(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071903
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
B60K 15/067 20060101AFI20240520BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B60K15/067
F02M37/00 301D
F02M37/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182404
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】井戸 皓太
(72)【発明者】
【氏名】中島 洋平
(72)【発明者】
【氏名】青木 祐人
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA01
3D038CA18
3D038CB01
3D038CD09
(57)【要約】
【課題】車両の衝突事故により移動した構造物が、燃料タンクのタンク取付フランジに直接、衝突することを防ぐプロテクタを提供する。
【解決手段】プロテクタ40は、防振ゴム収容部46が形成された平板部42と、フランジ保護部44を備え、フランジ保護部44は、プロテクタ40をタンク取付フランジ12に下方から取り付けた時に、タンク取付フランジ12の側面の下方から上方を覆う長さに延設され、防振ゴム収容部46は、下部防振ゴム31との間に介在する複数の突起部23を有する少なくとも2種類の下部防振保持部材金属部22の前記突起部23の収容を可能とするガイド部47が形成された外周枠部48を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料タンクのタンク本体の側部に形成され、前記燃料タンクを前記車両のフロアパネルの下方に取付けるためのタンク取付孔が形成されたタンク取付フランジを保護するプロテクタであって、
前記プロテクタは、防振ゴム収容部が形成された平板部と、
前記平板部の端部に連結し、前記防振ゴム収容部と同一面側に形成されたフランジ保護部を備え、
前記フランジ保護部は、前記プロテクタを前記タンク取付フランジに下方から取り付けた時に、前記タンク取付フランジの側面の下方から上方を覆う長さに延設され、
前記防振ゴム収容部は、防振ゴムとの間に介在する複数の突起部を有する少なくとも2種類の防振部材金属部の前記突起部の収容を可能とするガイド部が形成された外周枠部を有することを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
前記ガイド部には、前記防振部材金属部の各々の前記突起部の位置に区分する壁部が形成されている請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記ガイド部の内側には、前記防振部材金属部の前記突起部の周側先端部に当接する爪部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃料タンクの側部であり、燃料タンクを車両のフロアパネルの下方に取付けるためのタンク取付孔が形成されたタンク取付フランジを保護するプロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料タンクにおいて、ガソリンや軽油等の燃料を貯留するタンク本体の側部外周には、間隔を有し、燃料タンクを車両のフロアパネルの下方に取付けるためのタンク取付孔を有するタンク取付フランジが複数形成されている。各タンク取付孔にボルトが挿入され、車両のフロアパネルのタンクブラケットにボルト締結され、燃料タンクが車両に固定される。
【0003】
燃料タンクの周辺には、構造物が搭載されている場合がある。例えば、ハイブリッド車両では、車両を駆動するモータやそのブラケットが該当する。燃料タンクの周辺のこれらの構造物が、車両の衝突事故の際に移動し、燃料タンクのタンク取付フランジに衝突する可能性がある。その際には、タンク取付フランジを起点に燃料タンクが破損してしまう可能性がある。
【0004】
車両の衝突事故により移動した構造物が、燃料タンクのタンク取付フランジに直接、衝突することを防ぐ技術として、特許文献1の車両の燃料タンク固定構造が知られている。
図7に示すように、車両は、タンク本体110の側部にタンク取付フランジ120を有する燃料タンク100と、タンク本体110の下面およびタンク取付フランジ120より下側の側面を覆うタンク本体110側に断熱材530が貼り付けられた断熱プロテクタ500であって、タンク取付フランジ120の下側でそれに沿って延びるプロテクタ取付フランジ510を有する断熱プロテクタ500とを備えている。タンク取付フランジ120およびプロテクタ取付フランジ510は、車体に固定されたタンクブラケット600にボルト260とナット270により締結されている。プロテクタ取付フランジ510は、タンク取付フランジ120の端部を覆うように上方に延出した延出部520を有している。そして、燃料タンク100のタンク取付フランジ120の端部が断熱プロテクタ500の延出部520で覆われているため、車両の衝突事故により移動した構造物700が、燃料タンク100のタンク取付フランジ120に直接、衝突することを防ぐことができる。
【0005】
又、タンク取付フランジ120をタンクブラケット600にボルト260締結する際には、直接密着させると、車両の走行時において、燃料タンク100内の燃料が流動して流動音が発生し、流動音がフロアパネルを介して車室内に伝わり、不快な異音となる。そのため、燃料タンク100のタンク取付フランジ120をタンクブラケット600に取付ける時には、防振ゴムを同時に締結する(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-62978号公報
【特許文献2】特開2017-89838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、タンク取付フランジ120の端部を断熱プロテクタ500の延出部520で覆うことにより、タンク取付フランジ120の端部を保護しているが、断熱プロテクタを装着しない車両もある。
本発明は、断熱プロテクタを装着しない車両において、車両の衝突事故により移動した構造物が、燃料タンクのタンク取付フランジに直接、衝突することを防ぐプロテクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、車両の燃料タンクのタンク本体の側部に形成され、燃料タンクを車両のフロアパネルの下方に取付けるためのタンク取付孔が形成されたタンク取付フランジを保護するプロテクタであって、プロテクタは、防振ゴム収容部が形成された平板部と、平板部の端部に連結し、防振ゴム収容部と同一面側に形成されたフランジ保護部を備え、フランジ保護部は、プロテクタをタンク取付フランジに下方から取り付けた時に、タンク取付フランジの側面の下方から上方を覆う長さに延設され、 防振ゴム収容部は、防振ゴムとの間に介在する複数の突起部を有する少なくとも2種類の防振部材金属部の突起部の収容を可能とするガイド部が形成された外周枠部を有するプロテクタである。
【0009】
請求項1の本発明では、プロテクタは、防振ゴム収容部が形成された平板部と、平板部の端部に連結し、防振ゴム収容部と同一面側に形成されたフランジ保護部を備え、フランジ保護部は、プロテクタをタンク取付フランジに下方から取り付けた時に、タンク取付フランジの側面の下方から上方を覆う長さに延設されているので、車両の衝突事故により移動した構造物が、燃料タンクのタンク取付フランジに直接、衝突することを防ぐことができる。
【0010】
又、防振ゴムを収容する防振ゴム収容部は、防振ゴムとの間に介在する複数の突起部を有する少なくとも2種類の防振部材金属部の突起部の収容を可能とするガイド部が形成された外周枠部を有するので、ガイド部が形成された外周枠部により、防振部材金属部の位置決めを確実に行うことができる。
【0011】
さらに、ガイド部は、2種類以上の防振部材金属部の突起部に対応可能であるので、一つのプロテクタで複数の突起部を有する2種類以上の防振部材金属部に対応することができる。その結果、防振部材金属部の突起部の数毎にプロテクタを複数種類作製することが不要になり、プロテクタのコストダウンを図ることができる。
【0012】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、ガイド部には、防振部材金属部の各々の突起部の位置に区分する壁部が形成されているプロテクタである。
【0013】
請求項2の本発明では、ガイド部の内側には、ガイド部には、防振部材金属部の各々の突起部の位置に区分する壁部が形成されているので、防振部材金属部の位置決めを確実に行うことができると共に、ボルト締結の際に、ガイド部内で防振部材金属部が回転することを防止することができる。
【0014】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、ガイド部の内側には、防振部材金属部の突起部の周側先端部に当接する爪部が形成されているプロテクタである。
【0015】
請求項3の本発明は、防振部材金属部の突起部の周側先端部に当接する爪部が形成されているので、防振ゴム収容部内に防振部材金属部を確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
車両の燃料タンクのタンク本体の側部に形成され、燃料タンクを車両のフロアパネルの下方に取付けるためのタンク取付孔が形成されたタンク取付フランジを保護するプロテクタであって、プロテクタは、防振ゴム収容部が形成された平板部と、平板部の端部に連結し、防振ゴム収容部と同一面側に形成されたフランジ保護部を備え、フランジ保護部は、プロテクタをタンク取付フランジに下方から取り付けた時に、タンク取付フランジの側面の下方から上方を覆う長さに延設されているので、車両の衝突事故により移動した構造物が、燃料タンクのタンク取付フランジに直接、衝突することを防ぐことができる。
【0017】
又、防振ゴムを収容する防振ゴム収容部は、防振ゴムとの間に介在する複数の突起部を有する少なくとも2種類の防振部材金属部の突起部の収容を可能とするガイド部が形成された外周枠部を有するので、ガイド部が形成された外周枠部により、防振部材金属部の位置決めを確実に行うことができる。
【0018】
さらに、ガイド部は、2種類以上の防振部材金属部の突起部に対応可能であるので、一つのプロテクタで複数の突起部を有する2種類以上の防振部材金属部に対応することができる。その結果、防振部材金属部の突起部の数毎にプロテクタを複数種類作製することが不要になり、プロテクタのコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に使用する燃料タンクの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態である燃料タンクのタンク取付フランジをタンクブラケットに取付けた状態の
図1における取付部を車両上方から見た平面図であり、タンクブラケットを透視した図である。
【
図4】本発明の実施形態に使用する防振部材金属部(下部防振部材金属部)の平面図であり、(a)は突起部の数が2であり、(b)は突起部の数が3である。
【
図5】本発明の実施形態に使用するプロテクタを防振ゴム収容部側から見た平面図である。
【
図6】
図5に
図4(b)の防振部材金属部(下部防振部材金属部)と防振ゴム(下部防振ゴム)を収容した時の平面図である。
【
図7】従来の燃料タンクをフロアパネルに取付けた状態の燃料タンクの一部とその周辺の断面図である(特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、
図1から
図6に基づいて説明する。本発明の本実施形態で使用する燃料タンク10は、合成樹脂製のものであり、
図1に示すように、燃料タンク10のタンク本体11の側部13には、複数個のタンク取付フランジ12が形成されている。タンク取付フランジ12にはタンク取付孔14が形成されている。タンク取付フランジ12のタンク取付孔14は、後述するように車体のフロアパネルに取付けられるタンクブラケット60に固定される。本実施形態は、
図1において、車両後方の2つのタンク取付孔14を車体のタンクブラケット60に取付ける場合を説明するものである。
【0021】
図2は、燃料タンク10のタンク取付フランジ12をフロアパネル(図示せず)のタンクブラケット60に取付けた状態の
図1における取付部を車両上方から見た平面図であり、タンクブラケット60を透視した図である。又、
図3は、
図2のA-A断面図である。
【0022】
図3に示すように、タンク取付フランジ12は、その上下を上部防振ゴム30と下部防振ゴム31で挟まれ、さらに、上部防振ゴム30と下部防振ゴム31は、その上下を金属部材で挟持されている。なお、上下の金属部材とその間の上部防振ゴム30と下部防振ゴム31を総称して防振部材20という。したがって、上方の金属部材が、上部防振部材金属部21であり、下方の金属部材が、下部防振部材金属部22である。このため、防振部材20を介してタンク取付フランジ12をタンクブラケット60に取付けることができるので、燃料タンク10の振動を防止することができる。
【0023】
上部防振部材金属部21は、円筒の上側が上方に拡がるラッパ形状である。下部防振部材金属部22は、筒状部22bの上部が閉じられ、その中心部に貫通孔22cが形成されている。下部防振部材金属部22の筒状部22bの下端部は、横方向に拡がるフランジ部22aを有している。又、フランジ部22aには、突起部23が形成されている。上部防振部材金属部21の円筒の下方側は、下部防振部材金属部22の筒状部22bの外側に係合する。
図4は、下部防振部材金属部を貫通孔22c側から見た平面図であり、
図4(a)は突起部23が180°の位置に2箇所形成されており、
図4(b)は突起部23が120°の間隔で3箇所形成されている。突起部23の周方向の幅Wは、
図4(a)、
図4(b)共に同一である。
なお、特許請求の範囲における「防振部材金属部」は、「下部防振部材金属部22」が該当する。
【0024】
防振ゴムは、上下2分割して上部防振ゴム30と下部防振ゴム31とから形成される。上部防振ゴム30は、断面が略四角形状のリング状に形成される。上部防振ゴム30の上面と下面は平面状に形成されている。
【0025】
下部防振ゴム31は、上部防振ゴム30と同様にリング状に形成されている。下部防振ゴム31は、円筒状に形成される断面が略四角形の本体部32と、本体部32の中心側の上面から上方に筒状に延設される上側延設部33を有している。下部防振ゴム31の上側延設部33の上面と本体部32の下面は平面状に形成されている。
なお、特許請求の範囲における「防振ゴム」は、この「下部防振ゴム31」が該当する。
【0026】
図5は、本実施形態に使用するプロテクタの平面図であり、後述する防振ゴム収容部46側から見た図である。
図5に示すように、プロテクタ40は、一方の端部が燃料タンク10のタンク本体11の側部13の形状(
図2のY部)に沿った第1弧形状部41を有している。そして、第1弧形状部41から扇状に拡がる平板部42を有している。平板部42の第1弧形状部41と反対側の端部は、タンク取付フランジ12の形状(
図2のZ部)のに沿った第2弧形状部43を有している。
【0027】
第2弧形状部43には、
図3に示すように、プロテクタ40をタンク取付フランジ12に下方から取り付けた時に、タンク取付フランジ12の側面の下方から上方を覆う長さに延設されたフランジ保護部44が形成されている。
図3では、フランジ保護部44は、上部防振ゴム30の上面側まで延設して形成されている。又、
図2では、フランジ保護部44は、タンク取付フランジ12のZ側の全域をカバーしていないが、全域をカバーするように作製してもよい。タンク取付フランジ12付近に配設される構造物の位置、大きさ等によってそのカバー範囲を決定することができる。
【0028】
第1弧形状部41には、
図3に示すように、フランジ保護部44と反対方向に延設されたタンク本体側保護部51が形成されている。タンク本体側保護部51を形成することにより、衝突事故の際に、タンク本体側保護部51が形成されていない場合に、第1弧形状部41の端部が、タンク本体11の側部13に食い込むことを防止することができる。
【0029】
平板部42において、プロテクタ40をタンク取付フランジ12に下方から取り付けた時に、タンク取付孔14に合致する位置には、タンク取付孔14と略同心のプロテクタ取付孔45が形成されている。又、プロテクタ取付孔45は、後述する防振ゴム収容部46の内側に形成される。
【0030】
下部防振部材金属部22と下部防振ゴム31を収容する防振ゴム収容部46は、平板部42のフランジ保護部44と同一面側に形成される。防振ゴム収容部46は、タンク取付孔14と略同心である。防振ゴム収容部46は、
図4(a)の突起部23の数が2、
図4(b)の突起部23の数が3の両方に対応可能なガイド部47と、ガイド部47に連結し、下部防振部材金属部22の突起部23を除くフランジ部22aが収容可能な外周枠部48を有している。
【0031】
図5において、ガイド部47は、第1ガイド部47a、第2ガイド部47b、第3ガイド部47cの3箇所が形成されている。第1ガイド部47aの周方向の幅は、突起部34の幅Wが挿入可能な幅に形成されている。第2ガイド部47bと第3ガイド部47cの周方向の幅は、
図4(a)と
図4(b)の突起部23が共に収容可能な幅、すなわち、突起部23の幅Wの2倍を超える幅に形成されている。
【0032】
又、第2ガイド部47bと第3ガイド部47cでは、
図4(a)と
図4(b)の突起部23の位置に区分する壁部49が形成されている。壁部49により、第2ガイド部47bと第3ガイド部47cが2つに区分され、第2ガイド部47bの左側と第3ガイド部47cの左側は、180°の間隔、47a、第2ガイド部47bの右側と第3ガイド部47cの右側は、120°の間隔になる。
【0033】
又、ガイド部47において、下部防振部材金属部22のフランジ部22aを防振ゴム収容部46に取付けた時に、突起部23の周側先端部24のほぼ中心に位置する場所には、ガイド部47の内側方向に突出する爪部50が形成されている。なお、爪部50の下方は、平板部42には当接せず、
図3に示すように、下部防振部材金属部22のフランジ部22aに形成された突起部23が爪部50と平板部42の間に入ることができる空間を有している。
【0034】
プロテクタ40は、剛性や靭性の機械的特性や、高い温度特性を有するポリアセタール(POM)を使用した。なお、他の樹脂を用いて作製してもよい。
【0035】
これにより、
図4(a)の突起部23の数が2の下部防振部材金属部22のフランジ部22aを収容する場合は、
図5において、第2ガイド部47bの壁部49の左側と第3ガイド部47cの壁部49の左側を使用し、
図4(b)の突起部23の数が3の下部防振部材金属部22のフランジ部22aを収容する場合は、第1ガイド部47a、第2ガイド部47bの壁部49の右側と第3ガイド部47cの壁部49の右側を使用する。
図6は、本発明の実施形態に使用するプロテクタに
図4(b)の
図5に
図4(b)の下部防振部材金属部と下部防振ゴムを収容した時の平面図である。
【0036】
したがって、1つのプロテクタ40の防振ゴム収容部46により、異なる数の突起部23を有する下部防振部材金属部22に対応することができるので、プロテクタ40の共有化を図ることができ、プロテクタ40のコストダウンにつながる。
【0037】
又、第2ガイド部47bと第3ガイド部47cには、2種類の下部防振部材金属部22のフランジ部22aの突起部23の位置を区分する壁部49が形成されているので、下部防振部材金属部22の位置決めを確実に行うことができると共に、後述するボルト締結の際に、ガイド部47内で締結中心軸にプロテクタ40が回転することを防止することができる。
【0038】
又、爪部50により、防振ゴム収容部46内に下部防振部材金属部22を確実に固定することができる。
【0039】
次に、
図4(b)の突起部23の数が3のフランジ部22aを有する下部防振部材金属部22を使用し、タンク取付フランジ12をタンクブラケット60に取付ける工程について説明する。
【0040】
まず、プロテクタ40の防振ゴム収容部46内に下部防振部材金属部22のフランジ部22aを押し込んで固定する。突起部23は、防振ゴム収容部46のガイド部47に挿入する。この時、ガイド部47の内部には爪部50が形成されているが、樹脂製のため、爪部50が撓んで突起部23を押し込むことができ、突起部23を爪部50と平板部42の間に入れ、下部防振部材金属部22をプロテクタ40に取付けることができる。下部防振部材金属部22のフランジ部22aの突起部23の数は3であるので、突起部23は、第1ガイド部47aと、第2ガイド部47bの右側と第3ガイド部47cの右側の位置に取付けられる。
【0041】
次に、プロテクタ40の防振ゴム収容部46に下部防振ゴム31を取付ける。下部防振部材金属部22の筒状部22bに下部防振ゴム31の本体部32をプロテクタ40側に向けて挿入し、下方に移動させて、防振ゴム収容部46内に取付ける。
【0042】
次に、タンク取付孔14に、プロテクタ40と下部防振ゴム31が取付けられた下部防振部材金属部22を挿入する。この時、タンク取付孔14には、下部防振ゴム31の上側延設部33が挿入され、下部防振ゴム31の本体部32の上面がタンク取付孔14の下面に当接する。
【0043】
次に、上部防振ゴム30をタンク取付孔14の周囲の上面に置き、さらに、上部防振部材金属部21の円筒部分を下部防振部材金属部22の筒状部22bに嵌め込んで取付ける。上部防振部材金属部21の円筒部分が上部防振ゴム30の内周側に挿入されるとともに上部防振部材金属部21が上部防振ゴム30の上面と当接、圧縮して、上部防振ゴム30を保持する。
【0044】
次に、
図3に示すように、下部防振部材金属部22の筒状部22b内に下方から円錐台筒金具25を挿入し、プロテクタ40のプロテクタ取付孔45内にプロテクタ押え金具26を挿入した後、プロテクタ40のプロテクタ取付孔45に、ワッシャー70を介してボルト71を挿入する。そして、ボルト71を下部防振部材金属部22の貫通孔22cを通過させ、タンクブラケット60の孔に挿入して取付ナット72で締め付ける(
図3)。この締め付けにより、上部防振部材金属部21、下部防振部材金属部22とプロテクタ40が強固に圧縮挟持されることができる。
【0045】
この時、プロテクタ40の第2弧形状部43とフランジ保護部44は、タンク取付フランジ12の形状Z(
図2)に沿った形状に形成されているので、ボルト71を締め付ける際に、プロテクタ40が回転することを防止することができる。
【0046】
これにより、タンク取付フランジ12を上部防振ゴム30と下部防振ゴム31で挟持した防振部材20を介して、燃料タンク10をタンクブラケット60に取付けることができるので、振動と騒音がフロアに伝達されるのを防止できる。又、プロテクタ40のフランジ保護部44により、車両の後方からの衝突事故により移動した構造物が、燃料タンク10のタンク取付フランジ12に直接、衝突することを防ぐことができる。
【0047】
本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の他に、以下の観点の発明を含む。
前記平板部の前記フランジ保護部とは反対側の端部には、前記フランジ保護部と反対方向に延設されたタンク本体側保護部が形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプロテクタ。
【0048】
タンク本体側保護部を形成することにより、衝突事故の際に、タンク本体側保護部が形成されていない場合に、第1弧形状部の端部(
図5の図番41)が、タンク本体の側部に食い込むことを防止することができる。
【0049】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0050】
上記の本実施形態では、プロテクタ40をタンク本体11の車両後方側のタンク取付フランジ12に取付けたが、タンク本体11の車両前方側のタンク取付フランジ12に取付けてもよい。又、車両幅方向にタンク取付フランジを形成する場合は、左記部位にも取付けることができる。なお、燃料タンクは、多くの場合、後部座席の斜め下方に取付けられる場合が多く、排気部材や、ハイブリッド車両における車両を駆動するモータやそのブラケット等の構造物は、燃料タンクの車両後方側に配置されるので、上記構造物の衝突は、燃料タンクの車両後方側に形成されたタンク取付フランジで発生する可能性が高い。したがって、少なくとも車両後方側のタンク取付フランジ12に取付けることが好適である。
【0051】
上記の本実施形態では、第2ガイド部47bと第3ガイド部47cは、それぞれ1つのガイド部を壁部49で区分したが、下部防振部材金属部22のフランジ部22aの突起部23の幅Wによっては、第2ガイド部47bと第3ガイド部47cをそれぞれ2つのガイド部に分け、第1ガイド部47aと合わせて計5つのガイド部としてもよい。
【0052】
上記の実施形態は、下部防振部材金属部22のフランジ部22aの突起部23の数が2と3の場合について説明したが、本発明は、他の数の突起部を有する下部防振部材金属部22のフランジ部22aにも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 燃料タンク
11 タンク本体
12 タンク取付フランジ
14 タンク取付孔
20 防振部材
22 下部防振部材金属部22
22a フランジ部
22b 筒状部
22c 貫通孔
23 突起部
24 周側先端部
30 上部防振ゴム
31 下部防振ゴム
40 プロテクタ
42 平板部
44 フランジ保護部
45 プロテクタ取付孔
46 防振ゴム収容部
47 ガイド部
48 外周枠部
49 壁部
50 爪部
51 タンク側保護部