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  • 特開-圧力源ユニット 図1
  • 特開-圧力源ユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071924
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】圧力源ユニット
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/00 20060101AFI20240520BHJP
   F04B 17/03 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
F04B53/00 B
F04B17/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182443
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】過能 健太
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇伸
(72)【発明者】
【氏名】樋口 淳人
(72)【発明者】
【氏名】田中 英紀
(72)【発明者】
【氏名】今村 幸人
【テーマコード(参考)】
3H069
3H071
【Fターム(参考)】
3H069AA03
3H069BB03
3H069CC03
3H069DD31
3H069EE14
3H069EE47
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC21
3H071DD42
3H071DD83
(57)【要約】
【課題】電動モータの振動を抑制することができる圧力源ユニットを提供する。
【解決手段】圧力源ユニット1は、回転軸21およびポンプケーシング22を含む油圧ポンプ2と、回転軸21と連結された出力軸61およびモータケーシング62を含む電動モータ6と、ポンプケーシング22とモータケーシング62の間に介在し、ポンプケーシング22とモータケーシング62とを接続する接続体5を含む。圧力源ユニット1が搭載される機械9にポンプケーシング22または接続体5が固定され、モータケーシング62が弾性体7を介して機械9に支持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械に搭載される圧力源ユニットであって、
回転軸およびポンプケーシングを含む油圧ポンプと、
前記回転軸と連結された出力軸およびモータケーシングを含む電動モータと、
前記ポンプケーシングと前記モータケーシングの間に介在し、前記ポンプケーシングと前記モータケーシングとを接続する接続体と、を備え、
前記ポンプケーシングまたは前記接続体が前記機械に固定され、
前記モータケーシングが弾性体を介して前記機械に支持される、圧力源ユニット。
【請求項2】
前記接続体が前記機械に固定され、
前記ポンプケーシングが弾性体を介して前記機械に支持される、請求項1に記載の圧力源ユニット。
【請求項3】
前記接続体は、前記回転軸および前記出力軸を収容する筒状である、請求項1または2に記載の圧力源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧回路で用いられる圧力源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧ポンプおよび電動モータを含む圧力源ユニットが知られている。例えば、特許文献1の図6には、射出成形機に搭載される圧力源ユニットが開示されている。なお、特許文献1では、圧力源ユニットが「油圧発生装置」と呼ばれている。
【0003】
具体的に、前記圧力源ユニットでは、油圧ポンプのポンプケーシングと電動モータのモータケーシングとの間に、ポンプケーシングとモータケーシングとを接続するスリーブが介在し、前記スリーブ内で油圧ポンプの回転軸と電動モータの出力軸とが連結されている。前記スリーブはブラケットを介して射出成形機に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-314257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような圧力源ユニットでは、電動モータが空中に浮いた状態であるため、電動モータの振動を抑制することが望まれる。
【0006】
そこで、本開示は、電動モータの振動を抑制することができる圧力源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、機械に搭載される圧力源ユニットであって、回転軸およびポンプケーシングを含む油圧ポンプと、前記回転軸と連結された出力軸およびモータケーシングを含む電動モータと、前記ポンプケーシングと前記モータケーシングの間に介在し、前記ポンプケーシングと前記モータケーシングとを接続する接続体と、を備え、前記ポンプケーシングまたは前記接続体が前記機械に固定され、前記モータケーシングが弾性体を介して前記機械に支持される、圧力源ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電動モータの振動を抑制することができる圧力源ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る圧力源ユニットの断面図である。
図2】変形例の圧力源ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、一実施形態に係る圧力源ユニット1を示す。圧力源ユニット1は、機械9に搭載される。なお、図1では機械9の一部のみを描いている。例えば、機械9は、油圧ショベルやホイールローダなどの建設機械であってもよいし、射出成形機やプレス装置などの産業機械であってもよい。
【0011】
具体的に、圧力源ユニット1は、油圧ポンプ2と電動モータ6を含むとともに、油圧ポンプ2と電動モータ6の間の接続体5を含む。油圧ポンプ2と電動モータ6は横方向に並んでいる。本実施形態では、油圧ポンプ2と電動モータ6とが同軸上に配置されている。
【0012】
本実施形態では、油圧ポンプ2がアキシャルピストンポンプの一つである斜板ポンプである。ただし、油圧ポンプ2は、別のアキシャルピストンポンプである斜軸ポンプであってもよい。あるいは、油圧ポンプ2は、ベーンポンプ、ギヤポンプ、スクリューポンプなどの他の形式のポンプであってもよい。
【0013】
油圧ポンプ2は、水平方向に延びる回転軸21と、回転軸21を複数のベアリング23,24を介して回転可能に支持するポンプケーシング22を含む。ポンプケーシング22は中空であり、ポンプケーシング22内にはバルブプレート31、シリンダブロック32および斜板36が収容されている。
【0014】
より詳しくは、ポンプケーシング22は、回転軸21に貫通される正面壁と、回転軸21の軸方向で正面壁と対向するバルブカバーと、正面壁とバルブカバーの間の空間を取り囲む周壁を有する。バルブカバーには、吸入路および吐出路が形成されている。
【0015】
バルブプレート31はバルブカバーに固定されている。バルブプレート31には、吸入路と連通する円弧状の吸入ポートと、吐出路と連通する円弧状の吐出ポートが形成されている。吸入ポートと吐出ポートは、回転軸21回りの同一円周上に位置する。
【0016】
シリンダブロック32は回転軸21に固定されており、バルブプレート31と摺動しながら回転軸21と共に回転する。シリンダブロック32には複数のシリンダボアが形成されている。シリンダボアのいくつかが吸入ポートと連通し、別のいくつかが吐出ポートと連通する。
【0017】
シリンダブロック32のシリンダボアには複数のピストン33がそれぞれ挿入されている。ピストン33の頭部には複数のシュー34がそれぞれ取り付けられている。本実施形態では、シュー34が、斜板36に固定されたシュープレート35と摺動する。ただし、シュー34は斜板36と直接的に摺動してもよい。
【0018】
電動モータ6は、水平方向に延びる出力軸61と、出力軸61を複数のベアリングを介して回転可能に支持するモータケーシング62を含む。モータケーシング62は中空であり、モータケーシング62内にはロータおよびステータが収容されている。ロータは出力軸61に固定され、ステータはモータケーシング62に固定される。
【0019】
本実施形態では、油圧ポンプ2の回転軸21と電動モータ6の出力軸61とが筒状のカップリング4により連結されている。カップリング4の内周面にはスプライン形状の歯面が形成される一方、回転軸21の外周面および出力軸61の外周面にはスプライン形状の歯面が形成され、それらの歯面が互いに噛み合っている。
【0020】
ただし、回転軸21と出力軸61は必ずしもカップリング4により連結される必要はない。例えば、回転軸21と出力軸61の一方の端部が中空であり、その一方内に他方が挿入され、回転軸21および出力軸61に形成されたスプライン形状の歯面が直接的に噛み合ってもよい。あるいは、回転軸21と出力軸61とが、当該回転軸21および出力軸61に固定された互いに噛み合うギヤを介して連結されてもよい。
【0021】
接続体5は、ポンプケーシング22とモータケーシング62の間に介在し、ポンプケーシング22とモータケーシング62とを接続する。本実施形態では、接続体5が回転軸21および出力軸61の軸方向、すなわち水平方向に延びる筒状であり、接続体5内に回転軸21および出力軸61が収容されている。
【0022】
本実施形態では、ポンプケーシング22が機械9に固定されており、接続体5および電動モータ6がポンプケーシング22を支点とした片持ち梁となるように空中に浮いている。そして、モータケーシング62における接続体5と反対側の末端が弾性体7を介して機械9に支持されている。つまり、弾性体7は、モータケーシング62の末端と機械9とに接合されている。
【0023】
例えば、圧力源ユニット1が機械9のルーム内に配置される場合、モータケーシング62は弾性体7を介してルームの床面に支持されてもよいし、弾性体7を介してルームの横向き壁面に支持されてもよい。弾性体7は、例えば、ゴムからなるブロックであってもよい。
【0024】
ただし、弾性体7は、必ずしもモータケーシング62の末端に接合される必要はなく、モータケーシング62の下面と面接触するようにモータケーシング62と機械9の間に介在してもよい。この場合、弾性体7は圧縮コイルばねや板ばねなどであってもよい。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の圧力源ユニット1では、モータケーシング62が弾性体7を介して機械9に支持されるので、電動モータ6の振動を抑制することができる。換言すれば、電動モータ6の振動が弾性体7で吸収される。
【0026】
<変形例>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0027】
例えば、油圧ポンプ2は、バルブプレート31、シリンダブロック32、ピストン33、シュー34および斜板36を含むピストンポンプ機構が2つ設けられたタンデムポンプまたはパラレルポンプであってもよい。このように油圧ポンプ2がタンデムポンプやパラレルポンプである場合には、比較的に重量の大きな油圧ポンプ2のポンプケーシング22を機械9に固定することで振動の影響が小さくなる。
【0028】
あるいは、図2に示す変形例の油圧システム1Aのように、油圧ポンプ2のポンプケーシング22ではなく、接続体5を機械9に固定してもよい。図2では、接続体5に、当該接続体5から下向きに延びるスタンド51が一定的に設けられているとともに、スタンド51と機械9との間に弾性体55が介在している。つまり、接続体5はスタンド51および弾性体55を介して機械9に固定されている。弾性体55は、例えば、ゴムからなるブロックであってもよい。このように接続体5を機械9に固定した場合は、ポンプケーシング22を固定した場合に比べて固定位置から電動モータ6の末端までの長さが短くなるため、振動の影響が小さくなる。
【0029】
接続体5が機械9に固定される場合、ポンプケーシング22における接続体5と反対側の末端も弾性体8を介して機械9に支持されることが望ましい。弾性体8は、例えば、ゴムからなるブロックであってもよい。
【0030】
例えば、弾性体8は、ポンプケーシング22の末端と機械9とに接合される。ただし、弾性体8は、必ずしもポンプケーシング22の末端に接合される必要はなく、ポンプケーシング22の下面と面接触するようにポンプケーシング22と機械9の間に介在してもよい。この場合、弾性体8は圧縮コイルばねや板ばねなどであってもよい。
【0031】
図2の構成であれば、接続体5を機械9に固定したときに生じる油圧ポンプ2の振動を抑制することができる。
【0032】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、機械に搭載される圧力源ユニットであって、回転軸およびポンプケーシングを含む油圧ポンプと、前記回転軸と連結された出力軸およびモータケーシングを含む電動モータと、前記ポンプケーシングと前記モータケーシングの間に介在し、前記ポンプケーシングと前記モータケーシングとを接続する接続体と、を備え、前記ポンプケーシングまたは前記接続体が前記機械に固定され、前記モータケーシングが弾性体を介して前記機械に支持される、圧力源ユニットを提供する。
【0033】
上記の構成によれば、モータケーシングが弾性体を介して機械に支持されるので、電動モータの振動を抑制することができる。特に、油圧ポンプがタンデムポンプやパラレルポンプである場合には、比較的に重量の大きな油圧ポンプのポンプケーシングを機械に固定することで振動の影響が小さくなる。あるいは、接続体を機械に固定した場合は、ポンプケーシングを固定した場合に比べて固定位置から電動モータの末端までの長さが短くなるため、振動の影響が小さくなる。
【0034】
第2の態様として、第1の態様において、前記接続体が前記機械に固定され、前記ポンプケーシングが弾性体を介して前記機械に支持されてもよい。当該構成によれば、接続体を機械に固定したときに生じる油圧ポンプの振動を抑制することができる。
【0035】
第3の態様として、第1または第2の態様において、例えば、前記接続体は、前記回転軸および前記出力軸を収容する筒状であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1,1A 圧力源ユニット
2 油圧ポンプ
21 回転軸
22 ポンプケーシング
5 接続体
6 電動モータ
61 出力軸
62 ポンプケーシング
7,8 弾性体
9 機械
図1
図2