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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071952
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】画像システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/24 20060101AFI20240520BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240520BHJP
   A61B 1/07 20060101ALI20240520BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G02B23/24 B
A61B1/00 732
A61B1/07 731
A61B1/00 731
A61B1/00 500
G02B23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182492
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】591236172
【氏名又は名称】株式会社ハタ研削
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】佐野 安一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 俊樹
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA00
2H040CA11
2H040CA23
2H040CA26
2H040GA01
2H040GA11
4C161CC04
4C161CC06
4C161CC07
4C161FF40
4C161PP11
(57)【要約】
【課題】被写体画像の解像度を向上させるとともに、人工鉱物からなる位相共役鏡を用いずに、位相歪に起因する被写体画像の乱れを除去する画像システムを提供すること。
【解決手段】画像システム1Aは、第1レーザ光源10と、光ファイバ11と、第1レーザ光源10の第1射出光B1を光ファイバ11に導く第1光路12を備える。また、画像システム1Aは、第1撮像素子15と、撮像光Cを光ファイバ11から第1撮像素子15に導く第2光路17と、第1撮像素子15が取得した画像データに基づいて各画素の位相を算出する位相データ生成部18と、各画素の位相データを表示する光変調素子19と、第2レーザ光源21と、第2撮像素子22と、第2レーザ光源21の第2射出光B2を、光変調素子19を経由して、第2撮像素子22に導く第3光路23と、を有する。光ファイバ11は、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光源と、
光ファイバと、
前記第1レーザ光源の第1射出光を前記光ファイバに導く第1光路と、
第1撮像素子と、
被写体で反射された前記射出光の反射光であって、前記被写体の側から前記光ファイバに入射した撮像光を当該光ファイバから前記第1撮像素子に導く第2光路と、
前記第1撮像素子が取得した画像データに基づいて当該画像データの各画素の位相を算出する位相データ生成部と、
各画素の前記位相データを表示する光変調素子と、
第2レーザ光源と、
第2撮像素子と、
前記第2レーザ光源の第2射出光を、前記光変調素子を経由して、前記第2撮像素子に導く第3光路と、
を有し、
前記光ファイバは、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバであることを特徴とする画像システム。
【請求項2】
前記光ファイバの前記第1光路とは反対側に取り付けられた撮影レンズを有し、
前記撮像光は、前記撮影レンズを介して前記光ファイバに入射することを特徴とする請求項1に記載の画像システム。
【請求項3】
前記撮影レンズは、保護カバーにより覆われていることを特徴とする請求項2に記載の画像システム。
【請求項4】
前記第2光路における前記光ファイバと前記第1撮像素子との間に、前記第1射出光を前記撮像光に重畳させる合成部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像システム。
【請求項5】
前記第1光路は、1/2波長板、偏光ビームスプリッタ、および1/4波長板を備え、
前記第1射出光は、前記1/2波長板、前記偏光ビームスプリッタ、および前記1/4波長板を、この順に経由して、前記光ファイバに入射することを特徴とする請求項4に記載の画像システム。
【請求項6】
前記第2光路は、前記1/4波長板、および前記偏光ビームスプリッタを備え、
前記撮像光は、前記1/4波長板、および前記偏光ビームスプリッタをこの順に経由して、前記第1撮像素子に入射することを特徴とする請求項5に記載の画像システム。
【請求項7】
前記第1射出光を前記合成部に導く第4光路を有し、
前記第4光路は、前記偏光ビームスプリッタ、第2の1/4波長板、およびミラーを備え、
前記ミラーは、当該ミラーを前後に移動させる移動機構に支持され、
前記第4光路において、前記第1射出光は、前記偏光ビームスプリッタ、第2の1/4波長板、ミラー、前記第2の1/4波長板、および前記偏光ビームスプリッタを、この順に経由して、前記第1撮像素子に向かい、
前記偏光ビームスプリッタと前記第1撮像素子との間において、前記第1射出光が前記撮像光に重畳することを特徴とする請求項6に記載の画像システム。
【請求項8】
前記第3光路は、第3の1/4波長板を備え、
前記第2射出光は、前記第3の1/4波長板を経由して、前記光変調素子に照射されることを特徴とする請求項7に記載の画像システム。
【請求項9】
前記第1レーザ光源は、前記第2レーザ光源を兼ねており、
前記第3光路は、第2の偏光ビームスプリッタ、および第3の1/4波長板を備え、
前記第2の偏光ビームスプリッタは、前記第1光路における前記1/2波長板と前記偏光ビームスプリッタとの間に位置し、
前記第1光路において、前記第1射出光は、前記第2の偏光ビームスプリッタを通過して、前記偏光ビームスプリッタに至り、
前記第3光路において、前記第1射出光は、前記第2の偏光ビームスプリッタにより反射された後に、前記第3の1/4波長板を経由して、前記光変調素子に照射されることを特徴とする請求項7に記載の画像システム。
【請求項10】
前記光変調素子は、液晶パネルであることを特徴とする請求項7に記載の画像システム。
【請求項11】
デジタル位相共役データ変換デバイスを有し、
前記第3光路には、第2の光ファイバが配置され、
前記第1撮像素子が取得した画像データは、デジタル位相共役データ変換デバイスに入力され、
前記デジタル位相共役データ変換デバイスは、前記位相データ生成部と、前記光変調素子と、を備え、
前記第3光路において、前記第2射出光は、前記光変調素子を経由した後に、前記第2の光ファイバに入射し、
前記第2撮像素子は、前記第2の光ファイバから射出される出力光を撮影し、
前記第2の光ファイバは、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバであることを特徴とする請求項1に記載の画像システム。
【請求項12】
コンピュータを有し、
前記コンピュータは、
前記第1撮像素子が取得した画像データの倍率を変化させて、デジタル位相共役データ変換デバイスに入力する画像処理部と、前記第2撮像素子が取得した被写体画像データを表示する表示部を備えることを特徴とする請求項11に記載の画像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いて撮像光を伝送する画像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光線の伝送路として光ファイバを備える内視鏡は特許文献1に記載されている。同文献の内視鏡は、伝送路の一方側に光源および画像取得部が設けられ、伝送路の一方側に被写体と対峙する撮影レンズが位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-188513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、内視鏡に用いられる光ファイバは、複数本の光ファイバを束ねたバンドルファイバーである。しかし、バンドルファイバーを用いて被写体を撮影した場合には、束ねられた光ファイバと光ファイバとの間の隙間に起因して被写体の像の情報が欠落する。この結果、被写体画像の解像度が低下するという問題がある。
【0005】
また、撮影レンズを介して撮影した被写体の撮像光は、光ファイバを伝搬される間に位相歪が発生する。従って、光ファイバにより伝送される被写体の撮像光をCCDなどの撮像素子により撮影して被写体画像を取得すると、位相歪に起因して、被写体画像が乱れる。ここで、特許文献1では、被写体画像の乱れを取り除くために、チタンサンバリュウム単結晶などの人工鉱物からなる位相共役鏡を使用する。しかし、チタンサンバリュウム単結晶は、所望の形状に加工することが難しい。このため、特許文献1の技術では、内視鏡などの画像システムの製造コストを抑制することが困難である。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、被写体画像の解像度を向上させるとともに、人工鉱物からなる位相共役鏡を用いずに、位相歪に起因する被写体画像の乱れを除去する画像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の画像システムは、第1レーザ光源と、光ファイバと、前記第1レーザ光源の第1射出光を前記光ファイバに導く第1光路と、第1撮像素子と、被写体で反射された前記射出光の反射光であって、前記被写体の側から前記光ファイバに入射した撮像光を当該光ファイバから前記第1撮像素子に導く第2光路と、前記第1撮像素子が取得した画像データに基づいて当該画像データの各画素の位相を算出する位相データ生成部と、各画素の前記位相データを表示する光変調素子と、第2レーザ光源と、第2撮像素子と、前記第2レーザ光源の第2射出光を、前記光変調素子を経由して、前記第2撮像素子に導く第3光路と、を有し、前記光ファイバは、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバであることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、画像システムは、光ファイバにより伝送された被写体の撮像光を、第1撮像素子により受光して画像データを取得する。また、画像システムは、当該画像データから各画素の位相を算出した位相データを生成する。さらに、画像システムは、位相データを光変調素子に表示する。また、画像システムは、第2レーザ光源の第2射出光を読出光として光変調素子に照射する。第2撮像素子は、光変調素子から射出される位相共役
光を撮影する。これにより、第2撮像素子は、位相歪のない、被写体画像の画像データを取得できる。本発明では、位相共役光の生成に、ディジタル処理を用いる。従って、位相共役光の生成に加工が困難な人工鉱物を用いる場合と比較して、画像システムの製造コストを抑制できる。また、本発明では、光ファイバとして、一本のグレーデッドインデックスマルチモード光ファイバを用いる。従って、バンドルファイバーにより被写体を撮影した撮像光を伝送する場合と比較して、被写体の像の情報が欠落せず、被写体画像の解像度を向上させることができる。
【0009】
本発明において、前記光ファイバの前記第1光路とは反対側に取り付けられた撮影レンズを有し、前記撮像光は、前記撮影レンズを介して前記光ファイバに入射するものとすることができる。撮像レンズを備えることにより、被写体を撮影する画角を所望の角度とすることができる。
【0010】
本発明において、前記撮影レンズは、保護カバーにより覆われているものとすることができる。この場合、保護カバーは、防水構造を備えるものとすることができる。このようにすれば、画像システムを、内視鏡として、利用しやすい。
【0011】
本発明において、前記第2光路における前記光ファイバと前記第1撮像素子との間に、前記第1射出光を前記撮像光に重畳させる合成部を備えるものとすることができる。すなわち、合成部において被写体の撮影に使用した第1レーザ光源の射出光と撮像光とを重畳させ、第1撮像素子により、画像データとして、位相歪みを含む被写体画像のホログラムを取得するものとすることができる。
【0012】
この場合において、前記第1光路は、1/2波長板、偏光ビームスプリッタ、および1/4波長板を備え、前記第1射出光は、前記1/2波長板、前記偏光ビームスプリッタ、および前記1/4波長板を、この順に経由して、前記光ファイバに入射するものとすることができる。
【0013】
また、前記第2光路は、前記1/4波長板、および前記偏光ビームスプリッタを備え、前記撮像光は、前記1/4波長板、および前記偏光ビームスプリッタをこの順に経由して、前記第1撮像素子に入射するものとすることができる。
【0014】
さらに、前記第1射出光を前記合成部に導く第4光路を有し、前記第4光路は、前記偏光ビームスプリッタ、第2の1/4波長板、およびミラーを備え、前記ミラーは、当該ミラーを前後に移動させる移動機構に支持され、前記第4光路において、前記第1射出光は、前記偏光ビームスプリッタ、第2の1/4波長板、ミラー、前記第2の1/4波長板、および前記偏光ビームスプリッタを、この順に経由して、前記第1撮像素子に向かい、前記偏光ビームスプリッタと前記第1撮像素子との間において、前記第1射出光が前記撮像光に重畳するものとすることができる。このようにすれば、第1レーザ光源からの第1射出光を、撮像光に重畳させることが容易である。また、第1撮像素子が取得した画像データから、各画素の位相データを算出することが容易となる。
【0015】
本発明において、前記第3光路は、第3の1/4波長板を備え、前記第2射出光は、前記第3の1/4波長板を経由して、前記光変調素子に照射されるものとすることができる。
【0016】
本発明において、前記第1レーザ光源は、前記第2レーザ光源を兼ねており、前記第3光路は、第2の偏光ビームスプリッタ、および第3の1/4波長板を備え、前記第2の偏光ビームスプリッタは、前記第1光路における前記1/2波長板と前記偏光ビームスプリッタとの間に位置し、前記第1光路において、前記第1射出光は、前記第2の偏光ビーム
スプリッタを通過して、前記偏光ビームスプリッタに至り、前記第3光路において、前記第1射出光は、前記第2の偏光ビームスプリッタにより反射された後に、前記第3の1/4波長板を経由して、前記光変調素子に照射されるものとすることができる。このようにすれば、第1レーザ光源からの第1射出光を、光変調素子に照射できる。
【0017】
本発明において、前記光変調素子は、液晶パネルであるものとすることができる。例えば、液晶プロジェクターに用いられる液晶パネルを用いれれば、液晶パネルの各画素に、位相データを表示することが容易である。また、液晶パネルを用いた場合には、カラーの被写体画像を取得することが容易である。すなわち、第1射出光を白色光とし、画像データの各画素の位相データをRGBの各色について生成して3枚の液晶パネルに表示し、各液晶パネルを経由した光をダイクロイックプリズムで合成して第2の撮像素子に入射させれば、カラーの被写体画像を取得できる。
【0018】
ここで、第1撮像素子が取得した画像データに基づいて、画像データの各画素の位相を算出するとともに、光変調素子に位相データを表示するデジタル位相共役データ変換デバイスは、市販されている。従って、このようなデジタル位相共役データ変換デバイスを用いることにより、画像システムの製造コストを抑制できる。かかる観点から、本発明は、デジタル位相共役データ変換デバイスを有し、前記第3光路には、第2の光ファイバが配置され、前記第1撮像素子が取得した画像データは、デジタル位相共役データ変換デバイスに入力され、前記デジタル位相共役データ変換デバイスは、前記位相データ生成部と、前記光変調素子と、を備え、前記第3光路において、前記第2射出光は、前記光変調素子を経由した後に、前記第2の光ファイバに入射し、前記第2撮像素子は、前記第2の光ファイバから射出される出力光を撮影し、前記第2の光ファイバは、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバであるものとすることができる。
【0019】
デジタル位相共役データ変換デバイスを使用する場合には、被写体の側から光ファイバに入射した撮像光は光ファイバからダイレクトに第1撮像素子に導かれる。従って、第1撮像素子が取得する画像データはフォロラムではない。よって、第3光路に第2の光ファイバを配置して、光変調素子を経由した第2射出光を第2の光ファイバに入射させ、第2の光ファイバから射出される出力光を第2撮像素子により撮影する。これにより、第2撮像素子は、位相歪のない、被写体画像の画像データを取得できる。
【0020】
この場合において、コンピュータを有し、前記コンピュータは、前記第1撮像素子が取得した画像データの倍率を変化させて、デジタル位相共役データ変換デバイスに入力する画像処理部と、前記第2撮像素子が取得した被写体画像データを表示する表示部を備えるものとすることができる。このようにすれば、被写体画像をデジタル処理により拡大できるので、光学系を用いて拡大された被写体画像を取得する場合と比較して、製造コストを抑制できる。また、コンピュータは表示部を備えるので、第2撮像素子が取得した被写体画像の画像データをコンピュータに入力すれば、被写体画像を観察できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1の画像システムの説明図である。
図2】実施例2の画像システムの説明図である。
図3】実施例3の画像システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を適用した画像システムを説明する。
【0023】
(実施例1)
図1は、実施例1の画像システムの説明図である。図1に示すように、本例の画像シス
テム1Aは、第1レーザ光源10と、光ファイバ11と、第1レーザ光源10の第1射出光B1を光ファイバ11に導く第1光路12を備える。また、画像システム1Aは、第1撮像素子15と、被写体16の側から光ファイバ11に入射した撮像光Cを光ファイバ11から第1撮像素子15に導く第2光路17と、第1撮像素子15が取得した画像データに基づいて当該画像データの各画素の位相を算出する位相データ生成部18と、各画素の位相データを表示する光変調素子19とを備える。さらに、画像システム1Aは、第2レーザ光源21と、第2撮像素子22と、第2レーザ光源21の第2射出光B2を、光変調素子19を経由して、第2撮像素子22に導く第3光路23を備える。また、画像システム1Aは、第2光路17における光ファイバ11と第1撮像素子15との間に、第1射出光B1を撮像光Cに重畳させる合成部25を備える。さらに、画像システム1Aは、第1射出光B1を合成部25に導く第4光路27を有する。
【0024】
第1レーザ光源10は、HeNeレーザである。第1レーザ光源10の第1射出光B1は直線偏光である。光ファイバ11は、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバである。光ファイバ11の第1光路12とは反対側には、撮像レンズ31が取り付けらえている。撮像レンズ31は、不図示の保護カバーにより覆われている。保護カバーは、防水構造を備えており、保護カバーの外側から撮像レンズ31が位置する保護カバーの内側に水が侵入することはない。
【0025】
第1光路12は、1/2波長板34、ビームエキスパンダ33、偏光ビームスプリッタ35、1/4波長板36およびリレーレンズ37を備える。図1には図示を省略しているが、第1レーザ光源10と1/2波長板34との間にはアイソレータを挿入する。第1香炉第1光路12において、第1射出光B1は、1/2波長板34、偏光ビームスプリッタ35、1/4波長板36、およびリレーレンズ37、をこの順に経由して、光ファイバ11に入射する。より詳細には、直線偏光である第1射出光B1は、1/2波長板34により回転角度がセットされ、ビームエキスパンダ33により所望の径の光線とされて、偏光ビームスプリッタ35に入射する。また、第1射出光B1は、偏光ビームスプリッタ35により第1偏光Sおよび第2偏光Pに分割される。第1偏光Sは、1/4波長板36により位相差が付与され、リレーレンズ37を介して光ファイバ11に入射する。
【0026】
第1偏光S(第1射出光B1)は、光ファイバ11を伝送して、撮像レンズ31と対応する被写体16に照射される。被写体16の側から光ファイバ11に入射した撮像光C、すなわち、被写体16で反射された第1偏光Sの反射光は、光ファイバ11を逆方向に伝送する。また、撮像光Cは、光ファイバ11から射出されて第2光路17に入射する。
【0027】
第2光路17は、リレーレンズ371/4波長板36、および偏光ビームスプリッタ35を備える。撮像光Cは、1/4波長板36により位相差が付与され、偏光ビームスプリッタ35を通過する。
【0028】
合成部25は、第2光路17における偏光ビームスプリッタ35と第1撮像素子15との間の領域である。ここで、第1射出光B1を合成部25に導く第4光路27は、偏光ビームスプリッタ35、第2の1/4波長板41、およびミラー42を備える。第4光路27において偏光ビームスプリッタ35から合成部25に向かう光線は、偏光ビームスプリッタ35により分割された第1射出光B1の第2偏光Pである。第2偏光Pは、第2の1/4波長板41、ミラー42、第2の1/4波長板41、および偏光ビームスプリッタ35をこの順に経由して、第1撮像素子15に向かう。すなわち、第2偏光Pは、1/4波長板36により位相差が2回付与された後に、偏光ビームスプリッタ35で反射されて、合成部25に至る。ここで、ミラー42は、移動機構43に支持されている。移動機構43は、ミラー42の第2の1/4波長板41とは反対側に設置したピエゾ素子である。移動機構43は、ミラー42を前後方向に移動させる。
【0029】
第1撮像素子15は、CCDである。ここで、合成部25では、被写体16の撮影に使用した第1レーザ光源10の第1射出光B1と、光ファイバ11を伝送された撮像光Cとが重畳する。従って、第1撮像素子15は、画像データとして、撮影に使用された第1レーザ光源10の第1射出光B1と、光ファイバ11を伝送された撮像光Cとが重畳する被写体画像のホログラムを取得する。被写体画像のホログラムは、光ファイバ11により伝送される際に撮像光Cに発生する位相歪みを含む画像データであり、干渉縞を有する。
【0030】
位相データ生成部18は、コンピュータ20においてアプリケーションプログラムを動作させることにより機能する。第1撮像素子15が取得した画像データが入力されると、位相データ生成部18は、当該画像データの各画素の位相を算出する。また、位相データ生成部18は、算出した各画素の位相データを光変調素子19に入力する。第1撮像素子15が取得した画像データは、干渉縞強度を反映した明暗データである。位相データ生成部18は、明暗データから、画像データの各画素の位相を算出する。画像データの各画素の位相を算出する算出方法は、後述する。
【0031】
光変調素子19は、液晶パネルである。本例では、液晶パネルは透過型であり、液晶プロジェクターにおいて光変調素子19として使用されるものである。光変調素子19は、当該光変調素子19の各画素を駆動して、入力された各画素の位相データを表示する。
【0032】
次に、第2レーザ光源21は、第1レーザ光源10と同一の部材である。第3光路23は、ビームエキスパンダ45、第3の1/4波長板46、光変調素子19、偏光子47、第4の1/4偏光板48、および集光レンズ49を備える。第2レーザ光源21とビームエキスパンダ45との間にはアイソレータ(図示せず)を挿入する。第3光路23において、第2レーザ光源21の第2射出光B2は、第3の1/4波長板46を経由して、光変調素子19に照射される。ここで、光変調素子19に照射される光線は、第1光路12において、光ファイバ11に入射する光線と同等である。また、光変調素子19から射出される光線は、位相共役光Dである。第3光路23において、光変調素子19から射出された位相共役光Dは、偏光子47、第4の1/4偏光板48、および集光レンズ49をこの順に経由して、第2撮像素子22に至る。集光レンズ49は、位相共役光Dを第2撮像素子22の撮像面に結像させるためのものである。なお、第2撮像素子22が取得した被写体画像の画像データをコンピュータ20に入力して表示させれば、被写体画像を観察できる。
【0033】
(画像データの各画素の位相を算出する算出方法の例)
次に、第1撮像素子15が取得した画像データから位相データ生成部18が位相データを算出する算出方法の例を説明する。本例の算出方法では、ミラー42を支持する移動機構43のピエゾ素子を駆動して、撮像光Cと第1射出光B1との位相差を変化させながら、第1撮像素子15による撮影を行う。これにより、位相差が0,π/2,π,3π/2の4枚の画像データ(ホログラム)を得る。ここで、取得した各画像データの画素の干渉縞強度をそれぞれ、I(x、y)、I(x、y)、I3(x、y)、I(x、y)としたときに、各画素の位相をφ(x、y)は、以下の数式により求められる。
【0034】
【数1】
【0035】
(作用効果)
本例の画像システム1Aは、光ファイバ11により伝送された被写体16の撮像光Cを、第1撮像素子15により受光して画像データを取得する。また、画像システム1Aは、画像データから各画素の位相を算出した位相データを生成して、当該位相データを光変調素子19に表示する。さらに、画像システム1Aは、第2レーザ光源21の第2射出光B2を読出光として光変調素子19に照射し、第2撮像素子22により光変調素子19から照射される位相共役光Dを撮影する。これにより、第2撮像素子22は、位相歪のない、被写体画像の画像データを取得できる。ここで、画像システム1Aは、位相共役光Dの生成にディジタル処理を用いる。従って、位相共役光Dの生成に加工が困難な人工鉱物を用いる場合と比較して、画像システム1Aの製造コストを抑制できる。また、本例では、光ファイバ11として、一本のグレーデッドインデックスマルチモード光ファイバを用いる。従って、バンドルファイバーにより被写体16を撮影した撮像光Cを伝送する場合と比較して、被写体16の像の情報が欠落せず、被写体画像の解像度を向上させることができる。
【0036】
さらに、本例では、光変調素子19として、液晶プロジェクターに用いられる液晶パネルを用いる。従って、光変調素子19の各画素に、位相データを表示することができる。ここで、液晶パネルを用いた場合には、カラーの被写体画像を取得することが容易である。この場合には、第1射出光B1を白色光とし、画像データの各画素の位相データをRGBの各色について生成して3枚の液晶パネルに表示する。また、第2レーザ光源21からの第2射出光B2をRGBの各光線に分割して各液晶パネルに照射する。さらに、各液晶パネルから射出される位相共役光Dをダイクロイックプリズムで合成して、第2撮像素子22に入射させる。
【0037】
(実施例2)
図2は、実施例2の画像システムの説明図である。図2に示すように、本例の画像システム1Bは、光変調素子19に第2射出光B2を照射する第2レーザ光源21を有さず、第1レーザ光源10が第2レーザ光源21を兼ねる。また、第2レーザ光源21を兼ねる第1レーザ光源10の第1射出光B1を、光変調素子19を経由して、第2撮像素子22に導く第3光路23は、第2の偏光ビームスプリッタ51、第3の1/4波長板46、光変調素子19、偏光子47、第4の1/4偏光板48、および集光レンズ49を備える。なお、これらの構成を除き、本例の画像システム1Bは、上記の画像システム1Aと同一である。従って、上記の構成を説明して、他の構成の説明は省略する。また、上記の画像システム1Aと対応する構成には、同一の符号を付して説明する。実施例2の画像システム1Bにおいても、第1レーザ光源10と1/2波長板34との間にはアイソレータ(図示せず)を挿入する。
【0038】
本例において、第2の偏光ビームスプリッタ51は、第1光路12における1/2波長板34と偏光ビームスプリッタ35との間に位置する。第1光路12において、第1レーザ光源10の第1射出光B1は、第2の偏光ビームスプリッタ51を通過して、偏光ビームスプリッタ35に至り、第3の1/4波長板46、およびリレーレンズ37を経由して光ファイバ11に入射する。第3光路23において、第1レーサ光源の第1射出光B1は、第2の偏光ビームスプリッタ51により反射された後に、第3の1/4波長板46を経由して、光変調素子19に照射される。ここで、光変調素子19に照射される光線は、第1光路12において、光ファイバ11に入射する光線に対応する。また、光変調素子19から射出される光線は、位相共役光Dである。第3光路23において、光変調素子19から射出された位相共役光Dは、偏光子47、第4の1/4偏光板48、および集光レンズ49をこの順に経由して、第2撮像素子22に至る。
【0039】
本例の画像システム1Bは、上記の画像システム1Aと同様の作用効果を奏する。また、本例の画像システム1Bは、第1レーザ光源10が第2レーザ光源21を兼ねるので、
上記の画像システム1Aと比較して、部品点数を減らすことができる。よって、画像システム1Bの製造コストを抑制できる。
【0040】
(実施例3)
図3は、実施例3の画像システムの説明図である。図3に示すように、実施例3の画像システム1Cは、市販のデジタル位相共役データ変換デバイス60を使用する。なお、画像システム1Cは上記の画像システム1Aと対応する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付す。
【0041】
本例の画像システム1Cは、第1レーザ光源10と、光ファイバ11と、第1レーザ光源10の第1射出光B1を光ファイバ11に導く第1光路12を備える。第1レーザ光源10は、環状である。光ファイバ11の先端には、撮像レンズ31が取り付けられている。第1光路12は、リレーレンズ37を備える。
【0042】
また、画像システム1Cは、第1撮像素子15と、被写体16の側から光ファイバ11に入射した撮像光Cを当該光ファイバ11から第1撮像素子15に導く第2光路17を備える。撮像光Cは、被写体16により反射された第1射出光B1の反射光であり、光ファイバ11を第1射出光B1とは反対方向に伝送される。第2光路17は、環状の第1レーザ光源10の中心を経由する。第1撮像素子15は、光ファイバ11から射出され環状の第1レーザ光源10の中心を通過した撮像光Cを撮影して、画像データを取得する。
【0043】
さらに、画像システム1Cは、第1撮像素子15が取得した画像データに基づいて当該画像データの各画素の位相を算出する位相データ生成部18と、各画素の位相データを表示する光変調素子19とを備える。光変調素子19は、反射型の液晶パネルである。本例では、デジタル位相共役データ変換デバイス60が、位相データ生成部18と、光変調素子19とを、備える。
【0044】
ここで、本例では、第1撮像素子15とデジタル位相共役データ変換デバイス60との間にコンピュータ70が介在する。コンピュータ70は、第1撮像素子15が取得した画像データの倍率を所望の倍率に変化させて、デジタル位相共役データ変換デバイス60に入力する画像処理部71と、後述する第2撮像素子が取得した被写体画像データを表示する表示部72を備える。
【0045】
また、画像システム1Cは、第2レーザ光源21と、第2撮像素子22と、第2レーザ光源21の第2射出光B2を、デジタル位相共役データ変換デバイス60の光変調素子19を経由して、第2撮像素子22に導く第3光路23を備える。第3光路23には、ビームエキスパンダ63、リレーレンズ64、第2の光ファイバ65、および第2の撮像レンズ66が配置される。第2の光ファイバ65は、グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバである。第2の光ファイバ65は、光ファイバ11と同一の部材であり、同一径、同一長さを備える。
【0046】
第3光路23において、第2レーザ光源21の第2射出光B2は、ビームエキスパンダ63を介して光変調素子19に照射される。光変調素子19から射出される反射光は、リレーレンズ64を介して、第2の光ファイバ65に入射し、光ファイバ11により伝送されて撮像レンズ66から射出される。第2撮像素子22は、撮像レンズ66を介して光ファイバ11から出力される出力光を撮影する。出力光は、位相共役光Dである。従って、第2撮像素子22は、位相歪がない、被写体画像の画像データを取得できる。ここで、第2撮像素子22が取得した被写体画像の画像データをコンピュータ70に入力して表示させれば、被写体画像を観察できる。
【0047】
(作用効果)
本例の画像システム1Cは、第1撮像素子15が取得した画像データに基づいて当該画像データの各画素の位相を算出する位相データ生成部18と、各画素の位相データを表示する光変調素子19とを有するデジタル位相共役データ変換デバイス60を備える。このようなデジタル位相共役データ変換デバイス60は市販されているので、画像システム1Cの製造コストを、より、抑制できる。
【0048】
ここで、デジタル位相共役データ変換デバイス60を使用する場合には、被写体16の側から光ファイバ11に入射した撮像光Cは光ファイバ11からダイレクトに第1撮像素子15に導かれる。従って、第1撮像素子15が取得する画像データはフォロラムではない。よって、第3光路23に第2の光ファイバ65を配置して、光変調素子19を経由した第2射出光B2を第2の光ファイバ65に入射させ、第2の光ファイバ65から射出される出力光を第2撮像素子22により撮影する。これにより、第2撮像素子22は、位相歪のない、被写体画像の画像データを取得できる。
【0049】
また、本例では、第1撮像素子15の画像データは、コンピュータ70を経由して、デジタル位相共役データ変換デバイス60に入力される。ここで、コンピュータ70は、第1撮像素子15が取得した画像データの倍率を所望の倍率に変化させて、デジタル位相共役データ変換デバイス60に入力する画像処理部71を備える。これにより、被写体画像をデジタル処理により拡大できるので、光学系を用いて拡大された被写体画像を取得する場合と比較して、製造コストを抑制できる。
【0050】
本例の画像システム1A、1B、1Cは、内視鏡、顕微鏡、望遠鏡に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1A・1B・1C…画像システム、10…第1レーザ光源、11…光ファイバ、11…グレーデッドインデックスマルチモード光ファイバ、12…第1光路、15…第1撮像素子、16…被写体、17…第2光路、18…位相データ生成部、19…光変調素子、20…コンピュータ、21…第2レーザ光源、22…第2撮像素子、23…第3光路、25…合成部、27…第4光路、31…撮像レンズ、33…ビームエキスパンダ、34…1/2波長板、35…偏光ビームスプリッタ、36…1/4波長板、37…リレーレンズ、41…第2の1/4波長板、42…ミラー、45…ビームエキスパンダ、46…第3の1/4波長板、47…偏光子、48…第4の1/4偏光板、49…集光レンズ、51…第2の偏光ビームスプリッタ、60…デジタル位相共役データ変換デバイス、61…コンピュータ、63…ビームエキスパンダ、64…リレーレンズ、65…第2の光ファイバ、66…撮像レンズ、66…第2の撮像レンズ、70…コンピュータ、71…画像処理部、72…表示部、B1…第1射出光、B2…第2射出光
図1
図2
図3