(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071885
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】折曲刃及びレシプロ式折曲機
(51)【国際特許分類】
B65H 45/20 20060101AFI20240520BHJP
B01D 39/00 20060101ALI20240520BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B65H45/20
B01D39/00 B
B01D46/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182376
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】新郷 正浩
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽佑
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雄丞
【テーマコード(参考)】
3F108
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
3F108AB04
3F108AC10
3F108BA04
3F108BB02
3F108BB17
3F108CB07
3F108CB12
3F108CB22
3F108CB46
4D019AA01
4D019BB01
4D019BC06
4D019BC10
4D019CA02
4D019CB06
4D019CB07
4D058JA13
4D058TA07
(57)【要約】
【課題】レシプロ式折曲機の折曲高速化を図りつつろ材のプリーツ高さのばらつきを抑制することができる折曲刃及びレシプロ式折曲機を提供する。
【解決手段】本折曲刃3、4は、ろ材2をプリーツ状に折り曲げるレシプロ式折曲機1に用いられ、刃先3a、4aから切り欠かれた切欠部9を有する。また、本レシプロ式折曲機は、上記の折曲刃を備える。さらに、本レシプロ折曲機は、プリーツ状に折り曲げられたろ材の高さ方向Bへの移動を規制するガイド13、14を備え、切欠部は、折曲刃の折曲動作中にガイドが挿入可能なように設けられていることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ材をプリーツ状に折り曲げるレシプロ式折曲機に用いられる折曲刃であって、
刃先から切り欠かれた切欠部を有することを特徴とする折曲刃。
【請求項2】
前記切欠部は、前記折曲刃の刃幅方向に沿って複数設けられている請求項1に記載の折曲刃。
【請求項3】
前記折曲刃は、矩形板状に形成されており、
前記切欠部は、前記折曲刃の一辺をなす前記刃先から前記刃先と反対側の一辺に向かって直線状に延びている請求項1に記載の折曲刃。
【請求項4】
ろ材をプリーツ状に折り曲げるレシプロ式折曲機であって、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の折曲刃を備えることを特徴とするレシプロ式折曲機。
【請求項5】
プリーツ状に折り曲げられた前記ろ材の高さ方向への移動を規制するガイドを備え、
前記切欠部は、前記折曲刃の折曲動作中に前記ガイドが挿入可能なように設けられている請求項4に記載のレシプロ式折曲機。
【請求項6】
前記ガイドは、前記折曲刃の刃幅方向に沿って複数設けられている請求項5に記載のレシプロ式折曲機。
【請求項7】
前記ガイドは、前記ろ材の送り方向に沿って直線状に延びている請求項5に記載のレシプロ式折曲機。
【請求項8】
互いに協働して折曲動作を行う上刃及び下刃を備え、
前記上刃及び前記下刃のうちの少なくとも一方の刃が前記折曲刃により構成されている請求項4に記載のレシプロ式折曲機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折曲刃及びこれを備えるレシプロ式折曲機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレシプロ式折曲機として、ろ材をプリーツ状に折り曲げるものが一般に知られている(例えば、特許文献1等を参照)。レシプロ式折曲機では、例えば、
図6に示すように、互いに協働して折曲動作を行う上刃103及び下刃104を備え、各刃103、104の折曲動作によりろ材102がプリーツ状に折り曲げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プリーツ状のろ材製品(特にキャビンエアフィルタ)が多品種化している。カーボンニュートラルで燃費・消費電力向上のための低圧損脱臭ろ材やEV車両等の製品ラインナップが年々増加し多品種化している。より具体的に、花粉・ほこり除去用、排ガス脱臭用、PM2.5捕捉用、抗菌・抗カビ用、アレル物質除去用、食事臭除去用、肌水分アップのためのビタミンC放出用などの各種のろ材製品が開発されている。
【0005】
ここで、多品種少量生産での加工費低減のためにはレシプロ式折曲機の折曲高速化が求められる。しかしながら、従来のレシプロ式折曲機では、単純に高速化すると、下刃104がろ材102の山部102aから抜ける際に下刃104との摩擦抵抗によりろ材102が下方に引っ張られたり(
図6(b)参照)、上刃103がろ材102の谷部102bから抜ける際に上刃103との摩擦抵抗によりろ材102が上方に引っ張られたりする。その結果、折り曲げられたろ材102のプリーツ高さにばらつきが生じてしまう(
図7参照)。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、レシプロ式折曲機の折曲高速化を図りつつろ材のプリーツ高さのばらつきを抑制することができる折曲刃及びレシプロ式折曲機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
1.ろ材をプリーツ状に折り曲げるレシプロ式折曲機に用いられる折曲刃であって、
刃先から切り欠かれた切欠部を有することを特徴とする折曲刃。
2.前記切欠部は、前記折曲刃の刃幅方向に沿って複数設けられている上記1.に記載の折曲刃。
3.前記折曲刃は、矩形板状に形成されており、
前記切欠部は、前記折曲刃の一辺をなす前記刃先から前記刃先と反対側の一辺に向かって直線状に延びている上記1.に記載の折曲刃。
4.ろ材をプリーツ状に折り曲げるレシプロ式折曲機であって、
上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の折曲刃を備えることを特徴とするレシプロ式折曲機。
5.プリーツ状に折り曲げられた前記ろ材の高さ方向への移動を規制するガイドを備え、
前記切欠部は、前記折曲刃の折曲動作中に前記ガイドが挿入可能なように設けられている上記4.に記載のレシプロ式折曲機。
6.前記ガイドは、前記折曲刃の刃幅方向に沿って複数設けられている上記5.に記載のレシプロ式折曲機。
7.前記ガイドは、前記ろ材の送り方向に沿って直線状に延びている上記5.に記載のレシプロ式折曲機。
8.互いに協働して折曲動作を行う上刃及び下刃を備え、
前記上刃及び前記下刃のうちの少なくとも一方の刃が前記折曲刃により構成されている上記4.に記載のレシプロ式折曲機。
【発明の効果】
【0008】
本発明の折曲刃によると、刃先から切り欠かれた切欠部を有する。これにより、折曲刃をレシプロ式折曲機に用いたときに、折曲刃とろ材の接触面積が低減されるため、折曲刃との摩擦抵抗により折曲刃の折曲動作に追従してろ材が引っ張られ難くなる。その結果、レシプロ式折曲機の折曲高速化を図りつつろ材のプリーツ高さのばらつきを抑制することができる。
また、切欠部が折曲刃の刃幅方向に沿って複数設けられている場合は、折曲刃とろ材の接触面積を更に低減できる。
さらに、折曲刃が矩形板状に形成されており、切欠部が、折曲刃の一辺をなす刃先から刃先と反対側の一辺に向かって直線状に延びている場合は、折曲刃の必要強度を容易に確保できるとともに、折曲刃とろ材の接触面積を効果的に低減できる。
【0009】
本発明のレシプロ式折曲機によると、上記の折曲刃を備える。よって、レシプロ式折曲機の折曲高速化を図りつつろ材のプリーツ高さのばらつきを抑制することができる。
また、プリーツ状に折り曲げられたろ材の高さ方向への移動を規制するガイドを備え、切欠部が、折曲刃の折曲動作中にガイドが挿入可能なように設けられている場合は、切欠部によりガイドと干渉することなく折曲刃が適切な折曲動作を行い得るとともに、ガイドによりろ材のプリーツ高さのばらつきが効果的に抑制される。
また、ガイドが、折曲刃の刃幅方向に沿って複数設けられている場合は、ろ材の横幅方向にわたってろ材のプリーツ高さのばらつきが効果的に抑制される。
さらに、ガイドが、ろ材の送り方向に沿って直線状に延びている場合は、簡易な構造のガイドによりろ材のプリーツ高さのばらつきが効果的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【
図1】実施形態に係るレシプロ式折曲機の説明図であり、(a)は正面図を示し、(b)はb-b線断面図を示す。
【
図2】実施形態に係る上刃及び上ガイドの斜視図であり、(a)は櫛歯状の上ガイドを示し、(b)は枠状の上ガイドを示す。
【
図3】実施形態及び参考形態に係る上刃及び下刃の斜視図であり、(a)は切欠部が形成された実施形態の上刃及び下刃を示し、(b)は切欠部が形成されていない参考形態の上刃及び下刃を示す。
【
図4】レシプロ式折曲機の作用説明図であり、(a)は上刃が第2曲げ閉じで且つ下刃が逃げ閉じの状態を示し、(b)は上刃が第2曲げ閉じで且つ下刃が逃げ開きの状態を示し、(c)は上刃が第2曲げ閉じで且つ下刃が第1曲げ閉じの状態を示す。
【
図5】レシプロ式折曲機の作用説明図であり、(d)は上刃が逃げ閉じで且つ下刃が第2曲げ閉じの状態を示し、(e)は上刃が逃げ開きで且つ下刃が第2曲げ閉じの状態を示し、(f)は上刃が第1曲げ閉じで且つ下刃が第2曲げ閉じの状態を示す。
【
図6】従来のレシプロ式折曲機の説明図であり、(a)は下刃が上端位置に位置する状態を示し、(b)は下刃が上端位置から下降する状態を示す。
【
図7】従来のレシプロ式折曲機(折曲高速化)で得られたろ材の画像処理図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0012】
以下、図面を用いて実施形態により本発明を具体的に説明する。
【0013】
本実施形態に係るレシプロ式折曲機1(以下、単に「折曲機1」とも称する。)は、
図1に示すように、送り方向Cに送られるシート状のろ材2′をプリーツ状のろ材2に折り曲げるものである。折曲機1は、互いに協働して折曲動作を行う上刃3及び下刃4(本発明に係る「折曲刃」として例示する。)を備えている。
【0014】
なお、ろ材2の材質、プリーツ形状、用途などは特に問わない。また、単層のろ材2を採用してもよいし、2層以上の多層のろ材2を採用してもよい。さらに、プリーツ状のろ材製品(特にキャビンエアフィルタ)としては、例えば、花粉・ほこり除去用、排ガス脱臭用、PM2.5捕捉用、抗菌・抗カビ用、アレル物質除去用、食事臭除去用、肌水分アップのためのビタミンC放出用などが挙げられる。
【0015】
本実施形態に係る上刃3及び下刃4は、
図3(a)に示すように、矩形板状(長方形の他に正方形の板状も含む。)に形成されている。各刃3、4は、一辺をなす刃先3a、4aを含む刃先部6と、刃先3a、4aと反対側の一辺を含む基部7と、刃先部6と基部7を連絡する連絡部8と、を有している。刃先部6は、刃先3a、4aに向かって板厚が小さくなっている。また、基部7及び連絡部8は、各一定の板厚を有している。さらに、連絡部8の板厚tは、基部7の板厚より小さな値である。なお、各刃3、4の形状は特に限定されず、ろ材2をプリーツ状に折り曲げ得る限り、他の形状を採用してもよい。さらに、
図3以外の図面については上刃3及び下刃4の形状(厚み方向の表現等)は簡略化して記載されている。
【0016】
上刃3及び下刃4には、刃先3a、4aから切り欠かれて各刃3、4の厚み方向に貫通した切欠部9が形成されている。切欠部9は、各刃3、4の一辺をなす刃先3a、4aから刃先3a、4aと反対側の一辺に向かって直線状に延びている。また、切欠部9は、刃先部6及び連絡部8にわたって形成されている。さらに、切欠部9は、各刃3、4の刃幅方向Aに沿って複数(
図3(a)中で4つ)並んで設けられている。
【0017】
切欠部9は、各刃3、4の折曲動作中に後述の上ガイド13及び下ガイド14が挿入可能なように設けられている(
図2参照)。具体的に、切欠部9は、各刃3、4の刃幅方向Aにおいて各ガイド13、14と対応する位置に配置されている。また、切欠部9は、各ガイド13、14の横幅よりも大きな横幅を有している。さらに、切欠部9は、上刃3及び下刃4の移動軌跡を考慮した切欠き深さを有している。
【0018】
上刃3及び下刃4は、
図1に示すように、公知の上下駆動機構11及び開閉駆動機構12により互いに協働して所定の折曲動作(即ち昇降開閉動作)を行う。具体的に、各刃3、4は、逃げ閉じS1、逃げ開きS2、第1曲げ閉じS3及び第2曲げ閉じS4の各状態を繰り返すことで、6つのステップ(
図4(a)~(c)及び
図5(d)~(f)参照)を順に繰り返して折曲動作を行う。ただし、各刃3、4の折曲動作は特に限定されず、ろ材2をプリーツ状に折り曲げ得る限り、他の折曲動作を採用してもよい。
【0019】
上刃3において、逃げ閉じS1は、刃開き0(即ち刃が略垂直姿勢)で上端位置まで到達した状態である(
図5(d)参照)。また、逃げ開きS2は、刃を開きながら第1曲げ閉じS3へ動作する準備状態である(
図5(e)参照)。また、第1曲げ閉じS3は、下端位置に到達後にわずかに刃が開いた状態である(
図5(f)参照)。さらに、第2曲げ閉じS4は、刃開き0で下端位置まで到達した状態である(
図4(a)~(c)参照)。
【0020】
下刃4において、逃げ閉じS1は、刃開き0(即ち刃が略垂直姿勢)で下端位置まで到達した状態である(
図4(a)参照)。また、逃げ開きS2は、刃を開きながら第1曲げ閉じS3へ動作する準備状態である(
図4(b)参照)。また、第1曲げ閉じS3は、上端位置に到達後にわずかに刃が開いた状態である(
図4(c)参照)。さらに、第2曲げ閉じS4は、刃開き0で上端位置まで到達した状態である(
図5(d)~(f)参照)。
【0021】
ここで、
図3に示すように、上刃3及び下刃4(材質SS400)の刃先部6に378Nの荷重(
図3中に破線矢印で示す。)をかけた場合の刃先部6のたわみ量についてコンピュータを用いて解析した。その結果、切欠部9が形成された上刃3及び下刃4(
図3(a)参照)では、連絡部8の板厚tが7mm以上であれば、使用条件(最大たわみ量が0.05mm以下)を満たすことを確認した。なお、切欠部9を備えない上刃3及び下刃4(
図3(b)参照)では、連絡部8の板厚tが6mm以上であれば、使用条件を満たすことを確認した。
【0022】
レシプロ式折曲機1は、
図1に示すように、プリーツ状に折り曲げられたろ材2の高さ方向Bへの移動を規制する上ガイド13及び下ガイド14を備えている。上ガイド13は、ろ材2の山部2aの頂点の上方への移動を規制する。また、下ガイド14は、ろ材2の谷部2bの頂点の下方への移動を規制する。また、各ガイド13、14は、ろ材2の送り方向C(即ち、各刃3、4の刃幅方向Aと直交する水平方向)に沿って直線状(例えば、角棒状、丸棒状など)に延びている。さらに、各ガイド13、14は、各刃3、4の刃幅方向Aに沿って所定間隔で複数(
図1中で6つ)並んで設けられている。
【0023】
上ガイド13及び下ガイド14のそれぞれは、連結部15により一体化されている(
図2参照)。連結部15により一体化された各ガイド13、14は、折曲機1の枠体に対して高さ位置を調整自在に取り付けられている。なお、各ガイド13、14としては、後端が連結部15で連結された櫛歯状の形態(
図2(a)参照)を採用してもよいし、前端及び後端が連結部15で連結された枠状の形態(
図2(b)参照)を採用してもよい。
【0024】
なお、
図1中の符号21は、ろ材2を賦形するためのヒータである。さらに、
図1中の符号22は、後述の各駆動機構11、12に接続されて各刃3、4を支持する支持体である。
【0025】
次に、上記構成のレシプロ式折曲機1の作用効果について説明する。上刃3及び下刃4が協働して折曲動作を行うことで、送り方向Cに送られるシート状のろ材2′がプリーツ状のろ材2に折り曲げられる(
図4及び
図5参照)。
【0026】
各刃3、4の折曲動作中において、上刃3がろ材2の谷部2bから抜ける際(
図4(c)及び
図5(d)参照)に、切欠部9を有する上刃3とろ材2の接触抵抗は比較的小さく、更にろ材2の山部2aの頂点が上ガイド13により保持される。そのため、上刃3の折曲動作(上昇)に追従してろ材2が上方に引っ張られることが抑制される。さらに、下刃4がろ材2の山部2aから抜ける際(
図5(f)及び
図4(a)参照)に、切欠部9を有する下刃4とろ材2の接触抵抗は比較的小さく、更にろ材2の谷部2bの頂点が下ガイド14により保持される。そのため、下刃4の折曲動作(下降)に追従してろ材2が下方に引っ張られることが抑制される。
【0027】
なお、各刃3、4の折曲動作中においては、切欠部9に対して各ガイド13、14が挿脱される。ただし、各ガイド13、14のうちで各刃3、4の刃幅方向Aの両端側に配置されるもの(
図1参照)は切欠部9に挿脱されない。
【0028】
以上より、本実施形態の上刃3及び下刃4によると、刃先3a、4aから切り欠かれた切欠部9を有する。これにより、各刃3、4をレシプロ式折曲機1に用いたときに、各刃3、4とろ材2の接触面積が低減されるため、各刃3、4との摩擦抵抗により各刃3、4の折曲動作に追従してろ材2が引っ張られ難くなる。その結果、レシプロ式折曲機1の折曲高速化を図りつつろ材2のプリーツ高さhのばらつきを抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態では、切欠部9は、上刃3及び下刃4の刃幅方向Aに沿って複数設けられている。これにより、各刃3、4とろ材2の接触面積を更に低減できる。
【0030】
また、本実施形態では、上刃3及び下刃4は、矩形板状に形成されており、切欠部9は、各刃3、4の一辺をなす刃先3a、4aから刃先と反対側の一辺に向かって直線状に延びている。これにより、各刃3、4の必要強度を容易に確保できるとともに、各刃3、4とろ材2の接触面積を低減できる。
【0031】
また、本実施形態のレシプロ式折曲機1によると、プリーツ状に折り曲げられたろ材2の高さ方向Bへの移動を規制する上ガイド13及び下ガイド14を備え、切欠部9は、各刃3、4の折曲動作中に各ガイド13、14が挿入可能なように設けられている。これにより、切欠部9により各ガイド13、14と干渉することなく各刃3、4が適切な折曲動作を行い得るとともに、各ガイド13、14によりろ材2のプリーツ高さhのばらつきが効果的に抑制される。
【0032】
また、本実施形態では、上ガイド13及び下ガイド14は、各刃3、4の刃幅方向Aに沿って複数設けられている。これにより、ろ材2の横幅方向にわたってろ材2のプリーツ高さhのばらつきが効果的に抑制される。
【0033】
さらに、本実施形態では、上ガイド13及び下ガイド14は、ろ材2の送り方向Cに沿って直線状に延びている。これにより、簡易な構造のガイド13、14によりろ材2のプリーツ高さhのばらつきが効果的に抑制される。
【0034】
尚、本発明においては、上記実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることができる。すなわち、上記実施形態では、上刃3及び下刃4の両方に切欠部9が形成された折曲機1を例示したが、これに限定されず、例えば、上刃3及び下刃4のうちの一方のみに切欠部9が形成された折曲機1としてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、上下のガイド13、14を備える折曲機1を例示したが、これに限定されず、上下のガイド13、14のうちの一方のガイドのみを備える折曲機1としてもよい。さらに、上下のガイド13、14を備えない折曲機1としてもよい。
【0036】
ここで、多層のろ材2では、表面層及び裏面層の材質、密度などの相違により、ろ材2に対する上刃3及び下刃4の摩擦抵抗が異なることが考えられる。この場合、摩擦抵抗が比較的高くなる側に切欠部9が形成された刃を用い、摩擦抵抗が比較的低くなる側に切欠部9が形成されていない刃を用いることができる。また、摩擦抵抗が比較的高くなる側のみにガイドを用いることができる。さらに、ろ材2の自重の影響を考慮すると、切欠部9が形成されていない上刃3と切欠部9が形成された下刃4とを備える折曲機1としたり、上ガイド13を備えず下ガイド14のみを備える折曲機1としたりすることができる。
【0037】
また、上記実施形態では、ガイド13、14を各切欠部9に対して1つ備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、ガイド13、14を各切欠部9に対して1つ備えなくてもよい。即ち、ガイド13、14が挿入される切欠部9とガイド13、14が挿入されない切欠部9とを備えてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、複数の切欠部9が形成された上刃3や下刃4を例示したが、これに限定されず、例えば、1つの切欠部9が形成された上刃3としたり、1つの切欠部9が形成された下刃4としたりしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、複数本並設される上ガイド13や下ガイド14を例示したが、これに限定されず、例えば、1本のみ配置される上ガイド13としたり、1本のみ配置される下ガイド14としたりしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、切欠部9を有する一体品である上刃3及び下刃4を例示したが、これに限定されず、例えば、別体の刃を間隔をもって配置することで切欠部9を形成してもよい。
【0041】
さらに、上記実施形態では、ろ材2の横幅よりも小さな刃幅を有する上刃3及び下刃4(
図1参照)を例示したが、これに限定されず、例えば、ろ材2の横幅と略同じ刃幅を有する上刃3及び下刃4としたり、ろ材2の横幅よりも大きな刃幅を有する上刃3及び下刃4としたりしてもよい。
【0042】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明はろ材をプリーツ状に折り曲げる技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0044】
1;レシプロ式折曲機、2;ろ材、3;上刃(折曲刃)、3a;刃先、4;下刃(折曲刃)、4a;刃先、9;切欠部、13;上ガイド(ガイド)、14;下ガイド(ガイド)、A;上刃及び下刃の刃幅方向、B;ろ材の高さ方向、C;ろ材の送り方向。