(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071874
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】基板連結構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20240520BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H05K1/14 H
H05K7/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182356
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】松本 吉生
【テーマコード(参考)】
5E344
5E348
【Fターム(参考)】
5E344AA01
5E344AA22
5E344AA26
5E344BB02
5E344BB06
5E344CD18
5E344DD07
5E344DD09
5E344EE11
5E344EE23
5E348AA16
5E348AA32
(57)【要約】
【課題】第1基板と第2基板の間で回転および傾きが生じることを抑制する。
【解決手段】第1基板と、第1基板と間隔を開けて重なる第2基板と、第1基板の第1表面に設けられた第1コネクタと、第1表面に設けられ、第1基板から第2基板に向かって伸びたガイドピンと、第2基板の第2表面に設けられ、第1コネクタと嵌合した第2コネクタと、第2表面に設けられ、ガイドピンが挿入されたガイドピン受け部材と、を備え、ガイドピンは周方向に交互に設けられた3つ以上の凸部と凹部を有し、ガイドピン受け部材はガイドピンが挿入される穴であって3つ以上の凸部に対応した位置に3つ以上の凸部それぞれがそれぞれに挿入される3つ以上の被挿入部を有する穴を有し、ガイドピンは3つ以上の凸部それぞれのガイドピンの中心軸から最も離れた表面がガイドピン受け部材の3つ以上の被挿入部それぞれの内面に接してガイドピン受け部材に挿入されている、基板連結構造。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と間隔を開けて重ねて配置された第2基板と、
前記第1基板の前記第2基板に対向する第1表面に設けられた第1コネクタと、
前記第1基板の前記第1表面に設けられ、前記第1基板から前記第2基板に向かって伸びたガイドピンと、
前記第2基板の前記第1基板に対向する第2表面に設けられ、前記第1コネクタと嵌合した第2コネクタと、
前記第2基板の前記第2表面に設けられ、前記ガイドピンが挿入されたガイドピン受け部材と、を備え、
前記ガイドピンは、周方向に交互に設けられた3つ以上の凸部と前記3つ以上の凸部の間の凹部とを有し、
前記ガイドピン受け部材は、前記ガイドピンが挿入される穴であって前記3つ以上の凸部に対応した位置に前記3つ以上の凸部それぞれがそれぞれに挿入される3つ以上の被挿入部を有する前記穴を有し、
前記ガイドピンは、前記3つ以上の凸部それぞれの前記ガイドピンの中心軸から最も離れた表面が前記ガイドピン受け部材の前記3つ以上の被挿入部それぞれにおける前記穴の内面に接して前記ガイドピン受け部材に挿入されている、基板連結構造。
【請求項2】
前記3つ以上の凸部は、前記周方向に等間隔で設けられている、請求項1に記載の基板連結構造。
【請求項3】
前記ガイドピンは、前記周方向に前記3つ以上の凸部と前記凹部とが交互に設けられた第1部分と、前記第1部分より前記ガイドピンの先端側に位置し、前記ガイドピンの先端側から見て前記3つ以上の凸部の前記表面により形成される円より直径が小さい円柱形状をした第2部分と、を有する、請求項1または2に記載の基板連結構造。
【請求項4】
前記ガイドピンは、前記第1部分より前記ガイドピンの根元側に位置し、前記円以上の直径を有する円柱形状をし、前記ガイドピン受け部材の先端面が接触した第3部分を有する、請求項3に記載の基板連結構造。
【請求項5】
前記ガイドピンは、前記第1基板の前記第1表面に設けられた穴に挿入される平面視においてオーバル形状、楕円形状、長方形状、菱形形状、または台形形状をした挿入部を有する、請求項1または2に記載の基板連結構造。
【請求項6】
前記穴は、前記第1基板の前記第1表面から前記第1表面とは反対の第3表面に貫通し、
前記ガイドピンは、前記挿入部から突出した突出部を有し、前記第3表面において前記突出部がねじ固定されることで前記第1基板の前記第1表面に固定される、請求項5に記載の基板連結構造。
【請求項7】
前記ガイドピン受け部材は、前記第2基板の前記第2表面に固定されるために前記第2基板を前記第2表面から前記第2表面とは反対の第4表面に貫通する穴に挿入される挿入部と、前記挿入部の周りに設けられ、前記第2基板の前記第2表面に設けられた穴に挿入される1または複数の突起部と、を有する、請求項1または2に記載の基板連結構造。
【請求項8】
前記ガイドピン受け部材は、前記挿入部に設けられた爪部が前記第4表面に引っ掛かることで前記第2基板の前記第2表面に固定される、請求項7に記載の基板連結構造。
【請求項9】
前記ガイドピン受け部材は、前記第4表面において前記挿入部がねじ固定されることで前記第2基板の前記第2表面に固定される、請求項7に記載の基板連結構造。
【請求項10】
前記第1基板の前記第1表面に前記ガイドピンは1つだけ設けられている、請求項1または2に記載の基板連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の基板に設けられたコネクタと他方の基板に設けられたコネクタとを嵌合させることで、2つの基板を接続することが知られている。例えば、2つの基板に設けられたコネクタの位置決めを容易にするために、一方の基板にガイドピンが設けられ、他方の基板にガイドピンが挿入されるガイドブッシュが設けられた構成が知られている(例えば、特許文献1)。また、2つの基板が間隔を開けて対向して配置される場合に、2つの基板の間隔が所定の大きさになるよう、ガイドピンの根元に間隔を規制する規制部を設けた構成が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-302535号公報
【特許文献2】特開2018-148011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対向して配置される第1基板と第2基板それぞれに設けられたコネクタを嵌合させる場合に、第1基板に対して第2基板が所定の位置から回転したり、傾いたりした場合、コネクタが嵌合できずに破損することがある。
【0005】
1つの側面では、第1基板と第2基板との間で回転および傾きが生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、第1基板と、前記第1基板と間隔を開けて重ねて配置された第2基板と、前記第1基板の前記第2基板に対向する第1表面に設けられた第1コネクタと、前記第1基板の前記第1表面に設けられ、前記第1基板から前記第2基板に向かって伸びたガイドピンと、前記第2基板の前記第1基板に対向する第2表面に設けられ、前記第1コネクタと嵌合した第2コネクタと、
前記第2基板の前記第2表面に設けられ、前記ガイドピンが挿入されたガイドピン受け部材と、を備え、前記ガイドピンは、周方向に交互に設けられた3つ以上の凸部と前記3つ以上の凸部の間の凹部とを有し、前記ガイドピン受け部材は、前記ガイドピンが挿入される穴であって前記3つ以上の凸部に対応した位置に前記3つ以上の凸部それぞれがそれぞれに挿入される3つ以上の被挿入部を有する前記穴を有し、前記ガイドピンは、前記3つ以上の凸部それぞれの前記ガイドピンの中心軸から最も離れた表面が前記ガイドピン受け部材の前記3つ以上の被挿入部それぞれにおける前記穴の内面に接して前記ガイドピン受け部材に挿入されている、基板連結構造である。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面として、第1基板と第2基板との間で回転および傾きが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例1に係る基板連結構造の分解平面図である。
【
図2】
図2は、比較例1に係る基板連結構造の断面図である。
【
図3】
図3は、比較例1における第1コネクタと第2コネクタの嵌合工程を示す断面図である。
【
図4】
図4は、比較例2に係る基板連結構造の分解平面図である。
【
図5】
図5は、比較例2に係る基板連結構造の断面図である。
【
図6】
図6は、比較例2における第1コネクタと第2コネクタの嵌合工程を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施例1に係る基板連結構造の分解斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、実施例1における第1基板の斜視図、
図8(b)は、実施例1における第2基板の斜視図、
図8(c)は、第1コネクタと第2コネクタが嵌合した状態の斜視図である。
【
図9】
図9(a)および
図9(b)は、実施例1におけるガイドピンの斜視図、
図9(c)は、
図9(a)のA方向から見たガイドピンの平面図である。
【
図10】
図10(a)から
図10(e)は、実施例1におけるガイドピンの挿入部の形状の例を示す平面図である。
【
図12】
図12(a)および
図12(b)は、実施例1におけるガイドピンの第1基板への固定について示す斜視図および断面図である。
【
図13】
図13(a)および
図13(b)は、実施例1におけるガイドピン受け部材の第2基板への固定について示す斜視図および断面図である。
【
図14】
図14(a)および
図14(b)は、実施例1における第1コネクタと第2コネクタの嵌合工程を示す断面図である。
【
図15】
図15(a)から
図15(c)は、実施例1におけるガイドピンの3つの凸部それぞれの位置でのガイドピンとガイドピン受け部材の嵌合途中を示す断面図である。
【
図16】
図16(a)は、実施例1の変形例におけるガイドピンの斜視図、
図16(b)は、
図16(a)のA方向から見たガイドピンの平面図、
図16(c)は、実施例1の変形例におけるガイドピン受け部材の斜視図である。
【
図17】
図17(a)および
図17(b)は、実施例2におけるガイドピン受け部材の第2基板への固定について示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず初めに、比較例に係る基板連結構造について説明する。
【0010】
[比較例1]
図1は、比較例1に係る基板連結構造500の分解平面図である。
図2は、比較例1に係る基板連結構造500の断面図である。
図1および
図2のように、比較例1に係る基板連結構造500は、第1基板110と第2基板120とがほぼ平行となるように対向して配置されている。第1基板110と第2基板120はスタッキングコネクタ130により電気的に接続されている。第1基板110と第2基板120には、外部機器等の他の機器と接続するための複数のコネクタ114、124が設けられている。
【0011】
第1基板110には、スタッキングコネクタ130を構成する一方の第1コネクタ132が設けられている。第2基板120には、スタッキングコネクタ130を構成する他方の第2コネクタ134が設けられている。第1コネクタ132と第2コネクタ134が嵌合することで、第1基板110と第2基板120は電気的に接続される。
【0012】
スタッキングコネクタ130はガイドピン一体型のスタッキングコネクタである。したがって、第1コネクタ132にはガイドピン133が設けられ、第2コネクタ134にはガイドピン133が挿入される筒状のガイドピン挿入穴135が設けられている。第1基板110には、第1コネクタ132から離れた位置にガイドピン140が設けられている。第2基板120には、ガイドピン140に対応した位置に第2基板120を貫通する穴126が設けられている。ガイドピン140が穴126に挿入され、かつ、ガイドピン133がガイドピン挿入穴135に挿入された状態で、第1コネクタ132と第2コネクタ134とは嵌合する。
【0013】
図3は、比較例1における第1コネクタ132と第2コネクタ134の嵌合工程を示す断面図である。
図3のように、ガイドピン140を穴126に挿入し、かつ、ガイドピン133をガイドピン挿入穴135に挿入しながら、第2基板120を第1基板110に近づけることで第2コネクタ134を第1コネクタ132に嵌合させる。ガイドピン140が穴126に挿入し、かつ、ガイドピン133がガイドピン挿入穴135に挿入することで、第1基板110と第2基板120との間の回転が抑制される。ガイドピン挿入穴135は筒状の形状をしているため、このような形状のガイドピン挿入穴135にガイドピン133が挿入することで、第1基板110に対して第2基板120が傾くことが抑制される。したがって、第1コネクタ132と第2コネクタ134とが正常に嵌合され易い。
【0014】
しかしながら、スタッキングコネクタ130はガイドピン一体型であるため、ガイドピン一体型ではないスタッキングコネクタに比べて外形が大きくなる。このため、ガイドピン一体型であるスタッキングコネクタ130を配置できない場合が起こり得る。
【0015】
[比較例2]
図4は、比較例2に係る基板連結構造600の分解平面図である。
図5は、比較例2に係る基板連結構造600の断面図である。
図4および
図5のように、比較例2に係る基板連結構造600では、第1基板110と第2基板120に設けられたコネクタ114、124の外部との接続口の個数が比較例1に比べて多い。このため、コネクタ114、124に接続する配線(不図示)の引き回しが複雑化し、ガイド一体型のスタッキングコネクタ130が配置できないことが起こり得る。そこで、比較例2では、ガイドピン一体型ではないスタッキングコネクタ130aが用いられている。すなわち、第1基板110に設けられた第1コネクタ132aにはガイドピンが設けられてなく、第2基板120に設けられた第2コネクタ134aにはガイドピン挿入穴が設けられていない。スタッキングコネクタ130aはガイドピン一体型ではないため、比較例1におけるガイドピン一体型のスタッキングコネクタ130に比べて外形が小さくなる。このため、コネクタ114、124の接続口の個数が多い場合でも、スタッキングコネクタ130aを用いることができる。
【0016】
スタッキングコネクタ130aはガイドピン一体型ではない。このため、第1基板110にガイドピン140に加えてガイドピン140aが設けられ、第2基板120には穴126に加えてガイドピン140aに対応した位置に第2基板120を貫通する穴126aが設けられている。
【0017】
図6は、比較例2における第1コネクタ132aと第2コネクタ134aの嵌合工程を示す断面図である。
図6のように、ガイドピン140を穴126に挿入し、かつ、ガイドピン140aを穴126aに挿入しながら、第2基板120を第1基板110に近づけることで第2コネクタ134aを第1コネクタ132aに嵌合させる。ガイドピン140が穴126に挿入し、かつ、ガイドピン140aが穴126aに挿入することで、第1基板110と第2基板120との間の回転が抑制される。しかしながら、ガイドピン140、140aと穴126、126aとの場合には少なからず空隙が生じる上、ガイドピン140、140aが挿入する穴126、126aの深さは第2基板120の厚みしかない。このため、比較例1のようにガイドピン133が筒状のガイドピン挿入穴135に挿入される場合に比べ、第1基板110に対して第2基板120が傾き易くなる。つまり、第1基板110に対する第2基板120の傾きは穴126、126aの深さに対応する第2基板120の厚みでしか抑制されないため、第1基板110に対して第2基板120が傾き易くなる。第1基板110に対して第2基板120が傾いた状態では、第1コネクタ132aと第2コネクタ134aとが正常に嵌合され難くなり破損が生じてしまうことがある。
【0018】
そこで、ガイドピン一体型ではないスタッキングコネクタを用いた場合でも、第1基板と第2基板との間で回転および傾きが生じることが抑制され、第1コネクタと第2コネクタが正常に嵌合し易くなる実施例について以下に説明する。
【実施例0019】
図7は、実施例1に係る基板連結構造100の分解斜視図である。
図8(a)は、実施例1における第1基板10の斜視図、
図8(b)は、実施例1における第2基板20の斜視図、
図8(c)は、第1コネクタ32と第2コネクタ34が嵌合した状態の斜視図である。
図8(a)は、第1基板10を第2基板20側から見た斜視図であり、
図8(b)は、第2基板20を第1基板10側から見た斜視図である。
図8(c)では、第2基板20を透視してスタッキングコネクタ30、ガイドピン40、およびガイドピン受け部材50を図示している。
【0020】
図7および
図8(a)から
図8(c)のように、実施例1に係る基板連結構造100は、第1基板10の表面11と第2基板20の表面21とが対向して、第1基板10と第2基板20とがほぼ平行となるように配置されている。第1基板10と第2基板20はスタッキングコネクタ30により電気的に接続されている。第1基板10と第2基板20は、外部機器等の他の機器と接続するための複数のコネクタ14、24が設けられている。なお、第1基板10と第2基板20には、半導体素子等の素子、冷却フィン等の冷却部材、および配線等のその他の部品も設けられているが、図の明瞭化のために、これらの図示は省略している。
【0021】
第1基板10の表面11に、スタッキングコネクタ30を構成する一方の第1コネクタ32が設けられている。第1コネクタ32は例えば雌コネクタである。第2基板20の表面21に、スタッキングコネクタ30を構成する他方の第2コネクタ34が設けられている。第2コネクタ34は例えば雄コネクタである。第1コネクタ32と第2コネクタ34が嵌合することで、第1基板10と第2基板20は電気的に接続される。スタッキングコネクタ30は、ガイドピン一体型のスタッキングコネクタではない。このため、第1コネクタ32にはガイドピンは設けられてなく、第2コネクタ34にはガイドピンが挿入されるガイドピン挿入穴は設けられていない。
【0022】
第1基板10の表面11には、第1コネクタ32の近傍にガイドピン40が設けられている。第1基板10の表面11にはガイドピン40が1本だけ設けられている。第2基板20の表面21には、ガイドピン40に対応した位置にガイドピン40が挿入されるガイドピン受け部材50が設けられている。ガイドピン40がガイドピン受け部材50に設けられた穴53に挿入されて、第1コネクタ32と第2コネクタ34とは嵌合している。
【0023】
図9(a)および
図9(b)は、実施例1におけるガイドピン40の斜視図、
図9(c)は、
図9(a)のA方向から見たガイドピン40の平面図である。
図9(a)から
図9(c)のように、ガイドピン40は、第1基板10の表面11に接する円盤状の第4部分44と、第4部分44よりガイドピン40の先端側に位置する第1部分41、第2部分42、および第3部分43と、有する。ガイドピン40の先端側から第2部分42、第1部分41、第3部分43の順に位置している。
【0024】
第3部分43は、直径R1の円柱形状をしている。第3部分43の一端は第4部分44に接している。
【0025】
第1部分41は、第3部分43の他端に接し、周方向に凸部60と凸部60に対して凹んだ凹部61とが交互に並んだ形状をしている。凸部60は例えば3つ設けられているが、3つ以上設けられている場合でもよい。3つの凸部60は例えば周方向に等間隔で配置されている。
【0026】
凸部60は、ガイドピン40の中心軸Cから最も離れた表面62と、表面62に接した2つの側面63と、を有する。表面62および側面63は、中心軸Cに平行な方向が長手方向となっている。すなわち、凸部60は、中心軸Cに垂直な方向よりも中心軸Cに平行な方向に長い形状をしている。例えば、凸部60は、中心軸Cに平行な方向の最大長さが中心軸Cに垂直な方向の最大高さの5倍以上であってもよいし、8倍以上であってもよいし、10倍以上であってもよい。表面62は例えば円弧状をしている。3つの凸部60それぞれの表面62により形成される円の直径は、第3部分43の直径R1と同じである。つまり、第1部分41は、第3部分43と同じ直径R1をした円柱形状に3つのスリットを設けることで、周方向に交互に並んだ凸部60と凹部61とが形成されているとも言える。凸部60におけるガイドピン40の先端側に位置する端部65は、ガイドピン40の先端側に向かって中心軸Cからの高さが小さくなるようなテーパ形状をしている。
【0027】
第2部分42は、第1部分41に接していて、第3部分43の直径R1より小さな直径R2の円柱形状をしている。第2部分42は、第1部分41の3つの凸部60それぞれの表面62により形成される円の直径より小さな直径R2の円柱形状であるとも言える。例えば、第2部分42の直径R2は、第1部分41の3つの凹部61の底面により形成される円の直径と同じ大きさである。第2部分42の先端面と側面との交差部は面取り構造となっていてもよい。例えばC面取り構造となっていてもよい。
【0028】
ガイドピン40は、第4部分44に対して第3部分43とは反対側で第4部分44に設けられた挿入部45と、挿入部45から突出した円柱形状の突出部46と、を有する。挿入部45および突出部46は、ガイドピン40を第1基板10の表面11に固定するために設けられている。この点の詳細については後述する。
【0029】
ガイドピン40の中心軸Cに平行な方向において、第1部分41と第2部分42と第3部分43の長さは互いにほぼ同じ長さになっていてもよいし、第3部分43は第1部分41および第2部分42より短くてもよい。ガイドピン40は、例えばステンレス鋼等の金属により形成されている。例えば、ガイドピン40は、金属部材を削り出して形成され、第1部分41~第4部分44、挿入部45、および突出部46が一体構造をしている。なお、ガイドピン40は、樹脂部材により形成されてもよい。
【0030】
図10(a)から
図10(e)は、実施例1におけるガイドピン40の挿入部45の形状の例を示す平面図である。挿入部45は、平面視において、
図10(a)のようにオーバル形状をしていてもよいし、
図10(b)のように楕円形状をしていてもよいし、
図10(c)のように長方形状をしていてもよい。
図10(d)のように菱形形状をしていてもよいし、
図10(e)のように台形形状をしていてもよい。実施例1では、挿入部45はオーバル形状をしているとする。
【0031】
図11(a)および
図11(b)は、実施例1におけるガイドピン受け部材50の斜視図、
図11(c)は、
図11(a)のA-A間の断面図である。
図11(a)から
図11(c)のように、ガイドピン受け部材50は、中央部に貫通した第1穴を有する円盤状であって第2基板20の表面21に接する第1部分51と、第1部分51に接し、第1部分51の第1穴に連通した第2穴を有する円筒形状の第2部分52と、を有する。第1部分51の第1穴と第2部分52の第2穴とが連通することで、ガイドピン受け部材50には一端から他端にかけて貫通した穴53が設けられている。
【0032】
穴53は、ガイドピン40の形状に対応した形状をしている。すなわち、穴53は、中心部にガイドピン40の第2部分42が挿入する内径の小さな中央部54を有し、中央部54の周りにガイドピン40の第1部分41の凸部60が挿入する被挿入部55を有する。ガイドピン受け部材50の第1基板10側に位置する端面と穴53の内面との間の交差部は、例えば面取り構造となっている。例えばC面取り構造となっている。
【0033】
ガイドピン受け部材50は、第1部分51に対して第2部分52とは反対側で第1部分51に設けられた挿入部56と、挿入部56の周りに設けられた1または複数の突起部57と、を有する。挿入部56および突起部57は、ガイドピン受け部材50を第2基板20に固定するために設けられている。この点の詳細については後述する。
【0034】
図12(a)および
図12(b)は、実施例1におけるガイドピン40の第1基板10への固定について示す斜視図および断面図である。
図12(a)および
図12(b)のように、ガイドピン40は挿入部45と突出部46を有する。第1基板10には、ガイドピン40の挿入部45に対応した形状を有しかつ第1基板10を貫通した穴16が設けられている、すなわち、挿入部45が平面視においてオーバル形状をしている場合では、穴16も平面視においてオーバル形状をしている。第1基板10の穴16にガイドピン40の挿入部45を挿入する。これにより、挿入部45から突出した突出部46は第1基板10の表面11とは反対側の表面12から突出する。突出部46の側面には例えば雄ねじとなるねじ山(不図示)が形成されている。第1基板10の表面12において突出部46のねじ山にナット47に設けられたねじ山を嵌め合わせることで、ガイドピン40は第1基板10の表面11に固定される。挿入部45および穴16が平面視においてオーバル形状をしているため、挿入部45を穴16に挿入することでガイドピン40の向きが適切な方向を向くようにできる。
【0035】
図13(a)および
図13(b)は、実施例1におけるガイドピン受け部材50の第2基板20への固定について示す斜視図および断面図である。
図13(a)および
図13(b)のように、ガイドピン受け部材50は挿入部56と突起部57とを有する。第2基板20には、第2基板20を貫通する穴26と穴27が設けられている。穴26にはガイドピン受け部材50の挿入部56が挿入される。穴27には突起部57が挿入される。挿入部56は爪部58を有するため、挿入部56が穴26に挿入されることで、爪部58が第2基板20の表面21とは反対側の表面22に引っ掛かる。これにより、ガイドピン受け部材50は第2基板20の表面21に固定される。また、挿入部56を穴26の挿入する際に、突起部57が穴27に挿入されるようにする。これにより、ガイドピン受け部材50の向きが適切な方向を向くようにできる。なお、穴27は、第2基板20を貫通していない場合でもよい。
【0036】
図14(a)および
図14(b)は、実施例1における第1コネクタ32と第2コネクタ34の嵌合工程を示す断面図である。
図14(a)のように、ガイドピン40をガイドピン受け部材50の穴53に挿入させながら、第2基板20を第1基板10に近づける。ガイドピン40の第2部分42は、ガイドピン受け部材50の穴53の中央部54に挿入される。ガイドピン40の第1部分41の凸部60は、凸部60の表面62がガイドピン受け部材50の穴53の被挿入部55の内面に接して挿入される。
図14(b)のように、第2基板20を第1基板10に近づけることで、第1コネクタ32と第2コネクタ34とが嵌合する。ガイドピン受け部材50の先端面はガイドピン40の第3部分43に接し、これにより、第1基板10と第2基板20との間の間隔が適切な大きさになるように調整される。ガイドピン40とガイドピン受け部材50は、ガイドピン40の凸部60の表面62がガイドピン受け部材50の穴53の被挿入部55の内面に接して嵌合される。
【0037】
図15(a)から
図15(c)は、実施例1におけるガイドピン40の3つの凸部60それぞれの位置でのガイドピン40とガイドピン受け部材50の嵌合途中を示す断面図である。
図15(a)から
図15(c)では、ガイドピン40の3つの凸部60それぞれを凸部60a、60b、60cとする。
図15(a)から
図15(c)のように、3つの凸部60a、60b、60cの全てにおける表面62はガイドピン受け部材50の穴53の被挿入部55の内面に接して挿入される。
【0038】
ガイドピン40の第2部分42がガイドピン受け部材50の穴53の中央部54に挿入されやすくなるよう、穴53の中央部54は第2部分42より直径を少し大きくすることが行われる。このため、第2部分42とガイドピン受け部材50との間に空隙59が生じる。ガイドピン40に凸部60が1つしか設けられていないと、空隙59の分だけ第2基板20が第1基板10に対して傾くことが生じてしまう。ガイドピン40に凸部60が2つだけ設けられている場合も同様である。一方、実施例1では、ガイドピン40に3つの凸部60a、60b、60cが設けられ、凸部60a、60b、60cの全ての表面62がガイドピン受け部材50の穴53の被挿入部55の内面に接している。この場合、空隙59が形成されていても、第1基板10に対して第2基板20が傾くことが抑制される。
【0039】
[変形例]
図16(a)は、実施例1の変形例におけるガイドピン40の斜視図、
図16(b)は、
図16(a)をA方向から見たガイドピン40の平面図、
図16(c)は、実施例1の変形例におけるガイドピン受け部材50の斜視図である。
図16(a)および
図16(b)のように、実施例1の変形例におけるガイドピン40では、第1部分41において凸部60が等間隔に4つ設けられている。
図16(c)のように、実施例1の変形例におけるガイドピン受け部材50では、爪部58を各々有する挿入部56が等間隔に4つ設けられている。なお、図示は省略しているが、実施例1の変形例におけるガイドピン受け部材50の穴53には被挿入部55が4つ設けられている。実施例1の変形例に係る基板連結構造のその他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0040】
実施例1およびその変形例のように、ガイドピン40には3つ以上の凸部60が設けられていればよい。ガイドピン受け部材50には各々爪部58を有する挿入部56が2つ以上設けられていればよい。
【0041】
以上のように、実施例1およびその変形例によれば、
図8(a)のように、スタッキングコネクタ30の一方を構成する第1コネクタ32が設けられた第1基板10にガイドピン40が設けられている。
図8(b)のように、スタッキングコネクタ30の他方を構成する第2コネクタ34が設けられた第2基板20にガイドピン40が挿入されるガイドピン受け部材50が設けられている。
図9(a)から
図9(c)及び
図16(a)、
図16(b)のように、ガイドピン40は、周方向に交互に設けられた3つ以上の凸部60と凹部61とを有する。
図11(a)から
図11(c)のように、ガイドピン受け部材50は、ガイドピン40が挿入される穴53であって3つ以上の凸部60に対応した位置に凸部60が挿入される3つ以上の被挿入部55を有する穴53を有する。
図15(a)から
図15(c)のように、ガイドピン40は、3つ以上の凸部60それぞれの表面62がガイドピン受け部材50の3つ以上の被挿入部55それぞれの内面に接してガイドピン受け部材50に挿入される。このように、周方向に凸部60と凹部61を交互に有するガイドピン40を用いることで、第1コネクタ32と第2コネクタ34を嵌合させるときに、第1基板10と第2基板20との間で回転が生じることを抑制できる。3つ以上の凸部60それぞれの表面62が3つ以上の被挿入部55それぞれの内面に接してガイドピン40がガイドピン受け部材50に挿入されることで、第1基板10と第2基板20との間で傾きが生じることを抑制できる。また、3つ以上の凸部60それぞれの表面62が3つ以上の被挿入部55それぞれの内面に接することで、ガイドピン受け部材50に対するガイドピン40のセンター出しが良好に行われる。これらにより、実施例1によれば、第1基板10と第2基板20との間で回転および傾きが生じることを抑制しながら、第1コネクタ32と第2コネクタ34とを嵌合させることができる。
【0042】
また、実施例1およびその変形例では、
図9(c)および
図16(b)のように、3つ以上の凸部60は周方向に等間隔で設けられている。これにより、第1基板10と第2基板20との間で傾きが生じることを効果的に抑制できる。周方向に等間隔で設けられているとは、完全に等間隔で設けられている場合に限られず、第1基板10と第2基板20との間の傾きを効果的に抑制できる程度に等間隔で設けられていればよい。
【0043】
また、実施例1およびその変形例では、
図9(a)から
図9(c)および
図16(a)、
図16(b)のように、ガイドピン40は、第1部分41と、第1部分41より先端側に位置する第2部分42と、を有する。第1部分41は、周方向に凸部60と凹部61とが交互に設けられた部分である。第2部分42は、ガイドピン40の先端側から見て凸部60の表面62により形成される円より直径が小さい形状をした部分である。このような形状のガイドピン40を用いることで、ガイドピン40をガイドピン受け部材50に挿入させやすくなる。
【0044】
また、実施例1およびその変形例では、
図9(a)から
図9(c)および
図16(a)、
図16(b)のように、ガイドピン40は、第1部分41より根元側に位置する第3部分43を有する。第3部分43は、凸部60の表面により形成される円以上の直径を有する円柱形状をしている。これにより、円柱形状をした部材の一部にスリットを入れることで、第1部分41と第3部分43を有するガイドピン40が得られるようになる。また、第3部分43には、ガイドピン受け部材50の先端面が接触する。これにより、第3部分43を、第1基板10と第2基板20との間の間隔を所定の大きさに規制する部分として用いることができ、スタッキングコネクタ30に必要以上の力が加わらないようにすることができる。
【0045】
また、実施例1およびその変形例では、
図9(b)のように、ガイドピン40は第1基板10の表面11に設けられた穴16に挿入される挿入部45を有する。挿入部45は、
図10(a)から
図10(e)のように、平面視においてオーバル形状、楕円形状、長方形状、菱形形状、または台形形状をしている。これにより、ガイドピン40が適切な方向を向くようにして、ガイドピン40を第1基板10の表面11に設けることができる。
【0046】
また、実施例1およびその変形例では、
図12(a)および
図12(b)のように、ガイドピン40は、挿入部45から突出した突出部46が第1基板10の表面12においてねじ固定されることで、第1基板10の表面11に固定されている。これにより、ガイドピン40を第1基板10の表面11に簡易な方法で強固に固定することができる。
【0047】
また、実施例1およびその変形例では、
図11(b)および
図13(a)のように、ガイドピン受け部材50は、挿入部56と、1または複数の突起部57と、を有する。挿入部56は、ガイドピン受け部材50を第2基板20の表面21に固定するために第2基板20に設けられた穴26に挿入される。突起部57は、挿入部56の周りに設けられ、第2基板20に設けられた穴27に挿入される。このように、挿入部56を穴26に挿入する際に、突起部57を穴27に挿入することで、ガイドピン受け部材50が適切な方向を向くようにして、ガイドピン受け部材50を第2基板20の表面21に設けることができる。
【0048】
また、実施例1およびその変形例では、
図13(a)および
図13(b)のように、ガイドピン受け部材50は、挿入部56に設けられた爪部58が第2基板20の表面22に引っ掛かることで第2基板20の表面21に固定されている。これにより、ガイドピン受け部材50を簡易な方法で他の部材および工具を用いずに、第2基板20の表面21に固定することができる。なお、実施例1およびその変形例において、ガイドピン40が、ガイドピン受け部材50と同様に、爪部によって第1基板10の表面11に固定されてもよい。
【0049】
また、実施例1およびその変形例では、
図7のように、第1基板10の表面11にガイドピン40が1本だけ設けられている。これにより、第1基板10の実装領域を広くすることができる。なお、第1基板10に設けられたガイドピン40が1本だけであることから、第2基板20に設けられたガイドピン受け部材50も1つだけである。
【0050】
また、実施例1およびその変形例では、
図9(a)、
図9(b)、及び
図16(a)のように、凸部60は、ガイドピン40の先端側に位置する端部65において、ガイドピン40の先端側に向かって中心軸Cからの高さが小さくなるテーパ形状を有する。これにより、ガイドピン40をガイドピン受け部材50に挿入し易くなる。
【0051】
また、実施例1およびその変形例では、
図11(a)のように、ガイドピン受け部材50は、第1基板10側の端面と穴53の内面との交差部が面取り構造をしている。これにより、ガイドピン40をガイドピン受け部材50に挿入し易くなる。
実施例1では、ガイドピン受け部材50の挿入部56に設けられた爪部58を第2基板20の表面22に引っ掛けることで、ガイドピン受け部材50を第2基板20の表面21に固定する場合を例に示した。しかしながら、この場合に限られず、実施例2のように、ガイドピン受け部材50aは、第2基板20の表面22において挿入部56aがねじ固定されることで、第2基板20の表面21に固定されてもよい。これにより、ガイドピン受け部材50aを第2基板20の表面21に簡易な方法で強固に固定することができる。また、様々な厚さの第2基板20にガイドピン受け部材50aを固定することが可能となる。
実施例1では、爪部58を第2基板20の表面22に引っ掛けるため、ガイドピン受け部材50は樹脂により形成されることが好ましい。一方、実施例2では、挿入部56aがねじ固定されるため、ガイドピン受け部材50aは樹脂の他にステンレス等の金属により形成されることができる。ガイドピン受け部材50aが金属により形成されることで、ガイドピン受け部材50aの強度が向上する。また、
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。