(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072033
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240520BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240520BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALI20240520BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q50/30
G06Q10/0639
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182618
(22)【出願日】2022-11-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社TUMIXに販売を行うことを依頼し、株式会社TUMIXが販売を行った。(販売日:令和4年5月9日)
(71)【出願人】
【識別番号】592048475
【氏名又は名称】鈴与株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小久保 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】林 裕司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良成
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138BA02
3E138CA02
3E138CB02
3E138DA01
3E138GA02
3E138MA04
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF01
5H181FF10
5H181MA42
5L010AA06
5L049AA06
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】車両の運行に関する2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するための手間を削減できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る管理装置1は、運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得する取得部111と、複数の運行明細のうち、種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定する決定部113と、複数の運行明細のうち、分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、分割位置より後の運行明細の日付を第1日付の翌日の第2日付に設定する分割部114と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得する取得部と、
前記複数の運行明細のうち、前記種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定する決定部と、
前記複数の運行明細のうち、前記分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、前記分割位置より後の運行明細の日付を前記第1日付の翌日の第2日付に設定する分割部と、
を有する、管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記行動の継続時間をさらに示す前記複数の運行明細を含む前記運行明細データを取得し、
前記決定部は、前記複数の運行明細のうち、前記種別と前記継続時間とが所定の条件を満たす運行明細の位置を前記分割位置として決定する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記継続時間が第1閾値以上である所定の種別の運行明細の位置を、前記分割位置として決定する、
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記継続時間が第2閾値以上前記第1閾値未満である2つの前記所定の種別の運行明細のうち2番目の運行明細の位置を、前記分割位置をして決定する、
請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記継続時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満である前記所定の種別の運行明細の後に、前記継続時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満である前記所定の種別の運行明細が存在しない場合に、前記継続時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満である前記所定の種別の運行明細に続く前記所定の種別とは異なる種別の運行明細の終了位置を、前記分割位置として決定する、
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記運転者を管理する管理者に予め関連付けられた種別の運行明細の位置を、前記分割位置をして決定する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
前記分割部は、前記分割位置の前に前記第1日付で車両が帰庫したことを示す運行明細を追加するとともに、前記分割位置の後に前記第2日付で車両が出庫したことを示す運行明細を追加する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項8】
前記運転者の複数の前記運行明細データであって、車両が同じ日付で出庫したことを示す運行明細を含む複数の前記運行明細データを結合する結合部をさらに有し、
前記決定部は、前記結合部により結合された複数の前記運行明細データが含む前記複数の運行明細に対して前記分割位置を決定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項9】
前記結合部は、複数の前記運行明細データの間に所定の種別の運行明細を追加した上で、複数の前記運行明細データを結合する、
請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
前記結合部は、複数の前記運行明細データの間に、前記運転者を管理する管理者に予め関連付けられた種別の運行明細を追加した上で、複数の前記運行明細データを結合する、
請求項8に記載の管理装置。
【請求項11】
前記分割部が前記複数の運行明細に前記第1日付又は前記第2日付を設定した後に、前記複数の運行明細が示す前記運転者の1日の拘束時間が基準拘束時間を超えるか否かを判定する判定部をさらに有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の管理装置。
【請求項12】
前記判定部は、前記拘束時間が、前記運転者が車両を運行するスケジュールに基づいて決定された前記基準拘束時間を超えるか否かを判定する、
請求項11に記載の管理装置。
【請求項13】
前記判定部は、前記拘束時間が、前記運転者が過去に車両を運行した時間に基づいて決定された前記基準拘束時間を超えるか否かを判定する、
請求項11に記載の管理装置。
【請求項14】
前記決定部は、前記拘束時間が前記基準拘束時間を超えると前記判定部が判定した場合に、前記基準拘束時間に基づいて前記分割位置とは異なる代替分割位置を決定し、
前記運転者を管理する管理者が利用する情報端末に前記代替分割位置を示す情報を表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項11に記載の管理装置。
【請求項15】
プロセッサが実行する、
運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得するステップと、
前記複数の運行明細のうち、前記種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定するステップと、
前記複数の運行明細のうち、前記分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、前記分割位置より後の運行明細の日付を前記第1日付の翌日の第2日付に設定するステップと、
を有する、管理方法。
【請求項16】
プロセッサに、
運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得するステップと、
前記複数の運行明細のうち、前記種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定するステップと、
前記複数の運行明細のうち、前記分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、前記分割位置より後の運行明細の日付を前記第1日付の翌日の第2日付に設定するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行に関する情報を管理するための管理装置、管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両運行の安全性を向上させるために、車両の運転者の拘束時間、運転時間、勤務時間等の勤怠状況を記録することが求められている。従来、車両に設けられたデジタルタコグラフ等の装置が運転者の操作に応じて荷積や休憩等の時刻及び位置を含む運行明細データを記録するシステムの導入が進められている。
【0003】
特許文献1には、運行明細データに対して実績に応じた修正を受け付け、修正された運行明細データを用いて自動的に運転者の勤務時間を算出するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転者が2日以上にわたって車両を運行した場合に、運行明細データは2日以上の情報を含み得る。それに対して、運転者の勤怠等の状況は1日ごとに記録される必要がある。従来、運転者を管理する管理者が2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するために大きな手間が掛かっていた。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両の運行に関する2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するための手間を削減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の管理装置は、運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得する取得部と、前記複数の運行明細のうち、前記種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定する決定部と、前記複数の運行明細のうち、前記分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、前記分割位置より後の運行明細の日付を前記第1日付の翌日の第2日付に設定する分割部と、を有する。
【0008】
前記取得部は、前記行動の継続時間をさらに示す前記複数の運行明細を含む前記運行明細データを取得し、前記決定部は、前記複数の運行明細のうち、前記種別と前記継続時間とが所定の条件を満たす運行明細の位置を前記分割位置として決定してもよい。
【0009】
前記決定部は、前記継続時間が第1閾値以上である所定の種別の運行明細の位置を、前記分割位置として決定してもよい。
【0010】
前記決定部は、前記継続時間が第2閾値以上前記第1閾値未満である2つの前記所定の種別の運行明細のうち2番目の運行明細の位置を、前記分割位置をして決定してもよい。
【0011】
前記決定部は、前記継続時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満である前記所定の種別の運行明細の後に、前記継続時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満である前記所定の種別の運行明細が存在しない場合に、前記継続時間が前記第2閾値以上前記第1閾値未満である前記所定の種別の運行明細に続く前記所定の種別とは異なる種別の運行明細の終了位置を、前記分割位置として決定してもよい。
【0012】
前記決定部は、前記運転者を管理する管理者に予め関連付けられた種別の運行明細の位置を、前記分割位置をして決定してもよい。
【0013】
前記分割部は、前記分割位置の前に前記第1日付で車両が帰庫したことを示す運行明細を追加するとともに、前記分割位置の後に前記第2日付で車両が出庫したことを示す運行明細を追加してもよい。
【0014】
前記管理装置は、前記運転者の複数の前記運行明細データであって、車両が同じ日付で出庫したことを示す運行明細を含む複数の前記運行明細データを結合する結合部をさらに有し、前記決定部は、前記結合部により結合された複数の前記運行明細データが含む前記複数の運行明細に対して前記分割位置を決定してもよい。
【0015】
前記結合部は、複数の前記運行明細データの間に所定の種別の運行明細を追加した上で、複数の前記運行明細データを結合してもよい。
【0016】
前記結合部は、複数の前記運行明細データの間に、前記運転者を管理する管理者に予め関連付けられた種別の運行明細を追加した上で、複数の前記運行明細データを結合してもよい。
【0017】
前記管理装置は、前記分割部が前記複数の運行明細に前記第1日付又は前記第2日付を設定した後に、前記複数の運行明細が示す前記運転者の1日の拘束時間が基準拘束時間を超えるか否かを判定する判定部をさらに有してもよい。
【0018】
前記判定部は、前記拘束時間が、前記運転者が車両を運行するスケジュールに基づいて決定された前記基準拘束時間を超えるか否かを判定してもよい。
【0019】
前記判定部は、前記拘束時間が、前記運転者が過去に車両を運行した時間に基づいて決定された前記基準拘束時間を超えるか否かを判定してもよい。
【0020】
前記決定部は、前記拘束時間が前記基準拘束時間を超えると前記判定部が判定した場合に、前記基準拘束時間に基づいて前記分割位置とは異なる代替分割位置を決定し、前記管理装置は、前記運転者を管理する管理者が利用する情報端末に前記代替分割位置を示す情報を表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0021】
本発明の第2の態様の管理方法は、プロセッサが実行する、運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得するステップと、前記複数の運行明細のうち、前記種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定するステップと、前記複数の運行明細のうち、前記分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、前記分割位置より後の運行明細の日付を前記第1日付の翌日の第2日付に設定するステップと、を有する。
【0022】
本発明の第3の態様のプログラムは、プロセッサに、運転者が車両を運行した際に行った行動に対応する種別を示す複数の運行明細を含む運行明細データを取得するステップと、前記複数の運行明細のうち、前記種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を分割位置として決定するステップと、前記複数の運行明細のうち、前記分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、前記分割位置より後の運行明細の日付を前記第1日付の翌日の第2日付に設定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、車両の運行に関する2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するための手間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る管理システムの模式図である。
【
図2】本実施形態に係る管理システムのブロック図である。
【
図3】取得部が取得する運行明細データを説明するための模式図である。
【
図4】結合部が例示的な2つの運行明細データを結合する結合処理を説明するための模式図である。
【
図5】結合部が例示的な複数の運行明細を分割する分割処理を説明するための模式図である。
【
図6】結合部が種別及び継続時間に基づいて複数の運行明細を分割する分割処理を説明するための模式図である。
【
図7】分割後の複数の運行明細及び判定情報を表示している管理者端末の模式図である。
【
図8】算出部が算出する例示的な判定対象時間の模式図である。
【
図9】判定部が用いる例示的な違反条件の模式図である。
【
図10】一又は複数の運転者の違反情報を表示している管理者端末の模式図である。
【
図11】管理者により指定された運転者の違反情報を表示している管理者端末の模式図である。
【
図12】運転者の違反情報を表示している運転者端末の模式図である。
【
図13】本実施形態に係る管理システムが実行する管理方法のシーケンス図である。
【
図14】本実施形態に係る管理システムが実行する管理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る管理システムSの模式図である。管理システムSは、管理装置1と、管理者端末2と、複数の運転者端末3と、を含む。管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0026】
管理装置1は、車両Vの運行に関する情報を管理する情報処理装置である。車両Vは、例えば、貨物を運送するためのトラック等の自動車である。管理装置1は、例えば、サーバ等のコンピュータである。また、管理装置1は、車両Vに設けられたデジタルタコグラフ等の車載コンピュータであってもよい。管理装置1は、運転者による車両Vの運行に関する運行明細データが含む複数の運行明細を運行日ごとに分割する。また、管理装置1は、運行明細データに基づいて運転者の運行実績が所定の違反条件を満たすか否かを判定し、判定結果に対応する違反情報を管理者端末2又は運転者端末3の少なくとも一方に表示させる。
【0027】
管理者端末2は、管理者が利用する情報端末である。管理者は、例えば、車両V又は車両Vを運転する運転者を管理する事業者の従業員である。運転者端末3は、運転者が利用する情報端末である。管理者端末2及び運転者端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータである。また、運転者端末3は、車両Vに設けられたデジタルタコグラフ等の車載コンピュータであってもよい。
【0028】
管理者端末2及び運転者端末3は、例えば、管理装置1から受信した情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付け可能なタッチパネルやキーボード等の操作部と、を有する。管理者端末2及び運転者端末3は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して、管理装置1との間で通信を行う。
【0029】
本実施形態に係る管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。管理装置1は、運転者による車両Vの運行に関する運行明細データを取得する(a)。運行明細データは複数の運行明細を含み、複数の運行明細それぞれは運転者が車両Vを運行した際に期間ごとに行った行動に対応する種別(区分ともいう)を示す。運行明細の種別は、例えば、運転者が車両Vを出庫又は帰庫させたこと、運転者が車両Vに対して貨物を積卸ししたこと、運転者が休憩又は休息したこと等である。
【0030】
管理装置1は、取得した運行明細データが含む複数の運行明細のうち、種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を、複数の運行明細を運行日ごとに分割するための分割位置として決定する(b)。管理装置1は、例えば、「休息」の種別の運行明細の位置を、分割位置として決定する。
【0031】
管理装置1は、決定した分割位置で、複数の運行明細を運行日ごとに分割する(c)。管理装置1は、例えば、運行明細データが含む複数の運行明細のうち、分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、分割位置より後の運行明細の日付を第1日付の翌日の第2日付に設定することにより、複数の運行明細を運行日ごとに分割する。
【0032】
管理装置1は、運行日ごとに分割した複数の運行明細を用いて、複数の運転者それぞれの車両Vを運行する業務に関する時間である複数の判定対象時間を算出する。判定対象時間は、例えば、運転者の拘束時間、運転時間、休息時間等である。管理装置1は、算出した複数の判定対象時間それぞれが、所定の違反条件を満たすか否かを判定する(d)。違反条件は、例えば、拘束時間又は運転時間が所定の閾値より大きいこと、休息時間が所定の閾値未満であること等である。
【0033】
管理装置1は、判定結果に基づいて、判定対象時間が違反条件を満たした一又は複数の運転者と、判定対象時間が満たした違反条件に対応する違反を示す違反情報と、を関連付けて管理者端末2に表示させる(e)。違反情報は、例えば、違反条件を満たした判定対象時間自体や、判定対象時間が違反条件を満たしたことを示す文字、色、模様等を含む。
【0034】
このような構成により、管理システムSは、運行明細データが示す複数の運行明細を、所定の条件を満たす種別の運行明細の位置で自動的に分割できるため、管理者が2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するための手間を削減できる。
【0035】
また、管理システムSは、各運転者における違反の内容を管理者に俯瞰させることができるため、各運転者の判定対象時間が違反条件を満たしているか否かを管理者が確認するための手間を削減できる。
【0036】
[管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る管理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0037】
管理装置1は、制御部11と、記憶部12と、を有する。管理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0038】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、複数の運転者それぞれによる車両Vの運行に関する運行明細データを記憶する。記憶部12は、管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0039】
制御部11は、取得部111と、結合部112と、決定部113と、分割部114と、判定部115と、表示制御部116と、算出部117と、を有する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部111、結合部112、決定部113、分割部114、判定部115、表示制御部116及び算出部117として機能する。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0040】
<結合処理について>
以下、本実施形態に係る管理システムSが実行する管理方法を詳細に説明する。まず、1人の運転者の複数の運行明細データを結合する結合処理を説明する。管理装置1において、取得部111は、車両Vの車載コンピュータが記録した、運転者による車両Vの運行に関する運行明細データを取得する。
【0041】
図3は、取得部111が取得する運行明細データを説明するための模式図である。車両Vが備えるデジタルタコグラフ等の車載コンピュータは、運転者によるボタン等の操作に応じて、運行明細データを記録する。
【0042】
車載コンピュータは、例えば、運転者が操作部において出勤、出庫、荷積、荷卸、荷積卸、休憩、待機、給油、非走行、帰庫、退勤等の予め定義された種別(区分)を選択したことに応じて、選択された種別の行動が開始された日時(着日及び着時刻)を検出する。種別は、運転者が車両Vを運行した際に期間ごとに行った行動に対応する分類である。また、車載コンピュータは、GPS(Global Positioning System)を用いて測定した車両Vの位置を滞在場所として特定する。また、車載コンピュータは、例えば操作部において所定の終了操作(終了ボタンの押下等)が行われたことに応じて、当該種別の行動が終了された日時(発日及び発時刻)を検出する。着日、着時刻、発日及び発時刻の組み合わせは、運転者が車両Vを運行した際に行った行動の継続時間を示す。
【0043】
車載コンピュータは、選択された種別(区分)、着日、着時刻、発日、発時刻、滞在場所、及び車両Vの累計走行距離等を関連付けた運行明細データを記録する。
図3の例において、1回の行動が1つの運行明細に対応しており、運行明細データは複数の運行明細を含む。
【0044】
運行明細情報は、ここに示した具体的な情報に限られず、その他の情報を含んでもよい。運行明細情報は、例えば、運転者による車載コンピュータの操作によって入力された、車両Vを識別するための車体番号(車番)、車両Vが運搬している貨物の荷主の名称等を含んでもよい。
【0045】
車載コンピュータは、例えば、所定の時間(例えば、1時間)ごとに又は新たな運行明細データが記録される度に、記録した運行明細データを管理装置1に送信する。管理装置1において、取得部111は、車両Vの車載コンピュータが送信した運行明細データを受信し、車両Vの運転者を識別するための運転者ID(Identification)と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0046】
結合部112は、1人の運転者の複数の運行明細データであって、車両Vが同じ日付で出庫したことを示す運行明細を含む複数の運行明細データを結合する。結合部112は、例えば、複数の運行明細データにおいて「出庫」の種別が設定された運行明細の発日が同一である場合に、当該複数の運行明細データを結合する。一方、結合部112は、例えば、複数の運行明細データにおいて「出庫」の種別が設定された運行明細の発日が異なる場合に、当該複数の運行明細データを結合しない。
【0047】
図4は、結合部112が例示的な2つの運行明細データを結合する結合処理を説明するための模式図である。第1運行明細データD1及び第2運行明細データD2は、同じ運転者の運転者IDに関連付けられた運行明細データであり、それぞれ同一の発日である「出庫」の種別の運行明細を含む。そのため、結合部112は、第1運行明細データD1及び第2運行明細データD2を結合することにより、1つの運行明細データDを生成する。結合部112は、運行明細データDにおいて複数の運行明細を着時刻又は発時刻が早い順に並べ替えてもよい。これにより、管理システムSは、例えば運転者が同じ日に複数の車両Vを乗り換えて業務を行った場合であっても、複数の車両Vにおいて記録された複数の運行明細データを結合し、運転者ごとの運行を管理しやすくすることができる。
【0048】
複数の運行明細データを結合すると、複数の運行明細データの間に、空白の時間が発生する場合がある。そこで結合部112は、複数の運行明細データの間に所定の運行明細を追加した上で、複数の運行明細データを結合してもよい。結合部112は、例えば、予め定義された種別の運行明細を、複数の運行明細データの間に追加する。
【0049】
図4の例では、第1運行明細データD1の最後の運行明細と第2運行明細データD2の最初の運行明細との間に、「仮休憩」の種別(区分)が設定された運行明細が追加されている。追加された運行明細の着日及び着時刻には第1運行明細データD1の最後の運行明細の着日及び着時刻が設定されており、追加された運行明細の発日及び発時刻には第2運行明細データD2の最初の運行明細の発日及び発時刻が設定されている。これにより、管理システムSは、結合される複数の運行明細データの間の時間を自動的に補完し、運行明細データ内に空白時間が生じることによる不整合を抑制することができる。
【0050】
複数の運行明細データの間に追加される運行明細は、管理者に予め関連付けられた種別の運行明細であってもよい。この場合に、取得部111は、例えば管理者端末2において管理者により指定された、追加する運行明細の種別を示す情報を取得する。管理者が指定可能な種別は、元々の運行明細データが含む運行明細に設定され得る種別と区別可能な種別であり、例えば、「仮休憩」、「仮作業」、「仮休息」等である。取得部111は、指定された種別を示す情報を、管理者を識別するための管理者IDに関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0051】
結合部112は、運転者の複数の運行明細データを結合する際に、当該運転者の管理者(管理者ID)に関連付けられた種別の運行明細を、複数の運行明細データの間に追加する。これにより、管理システムSは、管理者の希望に応じて、複数の運行明細データを結合する際に自動的に補完する運行明細の種別を変更することができる。
【0052】
結合部112は、複数の運行明細データの間に、複数の運行明細データの間の時間に応じて異なる種別の運行明細を追加してもよい。結合部112は、例えば、複数の運行明細データの間の時間が閾値以上である場合に第1種別(「仮休息」等)の運行明細を追加し、当該時間が当該閾値未満である場合に第2種別(「仮休憩」等)の運行明細を追加する。また、結合部112は、例えば管理者端末2において管理者により複数の運行明細データの間の時間ごとに指定された種別の運行明細を追加してもよい。これにより、管理システムSは、複数の運行明細データの間の時間に応じて、複数の運行明細データの間に適切な種別の運行明細を追加することができる。
【0053】
結合部112は、複数の運行明細データの間に、複数の運行明細データの間の時間が該当する時間帯に応じて異なる種別の運行明細を追加してもよい。結合部112は、例えば、複数の運行明細データの間の時間が第1時間帯に含まれる場合に第1種別(「休憩」等)の運行明細を追加し、当該時間が第2時間帯に含まれる場合に第2種別(「積込み作業」等)の運行明細を追加し、当該時間が第3時間帯に含まれる場合に第3種別(「休息」等)の運行明細を追加する。複数の運行明細データの間の時間が複数の時間帯にまたがる場合に、結合部112は、当該時間を当該複数の時間帯に分割し、分割した時間それぞれに対応する種別の複数の運行明細を追加してもよい。
【0054】
時間帯ごとに追加する運行明細の種別は、例えば、管理者端末2において管理者によって予め指定される。これにより、管理システムSは、複数の運行明細データの間の時間が該当する時間帯に応じて、複数の運行明細データの間に適切な種別の運行明細を追加することができる。
【0055】
<分割処理について>
次に、運行明細データが含む複数の運行明細を運行日ごとに分割する分割処理を説明する。決定部113は、運行明細データが含む複数の運行明細を分割する位置である分割位置を決定する。決定部113は、結合部112により結合された複数の運行明細データ(
図4の運行明細データD)が含む複数の運行明細に対して分割位置を決定してもよい。また、決定部113は、結合部112が結合処理を行うことなく、取得部111が取得した運行明細データが含む複数の運行明細に対して分割位置を決定してもよい。
【0056】
図5は、結合部112が例示的な複数の運行明細を分割する分割処理を説明するための模式図である。運行明細データにおいて、複数の運行明細は、着時刻又は発時刻が早い順に並べられている。決定部113は、複数の運行明細のうち、種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を、分割位置として決定する。
【0057】
決定部113は、例えば、種別(区分)が所定の値(
図5の例では「休息」)である運行明細の位置を、分割位置として決定する。決定部113は、種別が所定の条件を満たす運行明細の前の位置を分割位置として決定しているが、当該運行明細の後の位置を分割位置として決定してもよい。これにより、管理システムSは、運行明細データが示す複数の運行明細を分割すべき位置を、運行明細の種別に基づいて適切に決定できる。
【0058】
分割位置を決定するための種別の条件は、管理システムSにおいて予め定義された条件であってもよい。また、分割位置を決定するための種別の条件は、管理者に予め関連付けられた種別であってもよい。この場合に、取得部111は、例えば管理者端末2において管理者により指定された、分割位置を決定するための条件とする種別を示す情報を取得する。管理者が分割位置として指定可能な種別は、例えば、「休息」、「入庫」等である。取得部111は、指定された種別を示す情報を、管理者を識別するための管理者IDに関連付けて記憶部12に予め記憶させる。
【0059】
決定部113は、運転者の複数の運行明細を分割する際に、当該運転者の管理者(管理者ID)に関連付けられた種別の運行明細の位置を、分割位置として決定する。これにより、管理システムSは、管理者の希望に応じて、分割位置とする運行明細の種別を変更することができる。
【0060】
決定部113は、運行明細の種別に加えて、運行明細が示す行動の継続時間が所定の条件を満たす運行明細の位置を、分割位置として決定してもよい。決定部113は、例えば、運行明細が示す着時刻から発時刻までの時間を、運行明細が示す行動の継続時間として算出する。決定部113は、種別及び継続時間が所定の条件を満たす運行明細の位置を、分割位置として決定する。
【0061】
図6(a)~
図6(c)は、結合部112が種別及び継続時間に基づいて複数の運行明細を分割する分割処理を説明するための模式図である。
図6(a)の例では、決定部113は、継続時間が第1閾値以上である所定の種別(「休息」等)の運行明細の位置を、分割位置として決定する。決定部113は、当該運行明細の前の位置を分割位置として決定しているが、当該運行明細の後の位置を分割位置として決定してもよい。これにより、管理システムSは、運行明細データが示す複数の運行明細を分割すべき位置を、運行明細の種別及び継続時間に組み合わせに基づいて適切に決定できる。
【0062】
図6(b)の例では、決定部113は、継続時間が第2閾値以上第1閾値未満である2つの所定の種別(「休息」等)のうち2番目の運行明細の位置を、分割位置として決定する。決定部113は、当該2番目の運行明細の前の位置を分割位置として決定しているが、当該2番目運行明細の後の位置を分割位置として決定してもよい。これにより、管理システムSは、休息等の所定の行動が2つに分けて行われる場合であっても、運行明細データにおいて当該行動を的確に捕捉して分割位置を決定できる。第1閾値及び第2閾値は、例えば法令等により定められた所与の値であってもよいし、複数の閾値の中から管理者が選択可能なものであってもよい。
【0063】
図6(c)の例では、決定部113は、継続時間が第2閾値以上第1閾値未満である所定の種別(「休息」等)の運行明細の後に、継続時間が第2閾値以上第1閾値未満である当該種別の運行明細が存在しない場合に、継続時間が第2閾値以上第1閾値未満である当該種別の運行明細に続く他の運行明細の後の位置(例えば、発時刻)を、分割位置として決定する。これにより、管理システムSは、運行明細データが示す複数の運行明細が過剰に分割されることを抑制できる。
【0064】
分割部114は、複数の運行明細のうち、決定部113が決定した分割位置より前の運行明細の日付(
図5の「運行日」)を第1日付に設定するとともに、当該分割位置より後の運行明細の日付を第1日付の翌日の第2日付に設定することにより、複数の運行明細を運行日ごとに分割する。これにより、管理システムSは、運行明細データが示す複数の運行明細を運行明細の種別や継続時間に基づいて自動的に分割し、管理者が2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するための手間を削減できる。
【0065】
分割部114は、複数の運行明細を分割する際に、分割位置の前に第1日付で車両Vが帰庫したことを示す運行明細(例えば、種別が「帰庫」の運行明細)を追加するとともに、分割位置の後に第2日付で車両Vが出庫したことを示す運行明細(例えば、種別が「出庫」の運行明細)を追加してもよい。これにより、管理システムSは、複数の運行明細を分割した際に、分割位置の前後に車両Vの出庫及び帰庫を示す運行明細を自動的に補完し、1日の運行明細の中に車両Vの出庫及び帰庫が存在しないことによる不整合を抑制することができる。
【0066】
<異常判定処理について>
次に、分割処理による複数の運行明細の分割結果が異常であるか否かを判定する異常判定処理を説明する。判定部115は、分割部114が分割処理によって複数の運行明細を運行日ごとに分割した後(例えば、複数の運行明細に第1日付又は第2日付を設定した後)に、分割後の複数の運行明細が示す運転者の1日の拘束時間を算出する。判定部115は、例えば、運行日ごとに、最初の運行明細の日時(発日及び発時刻等)から最後の運行明細の日時(着日及び着時刻等)までの時間を、拘束時間として算出する。
【0067】
判定部115は、1日の拘束時間が異常であるか否かを判定する基準とする基準拘束時間を決定する。判定部115は、例えば、運転者が車両Vを運行するスケジュール(運転者に対して指示された予定等)を記憶部12又は管理装置1とは異なる装置から取得し、取得したスケジュールに基づいて基準拘束時間を決定してもよい。
【0068】
この場合に、判定部115は、例えば、スケジュールにおいて運転者が車両Vの運行に関する業務を開始する日時から終了する日時までの時間に、所定の余裕時間(1時間等)を加算した時間を、基準拘束時間として決定する。判定部115は、算出した1日の拘束時間が、決定した基準拘束時間を超えるか否かを判定する。これにより、管理システムSは、分割処理による分割結果の内容が運転者のスケジュールから乖離しているか否かに基づいて、当該分割結果が異常であるか否かを判定できる。
【0069】
判定部115は、例えば、運転者の過去の複数の運行明細データから運転者が過去に車両Vを運行した時間を取得し、取得した時間に基づいて基準拘束時間を決定してもよい。この場合に、判定部115は、例えば、運転者が過去に車両Vを運行した複数の時間の統計値(平均値、中央値等)に、所定の余裕時間(1時間等)を加算した時間を、基準拘束時間として決定する。
【0070】
判定部115は、算出した1日の拘束時間が、決定した基準拘束時間を超えるか否かを判定する。これにより、管理システムSは、分割処理による分割結果の内容が運転者の過去の運行実績から乖離しているか否かに基づいて、当該分割結果が異常であるか否かを判定できる。
【0071】
表示制御部116は、管理者端末2に、分割部114が分割処理によって分割した複数の運行明細を表示させる。また、表示制御部116は、管理者端末2に、判定部115による1日の拘束時間が異常であるか否かの判定結果を示す判定情報を表示させてもよい。表示制御部116は、例えば、分割後の複数の運行明細及び判定情報を表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、管理装置1から受信した表示情報に従って、分割後の複数の運行明細及び判定情報を表示部上に表示する。
【0072】
図7は、分割後の複数の運行明細及び判定情報を表示している管理者端末2の模式図である。管理者端末2は、複数の運行明細を、分割部114によって設定された運行日と関連付けて表示する。また、管理者端末2は、運行日ごとに、1日の拘束時間が基準拘束時間を超えるか否かの判定結果に対応する情報を表示する。
図7の例では、管理者端末2は、1日の拘束時間が基準拘束時間を超える運行日には所定のメッセージ(
図7中の「基準拘束時間オーバー」)を表示し、1日の拘束時間が基準拘束時間以下の運行日には当該メッセージを表示しない。これにより、管理システムSは、分割処理による複数の運行明細の分割結果を管理者が容易に把握できるようにし、また分割結果が異常である可能性がある運行日を管理者に通知できる。
【0073】
決定部113は、1日の拘束時間が基準拘束時間を超えると判定部115が判定した場合に、基準拘束時間に基づいて分割位置とは異なる代替分割位置を決定してもよい。決定部113は、例えば、分割位置である運行明細より前のいずれかの運行明細(1つ前の運行明細等)の位置で複数の運行明細を分割した場合の1日の拘束時間を算出し、算出した拘束時間が基準拘束時間以下であることを条件として当該運行明細の位置を代替分割位置として決定する。
【0074】
表示制御部116は、管理者端末2に、代替分割位置を示す情報を表示させる。管理者端末2は、例えば、分割位置を示す矢印画像(
図7の「自動分割位置」)と、代替分割位置を示す矢印画像(
図7の「代替分割位置」)と、を複数の運行明細と関連付けて表示する。これにより、管理システムSは、基準拘束時間を超えないように分割可能な運行明細の位置を管理者に提案できる。
【0075】
管理者端末2は、表示中の複数の運行明細において、管理者による分割位置の指定を受け付けてもよい。管理者端末2は、指定された分割位置を示す情報を、管理装置1に送信する。管理装置1において、取得部111は、管理者端末2において指定された分割位置を示す情報を取得する。分割部114は、複数の運行明細のうち、指定された分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、指定された分割位置より後の運行明細の日付を第1日付の翌日の第2日付に設定することにより、複数の運行明細を指定された運行日ごとに分割する。これにより、管理システムSは、自動的に運行日ごとに分割した複数の運行明細を管理者に提示した後に、管理者から分割位置の修正を受け付け、柔軟な運用を可能にできる。
【0076】
<違反判定処理について>
次に、複数の運行明細を用いて算出される判定対象時間が所定の違反条件を満たすか否かを判定する違反判定処理を説明する。取得部111は、複数の運転者の複数の運行明細を含む運行明細データを取得する。取得部111は、分割部114が分割処理を行った後の運行明細データを取得してもよい。また、取得部111は、分割部114が分割処理を行うことなく、車両Vの車載コンピュータが送信した運行明細データを取得してもよい。
【0077】
算出部117は、取得部111が取得した運行明細データが含む複数の運転者の複数の運行明細を用いて、複数の運転者それぞれの車両を運行する業務に関する時間である複数の判定対象時間を算出する。
【0078】
図8は、算出部117が算出する例示的な判定対象時間の模式図である。算出部117は、運転者が1日の中で業務を開始した時刻から業務を終了した時刻までの時間である拘束時間を算出する。算出部117は、例えば、運行日ごとに、最初の運行明細の日時(発日及び発時刻等)から最後の運行明細の日時(着日及び着時刻等)までの時間を、拘束時間として算出する。
【0079】
また、算出部117は、運転者が1日の中で車両を運転した時間である運転時間を算出する。算出部117は、例えば、運行日ごとに、運転者が車両Vを運転した時間(ある運行明細の発日及び発時刻から次の運行明細の着日及び着時刻までの時間等)の合計値を、運転時間として算出する。また、算出部117は、運行日ごとに、最も大きい運転時間を連続運転時刻として算出する。
【0080】
また、算出部117は、運転者が前の業務を終了した時刻から次の業務を開始した時刻までの時間である休息時間を算出する。算出部117は、例えば、運行日ごとに、最も大きい「休息」の種別の運行明細の継続時間を、休息時間として算出する。また、算出部117は、例えば、1人の運転者に対して単一の運転日の中で第1の休息時間と第2の休息時間とを算出した場合に、第1の休息時間と第2の休息時間との合計値を分割休息時間として算出する。
【0081】
算出部117は、ここに示した具体的な時間に限られず、車両を運行する業務に関するその他の時間を判定対象時間として算出してもよい。算出部117は、例えば、運転者が業務を行った連続する日数である連続出勤日を算出してもよい。
【0082】
判定部115は、算出部117が算出した複数の判定対象時間それぞれが、所定の違反条件を満たすか否かを判定する。判定部115は、例えば、記憶部12に予め記憶されている違反条件を取得し、複数の判定対象時間それぞれと違反条件とを対比することにより、当該判定対象時間が違反条件を満たすか否かを判定する。
【0083】
図9は、判定部115が用いる例示的な違反条件の模式図である。違反条件は、例えば、拘束時間、運転時間又は連続運転時間が閾値を超えたことを含む。また、違反条件は、例えば、休息時間又は分割休息時間が閾値未満であることを含む。
【0084】
また、各判定対象時間に対して第1閾値及び第1閾値より大きい第2閾値が存在する場合に、違反条件は、判定対象時間が第1閾値及び第2閾値それぞれを超えたことを含んでもよい。
図9の例では、拘束時間に対して、13時間の第1閾値及び16時間の第2閾値が定められている。
【0085】
また、各判定対象時間に対して所定期間内の合計値に対する閾値が存在する場合に、違反条件は、所定期間(1週間、1月等)における判定対象時間の合計値が閾値を超えたことを含んでもよい。
図9の例では、拘束時間に対して1月の合計値に対する閾値が定められており、運転時間に対して1週間の合計値に対する閾値が定められている。
【0086】
判定部115は、ここに示した具体的な条件に限られず、運転者それぞれの車両を運行する業務に関する時間に対するその他の条件を用いてもよい。判定部115は、連続出勤日が閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0087】
表示制御部116は、判定部115による判定結果に基づいて、管理者端末2に一又は複数の運転者の違反情報を表示させる。違反情報は、判定対象時間が満たした違反条件に対応する違反の情報である。表示制御部116は、例えば、一又は複数の運転者の違反情報を一覧表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、管理装置1から受信した表示情報に従って、一又は複数の運転者の違反情報を表示部上に表示する。
【0088】
図10は、一又は複数の運転者の違反情報を表示している管理者端末2の模式図である。表示制御部116は、例えば、管理者端末2に、判定対象時間が違反条件を満たした一又は複数の運転者(運転者の氏名やID等)と、判定対象時間が満たした違反条件に対応する違反情報と、を関連付けて表示させる。
【0089】
図10の例では、表示制御部116は、違反情報として、運転者ごとに違反条件を満たした判定対象時間自体を、管理者端末2に表示させている。また、表示制御部116は、違反情報として、運転者ごとに違反条件を満たした判定対象時間の名称(「拘束時間」、「運転時間」等)を、管理者端末2に表示させてもよい。これにより、管理システムSは、各運転者における違反の内容を管理者に俯瞰させ、各運転者の判定対象時間が違反条件を満たしているか否かを管理者が確認するための手間を削減できる。
【0090】
また、表示制御部116は、違反情報として、運転者ごとに判定対象時間の違反の程度を示す情報を、管理者端末2に表示させてもよい。この場合に、表示制御部116は、例えば、判定対象時間と閾値との差に応じて違反の程度を特定し、特定した違反の程度の高さに応じて異なる記号(「〇」、「△」、「×」等)や異なる色(「青」、「黄」、「赤」等)を管理者端末2に表示させる。これにより、管理システムSは、各運転者の違反の程度の高さを管理者に容易に把握させることができる。
【0091】
また、表示制御部116は、判定対象時間の違反の程度が高い運転者を管理者端末2に優先的に表示させてもよい。表示制御部116は、例えば、複数の運転者のうち、判定対象時間の違反の程度が高い運転者を、当該運転者よりも判定対象時間の違反の程度が低い運転者より先に(複数の運転者を違反の程度が高い順に並べ替える等)表示させる。これにより、管理システムSは、管理者が違反の程度が高い運転者を優先的に確認しやすくすることができる。
【0092】
また、表示制御部116は、違反情報として、運転者ごとに判定対象時間の違反の頻度を示す情報を、管理者端末2に表示させてもよい。この場合に、表示制御部116は、例えば、運転者ごとに所定期間(1週間、1月等)において判定対象時間が違反条件を満たした頻度(回数)を特定し、決定した頻度に応じて異なる記号(「〇」、「△」、「×」等)や異なる色(「青」、「黄」、「赤」等)を管理者端末2に表示させる。これにより、管理システムSは、各運転者の違反の頻度を管理者に容易に把握させることがきる。
【0093】
表示制御部116は、判定部115による判定結果に基づいて、管理者により指定された単一の運転者の違反情報を管理者端末2に表示させてもよい。この場合に、管理者端末2は、判定対象時間が違反条件を満たした一又は複数の運転者からいずれかの運転者の指定を管理者から受け付ける。管理者端末2は、管理者により指定された運転者を示す情報を、管理装置1に送信する。
【0094】
管理装置1において、取得部111は、管理者端末2において判定対象時間が違反条件を満たした一又は複数の運転者から指定されたいずれかの運転者を示す情報を取得する。表示制御部116は、例えば、指定された運転者の違反情報を表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、管理装置1から受信した表示情報に従って、指定された運転者の違反情報を表示部上に表示する。
【0095】
図11は、管理者により指定された運転者の違反情報を表示している管理者端末2の模式図である。表示制御部116は、例えば、管理者端末2に、指定された運転者の複数の判定対象時間のうち、一又は複数の判定対象時間が満たした一又は複数の違反条件に対応する一又は複数の違反情報を、指定された運転者と関連付けて表示させる。
【0096】
図11の例では、表示制御部116は、違反情報として、所定の記号(「×」等)を、判定対象時間が満たした違反条件と関連付けて管理者端末2に表示させている。また、表示制御部116は、一又は複数の判定対象時間のうち、違反条件を満たした判定対象時間の表示態様(色、大きさ、模様等)を、違反条件を満たしていない判定対象時間の表示態様とは異ならせることにより、違反情報を管理者端末2に表示させてもよい。これにより、管理システムSは、単一の運転者における違反の内容を管理者に容易に把握させることができる。
【0097】
表示制御部116は、判定部115による判定結果に基づいて、運転者が利用する運転者端末3に、当該運転者の違反情報を表示させてもよい。表示制御部116は、例えば、運転者の違反情報を表示するための表示情報を、運転者端末3に送信する。運転者端末3は、管理装置1から受信した表示情報に従って、運転者の違反情報を表示部上に表示する。
【0098】
図12は、運転者の違反情報を表示している運転者端末3の模式図である。表示制御部116は、例えば、運転者が利用する運転者端末3に、当該運転者の複数の判定対象時間のうち、一又は複数の判定対象時間が満たした一又は複数の違反条件に対応する一又は複数の違反情報を表示させる。
【0099】
図12の例では、表示制御部116は、違反情報として、判定対象時間と、判定対象時間が満たした違反条件を表すメッセージと、を運転者端末3に表示させている。また、表示制御部116は、一又は複数の判定対象時間のうち、違反条件を満たした判定対象時間の表示態様(色、大きさ、模様等)を、違反条件を満たしていない判定対象時間の表示態様とは異ならせることにより、違反情報を運転者端末3に表示させてもよい。これにより、管理システムSは、運転者に対して運転者自身の判定対象時間が違反条件を満たしたことを容易に把握させることができる。
【0100】
表示制御部116は、判定対象時間が違反条件を満たさなくなるようにするための運行明細における変更箇所を運転者に提案してもよい。この場合に、決定部113は、違反条件を満たした一又は複数の判定対象時間のうち少なくとも一部が違反条件を満たさなくなるように、複数の運行明細における変更箇所を決定する。決定部113は、例えば、拘束時間が閾値を超えている場合に、拘束時間が閾値以下になるように「帰庫」の運行明細の時刻を早めることを変更箇所として決定する。
【0101】
表示制御部116は、運転者端末3に、決定部113が決定した複数の運行明細における変更箇所を表示するための表示情報を、運転者端末3に送信する。運転者端末3は、管理装置1から受信した表示情報に従って、変更箇所を表示部上に表示する。
図12の例では、表示制御部116は、変更箇所を表すメッセージを運転者端末3に表示させている。これにより、管理システムSは、運転者に対して違反を解消するための方法を提案し、運転者が違反しないように促すことができる。
【0102】
[管理方法のシーケンス]
図13、
図14は、本実施形態に係る管理システムSが実行する管理方法のシーケンス図である。
図13は、結合処理、分割処理及び異常判定処理のシーケンスを表している。車載コンピュータは、記録した運行明細データを管理装置1に送信する。管理装置1において、取得部111は、車両Vの車載コンピュータが送信した運行明細データを取得し(S11)、車両Vの運転者を識別するための運転者IDと関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0103】
車両Vが同じ日付で出庫したことを示す運行明細を含む複数の運行明細データを取得部111が取得していない場合に(S12のNO)、管理装置1はステップS14に進む。車両Vが同じ日付で出庫したことを示す運行明細を含む複数の運行明細データを取得部111が取得した場合に(S12のYES)、結合部112は、1人の運転者の複数の運行明細データであって、車両Vが同じ日付で出庫したことを示す運行明細を含む複数の運行明細データを結合する(S13)。
【0104】
決定部113は、運行明細データが含む複数の運行明細を分割する位置である分割位置を決定する(S14)。決定部113は、結合部112による結合処理が行われた複数の運行明細データを用いて分割位置を決定してもよく、結合部112による結合処理が行われていない1つの運行明細データを用いて分割位置を決定してもよい。決定部113は、例えば、複数の運行明細のうち、種別が所定の条件を満たす運行明細の位置を、分割位置として決定する。また、決定部113は、複数の運行明細のうち、運行明細の種別及び継続時間が所定の条件を満たす運行明細の位置を、分割位置として決定してもよい。
【0105】
分割部114は、複数の運行明細のうち、決定部113が決定した分割位置より前の運行明細の日付を第1日付に設定するとともに、当該分割位置より後の運行明細の日付を第1日付の翌日の第2日付に設定することにより、複数の運行明細を運行日ごとに分割する(S15)。
【0106】
判定部115は、1日の拘束時間が異常であるか否かを判定する基準とする基準拘束時間を決定する(S16)。判定部115は、例えば、運転者が車両Vを運行するスケジュール、又は運転者が過去に車両Vを運行した時間に基づいて、基準拘束時間を決定する。判定部115は、分割部114が分割処理によって分割した複数の運行明細に基づいて算出した1日の拘束時間が、決定した基準拘束時間を超えるか否かを判定する(S17)。
【0107】
表示制御部116は、管理者端末2に、分割部114が分割処理によって分割した複数の運行明細及び判定部115による1日の拘束時間が異常であるか否かの判定結果を示す判定情報を表示させる(S18)。表示制御部116は、例えば、分割後の複数の運行明細及び判定情報を表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、管理装置1から受信した表示情報に従って、分割後の複数の運行明細及び判定情報を表示部上に表示する。
【0108】
図14は、違反判定処理のシーケンスを表している。取得部111は、複数の運転者の複数の運行明細を含む運行明細データを取得する(S21)。取得部111は、分割部114が分割処理を行った後の運行明細データを取得してもよく、分割部114による分割処理が行われていない運行明細データを取得してもよい。
【0109】
算出部117は、取得部111が取得した運行明細データが含む複数の運転者の複数の運行明細を用いて、複数の運転者それぞれの車両を運行する業務に関する時間である複数の判定対象時間を算出する(S22)。
【0110】
判定部115は、算出部117が算出した複数の判定対象時間それぞれが、所定の違反条件を満たすか否かを判定する(S23)。判定部115は、例えば、記憶部12に予め記憶されている違反条件を取得し、複数の判定対象時間それぞれと違反条件とを対比することにより、当該判定対象時間が違反条件を満たすか否かを判定する。
【0111】
表示制御部116は、判定部115による判定結果に基づいて、管理者端末2に一又は複数の運転者の違反情報を表示させる(S24)。違反情報は、判定対象時間が満たした違反条件に対応する違反の情報である。表示制御部116は、例えば、一又は複数の運転者の違反情報を一覧表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、管理装置1から受信した表示情報に従って、一又は複数の運転者の違反情報を表示部上に表示する。
【0112】
管理者端末2は、判定対象時間が違反条件を満たした一又は複数の運転者からいずれかの運転者の指定を管理者から受け付ける(S25)。管理者端末2は、管理者により指定された運転者を示す情報を、管理装置1に送信する。
【0113】
管理装置1において、取得部111は、管理者端末2において判定対象時間が違反条件を満たした一又は複数の運転者から指定されたいずれかの運転者を示す情報を取得する。表示制御部116は、判定部115による判定結果に基づいて、管理者により指定された単一の運転者の違反情報を管理者端末2に表示させる(S26)。表示制御部116は、例えば、指定された運転者の違反情報を表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、管理装置1から受信した表示情報に従って、指定された運転者の違反情報を表示部上に表示する。
【0114】
表示制御部116は、判定部115による判定結果に基づいて、運転者が利用する運転者端末3に、当該運転者の違反情報を表示させる(S27)。表示制御部116は、例えば、運転者の違反情報を表示するための表示情報を、運転者端末3に送信する。運転者端末3は、管理装置1から受信した表示情報に従って、運転者の違反情報を表示部上に表示する。
【0115】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る管理システムSにおいて、管理装置1は、運行明細データが示す複数の運行明細を運行明細の種別や継続時間に基づいて自動的に分割する。これにより、管理システムSは、管理者が2日以上の運行明細データを1日ごとに分けて記録するための手間を削減できる。
【0116】
また、管理システムSにおいて、管理装置1は、一又は複数の運転者の複数の判定対象時間が違反条件を満たしているか否かに対応する情報を、管理者端末2に表示させる。これにより、管理システムSは、各運転者における違反の内容を管理者に俯瞰させることができるため、各運転者の判定対象時間が違反条件を満たしているか否かを管理者が確認するための手間を削減できる。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0118】
管理装置1、管理者端末2及び運転者端末3のプロセッサは、
図13、
図14に示す管理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。すなわち、管理装置1、管理者端末2及び運転者端末3のプロセッサは、
図13、
図14に示す管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行することによって、
図13、
図14に示す管理方法を実行する。
図13、
図14に示す管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0119】
S 管理システム
1 管理装置
11 制御部
12 記憶部
111 取得部
112 結合部
113 決定部
114 分割部
115 判定部
116 表示制御部
117 算出部
2 管理者端末
3 運転者端末