(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071880
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】表面保護フィルム基材および成型加工用表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240520BHJP
B32B 27/08 20060101ALI20240520BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240520BHJP
C09J 7/22 20180101ALI20240520BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240520BHJP
【FI】
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
B32B27/08
B32B27/00 M
C09J7/22
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182364
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186484
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 満
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 雅
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F071AA20X
4F071AA21
4F071AA75X
4F071AF04
4F071AF13Y
4F071AF20Y
4F071AF58
4F071AG17
4F071AH04
4F071AH07
4F071BB06
4F071BC02
4F071BC12
4F100AK08A
4F100AK25D
4F100AK64B
4F100AK64C
4F100AL02B
4F100AL02C
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CB05D
4F100EH20
4F100EJ55
4F100GB32
4F100GB48
4F100JA06
4F100JB04B
4F100JB04C
4F100JK07A
4F100JK07B
4F100JK07C
4F100JL13D
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA04
4J004CC02
4J004FA04
(57)【要約】
【課題】軟質塩化ビニルを使用することのない表面保護フィルム基材を提供する。
【解決手段】軟質塩化ビニル以外の樹脂を主体とするフィルムからなるフィルム基材であって、100%伸長直後の応力をA、100%伸長し5分間保持した時の応力をBとし、下記式(a)で示す応力減少率が60%以上であることを特徴とする表面保護フィルム基材。
(a)100×(A-B)/A
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質塩化ビニル以外の樹脂を主体とするフィルムからなるフィルム基材であって、100%伸長直後の応力をA、100%伸長し5分間保持した時の応力をBとし、下記式(a)で示す応力減少率が60%以上である表面保護フィルム基材。
(a)100×(A-B)/A
【請求項2】
1Hzの粘弾性測定において、tanδピーク高さが1.5以上である樹脂が全体の60質量%以上を占める請求項1に記載の表面保護フィルム基材。
【請求項3】
100%伸長させ5分間把持し、しかる後に把持を解放した時の伸長変形率が60%以上である請求項1に記載の表面保護フィルム基材。
【請求項4】
表面層(A)/中間層(B)の二層、あるいは表面層(A)/中間層(B)/表面層(C)の三層からなる請求項1に記載の表面保護フィルム基材。
【請求項5】
片側、あるいは両面の、表面の濡れ張力が36mN/m以上である請求項1に記載の表面保護フィルム基材。
【請求項6】
請求項1に記載の表面保護フィルム基材に粘着剤を塗布してなる成型加工用表面保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤を塗布して表面保護フィルムとする表面保護フィルム基材およびそれを用いてなる成型加工用表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より家電製品や自動車部品などに使用される樹脂版、金属板の表面保護として軟質塩化ビニルが用いられた表面保護フィルムが好適に使用されている。この軟質塩化ビニルはしなやかさと延伸などの変形に対する追従性を持ち、特に被着体である樹脂版や金属板の成型加工時に使用される表面保護フィルムとしての非常に好適な素材として用いられている。
【0003】
しかし、昨今の持続可能な開発目標の中の気候変動や陸上資源・海洋資源の項に対し、使用済みとなった表面保護フィルムを焼却する際、軟質塩化ビニルが用いられた表面保護フィルムでは、焼却時に芳香族化合物など混在した状態で不完全燃焼を起こすとダイオキシンが発生したり、あるいは無毒な状態に焼却分解させるために、より高温での燃焼が必要であったりと、環境問題及びエネルギー問題とは逆行することがある。
【0004】
また、例えば特許文献1~3に示すような一般的な樹脂を用いた表面保護フィルムの場合、変形に対する追従性を満たしてはおらず成型加工の際に被着体の変形部分や端部において浮いたり剥がれたりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2506849号公報
【特許文献2】特開2021-14593号公報
【特許文献3】特開平4-55488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決し、軟質塩化ビニルを使用することのない表面保護フィルム基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究開発を重ねた結果、次のような構成とすることで目的が達成できることを見い出した。
(1)軟質塩化ビニル以外の樹脂を主体とするフィルムからなるフィルム基材であって、100%伸長直後の応力をA、100%伸長し5分間保持した時の応力をBとし、下記式(a)で示す応力減少率が60%以上であることを特徴とする表面保護フィルム基材。
(a)100×(A-B)/A
(2)1Hzの粘弾性測定において、tanδピーク高さが1.5以上である樹脂が全体の60質量%以上を占める上記(1)に記載の表面保護フィルム基材。
(3)100%伸長させ5分間把持し、しかる後に把持を解放した時の伸長変形率が60%以上である上記(1)に記載の表面保護フィルム基材。
(4)表面層(A)/中間層(B)の二層、あるいは表面層(A)/中間層(B)/表面層(C)の三層からなる上記(1)に記載の表面保護フィルム基材。
(5)片側、あるいは表面の濡れ張力が36mN/m以上である上記(1)に記載の表面保護フィルム基材。
(6)上記(1)に記載の表面保護フィルム基材に粘着剤を塗布してなる成型加工用表面保護フィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表面保護フィルム基材は、伸長時の応力減少率が大きく、粘着剤を塗布して表面保護フィルムとした後の成型加工にて、表面保護フィルムの粘着力よりも伸長時の応力が勝り被着体の端部から徐々に剥がれていくことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の表面保護フィルム基材は、100%伸長直後の応力をA、100%伸長し5分間保持した時の応力をBとし、その応力の減少量A-BがAの60%以上100%以下である。この応力減少率が60%未満である場合、表面保護フィルムの被着体に対する粘着力よりもフィルムの成型後に元に戻ろうとする応力の方が強くなってしまい、被着体の端部や成型加工品の凹部から表面保護フィルムが剥がれてしまうことがある。応力減少率が60%以上であると、表面保護フィルムの成型後に元に戻ろうとする応力よりも粘着力が勝り、被着体の端部や凹部にも貼合されたままで剥がれることがない。尚、応力減少率は、より好ましくは70%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
【0010】
本発明の表面保護フィルム基材は、1Hzの粘弾性測定において、tanδピーク高さが1.5以上である樹脂が全体の60質量%以上を占めることが好ましい。tanδピーク高さが1.5以上である樹脂が全体の60質量%未満である場合、フィルムの動的貯蔵弾性率の数値が高くなることがあり、成型加工において表面保護フィルムの変形に対して形状が元に戻ろうとする働きが強くなることがあり、そのため表面保護フィルムの粘着力による被着体に対する把持に変形の戻りが勝り、結果として被着体の成型部分や端部から表面保護フィルムが浮いたり剥がれたりしてしまうことがある。なお、フィルム基材のフィルムが、樹脂を主体とするとは、樹脂が50質量%以上のことを言う。tanδピーク高さが1.5以上である樹脂が全体の60質量%以上であると、フィルムの動的貯蔵弾性率が低く、変形に対して元に戻ろうとする働きが少なくなり、表面保護フィルムの変形よりも粘着力による被着体に対する把持が勝り、被着体から表面保護フィルムが浮いたり剥がれたりしてしまうことが無くなる。尚、tanδピーク高さが1.5以上である樹脂の質量は好ましくは全体の70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
【0011】
本発明の表面保護フィルム基材は、100%伸長させ5分間把持し、しかる後に把持を解放した時の伸長変形率が60%以上であることが好ましい。伸長変形率が60%未満である場合、成型加工後に表面保護フィルムの形状が元に戻る働きが強くなることがあり、結果として被着体の成型部分や端部から表面保護フィルムが浮いたり剥がれたりしてしまうことがある。伸長変形率が60%以上であるならば、成型加工後に表面保護フィルムの変形が被着体に追随するため成型部分や端部から表面保護フィルムが浮いたり剥がれたりといったことが改善されることがある。尚、伸長変形率は好ましくは70%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下である。
【0012】
本発明の表面保護フィルム基材は、上記応力減少率、樹脂配合量が伸長変形率を損ねない範囲であれば、フィルム基材が積層構造の場合はその層の数は特に制限はなく、例えばtanδピーク高さが1.5以上である樹脂層の粘着性が高く、フィルムとしてロール状に巻き取ることが困難である場合は、フィルム基材の少なくとも一方の面に滑りやすい樹脂層を積層する共押出フィルムとすることもよい。その場合はtanδピーク高さが1.5以上である樹脂層の割合が全体に対し60質量%以上、好ましくは60~90質量%、より好ましくは70~80質量%であることが望ましい。
【0013】
同様に応力の減少量、樹脂配合量、伸長変形率を損ねない範囲であれば他の種類の樹脂を配合、もしくは樹脂層を積層しても良く、例えばスチレン-ブタジエンラバー単体ではべたつきが強いために片面、あるいは両面にプロピレン系共重合体や低密度ポリエチレン系樹脂などを表面に積層することもよい。好ましくは表面層(A)/中間層(B)の二層、より好ましくはtanδピーク高さが1.5以上である樹脂層が中間層(B)に積層される表面層(A)/中間層(B)/表面層(C)の三層である。
【0014】
本発明の表面保護フィルム基材の、上記応力減少率、樹脂配合量、伸長変形率を損ねない範囲であれば、フィルム基材に用いられる樹脂の種類に制限はなく、例えば4-メチルペンテン、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエンラバー、水添スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンエラストマーなどが好ましくあげられる。
【0015】
本発明の表面保護フィルム基材の厚さについては特に制限は無いが、好ましくは厚さが30~80μm、より好ましくは40~60μmである。
【0016】
上記、表面保護フィルム基材は、片面に糊剤(粘着剤)を塗布し粘着性を発現させて表面保護フィルムとすることができる。
【0017】
粘着剤が塗布される表面保護フィルム基材の片側表面の濡れ張力は、粘着剤との接着力を高めるために、コロナ放電処理などの表面処理を施し、36mN/m以上であることが好ましい。この時のコロナ放電処理などの条件は、フィルム幅や巻取速度等の条件に応じて決めればよく、表面の濡れ張力は36mN/m以上、好ましくは38~45mN/mの範囲、特に好ましくは41~45mN/mの範囲となるように、電流、電圧値などの処理条件を決めればよい。ただし、必要以上に処理強度を強めると、放電ムラを生じ、フィルム外観不良を招くばかりではなく、粘着層との接着力も低下することがある。さらに濡れ張力が大きすぎると、本発明の表面保護フィルム基材を巻き取り、ロール状とした際に、フィルム同士でブロッキングと呼ばれる固着が生じるおそれがある。
【0018】
コロナ放電処理の代わりに、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理を行う場合には、通常工業的に採用されている方法によって表面処理を施すことができる。かかる表面処理は、フィルムの製膜加工中に行ってもよく、一旦フィルムを巻き上げた後、後処理加工として表面処理を施してもよい。
【0019】
本発明の表面保護フィルム基材の、粘着剤が塗布されない側の表面に、必要に応じて例えばシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などの離型剤の添加や塗布をして離型処理を施してもよい。かかる離型処理を施すことにより、表面保護フィルムとして、ロール状に巻回したものの巻き戻しを容易にすることができる。また、離型処理の他に、印刷などの加工を容易にするために、本発明の表面保護フィルム基材の、粘着剤が塗布されない側の表面に、表面処理、例えば前述のコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などを施しても良い。
【0020】
本発明の表面保護フィルムにおける、粘着剤層の主成分については、フィルム面に粘着剤として塗布される一般的に用いられている粘着剤について、種類は問わない。粘着剤として塗布されるものとしては、例えば、アクリル系、スチレン系、ウレタン系などの粘着剤があげられる。また、要求される粘着力の強弱に応じ、ロジン系、テルペン系などの粘着付与剤や、粘着性を損なわない範囲にて帯電防止剤、酸化防止剤などの各種添加剤を添加しても良い。
【実施例0021】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明の表面保護フィルム基材を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す方法で測定、評価した。
【0022】
(1)応力減少量と減少率
表面保護フィルム基材を幅2cm、長さ10cmに裁断し、テンシロン引張試験機にてチャック間を5cmとしてセットし、引っ張り速度300mm/minにて5cm引っ張り、引っ張り完了直後の応力(A)、ならびにそのままの状態を5分間保持しその時の応力(B)を記録した。その後、応力(A)と応力(B)の差を元の応力(A)で除算し、応力減少率を計算した。
【0023】
(2)伸長変形率
上記(1)の応力減少率測定後、テンシロン引張試験機のチャックを元に戻し、1分後に再度チャックを下に引っ張り応力が計測される時点まで引っ張り、応力が計測されるまでの引っ張り量を測定した。その後に応力が計測されるまでの引っ張り量をチャック間の5cmで除算し、伸長変形率を計算した。
【0024】
(3)濡れ張力
和光純薬工業(株)製のぬれ張力試験用混合液を用い、JIS K6768(1999年)に準じ測定した。
【0025】
(4)経時剥がれ
ステンレス鋼板(SUS304薄板、厚さ1mm)に対し180°、速度300mm/minで剥離した時の粘着力が3N/50mmとなるようアクリル粘着剤を調製した。そのアクリル粘着剤を用いて、表面保護フィルム基材の表面に厚さ5μmとなるよう塗布し表面保護フィルムを作製した。その後、ステンレス鋼板に粘着させた後、90°にステンレス鋼板を折り曲げて23℃環境下にて7日間保ち、鋼板折り曲げ部や端部で表面保護フィルムの剥がれの有無を目視確認した。目視確認にて剥がれがある場合は×、剥がれが無い場合は○と判定した。
【0026】
(5)tanδピーク高さ
原料チップを厚さ1mmに溶融成型したものをサンプルとし、その後TAインスツルメント社製レオメーターAR2000exを用いて200℃から-70℃まで速度20℃/分で降温後、-70℃から80℃まで速度10℃/分で昇温しながら、周波数1Hz、ひずみ0.01%で動的せん断変形させ、昇温過程でのtanδのピーク高さを評価した。
【0027】
<実施例1>
軟質塩化ビニル以外の樹脂として、tanδピーク高さが2.7である4-メチルペンテン樹脂(MFR 8.0g/10分)を中間層(B)として、表面層(A)および表面層(C)としてtanδピーク高さが0.8であるプロピレン・エチレン系ブロック共重合体(エチレン含有量:6.0質量%、MFR8.5g/10分)を、表面層(A)/中間層(B)/表面層(C)の厚み比率が10%:80%:10%となるよう、Tダイ型複合製膜機で共押し出しして、全体の厚さが50μmのフィルムを得た。引き続き、表面層(A)にE値15W・min/m2でコロナ処理を施して表面保護フィルム基材を作成した。
【0028】
次に上記表面保護フィルム基材のコロナ処理を施した面に、ステンレス鋼板(SUS304薄板、厚さ1mm)に対し180°、速度300mm/minで剥離した時の粘着力が3N/50mmとなるようアクリル粘着剤を調製し、厚さ5μmとなるよう塗布して表面保護フィルムを作成した。
【0029】
<実施例2>
実施例1において、中間層(B)のtanδピーク高さが2.7である4-メチルペンテン樹脂(MFR 8.0g/10分)の代わりにtanδピーク高さが1.5である4-メチルペンテン樹脂(MFR10.0g/10分)を、表面層(A)および表面層(C)に使用されているtanδピーク高さが0.8であるブロックコポリマーの代わりにtanδピーク高さが0.7であるプロピレン・エチレンランダム共重合体(エチレン共重合量:4質量%、MFR5g/10分)を用いたこと以外は実施例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0030】
<実施例3>
実施例1において、表面層(A)およびに表面層(C)に使用する樹脂をtanδピーク高さが0.8であるプロピレン・エチレン系ブロック共重合体の代わりにtanδピーク高さが0.7である低密度ポリエチレン(MFR7g/10分)を用いたこと以外は実施例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0031】
<実施例4>
実施例1において、中間層(B)のtanδピーク高さが1.5である4-メチルペンテン樹脂の代わりにtanδピーク高さが1.7である水添スチレン-ブタジエンラバー(MFR 6.0g/10分)を用いたこと以外は実施例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0032】
<実施例5>
実施例1において、厚み比率が10%:80%:10%から20%:60%:20%と変更したこと以外は実施例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0033】
<比較例1>
実施例1の中間層(B)をtanδピーク高さが2.7である4-メチルペンテン樹脂の代わりとして樹脂のtanδピーク高さが0.8であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(エチレン含有量:20質量%、MFR g/10分)を用い、Tダイ型複合製膜機で押し出した以外は実施例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0034】
<比較例2>
比較例1において、中間層(B)をtanδピーク高さが2.7である4-メチルペンテン樹脂の代わりとして、tanδピーク高さが0.7である低密度ポリエチレン樹脂(MFR7g/10分)とした以外は比較例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0035】
<比較例3>
実施例1において、中間層(B)をtanδピーク高さが2.7である4-メチルペンテン樹脂の代わりにtanδピーク高さが1.0である水添スチレン-ブタジエンラバー樹脂(MFR g/10分)を用いたこと以外は実施例1と同様とし、表面保護フィルムを作成した。
【0036】
実施例1~5、並びに比較例1~3の評価結果を表1に示す。
【0037】
実施例1~5の表面保護フィルム基材は、いずれも応力減少率・伸長変形率に優れ、表面保護フィルムとして上記ステンレス鋼板に貼合した後、成型加工を施し経時で保管しても浮きや剥がれが発生していない。そのため特に成型加工を要する被着体への表面保護に好適に用いられる。
【0038】
比較例1~3の表面保護フィルム基材はいずれも応力減少率が60%未満であり、また伸長変形率、あるいはtanδピーク高さが1.5以上である樹脂が全体の60質量%未満であるため、品質に合致しておらず、上記ステンレス鋼板の成型加工後に浮きや剥がれが見られ、表面保護という目的にそぐわない。
【0039】