(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072049
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】グレビティヒンジ及び扉構造
(51)【国際特許分類】
E05F 1/06 20060101AFI20240520BHJP
E05D 11/10 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
E05F1/06 B
E05D11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182639
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】小貝澤 和幸
【テーマコード(参考)】
2E032
【Fターム(参考)】
2E032BA03
2E032CA01
2E032EB03
2E032EC03
(57)【要約】
【課題】 扉のスムーズな取り外しを可能にするグレビティヒンジと当該グレビティヒンジを用いた扉構造を提供する。
【解決手段】 本発明のグレビティヒンジは、開口の周縁に固定されるベース側部材と、開口を開閉する扉に固定される扉側部材と、ベース側部材と扉側部材の双方に挿入される軸部材を備え、軸部材が、扉側部材とベース側部材のうち、鉛直方向上側に位置する部材に固定され、扉側部材又はベース側部材に固定された軸部材の一部が、鉛直方向下方に突出しているものである。本発明の扉構造は、本発明のグレビティヒンジを用いた扉構造であって、グレビティヒンジの扉側部材が取り付けられた扉を持ち上げると、扉及び扉に取り付けられた扉側部材と共に軸部材が持ち上げられるように構成されたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の周縁に固定されるベース側部材と、当該開口を開閉する扉に固定される扉側部材と、ベース側部材と扉側部材の双方に挿入される軸部材を備えたグレビティヒンジにおいて、
前記軸部材が、前記扉側部材と前記ベース側部材のうち、鉛直方向上側に位置する部材に固定され、
前記扉側部材又は前記ベース側部材に固定された軸部材の一部が、鉛直方向下方に突出している、
ことを特徴とするグレビティヒンジ。
【請求項2】
請求項1記載のグレビティヒンジにおいて、
扉側部材は、筒状部を備えた扉側基体と当該筒状部に圧入される扉側カム部材を備え、
前記扉側基体は扉側収容部を備え、
前記扉側カム部材は挿入穴を備え、
前記扉側収容部に前記扉側カム部材が圧入され、
前記挿入穴に軸部材が圧入された、
ことを特徴とするグレビティヒンジ。
【請求項3】
請求項2記載のグレビティヒンジにおいて、
扉側カム部材の挿入穴の内面に、当該挿入穴内に収容された軸部材の外周に当接する内面突設部が設けられた、
ことを特徴とするグレビティヒンジ。
【請求項4】
グレビティヒンジを用いた扉の構造において、
前記グレビティヒンジは請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のグレビティヒンジであり、
前記グレビティヒンジの扉側部材が取り付けられた扉を持ち上げると、当該扉及び当該扉に取り付けられた扉側部材と共に軸部材が持ち上げられる、
ことを特徴とする扉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレビティヒンジと当該グレビティヒンジを用いた扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉を保持するヒンジとして、グレビティヒンジが用いられている(特許文献1及び2)。
図7に示すグレビティヒンジは、扉枠Y(
図1参照)に固定されるベース側部材A、扉Xに固定される扉側部材B、ベース側部材Aと扉側部材Bの双方に差し込まれる軸部材C、扉Xを保持する扉保持部材Dを備えている。ベース側部材Aにはベース側カム部材Eが、扉側部材Bには扉側カム部材Fが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-046252号公報
【特許文献2】特開2020-029647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の扉Xは、扉Xを上方に持ち上げて扉側カム部材Fを軸部材Cから抜くことによって、取り外せるように構成されている。
【0005】
ところが、従来のグレビティヒンジでは、軸部材Cがベース側カム部材Eに挿入されているだけで固定されていないため、鉛直方向に対して傾いた状態で扉Xを持ち上げると、軸部材Cが扉側カム部材Fの内面に接触して扉Xと共に途中まで持ち上がり、扉Xをスムーズに取り外せないことがあった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、扉のスムーズな取り外しを可能にするグレビティヒンジと、当該グレビティヒンジを用いた扉構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[グレビティヒンジ]
本発明のグレビティヒンジは、開口の周縁に固定されるベース側部材と、開口を開閉する扉に固定される扉側部材と、ベース側部材と扉側部材の双方に挿入される軸部材を備え、軸部材が、扉側部材とベース側部材のうち、鉛直方向上側に位置する部材に固定され、扉側部材又はベース側部材に固定された軸部材の一部が、鉛直方向下方に突出しているものである。
【0008】
[扉構造]
本発明の扉構造は、本発明のグレビティヒンジを用いた扉構造であって、グレビティヒンジの扉側部材が取り付けられた扉を持ち上げると、扉及び扉に取り付けられた扉側部材と共に軸部材が持ち上げられるように構成されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のグレビティヒンジでは、軸部材が扉側部材とベース側部材のうち鉛直方向上側に位置する部材に固定され、扉を持ち上げたときに軸部材が扉と共に持ち上がるため、扉をスムーズに取り外すことができる。本発明のグレビティヒンジを用いた本発明の扉構造についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のグレビティヒンジの使用例を示す正面図。
【
図2】本発明のグレビティヒンジの一例を示す分解斜視図。
【
図3】(a)はベース側カム部材の右上方斜視図、(b)はベース側カム部材の左上方斜視図。
【
図4】(a)は扉側収容部に扉側カム部材及び軸部材が装備された状態の斜視図、(b)は(a)の透過説明図。
【
図5】(a)は扉側カム部材の右下方斜視図、(b)は扉側カム部材の左下方斜視図、(c)は(a)の扉側カム部材の斜視断面図、(d)は(c)の側断側から見た場合の正面図。
【
図6】(a)は扉側カム部材の底面図、(b)は(a)のB部拡大図。
【
図7】従来のグレビティヒンジの一例を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
本発明のグレビティヒンジ1の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。この実施形態のグレビティヒンジ1は、各種扉、特に、浴室等の換気が必要な個室に設置されるガラス扉を保持するのに適するものである。
図1において、1はグレビティヒンジ、Xは扉、Yは扉枠、Zは扉枠Yに設けられた戸当たりである。
【0012】
図1のグレビティヒンジ1の分解図を
図2に示す。
図2において、3は扉枠Yに固定されるベース側部材、4は扉Xに固定される扉側部材、5はベース側部材3と扉側部材4の双方に差し込まれる軸部材、6は扉Xを保持する扉保持部材である。
【0013】
図2に示すように、前記ベース側部材3は、扉枠Yに固定する基体(以下「ベース側基体」という)31とカム部材(以下「ベース側カム部材」という)32を備えている。ベース側基体31は扉枠Yに固定する縦長平板状の固定部31aと、当該固定部31aの下半分に設けられた筒状部31bを備えている。
【0014】
固定部31aには、複数個(図示する例では三個)のビス穴31cが設けられている。ベース側基体31は当該ビス穴31cに差し込んだビス31dで扉枠Yに固定される。筒状部31bには上面開口部31fを備えたベース側収容部31eが設けられ、当該ベース側収容部31eにベース側カム部材32が圧入されている。
【0015】
図3(a)(b)に示すように、この実施形態のベース側カム部材32は、ベース側収容部31eに収まる圧入部32aと圧入部32aの上方に設けられた大径部32bと大径部32bの上方に設けられた鍔部32cと鍔部32cより上側に突出するカム部32dを備えている。圧入部32aは軸部材5を挿入するための有底の挿入穴32eを備えた筒状であり、その外周には縦長の外周リブ32fが四本設けられている。
【0016】
この実施形態のカム部32dの上面には、四つの傾斜面(第一傾斜面33、第二傾斜面34、第三傾斜面35及び第四傾斜面36)及び二つの平坦部(以下、それぞれの平坦部を「第一平坦部37a」「第二平坦部37b」という)が設けられている。この実施形態では、第一傾斜面33と第二傾斜面34で第一山部が、第三傾斜面35と第四傾斜面36で第二山部が形成されている。
【0017】
第一傾斜面33と第二傾斜面34の間には第一山部の第一頂部T1が、第三傾斜面35と第四傾斜面36の間には第二山部の第二頂部T2が形成され、第四傾斜面36と第一傾斜面33の間には第一平坦部37a(第一底部B1)が、第二傾斜面34と第三傾斜面35の間には第二平坦部37b(第二底部B2)が形成されている。
【0018】
前記傾斜面33~36の夫々は、谷側傾斜部33a、34a、35a、36a、つなぎ部33f、34f、35f、36f、及び山側傾斜部33c、34c、35c、36cを備えている。
【0019】
この実施形態では、谷側傾斜部33a、34a、35a、36aの勾配を、山側傾斜部33c、34c、35c、36cよりも急にしてある。具体的には、谷側傾斜部33a、34a、35a、36aの勾配を60度程度、山側傾斜部33c、34c、35c、36cの勾配を22度程度としてある。この実施形態では、谷側傾斜部33a、34a、35a、36aが急勾配部に当たる。
【0020】
この実施形態では、つなぎ部33f、34f、35f、36fを、それぞれの傾斜面33~36の山側傾斜部33c、34c、35c、36c寄りの位置に設けてあるが、つなぎ部33f、34f、35f、36fは、図示した位置と異なる位置に設けることもできる。
【0021】
なお、前記各傾斜部の角度は一例であり、これ以外の角度とすることができる。例えば、緩勾配部(この実施形態では、山側傾斜部33c、34c、35c、36c)の勾配は15度~45度の任意角度とすることができ、急勾配部(この実施形態では、谷側傾斜部33a、34a、35a、36a)は前記緩勾配部よりも急な勾配であることを前提に45度~75度の任意角度とすることができる。
【0022】
各傾斜部の勾配は、扉のせり上がり幅に配慮して設定する必要がある。例えば、せり上がり幅の上限が5mm以下に設定されている場合には、扉が5mmを超えて上下動することがないように各傾斜部の勾配を設定し、せり上がり幅の上限が8mm以下に設定されている場合には、扉が8mmを超えて上下動することがないように各傾斜部の勾配を設定する。いずれの場合も、扉側カム部材42のカム部42cの形状(各傾斜面の勾配)に適合する形状となるように配慮する。
【0023】
前記第一平坦部37aは、第一傾斜面33の谷側傾斜部33aと第四傾斜面36の谷側傾斜部36aの間に形成された面状部分である。前記第二平坦部37bは、第二傾斜面34の谷側傾斜部34aと第三傾斜面35の谷側傾斜部35aの間に形成された面状部分である。
【0024】
前記扉側部材4は、
図2及び
図4(a)(b)に示すように、扉Xに取り付ける扉側基体41と当該扉側基体41の筒状部41bに圧入される扉側カム部材42を備えている。扉側基体41は扉Xに固定する縦長平板状の固定部41aと、当該固定部41aの側方に設けられた筒状部41bを備えている。
【0025】
固定部41aの裏面側には、筒状のビス受け部41cが上下方向に間隔をあけて二つ突設されている。筒状部41bには底面開口部41fを備えた扉側収容部41eが設けられ、当該扉側収容部41eに扉側カム部材42が圧入されている。
【0026】
前記扉側カム部材42は、
図5(a)(b)に示すように、扉側収容部41eに収まる圧入部42aと圧入部42aの下方に設けられた鍔部42bと鍔部42bより下側に突出するカム部42cを備えている。圧入部42aは軸部材5を挿入するための有底の挿入穴42dを備えた筒状であり、その外周には縦長の外周リブ42eが四本設けられている。
【0027】
図5(c)(d)に示すように、扉側カム部材42の挿入孔42dの内面には、扉側カム部材42の長さ方向に沿って形成された複数本の内面突設部42fが設けられている。
図5(c)(d)に示すように、この実施形態の内面突設部42fは直線状であり、周方向に等間隔をあけて平行に設けられている。
【0028】
複数本の内面突設部42fの内側の位置には、軸部材5が収まる軸収まり空間が確保されている。軸収まり空間に収まった(圧入された)軸部材5は、複数の内面突設部42fの先端と当接し、当該内面突設部42fとの摩擦力によって抜け落ちないようにしてある。
【0029】
この実施形態では、内面突設部42fの長さを扉側カム部材42の半分程度の長さとしてあるが、内面突設部42fの長さはこれより長くても短くても良い。また、突出寸法は、内側に軸収まり空間が確保され、且つ、軸収まり空間に収まった軸部材5の外周面と内面突設部42fの先端部が当接するサイズであれば、任意に設定することができる。
【0030】
なお、ここでは、直線状の内面突設部42fを複数本設ける場合を一例としているが、内面突設部42fは、軸収まり空間に収まった軸部材5が軸収まり空間から不用意に抜け落ちない形状及び構造であれば、直線状以外であっても良い。
【0031】
また、軸部材5は接着剤や接着テープ等で扉側カム部材42に固定することもできる。このほか、扉側カム部材42の挿入孔42dの内面と軸部材5の外面の間に、ゴムやラバー等の弾性材を介在させ、軸部材5が挿入孔42dから抜けないように固定することもできる。
【0032】
この実施形態の扉側カム部材42のカム部42cは、四つの傾斜面(第一傾斜面43、第二傾斜面44、第三傾斜面45及び第四傾斜面46)及び二つの平坦部(以下、それぞれの平坦部を「第一平坦部49a」「第二平坦部49b」という)が設けられている。この実施形態では、第一傾斜面43と第二傾斜面44で第一山部が、第三傾斜面45と第四傾斜面46で第二山部が形成されている。
【0033】
第一傾斜面43と第二傾斜面44の間には第一山部の第一頂部T1が、第三傾斜面45と第四傾斜面46の間には第二山部の第二頂部T2が、第四傾斜面46と第一傾斜面43の間には第一平坦部49a(第一底部B1)が、第二傾斜面44と第三傾斜面45の間には第二平坦部49b(第二底部B2)が形成されている。
【0034】
前記傾斜面43~46の夫々は、谷側傾斜部43a、44a、45a、46a、つなぎ部43d、44d、45d、46d、及び山側傾斜部43c、44c、45c、46cを備えている。
【0035】
谷側傾斜部43a、44a、45a、46aは、山側傾斜部43c、44c、45c、46cよりも勾配を急にしてある。
【0036】
具体的には、谷側傾斜部43a、44a、45a、46aの勾配を60度程度、山側傾斜部43c、44c、45c、46cの勾配を22度程度としてある。この実施形態では、谷側傾斜部43a、44a、45a、46aが急勾配部に当たる。
【0037】
この実施形態では、つなぎ部43d、44d、45d、46dを、それぞれの傾斜面43~46の谷側傾斜部43a、44a、45a、46a寄りの位置に設けてあるが、つなぎ部43d、44d、45d、46dは、図示した位置と異なる位置に設けることもできる。
【0038】
なお、前記各傾斜部の角度は一例であり、これ以外の角度とすることができる。例えば、緩勾配部(この実施形態では、山側傾斜部43c、44c、45c、46c)の勾配は15度~45度の任意角度とすることができ、急勾配部(この実施形態では、谷側傾斜部43a、44a、45a、46a)は前記緩勾配部よりも急な勾配であることを前提に45度~75度の任意角度とすることができる。
【0039】
各傾斜部の勾配は、扉のせり上がり幅に配慮して設定する必要がある。例えば、せり上がり幅の上限が5mm以下に設定されている場合には、扉が5mmを超えて上下動することがないように各傾斜部の勾配を設定し、せり上がり幅の上限が8mm以下に設定されている場合には、扉が8mmを超えて上下動することがないように各傾斜部の勾配を設定する。いずれの場合も、ベース側カム部材32のカム部32dの形状(各傾斜面の勾配)に適合する形状となるように配慮する。
【0040】
前記第一平坦部49aは、第一傾斜面43の谷側傾斜部43aと第四傾斜面46の谷側傾斜部46aの間に形成された面状部分である。前記第二平坦部49bは、第二傾斜面44の谷側傾斜部44aと第三傾斜面45の谷側傾斜部45aの間に形成された面状部分である。
【0041】
前記軸部材5は、ベース側部材3と扉側部材4の双方に挿入され、両部材の回転軸となるものである。一例として
図2に示す軸部材5は縦長の棒状部材である。軸部材5の先端部分(
図2に示す例では下端側)は先細りのテーパー状にしてある。
【0042】
軸部材5は、その長手方向の下側半分程度がベース側カム部材32の挿入穴32e内に収容され、残りの部分が扉側カム部材42の挿入穴42d内に収容される。
【0043】
軸部材5は、ベース側部材3と扉側部材4のうち、鉛直方向上側に位置する部材に固定することができる。この実施形態では、扉側部材4が鉛直方向上側に位置する部材に当たる。ベース側部材3と扉側部材4の上下が逆の場合、ベース側部材3に固定されるように構成することができる。
【0044】
前記扉保持部材6は扉側部材4の固定部41aと協働して扉Xを保持するための部材である。一例として
図2に示す扉保持部材6は、扉Xの両面に宛がわれる二枚の板状パッキン61と、ビス受け部41cの外周に被さる二つの筒状パッキン62と、扉側部材4の固定部41aと扉Xを挟んで反対側に配置される挟持片63と、固定部41a、板状パッキン61、扉X、板状パッキン61及び挟持片63を固定する二つの固定ビス64と、固定ビス64の固定時に介材させるワッシャ65と、挟持片63に被せるカバー66を備えている。
【0045】
前記板状パッキン61は固定部41aと同程度の大きさのゴム材であり、扉Xの表面及び裏面に宛がわれる部材である。板状パッキン61の形状は一例であり、これ以外であってもよい。
【0046】
板状パッキン61には、樹脂製のものやビニール製のものなどゴム製以外のものを用いることもできる。二枚の板状パッキン61には、固定ビス64が通過可能な貫通孔61aが上下方向に間隔をあけて設けられている。貫通孔61aの位置や数は、扉Xに合わせて決定すればよい。
【0047】
前記筒状パッキン62はビス受け部41cの外側に被せて、扉Xに設けられた貫通孔(図示しない)に収まる部材である。筒状パッキン62により、扉Xに設けられた貫通孔の周縁とビス受け部41cに掛る衝撃が吸収される。筒状パッキン62には樹脂製のものやビニール製のもの、ゴム製のもの等を用いることができる。
【0048】
前記挟持片63は、扉側部材4の固定部41aの反対側から扉Xに宛がって、固定部41aと協働して扉Xを挟持するものである。一例として
図2に示す挟持片63は板状パッキン61と同形状の縦長の薄板材である。挟持片63には、前記固定ビス64が通過可能な貫通孔63aが上下方向に間隔をあけて設けられている。貫通孔63aの位置や数は、扉Xに合わせて決定すればよい。
【0049】
前記カバー66は挟持片63に被せる部材である。一例として
図2に示すカバーは挟持片63の外側面及び外周面に被さる縦長の皿状である。固定ビス64での固定後、挟持片63にカバー66を被せることで、固定ビス64などを隠すことができる。
【0050】
以上の構成からなる扉保持部材6を用いる場合、
図2に示すように、扉Xの両外側に板状パッキン61を配置し、板状パッキン61の外側を固定部41a及び挟持片63で挟みこんだ状態で、挟持片63の外側から差し込まれる固定ビス64を扉側部材4のビス受け部41cにねじ込むことで、扉Xを保持することができる。
【0051】
前記実施形態の構成は一例であり、本発明のグレビティヒンジ1は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のグレビティヒンジ1は、所期の目的を達成できる範囲で、適宜構成の入替えや追加、省略等の変更を加えることができる。
【0052】
たとえば、ベース側カム部材32や扉側カム部材42の構造には、本件出願人が先に開発したグレビティヒンジ(例えば、特許文献2に記載のグレビティヒンジ)におけるベース側カム部材32や扉側カム部材42の構造を採用することができる。
【0053】
この実施形態のグレビティヒンジ1を用いて扉Xを保持する場合、その扉Xの構造は、扉側部材4が取り付けられた扉Xを持ち上げたときに、当該扉X及び当該扉Xに取り付けられた扉側部材4と共に前記軸部材5が持ち上げられる構造となる。
【0054】
より具体的には、この扉構造は、扉枠Yに固定されるベース側部材3と、扉Xに固定される扉側部材4と、ベース側部材3と扉側部材4の双方に差し込まれる軸部材5と、扉Xを保持する扉保持部材6を備え、ベース側部材3にはベース側カム部材32が、扉側部材4には扉側カム部材42が設けられている。
【0055】
この扉構造では、軸部材5の上端側が扉側カム部材42に固定されており、扉側部材4が取り付けられた扉Xを持ち上げれば、当該扉X及び扉Xに取り付けられた扉側部材4と
共に軸部材5が確実に持ち上がるため、扉Xをスムーズに取り外すことができる。
【0056】
前記実施形態の構成は一例であり、本発明の扉構造は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の扉構造は、所期の目的を達成できる範囲で、適宜構成の入替えや追加、省略等の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のグレビティヒンジ1は、浴室用の扉をはじめとする各種扉を保持するのに利用することができる。また、本発明の扉構造は、浴室用の扉の構造をはじめとする各種扉の構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 グレビティヒンジ
3 ベース側部材
31 ベース側基体
31a 固定部
31b 筒状部
31c ビス穴
31d ビス
31e ベース側収容部
31f 上面開口部
32 ベース側カム部材
32a 圧入部
32b 大径部
32c 鍔部
32d カム部
32e 挿入穴
32f 外周リブ
33 第一傾斜面
33a 谷側傾斜部
33c 山側傾斜部
33f つなぎ部
34 第二傾斜面
34a 谷側傾斜部
34c 山側傾斜部
34f つなぎ部
35 第三傾斜面
35a 谷側傾斜部
35c 山側傾斜部
35f つなぎ部
36 第四傾斜面
36a 谷側傾斜部
36c 山側傾斜部
36f つなぎ部
37a 第一平坦部
37b 第二平坦部
4 扉側部材
41 扉側基体
41a 固定部
41b 筒状部
41c ビス受け部
41e 扉側収容部
41f 底面開口部
42 扉側カム部材
42a 圧入部
42b 鍔部
42c カム部
42d 挿入穴
42e 外周リブ
42f 内面突設部
43 第一傾斜面
43a 谷側傾斜部
43c 山側傾斜部
43d つなぎ部
44 第二傾斜面
44a 谷側傾斜部
44c 山側傾斜部
44d つなぎ部
45 第三傾斜面
45a 谷側傾斜部
45c 山側傾斜部
45d つなぎ部
46 第四傾斜面
46a 谷側傾斜部
46c 山側傾斜部
46d つなぎ部
49a 第一平坦部
49b 第二平坦部
5 軸部材
6 扉保持部材
61 板状パッキン
61a 貫通孔
62 筒状パッキン
63 挟持片
63a 貫通孔
64 固定ビス
65 ワッシャ
66 カバー
A ベース側部材
B 扉側部材
C 軸部材
D 扉保持部材
E ベース側カム部材
F 扉側カム部材
B1 第一底部
B2 第二底部
T1 第一頂部
T2 第二頂部
X 扉
Y 扉枠
Z 戸当たり