(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071977
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】スピーカ付きヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240520BHJP
B60N 2/879 20180101ALI20240520BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B60R11/02 S
B60N2/879
H04R1/02 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182530
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】志小田 雄宇
【テーマコード(参考)】
3B087
3D020
5D017
【Fターム(参考)】
3B087DC05
3B087DE09
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC11
3D020BD14
5D017AE18
(57)【要約】
【課題】従来のスピーカ付きのヘッドレストは、スピーカを使用できるのは車内のみであるから、そのユーティリティに改善の余地があった。
【解決手段】車両用シート1に装着され且つオーディオ用のスピーカ4A~4Dを備えたヘッドレスト2であって、車両用シート1に対して着脱可能なピラーフレーム3に設けた経路を介して電力及び外部信号を入力する有線通信部12と、外部機器16,26からの外部信号を受信する無線通信部14と、システム制御部15と、内蔵バッテリ6とを備えた構成とし、車内使用だけでなく、車両用シート1から取り外して車外でスピーカ4A~4Dを使用することができ、ユーティリティの向上を実現する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに装着され且つオーディオ用のスピーカを備えたスピーカ付きヘッドレストであって、
前記車両用シートに対して着脱可能なピラーフレームに設けた経路を介して電力及び外部信号を入力する有線通信部と、
外部機器からの外部信号を受信する無線通信部と、
前記スピーカ、前記有線通信部、及び前記無線通信部を制御するシステム制御部と、
電力源である内蔵バッテリとを備えたことを特徴とするスピーカ付きヘッドレスト。
【請求項2】
前記内蔵バッテリが、車載電源及び外部電源から電力供給されるものであり、
前記車載電源からの電源供給状態、前記外部電源からの電源供給状態、前記内蔵バッテリの充放電状態に応じて、前記システム制御部への電源供給経路を選択する充放電制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ付きヘッドレスト。
【請求項3】
前記システム制御部が、前記車両用シートに対する前記ピラーフレームの着脱状態を検知して前記有線通信部と前記無線通信部とを切り替える機能を有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカ付きヘッドレスト。
【請求項4】
前記外部機器が、車載インフォテインメント(IVI)や携帯端末を含むことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ付きヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのヘッドレストに関し、とくに、オーディオ用のスピーカを内蔵したスピーカ付きヘッドレストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したようなスピーカ付きヘッドレストとしては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献に1に記載のヘッドレストは、芯材と、芯材の表面を覆う弾性体と、芯材、弾性体及びスピーカを包囲する表皮材とを備えたもので、部品点数の少なくしてコスト低減を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来のスピーカ付きのヘッドレストは、スピーカを使用できるのは車内のみであり、車外でスピーカを使用することはできない。このため、従来のスピーカ付きヘッドレストは、そのユーティリティに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、車内使用だけでなく、車両用シートから取り外して車外でスピーカを使用することができるスピーカ付きヘッドレストを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わるスピーカ付きヘッドレストは、車両用シートに装着され且つオーディオ用のスピーカを備えている。このスピーカ付きヘッドレストは、車両用シートに対して着脱可能なピラーフレームに設けた経路を介して電力及び外部信号を入力する有線通信部と、外部機器からの外部信号を受信する無線通信部と、スピーカ、有線通信部、及び無線通信部を制御するシステム制御部と、電力源である内蔵バッテリとを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係わるスピーカ付きヘッドレストは、車両用シートに取り付けた状態では、ピラーフレームに設けた経路を介して電力や外部信号が有線通信部及びシステム制御部に入力され、スピーカの使用が可能となる。また、スピーカ付きヘッドレストは、ピラーフレームとともに車両用シートから取り外した状態では、内蔵バッテリを電源として、無線通信部により携帯端末等の外部機器からの外部信号を受信してシステム制御部に入力することで、スピーカの使用が可能となる。
【0008】
このようにして、本発明に係わるスピーカ付きヘッドレストは、車内使用だけでなく、車両用シートから取り外して車外でスピーカを使用することができ、ユーティリティの向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係わるスピーカ付きヘッドレストの一実施形態を説明する拡大図付きの斜視図である。
【
図2】ヘッドレストの底面及び背面を説明する斜視図である。
【
図3】ヘッドレストのシステム構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1に示す車両用シート1は、自動車の車室内に設置する複数のシートのうちの1つであり、背もたれの上部にスピーカ付きヘッドレスト(以下、「ヘッドレスト」と略記する)2を備えている。ヘッドレスト2は、周知のように、背もたれの上部に差し込む一対のピラーフレーム3,3を有し、高さ調整が可能である。
【0011】
上記のヘッドレスト2は、
図1中の拡大図に示すように、4個のスピーカ4A,4B,4C,4D、制御回路ユニット5、及び内蔵バッテリ6を搭載している。また、ピラーフレーム3,3には、その上下方向に沿って溝が形成してあると共に、夫々の溝内には、車両側からスピーカ4A~4D、制御回路ユニット5及び内蔵バッテリ6に電力を供給するための電力供給レール7,7が装着してある。
【0012】
上記のヘッドレスト2は、
図2に示す底面に、上記スピーカ4A~4Dと、ピラーフレーム3,3の上端部が着脱可能なピラーコネクタ8,8とを備えている。また、ヘッドレスト2は、
図2に示す背面に、ユーザ操作部9を有している。ユーザ操作部9は、LED付きボタンスイッチ10、外部入力端子11、及び後述する外部電源19の接続端子12を備えている。ユーザ操作部12は、上記構成のほか、スピーカ4A~4Dの音量調整部や内蔵バッテリ6の残量表示部などを配置することができる。外部入力端子11には、携帯端末やマイクなどの外部機器を接続することができる。
【0013】
本発明に係わるスピーカ付きヘッドレスト2の基本構成は、車両用シート1に装着され且つオーディオ用のスピーカ4A~4Dを備え、
図3に示すように、車両用シート1に対して着脱可能なピラーフレーム3,3に設けた経路(電力供給レール7)を介して電力及び外部信号を入力する有線通信部12と、外部機器からの外部信号を受信する無線通信部13と、スピーカ4A~4D、有線通信部12、及び無線通信部13を制御するシステム制御部14と、これらの電力源である内蔵バッテリ6を備えている。
【0014】
有線通信部13、無線通信部14、及びシステム制御部15は、前述の制御回路ユニット5に含まれる。また、外部機器は、当該ヘッドレスト2に対して外部とみなすもので、車両Vに搭載した車載インフォテインメント(IVI)16や、スマートフォンなどの携帯端末26が含まれる。車載インフォテインメント(IVI:in-vehicle infotainment)16は、主に自動車の車載システムとして用いられ、情報や娯楽の提供を実現するシステムの総称である。図示例の車載インフォテインメント16は、有線だけでなく、無線で信号を送受信する機能を有している。
【0015】
図3に示す車両Vには、車載インフォテインメント16及び車載電源17を接続した電力線通信部18が備えてある。電力線通信部18は、ピラーフレーム3の電力供給レール7,7を介してヘッドレスト2の有線通信部13に電力及び外部信号を出力する。
【0016】
また、ヘッドレスト2の内蔵バッテリ6には、車載電源17及び車載以外の外部電源19から電力供給される。そしてヘッドレスト2は、車載電源17からの電源供給状態、外部電源19からの電源供給状態、内蔵バッテリ6の充放電状態に応じて、システム制御部15への電源供給経路を選択する充放電制御部20を備えている。充放電制御部20は、図示例では制御回路ユニット5に含まれているが、内蔵バッテリ6に一体化した構成であっても良い。
【0017】
システム制御部15は、車両用シート1に対するピラーフレーム3の着脱状態を検知して有線通信部13と無線通信部14とを切り替える機能を有する。すなわち、システム制御部15は、車両用シート1にヘッドレスト2が車両に装着されている場合には、有線線通信部13、ピラーフレーム3の電極供給レール7、及び車両Vの電力線通信部18を介して、車載インフォテインメント16の音源をスピーカ4A~4Dで再生する。
【0018】
この際、有線通信部13と電力線通信部18は、PLC(Power Line Communication)通信技術により車両Vから通信を行う。つまり、ピラーフレーム3に埋め込まれている電力供給レール7を介して車載インフォテインメント16とヘッドレスト2との間で通信が行われる。
【0019】
システム制御部15は、ヘッドレスト2が車両用シート1に装着されていない場合には、無線通信部14を介して、例えば、ユーザが所有する携帯端末26の音源をスピーカ4A~4Dで再生、若しくはシステム制御部15に外部入力端子11を介して直接信号を入力し、スピーカ4A~4Dで再生する。無線通信または外部入力端子11の双方に同時に信号が入力されている場合、どちらの信号を利用するかはユーザ操作部9で選択することが可能である。
【0020】
ユーザ操作部9は、電源のON/OFF、無線通信接続、音源の切替え、再生音量の調整などができる。詳細な調整は、接続されている車載インフォテインメント16や携帯端末26をユーザが選択するようにしてもよい。
【0021】
充放電制御部20は、電源供給が、車両Vの車載電源17側、外部電源19、及び内蔵バッテリ6のいずれから行われているか、内蔵バッテリ6の残容量はどの程度あるかを判断して、各部への電源供給の仕方を自動的に変更する。
【0022】
より具体的には、充放電制御部20は、車載電源17から電源供給が行われている場合には、ヘッドレスト2が車両用シート1に装着されていると判断し、有線通信部13で通信信号と電力との分離を行い、車載電源17の電力を入力する。充放電制御部20は、各部に電力供給を行い、この際、内蔵バッテリ6が満充電でない場合には、内蔵バッテリ6への充電制御を行う。
【0023】
次に、充放電制御部20は、外部電源19から電源供給が行われている場合には、外部電源19から電源供給が行われていると判断し、外部電源19の電力を直接入力する。充放電制御部20は、各部に電力供給を行い、この際、内蔵バッテリ6が満充電でない場合には、内蔵バッテリ6への充電制御を行う。
【0024】
さらに、充放電制御部20は、車両Vの車載電源17からも外部電源からも電源供給が行われていない場合には、ヘッドレスト2が車両用シート1から取り外されていると判断し、内蔵バッテリ6から各部に電源を供給する。充放電制御部20は、内蔵バッテリ6の残量が少なくなった場合には、システム制御部15に残量警告を通知し、システム制御部15はユーザ操作部9における表示等によりユーザに警告を発する。また、システム制御部15は、バッテリ残量がある閾値値以下になった場合には、システムをシャットダウンする。
【0025】
上記構成を備えたヘッドレスト(スピーカ付きヘッドレスト)2は、車内使用だけでなく、車両用シートから取り外し、携帯型スピーカとして車外で使用することができ、ユーティリティの向上を実現することができる。とくに、携帯型スピーカとして利用する際には、有線接続と無線接続とを切り替えることができる。さらに、上記のヘッドレスト2は、車両用シート1から取り外した際、ピラーフレーム3を取り外すことができるので、ヘッドレスト2を安定して設置することができる。
【0026】
また、上記のヘッドレスト2は、充放電制御部20により、システムへの電源供給を、内蔵バッテリ6、外部電源19、車載電源17のうち、最適な電源に自動的に切り替えることができ、併せて、内臓バッテリ6の最適な充放電制御を行うことができる。
【0027】
さらに、上記のヘッドレスト2は、車両用シート1に対するピラーフレーム3の着脱状態(電気的な接続状態)を検知して有線通信部13と無線通信部14とを切り替える機能を有するシステム制御部15を備えている。これにより、ヘッドレスト2は、車両用シート1に接続されている場合には、車両Vとの信号送受信、車両用シート1から取り外した場合には、その他のデバイスとの信号送受信とを切り替えることができる。
【0028】
さらに、上記のヘッドレスト2は、車載インフォテインメント16や携帯端末26を含む外部機器に対応可能であるから、車内及び車外のいずれでも使用する場合、利便性のさらなる向上を実現することができる。
【0029】
本発明に係わるスピーカ付きヘッドレストは、構成の細部が上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両用シート
2 スピーカ付きヘッドレスト
3 ピラーフレーム
4A~4D スピーカ
6 内蔵バッテリ
13 有線通信部
14 無線通信部
15 システム制御部
16 車載インフォテインメント(IVI)
17 車載電源
19 外部電源
20 充放電制御部
26 携帯端末