(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071930
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】駐輪場用ゲート
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20240520BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240520BHJP
【FI】
E04H6/42 E
G07B15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182449
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】593210064
【氏名又は名称】東海技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100224915
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 茉友
(74)【代理人】
【識別番号】100229116
【弁理士】
【氏名又は名称】日笠 竜斗
(72)【発明者】
【氏名】伊部 徹
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA25
3E127BA70
3E127CA12
3E127CA14
3E127CA21
3E127DA17
3E127EA04
3E127FA03
3E127FA04
3E127FA18
(57)【要約】
【課題】不正な入退場を確実に阻止できるとともに、非力な利用者であっても容易に通過できる駐輪場用ゲートを提供する。
【解決手段】仕切扉8a,9aと仕切扉10a,11aとが常に垂直を保って回転する2つの回転ゲート2a,3aを有し、回転ゲート1aの回転に応じて付勢されるばねの復帰力を使って回転ゲート1aの回転を補助するカム機構を備えた駐輪場用ゲート1aにおいて、ばねが十分に付勢されていない回転の初期段階をセンサ35aで検出して電動モータ36aを駆動し、カム機構による回転アシストが発動される前に、電動モータ36aの動力を使った回転のアシストを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直回転軸に対して軸対称に二つの仕切扉を固定した2つの回転ゲートと、
二輪車を伴った利用者の通路と平行に前記2つの回転ゲートを隣接して配置させ、前記仕切扉が回転中に常に互いに垂直を保つように前記2つの回転ゲート同士を機械的に連結させたゲート回転手段と、
前記各回転ゲートが逆回転することを防止するための逆転防止手段とを備え、
前記ゲート回転手段は、少なくともカム機構と前記回転ゲートの回転に応じて付勢されるばねとを有しており、前記2つの回転ゲートのうちのいずれかが外的作用により第1の所定角度回転させると、付勢された前記ばねの復帰力により機械的に前記カム機構を動作させ、該回転ゲートをさらに第2の所定角度回転させる駐輪場用ゲートにおいて、
前記回転ゲートの回転の初期段階を検出する回転検出手段と、
前記回転検出手段による回転の検出に応じて駆動する回転駆動手段と、
前記回転駆動手段と連携して前記カム機構のカムを回転させる駆動リンク手段と、
前記回転駆動手段の回転を停止させる回転停止手段とを備えている
ことを特徴とする駐輪場用ゲート。
【請求項2】
前記駆動リンク手段は、前記カム機構のカムと一体に回転するリンクアームと、前記リンクアームを回転させるカムフォロアとを有してなり、
前記カムフォロアは、前記回転駆動手段の回転軸回りに旋回するように配置され、前記回転駆動手段の駆動によって前記回転軸回りに旋回することで前記リンクアームと接触して前記リンクアームを回転させる
ことを特徴とする請求項1に記載の駐輪場用ゲート。
【請求項3】
前記カムフォロアは、前記回転駆動手段の回転軸に設けられた回転板の両端に配設され、
前記回転停止手段は、前記カムフォロアが回転軸回りに180度旋回したことを検出して前記回転駆動手段を停止させる
ことを特徴とする請求項2に記載の駐輪場用ゲート。
【請求項4】
前記ゲート回転手段は、さらに、前記2つの回転ゲートが第3の所定角度まで回転したときに、前記鉛直回転軸を自動的にロックする機能を持つゲートロック手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の駐輪場用ゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駐輪場用ゲートに関し、より詳細には、自転車や自動二輪車などの駐輪場の出入口に備えられるゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車や自動二輪車などの二輪車を駐輪する駐輪場として、有料の駐輪場が増加している。この種の駐輪場は、二輪車の入場(および/または退場)を管理する必要性から出入口に駐輪場用ゲートを備えている。
【0003】
出願人は、このような駐輪場用ゲートとして、特許文献1に記載のゲートを提案している。特許文献1の駐輪場用ゲートは、鉛直回転軸に対して軸対称に2つの仕切扉を有する2つの回転ゲートで構成される。2つの回転ゲートは、二輪車を伴った利用者の通路と平行に配置されるとともに機械的に連結され、2つの回転ゲートの仕切扉が常に90度の角度を保って回転するように構成されている。
【0004】
この駐輪場用ゲートでは、二輪車を搬入(または搬出)する場合、利用者は、通路の前段(手前側)と後段(奥側)に配置された2つの回転ゲートの仕切扉を二輪車の前輪で順次押しながら前進する。このとき、2つの回転ゲートは機械的に連結されているので、二輪車が後段の仕切扉を押して前進する際には、後段の仕切扉の回転に連動して前段の回転ゲートの仕切扉も回転する。そのため、前進中の二輪車に後続する二輪車が存在しても後続する二輪車の前進は前段の仕切扉によって妨げられるので、前進中の1台の二輪車のみが駐輪場用ゲートを通過でき、後続する二輪車の駐輪場への不正な入場(または不正な退場)が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の駐輪場用ゲートには以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1に記載の駐輪場用ゲートは、ゲートを通過する際に、利用者は二輪車の前輪で回転ゲートの仕切扉を押しながら前進しなければならないが、2つの回転ゲートは機械的に連結されていることから、仕切扉を押して前進するには相当の力が必要であった。そのため、子供や老人などの非力な利用者にとっては、駐輪場用ゲートの通過は容易ではなかった。
【0007】
殊に、特許文献1に記載の駐輪場用ゲートは、利用者が通行を終了した時点で2つの回転ゲートが初期の角度(たとえば、前段の回転ゲートの仕切扉が通路と直行する向き)に復帰するように、カムとばねを利用した機構を備えており、利用者が仕切扉を押して前進する力を利用してばねを伸長させ、仕切扉が所定の角度に到達すると、伸長したばねの復帰力をカムに作用させて2つの回転ゲートを初期の角度に復帰させるようにしているので、仕切扉を押す際には、このばねを伸長させる力も必要であることから、非力な利用者には負担が大きかった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、不正な入退場を確実に阻止できるとともに、非力な利用者であっても容易に通過できる駐輪場用ゲートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る駐輪場用ゲートは、鉛直回転軸に対して軸対称に二つの仕切扉を固定した2つの回転ゲートと、二輪車を伴った利用者の通路と平行に上記2つの回転ゲートを隣接して配置させ、上記仕切扉が回転中に常に互いに垂直を保つように上記2つの回転ゲート同士を機械的に連結させたゲート回転手段と、上記各回転ゲートが逆回転することを防止するための逆転防止手段とを備え、上記ゲート回転手段は、少なくともカム機構と上記回転ゲートの回転に応じて付勢されるばねとを有しており、上記2つの回転ゲートのうちのいずれかが外的作用により第1の所定角度回転させると、付勢された上記ばねの復帰力により機械的に上記カム機構を動作させ、該回転ゲートをさらに第2の所定角度回転させる駐輪場用ゲートにおいて、上記回転ゲートの回転の初期段階を検出する回転検出手段と、上記回転検出手段による回転の検出に応じて駆動する回転駆動手段と、上記回転駆動手段と連携して上記カム機構のカムを回転させる駆動リンク手段と、上記回転駆動手段の回転を停止させる回転停止手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
この駐輪場用ゲートでは、利用者の通路と平行に配置される2つの回転ゲートの仕切扉が、その回転中に常に互いに垂直を保つように機械的に連結されているので、二輪車を伴った利用者が回転ゲートの仕切扉を押して前進していくと、その過程で、二輪車の前後と一方の側面が仕切扉によって囲まれる状態が少なくとも一度形成されるので(
図4(b)参照)、仮に後続の二輪車があっても、後続の二輪車の進入が仕切扉によって妨げられ、2台同時進入のような不正な入場が阻止される。
【0011】
また、2つの回転ゲートのいずれかが外的作用により第1の所定角度回転すると、回転ゲートの回転に応じて付勢されるばねの復帰力によりカム機構が動作し、回転ゲートをさらに第2の所定角度まで自動で回転させるので、二輪車を伴った利用者は、第1の所定角度(たとえば、初期位置から90度)に到達するまで二輪車を前進させることで、それ以降は、ばねの復帰力を利用して、仕切扉を第2の所定角度(たとえば、初期位置から180度)の位置まで自動的に回転させることができ、仕切扉を押し開く労力を削減できる。
【0012】
さらに、回転ゲートの回転の初期段階を検出して回転駆動手段を駆動し、回転駆動手段と連携してカム機構のカムを回転させることで、回転ゲートの回転初期段階から回転駆動手段の動力を使って回転ゲートの回転をアシストできる。したがって、カム機構による回転アシストが開始される前段階についても、利用者の労力を削減することができる。
【0013】
また、本発明に係る駐輪場用ゲートは、その好適な実施態様として、上記駆動リンク手段は、上記カム機構のカムと一体に回転するリンクアームと、上記リンクアームを回転させるカムフォロアとを有してなり、上記カムフォロアは、上記回転駆動手段の回転軸回りに旋回するように配置され、上記回転駆動手段の駆動によって上記回転軸回りに旋回することで上記リンクアームと接触して上記リンクアームを回転させることを特徴とする。
【0014】
この駐輪場用ゲートでは、旋回するカムフォロアがリンクアームと接触することによってリンクアームに回転を付与するので、カムフォロアの旋回半径を適宜設定することで、回転駆動手段のアシストが作用する範囲(リンクアームの回転角)を調整できる。
【0015】
また、本発明に係る駐輪場用ゲートは、他の好適な実施態様として、上記カムフォロアは、上記回転駆動手段の回転軸に設けられた回転板の両端に配設され、上記回転停止手段は、上記カムフォロアが回転軸回りに180度旋回したことを検出して上記回転駆動手段を停止させることを特徴とする。
【0016】
この駐輪場用ゲートでは、カムフォロアが回転駆動手段の回転軸に設けられた回転板の両端に設けられるので、回転板の寸法を変更することでカムフォロアの旋回半径を簡単に調節できる。
【0017】
また、本発明に係る駐輪場用ゲートは、他の好適な実施態様として、上記ゲート回転手段は、さらに、上記2つの回転ゲートが第3の所定角度まで回転したときに、上記鉛直回転軸を自動的にロックする機能を持つゲートロック手段を有することを特徴とする。
【0018】
この駐輪場用ゲートでは、2つの回転ゲートが第3の所定角度(たとえば、初期位置から180度)まで回転すると、鉛直回転軸が自動的にロックされるので、たとえば、有料駐輪場などにおいて、不正な駐輪場利用を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、利用者の通路と平行に配置される2つの回転ゲートの仕切扉が常に互いに垂直を保つように機械的に連結されているので、2台同時進入のような不正な入場が効果的に阻止される。また、回転ゲートの回転の初期段階を検出して回転ゲートの回転が動力によってアシストされるので、非力な利用者であっても容易に回転ゲートを通過することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る駐輪場用ゲートを用いた駐輪場の出入口の一例を示す平面図である。
【
図2】同駐輪場用ゲートを用いた駐輪場の出入口の正面図である。
【
図3】同駐輪場用ゲートへの二輪車の入場手順の一例を示す平面図であり、
図3(a)は二輪車を前段の回転ゲートの仕切扉の位置まで前進させた状態を、
図3(b)は前段の回転ゲートの仕切扉が45度回転した状態を示している。
【
図4】
図3に示す二輪車の入場手順の続きを示す平面図であり、
図4(a)は二輪車を後段の回転ゲートの仕切扉の位置まで前進させた状態を、
図4(b)は後段の回転ゲートの仕切扉が45度回転した状態を、
図4(c)は後段の回転ゲートが90度回転して二輪車が入場できるようになった状態を示している。
【
図5】本発明に係る駐輪場用ゲートのゲートロック機構および回転補助機構の平面図であり、
図5(a)は仕切扉が初期位置にあるときの各機構の状態を、
図5(b)は仕切扉が30度回転したときの各機構の状態を、
図5(c)は仕切扉が90度回転したときの各機構の状態を示している。
【
図6】同駐輪場用ゲートの動力アシスト機構の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【0022】
図1および
図2に本発明に係る駐輪場用ゲートを用いた駐輪場の出入口を示す。ここで、駐輪場は壁や柵などによって仕切られたエリアで構成される。図示例は、柵Fで仕切られた駐輪場の出入口を示しており、この出入口には二輪車の通路を形成する仕切部材(図示例では、柵Fと直交する一対の仕切棒P,P)が配設されていて、出入口内には入場用の駐輪場用ゲート1aと、退場用の駐輪場用ゲート1bとが並列に設けられている。
【0023】
なお、図示例では、幅の狭い出入口に駐輪場用ゲート1a,1bを並べて配置するために、駐輪場用ゲート1a,1bで一方向回転軸14、遊動軸15の配置など一部レイアウトを変更しているが、両者の機能には相違点はなく、駐輪場用ゲート1a,1bの基本構成は同一である。したがって、構成が共通する部分には同一の符合を付して説明を省略する。その際、入場用の駐輪場用ゲート1aの構成部品については符号末尾にaを付し、退場用の駐輪場用ゲート1bの構成部品については符号末尾にbを付する。
【0024】
以下、駐輪場用ゲート1aについて説明する。
駐輪場用ゲート1aは、2つの回転ゲート2a,3aと、ゲート回転手段と、逆転防止手段とを主要部として備えている。
【0025】
回転ゲート2a,3aは、二輪車を伴った利用者の通路と平行に2つのゲートを隣接して配置することで構成される。このうちの回転ゲート2aは、通路の前段(上流側)に配置される。回転ゲート2aは、鉛直回転軸6aと、鉛直回転軸6aに軸対称に配置された2つの仕切扉8a,9aとを有している。一方、回転ゲート3aは、通路の後段(下流側)に配置される。回転ゲート3aは、鉛直回転軸7aと、鉛直回転軸7aに軸対称に配置された2つの仕切扉10a,11aとを有している。
【0026】
鉛直回転軸6a,7aは、
図2に示すように、それぞれ鉛直方向に配設された軸に軸受け箱12aを備えており、この軸受け箱12aによって回転可能に支持されている。また、鉛直回転軸6a,7aの床面付近(軸受け箱12aから下方に突出する部位)には、後述するチェーン駆動用のスプロケット13aが設けられている。
【0027】
また、回転ゲート2a,3aは、鉛直回転軸6a,7aと平行に一方向回転軸14aと遊動軸15aとを備えている。一方向回転軸14aおよび遊動軸15aは、いずれも床面付近に、鉛直回転軸6a,7aと同様に、チェーン駆動用のスプロケット13aを備えており、これらと鉛直回転軸6a,7aのスプロケット13aにチェーン16aが架け回されることにより、鉛直回転軸6a,7a、一方向回転軸14aおよび遊動軸15aがチェーン16aによって連結されている。
【0028】
一方向回転軸14aは、チェーン16aによって連結された回転ゲート2a,3aが逆回転するのを防止する逆転防止手段を構成するものであって、たとえば、一方向回転軸14aの逆回転を防止するラチェット機構(図示せず)を備えている。遊動軸15aを除く、鉛直回転軸6a,7aおよび一方向回転軸14aのスプロケット13aには同一のスプロケット(同一径、同一歯数のスプロケット)が用いられ、チェーン16aによって連結された鉛直回転軸6a,7aは同期して回転するようになっている。また、これにより、仕切扉8a,9aと仕切扉10a,11aも同期して回転する。
【0029】
この仕切扉8a,9aと仕切扉10a,11aの同期した回転に関連して、本発明では、チェーン16aを鉛直回転軸6a,7aに架け回す際に、鉛直回転軸6aの仕切扉8a,9aと鉛直回転軸7aの仕切扉10a,11aの向きが90度ずれた状態で(両者の交差する角度が90度になるように)連結される。これにより、鉛直回転軸6a,7aが同期して回転するときに、仕切扉8a,9aと仕切扉10a,11aは、その回転中、常に互いに90度の角度(垂直)を保ちながら回転する。そして、この仕切扉同士の位置関係は終始維持される。すなわち、本実施形態では、鉛直回転軸6a,7aと、鉛直回転軸6a,7aに設けられたスプロケット13aと、これらを連結するチェーン16aとが、回転中、仕切扉8a,9aと仕切扉10a,11aとを常に互いに90度(垂直)を保つように連結するゲート回転手段を形成している。
【0030】
また、この仕切扉8a,9a,10a,11aの回転に関連して、退場用の駐輪場用ゲート1bの仕切扉8b,9b,10b,11bは、入場用の駐輪場用ゲート1aの仕切扉8a,9a,10a,11aとは無関係に独立して回転することから、両者が同時に回転しても互いに干渉しない(互いの回転を妨げない)ように構成されている。本実施形態では、この干渉防止策として、駐輪場用ゲート1a,1bの仕切扉8,9,10,11をそれぞれ水平な棒状の部材で構成し、駐輪場用ゲート1aと駐輪場用ゲート1bとで仕切扉8,9,10,11の高さ位置を変えることで、仕切扉8,9,10,11同士の接触・干渉を回避している(
図2参照)。この干渉防止策としては、その他の手法、たとえば、仕切扉8,9,10,11同士の回転半径が重ならないように、駐輪場用ゲート1a,1bを離して配設するなどの手法を採用してもよい。
【0031】
なお、図中の符合17a,17bは、後述する常閉のゲートロック機構に対してロック解除を指示するロック制御装置であり、たとえば、駐輪場の利用料金を精算する料金精算機やカード読取装置などで構成される。ゲートロック機構およびロック制御装置17は、駐輪場が有料である場合に装置されるものであり、入場用または退場用の駐輪場用ゲート1a,1bの少なくとも一方に配設される。
【0032】
次に、このように構成された駐輪場用ゲート1aにおける仕切扉8a,9a,10a,11aの作用、すなわち、仕切扉8a,9a,10a,11aによる後続車の進入阻止の仕組みについて、
図3および
図4を用いて説明する。図中の符合Bは、駐輪場の利用者が操作する自転車を示している。
【0033】
(1)駐輪場に入場する場合、利用者は、通路の前段に配置された回転ゲート2aの仕切扉8aの位置まで自転車Bを前進させ、自転車Bの前輪を使って仕切扉8aを押す(
図3(a)参照)。仕切扉8aが設けられた鉛直回転軸6aは軸受け箱12aによって回転可能に支持されているので、自転車Bによって仕切扉8aが押されると、鉛直回転軸6aを中心に仕切扉8aが回転し、鉛直回転軸6aが回転する。なお、本実施形態では、この鉛直回転軸6aの回転には動力によるアシストが機能するように構成されているが、この動力アシスト機能の詳細については後述する。
【0034】
(2)鉛直回転軸6aが回転すると、鉛直回転軸6aとチェーン16aによって連結されている後段の回転ゲート3aの鉛直回転軸7aも回転する。このとき、鉛直回転軸7aは鉛直回転軸6aと同期して回転するので、鉛直回転軸7aに備えられた仕切扉10a,11aは、鉛直回転軸6aの仕切扉8a,9aと90度の位相差で同期して回転する。
図3(b)は、仕切扉8aが
図3(a)に示す初期位置から45度回転した状態を示している。
図3(b)に示すように、仕切扉8aが45度回転すると、この動きに連動して、後段の回転ゲート3aの仕切扉10a,11aも同じように初期位置から45度回転する。
【0035】
(3)仕切扉8aが初期位置から90度回転すると、それに伴って後段の回転ゲート3aの仕切扉10a,11aも初期位置から90度回転する(
図4(a)参照)。これにより、後段の回転ゲート3aの仕切扉10aが自転車Bの前進を妨げる位置(通路と直交する向き)に配置されるので、利用者は、前段の回転ゲート2aのときと同じように、自転車Bの前輪を使って後段の仕切扉10aを押す。そうすると、今度は仕切扉10aが鉛直回転軸7aを中心に回転し、鉛直回転軸7aが回転する。
【0036】
(4)鉛直回転軸7aが回転すると、鉛直回転軸7aと連結されている前段の回転ゲート2aの鉛直回転軸6aも回転する。
図4(b)は、仕切扉10aが初期位置から135度回転した状態を示しており、図示のように、仕切扉10aが初期位置から135度回転すると、自転車Bの前後と左側面には仕切扉8a,9a,10a,11aが配置され、右側面には仕切棒Pが配置され、利用者とその自転車Bはこれら仕切扉8a~11a等によって囲まれた領域に一時的に閉じ込められる。そして、この領域は、図示されるように、利用者と自転車Bが1台が入る程度の広さであり、この領域内に2台の自転車Bは入れない。また、この状態では、仮に後続の自転車Bがあっても、後続の自転車Bの前進は前段の回転ゲート2aの仕切扉9aによって妨げられるので、後続の自転車Bは後段の回転ゲート3aに到達できない。
【0037】
(5)そして最終的には、
図4(c)に示すように、後段の回転ゲート3aが初期位置から180度の回転し、駐輪場への入場が可能な状態となり、利用者は自転車Bとともに駐輪場に入場できるようになる。なお、この間、回転ゲート2a,3aは、いずれも一方向回転軸14aによって逆回転しないので、駐輪場用ゲート1aから第三者が退場することもない。
【0038】
次に、駐輪場用ゲート1aのゲートロック機構および仕切扉8a~11aの回転補助機構について、
図5を用いて説明する。なお、この回転補助機構は、仕切扉8a,9a,10a,11aが初期位置からほぼ90度回転した時点で補助を開始するように構成されている。
【0039】
図5(a)は、仕切扉8a~11aが初期位置にあるときのゲートロック機構および回転補助機構の状態を示している。この図に示すように、駐輪場用ゲート1aは、ゲートロック機構として、ゲートロック用アクチュエータ21aと、ゲートロック用カム22aと、ゲートロック用カムローラ23aとを備えるとともに、回転補助機構として、回転付与ばね24a、アーム25a、回転付与カム26a、回転付与カム用ローラ27a、歯付きベルト28a、前段の回転ゲート用のプーリ29a、カム軸33a用のプーリ30a、後段の回転ゲート用のプーリ31a、アイドラ32aを備えている。なお、これらの機構はいずれも駐輪場用ゲート1aの床下に収容される。
【0040】
ここで、カム軸33aは、鉛直回転軸6aと平行に設けられ、図示しない軸受けによって回転可能に支持されている。カム軸33aには、ゲートロック用カム22a、回転付与カム26a、プーリ30aなどが取り付けられており、これらが一体に回転するように構成されている。また、プーリ29a,30a,31aには同一径のものが用いられ、常に同じ回転角度を保つようになっている。また、ゲートロック用アクチュエータ21aは、上述したロック制御装置17aからの指示に応じて、備えられたロッドを前進・後退させるように構成されている。
【0041】
仕切扉8a,9a,10a,11aが初期位置にあるとき、
図5(a)に示すように、ゲートロック用カムローラ23aはゲートロック用カム22aの外周に形成された段差部に当接・係合しており、これによりゲートロック用カム22aの回転が阻止されている。そのため、プーリ29a,30a,31を介してゲートロック用カム22aと連結されている鉛直回転軸6a,7aの回転も阻止されるので、回転ゲート2a,3aはゲートロックの状態となる。またこのとき、回転付与カム用ローラ27aは、中央部分が窪んだ概略楕円形状の回転付与カム26aにおいて半径が最も小さい窪み部分に当接しており、回転付与ばね24aは伸長される前の最も縮んだ状態にある。
【0042】
図5(b)は、ゲートロックが解除され、仕切扉8a,9a,10a,11aが初期位置から30度回転した状態を示している。ゲートロックの解除は、ゲートロック用アクチュエータ21aのロッドを退入させることにより行われる。ロッドの退入によって、ゲートロック用カムローラ23aとゲートロック用カム22aの段差部との係合が解除され、これによって、ゲートロック用カム22aおよび鉛直回転軸6a,7aが回転可能な状態になる。ゲートロックが解除され、鉛直回転軸6a,7aが回転すると、この回転によって回転付与カム26aが回転する。回転付与カム26aが回転すると、回転付与カム用ローラ27aが回転付与カム26aの外周を倣いながら回転付与カム26aの中心から遠ざかるように移動し、この移動によって回転付与ばね24aが伸長され、回転付与ばね24aにエネルギが蓄積される。すなわち、回転付与ばね24aは、回転付与カム26aおよび回転付与カム用ローラ27aからなるカム機構によって、回転ゲート2aの回転に応じて付勢される。
【0043】
そして、仕切扉8a,9a,10a,11aが初期位置から90度(第1の所定角度)回転すると、
図5(c)に示すように、回転付与カム用ローラ27aは、回転付与カム26aの突出した頂上部を超えて傾斜部に接する。このとき、回転付与カム用ローラ27aには回転付与ばね24aの弾発力(復帰力)が作用するので、この力によって回転付与カム26aが図中の矢符方向に回転させられる。つまり、仕切扉8a,9a,10a,11aは、初期位置から90度回転すると、それ以降は、回転付与ばね24aの復帰力を利用して自動的に回転する。
【0044】
そして最終的には、初期位置から180度(第3の所定角度(第1の所定角度からさらに90度(第2の所定角度))回転したところで、ゲートロック用カム22aの外周を倣うように移動していたゲートロック用カムローラ23aが、ゲートロック用カム22aの段差部(初期位置の段差部から180度の位置にある2つ目の段差部)に当接・係合し、これによってゲートロック用カム22aの回転が阻止され、上述したのと同様に、仕切扉8a,9a,10a,11a(鉛直回転軸6a,7a)の回転が自動的にロックされて停止する。その結果、仕切扉8a,9a,10a,11aは、初期位置から180度回転し、仕切扉8a,9a,10a,11aが初期位置と同じ状態になって停止する。
【0045】
次に、駐輪場用ゲート1aの動力アシスト機構について
図6および
図7を用いて説明する。動力アシスト機構は、仕切扉8a~11aの回転開始の初期段階を動力を使ってアシストする機構である。すなわち、上述したカム機構による回転のアシストは、その構造上、仕切扉8a~11aの回転開始の初期段階をアシストできない。そのため、本実施形態の駐輪場用ゲート1aでは、この回転初期段階を動力を用いてアシストするようにしている。
【0046】
図示のように、動力アシスト機構は、回転ゲート2aの回転の初期段階を検出するオンセンサ(回転検出手段)35aと、オンセンサ35aによる回転の検出に応じて駆動する電動モータ(回転駆動手段)36aと、電動モータ36aとと連携して回転付与カム26aを回転させるリンクアーム(駆動リンク手段)37aと、電動モータ36aの回転を停止させるオフセンサ(回転停止手段)38aとを主要部として備えている。なお、この動力アシスト機構も上述したゲートロック機構などとどうよう、駐輪場用ゲート1aの床下に配設・収容される。
【0047】
ここで、リンクアーム37aは、細長い板状の部材(図示例では両端が先細となった略菱形の金属板)で構成されており、その中央部分がカム軸33aに取り付けられ、カム軸33aと一体に回転する。オンセンサ35aは、リンクアーム37aの回転を検出する。すなわち、オンセンサ35aは、リンクアーム37aの回転の検出を通じて、仕切扉8a,9aの回転(回転ゲート2a,3aの回転)を検出するようになっている。本実施形態では、オンセンサ35aとして近接センサが用いられており、リンクアーム37aが初期位置から所定角度α1(第4の所定角度)回転したことを検出する位置に配置されている。所定角度α1としては、回転ゲート2a,3aの回転の初期段階を検出する角度が選択される。図示例では、所定角度α1を10度としている。なお、符号42aは、オンセンサ35aを当該位置に配設するための取付台である。
【0048】
電動モータ36aは、回転軸39aの回転速度を調節できるスピードコントロールモータで構成されており、その回転軸39aがカム軸33aと平行に配置されている。回転軸39aには、回転軸39aと一体に回転する細長い板状の回転板40aが備えられている。回転板40aの両端にはカムフォロア41a,41aが配置されていて、回転軸39aの回転により、カムフォロア41a,41aが回転軸39a回りに旋回するようになっている。
【0049】
そして、このカムフォロア41aは、旋回中にリンクアーム37aの一端と接触・係合して、リンクアーム37aを回転させる。リンクアーム37aとカムフォロア41aとの接触、つまり、カムフォロア41aによるリンクアーム37aの回転アシストは、リンクアーム37aが初期位置から所定角度α1回転した地点から開始され、そこから更に所定角度α2(第5の所定角度)回転した位置まで継続し、この所定角度α2を経過するタイミングで、リンクアーム37aとカムフォロア41aの係合が解除されて、動力による回転アシストが終了する。ここで、所定角度α2は、カムフォロア41aの旋回半径によって調節できる。すなわち、旋回半径を大きくすることで、カムフォロア41aがリンクアーム37aと深く係合することになり、所定角度α2(アシストの範囲)が大きくなる。反対に、旋回半径を小さくすると、カムフォロア41aとリンクアーム37aの係合が浅くなり、所定角度α2も小さくなる。
【0050】
オフセンサ38aは、カムフォロア41aの旋回を検出する。本実施形態では、オフセンサ38aとしてカムフォロア41aの旋回軌跡上に近接センサを配置している。そして、カムフォロア41aが180度旋回すると、この旋回をオフセンサ38aが検出するようになっている。
【0051】
このように構成された動力アシスト機構の動作について、回転ゲート2aの動きとの関係を示しながら説明する。
回転ゲート2aが初期位置にあるとき、回転付与カム26aは
図6の鎖線で示す位置(原点の位置)にある。
【0052】
利用者が、仕切扉8aの位置まで自転車Bを押して前進し、自転車Bの前輪を使って仕切扉8aを押しながら仕切扉8aを初期位置から所定角度α1(図示例では10度)回転させると、それに伴って回転付与カム26aは
図6の実線で示す位置まで回転する。その際、リンクアーム37aも
図6の実線で示す位置まで回転し、この回転がオンセンサ35aによって検出される。
【0053】
リンクアーム37aの回転、すなわち、回転ゲート2aの回転がオンセンサ35aで検出されると、その検出信号が電動モータ36aに与えられ、電動モータ36aが作動する。電動モータ36aの作動により回転軸39aが回転し、これによって回転板40aが回転して、カムフォロア41aが旋回する。旋回したカムフォロア41aは、リンクアーム37aの一端と当接・係合してリンクアーム37aを回転させる。リンクアーム37aの回転は、カム軸33aを介してプーリ30aに伝達され、歯付きベルト28を介してプーリ29a,31aにも伝達される。これにより、リンクアーム37aに連動して仕切扉8a,9aが回転する。つまり、仕切扉8a,9aの回転が電動モータ36aによってアシストされる。
【0054】
この回転のアシストは、リンクアーム37aとカムフォロア41aの係合が解除されるまで継続する。すなわち、リンクアーム37aが、初期位置から所定角度α1回転した位置から更に所定角度α2(図示例では48度)を経過したところで両者の係合が解除され、電動モータ36aによる回転アシストが解除される。つまり、図示の動力アシスト機構では、仕切扉8a,9aの回転アシストは、仕切扉8a,9aが初期位置から10度回転したところから開始され、そこから更に48度(初期位置から58度)回転した時点で終了する。そのため、この間では、回転付与ばね24aを伸長させる外的作用として電動モータ36aの動力が用いられることとなり、利用者の負担が軽減される。
【0055】
なお、リンクアーム37aとカムフォロア41aの係合が解除されても電動モータ36aは回転を継続する。電動モータ36aの駆動停止はオフセンサ38aの検出信号による。回転板40aが初期位置から180度回転して初期位置と同じ状態になると、この状態をオフセンサ38aが検出して検出信号が出力され、電動モータ36aの回転駆動が停止する。その結果、回転板40aは初期位置と同じ状態で停止する。
【0056】
このように、動力アシスト機構は、仕切扉8a,9aが回転を開始した初期段階から仕切扉8a,9aの回転アシストを開始し、上述した回転補助機構(カム機構)による回転補助が機能する前のあらかじめ設定した角度(本実施形態では、初期位置から58度)までの間、電動モータ36aの動力による回転アシストが実行されるので、子供や老人のような非力な利用者であっても、わずかな力を使って仕切扉8a,9a少し回転させることで、動力による回転アシストを享受でき、容易に回転ゲートを通過することができるようになる。
【0057】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0058】
たとえば、上述した実施形態では、鉛直回転軸6a,7a、一方向回転軸14aおよび遊動軸15aをスプロケット13aとチェーン16aとによって連結した場合を示したが、少なくとも鉛直回転軸6a,7aが同期して回転する構成であれば他の機械的な構成、たとえば、歯付きベルトとプーリを用いた機構を用いて連結されてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、オンセンサ35aによってリンクアーム37aの回転を検出するように構成した場合を示したが、オンセンサ35aは回転ゲート2aの回転の初期段階を検出できれば他の部材、たとえば、回転付与カム26aと連動するアーム25の動きを検出するように構成してもよい。また、上述した実施形態では、オフセンサ38aは回転板40aの回転を検出するように構成した場合を示したが、オフセンサ38aは回転板40aが初期位置と同じ状態になったことを検出できればよく、たとえば、大麻などの計時手段で回転板40aの初期位置への復帰を検出するように構成してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、回転ゲート2a,3aの回転の初期段階を検出する所定角度α1を10度とした場合を示したが、所定角度α1は回転ゲート2a,3aの回転の初期段階であれば他の角度(たとえば、5度や15度など)を採用することも可能である。また、上述した実施形態では、動力アシスト機構による回転アシストの範囲を48度(所定角度α2)とした場合を示したが、アシストされる範囲の回転角は48度に限らず適宜増減変更可能である。
【0061】
なお、上述した実施形態では、駐輪場用ゲート1aの初期位置として、前段の回転ゲート2aの仕切扉8a,9aが通路と直交して配置されるようにした場合を示したが、前段の回転ゲート1aの仕切扉8a,9aは通路と平行に配置し、後段の回転ゲート3aの仕切扉10a,11aが通路と直交して配置されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 駐輪場用ゲート
2 前段の回転ゲート
3 後段の回転ゲート
6 前段の鉛直回転軸
7 後段の鉛直回転軸
8,9 前段の仕切扉
10,11 後段の仕切扉
13 スプロケット
14 一方向回転軸
15 遊動軸
16 チェーン
17 ロック制御装置
21 ゲートロック用アクチュエータ
22 ゲートロック用カム
23 ゲートロック用カムローラ
24 回転付与ばね
26 回転付与カム
27 回転付与カム用ローラ
28 歯付きベルト
29,30,31 プーリ
33 カム軸
35 オンセンサ(回転開始検出手段)
36 電動モータ(回転駆動手段)
37 リンクアーム(駆動リンク手段)
38 オフセンサ(回転停止手段)
39 回転軸
40 回転板
41 カムフォロア
F 柵
P 仕切棒