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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071959
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】アキシャルギャップモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182504
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】392008437
【氏名又は名称】株式会社久保田鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直丈
(72)【発明者】
【氏名】久保田 卓
(72)【発明者】
【氏名】中平 毅
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB13
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
(57)【要約】
【課題】三相のアキシャルギャップモータの組み立て作業性を良好にするとともにコストを低減する。
【解決手段】U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22が一体に形成されている。V相の第1コイル23及びV相の第2コイル24が一体に形成されている。W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26が一体に形成されている。U相の第1コイル21、V相の第1コイル23及びW相の第1コイル25が電源供給回路に接続されている。U相の第2コイル22、V相の第2コイル24及びW相の第2コイル26が共通のバスバー80によって接続されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
U相の第1コイル、U相の第2コイル、V相の第1コイル、V相の第2コイル、W相の第1コイル及びW相の第2コイルを有するステータと、回転軸に固定された磁石とが前記回転軸方向に所定の隙間をあけて配置された三相のアキシャルギャップモータにおいて、
第1の線材により、前記U相の第1コイルの一端側と前記U相の第2コイルの一端側とが接続された状態で当該U相の第1コイル及びU相の第2コイルが一体に形成され、
第2の線材により、前記V相の第1コイルの一端側と前記V相の第2コイルの一端側とが接続された状態で当該V相の第1コイル及びV相の第2コイルが一体に形成され、
第3の線材により、前記W相の第1コイルの一端側と前記W相の第2コイルの一端側とが接続された状態で当該W相の第1コイル及びW相の第2コイルが一体に形成され、
前記U相の第1コイルの他端側、前記V相の第1コイルの他端側及び前記W相の第1コイルの他端側が電源供給回路に接続され、
前記U相の第2コイルの他端側、前記V相の第2コイルの他端側及び前記W相の第2コイルの他端側が共通のバスバーによって接続されていることを特徴とするアキシャルギャップモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアキシャルギャップモータにおいて、
前記ステータは、前記U相の第1コイル、前記U相の第2コイル、前記V相の第1コイル、前記V相の第2コイル、前記W相の第1コイル及び前記W相の第2コイルを保持するコイルホルダを備え、
前記コイルホルダは、前記回転軸の周りを周方向に囲むように形成され、
前記U相の第2コイルの他端側、前記V相の第2コイルの他端側及び前記W相の第2コイルの他端側は、前記コイルホルダの外周側に配置され、
前記バスバーは、前記コイルホルダの外周側に保持されることを特徴とするアキシャルギャップモータ。
【請求項3】
請求項2に記載のアキシャルギャップモータにおいて、
前記U相の第1コイル、前記V相の第1コイル、前記W相の第1コイル、前記U相の第2コイル、前記V相の第2コイル、前記W相の第2コイルがこの順で前記回転軸周りに配置され、
前記第1の線材は、前記U相の第1コイルの一端側から前記U相の第2コイルの一端側まで前記コイルホルダの外周側を弧状に延び、
前記第2の線材は、前記V相の第1コイルの一端側から前記V相の第2コイルの一端側まで前記コイルホルダの外周側を弧状に延び、
前記第3の線材は、前記W相の第1コイルの一端側から前記W相の第2コイルの一端側まで前記コイルホルダの外周側を弧状に延びていることを特徴とするアキシャルギャップモータ。
【請求項4】
請求項2に記載のアキシャルギャップモータにおいて、
前記バスバーには、前記U相の第2コイルの他端側に位置する前記第1の線材が差し込まれた状態で接続される第1接続孔と、前記V相の第2コイルの他端側に位置する前記第2の線材が差し込まれた状態で接続される第2接続孔と、前記W相の第2コイルの他端側に位置する前記第3の線材が差し込まれた状態で接続される第3接続孔とが形成されていることを特徴とするアキシャルギャップモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のアキシャルギャップモータにおいて、
前記コイルホルダには、前記U相の第1コイルの他端側に位置する前記第1の線材が差し込まれた状態で接続される第1保持部と、前記V相の第1コイルの他端側に位置する前記第2の線材が差し込まれた状態で接続される第2保持部と、前記W相の第1コイルの他端側に位置する前記第3の線材が差し込まれた状態で接続される第3保持部とが設けられていることを特徴とするアキシャルギャップモータ。
【請求項6】
請求項3に記載のアキシャルギャップモータにおいて、
前記第1の線材における弧状に延びる部分と、前記第2の線材における弧状に延びる部分と、前記第3の線材における弧状に延びる部分とは、前記回転軸に沿う方向から見たときに互いに重複するように配置されていることを特徴とするアキシャルギャップモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば電動ポンプ等に利用されるアキシャルギャップモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動ポンプとして、ロータとステータとが回転軸方向に所定の間隔をあけて対向するように配置されたアキシャルギャップモータを備えたポンプが知られている。例えば特許文献1では、回転軸を中心として周方向に並ぶ複数のステータコアが電気絶縁性を有する樹脂材料により一体に保持された構造が開示されている。
【0003】
また、特許文献2、3には、コアと、当該コアの外周に巻回されるコイルと、コア及びコイルの間に配置されたボビンとからなる複数のステータコアメンバが、回転軸を中心に環状に配列された状態で一体的に樹脂モールド成形された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-99191号公報
【特許文献2】国際公開第2016/170608号
【特許文献3】特開2018-110527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献3には、複数個のコイルが回転軸の周方向に並ぶように配設されている。例えばコイルが6個の場合で三相交流を流す場合には、U相、V相、W相の各相のコイルを一対設けることになる。このとき、U相の一対のコイルを接続するためのバスバー、V相の一対のコイルを接続するためのバスバー、W相の一対のコイルを接続するためのバスバーが必要になり、少なくとも3本のバスバーを設けることになる。
【0006】
しかしながら、バスバーが3本必要になると、組み立て時の工程が増加することになり、組立作業性が悪化するとともに、部品点数が多くなることによってコスト高になる。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、三相のアキシャルギャップモータの組み立て作業性を良好にするとともにコストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様では、U相の第1コイル、U相の第2コイル、V相の第1コイル、V相の第2コイル、W相の第1コイル及びW相の第2コイルを有するステータと、回転軸に固定された磁石とが前記回転軸方向に所定の隙間をあけて配置された三相のアキシャルギャップモータを前提とすることができる。第1の線材により、前記U相の第1コイルの一端側と前記U相の第2コイルの一端側とが接続された状態で当該U相の第1コイル及びU相の第2コイルが一体に形成され、また、第2の線材により、前記V相の第1コイルの一端側と前記V相の第2コイルの一端側とが接続された状態で当該V相の第1コイル及びV相の第2コイルが一体に形成され、さらに、第3の線材により、前記W相の第1コイルの一端側と前記W相の第2コイルの一端側とが接続された状態で当該W相の第1コイル及びW相の第2コイルが一体に形成されている。前記U相の第1コイルの他端側、前記V相の第1コイルの他端側及び前記W相の第1コイルの他端側が電源供給回路に接続されている。前記U相の第2コイルの他端側、前記V相の第2コイルの他端側及び前記W相の第2コイルの他端側が共通のバスバーによって互いに導通可能に接続されており、スター結線されている。
【0009】
この構成によれば、U相の第1コイル及びU相の第2コイルが第1の線材によって一体に形成されているので、両コイルを接続するための専用のバスバーは不要になる。同様に、V相の第1コイル及びV相の第2コイルを接続するための専用のバスバー、W相の第1コイル及びW相の第2コイルを接続するための専用のバスバーも不要になる。従って、バスバーとしては、U相の第2コイルの他端側、V相の第2コイルの他端側及びW相の第2コイルの他端側を接続するバスバーだけで済むので、部品点数が減るとともに、アキシャルギャップモータを小型化できる。
【0010】
本開示の第2の態様に係るステータは、前記U相の第1コイル、前記U相の第2コイル、前記V相の第1コイル、前記V相の第2コイル、前記W相の第1コイル及び前記W相の第2コイルを保持するコイルホルダを備えていてもよい。この場合、前記コイルホルダは、前記回転軸の周りを周方向に囲むように形成することができる。また、前記U相の第2コイルの他端側、前記V相の第2コイルの他端側及び前記W相の第2コイルの他端側は、前記コイルホルダの外周側に配置されており、これに対応するように、前記バスバーは、前記コイルホルダの外周側に保持されているので、回転軸から離れているコイルホルダの外周側においてコイルとバスバーとを接続できる。
【0011】
本開示の第3の態様では、前記U相の第1コイル、前記V相の第1コイル、前記W相の第1コイル、前記U相の第2コイル、前記V相の第2コイル、前記W相の第2コイルがこの順で前記回転軸周りに配置されていてもよい。この場合、前記第1の線材は、前記U相の第1コイルの一端側から前記U相の第2コイルの一端側まで前記コイルホルダの外周側を弧状に延びており、また、前記第2の線材は、前記V相の第1コイルの一端側から前記V相の第2コイルの一端側まで前記コイルホルダの外周側を弧状に延びており、さらに、前記第3の線材は、前記W相の第1コイルの一端側から前記W相の第2コイルの一端側まで前記コイルホルダの外周側を弧状に延びている。この構成によれば、第1の線材、第2の線材及び第3の線材のうち、コイル同士を接続している部分を、回転軸から離れているコイルホルダの外周側に配置することができる。
【0012】
本開示の第4の態様では、バスバーに第1接続孔、第2接続孔及び第3接続孔が形成されている。これにより、例えばバスバーをコイルホルダに保持させた後、U相の第1コイル及びU相の第2コイルをコイルホルダに組み付ける際には、U相の第2コイルの他端側に位置する第1の線材を第1接続孔に差し込んで接続すればよく、組み立て時の作業性が良好になる。V相、W相についても第2接続孔、第3接続孔を利用することで同様に組み立て時の作業性が良好になる。
【0013】
本開示の第5の態様では、コイルホルダに第1保持部、第2保持部及び第3保持部が設けられている。これにより、U相の第1コイルの他端側に位置する第1の線材を第1保持部に差し込むだけでコイルホルダに簡単に保持できる。V相、W相についても第2保持部第3保持部を利用することで同様に組み立て時の作業性が良好になる。
【0014】
本開示の第6の態様では、第1の線材における弧状に延びる部分と、第2の線材における弧状に延びる部分と、第3の線材における弧状に延びる部分とが回転軸に沿う方向から見たときに互いに重複するように配置されているので、3つの弧状に延びる部分を省スペースで配置できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、U相の第1コイル及びU相の第2コイルを第1の線材によって一体に形成し、V相の第1コイル及びV相の第2コイルを第2の線材によって一体に形成し、W相の第1コイル及びW相の第2コイルを第3の線材によって一体に形成したので、バスバーの数を減らすことができる。これにより、組み立て作業性を良好にすることができるとともにコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るアキシャルギャップモータを備えた電動ポンプの正面図である。
図2図1におけるII-II線断面図である。
図3】ステータの分解斜視図である。
図4】ステータの斜視図である。
図5】コイルホルダにコイル及びバスバーが組み付けられた状態を示す斜視図である。
図6A】U相の第1コイル及び第2コイルの平面図である。
図6B図6AにおけるB-B線断面図である。
図6C図6AにおけるC-C線断面図である。
図7】V相の第1コイル及び第2コイルの平面図である。
図8】W相の第1コイル及び第2コイルの平面図である。
図9】コイルの結線を模式的に示す図である。
図10】バスバーの平面図である。
図11】別の実施形態に係る図9相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るアキシャルギャップモータ2を備えた遠心式の電動ポンプ1の外観を示す図である。本実施形態では、電動ポンプ1が電動ウォーターポンプである場合について説明する。従って、本発明の実施形態に係る電動ポンプ1は、車両に搭載されている各種機器を冷却する冷却水を所定の経路内で循環させるためのものである。前記各種機器としては、例えば走行用モータ、インバータ回路、エンジン、変速機、空調機器等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、他の機器の冷却水を循環させることもできる。この実施形態の説明では、図1の上側を電動ポンプ1の上側といい、図1の下側を電動ポンプ1の下側というものとするが、これは説明の便宜を図るために定義するだけであり、実際の使用時の姿勢を限定するものではなく、どのような姿勢で電動ポンプ1を使用してもよい。
【0019】
以下の説明では、本発明を電動ポンプ1に適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明は、様々な液体や気体を送る電動ポンプに適用することもできる。また、気体を送る電動ポンプは、ブロアーやファン、圧縮機等であってもよい。
【0020】
図2に示すように、電動ポンプ1は、アキシャルギャップモータ2と、モータ筐体3と、アキシャルギャップモータ2によって回転駆動されるインペラ4と、ハウジング5と、回路基板(制御基板)6と、背面部材7とを備えている。回路基板6には、電界効果トランジスタ(FET)等を含む電源供給回路6aが設けられている。電源供給回路6aは、後述するコイル21~26に所定の電流を供給する部分である。尚、電源供給回路6aには、例えば車両のバッテリ等(図示せず)から電力が供給されるようになっている。
【0021】
インペラ4はハウジング5内に収容されており、このハウジング5内に収容されたインペラ4がアキシャルギャップモータ2によって所定の方向に回転駆動されるようになっている。尚、図2では電動ポンプ1の主要部を分かりやすくするために、一部を仮想線で記載しているが、各部の形状や大きさは図示したものに限られず、変更可能である。
【0022】
(ハウジング5の構成)
ハウジング5は、例えば樹脂材を射出成形してなる射出成形品である。図1に示すように、ハウジング5の中央に位置する部分には、インペラ4の回転中心線方向に突出する吸入管部50が一体成形されている。吸入管部50の先端部(上流端部)には、吸入口50aが開口している。吸入口50aには、図示しない吸入側配管を流通した冷却水が吸入されるようになっている。
【0023】
ハウジング5は、吸入管部50の基端部(下流端部)から径方向に延びるポンプ室形成壁部51を有しており、吸入管部50の突出方向と反対側は略全体が開放された形状となっている。ポンプ室形成壁部51の内方には、吸入管部50の下流端部に連通するポンプ室S1(図2に示す)が形成されており、このポンプ室S1内にインペラ4が収容されている。図1に示すように、ポンプ室形成壁部51には、吸入管部50の基端部から径方向に離れた部分に膨出部51aが形成されている。膨出部51aは、インペラ4の回転中心線周りに円弧状に延びるように形成されており、その膨出部51aの内方には、ポンプ室S1に連通する流出通路S2(図2に示す)が形成されている。つまり、電動ポンプ1は、インペラ4の回転により、流体を回転中心線に沿う方向に吸入した後、径方向に吐出するように構成されている。
【0024】
図1に示すように、ハウジング5における流出通路S2の下流端部に対応する部分には、吐出管部52が一体成形されている。吐出管部52は、インペラ4の回転中心を中心とする仮想円の接線方向に突出するように形成されている。吐出管部52の基端部(上流端部)は、流出通路S2の下流端部と連通している。吐出管部52の先端部(下流端部)には、吐出口52a(図1にのみ示す)が開口している。吐出口52aには、図示しない吐出側配管が連通しており、吐出管部52を流通した冷却水が吐出側配管に流入するようになっている。
【0025】
(モータ筐体3の構成)
モータ筐体3は、例えば樹脂材を射出成形してなる射出成形品であり、ハウジング5を開放側から覆うように形成されている。モータ筐体3は、後述するアキシャルギャップモータ2のステータ2Aを構成する複数のステータコア20及び複数のコイル21~26が埋め込まれた状態で固定されるステータ埋込部31を有している。ステータ埋込部31は、厚肉な板状をなしている。ステータ埋込部31と、ハウジング5のポンプ室形成壁部51との間に、上記ポンプ室S1が形成されている。
【0026】
また、モータ筐体3には、ハウジング5のポンプ室形成壁部51の内側に嵌まるように形成された環状部30が設けられている。環状部30は、ステータ埋込部31の周縁部からハウジング5内へ向けて突出するように形成されており、環状部30の外周面と、ポンプ室形成壁部51の内周面とは互いに密着するようになっている。環状部30の外周面と、ポンプ室形成壁部51の内周面とを密着、もしくは接着することにより、両者間の水密性及び気密性が確保される。他の接合例として、環状部30とポンプ室形成壁部51とを例えばスピン融着(溶着)することもでき、これにより、ガスケットなどの封止部品とボルト締結を廃止しながら2部品を接合して水密性及び気密性を確保できる。また、融着等することなく、環状部30とポンプ室形成壁部51との間にガスケットなどの封止部品300を介在させた状態で、ボルト締結して両者を接合してもよい。環状部30とポンプ室形成壁部51との接合構造は、水密性及び気密性を確保できればよいので、上述した構造以外の接合構造を用いることも可能である。
【0027】
(アキシャルギャップモータ2の構成)
アキシャルギャップモータ2は、モータ筐体3に固定された複数のステータコア20及び当該各ステータコア20に巻装されたコイル21~26と、第1磁石44及び第1バックヨーク45と、第2磁石46及び第2バックヨーク47と、回転軸(支軸)40と、軸受41とを備えている。図2において、インペラ4は、ステータコア20及びコイル21~26の右側に配置され、回路基板6は、ステータコア20及びコイル21~26の左側に配置されるが、この構成に限られるものではなく、左右が反転した構成であってもよい。
【0028】
アキシャルギャップモータ2は、U相、V相及びW相を有する三相のモータである。すなわち、図3にも示すように、アキシャルギャップモータ2は、ステータコア20を6つ備えている。6つのステータコア20は1つのコアホルダ60に保持されている。図4に示すように、コアホルダ60の中心部に軸受41が挿入された状態で一体化される。
【0029】
また、図5に示すように、アキシャルギャップモータ2は、ステータコア20にそれぞれ対応した6つのコイル、即ち、U相の第1コイル21、U相の第2コイル22、V相の第1コイル23、V相の第2コイル24、W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26を備えている。6つのステータコア20、U相の第1コイル21、U相の第2コイル22、V相の第1コイル23、V相の第2コイル24、W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26、コアホルダ60及びコイルホルダ70により、ステータ2Aが構成されている。
【0030】
図3にも示すように、本例では6つのステータコア20が回転軸40を周方向に囲むように環状に配設され、6つのステータコア20の周方向の間隔は等間隔に設定されている。6つのステータコア20は同じものであり、例えば鉄等の金属製の部材で構成され、回転中心線方向(回転軸40方向)に長い柱状をなしている。ステータコア20の長手方向に直交する方向の断面は、回転中心線に最も近い部分に頂点が位置する略三角形状とされている。この断面形状は、ステータコア20の長手方向一端から他端まで略同じになっている。尚、ステータコア20の数は6つに限られるものではなく、任意の個数に設定できる。以下、ステータコア20の数に応じてコイル21~26の数、コアホルダ60の形状、コイルホルダ70の形状を変更することができる。
【0031】
図3に示すように、コアホルダ60は、6つのステータコア20をそれぞれ保持する6つのコア保持部61と、6つのコア保持部61を連結する連結板部62とを有しており、コア保持部61及び連結板部62は、電気絶縁性を持った樹脂材料で一体成形されている。6つのコア保持部61は、6つのステータコア20の位置に対応しており、回転中心線を囲むように環状に設けられている。各コア保持部61の形状は筒状であり、ステータコア20の外周面を囲むように形成されている。ステータコア20とコイル21との間にコア保持部61が介在することになるので、コア保持部61によってステータコア20とコイル21とが絶縁される。
【0032】
連結板部62は、回転中心線と同心上に配置される円盤状をなしており、環状に並ぶ6つのコア保持部61の基端部同士を連結することにより、6つのコア保持部61の間隔を所定の間隔で維持する。連結板部62は、各ステータコア20の一端面(図2の右側の端面、即ちインペラ4側の端面)を覆う板状の第1覆い部62aを有している。ステータコア20が6つあるので、第1覆い部62aも回転中心線の周方向に互いに間隔をあけて6つ設けられている。各第1覆い部62aは、ステータコア20の一端面に沿って延びており、略三角形状となっている。コア保持部61は、第1覆い部62aの周縁部からステータコア20の他端側へ突出するように形成されている。
【0033】
U相の第1コイル21、U相の第2コイル22、V相の第1コイル23、V相の第2コイル24、W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26も、ステータコア20と同様に回転軸40を周方向に囲むように環状に配設されている。図5にも示すように、U相の第1コイル21とU相の第2コイル22が対をなしており、回転軸40の軸中心を対称の中心として点対称となるように配置されている。また、V相の第1コイル23とV相の第2コイル24が対をなしており、これらも回転軸40の軸中心を対称の中心として点対称となるように配置されている。さらに、W相の第1コイル25とW相の第2コイル26が対をなしており、これらも回転軸40の軸中心を対称の中心として点対称となるように配置されている。そして、U相の第1コイル21、V相の第1コイル23、W相の第1コイル25、U相の第2コイル22、V相の第2コイル24、W相の第2コイル26がこの順で回転軸40周りに配置されている。尚、各コイル21~26の巻き方や巻き数は任意に設定することができる。
【0034】
U相の第1コイル21、U相の第2コイル22、V相の第1コイル23、V相の第2コイル24、W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26は、コアホルダ60にも保持されるが、本例ではこれらコイル21~26を保持するコイルホルダ70を設けてコイル21~26の保持をより確実なものにしている。すなわち、コイルホルダ70は、全体として回転軸40の周りを周方向に囲むように形成されており、図3に示すように、6つのコイル21~26の外周面を囲む周壁部71と、端壁部72とを有している。周壁部71及び端壁部72は電気絶縁性を持った樹脂材料で一体成形されている。端壁部72は、回転中心線に直交する方向に延びており、ステータコア20の他端面(図3の左側の端面、即ち反インペラ4側の端面)を覆う板状の第2覆い部72aを有している。各第2覆い部72aは、ステータコア20の他端面に沿って延びており、略三角形状となっている。端壁部72の中央部には開口72bが形成されており、この開口72bの形成により、後述するインサート成形時の溶融樹脂の流動性を高めている。
【0035】
周壁部71は、コイルホルダ70の外周側を構成する部分であり、端壁部72の周縁部からコイル21の外周部に沿うように突出している。周壁部71の一部は、径方向へ膨出するように形成されており、この径方向へ膨出した部分には、第1保持部73、第2保持部74及び第3保持部75が反インペラ側へ突出するように形成されている。また、周壁部71における径方向へ膨出した部分には、後述するインサート成形時の溶融樹脂の流動性を高めるための開口71bも形成されている。
【0036】
図6Aに示すように、U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22は、共通の第1の線材101により、一体に形成されており、1つのU相コイルユニットY1を構成している。第1の線材101は例えば銅線等の導電性を有する線材で構成されている。U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22を形成する際には、例えば1本の第1の線材101を柱状の芯(図示せず)に所定回数だけ巻き付けることでU相の第1コイル21を形成することができ、U相の第1コイル21を形成した後、同じ芯の別の部分に第1の線材101を所定回数だけ巻き付けることでU相の第2コイル22を形成することができる。これにより、U相の第1コイル21の一端側とU相の第2コイル22の一端側とが接続された状態、即ち両コイル21、22が導通した状態のU相コイルユニットY1が得られる。
【0037】
第1の線材101におけるU相の第1コイル21とU相の第2コイル22との間の部分は、U相の第1コイル21の一端側からU相の第2コイル22の一端側までコイルホルダ70の外周側を弧状に延びる第1弧状部101aとされている。本例では、第1弧状部101aが周壁部71の外周面に沿うように延びている。図6Bに示すように、U相の第1コイル21の一端側は、図6B中、上側であり、また、U相の第1コイル21の他端側は、図6B中、下側である。U相の第1コイル21の他端側には、電源供給回路6aに接続される第1電源接続部101bが設けられている。第1電源接続部101bは、第1の線材101で構成されており、U相の第1コイル21の他端側から突出している。U相コイルユニットY1がコイルホルダ70に組み付けられると、第1電源接続部101bが第1保持部73に形成された貫通孔に差し込まれた状態で保持される。
【0038】
図6Cに示すように、U相の第2コイル22の一端側は、図6C中、下側であり、また、U相の第2コイル22の他端側は、図6C中、上側である。U相の第2コイル22の他端側には、後述するバスバー80に接続される第1バスバー接続部101cが設けられている。第1バスバー接続部101cは、第1の線材101で構成されており、U相の第2コイル22の他端側から突出している。第1電源接続部101bの突出方向と、第1バスバー接続部101cの突出方向とは同じである。第1電源接続部101bの方が、第1バスバー接続部101cよりも長く形成されている。
【0039】
図7に示すように、V相の第1コイル23及びV相の第2コイル24は、共通の第2の線材102により、一体に形成されており、1つのV相コイルユニットY2を構成している。第2の線材102は、第1の線材101と同じであり、V相コイルユニットY2は、U相コイルユニットY1と同様に形成されている。
【0040】
すなわち、第2の線材102におけるV相の第1コイル23とV相の第2コイル24との間の部分は、V相の第1コイル23の一端側からV相の第2コイル24の一端側までコイルホルダ70の外周側を弧状に延びる第2弧状部102aとされている。また、V相の第1コイル23の他端側には、電源供給回路6aに接続される第2電源接続部102bが設けられている。第2電源接続部102bは、第2の線材102で構成されており、V相の第1コイル23の他端側から突出している。V相コイルユニットY2がコイルホルダ70に組み付けられると、第2電源接続部102bが第2保持部74に形成された貫通孔に差し込まれた状態で保持される。また、V相の第2コイル24の他端側には、バスバー80に接続される第2バスバー接続部102cが設けられている。第2バスバー接続部102cは、第2の線材102で構成されており、V相の第2コイル24の他端側から突出している。第2電源接続部102bの突出方向と、第2バスバー接続部102cの突出方向とは同じである。第2電源接続部102bの方が、第2バスバー接続部102cよりも長く形成されている。
【0041】
図8に示すように、W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26は、共通の第3の線材103により、一体に形成されており、1つのW相コイルユニットY3を構成している。第3の線材103は、第1の線材101と同じであり、W相コイルユニットY3は、U相コイルユニットY1と同様に形成されている。
【0042】
すなわち、第3の線材103におけるW相の第1コイル25とW相の第2コイル26との間の部分は、W相の第1コイル25の一端側からW相の第2コイル26の一端側までコイルホルダ70の外周側を弧状に延びる第3弧状部103aとされている。また、W相の第1コイル25の他端側には、電源供給回路6aに接続される第3電源接続部103bが設けられている。第3電源接続部103bは、第3の線材103で構成されており、W相の第1コイル25の他端側から突出している。W相コイルユニットY3がコイルホルダ70に組み付けられると、第3電源接続部103bが第3保持部75に形成された貫通孔に差し込まれた状態で保持される。また、W相の第2コイル26の他端側には、バスバー80に接続される第3バスバー接続部103cが設けられている。第3バスバー接続部103cは、第3の線材103で構成されており、W相の第2コイル26の他端側から突出している。第3電源接続部103bの突出方向と、第3バスバー接続部103cの突出方向とは同じである。第3電源接続部103bの方が、第3バスバー接続部103cよりも長く形成されている。
【0043】
図5は、U相コイルユニットY1、V相コイルユニットY2及びW相コイルユニットY3がコイルホルダ70に組み付けられた状態を示している。回転軸40に沿う方向から見たときに、第1の線材101における第1弧状部101aと、第2の線材102における第2弧状部102aと、第3の線材103における第3弧状部103aとが少なくとも一部において互いに重複するように配置されている。これにより、第1弧状部101a、第2弧状部102a及び第3弧状部103aを省スペースで配置できる。
【0044】
ステータ2Aは、バスバー80を備えている。バスバー80は、導電性を有する金属材料で構成されており、U相の第2コイル22の他端側、V相の第2コイル24の他端側及びW相の第2コイル26の他端側を導通可能に接続するための部材である。この実施形態では、バスバー80が1つだけ設けられており、従って、U相の第2コイル22、V相の第2コイル24及びW相の第2コイル26は共通のバスバー80によって接続されることになる。
【0045】
図9は、コイル21~26の結線を模式的に示している。バスバー80により、U相の第2コイル22、V相の第2コイル24及びW相の第2コイル26を接続することで、コイル21~26を、いわゆるスター結線とすることができる。
【0046】
図10に示すように、バスバー80は円弧状をなしている。バスバー80の周方向一端部には、第1突出板部81が径方向内方へ向けて突出ように形成されている。バスバー80の周方向中間部には、第2突出板部82が径方向内方へ向けて突出ように形成されている。バスバー80の周方向他端部には、第3突出板部83が径方向内方へ向けて突出ように形成されている。第1突出板部81には、U相の第2コイル22の他端側に設けられている第1バスバー接続部101cが差し込まれた状態で導通可能に接続される第1接続孔81aが貫通形成されている。第2突出板部82には、V相の第2コイル24の他端側に設けられている第2バスバー接続部102cが差し込まれた状態で導通可能に接続される第2接続孔82aが貫通形成されている。第3突出板部83には、W相の第2コイル26の他端側に設けられている第3バスバー接続部103cが差し込まれた状態で導通可能に接続される第3接続孔83aが貫通形成されている。
【0047】
U相の第2コイル22の他端側、V相の第2コイル24の他端側及びW相の第2コイル26の他端側は、コイルホルダ70の外周側に配置されている。従って、第1バスバー接続部101c、第2バスバー接続部102c及び第3バスバー接続部103cも、コイルホルダ70の外周側に配置されることになる。これに対応するように、バスバー80は、コイルホルダ70の外周側に保持されている。
【0048】
図4に示すように、軸受41は、回転中心線方向に延びる筒状に形成されており、上述したようにモータ筐体3に対して回転不能に固定されている。図2に示す回転軸40は、軸受41に挿通された状態で回転可能に支持された中空軸で構成されており、回転軸40の長さは軸受41の長さよりも長く設定されている。したがって、軸受41に支持された状態で、回転軸40の一端部(インペラ4側の端部)は、軸受41の一端部から突出しており、また、回転軸40の他端部(反インペラ4側の端部)は、軸受41の他端部から突出している。尚、図示しないが、回転軸40をモータ筐体3に固定した非回転の支軸とし、この支軸に対して軸受41を回転可能に配設してもよい。
【0049】
回転軸40の一端部には、インペラ4の径方向中心部が固定されている。具体的には、回転軸40の一端部の内面には雌ねじ部が形成されており、ボルトEの軸部を、インペラ4の径方向中心部を貫通させてから回転軸40の雌ねじ部に螺合させることで、インペラ4が回転軸40に対して相対回転不能に締結固定される。
【0050】
第1磁石44及び第1バックヨーク45は、インペラ4とステータコア20との間に配設されており、インペラ4におけるステータコア20側の面に固定されている。また、第1バックヨーク45は、ボルトEによってインペラ4と共に回転軸40に共締めされている。第1磁石44及び第1バックヨーク45は、樹脂製の被覆材48によって被覆されている。インペラ4は、回転軸40の一端部に対して回転不能に固定された部材であるため、このインペラ4に固定された第1磁石44及び第1バックヨーク45も回転軸40の一端部に対して回転不能に固定されることになる。第1磁石44が回転軸40の一端部に固定された状態で、ステータコア20の一端面と第1磁石44とが回転中心線方向に所定の隙間をあけて並ぶように配置される。
【0051】
第2磁石46及び第2バックヨーク47は、回路基板6側に配置されており、回転軸40の他端部に固定されている。具体的には、回転軸40の他端部の内面にも一端部と同様な雌ねじ部(図示せず)が形成されており、ボルトFの軸部を、第2バックヨーク47の径方向中心部を貫通させてから回転軸40の雌ねじ部に螺合させることで、第2バックヨーク47が回転軸40に締結固定される。第2バックヨーク47に第2磁石46が固定されており、第2磁石46は樹脂製の被覆材49によって被覆されている。従って、ステータコア20の他端面と第2磁石46とが回転中心線方向に並ぶように配置される。
【0052】
第1磁石44及び第2磁石46は、例えば樹脂磁石等を用いることができる。第1磁石44及び第2磁石46は円板状に形成されている。第1磁石44及び第2磁石46には、複数のN極部分とS極部分とが回転軸40周りに交互に設けられている。第1磁石44及び第2磁石46とステータコア20との間隔ができるだけ小さな所定の間隔となるように、第1磁石44及び第2磁石46のステータコア20に対する位置が設定されている。
【0053】
第1バックヨーク45及び第2バックヨーク47も円板状に形成され、それぞれ第1磁石44及び第2磁石46におけるステータコア20と反対側の面に積層されて当該第1磁石44及び第2磁石46と一体化されている。第1バックヨーク45及び第2バックヨーク47の外径は第1磁石44及び第2磁石46の外径よりも大きく設定してもよいし、同程度に設定してもよい。
【0054】
電動ポンプ1は、第2バックヨーク47をステータコア20と反対側から覆うカバー8を備えている。このカバー8によりモータ筐体3の内部空間が他端側において閉塞されている。カバー8は、例えばアルミニウム合金等の熱伝導性が高い材料で構成されている。カバー8の外側には、アキシャルギャップモータ2を制御するための回路基板6が当該カバー8と接触した状態で配設されている。回路基板6には、発熱する電源供給回路6aが搭載されている。回路基板6は、背面部材7によって覆われている。背面部材7は、回路基板6と共にカバー8に締結固定されている。背面部材7も例えばアルミニウム合金等の熱伝導性が高い材料で構成されている。
【0055】
(アキシャルギャップモータ2の製造方法)
次に、上記のように構成されたアキシャルギャップモータ2の製造方法について説明する。まず、コアホルダ60及びコイルホルダ70を用意する。コアホルダ60及びコイルホルダ70は、一次樹脂を成形(一次成形)することで得られる部材であり、電磁シールド樹脂でない樹脂で形成されている。コアホルダ60には、ステータコア20を保持させる。一次成形時に、6つのステータコア20をインサート成形することも可能であり、この場合、コアホルダ60に6つのステータコア20を保持させる必要はない。コアホルダ60とコイルホルダ70は同時に成形しなくてもよく、このため、コアホルダ60とコイルホルダ70の樹脂が同一でなくてもよい。
【0056】
また、図5に示すように、バスバー80をコイルホルダ70に組み付けて保持する。次いで、U相コイルユニットY1をコイルホルダ70に組み付ける。例えば、U相コイルユニットY1をコイルホルダ70の上方に位置付けた後、下方へ移動させる。このとき、第1電源接続部101b及び第1バスバー接続部101cが共にU相コイルユニットY1の移動方向(下方)に突出した姿勢となっているので、第1電源接続部101b及び第1バスバー接続部101cをそれぞれコイルホルダ70の第1保持部73及びバスバー80の第1接続孔81aに差し込むことができる。これにより、組み立て時の作業性が良好になる。
【0057】
また、U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22は1本の第1の線材101で連続して形成されており、接続部分を持っていないので、組立工数を削減できるとともに、信頼性を向上できる。さらに、U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22が一体となっているので、組付時には、U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22の相対的な位置関係を保ったままで、例えば自動組付装置(図示せず)などによって自動組付が容易に行える。
【0058】
また、U相コイルユニットY1におけるU相の第1コイル21とU相の第2コイル22との間の部分を外周側に配置することで一次成形物に沿わせることができる。これにより、二次成形時の樹脂圧/流れのよるコイルの位置ずれを抑制できるとともに、製品表層への露出も抑制できる。
【0059】
同様に、V相コイルユニットY2をコイルホルダ70に組み付けることができ、この場合、第2電源接続部102b及び第2バスバー接続部102cをそれぞれコイルホルダ70の第2保持部74及びバスバー80の第2接続孔82aに差し込むことができる。また、同様に、W相コイルユニットY3をコイルホルダ70に組み付けることができ、この場合、第3電源接続部103b及び第3バスバー接続部103cをそれぞれコイルホルダ70の第3保持部75及びバスバー80の第3接続孔83aに差し込むことができる。尚、U相コイルユニットY1、V相コイルユニットY2及びW相コイルユニットY3のコイルホルダ70への組付順は上述した順番に限られるものではなく、任意に設定できる。第1バスバー接続部101c、第2バスバー接続部102c及び第3バスバー接続部103cはバスバー80にハンダ付けする。
【0060】
コアホルダ60はモータ筐体3にインサート成形される。また、コイルホルダ70はコアホルダ60に固定された状態でモータ筐体3にインサート成形される。つまり、ステータ2Aはモータ筐体3にインサート成形される。
【0061】
すなわち、上述したようにコアホルダ60に6つのステータコア20を保持させるとともに、コイル21~26及びバスバー80をコイルホルダ70に保持させてステータ2Aを得た後、ステータ2Aを、モータ筐体3を成形する金型(図示せず)内に収容して位置決めし、型締めした後、当該金型内に溶融樹脂(二次樹脂)を射出することで二次成形を行う。溶融樹脂が固化した後に脱型することで、ステータ2Aがインサート成形されたモータ筐体(二次成形品)3が得られる。尚、コアホルダ60とコイルホルダ70をアッセンブリしなくてもよく、別々に二次成形の金型に置いてインサート成形することも可能である。
【0062】
第1電源接続部101b、第2電源接続部102b及び第3電源接続部103bは、モータ筐体3から反インペラ4側へ突出し、モータ筐体3の外部に露出している。モータ筐体3に対して回路基板6を組み付けると、第1電源接続部101b、第2電源接続部102b及び第3電源接続部103bが電源供給回路6aに接続されるようになっている。
【0063】
ステータコア20及びコイル21~26が一体化したコアホルダ60をモータ筐体3にインサート成形することで、ステータコア20及びコイル21~26をモータ筐体3に対して正確な位置に固定できる。また、複数のコイル21~26がコイルホルダ70により保持されるので、コイル21~26同士の相対的な位置決めを正確にすることができる。
【0064】
軸受41もインサート成形することができる。すなわち、ステータ2Aを金型内に収容する時に軸受41も一緒に収容して位置決めしておく。その後、二次成形の樹脂が固化することにより、軸受41がモータ筐体3の所定の位置に固定された二次成形品が得られる。
【0065】
例えば、ハウジング5や二次樹脂は、例えば電磁シールド樹脂等で構成することができる。電磁シールド樹脂は、電磁波をシールドすることが可能な樹脂であり、従来から周知の材料である。例えばベース樹脂材に導電性炭素繊維を配合することによって得られた電磁シールド樹脂材を使用することができる。例えば、ポリフェニレンサルファイドをベース樹脂とした炭素繊維強化熱可塑性樹脂が好適であるが、これに限られるものではない。一方、コアホルダ60、コイルホルダ70、被覆材48、49は、電磁シールド樹脂でない樹脂で形成されている。
【0066】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、U相の第1コイル21及びU相の第2コイル22が第1の線材101によって一体に形成されているので、両コイル21、22を接続するための専用のバスバーは不要になる。同様に、V相の第1コイル23及びV相の第2コイル24が第2の線材102によって一体に形成されているので、両コイル23、24を接続するための専用のバスバーが不要になり、さらに、W相の第1コイル25及びW相の第2コイル26が第3の線材103によって一体に形成されているので、両コイル25、26を接続するための専用のバスバーも不要になる。従って、1つのバスバー80を設けるだけで済むので、部品点数が減るとともに、アキシャルギャップモータ2を小型化できる。また、部品点数が減ることで、組み立て作業性を良好にすることができるとともにコストを低減できる。
【0067】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0068】
上記実施形態では、バスバー80がコイルホルダ70に組み付けられるように構成されているが、これに限らず、コイルホルダ70の射出成形時にバスバー80をインサート成形してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、第1バスバー接続部101c、第2バスバー接続部102c及び第3バスバー接続部103cをバスバー80にハンダ付けしているが、これに限らず、例えば、ヒュージングによって接続してもよいし、レーザ溶接によって接続してもよく、接続方法は限定されない。
【0070】
また、上記実施形態では、2連コイル×3相の合計6コイルの例について説明したが、これに限らず、図11に示すように、3連コイル×3相の合計9コイルであっても、本発明を適用できる。つまり、コイルの数は、限定されるものではない。図11に示すように、、U相の第1コイル21とU相の第2コイル22との間に、U相の第3コイル200が設けられ、また、V相の第1コイル23とV相の第2コイル24との間に、V相の第3コイル201が設けられ、また、W相の第1コイル25とW相の第2コイル26との間に、W相の第3コイル202が設けられている。
【0071】
図11に示す場合、第1の線材101により、U相の第1コイル21の一端側とU相の第2コイル22の一端側とがU相の第3コイル200を介して接続された状態でコイル21、22、200が一体に成形される。また、第2の線材102により、V相の第1コイル23の一端側とV相の第2コイル24の一端側とがV相の第3コイル201を介して接続された状態でコイル23、24、201が一体に成形される。また、第3の線材103により、W相の第1コイル25の一端側とW相の第2コイル26の一端側とがW相の第3コイル202を介して接続された状態でコイル25、26、202が一体に成形される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本開示に係るアキシャルギャップモータは、例えば例えば自動車に搭載される電動ウォーターポンプ等で利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 アキシャルギャップモータ
2A ステータ
3 モータ筐体
4 インペラ
20 ステータコア
21 U相の第1コイル
22 U相の第2コイル
23 V相の第1コイル
24 V相の第2コイル
25 W相の第1コイル
26 W相の第2コイル
44 第1磁石
70 コイルホルダ
73 第1保持部
74 第2保持部
75 第3保持部
80 バスバー
81a 第1接続孔
82a 第2接続孔
83a 第3接続孔
101 第1の線材
102 第2の線材
103 第3の線材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11