(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072048
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】口栓及び口栓付きパウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20240520BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B65D33/38 BRH
B65D75/58 BSG
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182638
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 倫寿
(72)【発明者】
【氏名】原田 拓治
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 拓実
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA30
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA07
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB01
3E067AB26
3E067AB28
3E067AB81
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA16
3E067CA24
3E067EA06
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】パウチのフィルムが破断するのを抑制する。
【解決手段】パウチに用いられる樹脂製の口栓10は、第一方向D1に延びる流路11と、第一方向D1に延びて流路11の一部を形成する注出部12と、第一方向D1に延びて流路11の他の一部を形成する溶着部13と、を備える。溶着部13は、基部17と、基部17から突出された複数のリブ18と、を有する。リブ18の高さをB、リブ18の断面積をS、溶着部13の注出部12とは反対側の先端である溶着部下端13aから最も溶着部下端13aに近いリブ18の第一方向D1における中央位置である下端リブ位置18aまでの長さをFとした場合、F≧3×S/Bの関係を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチに用いられる樹脂製の口栓であって、
第一方向に延びる流路と、
前記第一方向に延びて前記流路の一部を形成する注出部と、
前記第一方向に延びて前記流路の他の一部を形成する溶着部と、を備え、
前記溶着部は、基部と、前記基部から突出された複数のリブと、を有し、
前記リブの高さをB、前記リブの断面積をS、前記溶着部の前記注出部とは反対側の先端である溶着部下端から最も前記溶着部下端に近い前記リブの前記第一方向における中央位置である下端リブ位置までの長さをFとした場合、F≧3×S/Bの関係を満たす、
口栓。
【請求項2】
前記複数のリブのそれぞれは、前記第一方向と垂直な方向に延びている、
請求項1に記載の口栓。
【請求項3】
前記基部は、前記第一方向に垂直な第二方向よりも前記第一方向及び前記第二方向に垂直な第三方向に長くなっており、
前記複数のリブは、前記基部の前記第三方向における両端部に形成されていない、
請求項1又は2に記載の口栓。
【請求項4】
前記溶着部下端から前記下端リブ位置までの長さは、複数のリブのピッチの二倍以下である、
請求項1又は2に記載の口栓。
【請求項5】
前記口栓は、ポリオレフィンからなる、
請求項1又は2に記載の口栓。
【請求項6】
前記溶着部は、前記基部に形成された溝を更に有する、
請求項1又は2に記載の口栓。
【請求項7】
前記注出部と前記溶着部との間に位置するフランジ部を更に備え、
前記溝は、前記溶着部下端から前記複数のリブまでの間、前記複数のリブの間、及び前記複数のリブから前記フランジ部までの間の少なくとも一つに形成されている、
請求項6に記載の口栓。
【請求項8】
前記溝は、前記溶着部下端から前記複数のリブまでの間に形成されていない、
請求項6に記載の口栓。
【請求項9】
前記溝の断面積は、前記リブの断面積以上である、
請求項6に記載の口栓。
【請求項10】
フィルムを有するパウチ本体と、
前記フィルムに溶着された樹脂製の口栓と、を備え、
前記口栓は、
前記パウチ本体に収容された内容物を流通させるための流路と、
前記パウチ本体の外側に配置されて前記流路の一部を形成する注出部と、
前記フィルムに溶着されて前記流路の他の一部を形成する溶着部と、を有し、
前記溶着部は、溶融して前記フィルムに固定されている溶融樹脂部を有し、
前記溶融樹脂部は、前記溶着部の前記注出部とは反対側の先端である溶着部下端に達していない、
口栓付きパウチ。
【請求項11】
前記フィルムは、前記溶着部と溶着されるシーラント層を有し、
前記シーラント層は、ポリエチレンを含み、
前記口栓は、ポリオレフィンを含む、
請求項10に記載の口栓付きパウチ。
【請求項12】
前記口栓は、ポリエチレンを含む、
請求項11に記載の口栓付きパウチ。
【請求項13】
前記溶着部は、表面に溝を有する、
請求項10又は11に記載の口栓付きパウチ。
【請求項14】
前記溶融樹脂部の一部は、前記溝に入っている、
請求項13に記載の口栓付きパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチに用いられる樹脂製の口栓及び当該口栓を備えた口栓付きパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体等の内容物を収容する容器として、複数のフィルムを所定箇所で熱溶着することで袋状に形成するとともに、樹脂製の口栓をフィルムに熱溶着した口栓付きパウチが用いられている(例えば、特許文献1参照)。この口栓は、注出口が形成された注出部と、フィルムに溶着される溶着部と、溶着部と注出部との間に位置するフランジ部と、を備えている。そして、一対のフィルムの間に口栓の溶着部を配置し、口栓をフィルムに熱溶着することで、一対のフィルムに口栓を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らが口栓付きパウチの製造について評価していたところ、パウチのフィルムが口栓の近傍で破断する不具合が発生していることが分かった。特に、近年は、リサイクル性を向上するために包装資材のモノマテリアル化(単一素材化)が取り組まれているが、ポリエチレンやポリプロピレンでモノマテリアル化したフィルムをパウチのフィルムとして用いると、このような不具合が顕著に発生することが分かった。
【0005】
そこで、本発明は、パウチのフィルムが破断するのを抑制することができる口栓及び口栓付きパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、口栓をフィルムに熱溶着する際にフィルムが局部的に薄くなることが不具合の原因であることを突き止めた。つまり、口栓をフィルムに熱溶着すると、口栓の溶着部の一部が溶融して流れて行き、溶着部のフランジとは反対側の先端である溶着部下端から溶融樹脂が大きくはみ出すことがある。溶着部下端から溶融樹脂が大きくはみ出すと、溶着部下端の近傍では、溶融樹脂からフィルムに伝導する熱の集中によりフィルムが薄くなる。しかも、溶着部下端の近傍では、フィルムが屈曲されやすいため、熱集中によるフィルムの薄化が促進されやすくなる。その結果、溶着部下端の近傍において、フィルムが局部的に薄くなって、フィルムの破断が生じやすくなる。本発明は、上記知見に基づきなされたものである。
【0007】
[1] 本発明に係る口栓は、パウチに用いられる樹脂製の口栓であって、第一方向に延びる流路と、第一方向に延びて流路の一部を形成する注出部と、第一方向に延びて流路の他の一部を形成する溶着部と、を備え、溶着部は、基部と、基部から突出された複数のリブと、を有し、リブの高さをB、リブの断面積をS、溶着部の注出部とは反対側の先端である溶着部下端から最も溶着部下端に近いリブの第一方向における中央位置である下端リブ位置までの長さをFとした場合、F≧3×S/Bの関係を満たす。
【0008】
この口栓では、基部から複数のリブが突出されているため、シールバーを溶着部に押し付けると、基部よりも先に複数のリブが溶融する。そして、複数のリブが溶融してなる溶融樹脂が、基部の表面に沿って流れて行く。ここで、本発明者が更なる検討を行った結果、溶融後のリブの高さは、溶融前のリブの高さの1/6程度以上に留まることを見出した。そこで、この口栓では、リブの高さB、リブの断面積S、及び溶着部下端から下端リブ位置までの長さFが、F≧3×S/Bの関係を満たすものとしている。このため、溶融樹脂が溶着部下端まで流れて行くのを抑制することができる。溶融樹脂が溶着部下端まで流れて行ったとしても、溶融樹脂が溶着部下端から大きくはみ出すのを抑制することができる。これにより、溶着部下端の近傍においてフィルムが局部的に薄くなることによりフィルムが破断するのを抑制することができる。なお、ポリエチレンやポリプロピレンでモノマテリアル化したフィルムをパウチのフィルムとして用いても、同様の理由から、フィルムが破断するのを抑制することができる。
【0009】
[2] [1]に記載の口栓において、複数のリブのそれぞれは、第一方向と垂直な方向に延びていてもよい。この口栓では、複数のリブのそれぞれが第一方向と垂直な方向に延びているため、フィルムに溶着部を適切に溶着させることができる。
【0010】
[3] [1]又は[2]に記載の口栓において、基部は、第一方向に垂直な第二方向よりも第一方向及び第二方向に垂直な第三方向に長くなっており、複数のリブは、基部の第三方向における両端部に形成されていなくてもよい。この口栓では、基部が第二方向よりも第三方向に長くなっているため、基部の第二方向における両側において一対のフィルムが溶着部に溶着され、基部の第三方向における両側において一対のフィルムが重ね合わされて溶着される。そして、複数のリブが基部の第三方向における両端部に形成されていないため、一対のフィルムが重ね合わされる位置において、一対のフィルムが複数のリブにより盛り上がるのを抑制することができる。これにより、一対のフィルムの溶着不良を抑制することができる。
【0011】
[4] [1]~[3]の何れか一つに記載の口栓において、溶着部下端から下端リブ位置までの長さは、複数のリブのピッチの二倍以下であってもよい。この口栓では、溶着部下端から下端リブ位置までの長さが複数のリブのピッチの二倍以下であるため、シールバーを溶着部に押し当てた際に、シールバーの重心が溶着部下端側にずれてシールバーが溶着部下端に当接するのを抑制することができる。これにより、溶着不良が発生するのを抑制することができる。また、溶着部が長くなり過ぎるのを抑制することができるため、口栓をコンパクトにして樹脂量が増大するのを抑制することができる。
【0012】
[5] [1]~[4]の何れか一つに記載の口栓において、口栓は、ポリオレフィンからなってもよい。この口栓では、口栓がポリオレフィンからなるため、リサイクルをしやすい。
【0013】
[6] [1]~[5]の何れか一つに記載の口栓において、溶着部は、基部に形成された溝を更に有してもよい。この口栓では、基部に溝が形成されているため、溶融樹脂を溝に入れることができる。これにより、溶融樹脂が溶着部下端まで流れて行くのを更に抑制することができる。
【0014】
[7] [1]~[6]の何れか一つに記載の口栓において、注出部と溶着部との間に位置するフランジ部を更に備え、溝は、溶着部下端から複数のリブまでの間、複数のリブの間、及び複数のリブからフランジ部までの間の少なくとも一つに形成されてもよい。この口栓では、溝が、溶着部下端から複数のリブまでの間、複数のリブの間、及び複数のリブからフランジ部までの間の少なくとも一つに形成されているため、溶融樹脂が溶着部下端まで流れて行くのを更に抑制することができる。
【0015】
[8] [6]又は[7]に記載の口栓において、溝は、溶着部下端から複数のリブまでの間に形成されていなくてもよい。この口栓では、溝が、溶着部下端から複数のリブまでの間に形成されていないため、溶着部下端の近傍においてフィルムに溶着部を強く溶着することができる。
【0016】
[9] [6]~[8]の何れか一つに記載の口栓において、溝の断面積は、リブの断面積以上であってもよい。この口栓では、溝の断面積がリブの断面積以上であるため、溶融樹脂が溝から溢れ出すのを抑制することができる。
【0017】
[10] 本発明に係る口栓付きパウチは、フィルムを有するパウチ本体と、フィルムに溶着された樹脂製の口栓と、を備え、口栓は、パウチ本体に収容された内容物を流通させるための流路と、パウチ本体の外側に配置されて流路の一部を形成する注出部と、フィルムに溶着されて流路の他の一部を形成する溶着部と、を有し、溶着部は、溶融してフィルムに固定されている溶融樹脂部を有し、溶融樹脂部は、溶着部の注出部とは反対側の先端である溶着部下端に達していない。
【0018】
この口栓付きパウチでは、溶着部が溶融してフィルムに固定されている溶融樹脂部が溶着部下端に達していない。このため、口栓付きパウチの製造時に、溶着部下端の近傍においてフィルムが局部的に薄くなるのを抑制することができる。これにより、フィルムが破断するのを抑制することができる。
【0019】
[11] [10]に記載の口栓付きパウチにおいて、フィルムは、溶着部と溶着されるシーラント層を有し、シーラント層は、ポリエチレンを含み、口栓は、ポリオレフィンを含んでもよい。この口栓付きパウチでは、シーラント層がポリエチレンを含み、口栓がポリオレフィンを含むため、包装容器全体としてポリオレフィンを主材料とすることができる。このため、リサイクルしやすい。
【0020】
[12] [11]に記載のパウチにおいて、口栓は、ポリエチレンを含んでもよい。この口栓付きパウチでは、口栓がポリエチレンを含むため、特にリサイクルしやすい。
【0021】
[13] [10]~[12]の何れか一つに記載の口栓付きパウチにおいて、溶着部は、表面に溝を有してもよい。この口栓付きパウチでは、溶着部が表面に溝を有するため、口栓付きパウチの製造時に、溶融樹脂の少なくとも一部が溝に入ることで、溶融樹脂が溶着部下端まで流れて行くのが抑制されたものとすることができるとともに、溶融樹脂が溶着部の表面に大きく盛り上がることが抑制されたものとすることができる。これにより、フィルムが破断するのを抑制することができる。
【0022】
[14] [13]に記載の口栓付きパウチにおいて、溶融樹脂部の一部は、溝に入っていてもよい。この口栓付きパウチでは、溶融樹脂部の一部が溝に入っているため、口栓付きパウチの製造時に、溶融樹脂の一部が溝に入ることで、溶融樹脂が溶着部下端まで流れて行くのが抑制されたものとすることができるとともに、溶融樹脂が溶着部の表面に大きく盛り上がることが抑制されたものとすることができる。これにより、フィルムが破断するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パウチのフィルムが破断するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第一実施形態に係る口栓付きパウチを示す正面図である。
【
図2】
図1に示すII-II線における模式断面図である。
【
図3】第一実施形態に係る口栓を示す斜視図である。
【
図4】第一実施形態に係る口栓を示す正面図である。
【
図5】第一実施形態に係る口栓を示す側面図である。
【
図6】第一実施形態に係る口栓を示す底面図である。
【
図7】
図4に示すVII-VII線における断面図である。
【
図8】第一実施形態に係る口栓の一部を示す断面図である。
【
図9】シールバーを溶着部に押し付けている状態を示す断面図である。
【
図10】溶着部が溶融していく状態を示す模式断面図である。
【
図11】加熱温度とリブの高さとの関係の例を示す表である。
【
図12】加熱温度とリブの高さとの関係の例を示すグラフである。
【
図13】加熱温度毎の溶着部の厚さとリブの合計高さとの関係の例を示す表である。
【
図14】溶着部とシールバーとの関係の例を示す模式断面図である。
【
図15】参考例の口栓をフィルムに溶着している状態を示す模式断面図である。
【
図16】第一実施形態に係る口栓をフィルムに溶着している状態を示す模式断面図である。
【
図17】第二実施形態に係る口栓付きパウチを示す正面図である。
【
図18】
図17に示すXVIII-XVIII線における模式断面図である。
【
図19】第二実施形態に係る口栓を示す斜視図である。
【
図20】第二実施形態に係る口栓を示す正面図である。
【
図21】第二実施形態に係る口栓を示す側面図である。
【
図22】第二実施形態に係る口栓を示す底面図である。
【
図23】
図20に示すXXIII-XXIII線における断面図である。
【
図24】シールバーを溶着部に押し付けている状態を示す断面図である。
【
図25】溶着部が溶融していく状態を示す模式断面図である。
【
図29】実施例1の切断箇所を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】
[第一実施形態]
(口栓付きパウチ)
図1は、第一実施形態に係る口栓付きパウチを示す正面図である。
図1に示す口栓付きパウチ1は、詰め替え用ボトル等の容器(不図示)に対する内容物の詰め替えや、飲料用包装、化粧品用包装等に用いられる。
図2は、
図1に示すII-II線における断面図である。
図1及び
図2に示すように、第一実施形態に係る口栓付きパウチ1は、パウチ本体2と、口栓3と、を備える。パウチ本体2は、互いに対向された第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bと、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとの間に折り込まれた折込フィルム5と、を備える。なお、パウチ本体2は、折込フィルム5を備えないものであってもよく、更に他のフィルムを備えるものであってもよい。そして、口栓付きパウチ1の内部に内容物を収容するための収容領域6を形成するように、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとが、その外縁部において互いにヒートシールされているとともに、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bと折込フィルム5とが、その外縁部において互いにヒートシールされている。また、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとの間に口栓3が配置されて、第一胴フィルム4Aの外縁部及び第二胴フィルム4Bの外縁部と口栓3とが、互いにヒートシールされている。なお、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとは、互いに同じ形状、構造等を有して口栓3とヒートシールされているため、以下では、特に分けて説明する場合を除き、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bを胴フィルム4として纏めて説明する。
【0027】
胴フィルム4は、基材層7と、シーラント層8と、が積層された積層シートにより形成されている。なお、胴フィルム4を構成する積層シートは、基材層7及びシーラント層8以外の層を備えていてもよい。
【0028】
基材層7は、胴フィルム4に所定の剛性を与えるとともに、気体及び液体の通過を阻止するバリア性を有する。基材層7の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、又はポリプロピレン)、又はポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)とすることができる。超低密度ポリエチレンの密度は、0.900g/cm3未満である。低密度ポリエチレンの密度は、0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満である。中密度ポリエチレンの密度は、0.925g/cm3以上0.945g/cm3未満である。高密度ポリエチレンの密度は、0.945g/cm3以上、又は0.945g/cm3以上0.980g/cm3以下である。
【0029】
シーラント層8は、熱により溶融して他の部材に溶着可能な層である。つまり、シーラント層8は、ヒートシール可能な層である。シーラント層8の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、又はアイオノマーポリエチレン)、エチレン-アクリル共重合体、エチレングリコール-メタクリル酸共重合体、又はエチレン-酢酸ビニル共重合体とすることができる。
【0030】
口栓付きパウチ1の収容領域6に収容される内容物は、特に限定されるものではないが、液体であることが好ましい。内容物としては、例えば、液体洗剤、洗浄剤、薬品、化粧品、シャンプー、リンス等の日用品、液体調味料、スープ、ヨーグルト、清涼飲料、食用油等の食品、及び潤滑油、工業用油等の工業製品が挙げられる。なお、口栓付きパウチ1は、収容領域6に内容物が収容された内容物入り口栓付きパウチであってもよい。
【0031】
口栓3は、胴フィルム4に溶着された樹脂製の部材である。口栓3の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリマー組成物から構成されていてもよく、中でもポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン)から構成されていることが好ましく、さらには成形のしやすさの観点から高密度ポリエチレンから構成されていることが好ましい。口栓3を構成する樹脂の密度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.850g/cm3以上0.980g/cm3以下、0.930g/cm3以上0.980g/cm3以下、又は0.945g/cm3以上0.980g/cm3以下であってもよい。また、口栓3のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されるものではないが、例えば、1.0g/10min以上30g/10min以下、又は1.0g/10min以上10g/10min以下であってもよい。
【0032】
口栓3は、パウチ本体2に収容された内容物を流通させるための流路31と、パウチ本体2の外側に配置されて流路31の一部を形成する注出部32と、胴フィルム4に溶着されて流路31の他の一部を形成する溶着部33と、注出部32と溶着部33との間に位置するフランジ部34と、を有する。溶着部33は、溶融してフィルムに溶着されてなる溶融樹脂部35を有する。溶融樹脂部35は、溶着部33の注出部32とは反対側の先端である溶着部下端33aに達していない。なお、口栓3の詳細については、後述する。
【0033】
(口栓)
図3は、第一実施形態に係る口栓を示す斜視図である。
図4は、第一実施形態に係る口栓を示す正面図である。
図5は、第一実施形態に係る口栓を示す側面図である。
図6は、第一実施形態に係る口栓を示す底面図である。
図7は、
図4に示すVII-VII線における断面図である。
図3~
図7に示すように、第一実施形態に係る口栓10は、
図2に示す口栓付きパウチ1の口栓3となる口栓である。つまり、
図3~
図7に示す口栓10は、胴フィルム4にヒートシールすることで、
図2に示す口栓付きパウチ1の口栓3となる。このため、口栓10の素材、口栓10を構成する樹脂の密度、及び口栓3のメルトは、口栓付きパウチ1の口栓3と同様とすることができる。なお、口栓は、スパウト等とも呼ばれる。
【0034】
口栓10は、流路11と、注出部12と、溶着部13と、フランジ部14と、を備える。
【0035】
流路11は、口栓付きパウチ1の収容領域6に収容された内容物を流通するために、第一方向D1に延びて口栓10を貫通している。つまり、流路11は、注出部12、溶着部13、及びフランジ部14の内周面により区画される穴であって、口栓10を第一方向D1に貫通する貫通穴である。
【0036】
注出部12は、口栓付きパウチ1のパウチ本体2の外側に配置されて、口栓付きパウチ1の収容領域6に収容された内容物を注出するための部位である。注出部12は、第一方向D1に延びて、流路11の一部を形成する。注出部12は、円筒状に形成されている。注出部12の内周面には、流路11が形成されており、注出部12の外周面には、キャップ(不図示)を着脱可能に取り付けるためのねじ部12aが形成されている。キャップは、流路11を開閉可能に閉じる部材である。
【0037】
溶着部13は、胴フィルム4に溶着される部位である。つまり、溶着部13は、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとの間に配置されて、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bに溶着される部位である。溶着部13は、第一方向D1に延びて、流路11の他の一部を形成する。
【0038】
フランジ部14は、注出部12と溶着部13との間に位置するフランジ状の部位である。フランジ部14は、口栓付きパウチ1のパウチ本体2の外側に配置されて、第一方向D1と直交する方向に延びている。フランジ部14は、例えば、胴フィルム4に対する溶着部13の位置決めに利用される。なお、本実施形態では、フランジ部14は、1つのみ設けられているが、第一方向D1に複数設けられていてもよい。
【0039】
溶着部13は、第一胴フィルム4Aに溶着される第一側壁部16Aと、第二胴フィルム4Bに溶着される第二側壁部16Bと、を有する。溶着部13は、第一方向D1と直交する断面が略菱形形状となっている。つまり、溶着部13は、第一方向D1と直交する第二方向D2よりも、第一方向D1及び第二方向D2と直交する第三方向D3の方が長くなっている。そして、第一側壁部16Aと第二側壁部16Bとは、第二方向D2に対向するように位置して、第三方向D3における両端において互いに鋭角となるように接続されている。なお、第一側壁部16Aと第二側壁部16Bとは、互いに同じ形状、構造等を有しているため、以下では、特に分けて説明する場合を除き、第一側壁部16A及び第二側壁部16Bを側壁部16として纏めて説明する。
【0040】
図8は、第一実施形態に係る口栓の一部を示す断面図である。
図3~
図8に示すように、溶着部13の側壁部16は、基部17と、複数のリブ18と、を有する。
【0041】
基部17は、側壁部16の本体を成す部位である。基部17は、平坦な表面を有している。基部17の表面は、側壁部16と略同一となっている。つまり、基部17は、第一方向D1と直交する断面が略菱形形状となっており、第二方向D2よりも第三方向D3の方が長くなっている。そして、第一側壁部16Aの基部17と第二側壁部16Bの基部17とは、第二方向D2に対向するように位置して、第三方向D3における両端において互いに鋭角となるように接続されている。
【0042】
複数のリブ18は、基部17から突出する部位である。複数のリブ18は、第一方向D1に配列されている。複数のリブ18のそれぞれは、基部17の表面において第一方向D1と垂直な方向に延びている。複数のリブ18のそれぞれは、基部17の第三方向D3における一方側の先端の近傍から他方側の先端の近傍まで延びており、基部17の第三方向D3における両端部には形成されていない。複数のリブ18の数は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、第一側壁部16A及び第二側壁部16Bのそれぞれに、3本のリブ18が形成されている。なお、本実施形態では、複数のリブ18のそれぞれは、第二方向D2から見て第三方向D3に延びる直線状に形成されているが、第二方向D2から見て波形状、折線形状、ネジのように一方向に傾斜する直線状等に形成されていてもよい。
【0043】
ここで、リブ18の高さを高さB、リブ18の延在方向と直交する方向におけるリブ18の断面積を断面積S、複数のリブ18のピッチをピッチP、溶着部13の注出部12とは反対側の先端を溶着部下端13a、最も溶着部下端13aに近いリブ18の第一方向D1における中央位置を下端リブ位置18a、溶着部下端13aから下端リブ位置18aまでの長さを長さFという。リブ18が第三方向D3に延びている場合、下端リブ位置18aは、最も溶着部下端13aに近いリブ18の、第三方向D3における中央部分の、第一方向D1における中央位置をいう。この場合、長さFは、最も溶着部下端13aに近いリブ18の、第三方向D3における中央部分の、第一方向D1における中央位置である溶着部下端13aから、下端リブ位置18aまでの長さとなる。一方、リブ18が第三方向D3以外の方向に延びている場合、又はリブ18が概ね第三方向D3に延びているが完全に第三方向D3に延びていない場合は、下端リブ位置18aは、最も溶着部下端13aに近いリブ18の、最も溶着部下端13aに近い部分の、第一方向D1における中央位置をいう。この場合、長さFは、下端リブ位置18aは、最も溶着部下端13aに近いリブ18の、最も溶着部下端13aに近い部分の、第一方向D1における中央位置である溶着部下端13aから、下端リブ位置18aまでの長さとなる。
【0044】
図9は、シールバーを溶着部に押し付けている状態を示す断面図である。
図10は、溶着部が溶融していく状態を示す模式断面図である。
図9に示すように、口栓10を胴フィルム4に溶着する際は、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとの間に口栓10の溶着部13を配置し、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bを介して加熱したシールバー9を溶着部13に押し付けることにより行う。すると、溶着部13の一部が溶融して溶融樹脂13bとなる。このとき、口栓10では、基部17から複数のリブ18が突出しているため、シールバー9は、基部17よりも先に複数のリブ18に押し付けられる。このため、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bを介して加熱したシールバー9を溶着部13に押し付けると、基部17よりも先に複数のリブ18が溶融する。そして、
図10に示すように、主に複数のリブ18が溶融してなる溶融樹脂13bが、基部17の表面に沿って流れて行く。
【0045】
その後、溶融樹脂13bの硬化により溶着部13が胴フィルム4に溶着されることで、上述した口栓付きパウチ1となる。このため、口栓10の流路11、注出部12、溶着部13、及びフランジ部14が、口栓付きパウチ1の流路31、注出部32、溶着部33、及びフランジ部34となる。また、溶融樹脂13bの硬化物が、口栓付きパウチ1の溶融樹脂部35となる。
【0046】
ここで、本発明者は、
図3~
図7に示すような第一側壁部16A及び第二側壁部16Bのそれぞれに3本のリブ18が形成された口栓10を作製した。そして、溶着部13にシールバー9を押し付けることで溶着部13を加熱し、溶着部13の第二方向D2における厚さと、第一側壁部16Aに形成された3本のリブ18の内の真ん中のリブ18の高さと、第二側壁部16Bに形成された3本のリブ18の内の真ん中のリブ18の高さと、を計測した。溶着部13の加熱では、トタニ技研工業株式会社製の溶着機を用いて、シールバー9の加熱温度を135℃から5℃単位で変化させ、時間0.9sec、圧力0.35Mpaの条件で、溶着部13にシールバー9を押し付けた。溶着部13の厚さ及びリブ18の高さは、光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製、KH8700)の測長機能により計測した。
【0047】
計測結果を
図11~
図13に示す。
図11は、加熱温度とリブの高さとの関係の例を示す表である。
図12は、加熱温度とリブの平均高さとの関係の例を示すグラフである。
図11及び
図12では、計測した二つのリブ18の高さの内、高い方の値を最大高さとし、低い方の値を最小高さとした。また、計測した二つのリブ18の高さの平均を平均高さとし、計測した二つのリブ18の標準偏差をσとした。
図13は、加熱温度毎の溶着部の厚さとリブの合計高さとの関係の例を示す表である。なお、ヒートシールには、第一側壁部16Aに形成されたリブ18と第二側壁部16Bに形成されたリブ18の両方の高さが影響することから、
図13では、計測した二つのリブ18の高さを加算した値、つまり、第一側壁部16Aに形成されたリブ18の高さと第二側壁部16Bに形成されたリブ18の高さとの合計値を、リブの合計高さとした。
【0048】
図11及び
図12に示すように、加熱温度が160℃を超えると、リブ18の高さの変化が飽和した状態になることが分かった。また、リブ18の平均高さは、溶着部13にシールバー9を押し付ける前の初期状態から加熱温度が170℃となるまでに、0.32mmから0.09mmまで低くなった。この0.09mmに、加熱温度が170℃での3σである0.03を減算すると、0.06mmとなる。この結果から、初期状態から溶着部13の加熱温度が170℃となるまでに、溶融後のリブ18の高さは、溶融前のリブ18の高さの1/6程度以上に留まることが分かった。
【0049】
また、
図13に示すように、初期状態から加熱温度が165℃となるまでの、溶着部13の第二方向D2における厚さの変化とリブ18の平均高さの変化とは、0.36mm及び0.39mmと略同等であった。このため、溶着部13の加熱温度が160℃を超えて、リブ18の高さの変化が飽和した状態になるまで、溶着部13の溶融は、殆どリブ18の溶融によるものと考えられる。
【0050】
このため、下記の式(1)に示すように、リブ18の断面積Sの半分であるS/2が、溶融した後のリブ18の高さである1/6×Bと、溶着部下端13aから下端リブ位置18aまでの長さFと、を掛け合わせた値以下であれば、溶融樹脂13bが溶着部下端13aに到達するのを抑制することができると考えられる。
S/2≦1/6×B×F ・・・(1)
式(1)を変形させると、下記の式(2)となる。
F≧3×S/B ・・・(2)
【0051】
そこで、本実施形態に係る口栓10は、F≧3×S/Bの関係を満たすものとなっている。つまり、溶着部下端13aから下端リブ位置18aまでの長さFは、リブ18の断面積Sをリブ18の高さBで割った値の三倍以下となっている。複数のリブ18の高さが互いに異なる場合、リブ18の高さBは、複数のリブ18のそれぞれの高さの平均値、又は、最も溶着部下端13aに近いリブ18の高さとすることができる。リブ18の高さBを最も溶着部下端13aに近いリブ18の高さとすることで、溶着部下端13aからの溶融樹脂13bのはみ出しをより着実に制御することができる。また、複数のリブ18の断面積が互いに異なる場合、リブ18の断面積Sは、複数のリブ18のそれぞれの断面積の平均値、又は、最も溶着部下端13aに近いリブ18の断面積とすることができる。リブ18の断面積Sを最も溶着部下端13aに近いリブ18の断面積とすることで、溶着部下端13aからの溶融樹脂13bのはみ出しをより着実に制御することができる。また、リブ18の高さ又は断面積がリブ18の延在方向(長さ方向)において変化している場合、リブ18の高さB及び断面積Sは、当該延在方向における中央位置のリブ18の高さ及び断面積とすることができる。
【0052】
図14は、溶着部とシールバーとの関係の例を示す模式断面図である。
図14に示すように、溶着部下端13aから下端リブ位置18aまでの長さFが長すぎると、シールバー9を溶着部13に押し当てた際に、シールバー9の重心が溶着部下端13a側にずれてシールバー9が溶着部下端13aに当接する可能性がある。そこで、シールバー9が溶着部下端13aに当接するのを抑制する観点から、溶着部下端13aから下端リブ位置18aまでの長さFは、複数のリブ18のピッチPの二倍以下とすることが好ましい。複数のリブ18のピッチが互いに異なる場合、複数のリブ18のピッチPは、複数のリブ18のそれぞれのピッチの平均値、又は、最も溶着部下端13aに近い二つのリブ18のピッチとすることができる。複数のリブ18のピッチPを最も溶着部下端13aに近い二つのリブ18のピッチとすることで、溶着部下端13aからの溶融樹脂13bのはみ出しをより着実に制御することができる。また、複数のリブ18のピッチPがリブ18の延在方向(長さ方向)において変化している場合、当該延在方向における中央位置の複数のリブ18のピッチとすることができる。
【0053】
図15は、参考例の口栓をフィルムに溶着している状態を示す模式断面図である。
図15に示すように、参考例の口栓110を胴フィルム4に溶着するために口栓110の溶着部113を加熱すると、溶着部113が溶融してなる溶融樹脂113bが溶着部下端113aに到達し、溶融樹脂113bが溶着部下端113aから大きくはみ出した場合を考える。この場合、溶着部下端113aの近傍では、溶融樹脂113bから胴フィルム4に伝導する熱の集中により胴フィルム4が薄くなる。しかも、溶着部下端113aの近傍では、胴フィルム4が屈曲されやすいため、熱集中による胴フィルム4の薄化が促進されやすくなる。その結果、溶着部下端113aの近傍において、胴フィルム4が局部的に薄くなって、胴フィルム4の破断が生じやすくなる。
【0054】
図16は、第一実施形態に係る口栓をフィルムに溶着している状態を示す模式断面図である。
図16に示すように、第一実施形態に係る口栓10は、F≧3×S/Bの関係を満たすため、溶融樹脂13bが溶着部下端13aまで流れて行くのを抑制することができる。仮に溶融樹脂13bが溶着部下端13aまで流れて行ったとしても、溶融樹脂13bが溶着部下端13aから大きくはみ出すのを抑制することができる。これにより、溶着部下端13aの近傍において胴フィルム4が局部的に薄くなることにより胴フィルム4が破断するのを抑制することができる。なお、ポリエチレンやポリプロピレンでモノマテリアル化した胴フィルム4をパウチのフィルムとして用いても、同様の理由から、胴フィルム4が破断するのを抑制することができる。
【0055】
また、この口栓10では、複数のリブ18のそれぞれが第一方向D1と垂直な方向に延びているため、胴フィルム4に溶着部13を適切に溶着させることができる。
【0056】
また、この口栓10では、基部17が第二方向D2よりも第三方向D3に長くなっているため、基部17の第二方向D2における両側において第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bが溶着部13に溶着され、基部17の第三方向D3における両側において第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bが重ね合わされて溶着される。そして、複数のリブ18が基部17の第三方向D3における両端部に形成されていないため、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bが重ね合わされる位置において、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bが複数のリブ18により盛り上がるのを抑制することができる。これにより、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bの溶着不良を抑制することができる。
【0057】
また、この口栓10では、溶着部下端13aから下端リブ位置18aまでの長さFが複数のリブ18のピッチPの二倍以下であるため、シールバー9を溶着部13に押し当てた際に、シールバー9の重心が溶着部下端13a側にずれてシールバー9が溶着部下端13aに当接するのを抑制することができる。これにより、溶着不良が発生するのを抑制することができる。また、溶着部13が長くなり過ぎるのを抑制することができるため、口栓10をコンパクトにして樹脂量が増大するのを抑制することができる。
【0058】
また、この口栓10では、口栓10がポリオレフィンからなるため、リサイクルしやすい。
【0059】
また、この口栓10では、メルトフローレートが1.0g/10min以上30g/10min以下、又は1.0g/10min以上10g/10min以下であるため、溶融後に適度に流れやすい。これにより、溶着面積が広くなり胴フィルム4との固定強度が十分高くなる。一方で、溶着部下端13aからのはみ出しが生じにくくなるため、より厳密に溶着部下端13aからのはみ出しを抑制することができる。
【0060】
本実施形態に係る口栓付きパウチ1では、溶着部33が溶融して胴フィルム4に溶着されてなる溶融樹脂部35が溶着部下端33aに達していない。このため、口栓付きパウチ1の製造時に、溶着部下端33aの近傍において胴フィルム4が局部的に薄くなるのを抑制することができる。これにより、胴フィルム4が破断するのを抑制することができる。
【0061】
また、この口栓付きパウチ1では、胴フィルム4のシーラント層8がポリエチレンを含み、口栓3がポリオレフィンを含むため、包装容器全体としてポリオレフィンを主材料とすることができる。このため、リサイクルしやすい。
【0062】
また、この口栓付きパウチ1では、口栓3がポリエチレンを含むため、特にリサイクルしやすい。
【0063】
[第二実施形態]
(口栓付きパウチ)
第二実施形態に係る口栓付きパウチは、基本的に第一実施形態に係る口栓付きパウチと同様であり、口栓の溶着部に溝が形成されているとともに、この溝に溶融樹脂部の一部が入っている点のみ、第一実施形態に係る口栓付きパウチと相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態に係る口栓付きパウチと相違する事項のみ説明し、第一実施形態に係る口栓付きパウチと同様の事項の説明を省略する。
【0064】
図17は、第二実施形態に係る口栓付きパウチを示す正面図である。
図18は、
図17に示すXVIII-XVIII線における模式断面図である。
図17及び
図18に示すように、第二実施形態に係る口栓付きパウチは1α、パウチ本体2と、第一実施形態に係る口栓3に対応する口栓3αと、を備える。口栓3αは、パウチ本体2に収容された内容物を流通させるための流路31と、パウチ本体2の外側に配置されて流路31の一部を形成する注出部32と、胴フィルム4に溶着されて流路31の他の一部を形成する溶着部33αと、注出部32と溶着部33αとの間に位置するフランジ部34と、を有する。溶着部33αは、溶融してフィルムに溶着されてなる溶融樹脂部35αと、表面に形成された溝39と、を有する、溶融樹脂部35αは、溶着部33αの注出部32とは反対側の先端である溶着部下端33aαに達しておらず、その一部が溝39に入っている。なお、口栓3αの詳細については、後述する。
【0065】
(口栓)
次に、第二実施形態に係る口栓について説明する。第二実施形態に係る口栓は、基本的に第一実施形態に係る口栓と同様であるが、溶着部の基部に溝が形成されている点のみ、第一実施形態に係る口栓と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態に係る口栓と相違する事項のみ説明し、第一実施形態に係る口栓と同様の事項の説明を省略する。
【0066】
図19は、第二実施形態に係る口栓を示す斜視図である。
図20は、第二実施形態に係る口栓を示す正面図である。
図21は、第二実施形態に係る口栓を示す側面図である。
図22は、第二実施形態に係る口栓を示す底面図である。
図23は、
図20に示すXXIII-XXIII線における断面図である。
図19~
図23に示すように、第二実施形態に係る口栓10αは、流路11と、注出部12と、溶着部13αと、フランジ部14と、を備える。
【0067】
溶着部13αは、第一実施形態の基部17に対応する基部17αと、複数のリブ18と、を有する。基部17αは、第一実施形態の基部17と同様に、平坦な表面を有している。基部17αには、溝19が形成されている。基部17αは、溝19が形成されている点のみ、第一実施形態の基部17と相違する。
【0068】
溝19は、溶着部13αの注出部12とは反対側の先端である溶着部下端13aαから複数のリブ18まで間、複数のリブ18の間、及び複数のリブ18からフランジ部14までの間の少なくとも一つに形成されている。本実施形態では、溝19は、複数のリブ18の間、及び複数のリブ18からフランジ部14までの間に形成されており、溶着部下端13aαから複数のリブ18まで間に形成されてない。なお、複数のリブ18の数が3本以上である場合、溝19は、第一方向D1において隣り合う一部の二つのリブ18の間に形成されていてもよいが、本実施形態では、溝19は、第一方向D1において隣り合う全ての二つのリブ18の間に形成されている。
【0069】
溝19は、リブ18と同様に、第一方向D1と垂直な方向に延びており、基部17の第三方向D3における両端部には形成されていない。なお、溝19は、リブ18と同様に、基部17の第三方向D3における一方側の先端の近傍から他方側の先端の近傍まで延びていてもよいが、本実施形態では、基部17の第三方向D3における一方側の先端の近傍から他方側の先端の近傍まで、複数に分割されて延びている。
【0070】
図24は、シールバーを溶着部に押し付けている状態を示す断面図である。
図25は、溶着部が溶融していく状態を示す模式断面図である。
図24に示すように、口栓10αを胴フィルム4に溶着する際は、第一胴フィルム4Aと第二胴フィルム4Bとの間に口栓10αの溶着部13αを配置し、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bを介して加熱したシールバー9を溶着部13αに押し付けることにより行う。すると、溶着部13αの一部が溶融して溶融樹脂13bαとなる。このとき、口栓10αでは、基部17αから複数のリブ18が突出しているため、シールバー9は、基部17αよりも先に複数のリブ18に押し付けられる。このため、第一胴フィルム4A及び第二胴フィルム4Bを介して加熱したシールバー9を溶着部13αに押し付けると、基部17αよりも先に複数のリブ18が溶融する。そして、
図26に示すように、主に複数のリブ18が溶融してなる溶融樹脂13bαが、基部17αの表面に沿って流れて行く。
【0071】
このとき、口栓10αは、第一実施形態の口栓10と同様に、F≧3×S/Bの関係を満たすものとなっているため、基部17αの表面を溶着部下端13aα側に流れて行った溶融樹脂13bαが溶着部下端13aαに到達するのを抑制することができる。一方、溶着部下端13aαとは反対側に流れて行った溶融樹脂13bαの一部は、基部17αから溝19に入り込む。このため、溶着部下端13aαとは反対側に流れて行った溶融樹脂13bαの一部が、溶着部下端13aα側に押し戻されるのを抑制することができるため、溶着部下端13aα側に流れて行った溶融樹脂13bαが溶着部下端13aαに到達するのを更に抑制することができる。
【0072】
その後、溶融樹脂13bαの硬化により溶着部13αが胴フィルム4に溶着されることで、第二実施形態に係る口栓付きパウチ1αとなる。このため、口栓10αの流路11、注出部12、溶着部13α、及びフランジ部14が、口栓付きパウチ1αの流路31、注出部32、溶着部33α、及びフランジ部34となる。また、溶融樹脂13bαの硬化物が、口栓付きパウチ1αの溶融樹脂部35αとなる。更に、口栓10αの溶着部13αに形成された溝19、及び溝19に入り込んだ溶融樹脂13bαの硬化物が、口栓付きパウチ1αの溝39、及び溶融樹脂部35αとなる。
【0073】
このように、本実施形態に係る口栓10αでは、基部17αに溝19が形成されているため、溶着部13αが溶融してなる溶融樹脂13bαを溝19に入れることができる。これにより、溶融樹脂13bαが溶着部下端13aαまで流れて行くのを更に抑制することができる。
【0074】
また、この口栓10αでは、溝19が、溶着部下端13aαから複数のリブ18までの間、複数のリブ18の間、及び複数のリブ18からフランジ部14までの間の少なくとも一つに形成されているため、溶融樹脂13bαが溶着部下端13aαまで流れて行くのを更に抑制することができる。
【0075】
また、この口栓10αでは、溝19が、溶着部下端13aαから複数のリブ18までの間に形成されていないため、溶着部下端13aαの近傍において胴フィルム4に溶着部13αを適切に溶着することができる。
【0076】
ここで、溝19の延在方向(リブ18の延在方向)と直交する方向における溝19の断面積を断面積Mという。溝19が側壁部16の第三方向D3における中央に位置している場合、溝19の断面積Mは、側壁部16の第三方向D3における中央の溝19の断面積とすることができる。一方、溝19が第三方向D3における中央に位置していない場合、溝19の断面積Mは、溝19の、第三方向D3における側壁部16の中央から最も近い端面の断面積とすることができる。溝19の断面積Mは、特に限定されるものではないが、加熱したシールバーを溶着部13αに押し付けた際に、主に複数のリブ18が溶融してなる溶融樹脂13bαが溝19から溢れ出すのを抑制する観点から、溝19の断面積Mは、リブ18の断面積S以上とすることが好ましい。リブ18の断面積及び溝19の断面積がリブ18及び溝19の延在方向(長さ方向)において変化している場合、当該延在方向におけるリブ18の断面積及び溝19の断面積の平均値をリブ18の断面積S及び溝19の断面積Mとして、溝19の断面積Mがリブ18の断面積S以上となる関係を満たすものとすることができる。このように、この口栓10αでは、溝19の断面積Mがリブ18の断面積S以上であるため、溶融樹脂13bαが溝19から溢れ出すのを抑制することができる。
【0077】
本実施形態に係る口栓付きパウチ1αでは、溶着部33αが表面に溝39を有するため、口栓付きパウチ1αの製造時に、溶融樹脂の少なくとも一部が溝39に入ることで、溶融樹脂が溶着部下端33aαまで流れて行くのが抑制されたものとすることができるとともに、溶融樹脂が溶着部33αの表面に大きく盛り上がることが抑制されたものとすることができる。これにより、胴フィルム4が破断するのを抑制することができる。
【0078】
また、この口栓付きパウチ1αでは、溶融樹脂部35αの一部が溝39に入っているため、口栓付きパウチ1αの製造時に、溶融樹脂の一部が溝39に入ることで、溶融樹脂が溶着部下端33aαまで流れて行くのが抑制されたものとすることができるとともに、溶融樹脂が溶着部33αの表面に大きく盛り上がることが抑制されたものとすることができる。これにより、胴フィルム4が破断するのを抑制することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【実施例0080】
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
(積層シートの作製)
厚みが35μmの高密度ポリエチレン(HS31、タマポリ株式会社製、密度:0.948g/cm3)を最外層としs、厚みが32μmの高密度ポリエチレン(GAP、Charter NEX製、密度:0.950g/cm3)を中間層(基材層)とし、厚みが120μmの低密度ポリエチレン(TTM100、タマポリ株式会社製、密度:0.916g/cm3)を最内層(シーラント層)とした積層フィルムを作製した。
【0082】
(実施例1)
高密度ポリエチレン(HJ451、日本ポリエチレン株式会社製、密度:0.955g/cm
3、MFR:2.3g/10min)を射出成型して、
図19~
図23に示すような実施例1の口栓を作製した。実施例1の口栓では、溶着部の第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれの基部に3本のリブを形成した。また、この口栓では、3本のリブの間、及び3本のリブからフランジ部までの間に、溝を形成した。リブの高さBは0.3mm、リブの断面積Sは0.13mm
2、溶着部下端から下端リブ位置までの長さFは2.0mm、3本のリブのピッチは2.0mm、溝の断面積Mは0.2~1.42mm
2であった。このため、実施例1の口栓は、F≧3×S/Bの関係を満たすものであった。
【0083】
実施例1の口栓を一対の積層フィルムの間に配置し、トタニ技研工業株式会社製の溶着機を用いたヒートシールにより、一対の積層フィルムに口栓を溶着した。この溶着では、実験1として、155℃のプレヒートを行ってから155℃の一次シール及び二次シールを行い、実験2として、155℃のプレヒートを行ってから175℃の一次シール及び二次シールを行った。一次シール及び二次シールでは、シール時間を0.9sec、各シールのシール圧力を0.35Mpaとした。一対の積層フィルムに口栓を溶着した後、口栓をカミソリ刃で切断し、切断面を光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製、KH8700)により観察して、溶着部下端からの溶融樹脂部のはみ出しについて評価した。この評価では、溶着部下端から溶融樹脂部がはみ出していない場合をA、溶着部下端から溶融樹脂部が少しはみ出している場合をB、溶着部下端から溶融樹脂部が大きくはみ出している場合をCとした。評価結果を
図26に示す。
【0084】
(実施例2)
高密度ポリエチレン(HJ451、日本ポリエチレン株式会社製、密度:0.955g/cm
3、MFR:2.3g/10min)を射出成型して、
図3~
図7に示すような実施例2の口栓を作製した。実施例2の口栓では、溶着部の第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれの基部に3本のリブを形成した。リブの高さBは0.27mm、リブの断面積Sは0.13mm
2、溶着部下端から下端リブ位置までの長さFは2.07mm、3本のリブのピッチは2.00mmであった。このため、実施例2の口栓は、F≧3×S/Bの関係を満たすものであった。
【0085】
実施例2の口栓を一対の積層フィルムの間に配置し、トタニ技研工業株式会社製の溶着機を用いたヒートシールにより、一対の積層フィルムに口栓を溶着した。この溶着では、155℃のプレヒートを行ってから155℃の一次シール及び二次シールを行った。一次シール及び二次シールでは、シール時間を0.9sec、各シールのシール圧力を0.35Mpaとした。一対の積層フィルムに口栓を溶着した後、口栓をカミソリ刃で切断し、切断面を光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製、KH8700)により観察して、溶着部下端からの溶融樹脂部のはみ出しについて評価した。評価基準は、実施例1と同様とした。評価結果を
図26に示す。
【0086】
(比較例1)
比較例1として、市販の口栓を用意した。比較例1の口栓では、溶着部の第一側壁部及び第二側壁部のそれぞれに3本のリブが形成されていた。リブの高さBは4.78mm、リブの断面積Sは3.30mm2、溶着部下端から下端リブ位置までの長さFは0mmであり、3本のリブのピッチは2.44mmであった。つまり、最も溶着部下端に近いリブは、溶着部下端に形成されていた。このため、比較例2の口栓は、F≧3×S/Bの関係を満たさないものであった。
【0087】
比較例1の口栓を一対の積層フィルムの間に配置し、トタニ技研工業株式会社製の溶着機を用いたヒートシールにより、一対の積層フィルムに口栓を溶着した。このとき、155℃のプレヒートでは一対の積層フィルムに口栓が溶着されなかった。このため、この溶着では、実験1として、265℃のプレヒートを行ってから132℃の一次シール及び二次シールを行い、実験2として、265℃のプレヒートを行ってから135℃の一次シール及び二次シールを行った。一次シール及び二次シールでは、シール時間を0.9sec、各シールのシール圧力を0.35Mpaとした。一対の積層フィルムに口栓を溶着した後、口栓をカミソリ刃で切断し、切断面を光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製、KH8700)により観察して、溶着部下端からの溶融樹脂部のはみ出しについて評価した。評価基準は、実施例1と同様とした。評価結果を
図26に示す。
【0088】
図26に示すように、F≧3×S/Bの関係を満たさない比較例1は、評価がCであったのに対し、F≧3×S/Bの関係を満たす実施例1及び実施例2は、評価がA又はBであった。この結果から、F≧3×S/Bの関係を満たすことで、フィルムが破断するのを抑制することができると推察される。
【0089】
実施例1及び実施例2の口栓のそれぞれを、トタニ技研工業株式会社製の溶着機により加熱して、口栓の溶着部を溶融させた。この溶融では、加熱したシールバーを口栓の溶着部に押し付けることにより行った。そして、シールバーの温度を変更するとともに、シール時間を0.9sec、各シールのシール圧力を0.35Mpaとして、溶着部の表面の状態を光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製、KH8700)により観察した。また、溶着部の正面方向(第二方向D2)及び側面方向(第三方向D3)から溶着部の表面を撮像した。溶着部の正面方向(第二方向D2)から撮像した溶着部の表面の撮像写真を
図27に示し、溶着部の側面方向(第三方向D3)から撮像した溶着部の表面の撮像写真を
図28に示す。
【0090】
図27及び
図28に示すように、溶着部の基部に溝が形成されていない実施例2では、加熱されることで複数のリブが溶融して流れ出し、170℃まで加熱されると溶着部の溶融樹脂が溶着部下端から僅かにはみ出した。一方、溶着部の基部に溝が形成されている実施例1では、加熱されることで複数のリブが溶融して流れ出すが、170℃まで加熱されても溶着部の溶融樹脂が溶着部下端に到達しなかった。この結果から、溶着部に溝が形成されている場合は、溶融樹脂が溝に入り込むことで、溶融樹脂が溶着部下端に到達しなかったものと推察される。
【0091】
実施例1の口栓を、一対の積層フィルムの間に配置し、トタニ技研工業株式会社製の溶着機を用いたヒートシールにより、一対の積層フィルムに口栓を溶着した。この溶着では、155℃のプレヒートと、175℃の一次シール及び二次シールと、を行った。一次シール及び二次シールでは、シール時間を0.9sec、各シールのシール圧力を0.35Mpaとした。一対の積層フィルムに口栓を溶着した後、口栓をカミソリ刃で切断し、
図29に示すXXX部分及びXXXI部分の切断面を光学顕微鏡(株式会社ハイロックス製、KH8700)により撮像した。XXX部分の切断面の撮像写真を
図30に示し、XXXI部分の切断面の撮像写真を
図31に示す。
図30及び
図31では、口栓の溶着部とフィルムとの境界を破線で示している。
【0092】
図30及び
図31に示すように、実施例1では、溶着部が溶融した溶融樹脂が溝に入り込んでおり(
図30参照)、溶着部の溶融樹脂が溶着部下端からはみ出していなかった(
図31参照)。なお、
図31において、溶着部下端からはみ出しているのは、フィルムのシーラント層の溶融樹脂である。このような結果から、溶着部に溝が形成されている場合は、溶着部の溶融樹脂が溝に入り込むことで、溶着部の溶融樹脂が溶着部下端に到達しなかったことが確認された。
1,1α…口栓付きパウチ、2…パウチ本体、3,3α…口栓、4…胴フィルム、4A…第一胴フィルム、4B…第二胴フィルム、5…折込フィルム、6…収容領域、7…基材層、8…シーラント層、9…シールバー、10,10α…口栓、11…流路、12…注出部、12a…ねじ部、13,13α…溶着部、13a,13aα…溶着部下端、13b,13bα…溶融樹脂、14…フランジ部、16…側壁部、16A…第一側壁部、16B…第二側壁部、17,17α…基部、18…リブ、18a…下端リブ位置、19…溝、31…流路、32…注出部、33,33α…溶着部、33a,33aα…溶着部下端、34…フランジ部、35,35α…溶融樹脂部、39…溝、110…口栓、113…溶着部、113a…溶着部下端、113b…溶融樹脂。