(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072026
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】生産管理システム、生産管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240520BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182604
(22)【出願日】2022-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】522447093
【氏名又は名称】日昌電気制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】神藤 昌平
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】繰り返し同じ作業を行う作業者のモチベーションを上げることができること。
【解決手段】生産管理システムは、作業者による作業が完了したことを受け付ける受付部11と、受付部11で受け付けた完了数を計数する計数部12と、計数部12によって計数した数値に対して、作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを取得する演算部13と、獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置18に表示する表示部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者による作業が完了したことを受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた完了数を計数する計数部と、
前記計数部によって計数した数値に対して、前記作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを取得する演算部と、
前記獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置に表示する表示部と、
を備える、
生産管理システム。
【請求項2】
前記受付部は、複数の作業者による作業の完了数を受付可能であり、
前記演算部は、前記複数の作業者ごとの獲得ポイントを取得し、
前記表示部は、1つの表示装置に複数の前記アバターを表示させる、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記複数の作業者による前記完了数を計数した値を合計して得たトータルの数値を前記表示装置に表示させる、
請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記獲得ポイントに応じた変化として、前記獲得ポイントが閾値以上になると、前記アバターを変化させる、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項5】
作業者による作業が完了したことを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた前記完了数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップによって計数した数値に対して、前記作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを得る演算ステップと、
前記獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置に表示する表示ステップと、
を含む、
生産管理方法。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサに、請求項5に記載の生産管理方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理システム、生産管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、生産ラインにおいて生産能率をわかりやすい態様で表示し、生産ラインの管理を行うことができる生産管理システムが存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の生産管理システムは、工程完了情報に基づいて現在の実績工程数を求め、モニタに出力する。
【0003】
生産管理システムでは、進捗状況を、各生産現場に設置された封入機モニタに表示させることができる。これによって、作業者に対して、目標よりも遅れている場合には、封入機を操作する作業者に対して、作業のペースを早めるように促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生産ラインにおける作業者は、繰り返し同じ作業を行うことが求められ、しかも単純な作業である場合が多い。この場合、作業者は、作業に対するモチベーションが下がりやすく、集中力が途切れやすいという問題がある。
【0006】
特許文献1のような生産管理システムでは、作業者は、目標よりも作業が遅れている場合に、作業のペースを早めることを促すことができるが、作業者に対するモチベーションを上げる効果は小さかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、繰り返し同じ作業を行う作業者のモチベーションを上げることができる生産管理システム、生産管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の生産管理システムは、作業者による作業が完了したことを受け付ける受付部と、前記受付部で受け付けた完了数を計数する計数部と、前記計数部によって計数した数値に対して、前記作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを取得する演算部と、前記獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置に表示する表示部と、を備える。
【0009】
本発明に係る一態様の生産管理方法は、作業者による作業が完了したことを受け付ける受付ステップと、前記受付ステップで受け付けた前記完了数を計数する計数ステップと、前記計数ステップによって計数した数値に対して、前記作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを得る演算ステップと、前記獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置に表示する表示ステップと、を含む。
【0010】
本発明に係る一態様のプログラムは、少なくとも1つのプロセッサに、上記生産管理方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る上記態様の生産管理システム、生産管理方法及びプログラムは、繰り返し同じ作業を行う作業者のモチベーションを上げることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る生産管理装置を含むシステムのブロック図である。
【
図2】実施形態に係る称号判定部による判定に用いられるテーブルの一例の図である。
【
図3】実施形態に係る生産管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す模式画像図である。
【
図5】実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す模式画像図である。
【
図6】実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す模式画像図である。
【
図7】実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す模式画像図である。
【
図8】実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す模式画像図である。
【
図9】実施形態に係る表示装置の表示画面の一例を示す模式画像図である。
【
図10】実施形態に係るステータスに関するテーブルの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
【0014】
以下、本実施形態に係る生産管理システムについて、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
生産管理システムは、作業者が行なった作業の完了数を計数し、計数した数値に係数を乗算して得た数値(以下、「獲得ポイント」)に応じて作業者のアバター5を変化させ、これを表示装置4に表示するシステムである。生産管理システムによれば、作業者は、作業をこなすことによってアバター5を変化させることができるため、単に作業をこなすだけでなく、アバター5を変化させる要素を付与することができ、作業に対するモチベーション(やる気)を上げることができる。しかも、作業者に対応して係数を設定することができるため、獲得ポイントについてのハンデキャップを設定することができ、複数の作業者において、獲得ポイントを得る際の不平等を軽減することができる。これにより、例えば、単純な作業を繰り返すような作業を行うだけの作業者であっても、モチベーションを上げることができ、作業に対する集中力を向上させることができる。この結果、作業者において、作業のスピードを上げることができ、生産能力の向上を期待できる。
【0016】
以下の実施形態では、生産管理システムの機能の大部分が1つの筐体内に集約された生産管理装置100を挙げて説明する。ただし、生産管理システムとしては、複数の機能が1つの筐体内に集約されていることは必須ではなく、例えば、生産管理システムの構成要素は、複数の筐体に分散して設けられてもよい。また、生産管理システムの一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0017】
生産管理装置100を含む全体のシステムは、
図1に示すように、データ入力部3と、生産管理装置100と、表示装置4と、を備える。データ入力部3と生産管理装置100と表示装置4とは、有線又は無線により通信可能に接続されている。
【0018】
作業者が行う作業は、例えば、製品の生産ラインにおける一工程が挙げられる。作業は、作業者が繰り返し行うものであり、例えば、1回の作業を完了したことによる成果物を、ベルトコンベアに乗せて、次の作業者に渡す。1回の作業を完了したことによる成果物は、1つであってもよいし複数であってもよい。なお、本明細書における「作業」は、生産ラインに沿った作業に限らず、例えば、1回の作業を完了したことによる成果物を、収納箱に収集するような作業であってもよい。すなわち、「作業」は、1回の作業の完了がカウントできればよい。
【0019】
(データ入力部3)
【0020】
データ入力部3は、作業者が行なった作業の完了数をシステム内に入力する。本実施形態に係るデータ入力部3は、作業を完了したことによる成果物を検知し、これをもって完了数「1」を生産管理装置100に入力する。データ入力部3は、例えば、ベルトコンベアに取り付けられたセンサが挙げられる。センサとしては、例えば、ベルトコンベアの搬送方向に交差するように設置された光電センサ等の非接触センサ、感圧センサ等の接触センサ、カメラ、赤外線センサ、レーザーセンサ、各種変位センサ等が挙げられる。また、データ入力部3はカメラ画像の物体認識によるカウントであっても良い。
【0021】
データ入力部3は、センサによって1つの成果物を検出したことをもって、完了数「1」を入力するものに限らない。例えば、1回の作業で複数の成果物が生成される場合、複数の成果物の全てを検出したことをもって、完了数「1」を入力してもよい。また、例えば、「野菜を切る」という作業の場合、切られた野菜が成果物となるが、切断後の野菜が所定の重量を超えたことをもって、完了数「1」を入力してもよい。
【0022】
データ入力部3は、作業の成果物の完成度を判定し、完成したと判定したことをもって完了数「1」を入力してもよい。これにより、不良品については、完了数として入力しないようにすることもできる。完成度の判定は、システムの機能が自動で判定してもよいし、生産ラインにおける次工程の作業者が判定してもよい。不良品については、完了数として入力しないように処理してもよいし、一旦、不良品も含めて完了数として入力した後、不良品の数を、完了数の合計数から差し引くような処理を行ってもよい。
【0023】
データ入力部3としては、センサにより、自動で作業の完了数を検出するものでなくてもよい。データ入力部3は、例えば、作業者や管理者等によって作業が完了したことを入力する入力装着であってもよい。入力装置としては、例えば、マウス、キーボード、マイク、タッチパネル等が挙げられる。
【0024】
データ入力部3により入力された完了数のデータは、データ入力部3から生産管理装置100に送信される。
【0025】
(生産管理装置100)
【0026】
生産管理装置100は、データ入力部3から送信された作業の完了数を基に、グラフィック等の処理を実行し、表示装置4に表示させる。生産管理装置100は、例えば、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータを含んでいる。すなわち、生産管理装置100は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、生産管理装置100の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0027】
生産管理装置100は、
図1に示すように、生産管理装置100の処理を実行する処理部1と、記憶部2と、を備える。処理部1は、ストレージに記憶されるプログラムに従って、各種処理を実行するプロセッサにより実現される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)等が挙げられる。
【0028】
記憶部2は、生産管理装置100で取り扱う情報を記憶する。記憶部2は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)等により実現される。また、これらの組合せであってもよい。
【0029】
処理部1は、受付部11と、計数部12と、演算部13と、称号判定部14と、表示部15と、を備える。受付部11、計数部12、演算部13、称号判定部14及び表示部15は、生産管理装置100によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0030】
受付部11は、データ入力部3から送信された完了数のデータを受け付ける。受付部11は、データ入力部3から作業の完了数のデータを受け付けると、作業者と完了数とを関連付けた情報とし、完了数の情報を計数部12に出力する。作業者が複数いる場合、受付部11は、作業者ごとに区別して完了数のデータを受け付け、作業者と完了数とを関連付けた情報とする。
【0031】
計数部12は、受付部11で受け付けた完了数を計数する。計数部12は、作業者による作業の完了数「1」が入力されると、完了数を+1として計数する(計数された数値を「計数値」という場合がある)。また、データ入力部3から、一定の時間、作業を行ったことによる作業の完了数をまとめて入力された場合、対応する2以上の数値を計数する。例えば、完了数「10」が入力されると、計数部12は計数値を「+10」計数する。計数部12によって計数された計数値の情報は、演算部13に出力される。
【0032】
演算部13は、計数部12から入力された計数値に対し、作業者に応じて設定された係数を乗じることで獲得ポイントを算出する。作業者に応じて設定された係数は、獲得ポイントの差を軽減するための設定値である。係数としては、特に限定されないが、0.7以上2以下であることが好ましく、より好ましくは0.8以上1.5以下であり、さらに好ましくは、0.9以上1.3以下である。
【0033】
係数の設定は、複数の作業者を把握する者が行うことが好ましい。複数の作業者を管理する者としては、例えば、生産ラインの管理者、上司、社長等が挙げられる。
【0034】
係数として考慮される事項としては、例えば、身体的ハンデキャップ、年齢、作業の場所、配置位置、他の作業との兼務の有無、勤務年数、役職、資格、身長、体重、性別、運動能力等が挙げられる。身体的ハンデキャップとしては、例えば、障がい者であるとか、弱視者であるとか、難聴者であるとかが挙げられる。
【0035】
また、係数として考慮される事項は、1つの要素に限らず、複数の要素を掛け合わせて設定されたものであってもよい。例えば、第1指数として、場所に関する指数とし、第2指数として、作業者の属性に関する指数とし、係数を、第1指数と第2指数とを掛け合わせることで算出してもよい。
【0036】
場所に関する指数としては、例えば、作業場所が業務用の電話の付近にあるかどうか、作業場所が部品の入荷場所の付近にあるかどうか、業務上割り込みタスクがあるかどうか、作業環境が悪いかどうか、不良品や粗悪品での作業になりやすいかどうか、作業とは別に機械の操作パネルを操作する必要があるかどうか、機械の故障やエラーのリカバリー操作を担当するかどうか、業務内容が特殊かどうか、使用する装置の操作性が良いかどうか、製品に応じた作業性や作業効率が良いかどうか等を考慮して設定される。
【0037】
作業者の属性に関する指数としては、例えば、経験年数、身長の違いによる作業性は良いかどうか、身体的ハンデキャップがあるかどうか、特殊能力を有していることにより作業以外のことも同時に担当する必要があるかどうか等を考慮して設定される。
【0038】
また、係数は、消費カロリーを基準に設定されてもよい。例えば、第1指数として、場所に関する指数とし、第2指数として、1回の作業当たりの消費カロリーを考慮した指数とし、係数を、第1指数と第2指数とを掛け合わせることで算出してもよい。
【0039】
係数は、複数の作業者に対して、1対1で対応付けて、記憶部2に記録される。また、作業者が、会社内における何らかの部署に所属している場合、記憶部2には、係数だけでなく、所属先の部署も合わせて、作業者に対応付けて記憶される。
【0040】
演算部13は、計数部12から計数値の情報が入力されると、作業者名(作業者に対応するIDを含む)を参照して、記憶部2から作業者に対応する係数を取得する。そして、演算部13は、計数値に対して係数を乗じて獲得ポイントを算出する。演算部13は、演算することで得た獲得ポイントの情報を、称号判定部14に出力する。
【0041】
称号判定部14は、獲得ポイントに基づいて称号を判定し、当該称号を作業者に割り当てる。記憶部2には、称号の判定の際に用いられる判定テーブルが記憶されている。判定テーブルは、
図2に示すように、獲得ポイントの閾値となる必要ポイントと、称号及びレベルとが対応付けられている。称号判定部14は、判定テーブルを参照し、獲得ポイントに基づいて称号を判定する。例えば、獲得ポイントが「25」の場合、称号判定部14は、必要ポイント「20」以上である「桂馬」を、その作業者の称号と判定する。判定後、称号判定部14は、作業者名に対して、判定した称号とレベルとを割り当てる。作業者名に対して割り当てた称号に関する情報は、表示部15に出力される。
【0042】
なお、称号としては、
図2に示すように、歩兵、香車、桂馬、銀将、金将、角行、飛車、王将、神、レジェンドが挙げられるが、あくまで例示に過ぎず、特に制限はない。
【0043】
表示部15は、称号判定部14により判定された称号に応じて、対応する作業者のアバター5を変化させ、これを表示装置4に表示させる。すなわち、表示部15は、獲得ポイントに応じて変化させたアバター5を表示装置4に表示させる。
【0044】
アバター5は、作業者ごとに設定される。アバター5としては、例えば、人、動物、作業者に似せたキャラクター、植物、機械、空想上のキャラクター(例えば、ドラゴン、ユニコーン等)等が挙げられる。表示部15が表示させるアバター5は、作業者が所望のアバター5を選択してもよいし、すべての作業者が同じキャラクターであってもよい。また、アバター5は、作業者が独自で入手したものを、USBメモリ等を利用して、システム内に取り込んでもよい。
【0045】
アバター5の変化とは、グラフィックにおける変化を意味する。変化の例としては、例えば、アバター5の姿勢の変化、動作の変化、服装や着用物の変化、肉体的な変化、乗り物の変化、色の変化等が挙げられる。姿勢の変化としては、例えば、着座姿勢、中腰姿勢、起立姿勢等に姿勢を変えることが挙げられる。動作の変化としては、例えば、歩く、走る、跳躍する、飛行する、泳ぐ、踊る、笑う、泣く、寝る等、動作を変えることが挙げられる。着用物としては、例えば、王冠、メダル、バッジ、武器、防具、マスク、マント等が挙げられる。肉体的な変化としては、例えば、筋肉量が増える、髪の色が変わる、背が高くなる、観念的に同種のものうちの外見の変化(例えば、犬→馬→ライオン)等が挙げられる。乗り物の変化としては、アバター5が搭乗する乗り物を変化させることが挙げられる。乗り物としては、例えば、三輪車、自転車、オートバイ、自動車、航空機等の種類の変化や、1つの種類内での変化(軽自動車→普通車→高級車)が挙げられる。
【0046】
本実施形態に係る表示部15は、称号判定部14により判定された称号に応じて、アバター5を変化させるが、例えば、称号の判定に限らず、獲得ポイントが一定の数値を超えた時に、アバター5を変化させてもよい。例えば、獲得ポイントが、100ポイント等の区切りのよい値に達した際に、動作の変化をさせてもよい。また、獲得ポイントが1ポイント増えるに従って、アバター5を徐々に変化させてもよい。
【0047】
表示部15は、
図4等に示すように、1つの表示画面において、複数のアバター5を表示させることが好ましい。複数のアバター5には、それぞれ別の作業者が割り当てられる。また、表示部15は、
図7等に示すように、その時点で最も獲得ポイントが多いアバター5に対して、王冠8等の着用物を装着させることが好ましい。このように構成することで、作業者自身のアバター5の変化だけでなく、他の作業者のアバター5についても視認することができ、競争心を起こさせることができる。この結果、作業に対するモチベーションを向上させることができる上に、作業スピードを上げることができる。
【0048】
また、表示部15は、
図7等に示すように、複数の作業者による計数値を合計したトータルの数値を表示させてもよい。表示部15は、例えば、画面の右上に「Total」と表示し、それに隣接して、複数の作業者の計数値の合計値を表示させる。例えば、1つの表示画面に同じ部署に所属する複数の作業者を表示させることで、部署ごとのトータルの計数値を表示できる。部署のトータルの計数値は、当該部署の作業における熟練度とも言えるので、生産ラインの管理者等は、部署のトータルの計数値を参考にして、作業者の生産ラインにおける配置を検討できる。また、部署ごとの計数値の合計値を、BI(Business Intelligence)ツールに取り込み、グラフ表示してもよい。
【0049】
(表示装置4)
【0050】
表示装置4は、生産管理装置100の表示部15によって、表示画面が制御される。表示部15から出力されたアバター5に関する情報に基づき、表示装置4の表示画面が表示される。表示装置4は、複数の作業者が常時見ることができる場所に設置された大型のディスプレイであってもよいし、作業者の作業場所ごとに設置された小型のディスプレイであってもよい。また、表示装置4として、各々の作業者が所有する端末が用いられてもよい。表示装置4としては、例えば、モニター、ディスプレイ、タッチディスプレイ、プロジェクター、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC、VRゴーグル、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0051】
(フローチャート)
【0052】
次に、フローチャートに基づいて、本実施形態に係る生産管理装置100の動作の一例を説明する。
【0053】
生産管理装置100を用いた管理方法(「生産管理方法」という場合がある)は、準備ステップ(ST1)、受付ステップ(ST2、3)、計数ステップ(ST4)、演算ステップ(ST5)、表示ステップ(ST6、7、8)、保存ステップ(ST9)を順に実行する。
【0054】
準備ステップでは、生産管理装置100の準備を行う。準備ステップでは初期設定を行い、作業者の登録や作業者に応じた目標値等を設定する(ST1)。
【0055】
図4には、初期設定を行う画面(以下、設定画面)の一例を示す。設定画面には、ステータスを表示するステータス領域6と、複数のアバター5が並ぶ領域と、各アバター5に対応する複数の入力ボックス61,62と、が設けられている。複数のアバター5は、作業ラインでの作業場所に対応している。
図4では、作業ラインに沿って、第1作業場所、第2作業場所、第3作業場所、及び第4作業場所と順に作業場所がある場合において、第1作業場所に「社員A」が、第2作業場所に「社員B」が、第3作業場所に「社員C」が、第4作業場所に「社員D」が配置された場合を示している。入力ボックス61,62のうちの上側の入力ボックス61には、社員番号が入力され、下側の入力ボックス62には、作業者の目標値が入力される。上側の入力ボックス61に社員番号が入力されると、社員番号に割り当てられた作業者の名称(図示例では「社員A」「社員B」などと表示)が記憶部2から読み込まれ、表示される。
【0056】
ステータス領域6には、「目標値」、「実績」、「Count」、「Point」、「Lv(以下、レベル)」、「称号」、「コメント」が表示される。「目標値」は、作業者の作業完了数(計数値)の目標値である。目標値は、下側の入力ボックス62に連動しており、下側の入力ボックス62に入力された数値が反映される。「実績」は、対応する作業場所における作業完了数(計数値)の合計値が表示される。例えば、1つの作業場所において、時間帯に応じて1人目と2人目の作業者が入れ替わる場合がある。この場合、「実績」は、1人目の計数値と2人目の計数値との合計が表示される。「Count」は、作業完了数(計数値)が表示される。「Point」は、作業者の獲得ポイントが表示される。レベルは、作業者の獲得ポイントに対応するレベル値が表示される。「称号」は、作業者の獲得ポイントに対応する称号が表示される。「コメント」は、
図3に示すように、テーブルにおいて、称号に対応付けられたコメントが表示される。
【0057】
設定画面において、作業者の各種設定が完了し、「生産開始」ボタンを押すことで、準備ステップが完了する。その際の画面を
図5に示す。初期設定では、獲得ポイントがゼロであるため、各アバター5は中腰の姿勢である。なお、前回の作業の内容を引き継ぐ場合、「前回データ読込」ボタンを押すことで、自動的に前回の作業終了時のステータスが入力される。
【0058】
受付ステップでは、生産開始後、作業者による作業が完了したことを受け付ける(ST2、3)。作業者が1つの作業を完了すると、データ入力部3から受付部11に完了数のデータが入力される。
【0059】
次いで、完了数を計数する計数ステップが実行される。計数ステップでは、受付ステップで受け付けた作業の完了数を計数し、計数値を得ることができる。計数値は、上述したようにステータス領域6の「実績」「Count」に反映される。
【0060】
次いで、計数値に基づき、獲得ポイントを算出する演算ステップを実行する(ST5)。演算ステップでは、計数値に対して係数を乗じることで、獲得ポイントを算出することができる。獲得ポイントは、ステータス領域6の「Point」に反映される。
【0061】
次いで、表示ステップが実行される。表示ステップでは、
図2のテーブルを参照し、獲得ポイントに基づいてレベル及び称号を判定する。そして、判定したレベル及び称号に基づき、ステータス領域6の「称号」「レベル」を更新する。
【0062】
このとき、レベルが上昇すると、レベルアップの演出を行う(ST7、8)。本実施形態では、
図6に示すように、レベルアップの演出として、アバター5が回転することを例示している(社員Aのアバター参照)。また、例えば、
図7に示すように、レベルアップの演出として、キラキラしたグラフィック表示7を行ってもよい(社員Dのアバター参照)。また、その時点での「Count」(計数値)が最も多いアバター5には、王冠8が着用される。
【0063】
作業を進めたときの表示画面を
図8に示す。
図8に示すように、レベルが上がるにつれて、アバター5の姿勢が中腰から変化する。ここでは、社員Dは、レベル「1」、称号「歩兵」であるため、アバター5が中腰である。一方、社員Cは、レベル「4」、称号「銀将」であるため、アバター5が歩く姿勢に変化している。また、社員Cは、「Count」(計数値)は「53」で最も多いものの、計数値に係数を乗じた「Point」(獲得ポイント)は社員Bよりも小さい。具体的に、社員Bの係数は、1.2に設定され、社員Cの係数は0.7に設定されている。
【0064】
次に、更に作業を進めたときの表示画面を
図9に示す。
図9に示すように、社員Bの「Point」(獲得ポイント)が目標を達成したため、アバター5の下にはカーペットが敷かれている。さらに、社員Bは、レベル「10」、称号「レジェンド」であるため、全力で走る姿勢に変化している。
【0065】
ST3からST9までの処理は瞬時に行われ、ユーザが「SAVEして終了」ボタンを押すことで、作業者のその時点のステータスを記憶部2に保存する。また、次回起動する際、初期設定において、記憶されたステータスを読み込むことで、終了時点のステータスを引き継ぐことができる(ST9)。
【0066】
ここで記憶したステータスは、データベース形式等で保存される。なお、記憶したステータスは、日報として日付と対応付けて保存されても良い。具体的には、ステータスはデータテーブルとして保存される。記憶部2に保存されるデータテーブルの一例を示すと、
図10に示すとように、テーブルの項目としては、レポートID、レポートNo、部門ID、ポジションID、社員ID、レベル、EXP(経験値)、生産実績、獲得ポイント、作成時間、更新時間、社員名、目標値、ハンデキャップ(人)、クリアーしたポイント閾値、称号、コメント、ハンデキャップ(場所)等が設定されている。
【0067】
なお、獲得ポイントは、社員名(社員ID)と部門IDとを紐付けられて記憶されている。部門IDは、例えば、部門テーブルで部門名と関連付けられている。ハンデキャップ(身体)は人に関するハンデキャップ、ハンデキャップ(場所)は場所に関するハンデキャップが設定される。
【0068】
(変形例)
【0069】
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0070】
上記実施形態では、表示装置4の表示画面において、アバター5が一列に並んでいたが、例えば、生産ラインがU字状に流れる場合には、生産ラインの流れに合わせて複数のアバター5の並びもU字状に沿って並んでもよい。すなわち、複数のアバター5を生産ラインに合わせた配置にしてもよい。
【0071】
上記実施形態に係る生産管理方法は、準備ステップ、受付ステップ、計数ステップ、演算ステップ、表示ステップ、保存ステップを含んでいたが、準備ステップ及び保存ステップはなくてもよい。
【0072】
上記実施形態では、目標が達成されると、アバター5の下にカーペットが敷かれたが、例えば、アバター5に首飾りを着用してもよい。
【0073】
上記実施形態では、作業中のその時点の「Count」(計数値)が最も多いアバター5には、王冠8が着用されたが、アバター5にスポットライトを当てて光らせてもよい。また、王冠8の着用と、スポットライトの照射とを同時に行ってもよい。また、作業中のその時点の「Count」(計数値)が最も多いアバター5ではなく、獲得ポイントが最も多いアバター5に、王冠8の着用やスポットライトの照射を行ってもよい。
【0074】
開始から一定の時間(例えば1時間)ごとに、計数値又は獲得ポイントの増加値がベストを更新したアバター5に対して、メダルを与えてもよい。これにより、作業者の作業スピードの向上を期待できる。
【0075】
上記実施形態では、初期設定において、社員番号を入力することで、アバター5に対して作業者を割り当てたが、社員番号を入力することに替えて、例えば、ICチップやRFIDを内蔵した社員証、QRコード(登録商標)等により作業者名を特定し、これをアバターに割り当ててもよい。
【0076】
獲得メダル数や、王冠の獲得回数等を記憶部2に記録しておき、作業者を評価する際に報告書として出力できるように構成してもよい。
【0077】
(まとめ)
【0078】
以上説明したように、第1の態様に係る生産管理装置100は、作業者による作業が完了したことを受け付ける受付部11と、受付部11で受け付けた完了数を計数する計数部12と、計数部12によって計数した数値に対して、作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを取得する演算部13と、獲得ポイントに応じて変化させたアバター5を表示装置4に表示する表示部15と、を備える。
【0079】
この態様によれば、獲得ポイントに応じてアバター5が変化するため、作業者は自身のアバター5の変化をモチベーションにして作業を行うことができる。しかも、獲得ポイントは、作業者に応じて設定された係数を乗じた数値であるため、アバター5の変化のさせやすさを調整することができ、作業者ごとの不平等さを軽減できる。この結果、繰り返し同じ作業を行う作業者のモチベーションを上げることができる。
【0080】
第2の態様に係る生産管理装置100では、第1の態様において、受付部11は、複数の作業者による作業の完了数を受付可能であり、演算部13は、複数の作業者ごとの獲得ポイントを取得し、表示部15は、1つの表示装置4に複数のアバター5を表示させる。
【0081】
この態様によれば、他の作業者に対する競争心を付与することができ、より一層、作業に対するモチベーションを上げることができる。
【0082】
第3の態様に係る生産管理装置100では、第2の態様において、表示部15は、複数の作業者による完了数の計数した値を合計したトータルの数値を表示装置4に表示させる。
【0083】
この態様によれば、作業の完了数の計数値を、複数の作業者について合計した値として表示することができるため、管理者等は、生産ライン等の作業者の配置を複数の作業者単位で考慮することができる。
【0084】
第4の態様に係る生産管理装置100では、第1~3のいずれか1つの態様において、表示部15は、獲得ポイントに応じた変化として、獲得ポイントが閾値以上になると、アバター5を変化させる。
【0085】
この態様によれば、アバター5を変化させる閾値を設定することができ、作業者のモチベーションのコントロールを行いやすい。
【0086】
第5の態様に係る生産管理方法は、作業者による作業が完了したことを受け付ける受付ステップと、受付ステップで受け付けた完了数を計数する計数ステップと、計数ステップによって計数した数値に対して、作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを得る演算ステップと、獲得ポイントに応じて変化させたアバター5を表示装置4に表示する表示ステップと、を含む。
【0087】
この態様によれば、繰り返し同じ作業を行う作業者のモチベーションを上げることができる。
【0088】
第6の態様に係るプログラムは、少なくとも1つのプロセッサに、第5の態様の生産管理方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。
【0089】
この態様によれば、繰り返し同じ作業を行う作業者のモチベーションを上げることができるプログラムを提供できる。
【0090】
第7の態様に係る生産管理装置100では、獲得ポイントは、社員名(社員ID)と部門IDとを紐付けられて記憶されている。
【0091】
この態様によれば、各社員が今まで獲得した積算値を、製造部門毎に管理することができる。このため、管理者等は、各社員の製造部門毎の熟練度、経験値を把握することができる。
【符号の説明】
【0092】
100 生産管理装置(生産管理システム)
1 処理部
11 受付部
12 計数部
13 演算部
14 称号判定部
15 表示部
2 記憶部
3 データ入力部
4 表示装置
5 アバター
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務を行う作業者による作業が完了したことを受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた完了数を計数する計数部と、
前記計数部によって計数した数値に対して、前記作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを取得する演算部と、
前記獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置に表示する表示部と、
を備え、
前記受付部は、複数の作業者による作業の完了数を受付可能であり、
前記受付部は、前記作業者が繰り返し行う作業であり、1回の作業の完了したことを受け付け、
前記演算部は、前記複数の作業者ごとの獲得ポイントを取得し、
前記係数は、前記獲得ポイントの差を軽減するための設定値を含み、
前記表示部は、複数の前記アバターを表示させる、
生産管理システム。
【請求項2】
前記表示部は、1又は複数の表示装置に表示させる、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記複数の作業者による前記完了数を計数した値を合計して得たトータルの数値を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記獲得ポイントに応じた変化として、前記獲得ポイントが閾値以上になると、前記アバターを変化させる、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記アバターは作業者ごとに設定される、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項6】
前記作業は生産ラインで行う作業である、
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項7】
生産管理システムが実行する生産管理方法であって、
業務を行う作業者による作業が完了したことを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた完了数を計数する計数ステップと、
前記計数ステップによって計数した数値に対して、前記作業者に応じて設定された係数を乗じて獲得ポイントを得る演算ステップと、
前記獲得ポイントに応じて変化させたアバターを表示装置に表示する表示ステップと、
を含み、
前記受付ステップは、複数の作業者による作業の完了数を受付可能であり、
前記受付ステップは、前記作業者が繰り返し行う作業であり、1回の作業の完了したことを受け付け、
前記演算ステップは、前記複数の作業者ごとの獲得ポイントを取得し、
前記係数は、前記獲得ポイントの差を軽減するための設定値を含み、
前記表示ステップは、複数の前記アバターを表示させる、
生産管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から請求項6までのいずれかに1項に記載の生産管理システムの制御部として機能させるためのプログラム。