し、ステップS230の判定結果を示す判定結果情報を含む画像を生成し、生成した画像を、第1情報処理装置の表示部65に表示させることにより、当該判定結果情報を出力する。
【0098】
以上のように、第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、第1造形プレートを識別する造形プレート識別情報を取得し、第1三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報を取得し、造形プレート使用履歴情報を取得し、当該造形プレート識別情報と、当該三次元造形装置識別情報と、造形プレート使用履歴情報とを対応付けて記憶装置200に記憶させる。これにより、第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、キャリブレーション判定処理を行うことができる。その結果、第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、造形プレートを用いた複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0099】
また、第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、第1造形プレートを識別する造形プレート識別情報を取得し、第1三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報を取得する。第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、取得した造形プレート識別情報に対応付けられた第1造形プレート使用履歴情報を記憶装置200から取得する。第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、取得した第1造形プレート使用履歴情報と、取得した三次元造形装置識別情報とに基づいて、ノズルキャリブレーションとステージキャリブレーションとのそれぞれを行うか否かを判定する。これにより、第1情報処理装置、及び第1三次元造形装置は、造形プレートを用いた複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0100】
<情報処理装置が造形プレート上への下地層の造形を三次元造形装置に行わせる処理>
ここで、
図6を参照し、情報処理装置60が造形プレート上への下地層の造形を三次元造形装置100に行わせる処理について説明する。なお、
図6では、第1情報処理装置が第1造形プレート上への第1下地層の造形を第1三次元造形装置に行わせる処理を例に挙げて、情報処理装置60が造形プレート上への下地層の造形を三次元造形装置100に行わせる処理の流れについて説明する。
図6は、第1情報処理装置が第1造形プレート上への第1下地層の造形を第1三次元造形装置に行わせる処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、
図6に示したステップS310の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、第1情報処理装置に当該処理を開始させる下地層造形処理開始操作を第1情報処理装置が受け付けている場合について説明する。また、以下では、当該タイミングにおいて、第1造形プレート上に造形する第1下地層についての造形材料X1の種類を示す下地材料種類情報を第1情報処理装置が受け付けており、第1情報処理装置の記憶部62に当該下地材料種類情報が記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、第1造形面上に第1造形プレートが取り付けられている場合について説明する。
【0101】
下地層造形処理開始操作を受け付けた後、第1装置制御部は、第1三次元造形装置の検出部CMは、第1造形面上に取り付けられた第1造形プレートが有する造形プレート識別情報を検出し、検出した造形プレート識別情報を第1情報処理装置に出力する。これにより、当該場合、第1取得部は、第1造形面上に取り付けられた第1造形プレートを識別する造形プレート識別情報を検出部CMから取得する(ステップS310)。
【0102】
次に、第1装置制御部は、記憶部62に予め記憶された下地材料種類情報を記憶部62から読み出して取得する(ステップS320)。
【0103】
次に、第1装置制御部は、加熱部40を制御し、造形領域が予め決められた温度になるまで造形領域を加熱する(ステップS330)。
図6では、ステップS330の処理が「予備加熱」によって示されている。
【0104】
次に、第1装置制御部は、キャリブレーションの初期化を行う(ステップS340)。ここで、ステップS340の処理について説明する。
【0105】
キャリブレーションの初期化は、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションのそれぞれを行うため、XY平面におけるノズルNzの位置と、ノズルNzの高さと、ステージ20の高さとのそれぞれの基準となる位置へノズルNzとステージ20とを相対移動させる処理のことである。当該基準となる位置は、第1三次元造形装置において予め決められている。このため、第1情報処理装置の記憶部62には、当該基準となる位置を示す基準位置情報が予め記憶されている。
図7は、キャリブレーションの初期化が開始される前のタイミングにおいて重力方向と直交する方向に沿って見た場合の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。
図7に示した造形プレートPLは、第1造形プレートの一例を示す。
図7に示した例では、ノズルNzには、ステージキャリブレーションにおいて用いるキャリブレーションピンP1が設けられている。キャリブレーションピンP1は、ノズルNzとともに移動するピンである。
図7では、図を簡略化するため、キャリブレーションピンP1は、ノズルNzに設けられているように描かれている。しかしながら、キャリブレーションピンP1は、ノズルNzとともに移動可能であれば、ノズルNzと異なる部材に設けられていてもよい。また、キャリブレーションピンP1は、キャリブレーションピンP1の下端がノズルNzの先端よりも下側に位置するように、キャリブレーションピンP1が設けられる部材に設けられる。また、キャリブレーションピンP1は、使用されない場合、キャリブレーションピンP1が設けられる部材に収納可能に設けられてもよい。また、当該例では、ステージ20には、ノズルキャリブレーションにおいて用いられるキャリブレーションピンP2が設けられている。
図7では、キャリブレーションピンP2は、水平方向におけるステージ20の端部に設けられている。しかしながら、キャリブレーションピンP2は、三次元造形物の造形において邪魔にならない限り、他の位置に設けられてもよい。ただし、キャリブレーションピンP2の上端は、第1造形面の高さよりも高い位置に位置するように、ステージ20に設けられる。また、キャリブレーションピンP2は、キャリブレーションピンP2の上端の位置が前述の当該基準となる位置と一致するように、ステージ20に設けられる。なお、当該記憶部62には、ノズルNzの先端に対するキャリブレーションピンP1の下端の相対的な位置を示す第1相対位置情報が予め記憶されている。
【0106】
図8は、キャリブレーションの初期化を行った直後の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。第1装置制御部は、記憶部62に予め記憶された基準位置情報及び第1相対位置情報に基づいて移動部30を制御し、キャリブレーションピンP1の下端の位置を、キャリブレーションピンP2の上端の位置へ移動させて、
図8に示したように、キャリブレーションピンP1の下端とキャリブレーションピンP1の上端とを接触させる。これにより、第1情報処理装置は、ノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションのそれぞれを行うための準備として、キャリブレーションの初期化を完了する。すなわち、ノズルキャリブレーションは、キャリブレーションピンP1の下端がキャリブレーションピンP2の上端に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置と、ノズルNzの先端がキャリブレーションピンP2と接触している状態におけるノズルNzの先端の位置との間のオフセットを記憶する処理である。また、ステージキャリブレーションは、キャリブレーションピンP1の下端がキャリブレーションピンP2の上端に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置と、ノズルNzの先端が造形プレートPLの上面と接触している状態におけるノズルNzの先端の位置との間のオフセットを記憶する処理である。第1装置制御部は、キャリブレーションピンP1の下端をキャリブレーションピンP2の上端に接触させた後、キャリブレーションピンP1の下端をキャリブレーションピンP2の上端に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置を示す情報を、初期化位置情報として第1情報処理装置の記憶部62に記憶させる。
【0107】
ステップS340においてキャリブレーションの初期化が行われた後、第1装置制御部は、ノズルキャリブレーションを行う(ステップS350)。具体的には、第1装置制御部は、移動部30を制御し、ノズルNzの先端の位置をキャリブレーションピンP2の上端の位置へ移動させて、
図9に示したように、ノズルNzの先端とキャリブレーションピンP2の上端とを接触させる。
図9は、ノズルキャリブレーションを行った直後の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。第1装置制御部は、ノズルNzの先端をキャリブレーションピンP2の上端に接触させた後、ノズルNzの先端がキャリブレーションピンP2の上端に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置を示す情報を、ノズルキャリブレーションの履歴を示す情報として、第1情報処理装置の記憶部62に記憶させる。また、第1装置制御部は、ノズルNzの先端をキャリブレーションピンP2の上端に接触させた後、当該記憶部62に記憶された初期化位置情報が示す位置と、ノズルNzの先端がキャリブレーションピンP2の上端に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置との間のオフセットを、当該記憶部62に記憶して設定する。これにより、第1装置制御部は、ノズルキャリブレーションを完了する。
【0108】
ステップS350においてノズルキャリブレーションが行われた後、第1装置制御部は、ステージキャリブレーションを行う(ステップS360)。具体的には、第1装置制御部は、移動部30を制御し、キャリブレーションピンP1の下端を造形プレートPLの上面に接触させる。
図10は、ステージキャリブレーションを行った直後の、第1三次元造形装置のノズルNzと、第1三次元造形装置のステージ20とのそれぞれの相対的な位置関係の一例を示す図である。第1装置制御部は、キャリブレーションピンP1の下端を造形プレートPLの上面に接触させた後、キャリブレーションピンP1の下端が造形プレートPLの上面に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置を示す情報を、ステージキャリブレーションの履歴を示す情報として、第1情報処理装置の記憶部62に記憶させる。また、第1装置制御部は、キャリブレーションピンP1の下端を造形プレートPLの上面に接触させた後、当該記憶部62に記憶された初期化位置情報が示す位置と、キャリブレーションピンP1の下端が造形プレートPLの上面に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置との間のオフセットを、当該記憶部62に記憶して設定する。これにより、第1装置制御部は、ステージキャリブレーションを完了する。
【0109】
次に、第1装置制御部は、吐出部10、移動部30のそれぞれを制御し、第1造形プレート上への第1下地層の造形を第1三次元造形装置に行わせる(ステップS370)。
【0110】
次に、第1装置制御部は、ステップS310において第1取得部が取得した造形プレート識別情報、造形日時情報、下地材料種類情報、ジョブ識別情報、熱履歴情報、設定値情報、三次元造形装置識別情報等を特定する。そして、第1装置制御部は、特定したこれらの情報に基づいて、造形日時情報、下地材料種類情報、ジョブ識別情報、熱履歴情報、設定値情報、三次元造形装置識別情報等を含み、且つ、当該造形プレート識別情報が対応付けられたレコードを、記憶装置200に記憶された造形プレート使用履歴情報に追加する(ステップS380)。
図6では、ステップS380の処理を「造形プレート使用履歴情報記憶」によって示している。ステップS380の処理が行われた後、第1装置制御部は、
図6に示したフローチャートの処理を終了する。
【0111】
以上のような処理により、第1三次元造形装置は、第1造形プレート上に第1下地層を造形することができる。なお、第1装置制御部は、ステップS360の処理が行われた後のタイミングにおいて、第1装置制御部によって記憶部62に記憶されたノズルキャリブレーション位置情報を、ノズルキャリブレーションの履歴を示す情報として、ステップS310において第1取得部により取得された造形プレート識別情報に対応付けて記憶部62又は記憶装置200に記憶させる。また、第1装置制御部は、ステップS360の処理が行われた後のタイミングにおいて、第1装置制御部によって記憶部62に記憶されたステージキャリブレーション位置情報を、ステージキャリブレーションの履歴を示す情報として、ステップS310において第1取得部により取得された造形プレート識別情報に対応付けて記憶部62又は記憶装置200に記憶させる。ここで、当該ノズルキャリブレーション位置情報が示す位置は、ノズルNzの先端がキャリブレーションピンP2の上端に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置のことである。また、当該ステージキャリブレーション位置情報が示す位置は、キャリブレーションピンP1の下端が造形プレートPLの上面に接触している状態におけるノズルNzの先端の位置のことである。
【0112】
ここで、
図4に示したフローチャートのキャリブレーション判定処理は、
図6に示したフローチャートの処理によって第1下地層が造形された第1造形プレートを第1三次元造形装置に取り付ける場合において、実行される処理である。そして、
図4に示したステップS230によってノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを実施すると判定された場合、第1情報処理装置は、第1造形プレート上の第1下地層の上方への三次元造形物の造形を第1三次元造形装置に行わせる前に、
図6に示したステップS340~ステップS360の処理を行い、ノズルキャリブレーションとステージキャリブレーションとのそれぞれを行う。また、ステップS180又はステップS220によってステージキャリブレーションを実施せずにノズルキャリブレーションを実施すると判定された場合、第1情報処理装置は、第1造形プレート上の第1下地層の上方への三次元造形物の造形を第1三次元造形装置に行わせる前に、ステップS340及びステップS350の処理を行い、ステージキャリブレーションを行わずにノズルキャリブレーションを行う。また、ステップS160によってノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを実施しないと判定された場合、第1情報処理装置は、第1造形プレート上の第1下地層の上方への三次元造形物の造形を第1三次元造形装置に行わせる前のノズルキャリブレーション及びステージキャリブレーションを省略する。これにより、第1情報処理装置は、第1下地層が造形された第1造形プレートの使用履歴に基づいて、第1造形プレートを用いた複数の三次元造形物の造形に係るサイクルタイムの増大を抑制することができる。
【0113】
なお、上記において説明した内容は、如何様に組み合わされてもよい。
【0114】
<付記>
[1]
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、前記第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報を取得する第3取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1造形プレート識別情報と、前記第1三次元造形装置識別情報と、前記第1下地層関連情報とを対応付けて記憶装置に記憶させる、情報処理システム。
[2]
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の使用回数を示す第1下地層使用回数情報が含まれており、前記制御部は、前記第3取得部により取得された前記第1下地層関連情報に基づいて、前記第1下地層の使用回数が予め決められた第1閾値を超えているか否かを判定する、[1]に記載の情報処理システム。
[3]
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層が造形されてからの経過時間を示す第1下地層経過時間情報が含まれており、前記制御部は、前記第3取得部により取得された前記第1下地層関連情報に基づいて、前記第1下地層が造形されてからの経過時間が予め決められた第2閾値を超えているか否かを判定する、[1]又は[2]に記載の情報処理システム。
[4]
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の熱履歴を示す第1下地層熱履歴情報が含まれており、前記第1下地層熱履歴情報には、前記第1下地層の熱履歴の積算値を示す第1熱履歴積算値情報が含まれており、前記制御部は、前記第3取得部により取得された前記第1下地層関連情報に基づいて、前記第1下地層の熱履歴の積算値が予め決められた第3閾値を超えているか否かを判定する、[1]から[3]のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
[5]
前記制御部は、判定した結果に応じた情報を出力部に出力させる、[2]から[4]のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
[6]
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制 御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報を取得する第1取得部と、前記第1三次元造形装置を識別する第1三次元造形装置識別情報を取得する第2取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1造形プレート識別情報と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記第1取得部により取得された前記第1造形プレート識別情報に対応付けられた前記第1下地層関連情報を取得し、取得した前記第1下地層関連情報と、前記第2取得部により取得された前記第1三次元造形装置識別情報とに基づいて、前記第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、前記第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、情報処理システム。
[7]
前記制御部は、判定した結果を示す情報を出力する、[6]に記載の情報処理システム。
[8]
前記第1取得部により取得された前記第1造形プレート識別情報は、二次元コードと、RFID(Radio Frequency Identification)タグと、IC(Integrated Circuit)タグとのいずれかから検出された情報である、[6]又は[7]に記載の情報処理システム。
[9]
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムが備える記憶装置であって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートを識別する第1造形プレート識別情報と、前記第1造形プレートの上面上に造形される第1下地層に関する第1下地層関連情報とを対応付けて記憶し、前記第1下地層関連情報には、前記1以上の三次元造形装置のうち、前記第1下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報が含まれている、記憶装置。
[10]
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の使用回数を示す第1下地層使用回数情報が含まれている、[9]に記載の記憶装置。
[11]
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層が造形された日時を示す第1下地層造形日時情報が含まれている、[9]又は[10]に記載の記憶装置。
[12]
前記第1下地層関連情報には、前記第1下地層の熱履歴を示す第1下地層熱履歴情報が含まれている、[9]から[11]のうちいずれか一項に記載の記憶装置。
[13]
前記第1下地層熱履歴情報には、前記第1下地層が加熱された加熱時間を示す下地層加熱時間情報と、前記第1下地層が加熱された加熱温度を示す下地層加熱温度情報とのうちのいずれか一方又は両方が含まれている、[12]に記載の記憶装置。
[14]
前記第1下地層関連情報と、前記第1三次元造形装置のノズルに関する第1ノズル関連情報とを対応付けて記憶し、前記第1ノズル関連情報には、前記第1下地層を造形した三次元造形装置に装着されたノズルを識別するノズル識別情報が含まれている、[9]から[13]のうちいずれか一項に記載の記憶装置。
[15]
前記第1ノズル関連情報には、前記第1下地層を造形した三次元造形装置に取り付けられたノズルの交換履歴を示す情報が含まれている、[14]に記載の記憶装置。
[16]
ステージと、前記ステージに取り付けられた造形プレートの上方に造形材料を吐出する吐出ヘッドと、前記ステージに前記造形プレートが取り付けられた場合、前記造形プレートが有する造形プレート識別情報を検出する検出部と、前記ステージと前記吐出ヘッドとを相対移動させる移動部と、制御部と、を備え、前記造形プレート識別情報は、前記造形プレートを識別する情報であり、前記制御部は、前記造形プレート識別情報と、前記造形プレートの上面上に造形される下地層に関する下地層関連情報とを対応付けて記憶する記憶装置から、前記検出部により検出された前記造形プレート識別情報に対応付けられた前記下地層関連情報を取得し、取得した前記下地層関連情報に基づいて、前記吐出ヘッドのノズルの高さと、前記ステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、三次元造形装置。
[17]
前記下地層関連情報には、前記下地層関連情報に関する前記下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報が含まれており、前記制御部は、自装置を識別する三次元造形装置識別情報と、前記下地層関連情報に関する前記下地層を造形した三次元造形装置を識別する三次元造形装置識別情報とに基づいて、前記キャリブレーションを行うか否かを判定する、[16]に記載の三次元造形装置。
[18]
記憶部を備え、前記制御部は、前記造形プレート識別情報と、キャリブレーションの履歴を示すキャリブレーション履歴情報とを対応付けて前記記憶部又は前記記憶装置に記憶させる、[16]又は[17]に記載の三次元造形装置。
[19]
前記造形プレートが有する前記造形プレート識別情報は、二次元コードとして符号化された情報と、RFID(Radio Frequency Identification)タグに記憶された情報と、IC(Integrated Circuit)タグに記憶された情報とのいずれかの情報である、[16]から[18]のうちいずれか一項に記載の三次元造形装置。
[20]
三次元造形物を造形する1以上の三次元造形装置を制御する1以上の情報処理装置を含む情報処理システムであって、三次元造形物が造形される上面を有する造形プレートであり、且つ、前記1以上の三次元造形装置のうちの第1三次元造形装置のステージに取り付け可能な第1造形プレートの使用履歴に応じて、前記第1三次元造形装置が造形材料を吐出するノズルの高さと、前記第1三次元造形装置のステージの高さとのそれぞれについてのキャリブレーションを行うか否かを判定する、情報処理システム。
【0115】
以上、この開示の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0116】
また、以上に説明した装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。ここで、当該装置は、例えば、情報処理装置60、データ生成装置70、三次元造形装置100、記憶装置200等である。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0117】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル又は差分プログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…情報処理システム、10…吐出部、20…ステージ、21…造形面、30…移動部、31…第1移動機構部、32…第2移動機構部、40…加熱部、50…温度検出部、60…情報処理装置、61…プロセッサー、62…記憶部、63…入力受付部、64…通信部、65…表示部、66…制御部、70…データ生成装置、100、100-1~100-M…三次元造形装置、200…記憶装置、661…装置制御部、662…取得部、663…表示制御部、CM…検出部、Nz…ノズル、NW…ネットワーク、TC…三次元座標系、X、X1、X2…造形材料