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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071960
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20240520BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20240520BHJP
   A01F 12/46 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A01D41/127
A01F12/60
A01F12/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182505
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】小林 充
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 武志
(72)【発明者】
【氏名】猶原 康裕
【テーマコード(参考)】
2B074
2B396
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AF02
2B074BA04
2B074GJ04
2B396JA04
2B396JC08
2B396JG03
2B396LR02
2B396LR08
2B396LR13
2B396MA05
2B396MC02
2B396MC07
2B396ME04
2B396ME09
2B396MG37
2B396ML10
(57)【要約】
【課題】遠隔監視端末とアンテナとをコンバインの穀粒タンクの所定位置に集中して配置し、遠隔監視端末およびアンテナの組付性とメンテナンス性を向上させることができる。
【解決手段】穀粒を貯溜する穀粒タンクと、コンバインの位置情報および稼働情報を取得する遠隔監視端末と、コンバインの位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信するアンテナと、を備え、前記遠隔監視端末と前記アンテナを、前記穀粒タンクの外側の同一平面上に設けてなる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を貯溜する穀粒タンクと、
コンバインの位置情報および稼働情報を取得する遠隔監視端末と、
前記遠隔監視端末が取得した前記コンバインの位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信するアンテナと、を備え、
前記遠隔監視端末と前記アンテナを、前記穀粒タンクの外側の同一平面上に設けた
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記遠隔監視端末と前記アンテナとは、支持部材を介して前記穀粒タンクに取り付けた
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記遠隔監視端末は前記支持部材の下部に取り付けるとともに前記アンテナは前記支持部材の上部に取り付けた
ことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記穀粒タンクの後方に設けられた縦送りオーガを有し、前記縦送りオーガを中心に旋回作動する排出オーガを備え、
前記穀粒タンクは、凹部を有し、
前記支持部材は、前記凹部に配置された
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記凹部は、前記穀粒タンクの後方に形成された
ことを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記支持部材は、前記縦送りオーガの前方に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの位置情報および稼働情報を取得する遠隔監視端末と、遠隔監視端末により取得された位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信するアンテナと、を搭載したコンバインが知られている。
【0003】
特許文献1には、コンバインが備える脱穀部と穀粒タンクとにおいて、脱穀部側に遠隔監視端末を取付け、穀粒タンク側にアンテナを取付け、走行時に障害物がアンテナに衝突しにくくするようにしたコンバインが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記コンバインによれば、アンテナと遠隔監視端末とがそれぞれ別々の部材に取付けられるため、取付け作業が煩雑となり組付性が悪くなる。また、アンテナと遠隔監視端末とが互いに離れた位置にあるため、それぞれのメンテナンス性に乏しい問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-060450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、遠隔監視端末とアンテナとをコンバインの所定位置に集中して配置し、遠隔監視端末およびアンテナの組付性とメンテナンス性を向上させたコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンバインは、穀粒を貯溜する穀粒タンクと、コンバインの位置情報および稼働情報を取得する遠隔監視端末と、前記遠隔監視端末が取得した前記コンバインの位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信するアンテナと、を備え、前記遠隔監視端末と前記アンテナを、前記穀粒タンクの外側の同一平面上に設けたものである。
【0008】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記遠隔監視端末と前記アンテナとは、支持部材を介して前記穀粒タンクに取り付けたものである。
【0009】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記遠隔監視端末は前記支持部材の下部に取り付けるとともに前記アンテナは前記支持部材の上部に取り付けたものである。
【0010】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記穀粒タンクの後方に設けられた縦送りオーガを有し、前記縦送りオーガを中心に旋回作動する排出オーガを備え、前記穀粒タンクは、凹部を有し、前記支持部材は、前記凹部に配置されたものである。
【0011】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記凹部は、前記穀粒タンクの後方に形成されたものである。
【0012】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記支持部材は、前記縦送りオーガの前方に位置するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遠隔監視端末とアンテナとをコンバインの穀粒タンクの所定位置に集中して配置し、遠隔監視端末およびアンテナの組付性とメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの構成を示す左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの構成を示す右側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの構成を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る穀粒タンク、縦送りオーガおよび排出オーガの構成を示す左後側斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る穀粒タンク、縦送りオーガおよび排出オーガの構成を示す右側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る穀粒タンクの構成を示す左後側外観の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る穀粒タンクの後部の拡大右側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る穀粒タンクの後部の拡大平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る縦送りオーガおよび排出オーガの接続部分の構成を示す左前側外観の斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係る排出オーガの昇降作動を示す模式的側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る遠隔監視システムの概略構成を示すブロック図である。
図12】本発明の一実施形態に係るコンバインにおける遠隔監視端末の概略構成を示すブロック図である。
図13】本発明の一実施形態に係る管理サーバの概略構成を示すブロック図である。
図14】本発明の一実施形態に係る利用者端末の概略構成を示すブロック図である。
図15】本発明の一実施形態に係る支持部材による遠隔監視端末およびアンテナの支持構成を示す上側外観の斜視図である。
図16】本発明の一実施形態に係る支持部による遠隔監視端末およびアンテナの支持構成を示す分解斜視図である。
図17】本発明の一実施形態に係る支持部材による遠隔監視端末およびアンテナの支持構成を示す下側斜視図である。
図18】本発明の一実施形態に係る支持部材による遠隔監視端末およびアンテナの支持構成を示す模式的平面図である。
図19】本発明の一実施形態に係るコンバインにおける支持部材のレイアウト構成を示す斜視図である。
図20】本発明の一実施形態に係るコンバインにおける支持部材のレイアウト構成を示す後方図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、コンバインの位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信する遠隔監視端末およびアンテナのコンバインへのレイアウト構成に関し、従来はそれぞれ分散して配置されていた遠隔監視端末およびアンテナを共通の支持部材により支持させてユニット化し、コンバインの所定箇所(1箇所)に支持部材を取付けるだけで遠隔監視端末およびアンテナをまとめて取付けて取付作業を簡素化することができ、取付けた遠隔監視端末およびアンテナのメンテナンス性を向上させるものである。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
[1.コンバインの全体構成]
まず、図1から図3を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方に向かって左側(図3における左側)および右側(図3における右側)を、それぞれコンバイン1における左側および右側とする。
【0017】
本実施形態に係るコンバイン1は、図1から図3に示すように、刈り取った圃場の作物を機体内に掻き込み、脱穀・選別・穀粒貯留し、適宜機外に搬出可能とした収穫機としての普通型コンバインである。コンバイン1は、左右一対のクローラ部20,20を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部2と、走行部2により支持された走行機体3と、を備えている。
【0018】
走行機体3上には、穀物収穫を行う作業者が乗り込むキャビン12や、作業者がコンバインを操縦するための運転部11、穀物収穫に必要な作動を行う刈取部4、脱穀部5、選別部6、穀粒タンク7、縦送りオーガ8及び排出オーガ9などの各収穫機器部材を並べて配設している。
【0019】
走行部2を構成する各クローラ部20は、走行機体3の下方において前後方向に延設されたトラックフレーム20aと、トラックフレーム20aに支持された各種回転体(図示略)と、これらの回転体に巻回された履帯20bと、を有する。左右のクローラ部20,20間には、走行機体3を構成する機体フレーム30が架設されている。クローラ部20は、トラックフレーム20aに支持された回転体として、トラックフレーム20aの前端部に支持された駆動スプロケット20c等を含み、走行機体3上に搭載されたエンジン10からの動力が伝達されて走行駆動する。
【0020】
機体フレーム30上の左側には、刈取部4により刈り取られて供給された穀稈を脱穀する脱穀部5と、脱穀部5により脱穀された穀粒を選別する選別部6とが設けられている。脱穀部5および選別部6は、脱穀部5を上段、選別部6を下段とした態様で配設されている。
【0021】
刈取部4は、図1から図3に示すように、走行機体3の前部で、圃場の穀稈を刈りながら取り込むように、コンバイン1の機体幅の略全体に亘って設けられている。刈取部4は、フィーダ40と、穀物ヘッダ41と、刈刃装置42と、左右一対の分草体43,43と、掻込リール44とを有する。
【0022】
フィーダ40は、刈取部4にて刈り取られた穀稈を搬送して脱穀部5へと供給する。フィーダ40は、ハウジングとしてのフィーダハウス45と、フィーダハウス45内に設けられた穀稈搬送用のコンベヤ(図示略)とを有する。フィーダ40は、キャビン12の左方に位置し、フィーダハウス45の後端開口部を脱穀部5の前側の扱口5aに連通させた状態で設けられている。
【0023】
穀物ヘッダ41は、横長バケット状に構成され、フィーダハウス45の前端開口部に連通するように、フィーダ40の前側に連設されている。穀物ヘッダ41内には、掻込オーガ46が設けられている。掻込オーガ46は、左右方向を回転軸方向として回転可能に軸架されている。
【0024】
刈刃装置42は、穀物ヘッダ41の前下端縁部に設けられており、バリカン状に構成されている。左右一対の分草体43,43は、穀物ヘッダ41の前側の左右側部から前方へ突出するように設けられている。掻込リール44は、掻込オーガ46の前上方の位置に設けられている。掻込リール44は、穀物ヘッダ41に基端部が枢支された左右一対のリール支持アーム44a,44aの先端部間に、左右方向を回転軸方向として回転可能に支持されている。掻込リール44は、回転しながら連続的に穀稈の着莢部に作用し、穀稈の着莢部を掻込オーガ46側へ掻き込む。刈取部4の各部の動作には、各種伝動機構を介して伝達されるエンジン10の動力が用いられる。
【0025】
フィーダハウス45内のコンベヤは、その送り終端側を軸支する駆動軸として、脱穀部5の前部に設けられ左右方向を軸方向とする刈取入力軸47を有する。フィーダ40の後端部は、刈取入力軸47を回動軸として、走行機体3側に対して回動可能に支持されている。また、フィーダハウス45の下面部と走行機体3の機体フレーム30との間には、昇降用の油圧シリンダ48が介設されている。
【0026】
刈取部4は、昇降用の油圧シリンダ48の伸縮動作にともなう走行機体3に対するフィーダ40の回動により昇降動作するように設けられている。刈取部4の昇降動作により、刈取部4の高さ調節が行われる。刈取部4の昇降動作は、運転部11に設けられた所定の操作部により操作される。
【0027】
フィーダ40の後側には、コンベヤにより搬送されてくる穀稈を扱口5aへと送り込むフロントロータ5bが設けられている。フロントロータ5bは、コンベヤの終端と扱口5aとの間に設けられている。フロントロータ5bは、走行機体3の左前側の部分の上方に形成されたフロントロータ室(図示略)内に設けられている。フィーダ40により搬送された穀稈は、コンベヤの終端から、フロントロータ5bによって扱口5aから脱穀部5の扱室5c内へと投入される。
【0028】
脱穀部5は、扱口5aを前側に開口させた扱室5c内に設けられた扱胴50と、扱胴50の下方に配置された受網51とを有する。扱室5cは、機体フレーム30上に設けられた機枠によって形成されている。扱胴50は、前後方向を軸方向とする扱胴軸(図示略)により回転可能に支持されている。扱胴50は、扱胴軸を中心軸に沿わせた円筒状の本体部を有し、本体部の外周面には、螺旋状の羽根が設けられている。受網51は、穀粒を漏下させるものであり、扱胴50の下部の外周面に沿うように設けられている。
【0029】
選別部6は、受網51の下方に配置された揺動選別盤60と、揺動選別盤60を揺動させる揺動機構(図示略)と、一番コンベヤ61と、二番コンベヤ62と、唐箕63とを有する。なお、唐箕63の前方には、プレファン(図示略)が設けられており、唐箕63の後方には、セカンドファン(図示略)が設けられている。
【0030】
揺動選別盤60は、フィードパン、フィードパンの後方に配置され穀粒漏下量を調節するチャフシーブ、チャフシーブの下方に配置されたグレンシーブ等の比重選別用の構成を有する。一番コンベヤ61は、一番穀粒を集約するように機体幅方向に延びる一番樋内に配置されている。二番コンベヤ62は、一番コンベヤ61の後方の位置において、二番穀粒を集約するように機体幅方向に延びる二番樋内に配置されている。唐箕63は、揺動選別盤60に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送風する。
【0031】
また、脱穀部5および選別部6の配設部分の機体右側には、還元コンベヤ(図示略)が設けられている。還元コンベヤは、下端部を二番コンベヤ62近傍に位置させて二番コンベヤ62に連設されるとともに、上端部を扱胴50の前端部の近傍に位置させ、前上がりの傾斜状に延設される。還元コンベヤの右側には、上下方向に延伸した揚穀コンベヤ64が設けられている。揚穀コンベヤ64は、一番コンベヤ61によって送られてくる一番物を穀粒タンク7内に搬送する。
【0032】
また、機体フレーム30上において、脱穀部5および選別部6の右方には、選別部6で選別された穀粒(清粒)を一時的に貯留する穀粒タンク7が設けられている。穀粒タンク7内には、穀粒タンク7の排出口に向けて貯溜穀粒を搬送する排出コンベヤ72が設けられている(図4参照)。
【0033】
機体フレーム30上の右側後端部、すなわち穀粒タンク7の後方には、図3に示すように、穀粒タンク7内の穀粒を外部へ排出する円筒状の縦送りオーガ8および排出オーガ9が設けられる。排出オーガ9は、縦送りオーガ8の上部の一側方で縦送りオーガ8に連通して設けられる。排出オーガ9は、旋回機構を含み、走行機体3の右後側に設けられた縦送りオーガ8を中心に、穀粒タンク7の上方で左右方向へ旋回可能に構成される。また、排出オーガ9は、昇降機構および挺子機構を含み、縦送りオーガ8との接続部分に相当する基部を中心に上下方向へ昇降可能に構成される。
【0034】
排出オーガ9は、走行機体3の右後側の縦送りオーガ8から左前方に水平状に延伸した状態を収納状態としている。排出オーガ9は、収納状態において、平面視で、先端部を刈取部4の左側の部分に位置させ、機体の対角線に沿うように延伸している(図3参照)。排出オーガ9は、オーガ受け部としてのオーガレスト95に載置支持されることで収納状態となる。
【0035】
オーガレスト95は、キャビン12の後部の左方において所定の支持部材により支持された状態で設けられている。オーガレスト95は、排出オーガ9を位置決めした状態で収納支持するように上側を開放側とした凹形状とし、排出オーガ9の延伸方向の中間部における所定の部位を下側から支持する。
【0036】
縦送りオーガ8および排出オーガ9はそれぞれ、図4に示すように、穀粒の排出経路をなす円筒状の縦オーガパイプ80および横オーガパイプ90と、縦オーガパイプ80および横オーガパイプ90にそれぞれ内装されるスクリューコンベヤ(図示略)を有する。スクリューコンベヤは、縦オーガパイプ80および横オーガパイプ90の筒軸に沿って伸延する回転軸(図示略)と、回転軸の周廻りに配置されて回転軸と一体的に回転する螺旋羽根を備える。
【0037】
縦送りオーガ8のスクリューコンベヤは、後述する下側支持部74と縦オーガパイプ80の上端側の開口を閉塞する上蓋体80aとを軸受けとして回転軸の両端を回転可能に枢支している。縦送りオーガ8のスクリューコンベヤは、縦オーガパイプ80内で筒軸に回転軸を同軸上に配置して伸延するとともに縦オーガパイプ80の筒軸を中心に回転し、縦オーガパイプ80の筒軸方向を搬送方向にして穀粒を搬送する。
【0038】
排出オーガ9のスクリューコンベヤは、横オーガパイプ90の基端側の開口を閉塞する基端蓋体90bと、横オーガパイプ90の先端側の軸受体(図示略)とを軸受けとして回転軸の両端を回転可能に枢支している。排出オーガ9のスクリューコンベヤは、横オーガパイプ90内で筒軸に回転軸を同軸上に配置して伸延するとともに横オーガパイプ90の筒軸を中心に回転し、横オーガパイプ90の筒軸方向を搬送方向にして穀粒を搬送する。
【0039】
穀粒タンク7の内部空間は縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の排出経路に連通して接続している。縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の排出経路は、排出オーガ9の横オーガパイプ90の排出経路に連通している。つまり、穀粒タンク7に貯留される穀粒は、穀粒タンク7の内部空間から順次、縦送りオーガ8、排出オーガ9へと搬送され、排出オーガ9の先端部に設けられた排出シュータ90aの籾投口9aから排出される。籾投口9aは、横オーガパイプ90の先端から下側に向けた排出シュータ90aの開口として形成される。籾投口9aから排出された穀粒は、トラックの荷台やコンテナ等に投入される。
【0040】
穀粒タンク7は、図3に示すように、走行機体3上で、縦送りオーガ8を中心に排出オーガ9とともに水平方向に回動可能に構成される。つまり、穀粒タンク7は、後方の縦送りオーガ8を回動軸にして後端部で回動可能に枢支され、水平方向に回動する。これにより、走行機体3上から左右方向の外側へ穀粒タンク7の位置を変位(図3中、破線で回動状態を示す。)させ、走行機体3における穀粒タンク7の設置面を開放させて堆積した排藁などを取り除くなどのメンテナンスを行うことができる。
【0041】
また、コンバイン1は、オペレータが搭乗する運転部11を備える。運転部11は、機体フレーム30上において、穀粒タンク7の前方の位置、つまり機体フレーム30上における右側前部の位置に設けられている。したがって、運転部11は、脱穀部5に対して機体左右方向の一側(右側)に設けられている。
【0042】
運転部11は、キャビン12により覆われている。運転部11には、運転座席13と、運転座席13の前方に配置された操縦ハンドル14と、主変速レバー15、副変速レバー、作業クラッチレバー等の各種操作部とが設けられている(図2参照)。作業クラッチレバーは、脱穀クラッチ(図示略)および刈取クラッチ(図示略)を入り切り操作するための作業操作具である。
【0043】
キャビン12は、図1図3に示すように全体として略箱状に形成され、走行機体3上の前部に設けられる。キャビン12は、前側壁部と左右側壁部との各上半部を透明窓部とし、右側壁部に乗降用のドア16を有する。
【0044】
機体フレーム30上における運転部11の下方には、駆動源としてのエンジン10が設けられている。エンジン10は、運転部11の下方の空間が用いられ、機体フレーム30上の前部の右側のスペースに設置されている。エンジン10は、例えばディーゼルエンジンである。エンジン10は、その動力を変速装置等を介して走行部2、刈取部4、脱穀部5、選別部6、縦送りオーガ8、排出オーガ9などの各種装置へ伝達する。
【0045】
また、エンジン10の一側方には、エンジン10を冷却するためのインタークーラ(図示略)およびラジエータ(図示略)とが、それぞれ走行機体3上で上下方向に並設されている。インタークーラおよびラジエータは、それぞれ外気を取り入れるための冷却ファン(図示略)を有しており、外気導入カバー17により外側を覆われている。
【0046】
外気導入カバー17は、略直角台形状であって、コンバイン1の右側において、キャビン12と穀粒タンク7との間で、穀粒タンク7の右側壁704と面一状をなす。外気導入カバー17には、上側のインタークーラに外気を通気導入するための吸込口170と、下側のラジエータに外気を通気導入するための防塵網171と、が設けられている。
【0047】
以上のような構成を備えたコンバイン1は、圃場において、刈取入力軸47を中心(支軸)としたフィーダ40の昇降動作により刈取部4を地上に対して所望の高さ(収穫作物である穀稈の刈取高さ)となるまで上昇させ、非作業状態から作業状態となり、その状態で走行機体3により走行する。これにより、コンバイン1は、収穫作物を左右の分草体43,43により刈取対象と非刈取対象とに分草し、刈取対象の穀稈の穂先側の着莢部を掻込リール44により掻き込みながら刈刃装置42により穀稈の着莢部を刈り取る。
【0048】
所望の刈取位置で刈り取られた穀稈の着莢部は、回転駆動する掻込オーガ46により穀物ヘッダ41内に掻き込まれるとともに、穀物ヘッダ41の左右中央部のフィーダハウス45の入口付近に集められ、フィーダハウス45内のコンベヤによりフィーダハウス45内を通ってフロントロータ5bにより扱口5aに投入され、脱穀部5に供給される。
【0049】
脱穀部5に供給された穀稈の着莢部は、脱穀部5により脱穀処理される。具体的には、脱穀部5に供給された穀稈は、回転する扱胴50により後方に向けて搬送されながら、主に扱胴50と受網51との間で脱穀される。受網51の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は、受網51から漏下する。受網51から漏下しない藁屑等は、扱胴50の搬送作用によって、選別部6の後部に設けられた排塵口から圃場に排出される。
【0050】
一方、脱穀部5で脱穀処理され受網51から漏下した穀粒は、選別部6により選別処理される。具体的には、扱胴50にて脱穀されて受網51から漏下した脱穀物は、揺動選別盤60による比重選別作用と、唐箕63による風選別作用とにより、精粒等の穀粒(一番物)と、枝梗付き穀粒等の穀粒と藁の混合物(二番物)と、藁屑等とに選別されて取出される。
【0051】
選別部6における選別により揺動選別盤60から落下した穀粒(一番物)は、一番コンベヤ61とこれに連設された揚穀コンベヤ64とによって穀粒タンク7へ搬送される。二番物は、二番コンベヤ62とこれに連設された還元コンベヤによって扱胴50の脱穀始端側に戻され、再度脱穀処理を受ける。藁屑等は、選別部6の後部に設けられた排塵口から圃場に排出される。
【0052】
[2.穀粒タンク、縦送りオーガ、排出オーガの具体的構成]
次に、穀粒タンク7、縦送りオーガ8、および排出オーガ9の構成について、より詳細に説明する。走行機体3の右方後部に設けられた穀粒タンク7は、図2から図5に示すように、長手方向を走行機体3の前後方向とし、内部を中空とした方形箱状に形成される。穀粒タンク7は、選別部6から搬送されてきた穀粒を貯溜する貯溜部70と、穀粒を集粒して排出オーガ9へ搬送する樋部71と、を有する。
【0053】
貯溜部70は、穀粒タンク7の大部分に相当する穀粒を貯溜するための空間をなす部分である。貯溜部70は、穀粒タンク7の外壁をなす前側壁701と、後側壁702と、左側壁703と、右側壁704と、上側壁705と、を有する。前側壁701、後側壁702、左側壁703、右側壁704、および上側壁705は、図5に示すように、それぞれ骨格フレーム73を外側から全体的に覆った状態でボルト等の締結部材を介して骨格フレーム73に取付けられ、穀粒タンク7の方形状の外形をなすとともに内側に一定の貯溜空間を形成する。
【0054】
骨格フレーム73は、複数の縦フレームと複数の横フレームとを組み上げることにより全体的に略方形状の外形をなす。骨格フレーム73の後部を構成する一対の左後縦フレーム730および右後縦フレーム731は、図6に示すように、穀粒タンク7の幅方向中央部で左右方向に一定間隔を保持して設けられて後側壁702と上側壁705とを支持させ、穀粒タンク7の後端部分をなす。
【0055】
左後縦フレーム730および右後縦フレーム731はそれぞれ、L字状に屈曲した鋼製角材から構成される。左後縦フレーム730および右後縦フレーム731はそれぞれ、L字状の短辺部に相当して上側壁705を支持させる左水平部730aおよび右水平部731aと、L字状の長辺部に相当して後側壁702を支持させる左鉛直部730bおよび右鉛直部731bと、を有する。
【0056】
左水平部730aおよび右水平部731aは、互いの上面を上側壁705の下面に当接して支持させる水平状の支持面となし、上側壁705を下側から支持する。また、左鉛直部730bおよび右鉛直部731bは、互いの後面を後側壁702の前面に当接して支持させる鉛直状の支持面となし、後側壁702を前側から支持する。
【0057】
このような左後縦フレーム730および右後縦フレーム731が、図6および図20に示すように、穀粒タンク7の幅方向中央(後側壁702の幅方向中央)で鉛直方向に伸延する仮想中心線Cを中心に、一定の間隔で左右対称に設けられる。左後縦フレーム730と右後縦フレーム731との離間距離d2は、図20に示すように、後側壁702より後方且つ後側壁702の幅中央部に位置して立設する縦送りオーガ8の外径d1以上としている。つまり、縦送りオーガ8は、走行機体3の幅方向について、穀粒タンク7の仮想中心線Cに筒軸を同位相に位置させて立設している。
【0058】
樋部71は、貯溜部70の下部に形成され、穀粒タンク7の内底部をなす部分である。樋部71は、貯溜部70の幅方向ついて、上端で貯溜部70の左側壁703と右側壁704の内側に連設するとともに、下端を互いに近接させて下方に傾斜する左傾斜側壁710と右傾斜側壁711とにより、断面視V字状に形成される。
【0059】
左傾斜側壁710と右傾斜側壁711は、それぞれ上面を下方に向けて傾斜するテーパ面となし、貯溜部70の長手方向に沿って伸延している。つまり、樋部71は、貯溜部70に貯溜された穀粒を左傾斜側壁710および右傾斜側壁711の内壁面によりなすテーパ面に沿ってV字状の谷部分へ滑落させて集粒するように形成される。
【0060】
樋部71において、左傾斜側壁710および右傾斜側壁711によりなすV字状の谷部分には、左傾斜側壁710および右傾斜側壁711の長手方向に沿って排出コンベヤ72が設けられる。
【0061】
排出コンベヤ72は、穀粒タンク7の底部に配置される。排出コンベヤ72は、伝動機構720を介してエンジン10に接続して作動する。排出コンベヤ72は、穀粒タンク7の貯溜部70に貯溜され、樋部71により集粒された穀粒を穀粒タンク7の後方に設けた排出オーガ9へ(後方側へ)搬送して排出する。また、排出コンベヤ72は、例えば樋部71の長手方向に沿う回転軸(図示略)と、回転軸の周廻りに配置され、回転軸と一体的に回転する螺旋羽根を有するスクリューコンベヤ(図示略)で構成される。
【0062】
伝動機構720は、排出コンベヤ72の前端部に接続する。伝動機構720は、穀粒タンク7の下側前部に設けられ、エンジン10の駆動力を排出コンベヤ72に伝達する。伝動機構720とエンジン10との動力の伝達経路には、ベルトテンションなどのオーガクラッチ機構が設けられる。オーガクラッチ機構は、運転部11に設けられたオーガ操作部(図示略)の断接操作によって、エンジン10からの駆動力が排出コンベヤ72へ伝達又は遮断されるように構成されている。
【0063】
排出コンベヤ72の後部には、伝動機構720とともに排出コンベヤ72を樋部71に沿って支持させる下側支持部74が設けられる。下側支持部74は、貯溜部70の後側壁702の下部に設けられ、貯溜部70と縦送りオーガ8を連通させる。
【0064】
下側支持部74は、縦送りオーガ8および排出コンベヤ72を支持するとともに、穀粒タンク7と縦送りオーガ8との接続部として機能する部分である。下側支持部74は、側面視で略L字状に屈曲した円筒状部材からなり、L字状の横辺に相当する水平部740を後側壁702の下部に貫通させて前方向に突出するとともに、L字状の縦辺に相当する鉛直部741を略鉛直方向に突出させている。
【0065】
下側支持部74の水平部740には、排出コンベヤ72が配置される。下側支持部74の鉛直部741には、縦送りオーガ8の基部が回転可能に内嵌される。つまり、縦送りオーガ8は、下側支持部74の鉛直部741に対して筒軸を同軸にして縦オーガパイプ80の基部(下部)を配置すると共に穀粒タンク7の後側壁702よりも後方位置に配置され、下側支持部74の鉛直部741を中心に旋回可能に下側から支持される。
【0066】
下側支持部74は、L字状の角部内側にベアリングに支持された1対のベベルギヤ(図示略)を有する。一方のベベルギヤは排出コンベヤ72としてのスクリューコンベヤの回転軸の後端に設けられ、他方のベベルギヤは縦送りオーガ8のスクリューコンベヤの回転軸の下端に設けられ、互いに歯合している。すなわち、排出コンベヤ72のスクリューコンベヤの回転動力は一対のベベルギヤを介して縦送りオーガ8のスクリューコンベヤの回転動力として伝達され、排出コンベヤ72のスクリューコンベヤの回転駆動に伴って縦送りオーガ8のスクリューコンベヤが回転駆動する。
【0067】
また、縦送りオーガ8は、図4から図7に示すように、穀粒タンク7の後側壁702の上部に設けた上側支持部75により中途部を支持される。上側支持部75は、下側支持部74とともに、内側で縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80を回転可能に支持する部分である。上側支持部75は、平面視で略Ω状に形成され、両端部で後側壁702に固定されて後側壁702から後方へ突出している。
【0068】
詳細には、上側支持部75は、図6および図7に示すように、後側壁702に接続固定されるオーガブラケット750と、オーガブラケット750に接続してオーガブラケット750とともに縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の中途部を外周側から支持するオーガホルダ751と、を有する。
【0069】
オーガブラケット750は、平面視で略M字状に形成した金属製の帯板部材から構成される。オーガブラケット750は、図6に示すように、M字状の中央を円弧状に湾曲させて縦送りオーガ8の前外周部に対応する前オーガホルダ部750aと、M字状の両端で後側壁702に固定される固定部750b,750bと、を有する。オーガブラケット750の固定部750b,750bは、骨格フレーム73をなす左後縦フレーム730および右後縦フレーム731に対してボルト等の締結部材を締結することにより固定され、後側壁702から前オーガホルダ部750aを後側へ突出させる。
【0070】
オーガホルダ751は、平面視で略U字状に形成した金属製の帯板部材から構成される。オーガホルダ751は、縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の後外周部に対応する後オーガホルダ部751aと、U字状の両端でオーガブラケット750の左右側に連結する固定部751b,751bと、を備える。
【0071】
オーガホルダ751の固定部751b,751bは、オーガブラケット750の左右外側に当接した状態でボルト等の締結部材を締結することによりオーガブラケット750に固定される。オーガブラケット750の後オーガホルダ部751aは、オーガブラケット750の前オーガホルダ部750aとともに縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80を挿嵌して回転可能に支持する平面視で略円形の縦送りオーガ挿入孔を形成する。このように、縦送りオーガ8は、穀粒タンク7の後方位置で、下側支持部74と上側支持部75とにより起立姿勢を保持して支持される。
【0072】
また、上側支持部75は、縦送りオーガ8を回転作動させる駆動部76を備える。駆動部76は、オーガホルダ751の後端部に取り付け固定されたモータベース761に連設された電動モータ760により構成している。電動モータ760は、駆動軸760aを下方に向けて突出させて、モータベース761により上側支持部75に接続して保持される。
【0073】
駆動軸760aの突出部分には、図6および図7に示すように、駆動側のピニオンギヤ760bが設けられる。一方、縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の中途部の外周には、駆動側のピニオンギヤ760bに歯合する従動側のピニオンギヤ82が設けられる。ピニオンギヤ82は、複数のギヤを形成したギヤリングであり、縦オーガパイプ80の中途部に外嵌され固定される。
【0074】
このように上側支持部75に配設した駆動部76と、電動モータ760のピニオンギヤ760bおよび縦送りオーガ8のピニオンギヤ82とによりなるピニオン機構により、排出オーガ9は、縦送りオーガ8を旋回の中心軸として次のような旋回動作を行う。
【0075】
電動モータ760の駆動軸760aの回転に伴ってピニオンギヤ760bが一体的に回転駆動すると、従動側のピニオンギヤ82と一体の縦オーガパイプ80が下側支持部74の鉛直部741を中心に旋回駆動する。つまり、縦送りオーガ8は、走行機体3上で起立姿勢を保持するともに電動モータ760のピニオンギヤ760bにピニオンギヤ82で歯合し、電動モータ760の駆動によって、筒軸を中心に左右方向に相対的に回転する。これに伴い、図3で示したように、縦送りオーガ8の上部に連設した排出オーガ9が、縦送りオーガ8を中心に左右方向に旋回する。このように基部を中心に排出オーガ9を全体的に左右方向へ姿勢変位させることにより、排出オーガ9の左右位置を調節する。
【0076】
また、排出オーガ9は、図8および図9に示すように、昇降機構および挺子機構を有し、基部を縦送りオーガ8の上部の一側で突出する枢支軸81に枢支され、縦送りオーガ8の上部で上下方向に昇降回動するように構成している。
【0077】
縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の上部の外周側部には、排出オーガ9に連通する穀粒の連通口(図示略)が形成されている。排出オーガ9の横オーガパイプ90の基部の外周側部には、短円筒状の連絡パイプ91が横オーガパイプ90の筒軸方向に直交して突設されている。
【0078】
排出オーガ9は、縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の連通口に連絡パイプ91を遊嵌するとともに、連通口の中心と連絡パイプ91の筒軸とを同軸上に配置した枢支軸81を介して回動可能に連結している。枢支軸81は、縦オーガパイプ80の上部で連通口とは逆側の一側方に突出させている。
【0079】
縦送りオーガ8の上部と排出オーガ9の基部との接続部分となる連絡パイプ91には、内側でベアリングにより支持された1対のベベルギヤ(図示略)が設けられている。一方のベベルギヤは縦送りオーガ8のスクリューコンベヤの回転軸の上端に設けられ、他方のベベルギヤは排出オーガ9のスクリューの回転軸の基端に設けられ、互いに噛合している。
【0080】
すなわち、縦送りオーガ8のスクリューコンベヤの回転動力はベベルギヤにより排出オーガ9のスクリューコンベヤの回転動力として伝達され、縦送りオーガ8のスクリューコンベヤの回転駆動に伴って排出オーガ9のスクリューコンベヤが回転駆動する。
【0081】
また、縦送りオーガ8の上部と排出オーガ9の基部の間には、図8および図9に示すように、縦送りオーガ8の上部で枢支軸81を中心に排出オーガ9を上下回動させる昇降機構および挺子機構が介設されている。
【0082】
昇降機構は、縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の上部に設けられて伸縮作動する昇降シリンダ92よりなる。挺子機構は、昇降シリンダ92に連結するとともに排出オーガ9の横オーガパイプ90の基端に連結し、枢支軸81を中心に上下回動する挺子フレーム93よりなる。
【0083】
昇降機構としての昇降シリンダ92は、図8および図9に示すように、シリンダチューブ920と、シリンダチューブ920内で伸縮作動するピストンロッド921とを備える。昇降シリンダ92は、縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の上部の外周側部に固定した第1ブラケット83に、シリンダチューブ920の中途部で第1回動軸920aによって上下回動可能に枢支される。
【0084】
第1ブラケット83は、縦オーガパイプ80の上部に固定されて一方側へ突出する断面視コ字状の固定部材である。第1ブラケット83は、基端部に縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80に外嵌され固定される環帯筒状の取付部830と、取付部830から接線方向の外方へ水平状に突出する連結部831と、連結部831の先端で昇降シリンダ92を支持するコ字状の支持部832と、を有する。
【0085】
第1ブラケット83は、連結部831の先端の支持部832のコ字状の開放部分を水平方向且つ鉛直方向に向け、連結部831の基端の取付部830で縦オーガパイプ80の上部外周に取り付けられる。第1ブラケット83は、鉛直面をなして互いに対向する支持部832のコ字状の上下横辺部の間で、昇降シリンダ92のシリンダチューブ920の中央部を配置し、第1回動軸920aで昇降シリンダ92を上下回動可能に枢支する。
【0086】
挺子フレーム93は、枢支軸81を中心に回動して両端部を上下動可能に取り付けられた帯板状の挺子プレート930と、挺子プレート930の一端部に設けられて第2ブラケット94を介して昇降シリンダ92に接続する第1接続アーム931と、挺子プレート930の他端部に設けられて排出オーガ9の横オーガパイプ90端部(基端蓋体90b)に接続する第2接続アーム932と、を有する。なお、基端蓋体90bは、第2接続アーム932の端部を固定する固定凸部900bを突出している。
【0087】
挺子プレート930は、板面の長手方向の略中央部に軸受部を有し、同軸受部により枢支軸81に回動可能に枢支される。
【0088】
第1接続アーム931は、一端を挺子プレート930に接続して固定するとともに挺子プレート930の板面から突出し、他端に第2ブラケット94を固定している。
【0089】
第2接続アーム932は、縦送りオーガ8の上部後方、且つ、挺子プレート930と横オーガパイプ90の基端側の基端蓋体90bとの間で伸延し、両端で挺子プレート930と排出オーガ9とに接続して固定される。
【0090】
第2ブラケット94は、一定間隔で面平行に配置した一対の側壁部940、940を有した固定部材である。第2ブラケット94は、各側壁部940、940において、一端側に第1接続アーム931を貫通して固定する。第2ブラケット94は、他端側且つ側壁部940、940の間で、昇降シリンダ92のピストンロッド921を配置するとともに同ピストンロッド921を回動可能に枢支する第2回動軸921aを軸架している。
【0091】
換言すれば、ピストンロッド921は、第2ブラケット94において、第2回動軸921aを中心に上下回動可能に枢支される。つまり、昇降シリンダ92は、縦送りオーガ8と排出オーガ9との接続部分において、基端側のシリンダチューブ920を第1回動軸920aを中心に上下方向に回動変位可能に枢支されるとともに、先端側のピストンロッド921を第2回動軸921aを中心に上下方向へ回動変位可能に枢支される。
【0092】
このように縦送りオーガ8の上部と排出オーガ9の基部との間に介設した昇降機構としての昇降シリンダ92と挺子機構としての挺子フレーム93とは、縦送りオーガ8を中心に排出オーガ9に追従して一体的に旋回し、次のようにして排出オーガ9の傾倒動作を行う。
【0093】
排出オーガ9を縦送りオーガ8の上部で倒伏動作させる場合には、図10(a)に示すように、昇降シリンダ92を収縮作動させる。すなわち、昇降シリンダ92の収縮形態では、固定側の第1ブラケット83と作動側の第2ブラケット94との離間距離が短くなるため、枢支軸81を中心に、挺子プレート930の一端で第2ブラケット94によって第1接続アーム931が押し下げられ、挺子プレート930の他端で第2接続アーム932が上昇する。
【0094】
つまり、第1接続アーム931の降下に伴い、挺子プレート930が枢支軸81を支点に回動変位し、第2接続アーム932を上昇させる。第2接続アーム932の上昇により、枢支軸81を回動支点として、排出オーガ9の横オーガパイプ90の基端(基端蓋体90b)が上昇し、排出オーガ9の横オーガパイプ90の先端が降下する。これにより、排出オーガ9の姿勢が、全体的に倒伏姿勢へと回動変位する。この際、昇降シリンダ92は、下側の第1回動軸920aおよび上側の第2回動軸921aを中心に傾動して起立姿勢となる。
【0095】
排出オーガ9を縦送りオーガ8の上部で起立動作させる場合には、図10(b)に示すように、昇降シリンダ92を伸延作動させる。昇降シリンダ92の伸延形態では、第1ブラケット83と第2ブラケット94との離間距離が長くなるため、枢支軸81を中心に、挺子プレート930の一端で第2ブラケット94よって第1接続アーム931が押し上げられ、挺子プレート930の他端で第2接続アーム932が降下する。
【0096】
つまり、第1接続アーム931の上昇に伴い、挺子プレート930が枢支軸81を支点に回動変位し、第2接続アーム932を降下させる。第2接続アーム932の降下により、枢支軸81を回動支点として、排出オーガ9の横オーガパイプ90の基端(基端蓋体90b)が降下し、排出オーガ9の横オーガパイプ90の先端が上昇する。これにより、排出オーガ9の姿勢が、全体的に傾斜姿勢へと回動変位する。この際、昇降シリンダ92は、下側の第1回動軸920aおよび上側の第2回動軸921aを中心に傾動して傾斜姿勢となる。
【0097】
このように、排出オーガ9は、昇降動作と上述の旋回動作とを共同して行うことにより、オーガレスト95に収納した収納状態としたり籾投口9aを走行機体3の外方のトラックの荷台等に位置させた使用状態とする。すなわち、排出オーガ9は、昇降機構としての昇降シリンダ92および挺子機構としての挺子プレート930、第1接続アーム931、第2接続アーム932等を含み、縦送りオーガを中心に同昇降機構や挺子機構ごと一体的に旋回作動する。
【0098】
このような排出オーガ9の旋回作動に伴い、排出オーガ9や昇降シリンダ92、挺子フレーム93が穀粒タンク7に衝突することを避けるべく、穀粒タンク7には凹部77を形成している。穀粒タンク7の凹部77は、穀粒タンク7の後端上部に形成されている。すなわち、凹部77は、縦送りオーガ8を中心とした排出オーガ9の旋回軌跡および昇降シリンダ92、挺子フレーム93の旋回軌跡(旋回経路)に沿って穀粒タンク7に形成されたクリアランス部である。
【0099】
本実施形態の凹部77は、図5および図6に示すように、後側壁702、左側壁703、右側壁704、および上側壁705とによりなす穀粒タンク7の後方上角部を穀粒タンク7の側面視で方形状且つ幅方向の全体にわたって切欠した形状とすることにより、穀粒タンク7の外形を前側凸形状且つ後側凹形状となし、穀粒タンク7に後端上部に平坦状の後側段部770として形成される。
【0100】
上側壁705は、前側で大部分を略平坦状とした第1平面部705aと、第1平面部705aから後方且つ下方へ緩やかに傾斜した第1傾斜壁部705bと、第1傾斜壁部705bから後方且つ下方へ急傾斜した第2傾斜壁部705cと、第2傾斜壁部705cから後方且つ水平方向へ平坦状とした第2平面部705dと、を有し、側面視で前側凸形状且つ後側凹形状をなす。
【0101】
また、左側壁703および右側壁704は、それぞれ上側壁705の両側縁に接続する上端縁を、上側壁705の両側縁の側面視形状に沿った前側凸形状且つ後側凹形状としている。第2平面部705dは、左後縦フレーム730および右後縦フレーム731により支持され、凹部77としての後側段部770の水平状の平坦面をなす。
【0102】
このような左側壁703、右側壁704、および上側壁705が、前述のとおり、骨格フレーム73に固定されている。特に、上側壁705と後側壁702とを支持させる左後縦フレーム730および右後縦フレーム731は、図6に示すように、上側壁705のうち第2平面部705dを下側から支持して後側段部770を形成する。これにより、穀粒タンク7を障壁とすることなく排出オーガ9、昇降シリンダ92、挺子フレーム93を円滑に旋回動作させることができる。
【0103】
[3.遠隔監視システムの概略構成]
次に、本実施形態のコンバイン1が備える遠隔監視端末100およびアンテナ200の電気的構成について説明する。遠隔監視端末100およびアンテナ200は、遠隔監視システムAの構成要素である。遠隔監視システムAは、図11に示すように、1台以上のコンバイン1にそれぞれ割り当てられて搭載される遠隔監視端末100およびアンテナ200と、遠隔監視端末100およびアンテナ200に通信網A3を介して接続する管理サーバA4と、管理サーバA4にネットワークA5を介して接続する1以上の利用者端末A6と、を備える。
【0104】
遠隔監視端末100は、コンバインの位置情報および稼働情報を取得する。遠隔監視端末100が取得する稼働情報としては、エンジン10の始動および停止時間、車速、エンジン回転数等のエンジン稼働に関する情報、その他これに連動する各部(走行部2、刈取部4、脱穀部5、選別部6、穀粒タンク7、縦送りオーガ8および排出オーガ9等)の始動および停止時間などである。
【0105】
アンテナ200は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からの電波(GNSS信号)を受信するGNSSアンテナA20と、通信網A3と送受信を行う通信網アンテナA21とを内蔵して構成している。
【0106】
通信網A3としては、例えば、ワイヤレスネットワークであって、電気通信事業者が適用する公衆回線網、電波を使用する無線LAN(Local Area Network)などが挙げられる。
【0107】
管理サーバA4は、遠隔監視を行うセンター等の情報管理施設に設置されており、遠隔監視端末100およびアンテナ200から稼働情報および位置情報を受信して同情報を処理および格納する。管理サーバA4は、LANやインターネット等のネットワークA5を介して利用者端末A6に接続される。
【0108】
利用者端末A6は、例えば管理サーバA4が設置された情報管理施設や他の場所に設置される。利用者端末A6としては、コンバイン1の稼働状況や位置を把握する管理者が操作可能なパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯端末機等で構成される。
【0109】
管理サーバA4に格納された情報は、このように中央の管理サーバA4に一方又は双方に通信可能に接続された遠隔監視端末100、アンテナ200、利用者端末A6により、読みだされて利用される。
【0110】
次に、コンバイン1に搭載される遠隔監視端末100の電気的構成について、さらに詳細に説明する。遠隔監視端末100は、図12に示すように、通信部A10と、位置検出部A11と、位置情報記憶部A12と、制御部A13と、を備える。なお、遠隔監視端末100は、さらに液晶パネル等の表示部A14およびタッチパネル等の操作部A15は制御部A13に外部接続される構成を備えていてもよい。
【0111】
遠隔監視端末100は、コンバインの制御を行う制御装置A16に接続される。制御装置A16は、エンジン10をはじめ、コンバイン1の電気系統の制御を行う。制御装置A16は、遠隔監視端末100の制御部A13に接続し、エンジン10等の稼働状況を稼働情報として遠隔監視端末100へ出入力する。
【0112】
通信部A10は、アンテナ200の通信網アンテナA21を介して管理サーバA4の通信部A40と同一の通信規約で通信可能としている。通信部A10は、制御部A13にて取得した位置情報および稼働情報をアンテナ200の通信網アンテナA21を介して管理サーバA4へ送信したり、管理サーバA4から作業に関する情報を受信したりする。
【0113】
位置検出部A11は、アンテナ200のGNSSアンテナA20で受信したGNSS衛星からのGNSS信号に基づいてコンバイン1の現在地や車速、方位情報を検出する。すなわち、位置検出部A11により検出される位置情報は、コンバイン1の経度、緯度に加え、車速および進行方位の情報を含む。
【0114】
位置情報記憶部A12は、RAM(Random Access Memory)等のメモリからなり、位置検出部A11で検出した位置情報を制御部A13を介して一時的に格納する。位置情報記憶部A12の情報は、位置情報としてアンテナ200から管理サーバA4へ送信される。
【0115】
制御部A13は、CPU(Central Processing Unit)からなる処理部A130と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部A131とを有する。制御部A13は、記憶部A131のROMに予め格納された制御プログラムを処理部A130が記憶部A131のRAM上に読み出して実行することにより、各種構成要素の作動制御を行う。具体的には、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御および演算処理の制御等を行う。また、記憶部A131は地図情報も記憶する。
【0116】
制御部A13の入力制御により、操作部A15による入力(指示)が受け付けられる。また、制御部A13の出力制御により、管理サーバA4から受信した情報が表示部A14に表示される。これにより、オペレータは管理サーバA4で管理される情報をコンバイン1で確認できる。
【0117】
次に、管理サーバA4の電気的構成について、さらに詳細に説明する。管理サーバA4は、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、図13に示すように、通信部A40と、制御部A41と、を備える。管理サーバA4の制御部A41には、液晶パネル等の表示部A42およびキーボード等の操作部A43が外部接続される。
【0118】
通信部A40は、第1通信部A400および第2通信部A401を有している。第1通信部A400は、遠隔監視端末100の通信部A10と同一の通信規約で通信可能としている。第1通信部A400は、遠隔監視端末100からコンバイン1の位置情報や稼働情報を受信したり、遠隔監視端末100へ作業に関する情報やコンバイン1の制御に関する更新情報を送信したりする。
【0119】
第2通信部A401は、利用者端末A6の通信部A60と同一の通信規約で通信可能としている。第2通信部A401は、利用者端末A6へコンバイン1の位置情報や稼働情報、その他日報等の情報を送信する。
【0120】
制御部A41は、CPU等のマイクロコンピュータからなる処理部A410と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部A411と、を有する。制御部A41は、記憶部A411のROMに予め格納された制御プログラムを処理部A410が記憶部A411のRAM上に読み出して実行することにより、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御および演算処理の制御等を行う。また、記憶部A411は、地図情報、位置情報および稼働情報を記憶する。
【0121】
処理部A410は、遠隔監視端末100から受信したコンバイン1の位置情報および稼働情報に基づいて作業日報を生成し、記憶部A411に格納する。制御部A41の出力制御により、記憶部A411に格納された作業日報が利用者端末A6へ送信され、また、遠隔監視端末100へ作業に関する情報が送信される。また、制御部A41の入力制御により、操作部A43よる入力が受け付けられる。これにより、遠隔監視センターのオペレータがコンバイン1のコンディションを把握しながら最適なメンテナンス計画を提案する。
【0122】
次に、利用者端末A6の電気的構成について、さらに詳細に説明する。利用者端末A6は、例えばデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、図14に示すように、通信部A60と、制御部A61とを備える。利用者端末A6の制御部A61には、液晶パネル等の表示部A62およびキーボード等の操作部A63が接続される。なお、表示部A62および操作部A63は利用者端末A6に含まれる構成(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)であってもよい。
【0123】
通信部A60は、管理サーバA4の第2通信部A401と同一の通信規約で通信可能としている。通信部A60は、管理サーバA4から作業日報やメンテナンス計画を受信する。
【0124】
制御部A61は、CPU等のマイクロコンピュータからなる処理部A610と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部A611と、を有する。制御部A61は、記憶部A611のROMに予め格納された制御プログラムを処理部A610が記憶部A611のRAM上に読み出して実行することにより、通信時における情報の送受信、各種の入出力制御および演算処理の制御等を行う。
【0125】
制御部A61の出力制御により、管理サーバA4から受信した作業日報やメンテナンス計画が表示部A62に表示される。また、制御部A61の入力制御により、操作部A63からの入力を受け付ける。これにより、利用者(コンバイン1の管理者)が、管理サーバA4へアクセスし、例えば作業日報を編集する。
【0126】
[4.遠隔監視端末、アンテナ、および支持部材の構成]
次に、遠隔監視端末100、アンテナ200、およびこれらを支持する支持部材300の構成について、詳細に説明する。遠隔監視端末100とアンテナ200とは、コンバイン1を構成するキャビン12や穀粒タンク7等の各種部材に、互いに近傍に位置するように配置される。
【0127】
特に本実施形態の遠隔監視端末100とアンテナ200とは、図15から図18に示すように、支持部材300を介してコンバイン1に取り付けられる構成を備える。すなわち、遠隔監視端末100と、アンテナ200と、これらを支持する支持部材300とにより、アンテナユニット400を構成する。
【0128】
遠隔監視端末100は、支持部材300の下部に取り付けられる。遠隔監視端末100は、図16から図18(b)に示すように、内部中空の扁平方形状の筐体110と、筐体110の内部に収納され、コンバイン1の位置情報および稼働情報の取得を実行する電子基板(図示略)と、筐体110の一端面に形成され、アンテナ200および制御装置A16にハーネスを介して接続する接続部120と、を有する。
【0129】
筐体110は、図18(a)および図18(b)に示すように、長方形状の上側部111および下側部112と、上側部111および下側部112の左右側の間で、それぞれ長手方向に沿って伸延する帯板状の左側部113および右側部114と、上側部111および下側部112の前後側の間で、それぞれ短手方向に沿って伸延する帯板状の前側部115および後側部116と、を有する。
【0130】
上側部111および下側部112、左側部113および右側部114、前側部115および後側部116はそれぞれ、例えば防水性の樹脂板材であって互いの端縁部で水密に連結することにより筐体110を構成する。
【0131】
後側部116は、上側部111、下側部112、左側部113および右側部114によりなす開口(図示略)に着脱し、筐体110の内部に電子基板を出し入れ可能としている。また、後側部116は、板面に複数の開口を形成させて筐体110の内部に収納した電子基板に外部からアクセス可能とする接続部120を形成している。すなわち、後側部116は、筐体110の割面をなすとともにアンテナ200および制御装置A16との接続部120を有したコネクタ面をなす。
【0132】
接続部120は、図18(a)および図18(b)に示すように、一端でアンテナ200に接続するハーネス201の他端に設けたアンテナ用の接続プラグ202を挿し込む2つのアンテナ接続口121と、一端で制御装置A16に接続するハーネス101の他端に設けた制御装置用の接続プラグ102を挿し込む制御装置接続口122と、よりなる。
【0133】
換言すれば、遠隔監視端末100とアンテナ200とを接続するアンテナ用のハーネス201は、アンテナユニット400の構成要素をなし、遠隔監視端末100とアンテナ200との間で短尺に伸延して、遠隔監視端末100およびアンテナ200とともに支持部材300によりルーフ部310の下方で支持される。
【0134】
アンテナ接続口121および制御装置接続口122は、後側部116の上下中央で長手方向に一定間隔で並設されている。後側部116において、制御装置接続口122は板面の中央部で1つ、アンテナ接続口121は板面の左右側で2つ、それぞれ内部に連通する開口として形成される。
【0135】
また、遠隔監視端末100は、遠隔監視端末100の稼働状態を視認するための接続ランプ130を有する。接続ランプ130は、本実施形態では筐体110の後側壁702において接続部120の下側近傍に位置して3つ設けられている。これにより、内部の電子基板とアンテナ200および制御装置A16との接続状態および遠隔監視端末100の稼働状態の正常又は異常を確認することができる。
【0136】
また、筐体110は、図16および図17に示すように、下側部112から左側部113および右側部114よりも外側へ突出させた複数の固定部117を有する。固定部117は、筐体110の長手方向に沿って筐体110の下側部112を外側へ延出させた突片部分である。固定部117は、筐体110の平面視で、筐体110の前後に一定間隔を隔てて2個、且つ、左右対称に合計4個を形成している。
【0137】
筐体110の固定部117は、ボルトなどの締結部材117bを挿通する挿通孔117aを有する。つまり、遠隔監視端末100は、固定部117の挿通孔117aに挿通された締結部材117bにより穀粒タンク7又は支持部材300の所定位置に取付可能としている。
【0138】
アンテナ200は、アンテナ200は支持部材300の上部に取り付けられる。アンテナ200は、図15から図18(b)に示すように、防水性のアンテナカバー210に覆われた小型アンテナ端子を有して構成される。アンテナカバー210は、内部中空の略円錐台形であって、内部に小型アンテナ端子として位置情報および稼働情報を管理サーバA4との間で送受信するアンテナ素子(図示略)を内装している。アンテナ200は、アンテナカバー210の底部から内部のアンテナ素子に接続したハーネス201を下方へ延出させている。
【0139】
詳細には、アンテナ200は、アンテナカバー210の略円錐台形の底部中央で、筒状の固定部220を垂設している。固定部220は、アンテナカバー210に下側から連通する筒孔をハーネス201が挿通される挿通孔としている。
【0140】
固定部220は、支持部材300の挿通孔311に挿通させて固定する筒状のボルト部(図示略)と、挿通部に遊嵌するワッシャ220aと、ボルト部に螺合する固定ナット220bと、により構成している。挿通孔311は、平面視でルーフ部310の前方左角部において、ルーフ部310の前端縁から後側に向けて略オーバル状に切欠くことによって形成している。
【0141】
アンテナ200は、挿通孔311に挿通したボルト部に、ワッシャ220aを遊嵌し、さらに固定ナット220bを螺合して締め込むことにより、アンテナカバー210の底部と固定ナット220bとの間でルーフ部310を220上下側から挟持して支持部材300に取り付けられる。これにより、アンテナ200は、支持部材300のルーフ部310の前部且つ左部に設置される。
【0142】
支持部材300は、遠隔監視端末100およびアンテナ200をユニット化し、コンバイン1の所定位置で、遠隔監視端末100およびアンテナ200を一箇所に集約的且つ一体的に支持させる部材である。
【0143】
支持部材300は、図18(a)および図18(b)に示すように、前後方且つ下方が開放された断面視ハット形のステー鋼材であり、遠隔監視端末100およびアンテナ200が取付けられるルーフ部310と、ルーフ部310を両端で下方から支持する左支持部320および右支持部330と、左支持部320および右支持部330の下端に連なり、コンバイン1の所定位置に固定させる左固定部340および右固定部350と、を有する。
【0144】
つまり、支持部材300は、左固定部340および右固定部350を取付部としてコンバイン1に取付けられた状態で、ルーフ部310と左支持部320と右支持部330とによりコンバイン1の取付面とともに内側に一定の空間を形成するとともに、前後側に前側開口300aおよび後側開口300bを形成するように構成される。支持部材300のコンバイン1への取付状態における内側の空間は、遠隔監視端末100が配置される端末配置空間として機能する。また、支持部材300とともに端末配置空間を形成するコンバイン1の取付面は、凹部77の下面部をなす第2平面部705dの上面である。
【0145】
左固定部340および右固定部350は、それぞれハット形のステー鋼材における鍔部に相当し、左支持部320および右支持部330の下端から略水平状に外方へ伸延するとともに前後方向を長手方向とする帯板状の水平部分である。左固定部340と右固定部350との離間距離(左右平行に対向する左支持部320と右支持部330との離間距離)は、図20に示すように、前述した穀粒タンク7の骨格フレーム73における左後縦フレーム730と右後縦フレーム731との離間距離d2と等しくなるようにしている。
【0146】
左固定部340および右固定部350の板面には、図16に示すように、それぞれ複数(本実施形態ではそれぞれ3つ)の挿通孔340a,350aが貫通して形成されている。各挿通孔340a,350aにはボルト等の締結部材340b,350bがそれぞれ挿通され、同締結部材340b,350bを締め込むことによりコンバイン1の所定位置に支持部材300を固定する。
【0147】
左支持部320および右支持部330とはそれぞれ、ハット形のステー鋼材におけるウェブ部に相当し、ルーフ部310の左右縁から直角に下方へ伸延するとともに前後方向を長手方向とする帯板状の鉛直部分である。左支持部320および右支持部330とは、互いに対向する支持部材300の両側壁をなす。
【0148】
ルーフ部310は、ハット形のステー鋼材におけるウェブ部に相当する平面視で方形状の平板部分であって、前側開口300a寄りに遠隔監視端末100およびアンテナ200を取付けている。つまり、支持部材300は、ルーフ部310の下面310aに遠隔監視端末100を取付けるとともに、ルーフ部310の上面310bにアンテナ200を取付けている。このように、支持部材300は、遠隔監視端末100およびアンテナ200の支持面部として、第2平面部705dに対して上方に離間したルーフ部310を有し、ルーフ部310の下側および上側のそれぞれに、遠隔監視端末100およびアンテナ200を取り付けている。
【0149】
アンテナ200は、図15から図17に示すように、ルーフ部310の前部且つ左部に固定部220を固定して取り付けられ、ルーフ部310の上面310bで起立する。アンテナ200の支持部材300への取付位置は、支持部材300の上面310bで立設する位置であれば特に限定されない。
【0150】
遠隔監視端末100は、ルーフ部310の前部且つ中央部で固定部117により取付けられ、ルーフ部310の下面310aで垂設される。遠隔監視端末100の支持部材300への取付位置は、ルーフ部310の下面310aの面範囲内に収まる位置であれば特に限定されない。
【0151】
本実施形態の遠隔監視端末100は、支持部材300に対し、図18(a)に示すように、幅方向について、遠隔監視端末100の幅方向中央で前後に伸延する左右対象軸線C1を、支持部材300(ルーフ部310)の幅方向中央で伸延する左右対象線に同位置で重ねるようにして配置している。また、遠隔監視端末100は、支持部材300に対し、図18(a)に示すように、前後方向について、前端を支持部材300の前端に重ねるように配置している。
【0152】
詳細には、遠隔監視端末100は、前後方向について、前側部115を前水切部360に近接して位置させるとともに、後側部116を後方に臨ませて支持部材300の前後方向の略中央に位置させ、接続部120を支持部材300の内側の空間中央に配置する。すなわち、遠隔監視端末100は、平面視で、ルーフ部310の前後方向中央で伸延する前後対象軸線C2に同位置で、割面となる後側部116を重合して配置することにより、接続部120を支持部材300の奥側に位置付ける。
【0153】
このような遠隔監視端末100の支持部材300への取付位置で、遠隔監視端末100は、ルーフ部310の下面310aで、遠隔監視端末100の各固定部117に対応する位置に垂設された複数(本実施形態では4個)の端末支持部312を介して垂設される。
【0154】
端末支持部312は、図16に示すように、遠隔監視端末100の厚みと略同じ長さの筒状部材であって、例えば下面310aから筒軸方向を下方へ向けた高ナットやボスで構成される。端末支持部312は、上端でルーフ部310の下面310aに溶接等により固定される。端末支持部312は、下端で固定部117に当接して下側から筒孔312aにボルト等の締結部材117bを挿入して締め込むことにより、遠隔監視端末100を下面310aから垂下して支持する。
【0155】
支持部材300のルーフ部310の下面310aで、端末支持部312を介して垂下して支持された遠隔監視端末100は、コンバイン1の取付面との間に一定のクリアランス空間Sを形成する(図18(b)参照)。
【0156】
具体的には、クリアランス空間Sは、遠隔監視端末100の筐体110の下側部112と、凹部77の第2平面部705dとの間の隙間である。つまり、支持部材300の厚み(左支持部320、および右支持部330の高さ)は、コンバイン1への取付状態において、遠隔監視端末100の厚みより厚く(高く)なるように形成される。これにより、第2平面部705d上に雨水等が溜まっても遠隔監視端末100が浸水することを抑制することができる。
【0157】
また、支持部材300は、雨水や農業水を落水させて下面310aに取り付けた遠隔監視端末100の浸水を防止するための前水切部360および後水切部370を有する。
【0158】
前水切部360および後水切部370は、それぞれルーフ部310の前後縁部から下方へ突出するとともに、左右方向に伸延する帯板状のフランジ部分である。前水切部360および後水切部370はそれぞれ、支持部材300のコンバイン1への取付状態における前側開口300aおよび後側開口300bに迫り出し、前側開口300aおよび後側開口300bの略上半部を覆う。
【0159】
前水切部360は、ルーフ部310の前縁部において、アンテナ200が配置される挿通孔311が形成される部分(前縁左部)を除いた部分に形成される。後水切部370は、ルーフ部310の後縁部において、後述する遠隔監視端末100のハーネス101の出口部380を除いた部分に形成される。これにより、支持部材300のルーフ部310の上面310bに溜まり前後端縁を伝って下面310aの内側へ進入しようとする水を切り、遠隔監視端末100の接続部120の水濡れを防止できる。
【0160】
なお、前水切部360および後水切部370はそれぞれ、ルーフ部310の前後縁部から所定角度で支持部材300の内側へ折り曲げることにより、ルーフ部310の上面310bに連続する面をテーパー面に形成することもできる。
【0161】
ハーネス101の出口部380は、支持部材300の後方角部に形成された開口部分である。出口部380は、左支持部320の後端部を切り欠いて形成される。
【0162】
また、遠隔監視端末100は、図16から図18(a)に示すように、遠隔監視端末100とともに支持部材300に支持される第1ハーネス部101aを有する。つまり、遠隔監視端末100と制御装置A16とを接続するハーネス101は、少なくとも遠隔監視端末100側に接続する第1ハーネス部101aと、制御装置A16側に接続する第2ハーネス部101bとを有する。第1ハーネス部101aと第2ハーネス部101bとは、互いの端部に設けられて雌雄嵌合する端末側カプラー103と制御側カプラー104を介して接続する。
【0163】
支持部材300は、図16に示すように、下面310aの所定位置で、ハーネス101の中途部に設けられた端末側カプラー103を固定するカプラー固定部390を有する。カプラー固定部390は、ルーフ部310の下面310aの後部且つ左部(後方左角部)において、ハーネス101の出口部380の近傍に形成される。
【0164】
カプラー固定部390は、ルーフ部310の下面310aにおいて、後水切部370よりも内側に端末側カプラー103を配置するとともに端末側カプラー103の接続面を左方の出口部380に臨ませ、端末側カプラー103の上面と接着剤や両面テープなどの接着手段により接着する接着固定部としている。なお、端末側カプラー103の制御側カプラー104との接続面は、出口部380よりも内側に配置される。
【0165】
これにより、コンバイン1に支持部材300を介して設置した遠隔監視端末100に接続する第1ハーネス部101aや端末側カプラー103などの接続部分を外部に露出させることなく水濡れを防止できる。また、ハーネス101の出口部380に内側に配置させた端末側カプラー103の接続面に、第2ハーネス部101bの制御側カプラー104を接続する作業が容易に行うことができる。
【0166】
このように、遠隔監視端末100およびアンテナ200は、共通の支持部材300に一体的に搭載されてユニット化されることでアンテナユニット400をなす。これにより、遠隔監視端末100およびアンテナ200のメンテナンス作業が一箇所で済むため、メンテナス性が向上するだけでなく、ハーネスの取り廻しが簡素化できる。特に、遠隔監視端末100とアンテナ200とを接続するアンテナ用のハーネス201が、遠隔監視端末100およびアンテナ200とともに支持部材300に支持されてユニット化するため、アンテナ用のハーネス201の取り廻しを無くすことができる。
【0167】
すなわち、コンバイン1への遠隔監視端末100の配置固定作業、アンテナ200の配置固定作業、遠隔監視端末100およびアンテナ200のそれぞれのハーネス101およびハーネス201の取り廻し配置作業など、個々部材のレイアウト作業を不要とし、支持部材300をコンバイン1の所定位置に配置して固定するだけで遠隔監視端末100およびアンテナ200を互いに近傍に位置してまとめて配置することができ、作業効率を向上することができる。
【0168】
[5.コンバインへ遠隔監視端末およびアンテナのレイアウト構成]
次に、コンバインへ遠隔監視端末およびアンテナのレイアウト構成について詳細に説明する。上述のようにアンテナユニット400として、支持部材300によりユニット化された遠隔監視端末100とアンテナ200とは近傍に位置してコンバイン1を構成する各種部材に配置されるものであれば、そのレイアウト構成について限定されることはない。本実施形態の遠隔監視端末100とアンテナ200は、穀粒タンク7の外側の同一平面上に互いに近傍に位置して設けられるレイアウト構成としている。また、本実施形態において、アンテナユニット400が搭載されるコンバイン1は、いわゆる自脱型であっても良い。
【0169】
アンテナユニット400の支持部材300は、穀粒タンク7の後方となる後端上部に形成された凹部77としての後側段部770に位置するとともに穀粒タンク7の骨格フレーム73に一体的に接続して固定される。
【0170】
本実施形態において遠隔監視端末100とアンテナ200が設けられる穀粒タンク7の外側の同一平面は、第2平面部705dとなる。詳細には、支持部材300は、図6および図8に示すように、幅方向について、後側段部770の上面をなす第2平面部705dの幅方向中央部に配置される。また、支持部材300は、前後方向について、図6および図7に示すように、前側開口300aと後側開口300bとを前後方向に臨ませた状態で、後側開口300bの開口面を穀粒タンク7の後側壁702に略面一状にして配置される。なお、支持部材300の後側段部770への配設位置は、支持部材300が平面視で全体的に凹部77の面内(第2平面部705dの前後幅内および左右幅内)に収まるように配置されていればよい。これにより、支持部材300に支持された遠隔監視端末100およびアンテナ200が、凹部77に配置されることになる。
【0171】
このような穀粒タンク7の凹部77の位置で、支持部材300は、左固定部340および右固定部350をそれぞれ左後縦フレーム730および右後縦フレーム731に当接して締結部材340bおよび締結部材350bにより固定している。つまり、支持部材300は、左右側のフランジ部分の左固定部340および右固定部350により、それぞれ左後縦フレーム730の左水平部730aおよび右後縦フレーム731の右水平部731aに一体的に跨設され、中央部分のルーフ部310と左支持部320および右支持部330と取付面(第2平面部705dの上面)とにより、遠隔監視端末100が垂設されるドーム状の空間をなす。
【0172】
このように支持部材300が骨格フレームに対して取付面と一体的に強固に固定されるため、遠隔監視端末100がコンバイン1を作動させるエンジン10や脱穀部5、選別部6などの各種装置の振動の影響を受けて不用意に位置ずれしたり離脱することを防止できる。
【0173】
特に、遠隔監視端末100およびアンテナ200は、支持部材300において、穀粒タンク7の上側壁705などの各種装置の取付面から浮上するように、左支持部320および右支持部330の間で支持されたルーフ部310に固定されるため、各種装置の振動があってもその振動を遠隔監視端末100やアンテナ200へ直接的に伝達させることがなくなる。
【0174】
支持部材300は、各種装置の振動を左固定部340および右固定部350から左支持部320および右支持部330、左支持部320および右支持部330からルーフ部310へと伝達させる過程で各部位を撓み変形させ、最終的に遠隔監視端末100やアンテナ200へ伝達される振動を減衰させる。
【0175】
すなわち、支持部材300で各種装置の振動を直接受けて減衰させ、遠隔監視端末100やアンテナ200に不具合が生起することを防止している。さらに、遠隔監視端末100やアンテナ200に不具合が生じても、支持部材300を介した穀粒タンク7の後端上部に配置したレイアウト構成としているため、メンテナンス作業者のアクセスを容易にしてメンテナンス性をさらに向上させる。
【0176】
また、支持部材300は、下面310aに支持させた遠隔監視端末100の接続部120および接続ランプ130を設けた後側部116を、図19(a)および図19(b)に示すように、コンバイン1の後方から視認可能な穀粒タンク7の所定位置に設けている。本実施形態では、支持部材300は、走行機体3の前後方向について、後側部116を後方に臨ませて穀粒タンク7に配置している。
【0177】
これにより、作業者は、遠隔監視端末100およびアンテナ200のコンバイン1への取付作業は勿論、取付けられた遠隔監視端末100およびアンテナ200が正常に稼働しているかなどのメンテナンス作業が簡便となる。
【0178】
さらに、支持部材300は、縦送りオーガ8の前方に位置して穀粒タンク7に設けられる。具体的には、支持部材300は、後側開口300bの開口面を縦オーガパイプ80に対向させて穀粒タンク7の凹部77に配置される。
【0179】
より詳細には、支持部材300により支持させた遠隔監視端末100およびアンテナ200は、縦送りオーガ8の上端で排出オーガ9を昇降させ、縦送りオーガ8を中心に排出オーガ9とともに一体的に旋回する昇降機構としての昇降シリンダ92および挺子機構としての挺子フレーム93の旋回軌跡および昇降軌跡(旋回昇降経路)よりも下方に位置して、穀粒タンク7の凹部77に配置される。
【0180】
換言すれば、遠隔監視端末100およびアンテナ200とは、上下方向について、排出オーガ9とともに旋回する昇降シリンダ92および挺子フレーム93によりなす旋回経路と穀粒タンク7の上側壁705との間で、上方に余裕空間をもって配置される。旋回する昇降シリンダ92の下端と穀粒タンク7の上側壁705との間の上下距離は、支持部材300とアンテナ200とによりなす高さよりも長くなる。また、支持部材300の上面310bに立設したアンテナ200は、縦送りオーガ8の旋回経路の外側且つ凹部77の前側に配置される。
【0181】
すなわち、支持部材300の上面310bに立設して支持させたアンテナ200は、図10(a)および図10(b)に示すように、上下方向については、昇降作動に伴い起立姿勢又は傾斜姿勢となる昇降シリンダ92の旋回経路よりも下方位置、前後方向については、昇降シリンダ92の旋回経路よりも外側位置で、余裕空間をもって穀粒タンク7の凹部77に配置される。
【0182】
したがって、穀粒タンク7の凹部77に支持部材300を介して配置された遠隔監視端末100およびアンテナ200の上方で、縦送りオーガ8を中心に旋回する排出オーガ9や、排出オーガ9とともに追従旋回する昇降シリンダ92や挺子フレーム93を、遠隔監視端末100およびアンテナ200に干渉させることなくスムーズに旋回作動させる。
【0183】
このように、支持部材300を介した遠隔監視端末100およびアンテナ200の穀粒タンク7への配置により、縦送りオーガ8を中心に排出オーガ9と一体的に旋回する昇降機構としての昇降シリンダ92と挺子機構としての挺子フレーム93とが、支持部材300に支持させた遠隔監視端末100およびアンテナ200に衝突することなく遠隔監視端末100およびアンテナ200に不具合が生じることを防止することができる。
【0184】
また、遠隔監視端末100およびアンテナ200を支持部材300に支持させた一体的なユニット構成であるアンテナユニット400は、図20に示すように、左右方向について、大部分を、縦オーガパイプ80の外径d1の範囲内に位置させている。
【0185】
詳細には、アンテナユニット400は、図20に示すように、後面視で、支持部材300のルーフ部310の左右の縁部と、左支持部320および右支持部330と,左固定部340および右固定部350と、を縦オーガパイプ80から左右両側に露出させるように配置されている。したがって、ルーフ部310の左右中央部に取り付けられた遠隔監視端末100は、その全体を、左右方向について、縦オーガパイプ80の外径d1の範囲内に位置させている。つまり、遠隔監視端末100は、筐体110の全体が後面視で縦オーガパイプ80に重なるように配置されている。
【0186】
このように、アンテナユニットを縦送りオーガ8の縦オーガパイプ80の前方に配置することにより、アンテナユニットを縦オーガパイプ80に近付けて配置することができるので、縦オーガパイプ80の軸心を回動中心として穀粒タンク7が左右外側(右側)に回動する構成において、ハーネス101の取り廻しが容易になるとともに、ハーネス101の弛みや引張りを抑制することができる。また、アンテナユニット400から穀粒タンク7の後方側、つまり排出オーガ9の回動支点側にハーネス101を取り出すことができ、コンバイン1の後方でのハーネス101の取り廻し設置作業が容易となる。
【0187】
なお、アンテナユニットを構成する遠隔監視端末100、アンテナ200および支持部材300は、それぞれ少なくとも一部を左右方向について縦オーガパイプ80の外径d1の範囲内に位置させるように設けられればよい。つまり、遠隔監視端末100、アンテナ200および支持部材300の各構成は、後面視で少なくとも一部が縦オーガパイプ80に重なるように設けられればよい。
【0188】
また、支持部材300により遠隔監視端末100とアンテナ200をユニット化しているため、遠隔監視端末100とアンテナ200をそれぞれ個別に配置して取付ける作業がなくなり、また、これらに接続するハーネス101及びハーネス201の設置作業がなくなり、作業効率が飛躍的に向上する。
【0189】
以上、説明してきたように、本発明によれば、遠隔監視端末とアンテナとをコンバインの穀粒タンクの所定位置に集中して配置し、遠隔監視端末およびアンテナの組付性とメンテナンス性を向上させることができる。
【0190】
すなわち、コンバインの位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信する遠隔監視端末およびアンテナのコンバインへのレイアウト構成に関し、従来はそれぞれ分散して配置されていた遠隔監視端末およびアンテナを共通の支持部材により集中して支持させてユニット化し、コンバインの所定箇所(1箇所)に支持部材を取付けるだけで遠隔監視端末およびアンテナをまとめて配置することができ、取付作業を簡素化でき、メンテナンス性を向上させることができる効果がある。
【0191】
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0192】
なお、本技術は、以下(1)から(6)のような構成を取ることができる。
(1)穀粒を貯溜する穀粒タンクと、
コンバインの位置情報および稼働情報を取得する遠隔監視端末と、
前記遠隔監視端末が取得した前記コンバインの位置情報および稼働情報を管理サーバへ送信するアンテナと、を備え、
前記遠隔監視端末と前記アンテナを、前記穀粒タンクの外側の同一平面上に互いに近傍に位置して設けた
ことを特徴とするコンバイン。
(2)前記遠隔監視端末と前記アンテナとは、支持部材を介して前記穀粒タンクに取り付けた
ことを特徴とする前記(1)に記載のコンバイン。
(3)前記遠隔監視端末は前記支持部材の下部に取り付けるとともに前記アンテナは前記支持部材の上部に取り付けた
ことを特徴とする前記(2)に記載のコンバイン。
(4)前記穀粒タンクの後方に設けられた縦送りオーガを有し、前記縦送りオーガを中心に旋回作動する排出オーガを備え、
前記穀粒タンクは、凹部を有し、
前記支持部材は、前記凹部に配置された
ことを特徴とする前記(1)から前記(3)のいずれか1つに記載のコンバイン。
(5)前記凹部は、前記穀粒タンクの後方に形成された
ことを特徴とする(4)に記載のコンバイン。
(6)前記支持部材は、前記縦送りオーガの前方に位置する
ことを特徴とする前記(2)から前記(5)のいずれか1つに記載のコンバイン。
【符号の説明】
【0193】
1 コンバイン
7 穀粒タンク
77 凹部
705 上側壁
705d 第2平面部
8 縦送りオーガ
9 排出オーガ
100 遠隔監視端末
200 アンテナ
300 支持部材
310a 支持部材の下部(下面)
310b 支持部材の上部(上面)
A4 管理サーバ
図1
図2
図3
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