IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-λ/4板の欠点検査方法 図1
  • 特開-λ/4板の欠点検査方法 図2
  • 特開-λ/4板の欠点検査方法 図3
  • 特開-λ/4板の欠点検査方法 図4
  • 特開-λ/4板の欠点検査方法 図5
  • 特開-λ/4板の欠点検査方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072044
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】λ/4板の欠点検査方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240520BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20240520BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20240520BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240520BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
G02B5/30
G01M11/00 T
H10K50/86
H10K59/10
G01N21/88 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182632
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家原 恵太
(72)【発明者】
【氏名】宇和田 一貴
【テーマコード(参考)】
2G051
2G086
2H149
3K107
【Fターム(参考)】
2G051AA41
2G051AB02
2G051CA04
2G051CB02
2G051DA06
2G051EA16
2G086EE12
2H149AA13
2H149AA18
2H149AB11
2H149BA02
2H149BA13
2H149CA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149DA18
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA19
2H149FA02X
2H149FA02Z
2H149FA03W
2H149FA05Z
2H149FA13Z
2H149FA24Y
2H149FB08
2H149FD05
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107CC33
3K107CC45
3K107EE26
3K107FF06
3K107FF15
3K107GG56
(57)【要約】
【課題】λ/4板の欠点を感度よく検査し得る欠点方法を提供すること。
【解決手段】本発明のλ/4板の欠点検査方法は、第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とをこの順に配置すること、および、該第1の偏光子側の面から光を入射させ、該第2の偏光子側の面の外観を観察することを含み、該第1の偏光子の吸収軸と該第2の偏光子の吸収軸とを直交させ、該第1のλ/4板の遅相軸と該第2のλ/4板の遅相軸とを直交させ、該第1の偏光子の吸収軸と該第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、かつ、該第2の偏光子の吸収軸と該第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、該第1のλ/4板の波長分散特性と、該第2のλ/4板の波長分散特性とを略同一とすることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とをこの順に配置すること、および、該第1の偏光子側の面から光を入射させ、該第2の偏光子側の面の外観を観察することを含み、
該第1の偏光子の吸収軸と該第2の偏光子の吸収軸とを直交させ、該第1のλ/4板の遅相軸と該第2のλ/4板の遅相軸とを直交させ、該第1の偏光子の吸収軸と該第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、かつ、該第2の偏光子の吸収軸と該第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、
該第1のλ/4板の波長分散特性と、該第2のλ/4板の波長分散特性とを略同一とすることを含む、
λ/4板の欠点検査方法。
【請求項2】
前記第1のλ/4板の面内位相差Reと前記第2のλ/4板の面内位相差Reとの差の絶対値が、20nm以下である、請求項1に記載のλ/4板の欠点検査方法。
【請求項3】
前記第1のλ/4板の面内位相差Reと前記第2のλ/4板の面内位相差Reとが、Re<Reとされる、請求項1または2に記載のλ/4板の欠点検査方法。
【請求項4】
第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とをこの順に配置すること、および、該第1の偏光子側の面から光を入射させ、該第2の偏光子側の面の外観を観察することを含み、
該第1の偏光子の吸収軸と該第2の偏光子の吸収軸とを平行とし、該第1のλ/4板の遅相軸と該第2のλ/4板の遅相軸とを平行とし、該第1の偏光子の吸収軸と該第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、かつ、該第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、
該第1のλ/4板の波長分散特性と、該第2のλ/4板の波長分散特性とを略同一とすることを含む、
λ/4板の欠点検査方法。
【請求項5】
前記第1のλ/4板の面内位相差Reと前記第2のλ/4板の面内位相差Reとの差の絶対値が、20nm以下である、請求項4に記載のλ/4板の欠点検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、λ/4板の欠点検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上、反射防止等を目的として位相差フィルムが多用されている。位相差フィルムの製造工程においては、局所的な外観不良による欠点が発生することがあり、当該欠点を感度よく検査し得る方法が求められている。特に、位相差フィルムが、液晶材料から構成されるλ/4板は、従来方法では検出できないほど軽微な欠点が生じやすく、このような欠点をも検出し得る検査方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-15766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、λ/4板の欠点を感度よく検査し得る欠点検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明のλ/4板の欠点検査方法は、第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とをこの順に配置すること、および、該第1の偏光子側の面から光を入射させ、該第2の偏光子側の面の外観を観察することを含み、該第1の偏光子の吸収軸と該第2の偏光子の吸収軸とを直交させ、該第1のλ/4板の遅相軸と該第2のλ/4板の遅相軸とを直交させ、該第1の偏光子の吸収軸と該第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、かつ、該第2の偏光子の吸収軸と該第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、該第1のλ/4板の波長分散特性と、該第2のλ/4板の波長分散特性とを略同一とすることを含む。
[2]上記[1]のλ/4板の欠点検査方法において、上記第1のλ/4板の面内位相差Reと上記第2のλ/4板の面内位相差Reとの差の絶対値が、20nm以下であってもよい。
[3]上記[1]または[2]のλ/4板の欠点検査方法において、上記第1のλ/4板の面内位相差Reと上記第2のλ/4板の面内位相差Reとが、Re<Reとされてもよい。
[4]本発明のλ/4板の欠点検査方法は、第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とをこの順に配置すること、および、該第1の偏光子側の面から光を入射させ、該第2の偏光子側の面の外観を観察することを含み、該第1の偏光子の吸収軸と該第2の偏光子の吸収軸とを平行とし、該第1のλ/4板の遅相軸と該第2のλ/4板の遅相軸とを平行とし、該第1の偏光子の吸収軸と該第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、かつ、該第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とし、該第1のλ/4板の波長分散特性と、該第2のλ/4板の波長分散特性とを略同一とすることを含む。
[5]上記[4]のλ/4板の欠点検査方法において、上記第1のλ/4板の面内位相差Reと上記第2のλ/4板の面内位相差Reとの差の絶対値が、20nm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、λ/4板を含む光学積層体の欠点を感度よく検査し得る欠点方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略斜視図である。
図2】本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略斜視図である。
図3】本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略斜視図である。
図4】本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略斜視図である。
図5】本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略斜視図である。
図6】実施例および比較例で観察された欠点の例を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.欠点検査方法
本発明の欠点検査方法は、第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とをこの順に配置すること、および、第1の偏光子側の面から光を入射させ、第2の偏光子側の面の外観を観察することを含む。本発明の欠点検査方法は、第1のλ/4板を検査対象としてもよく、第2のλ/4板を検査対象としてもよく、第1のλ/4板と第2のλ/4板とを含む積層体を検査対象としてもよい。本発明においては、第1のλ/4板の波長分散特性と、該第2のλ/4板の波長分散特性とを略同一とすることにより、検査感度を向上させることができる。詳細は後述する。
【0009】
代表的には、第1の偏光子および第2の偏光子は、保護フィルムとともに偏光板として適用される。
【0010】
第1のλ/4板および/または第2のλ/4板は、任意の適切なその他の層および/またはフィルムとともに積層体を構成していてもよい。その他の層およびその他のフィルムとしては、例えば、粘着剤層、接着剤層、基材等が挙げられる。その他の層およびその他のフィルムは、光学的に等方性であることが好ましい。
【0011】
1つの実施形態においては、第1のλ/4板または第2のλ/4板が、液晶材料で構成される。1つの実施形態においては、液晶材料で構成されたλ/4板が、検査対象となる。本発明においては、液晶材料で構成されたλ/4板の軽微な欠点をも感度よく検査し得る点で有利である。
【0012】
本発明においては、λ/4板を透過した偏光について、λ/4板により正常に位相差が与えられることなく第2の偏光子に到達した光を観察して、当該λ/4板の欠点を検査する。検査の具体的な方法について、以下に例示する。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態において、第1の偏光子と第2の偏光子とは、第1の偏光子の吸収軸と第2の偏光子の吸収軸とを直交させるようにして配置される。また、第1のλ/4板と第2のλ/4板とは、第1のλ/4板の遅相軸と第2のλ/4板の遅相軸とを直交させるようにして配置される。また、第1の偏光子と第1のλ/4板は、第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とするようにして配置される。また、第2の偏光子と第2のλ/4板は、第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を、35°~55°とするようにして配置される。なお、本発明の効果が得られる限り、第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とがこの順に配置されていれば、その間に他のフィルムが介在していても良い。例えば、第1の偏光子と第1のλ/4板との間に他の位相差フィルム(例えばポジティブCプレート)が介在していても良い。
【0014】
本明細書において、「直交」は、実質的に直交している状態も含む。「実質的に直交」とは、2つの方向のなす角が90°±7°である場合を包含し、好ましくは90°±5°であり、さらに好ましくは90°±3°である。また、本明細書において角度に言及するときは、基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。また、「第2の偏光子側の面の外観を観察する」とは、第2の偏光子を透過した光の有無および量を観察することを意味する。また、本明細書において、位相差とは面内位相差を意味する。
【0015】
図1は、本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略斜視図である。図1においては、第1の偏光子11と、第1のλ/4板21と、第2のλ/4板22と、第2の偏光子12とをこの順に配置した構成と、各層を透過した光の偏光方向を示している。本実施形態の検査方法においては、第1の偏光子11を透過して生成された偏光aが、第1のλ/4板21および第2のλ/4板22を透過して、偏光aと同じ偏光方向を有する偏光bとなり、当該偏光bを正常な光として第2の偏光子12に到達させるように、第1の偏光子11と、第1のλ/4板21と、第2のλ/4板22と、第2の偏光子12とが配置されている。一方、正常な光と偏光方向が相違する光は、相違の程度に応じて異常な光として検知され、当該異常な光はλ/4板の欠点に起因すると判断され得る。なお、便宜上、上から第2の偏光子の外観を観察する様子を図示しているが、実際には、上下を逆にして検査系を構成してもよい。
【0016】
本発明の欠点検査方法においては、第1のλ/4板の波長分散特性と、第2のλ/4板の波長分散特性とが略同一となるように構成される。波長分散特性とは、位相差値の波長依存性をいう。「第1のλ/4板の波長分散特性と、第2のλ/4板の波長分散特性とが略同一」であるとは、第1のλ/4板と第2のλ/4板が、共に逆波長分散特性であるか、あるいは、共に正波長分散特性であることを意味し、例えば、(第1のλ/4板の波長分散特性値)/(第2のλ/4板の波長分散特性値)が0.85~1.2であることを意味する。波長分散特性値とは、Re[450]/Re[550]で表される値であり得る。なお、Re[λ]は、23℃における波長λの光で測定したフィルム面内の位相差値であり、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率をnxとし、面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率をnyとし、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx-ny)×dによって求められる。また、逆波長分散特性とは、短波長側の位相差が小さく、長波長側の位相差が大きい特性(すなわち、Re(450)<Re(550)<Re(650))をいう。正波長分散特性とは、長波長側の位相差が小さく、短波長側の位相差が大きい特性(すなわち、Re(650)<Re(550)<Re(450))をいう。上記波長分散値は、λ/4板に用いる樹脂の種類および/または含有量、該樹脂に導入する置換基の種類および/または含有量を調整することにより、増加または減少させることが可能である。例えば、WO00/26705号公報や日本液晶学会発行「液晶 第9巻 第4号」(2005年)p.214図8に記載されているように、共重合体の組成によって、位相差フィルムの波長分散値は、制御可能である。
【0017】
第1のλ/4板の波長分散特性と、第2のλ/4板の波長分散特性とが略同一であることにより、広範囲な波長において、偏光に対する上記作用が生じるため、欠点と正常部とのコントラストが高くなり、高感度な欠点検出が可能となると考えられる。また、第2の偏光子側の面の外観を観察する際のカメラは、一般的に青色の光に対する感度が低いところ、本発明の欠点検査方法によれば、受光感度の低い青色成分の透過を抑制することができるため、高感度な欠点検出が可能となると考えられる。「第1のλ/4板の波長分散特性と、第2のλ/4板の波長分散特性とが略同一であること」のこのような効果は、欠点がムラ状の欠点である場合に顕著となる。
【0018】
(第1のλ/4板の波長分散特性値)/(第2のλ/4板の波長分散特性値)は、好ましくは0.9~1.1であり、より好ましくは0.95~1.05である。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
【0019】
第1のλ/4板の面内位相差Reと第2のλ/4板の面内位相差Reとの差の絶対値は、好ましくは20nm以下であり、より好ましくは15nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。このような範囲であれば、λ/4板(好ましくは、第1のλ/4板)の欠点をコントラストに優れた状態で検出することが可能となる。
【0020】
1つの実施形態においては、第1のλ/4板の面内位相差Reと第2のλ/4板の面内位相差Reとは、Re<Reとされる。このようにすれば、λ/4板(好ましくは、第1のλ/4板)の欠点を暗点としてコントラストに優れた状態で検出することが可能となる。Re-Reは、好ましくは、2nm以上であり、より好ましくは3nm以上であり、さらに好ましくは5nm以上である。Re-Reの上限は、好ましくは20nm以下であり、より好ましくは15nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。
【0021】
(第2の実施形態)
本実施形態において、第1の偏光子と第2の偏光子とは、第1の偏光子の吸収軸と第2の偏光子の吸収軸とが平行となるようにして配置される。また、第1のλ/4板と第2のλ/4板とは、第1のλ/4板の遅相軸と第2のλ/4板の遅相軸とが平行となるようにして配置される。また、第1の偏光子と第1のλ/4板とは、第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角が35°~55°となるようにして配置される。また、第2の偏光子と第2のλ/4板とは、第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角が35°~55°となるようにして配置される。なお、第1の偏光子と、第1のλ/4板と、第2のλ/4板と、第2の偏光子とがこの順に配置されていれば、その間に他のフィルムが介在していても良い。例えば、第1の偏光子と第1のλ/4板との間に他の位相差フィルム(例えばポジティブCプレート)が介在していても良い。
【0022】
本明細書において、「平行」は、実質的に平行な状態も含む。「実質的に平行」とは、2つの方向のなす角度が0°±7°である場合を包含し、好ましくは0°±5°であり、さらに好ましくは0°±3°である。
【0023】
図2は、本発明の1つの実施形態による検査方法を説明する概略断面図である。図2においては、第1の偏光子11と、第1のλ/4板21と、第2のλ/4板22と、第2の偏光子12とをこの順に配置した構成と、各層を透過した光の偏光方向を示している。本実施形態においては、第1の偏光子11を透過して生成された偏光aに、2枚のλ/4板(第1のλ/4板21、第2のλ/4板22)による位相差が与えられる。本実施形態においては、偏光aに位相差を与えて偏光方向を略90°回転させ、かつ、このようにして生じた偏光bを、正常な光として第2の偏光子12に到達させるように、第1の偏光子11と、第1のλ/4板21と、第2のλ/4板22と、第2の偏光子12とが配置されている。一方、正常な光と偏光方向が相違する光は、相違の程度に応じて異常な光として検知され、当該異常な光はλ/4板の欠点に起因すると判断され得る。本実施形態においては、上記のような構成とすることにより、多様な欠点を有するλ/4板を感度よく検査することができる。なお、便宜上、上から第2の偏光子の外観を観察する様子を図示しているが、実際には、上下を逆にして検査系を構成してもよい。
【0024】
また、本実施形態の検査方法によれば、λ/4板を配置する際に、当該λ/4板の遅相軸の方向が所望の位置から多少ずれた場合にも、安定して検査をすることができる。より詳細には、第1のλ/4板および第2のλ/4板は、その遅相軸が、第1の偏光子の吸収軸に対して45°の角度を有するように配置することが原理上最適であるが、本実施形態の検査方法によれば、最適配置に対して±10°程度のズレがあっても、十分な感度で検査を行うことができる。したがって、上記のとおり、第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角が35°~55°となり、かつ、第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角が35°~55°となるようにして、偏光子とλ/4板とが配置される。第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角は、好ましくは40°~50°であり、より好ましくは43.5°~46.5°である。このような範囲であれば、検査感度が顕著に向上する。
【0025】
本実施形態においても、第1のλ/4板の波長分散特性と、第2のλ/4板の波長分散特性とが略同一となるように構成される。(第1のλ/4板の波長分散特性値)/(第2のλ/4板の波長分散特性値)は、好ましくは0.85~1.2であり、より好ましくは0.9~1.1であり、さらに好ましくは0.95~1.05である。
【0026】
第1のλ/4板の面内位相差Reと第2のλ/4板の面内位相差Reとの差の絶対値は、好ましくは20nm以下であり、より好ましくは15nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。このような範囲であれば、λ/4板(好ましくは、第1のλ/4板)の欠点をコントラストに優れた状態で検出することが可能となる。
【0027】
(検査対象の例示)
1つの実施形態においては、第2のλ/4板22が液晶材料で構成され、第1のλ/4板21が高分子フィルムの延伸フィルムであり得る。この第1のλ/4板21は、第2のλ/4板22を形成する際の配向基材であり得る。本実施形態において、第1の偏光子11(好ましくは、第1の偏光子を含む偏光板)および第2の偏光子12(好ましくは、第2の偏光子を含む偏光板)は、検査ツールとして用いられ得る。また、図3に模式的に示すように、第2のλ/4板22および第1のλ/4板21は積層体を構成し得る。また、当該積層体は長尺状であってもよい。本実施形態の検査方法は、例えば、所定の製品に備えられるλ/4板(第2のλ/4板)を、当該製品に組み込む前に行われる検査に採用され得る。
【0028】
なお、本明細書において、「検査ツール」とは検査用に用いられる部材であって、検査の対象とならない要素を意味する。検査ツールには光源、カメラも含む。例えば、検査対象となるλ/4板、およびこれを含む積層体は、長尺状であり得、連続的に上記検査方法による検査に供され得るが、検査ツールは、検査方法による検査が実施される所定の場所で用いられ得る。なお、本発明の欠点検査方法は、検査ツールを固定し、長尺状の検査対象を搬送しながら連続的に検査する方法の他、検査対象を固定して検査ツールを移動させて検査する方法、検査ツールを固定し、枚葉の検査対象を検査する方法(すなわち、検査ツール、検査対象とも固定)等、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な方法で実施され得る。
【0029】
別の実施形態においては、第1のλ/4板21が液晶材料で構成され、図4に模式的に示すように、第1のλ/4板21と、第1のλ/4板21の第1の偏光子11側の面に配置された等方性基材30とを含む積層体Aが検査対象となる。等方性基材は、光学的に等方な性質を有する。代表的には、等方性基材30は、第1のλ/4板21側の面に配向層を有する。配向層は、配向膜であってもよく、ラビング処理により形成された層であってもよい。配向膜は、液晶性モノマーの種類、基板の材質等によって、任意の適切なものを選択すればよい。液晶分子を所定方向にホモジニアス配向させるための配向膜としては、ポリイミド系フィルムおよびポリビニルアルコール系フィルムの配向膜をラビング処理したものが好適に用いられる。また、光配向膜を用いてもよい。本実施形態において、第2のλ/4板22、第1の偏光子11(好ましくは、第1の偏光子を含む偏光板)および第2の偏光子12(好ましくは、第2の偏光子を含む偏光板)は、検査ツールとして用いられる。また、積層体Aは長尺状であってもよい。本実施形態の検査方法は、例えば、所定の製品に備えられるλ/4板(第1のλ/4板)を、当該製品に組み込む前に行われる検査に採用され得る。
【0030】
さらに別の実施形態においては、第1のλ/4板21が液晶材料で構成され、図5に模式的に示すように、第1の偏光子11(好ましくは、第1の偏光子を含む偏光板)と第1のλ/4板21とを含む光学積層体Bが検査対象となる。本実施形態において、第2のλ/4板22および第2の偏光子12(好ましくは、第2の偏光子を含む偏光板)は、検査ツールとして用いられる。また、光学積層体Bは長尺状であってもよい。代表的には、光学積層体Bは、円偏光板であり得る。本実施形態の検査方法は、製品としての光学積層体B(円偏光板)の検査に採用され得る。
【0031】
第1の偏光子側の面に入射させる光は、任意の適切な光源により生成される。1つの実施形態においては、光源として白色LEDが用いられる。
【0032】
第2の偏光子側の面の外観観察は、任意の適切な方法により行われ得る。代表的には、任意の適切なカメラにより検査領域の画像を得、当該画像を2値化処理等の画像処理を行い、正常箇所/不良箇所の判断を行う。
【0033】
B.第1の偏光子、第2の偏光子
上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く、特に好ましい。偏光子の厚みは、好ましくは、0.5μm~80μmである。
【0034】
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、代表的には、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3~7倍に延伸することで作製される。延伸は染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、延伸してから染色してもよい。延伸、染色以外にも、例えば、膨潤、架橋、調整、水洗、乾燥等の処理が施されて作製される。
【0035】
上記のとおり、1つの実施形態においては、第1の偏光子および第2の偏光子(これらを偏光子と総称することもある)は、保護フィルムとともに偏光板として適用される。
【0036】
上記保護フィルムとしては、任意の適切なフィルムが用いられる。このようなフィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、(メタ)アクリル系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。上記ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0037】
1つの実施形態においては、第2の偏光子として、光透過率が42%以上の偏光子が用いられる。このような第2の偏光子を用いれば、検出感度を向上させることができる。第2の偏光子の光透過率は、より好ましくは43%以上であり、さらに好ましくは44%以上である。また、第2の偏光子を含む偏光板が用いられる場合、当該偏光板の光透過率は、好ましくは42%以上であり、より好ましくは43%以上であり、さらに好ましくは44%以上である。
【0038】
C.第1のλ/4板、第2のλ/4板
第1のλ/4板および第2のλ/4板(これらをλ/4板と総称することもある)は、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換し得る。
【0039】
上記λ/4板は、その面内位相差Re[590]が、好ましくは95nm~180nmであり、より好ましくは110nm~160nmである。λ/4板は、好ましくは、nx>ny≧nzの屈折率楕円体を有する。本明細書において、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。
【0040】
1つの実施形態において、λ/4板のRe[450]/Re[550]は、好ましくは0.80~0.99であり、より好ましくは0.82~0.93である。また、λ/4板のRe[550]/Re[650]は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.97である。
【0041】
別の実施形態において、λ/4板のRe[450]/Re[550]は、好ましくは1.02~1.25であり、より好ましくは1.05~1.2である。また、λ/4板のRe[550]/Re[650]は、好ましくは1より大きく1.25以下であり、より好ましくは1.03~1.25である。
【0042】
(液晶材料で構成されたλ/4板)
上記のとおり、1つの実施形態においては、第1のλ/4板または第2のλ/4板が、液晶材料で構成される。液晶材料としては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker-Chem社の商品名LC-Sillicon-CC3767が挙げられる。1つの実施形態においては、液晶材料で構成されたλ/4板は、逆波長分散特性を有する。
【0043】
液晶材料から構成されるλ/4板は、例えば、液晶材料を配向させ、当該配向状態を固定したまま固化または硬化させることにより得られ得る。具体的には、長尺状の配向基材上に、液晶材料を含む液晶性組成物を塗布して、液晶材料を配向させること、および、配向した液晶材料に重合処理および/または架橋処理を施して、液晶硬化層を形成することにより形成され得る。ここで、液晶材料は、基板の配向処理方向に応じて配向し得るので、基板の配向処理方向と実質的に同一な方向に位相差層の遅相軸を発現させ得る。位相差層の形成方法の具体例としては、特開2006-178389号公報に記載の形成方法が挙げられる。液晶材料の硬化層または固化層から構成される透明フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm~1.8μmであり、より好ましくは1μm~1.6μmである。
【0044】
1つの実施形態においては、液晶材料として、加熱により液晶性を発現するサーモトロピック液晶が用いられ得る。サーモトロピック液晶は、温度変化により、結晶相、液晶相、等方相の相転移を生じる。
【0045】
(延伸フィルムで構成されたλ/4板)
延伸フィルムで構成されたλ/4板は、例えば、高分子フィルムを所定の方向に延伸して得られる。
【0046】
上記高分子フィルムを形成する樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられる。具体例としては、ポリノルボルネン等のシクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルホン系樹脂等の正の複屈折フィルムを構成する樹脂が挙げられる。中でも、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。また、1つの実施形態において、逆波長分散特性を有するλ/4板を用いる場合、ポリカーボネート系樹脂が用いられ得る。
【0047】
上記ポリノルボルネンとは、出発原料(モノマー)の一部または全部に、ノルボルネン環を有するノルボルネン系モノマーを用いて得られる(共)重合体をいう。当該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5-メチル-2-ノルボルネン、5-ジメチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3-ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6-メチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-エチル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-エチリデン-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-クロロ-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-シアノ-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-ピリジル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン、6-メトキシカルボニル-1,4:5,8-ジメタノ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3~4量体、例えば、4,9:5,8-ジメタノ-3a,4,4a,5,8,8a,9,9a-オクタヒドロ-1H-ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9-トリメタノ-3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0048】
上記ポリノルボルネンとしては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン(Arton)」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
【0049】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、好ましくは、芳香族ポリカーボネートが用いられる。芳香族ポリカーボネートは、代表的には、カーボネート前駆物質と芳香族2価フェノール化合物との反応によって得ることができる。カーボネート前駆物質の具体例としては、ホスゲン、2価フェノール類のビスクロロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジ-p-トリルカーボネート、フェニル-p-トリルカーボネート、ジ-p-クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ホスゲン、ジフェニルカーボネートが好ましい。芳香族2価フェノール化合物の具体例としては、2
,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジプロピルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが用いられる。特に、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンとを共に使用することが好ましい。
【0050】
延伸方法としては、例えば、横一軸延伸、固定端二軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられる。固定端二軸延伸の具体例としては、高分子フィルムを長手方向に走行させながら、短手方向(横方向)に延伸させる方法が挙げられる。この方法は、見かけ上は横一軸延伸であり得る。また、斜め延伸も採用することができる。斜め延伸を採用することにより、幅方向に対して所定の角度の配向軸(遅相軸)を有する長尺状の延伸フィルムを得ることができる。斜め延伸によりλ/4板を製造する方法は、例えば、特開2013-54338号公報、特開2014-194482号公報、特開2014-238524号公報、特開2014-194484号公報等に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
【0051】
上記延伸フィルムの厚みは、代表的には5μm~80μm、好ましくは15μm~60μm、さらに好ましくは25μm~45μmである。
【0052】
1つの実施形態においては、延伸フィルムで構成されたλ/4板(好ましくは、斜め延伸により得られたλ/4板)は、上記液晶材料から構成されるλ/4板を作成する際の配向基板として用いられ得る。本実施形態においては、延伸フィルムで構成されたλ/4板が第1のλ/4板となり、液晶材料で構成されたλ/4板が第2のλ/4板となり得る。
【実施例0053】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0054】
[実施例1]
式(I)で示される化合物55重量部と、式(II)で示される化合物25重量部と、式(III)で示される化合物20重量部とを、シクロペンタノン(CPN)400重量部に加えた後、60℃に加温、撹拌して溶解させた。その後、上記した化合物の溶液を室温に戻し、上記した化合物の溶液に、イルガキュア907(BASFジャパン社製)3重量部と、メガファックF-554(DIC社製)0.2重量部と、p-メトキシフェノール(MEHQ)0.1重量部とを加えて、さらに撹拌した。撹拌後の溶液は、透明で均一であった。得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性組成物を得た。
斜め延伸ノルボルネン系フィルム(日本ゼオン製「ゼオノアフィルム(ZD12)」、厚み:23μm、面内位相差:140nm)を準備した。
上記斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に、上記の液晶性組成物をバーコーターにより塗布し、100℃で3分間加熱して液晶を配向させた。室温に冷却した後、窒素雰囲気下で、積算光量400mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化を行い、斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に第1のλ/4板(面内位相差:144nm)を形成した。
また、バーコーターの番手を変更したこと以外は、上記と同様の方法で、斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に第2のλ/4板(面内位相差:130nm)を得た。
【化1】
第1の偏光子(単体透過率:45%)を含む第1の偏光板と、上記第1のλ/4板と、上記第2のλ/4板と、第2の偏光子(単体透過率:45%)を含む第2の偏光板とを積層した。第1のλ/4板および第2のλ/4板はそれぞれ、λ/4板を、斜め延伸ノルボルネン系フィルムから偏光板に転写することにより形成した。
第1の偏光子(単体透過率:45%)を含む第1の偏光板と、上記第1のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:144nm)と、上記第2のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:130nm)と、第2の偏光子(単体透過率:45%)を含む第2の偏光板とを積層した。
このとき、各層の軸方向は、第1の偏光子の吸収軸と第2の偏光子の吸収軸とを直行させ、第1のλ/4板の遅相軸と第2のλ/4板の遅相軸とを直行させ、第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を45°とし、第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を45°とした。
上記構成の両側に光源と撮像装置を配置し、正常部分より厚みが厚く位相差が大きい欠点(欠点の位相差Rd:約145nm)を検出対象として、透過検査による欠点検査を行った。
その結果、当該欠点が、明欠点として、明確に検出された。
【0055】
[実施例2]
第2のλ/4板作成時に用いるバーコートの番手を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第1のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:144nm)と、上記第2のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:140nm)と、第2の偏光子を含む第2の偏光板とをこの順に配置し、実施例1と同様の欠点検査を行った。
その結果、当該欠点が、明欠点として、検出された。
【0056】
[実施例3]
第2のλ/4板作成時に用いるバーコートの番手を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、第1のλ/4板(逆波長分散特性;Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:144nm)と、上記第2のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85:Re[590]:150nm)と、第2の偏光子を含む第2の偏光板とをこの順に配置し、実施例1と同様の欠点検査を行った。
その結果、当該欠点が、暗欠点として、検出された。
【0057】
[比較例1]
実施例1と同様にして、斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に第1のλ/4板(面内位相差:144nm)を形成した。
第2のλ/4板として、斜め延伸ノルボルネン系フィルム(日本ゼオン製「ゼオノアフィルム(ZD12)」、厚み:23μm、面内位相差:141nm)を準備した。
第1の偏光子(単体透過率:45%)を含む第1の偏光板と、上記第1のλ/4板と、上記第2のλ/4板と、第2の偏光子(単体透過率:45%)を含む第2の偏光板とを積層した。
第1の偏光子(単体透過率:45%)を含む第1の偏光板と、上記第1のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:144nm)と、上記第2のλ/4板、(フラット波長分散特性、Re[450]/Re[550]=1.01、Re[590]:141nm)と、第2の偏光子(単体透過率:45%)を含む第2の偏光板とを積層した。
このとき、各層の軸方向は、第1の偏光子の吸収軸と第2の偏光子の吸収軸とを直行させ、第1のλ/4板の遅相軸と第2のλ/4板の遅相軸とを直行させ、第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を45°とし、第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を45°とした。
上記構成の両側に光源と撮像装置を配置し、正常部分より厚みが厚く位相差が大きい欠点(欠点の位相差Rd:約145nm)を検出対象として、透過検査による欠点検査を行った。
その結果、当該欠点を検出することができなかった。
【0058】
[比較例2]
実施例1と同様にして、斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に第1のλ/4板(面内位相差:144nm)を形成した。
ネマチック液晶相を示す光重合性液晶化合物(BASF製「Paliocolor LC242」)をシクロペンタノンに溶解して、固形分濃度30重量%の溶液を調製した。この溶液に、界面活性剤(ビック・ケミー製「BYK-360」)および光重合開始剤(IGM Resins製「Omnirad907」)を添加して、液晶性組成物溶液を調製した。レベリング剤および重合開始剤の添加量は、光重合性液晶化合物100重量部に対して、それぞれ、0.01重量部および3重量部とした。
斜め延伸ノルボルネン系フィルム(日本ゼオン製「ゼオノアフィルム(ZD12)」、厚み:23μm、面内位相差:140nm)を準備した。上記斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に、上記の液晶性組成物をバーコーターにより塗布し、100℃で3分間加熱して液晶を配向させた。室温に冷却した後、窒素雰囲気下で、積算光量400mJ/cmの紫外線を照射して光硬化を行い、斜め延伸ノルボルネン系フィルム上に第2のλ/4板(面内位相差:140nm)を得た。
第1の偏光子(単体透過率:45%)を含む第1の偏光板と、上記第1のλ/4板と、上記第2のλ/4板と、第2の偏光子(単体透過率:45%)を含む第2の偏光板とを積層した。
第1の偏光子(単体透過率:45%)を含む第1の偏光板と、上記第1のλ/4板(逆波長分散特性、Re[450]/Re[550]=0.85、Re[590]:144nm)と、上記第2のλ/4板、(正波長分散特性、Re[450]/Re[550]=1.08、Re[590]:140nm)と、第2の偏光子(単体透過率:45%)を含む第2の偏光板とを積層した。
このとき、各層の軸方向は、第1の偏光子の吸収軸と第2の偏光子の吸収軸とを直行させ、第1のλ/4板の遅相軸と第2のλ/4板の遅相軸とを直行させ、第1の偏光子の吸収軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角を45°とし、第2の偏光子の吸収軸と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角を45°とした。
上記構成の両側に光源と撮像装置を配置し、正常部分より厚みが厚く位相差が大きい欠点(欠点の位相差Rd:約145nm)を検出対象として、透過検査による欠点検査を行った。
その結果、当該欠点を検出することができなかった。
【0059】
上記各検査における撮像装置による写真図を図6に示す。
【符号の説明】
【0060】
11 第1の偏光子
12 第2の偏光子
21 第1のλ/4板
22 第2のλ/4板
30 等方性基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6