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  • 特開-飛翔体発射機 図1
  • 特開-飛翔体発射機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071884
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】飛翔体発射機
(51)【国際特許分類】
   F41F 3/052 20060101AFI20240520BHJP
   B64F 1/06 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
F41F3/052
B64F1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182373
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康仁
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で飛翔体の前後方向の揺動を防止することができると共に、飛翔体の拘束が解除されたことを検出することが可能な拘束機構を備える、飛翔体発射機を提供する。
【解決手段】飛翔体発射機は、台座と、飛翔体を搭載した状態で前記台座に対して上下方向に回動するように構成された滑走台と、前記滑走台上における前記飛翔体の前後方向の揺動を防止するための拘束機構と、を備え、前記飛翔体は、その下部外面に凹部を備え、前記拘束機構は、前記滑走台に固定された拘束機構本体を備え、前記拘束機構本体は、上下方向に移動可能に構成されると共に上端に拘束部を有する拘束部材を備え、前記拘束部は、前記滑走台が前記台座に対して平行な状態においては、前記凹部に嵌り込んでおり、前記滑走台が前記台座に対して傾斜した状態に移行することにより、自動的に前記凹部から離脱する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
飛翔体を搭載した状態で前記台座に対して上下方向に回動するように構成された滑走台と、
前記滑走台上における前記飛翔体の前後方向の揺動を防止するための拘束機構と、
を備える飛翔体発射機であって、
前記飛翔体は、その下部外面に凹部を備え、
前記拘束機構は、前記滑走台に固定された拘束機構本体を備え、
前記拘束機構本体は、上下方向に移動可能に構成されると共に上端に拘束部を有する拘束部材を備え、
前記拘束部は、
前記滑走台が前記台座に対して平行な状態においては、前記凹部に嵌り込んでおり、
前記滑走台が前記台座に対して傾斜した状態に移行することにより、自動的に前記凹部から離脱する、飛翔体発射機。
【請求項2】
前記拘束機構は、前記台座に固定された固定具を更に備え、
前記拘束機構本体は、内部にスプリング室が形成されたハウジングを更に備え、
前記拘束部材は、前記スプリング室内を上下方向に摺動するように構成されたガイド部を更に有し、
前記スプリング室内には、スプリングが配置されており、
前記滑走台が前記台座に対して平行な状態においては、前記拘束部材の下端が前記固定具の上端と接触することにより、前記スプリングは圧縮された状態にあり、
前記滑走台が前記台座に対して傾斜した状態に移行すると、前記拘束部材の前記下端が前記固定具の前記上端から離れ、これにより前記スプリングが圧縮された状態から解放され、前記ガイド部が前記スプリングにより下方へ押されることにより前記拘束部材が下方へ移動し、その結果、前記拘束部が前記凹部から離脱する、請求項1に記載の飛翔体発射機。
【請求項3】
前記ハウジング内には、更に検出器室が形成されており、
前記検出器室内には、前記拘束部の下面から突出する突起部が延びると共に、前記突起部の上下方向の位置を検出する位置検出器が配置されており、
前記位置検出器は、前記拘束部が前記凹部から離脱したことを検出する、請求項2に記載の飛翔体発射機。
【請求項4】
前記位置検出器はリミットスイッチである、請求項3に記載の飛翔体発射機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛翔体発射機に関する。
【背景技術】
【0002】
飛翔体を発射するための飛翔体発射機は、台座と、飛翔体を搭載(又は収容)した状態で台座に対して上下方向に回動するように構成された滑走台(又は発射筒)と、を備えている。台座は、地上に設置され、あるいは、車両又は艦船に搭載され、必要に応じて鉛直軸の周りを回転するように構成されている。
【0003】
特に車両又は艦船に搭載された飛翔体発射機の場合、走行時又は航行時における車両又は艦船の揺れに起因して、飛翔体が滑走台上(又は発射筒内)において前後方向に揺動する可能性がある。
【0004】
これを防止するために、拘束部材を備える拘束機構を滑走台(又は発射筒)に設けると共に、飛翔体(特に、その下部外面)に凹部を設け、飛翔体の発射直前までは、拘束機構の拘束部材を飛翔体の凹部に嵌め込ませておくことにより飛翔体を拘束し、その前後方向の揺動を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-210595号公報
【特許文献2】特開2001-248999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術においては、飛翔体を発射する場合、飛翔体の拘束を解除すべく、飛翔体の凹部に嵌め込まれていた拘束部材を、当該凹部から離脱させるために、アクチュエータが用いられている。このため、上述した拘束機構においては、アクチュエータが必要であるうえ、ギア等の駆動部品も必要となり、部品点数の増加及び構造の複雑化を招き、製造コストも高くなるという問題があった。
【0007】
また、上述した拘束機構には、拘束部材が飛翔体の凹部から離脱したことを検出する手段が設けられていないため、何らかの原因で拘束部材が飛翔体の凹部から離脱せず、飛翔体の拘束が解除されなかった場合にも、これを理由として飛翔体の発射を中止する判断を下すことができなかった。そのため、飛翔体が滑走台上(又は発射筒内)に留まった状態で飛翔体の推進薬が点火される可能性があり、安全上の問題があった。
【0008】
本開示は、以上のような問題に鑑みてなされたものであって、簡易な構造で飛翔体の前後方向の揺動を防止することができると共に、飛翔体の拘束が解除されたことを検出することが可能な拘束機構を備える、飛翔体発射機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様の飛翔体発射機は、台座と、飛翔体を搭載した状態で前記台座に対して上下方向に回動するように構成された滑走台と、前記滑走台上における前記飛翔体の前後方向の揺動を防止するための拘束機構と、を備え、前記飛翔体は、その下部外面に凹部を備え、前記拘束機構は、前記滑走台に固定された拘束機構本体を備え、前記拘束機構本体は、上下方向に移動可能に構成されると共に上端に拘束部を有する拘束部材を備え、前記拘束部は、前記滑走台が前記台座に対して平行な状態においては、前記凹部に嵌り込んでおり、前記滑走台が前記台座に対して傾斜した状態に移行することにより、自動的に前記凹部から離脱する。
【0010】
本開示の第2の態様の飛翔体発射機において、前記拘束機構は、前記台座に固定された固定具を更に備え、前記拘束機構本体は、内部にスプリング室が形成されたハウジングを更に備え、前記拘束部材は、前記スプリング室内を上下方向に摺動するように構成されたガイド部を更に有し、前記スプリング室内には、スプリングが配置されており、前記滑走台が前記台座に対して平行な状態においては、前記拘束部材の下端が前記固定具の上端と接触することにより、前記スプリングは圧縮された状態にあり、前記滑走台が前記台座に対して傾斜した状態に移行すると、前記拘束部材の前記下端が前記固定具の前記上端から離れ、これにより前記スプリングが圧縮された状態から解放され、前記ガイド部が前記スプリングにより下方へ押されることにより前記拘束部材が下方へ移動し、その結果、前記拘束部が前記凹部から離脱する。
【0011】
本開示の第3の態様の飛翔体発射機において、前記ハウジング内には、更に検出器室が形成されており、前記検出器室内には、前記拘束部の下面から突出する突起部が延びると共に、前記突起部の上下方向の位置を検出する位置検出器が配置されており、前記位置検出器は、前記拘束部が前記凹部から離脱したことを検出する。
【0012】
本開示の第4の態様の飛翔体発射機において、前記位置検出器はリミットスイッチである。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、簡易な構造で飛翔体の前後方向の揺動を防止することができると共に、飛翔体の拘束が解除されたことを検出することができるという、優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施形態の飛翔体発射機を示す概略説明図であり、(a)は飛翔体発射機が格納状態にある時の状態を、(b)は飛翔体発射機が発射状態にある時の状態を、それぞれ示している。
図2】本開示の実施形態の飛翔体発射機が備える拘束機構を示す概略断面図であり、(a)は拘束機構によって飛翔体が拘束されている状態を、(b)は拘束機構による飛翔体の拘束が解除された状態を、それぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示の実施形態の飛翔体発射機1を示す概略説明図である。
【0017】
飛翔体発射機1は、台座Bと、飛翔体Fが搭載される滑走台Sと、滑走台S上における飛翔体Fの前後方向(図における左右方向)の揺動を防止するための拘束機構Lと、を備えている。
【0018】
台座Bは、地上又は車両若しくは艦船の上に据え付けられる部材であり、飛翔体Fの発射時における方位角を調整するために、必要に応じて鉛直軸の周りを回転するように構成されている。
【0019】
滑走台Sは、その上に飛翔体Fが搭載され、飛翔体Fの推進薬が点火された後はその上を飛翔体Fが滑走する部材である。滑走台Sは、飛翔体Fの発射時における迎角を調整するために、台座Bに対して上下方向に回動するように構成されている。また、滑走台Sには、その上側(飛翔体F側)から下側(台座B側)まで貫通する、貫通開口Saが設けられている(図2参照)。
【0020】
図1(a)は、滑走台Sが、地上又は車両若しくは艦船の上に水平に据え付けられた台座Bに対して平行な状態、すなわち飛翔体Fの迎角が0となるように配向された状態(飛翔体発射機1の格納状態)を示している。この状態では、拘束機構Lにより、滑走台S上において飛翔体Fが拘束、すなわちその前後方向の移動が阻止されている。
【0021】
一方、図1(b)は、滑走台Sが、台座Bに対して傾斜した状態、すなわち飛翔体Fが0より大きな迎角を有するように配向された状態(飛翔体発射機1の発射状態)を示している。この状態では、拘束機構Lによる飛翔体Fの拘束は解除されており、飛翔体Fは滑走台S上においてその前後方向に移動可能である。なお、図示は省略するが、滑走台Sには、飛翔体Fが後方(図における右方)へ滑り落ちることを防止する部材が取り付けられている。したがって、飛翔体発射機1の発射状態において、飛翔体Fは、滑走台S上において実質的に前方向にのみ移動可能である。
【0022】
拘束機構Lは、飛翔体発射機1が格納状態にある時は、滑走台S上において飛翔体Fを拘束し、飛翔体発射機1が発射状態に移行することにより、滑走台S上における飛翔体Fの拘束を自動的に解除するように構成された機構である。その構造について、以下において、図2を参照して詳細に説明する。
【0023】
図2は、本開示の実施形態の飛翔体発射機1が備える拘束機構Lを示す概略断面図であり、図2(a)は、飛翔体発射機1の格納状態において、拘束機構Lによって飛翔体Fが拘束されている状態を、図2(b)は、飛翔体発射機1の発射状態において、拘束機構Lによる飛翔体Fの拘束が解除された状態を、それぞれ示している。
【0024】
なお、飛翔体発射機1が発射状態にある時、拘束機構Lは、実際には、飛翔体発射機1が格納状態にある時と比較して傾斜した状態となるが(図1(b)参照)、拘束機構Lの各部の動きを理解しやすくするために、図2(b)においては、傾斜していない状態で拘束機構Lを示している。
【0025】
拘束機構Lは、滑走台Sに固定された拘束機構本体LMと、台座Bに固定された固定具LSと、から成っている。
【0026】
拘束機構本体LMは、ハウジング10と、拘束部材20と、スプリング30と、リミットスイッチ40(位置検出器)と、を備えている。
【0027】
ハウジング10は、実質的に、下部が開放された有底筒状の部材であり、上壁12及び側壁14を備えている。また、ハウジング10は、側壁14の外周面が、滑走台Sに設けられた貫通開口Saの内周面と密接するような態様で、当該貫通開口Saに嵌め込まれて固定されている。ハウジング10の内部には、好ましくは円筒形の空間であるスプリング室10S及び検出器室10Dが形成されている。また、上壁12は、後述する拘束部材20のシャフト部24及び突起部21がそれぞれ貫通する開口を備えている。
【0028】
拘束部材20は、後述するように上下方向に移動可能に構成された部材であり、拘束部22と、拘束部22の下面22bから突出するシャフト部24と、シャフト部24の下端に形成されたガイド部26と、を有している。また、拘束部22の下面22b(のシャフト部24とは異なる部位)からは突起部21が、ガイド部26の下面からは突起部27が、それぞれ下方へ突出している。
【0029】
拘束部22は、拘束部材20の上端に形成された部分であり、飛翔体発射機1の格納状態において、飛翔体Fの下部外面に設けられた凹部Fr内に嵌り込むことができる形状及び寸法を有している。また、拘束部22の上下方向の厚さをt、滑走台Sの上面Stとハウジング10の上壁12の上面12tとの間の上下方向の距離(換言すれば、滑走台Sに設けられた貫通開口Sa内において、ハウジング10の上壁12の上面12tが、滑走台Sの上面Stに対して下方へ埋没している深さ)をdとすると、t≦dである。
【0030】
シャフト部24は、拘束部22の下面22bから、ハウジング10の上壁12に設けられた開口を貫通して、ハウジング10のスプリング室10Sの内部を、その長手方向に延びるように配置された部分であり、拘束部22を後述するガイド部26と連結している。シャフト部24は、好ましくは円柱状に形成されている。
【0031】
ガイド部26は、その外周面が、ハウジング10のスプリング室10Sの内周面に沿って摺動するように構成された部分である。ガイド部26は、好ましくは円板状に形成されており、その外径はシャフト部24の外径よりも大きい。
【0032】
ガイド部26の下面から突出する突起部27の下端は、飛翔体発射機1の格納状態においては、台座Bに固定された固定具LSの上端と接触する。
【0033】
ハウジング10のスプリング室10S内の、ハウジング10の上壁12の下面と拘束部材20のガイド部26の上面との間には、スプリング30が配置されている。スプリング30は、飛翔体発射機1の格納状態においては圧縮された状態にあるが、後述する拘束機構Lの動作において、飛翔体発射機1が格納状態から発射状態に移行するのに伴い、突起部27の下端が固定具LSの上端から離れると、圧縮された状態から解放されて伸長する。その際、スプリング30は、ガイド部26、したがって拘束部材20全体を、ハウジング10に対して下方へ押す。拘束部材20の下方への移動は、拘束部22の下面22bがハウジング10の上壁12の上面12tと接触した時点で止まるが、この状態において、ガイド部26は、その全体がハウジング10のスプリング室10S内に留まる。
【0034】
拘束部22の下面22bから突出する突起部21は、ハウジング10の上壁12に設けられた開口を貫通して、ハウジング10の検出器室10Dの内部を、その長手方向に延びるように配置された部分である。
【0035】
ハウジング10の検出器室10Dの内部には、リミットスイッチ40(位置検出器)が配置されている。リミットスイッチ40は、基端部のヒンジ42を中心として回動するように構成された可動体44を備えており、可動体44の先端部46は、突起部21の下端に対して常に上向きに押し付けられた状態となっている。このように構成されたリミットスイッチ40は、拘束部材20の上下方向の移動に追随して回動する可動体44の回転状態を検出回路(図示省略)によって検出することにより、拘束部材20の上下方向の位置を検出するように構成されている。
【0036】
以上のように構成された本開示の実施形態の拘束機構Lの動作について、以下で説明する。
【0037】
飛翔体発射機1の格納状態においては、図2(a)に示すように、拘束部材20の突起部27の下端は、台座Bに固定された固定具LSの上端と接触している。この状態において、拘束部材20の拘束部22は、飛翔体Fの下部外面に設けられた凹部Fr内に嵌り込んでおり、これにより、滑走台S上において飛翔体Fを拘束、すなわちその前後方向の移動を阻止している。また、この状態において、スプリング30は、拘束部材20のガイド部26の上面とハウジング10の上壁12の下面との間で、圧縮された状態にある。
【0038】
飛翔体発射機1が発射状態に移行して、図1(b)に示すように、滑走台Sが台座Bに対して傾斜した状態になると、図2(b)に示すように、突起部27の下端は、固定具LSの上端から離れる。
【0039】
これにより上下方向に自由に移動可能となった拘束部材20は、そのガイド部26がスプリング30によって下方へ押されることにより、全体としてハウジング10に対して下方へ移動するが、当該移動は、拘束部22の下面22bがハウジング10の上壁12の上面12tと接触した時点で止まる。この時、拘束部材20の拘束部22の上面22tは、滑走台Sの上面Stと面一又はそれよりも下方に位置している。これにより、拘束部材20の拘束部22は、飛翔体Fの下部外面に設けられた凹部Frから完全に離脱し、滑走台S上における飛翔体Fの拘束が解除される。
【0040】
また、上述した状態において、突起部21の下端によって先端部46が押し下げられることにより、可動体44が下方向に回動したリミットスイッチ40は、その検出回路が、拘束部材20の拘束部22が飛翔体Fの凹部Frから離脱したこと、すなわち滑走台S上における飛翔体Fの拘束が解除されたことを検出する。
【0041】
以上のように、本開示の実施形態の拘束機構Lにおいては、飛翔体Fの拘束を解除するための拘束部材20の移動が、圧縮された状態から解放されたスプリング30の弾性力によって(すなわち、系外からの力の作用を受けることなく)引き起こされる。換言すれば、拘束部材20の拘束部22の、飛翔体Fの凹部Frからの離脱が、飛翔体発射機1の格納状態から発射状態への移行により、自動的に引き起こされる。そのため、従来技術のように、拘束部材を移動させるためにアクチュエータ、ギア等の部品を必要とせず、部品点数の削減及び構造の単純化、並びに、製造コストの低減を実現することができる。
【0042】
また、本開示の実施形態の拘束機構Lにおいては、飛翔体Fの拘束が解除されたことが、リミットスイッチ40によって検出される。したがって、飛翔体発射機1を、飛翔体Fの拘束解除がリミットスイッチ40によって検出されない限り、飛翔体Fの発射が行われないように構成することにより、何らかの原因で拘束部材20の拘束部22が飛翔体Fの凹部Frから離脱しなかった場合にも、飛翔体Fが滑走台S上に留まった状態で飛翔体Fの推進薬が点火されてしまうという事態を、確実に回避することができる。そのため、本開示の飛翔体発射機1は、従来技術の飛翔体発射機と比較して、安全性の高いものである。
【0043】
なお、以上の説明においては、飛翔体Fが滑走台Sの上に搭載されている場合について説明したが、飛翔体Fは円筒状の発射筒内に収容されていてもよい。この場合、拘束機構Lは、発射筒の側壁の下部に設けられた貫通開口に嵌め込まれて固定される。
【0044】
また、以上の説明においては、拘束部材20の上下方向の位置を検出するための検出器(位置検出器)としてリミットスイッチ40を用いる場合について説明したが、これ以外の検出器を用いることもできる。
【0045】
更に、図2においては、ハウジング10の検出器室10Dが、下部が開放されたものとして示されているが、リミットスイッチ40を塵埃、湿気、飛翔体Fの発射時に推進薬の燃焼により生じるガス等から保護するために、検出器室10Dの下部を閉鎖してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 飛翔体発射機
10 ハウジング
10D 検出器室
10S スプリング室
20 拘束部材
21 突起部
22 拘束部
22b 拘束部の下面
26 ガイド部
30 スプリング
40 リミットスイッチ(位置検出器)
B 台座
F 飛翔体
Fr 凹部
L 拘束機構
LM 拘束機構本体
LS 固定具
S 滑走台
図1
図2