(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072058
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、加工装置およびネットワーク接続方法
(51)【国際特許分類】
H04L 65/1066 20220101AFI20240520BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240520BHJP
H04L 61/5014 20220101ALI20240520BHJP
【FI】
H04L65/1066
B41J29/38 401
H04L61/5014
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182654
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】下嶋 健太
(72)【発明者】
【氏名】楊 将貴
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 昌和
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS06
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HN04
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】ネットワークに接続することに要する時間を短縮する。
【解決手段】情報処理装置60は、前回にネットワークNW1に接続したときに設定された前回IPアドレス121を含む前回ネットワーク情報120が記憶された記憶部61と、前回にネットワークNW1に接続された第1の時刻T1から、第1の動作M1でネットワークNW1の接続が開始される第2の時刻T2までの間に、第2の動作M2でネットワークNW1が切断されたか否かを判定する切断判定部64と、第2の動作M2でネットワークNW1が切断されていないと判定されたとき、前回ネットワーク情報120を設定する第1設定部65と、第2の動作M2でネットワークNW1が切断されたと判定されたとき、IPアドレス割当装置90から新ネットワーク情報110を取得し、新ネットワーク情報110を設定する第2設定部66とを備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な情報処理装置であって、
前回にネットワークに接続したときに設定された前回IPアドレスを少なくとも含む前回ネットワーク情報が記憶された記憶部と、
前回にネットワークに接続された第1の時刻から、所定の第1の動作でネットワークの接続が開始される第2の時刻までの間に、所定の第2の動作でネットワークが切断されたか否かを判定する切断判定部と、
前記切断判定部によって、前記第2の動作でネットワークが切断されていないと判定されたとき、前記前回ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する第1設定部と、
前記切断判定部によって、前記第2の動作でネットワークが切断されたと判定されたとき、IPアドレス割当装置から、新IPアドレスを少なくとも含む新ネットワーク情報を取得し、前記新ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する第2設定部と、
を備えた、情報処理装置。
【請求項2】
前記切断判定部によって、前記第2の動作でネットワークが切断されていないと判定されたとき、前記前回IPアドレスが、同一ネットワーク内の他のIPアドレスと重複しているか否かを判定する重複判定部を備えた、請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記第1設定部は、前記重複判定部によって前記前回IPアドレスが前記他のIPアドレスと重複していないと判定されたとき、前記前回ネットワーク情報を設定してネットワークに接続し、
前記第2設定部は、前記重複判定部によって前記前回IPアドレスが前記他のIPアドレスと重複している判定されたとき、前記IPアドレス割当装置から前記新ネットワーク情報を取得し、前記新ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する、請求項2に記載された情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部には、固定IPアドレスを少なくとも含む固定ネットワーク情報が記憶され、
前記IPアドレス割当装置から割り当てられたネットワーク情報を使用することを許可する許可フラグがONかOFFかを判定する判定部と、
前記判定部によって前記許可フラグがOFFであると判定されたとき、前記固定ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する第3設定部と、
を備え、
前記切断判定部は、前記判定部によって前記許可フラグがONであると判定されたとき、前記第1の時刻から前記第2の時刻までの間に、前記第2の動作でネットワークが切断されたか否かを判定する、請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項5】
LANケーブルが接続される差込口を備え、
前記第2の動作は、前記LANケーブルを前記差込口に抜き差しする動作のことである、請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の動作は、前記情報処理装置を操作可能な状態にする動作のことである、請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項7】
被加工物に対して加工する加工部と、
請求項1から6までの何れか1つに記載された情報処理装置と、
を備えた、加工装置。
【請求項8】
前記加工部は、前記被加工物に対してインクを吐出することで加工するインクヘッドである、請求項7に記載された加工装置。
【請求項9】
前回にネットワークに接続された第1の時刻から、所定の第1の動作でネットワークの接続が開始される第2の時刻までの間に、所定の第2の動作でネットワークが切断されたか否かを判定する切断判定工程と、
前記切断判定工程において、前記第2の動作でネットワークが切断されていないと判定したとき、前回にネットワークに接続したときに設定された前回IPアドレスを少なくとも含む前回ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する第1設定工程と、
前記切断判定工程において、前記第2の動作でネットワークが切断されたと判定されたとき、IPアドレス割当装置から、新IPアドレスを少なくとも含む新ネットワーク情報を取得し、前記新ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する第2設定工程と、
を包含する、ネットワーク接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、加工装置およびネットワーク接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、DHCPサーバによりIPアドレスを取得する情報処理装置を備えた複合機が開示されている。この情報処理装置は、DHCPサーバに接続されており、DHCPサーバから動的にIPアドレスが割り当てられている。例えばDHCPサーバからIPアドレスの取得が失敗したとき、前回取得したIPアドレスを解放する設定が行われていなければ、前回取得したIPアドレスの使用を継続する。このことによって、DHCPサーバの動作が不安定で、DHCPサーバからIPアドレスの取得が失敗した場合であっても、ネットワークに接続することができる。
【0003】
例えば特許文献2には、DHCPサーバによりIPアドレスを取得する情報処理装置を備えたプリンタが開示されている。この情報処理装置では、DHCPサーバから動的に割り当てられたIPアドレスを用いてネットワークに接続する。その後、ユーザによって設定された固定IPアドレスが、他の情報処理装置に設定されているIPアドレスと重複しているか否かを判定する。ここで、固定IPアドレスが重複しない場合には、DHCPサーバから取得したIPアドレスによるネットワークの接続を中断し、固定IPアドレスを用いてネットワークに再接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-023048号公報
【特許文献2】特開2006-295532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に開示された情報処理装置のように、DHCPサーバから動的にIPアドレスを取得して、ネットワークに接続する場合、DHCPサーバからIPアドレスを取得するための時間を要するため、ネットワークに接続するために要する時間が長くなっていた。また、ネットワークに接続する毎に、DHCPサーバからIPアドレスを取得するため、当該接続毎に、ネットワークに接続するために要する時間が長くなっていた。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ネットワークに接続することに要する時間を短縮することが可能な情報処理装置、加工装置およびネットワーク接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、ネットワークに接続可能な情報処理装置である。前記情報処理装置は、記憶部と、切断判定部と、第1設定部と、第2設定部とを備えている。前記記憶部には、前回にネットワークに接続したときに設定された前回IPアドレスを少なくとも含む前回ネットワーク情報が記憶されている。前記切断判定部は、前回にネットワークに接続された第1の時刻から、所定の第1の動作でネットワークの接続が開始される第2の時刻までの間に、所定の第2の動作でネットワークが切断されたか否かを判定する。前記第1設定部は、前記切断判定部によって、前記第2の動作でネットワークが切断されていないと判定されたとき、前記前回ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する。前記第2設定部は、前記切断判定部によって、前記第2の動作でネットワークが切断されたと判定されたとき、IPアドレス割当装置から、新IPアドレスを少なくとも含む新ネットワーク情報を取得し、前記新ネットワーク情報を設定してネットワークに接続する。
【0008】
前記情報処理装置によれば、第1の時刻から第2の時刻の間に、第2の動作が行われていないとき、前回ネットワーク情報を使用してネットワークに接続することが可能になるといえる。前回ネットワーク情報を使用する場合には、IPアドレス割当装置から新ネットワーク情報を取得する処理がなくなる分、ネットワークに接続するために要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ネットワークに接続することに要する時間を短縮することが可能な情報処理装置、加工装置およびネットワーク接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る印刷システムの概念図である。
【
図3】プリンタのキャリッジの底面の構成を模式的に示す図である。
【
図5】ネットワーク情報、新ネットワーク情報、前回ネットワーク情報および固定ネットワーク情報を示す説明図である。
【
図6】ネットワーク情報を設定する制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】第1の時刻と第2の時刻との間で、LANケーブルが抜き差しされたことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る印刷システム1の概念図である。
図1に示すように、印刷システム1は、プリンタ10と、操作端末80と、サーバ90とを備えている。ここでは、プリンタ10、操作端末80およびサーバ90は、同一のネットワークNW1に属している。なお、同一のネットワークNW1に属している機器などは、プリンタ10、操作端末80およびサーバ90に限定されず、他の機器がネットワークNW1に属していてもよい。プリンタ10および操作端末80は、IP(Internet Protocol)を利用してネットワークNW1に接続する。ここでは、プリンタ10、操作端末80およびサーバ90は、相互に通信可能に接続されている。以下、プリンタ10、操作端末80およびサーバ90について説明する。
【0013】
まずプリンタ10について簡単に説明する。本実施形態では、印刷システム1が備えるプリンタ10の数、すなわち同一のネットワークNW1に属するプリンタ10の数は、2つであるが、プリンタ10の数は特に限定されない。
【0014】
図2は、プリンタ10の正面図である。
図3は、プリンタ10において、キャリッジ17の底面の構成を模式的に示す図である。
図4は、プリンタ10のブロック図である。プリンタ10に関する図面において、符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは副走査方向を示している。本実施形態では、副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと直交しており、前後方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0015】
本実施形態では、プリンタ10は、情報処理装置を備えた加工装置の一例である。プリンタ10は、被加工物の一例である媒体5(
図2参照)にインクを吐出して印刷することで、媒体5を加工する装置である。媒体5は例えばロール状の記録紙であるが、媒体5を形成する材料は特に限定されない。
【0016】
プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は特に限定されず、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。本実施形態では、プリンタ10は、いわゆるロールtoロールタイプのプリンタであり、ロール状の媒体5を副走査方向Xに移動させるものである。ただし、プリンタ10は、いわゆるフラットベッドタイプのプリンタであってもよく、後述の支持台13(
図2参照)が副走査方向Xに移動することで、媒体5も副走査方向Xに移動するものであってもよい。また、プリンタ10は、いわゆるガントリータイプのプリンタであってもよく、支持台13に支持された媒体5自体は移動させずに、後述のインクヘッド20(
図3参照)が主走査方向Yおよび副走査方向Xに移動するものであってもよい。
【0017】
図2に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体11と、支持台13と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、インクヘッド20(
図3参照)と、移動機構30と、操作パネル50と、制御装置60とを備えている。
【0018】
プリンタ本体11は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プリンタ本体11は、脚12によって支持されている。脚12は、プリンタ本体11の下面から下方に延びている。支持台13は、媒体5を支持する。ここでは、媒体5は、支持台13の上面に載置される。支持台13の上面は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がっている。ガイドレール15は、支持台13よりも上方に配置され、主走査方向Yに延びている。キャリッジ17は、ガイドレール15に係合し、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0019】
図3に示すように、インクヘッド20は、加工部の一例であり、媒体5に対して加工するものである。ここでは、インクヘッド20は、支持台13に支持された媒体5にインクを吐出することで、媒体5の上面を加工する。インクヘッド20は、その下面が下方に露出するようにキャリッジ17に設けられている。インクヘッド20の数は特に限定されない。ここでは、インクヘッド20の数は4つであり、4つのインクヘッド20は主走査方向Yに並んで配置されている。インクヘッド20の下面には、インクが吐出される複数のノズル26が形成されている。
【0020】
図2に示すように、移動機構30は、支持台13に支持された媒体5と、インクヘッド20とを相対的に移動させる機構(例えば2次元方向に移動させる機構)である。移動機構30の構成は特に限定されない。ここでは、移動機構30は、ヘッド移動機構40と、媒体移動機構45とを有している。ヘッド移動機構40は、キャリッジ17、および、インクヘッド20(
図3参照)を主走査方向Yに移動させる機構である。ここでは、ヘッド移動機構40は、左右のプーリ41a、41bと、ベルト42と、スキャンモータ43とを備えている。左のプーリ41aはガイドレール15の左端部の周囲に設けられ、右のプーリ41bはガイドレール15の右端部の周囲に設けられている。ベルト42は、左右のプーリ41a、41bに巻き掛けられている。ベルト42には、キャリッジ17が取り付け固定されている。右のプーリ41bには、スキャンモータ43が接続されている。ここでは、スキャンモータ43が駆動することで、右のプーリ41bが回転して、ベルト42が走行する。このことによって、キャリッジ17およびインクヘッド20は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。
【0021】
媒体移動機構45は、支持台13に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させる機構である。媒体移動機構45は、ピンチローラ46と、グリットローラ47と、フィードモータ48とを備えている。ピンチローラ46は、支持台13の上方、かつ、ガイドレール15よりも下方に設けられ、媒体5を上から押さえ付けるものである。グリットローラ47は、その上面を上方に露出させた状態で支持台13に設けられ、外周形状が円柱状である。グリットローラ47は、ピンチローラ46と対向している。グリットローラ47には、フィードモータ48が接続されている。ここでは、ピンチローラ46とグリットローラ47との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ48が駆動すると、グリットローラ47が回転する。このことで、支持台13に支持された媒体5は、副走査方向Xに移動する。
【0022】
図2に示すように、操作パネル50は、プリンタ本体11の右端部に設けられている。操作パネル50には、プリンタ10の状態などを表示する表示画面51と、ユーザによって操作される操作キー52などが設けられている。本実施形態では、操作キー52は、物理的な操作子(例えばボタン)によって構成されている。ただし、表示画面51は、タッチパネルを有しており、操作キー52は、表示画面51に表示されるアイコン(例えば電子的なボタン)であってもよい。この場合、ユーザは、表示画面51のタッチパネルを通じて、操作キー52であるアイコンを操作することができる。
【0023】
制御装置60は、印刷に関する制御を行う装置である。ここでは、制御装置60は、ネットワークNW1(
図1参照)に接続する制御を行う装置であり、情報処理装置の一例である。制御装置60は、ネットワークNW1に接続される。制御装置60は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されない。制御装置60は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、を備えている。制御装置60は、プリンタ本体11の内部に設けられている。
【0024】
本実施形態では、
図4に示すように、制御装置60は、インクヘッド20、移動機構30のヘッド移動機構40(詳しくはスキャンモータ43)、移動機構30の媒体移動機構45(詳しくはフィードモータ48)、および、操作パネル50(詳しくは表示画面51および操作キー52)と通信可能に接続されている。制御装置60は、インクヘッド20、ヘッド移動機構40、媒体移動機構45、および、操作パネル50を制御する。
【0025】
本実施形態では、
図4に示すように、プリンタ10は、LANケーブル70が接続される差込口71と、一次電源ボタン72と、二次電源ボタン74とを備えている。差込口71は、例えばプリンタ本体11(
図2参照)に設けられている。差込口71にLANケーブル70が接続される、言い換えると差し込まれることで、
図1に示すように、プリンタ10をネットワークNW1に接続することが可能になる。なお、LANケーブル70は、例えば一端が差込口71に接続され、他端がルータ(図示せず)に接続されている。プリンタ10は、当該ルータを介してネットワークNW1に接続される。
【0026】
図4に示す一次電源ボタン72および二次電源ボタン74は、プリンタ本体11(
図2参照)に設けられている。一次電源ボタン72は、ユーザの操作によってONまたはOFFにされるボタンであり、いわゆる主電源ボタンである。一次電源ボタン72がONにされることで、プリンタ10が接続されたコンセント(図示せず)などから、プリンタ10に対して電力が供給される。ここでは、一次電源ボタン72がONにされることで、制御装置60に電力が供給される。このことによって、制御装置60が起動する。
【0027】
二次電源ボタン74は、ユーザの操作によってONまたはOFFにされるボタンである。二次電源ボタン74がONにされることで、プリンタ10を操作可能状態にすることができる。二次電源ボタン74がONにされることで、プリンタ10を構成する部品(例えばインクヘッド20、移動機構30など)に電力が供給され、制御可能状態になる。二次電源ボタン74がOFFにされることで、プリンタ10が休止状態になり、印刷ができない状態になる。本実施形態では、二次電源ボタン74は、物理的なボタンであり、プリンタ本体11に設けられている。二次電源ボタン74は、操作パネル50の操作キー52に含まれていてもよいし、操作パネルと50とは異なる位置に配置されたボタンであってもよい。また、表示画面51がタッチパネルを有している場合には、二次電源ボタン74は、表示画面51自体、または、表示画面51に表示されるアイコンであってもよい。この場合、例えばユーザが表示画面51をタップすることで二次電源がONになり、表示画面51に表示される所定のアイコンをタップすると二次電源がOFFになるように構成されていてもよい。
【0028】
図1に示すように、操作端末80は、ユーザが操作するための端末である。ユーザが操作端末80を操作することで、プリンタ10を制御することができる。操作端末80は、ネットワークNW1を介してプリンタ10に通信可能に接続されている。なお、操作端末80は、有線または無線によってルータに接続され、ルータを介してネットワークNW1に接続されている。
【0029】
操作端末80は、例えばプリンタ10のプリンタ本体11の外部に設置されたコンピュータによって実現されている。操作端末80を実現するコンピュータは、プリンタ10に対する専用のコンピュータであってもよいし、汎用コンピュータであってもよい。操作端末80は、デスクトップ型のコンピュータであってもよいし、ラップトップ型のコンピュータであってもよい。また、操作端末80は、タブレット端末であってもよいし、スマートフォンであってもよい。また、同一のネットワークNW1に属する操作端末80の数は、3つであるが、特に限定されない。
【0030】
図5は、ネットワーク情報100を示す説明図である。ところで、プリンタ10および操作端末80は、
図5に示すようなネットワーク情報100が設定されることでネットワークNW1(
図1参照)に接続することが可能になる。ここでは、
図5に示すように、ネットワーク情報100は、IPアドレス101と、サブネットマスク102と、デフォルトゲートウェイ103とを少なくとも含んでいる。ネットワーク情報100には、IPアドレス101、サブネットマスク102およびデフォルトゲートウェイ103以外のネットワークNW1に接続するための情報が含まれていてもよい。
【0031】
図1に示すサーバ90は、IPアドレス割当装置の一例である。サーバ90は、いわゆるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバである。サーバ90は、IPアドレス101を含むネットワーク情報100を割り当てるものである。本実施形態では、
図5に示すように、サーバ90が割り当てたネットワーク情報100のことを新ネットワーク情報110という。サーバ90が割り当てるIPアドレス101を、新IPアドレス111という。新ネットワーク情報110は、新IPアドレス111と、サブネットマスク102と、デフォルトゲートウェイ103とを有している。サーバ90は、動的に新IPアドレス111を割り当てる。なお、サーバ90は、サブネットマスク102とデフォルトゲートウェイ103についても、動的に割り当ててもよい。本実施形態では、
図1に示すように、サーバ90は、プリンタ10および操作端末80に通信可能に接続されている。例えばプリンタ10または操作端末80は、サーバ90に対して要求信号を送信する。サーバ90は、要求信号を受信し、要求信号を送信したプリンタ10または操作端末80に対して、新ネットワーク情報110を準備して送信する。プリンタ10または操作端末80は、サーバ90から送信された新ネットワーク情報110を受信して自動で設定する。このことで、プリンタ10または操作端末80は、ネットワークNW1に接続された状態になる。
【0032】
ところで、例えばプリンタ10において、サーバ90から新ネットワーク情報110を取得して自動で設定するには、時間を要する。ここでは、サーバ90は、DHCPサーバであるため、動的に新IPアドレス111を割り当てるには、例えば5秒~10秒程の時間を要する。本実施形態では、例えば二次電源ボタン74(
図4参照)がONにされるタイミングで、
図1に示すように、プリンタ10は、ネットワーク情報100(
図5参照)を設定してネットワークNW1に接続する。このとき、二次電源ボタン74がONにされる毎に、サーバ90から新ネットワーク情報110を取得した場合、ネットワークNW1に接続する時間を要するため、ユーザにとって煩わしいものであった。ネットワークNW1に接続するために要する時間は、出来るだけ短い方が好ましい。
【0033】
そこで、本実施形態では、情報処理装置の一例であるプリンタ10の制御装置60が、ネットワークNW1に接続するために要する時間を短くする制御を行う。ここでは、
図4に示すように、制御装置60は、記憶部61と、判定部63と、切断判定部64と、第1設定部65と、第2設定部66と、第3設定部67と、重複判定部68と、通知部69とを備えている。記憶部61は、制御装置60のいわゆる不揮発領域に設定されている。なお、制御装置60の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば制御装置60の各部は、複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係るプリンタ10において、ネットワーク情報100を設定する制御手順について
図6のフローチャートに沿って説明する。なお、本実施形態では、
図5に示すように、記憶部61には、プリンタ10が前回にネットワークNW1に接続されたときのネットワーク情報100が記憶されている。この前回のネットワーク情報100のことを、前回ネットワーク情報120という。前回ネットワーク情報120のIPアドレス101のことを、前回IPアドレス121という。前回ネットワーク情報120は、前回IPアドレス121と、サブネットマスク102と、デフォルトゲートウェイ103とを有している。
【0035】
本実施形態では、例えばユーザが二次電源ボタン74(
図4参照)を操作して、二次電源ボタン74がONにされたタイミングで、ネットワーク情報100の設定が開始される。二次電源ボタン74がONにされた動作は、情報処理装置の一例である制御装置60を操作可能な状態にする動作であり、第1の動作M1(
図7参照)の一例である。ここで、「情報処理装置を操作可能」とは、情報処理装置によって制御される対象(ここでは、制御装置60によって制御されるプリンタ10)を操作可能と同じ意味である。すなわち、二次電源ボタン74がONにされた動作である第1の動作とは、プリンタ10を操作可能にする動作のことである。
【0036】
ここでは、二次電源ボタン74がONにされたとき、
図6のステップS101では、
図4の判定部63は、許可フラグFG1がONかOFFかを判定する。ここで、許可フラグFG1とは、プリンタ10がネットワーク情報100を設定するにあたって、サーバ90から割り当てられたネットワーク情報100を使用するか否かが設定されたフラグであり、DHCPの設定が有効であるか無効であるかが設定されたフラグである。ここで、「サーバ90から割り当てられたネットワーク情報100」とは、新ネットワーク情報110または前回ネットワーク情報120のことである。許可フラグFG1とは、後述の固定ネットワーク情報130(
図5参照)を使用するか否かが設定されたフラグである。ここでは、許可フラグFG1がONのとき、前回ネットワーク情報120または新ネットワーク情報110の使用を許可し、DHCPの設定を有効にする。一方、許可フラグFG1がOFFのとき、前回ネットワーク情報120または新ネットワーク情報110の使用を許可せず、DHCPの設定を無効にする。
図4に示すように、許可フラグFG1は、記憶部61に予め記憶されている。なお、許可フラグFG1のONとOFFの切り替えは、例えば操作パネル50をユーザが操作することで可能になる。
【0037】
図6に示すように、ステップS101において、判定部63によって許可フラグFG1がOFFであると判定されたとき、次にステップS103に進む。一方、判定部63によって許可フラグFG1がONであると判定されたとき、次にステップS105に進む。
【0038】
図6のステップS103では、
図4の第3設定部67は、プリンタ10に固定ネットワーク情報130を設定してネットワークNW1(
図1参照)に接続する。固定ネットワーク情報130とは、プリンタ10に対して専用に割り当てられたネットワーク情報100のことである。
図5に示すように、固定ネットワーク情報130に含まれるIPアドレス101のことを、固定IPアドレス131という。固定IPアドレス131は、プリンタ10に対して専用に割り当てられたIPアドレス101のことであり、プリンタ10がネットワークNW1に接続される毎に不変である。固定IPアドレス131は、サーバ90などから自動で取得されるものではなく、例えばユーザによって手動で設定されるものである。固定IPアドレス131は、静的なアドレスである。固定ネットワーク情報130は、固定IPアドレス131と、サブネットマスク102と、デフォルトゲートウェイ103とを有している。本実施形態では、固定ネットワーク情報130は、記憶部61に予め記憶されている。
【0039】
第3設定部67は、記憶部61に記憶された固定ネットワーク情報130を取得し、固定ネットワーク情報130をプリンタ10に設定する。すなわち、第3設定部67は、固定ネットワーク情報130に含まれる固定IPアドレス131(言い換えると、IPアドレス101)、サブネットマスク102、および、デフォルトゲートウェイ103をプリンタ10に設定する。このことによって、固定ネットワーク情報130を使用して、
図1に示すように、プリンタ10をネットワークNW1に接続することができる。
【0040】
上述のように、
図6に示すように、ステップS101において判定部63によって許可フラグFG1がONであると判定されたとき、次にステップS105に進む。ステップS105では、
図4の切断判定部64は、前回にネットワークNW1に接続されてからの間に、LANケーブル70が差込口71(
図4参照)から抜き差しされたか否かを判定する。ここで、LANケーブル70が差込口71から抜き差しする動作は、第2の動作M2(
図7参照)の一例である。
【0041】
図7は、第1の時刻T1と第2の時刻T2との間T3において、第2の動作M2が行われたことを示す図である。本実施形態では、
図7に示すように、プリンタ10が前回にネットワークNW1に接続されたときの時刻を第1の時刻T1という。二次電源ボタン74がONにされてネットワークNW1の接続が開始されたときの時刻、すなわち第1の動作M1が行われた時刻(ここでは、
図6のステップS101が開始される時刻)を第2の時刻T2という。
図4の切断判定部64は、第1の時刻T1から第2の時刻T2の間T3に、ユーザなどによって第2の動作M2が行われたか否か、すなわちLANケーブル70が差込口71から抜き差しされたか否かを判定する。ここでは、例えば
図4の記憶部61には、図示しない切断フラグが記憶されている。例えば切断フラグは、常時OFFであり、LANケーブル70が差込口71から抜かれるとONに切り替わる。なお、切断フラグは、ネットワーク情報100が設定されたときに、OFFに切り替わる。切断判定部64は、切断フラグがONであるとき、
図7に示すように、第1の時刻T1と第2の時刻T2との間T3に、第2の動作M2が行われた、すなわちLANケーブル70が差込口71から抜き差しされたと判定する。この場合、次に
図6のステップS107に進む。一方、切断判定部64は、切断フラグがOFFであるとき、第1の時刻T1と第2の時刻T2との間T3に、第2の動作M2が行われていない、すなわちLANケーブル70が差込口71から抜き差しされていないと判定する。この場合、次にステップS111に進む。
【0042】
LANケーブル70が差込口71から抜き差しされたと判定された場合、次に
図6のステップS107では、
図4の第2設定部66は、新ネットワーク情報110(
図5参照)を取得し、新ネットワーク情報110をプリンタ10に設定する。ここでは、第2設定部66は、例えばDHCPサーバであるサーバ90から新ネットワーク情報110を取得し、取得した新ネットワーク情報110を設定する。
【0043】
詳しくは、第2設定部66は、サーバ90に対して取得信号を送信する。サーバ90は、当該取得信号を受信し、新ネットワーク情報110を作成する。このとき、新ネットワーク情報110に含まれる新IPアドレス111は、動的なアドレスであり、同一のネットワークNW1に属する他の機器(例えば操作端末80)に設定されている他のIPアドレス141と異なるアドレスになるように割り当てられる。その後、サーバ90は、取得信号を送信したプリンタ10に対して、新ネットワーク情報110を送信する。第2設定部66は、サーバ90から送信された新ネットワーク情報110を取得し設定する。このことによって、新ネットワーク情報110を使用して、プリンタ10をネットワークNW1に接続することができる。
【0044】
次に、
図6のステップS109では、
図4の通知部69は、プリンタ10に設定された新IPアドレス111を通知する。ここでは、通知部69は、例えばARPコマンドを使用して、プリンタ10に設定された新IPアドレス111をサーバ90に通知する。サーバ90は、プリンタ10に設定された新IPアドレス111を記憶して登録する。このことによって、サーバ90側では、プリンタ10に設定された新IPアドレス111を把握することができ、他の機器に対して、プリンタ10に設定された新IPアドレス111と重複しないように、IPアドレス101を割り当てることができる。
【0045】
上述のように、
図6のステップS105において、
図4の切断判定部64によって、第1の時刻T1と第2の時刻T2との間T3(
図7参照)に、LANケーブル70が差込口71(
図4参照)から抜き差しされていない、すなわち第2の動作M2が行われていないと判定された場合、次にステップS111に進む。ステップS111では、
図4の重複判定部68は、前回ネットワーク情報120に含まれる前回IPアドレス121が重複していないか否かを判定する。ここでは、重複判定部68は、前回IPアドレス121が、プリンタ10と同一ネットワークNW1内の他のIPアドレス141と重複しているか否かを判定する。ここで、他のIPアドレス141とは、同一ネットワークNW1に属する他の機器(例えば操作端末80)に既に設定されているIPアドレス101のことである。
【0046】
本実施形態では、
図4の重複判定部68は、DHCPサーバの一例であるサーバ90を通じて、前回IPアドレス121が、他のIPアドレス141と重複しているか否かを判定する。例えば重複判定部68は、ARPコマンドを使用して、前回IPアドレス121をサーバ90に通知する。サーバ90は、前回IPアドレス121を受信し、前回IPアドレス121が、同一のネットワークNW1内の他のIPアドレス141と重複しているか否かを判断する。そして、サーバ90は、前回IPアドレス121が、同一ネットワークNW1内の他のIPアドレス141と重複していると判断した場合には、重複信号を送信する。重複判定部68は、重複信号を受信して、前回IPアドレス121が、他のIPアドレス141と重複していると判定する。一方、サーバ90は、前回IPアドレス121が、同一ネットワークNW1内の他のIPアドレス141と重複していないと判断した場合には、非重複信号を送信する。重複判定部68は、非重複信号を受信して、前回IPアドレス121が他のIPアドレス141と重複していないと判定する。
【0047】
ここで、重複判定部68によって、前回IPアドレス121が他のIPアドレス141と重複していると判定された場合、前回IPアドレス121をプリンタ10に設定すると、他のIPアドレス141と衝突するため、ネットワークNW1に接続することができない。そのため、この場合、
図6のステップS107に進み、新ネットワーク情報110をプリンタ10に設定する。一方、重複判定部68によって、前回IPアドレス121が他のIPアドレス141と重複していないと判定された場合、ステップS113に進む。
【0048】
ステップS113では、
図4の第1設定部65は、記憶部61に記憶された前回ネットワーク情報120(
図5参照)をプリンタ10に設定する。このことによって、プリンタ10には、IPアドレス101として前回ネットワーク情報120の前回IPアドレス121が設定されることになる。このように、LANケーブル70が差込口71から抜き差しされていないときには、前回ネットワーク情報120を使用して、ネットワークNW1に接続することが可能になる。なお、特に図示はしていないが、ステップS113の後、ステップS109と同様に、
図4の通知部69は、プリンタ10に設定された前回IPアドレス121をサーバ90に通知してもよい。
【0049】
以上、本実施形態では、プリンタ10の制御装置60は、
図1に示すように、ネットワークNW1に接続可能である。
図4に示すように、制御装置60は、記憶部61と、切断判定部64と、第1設定部65と、第2設定部66とを備えている。
図5に示すように、記憶部61には、前回にネットワークNW1に接続したときに設定された前回IPアドレス121を少なくとも含む前回ネットワーク情報120が記憶されている。切断判定部64は、
図7に示すように、前回にネットワークNW1に接続された第1の時刻T1から、所定の第1の動作M1の一例である、二次電源ボタン74(
図4参照)がONにされた動作でネットワークNW1の接続が開始される第2の時刻T2までの間T3に、所定の第2の動作M2の一例である、LANケーブル70が差込口71(
図4参照)に抜き差しされる動作でネットワークNW1が切断されたか否かを判定する。第1設定部65は、切断判定部64によって、LANケーブル70が差込口71に抜き差しされていない、すなわちネットワークNW1が切断されていないと判定されたとき、
図6のステップS113に示すように、前回ネットワーク情報120を設定してネットワークNW1に接続する。第2設定部66は、切断判定部64によって、LANケーブル70が差込口71に抜き差しされたことでネットワークNW1が切断されたと判定されたとき、
図6のステップS107に示すように、IPアドレス割当装置の一例であるサーバ90から、新IPアドレス111を少なくとも含む新ネットワーク情報110(
図5参照)を取得し、新ネットワーク情報110を設定してネットワークNW1に接続する。このように、第1の時刻T1から第2の時刻T2の間T3に、第2の動作M2が行われていない、すなわちLANケーブル70が差込口71に抜き差しされていなければ、前回ネットワーク情報120を使用してネットワークNW1に接続することが可能になるといえる。前回ネットワーク情報120を使用する場合には、サーバ90から新ネットワーク情報110を取得する処理がなくなる分、ネットワークNW1に接続するために要する時間を短縮することができる。
【0050】
例えば二次電源ボタン74をOFFからONに切り替えたタイミング、すなわちプリンタ10を休止状態から操作可能な状態に切り替えたタイミングでは、ネットワークNW1のセグメントが変更される可能性が低く、前回ネットワーク情報120を使用し易いタイミングであるといえる。そのため、二次電源ボタン74がONにされたタイミングで、ネットワークNW1の接続が開始されることで、前回ネットワーク情報120を使用してネットワークNW1の確立をし易く、ネットワークNW1に接続するために要する時間を短縮することができる。
【0051】
例えば第1の時刻T1から第2の時刻T2の間T3(
図7参照)に、LANケーブル70が差込口71から抜き差しされる動作が行われると、ネットワークNW1のセグメントが変更される可能性がある。この場合、前回ネットワーク情報120を使用すると、前回IPアドレス121が、同一のネットワークNW1の他のIPアドレス141と重複する可能性があり得る。よって、LANケーブル70が差込口71から抜き差しされた場合には、サーバ90から新ネットワーク情報110を取得して、新ネットワーク情報110をプリンタ10に設定することで、ネットワークNW1に確実に接続することができる。
【0052】
本実施形態では、
図4に示すように、制御装置60は、重複判定部68を備えている。重複判定部68は、切断判定部64によって、LANケーブル70が差込口71に抜き差しされていない、すなわちネットワークNW1が切断されていないと判定されたとき、
図6のステップS111に示すように、前回IPアドレス121が、同一ネットワークNW1内の他のIPアドレス141と重複しているか否かを判定する。第1設定部65は、重複判定部68によって前回IPアドレス121が他のIPアドレス141と重複していないと判定されたとき、
図6のステップS113に示すように、前回ネットワーク情報120を設定してネットワークNW1に接続する。第2設定部66は、重複判定部68によって前回IPアドレス121が他のIPアドレス141と重複している判定されたとき、
図6のステップS107に示すように、サーバ90から新ネットワーク情報110を取得し、新ネットワーク情報110を設定してネットワークNW1に接続する。このように、プリンタ10に前回ネットワーク情報120を設定する前に、前回IPアドレス121が他のIPアドレス141と重複しているか否かを判定することができる。よって、プリンタ10に設定する前回IPアドレス121が、他のIPアドレス141と重複することに起因して、ネットワークNW1に接続できないことを生じ難くすることができる。
【0053】
本実施形態では、
図5に示すように、記憶部61には、固定IPアドレス131を少なくとも含む固定ネットワーク情報130が記憶されている。
図4に示すように、制御装置60は、判定部63と、第3設定部67とを備えている。判定部63は、
図6のステップS101に示すように、サーバ90から割り当てられたネットワーク情報100(詳しくは、新ネットワーク情報110または前回ネットワーク情報120)を使用することを許可する許可フラグFG1がONかOFFかを判定する。第3設定部67は、判定部63によって許可フラグFG1がOFFであると判定されたとき、
図6のステップS103に示すように、固定ネットワーク情報130を設定してネットワークNW1に接続する。許可フラグFG1がOFFのときとは、前回ネットワーク情報120や、サーバ90から取得した新ネットワーク情報110を使用することができず、例えばDHCPが無効であるときである。このように、前回ネットワーク情報120や新ネットワーク情報110が使用できない場合であっても、固定ネットワーク情報130をプリンタ10に設定することで、ネットワークNW1に接続することができる。
【0054】
本実施形態では、プリンタ10は、被加工物の一例である媒体5に対して加工する加工装置の一例である。プリンタ10は、媒体5に対してインクを吐出することで、媒体5を加工するインクヘッド20(
図3参照)を備えている。プリンタ10をユーザが使用する際、ユーザは待機時間を短くしてプリンタ10を使用したいと考えられる。そこで、プリンタ10の制御装置60の第1設定部65が、前回ネットワーク情報120をプリンタ10に設定することで、プリンタ10をネットワークNW1に接続するために要する時間を短くすることができる。よって、ユーザによる待機時間を短くすることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、プリンタ10の制御装置60は、ネットワーク接続方法を具現化したものである。ネットワーク接続方法は、判定工程と、切断判定工程と、第1設定工程と、第2設定工程と、第3設定工程と、重複判定工程と、通知工程とを包含する。判定工程、切断判定工程、第1設定工程、第2設定工程、第3設定工程、重複判定工程、および、通知工程は、それぞれ制御装置60が備える判定部63、切断判定部64、第1設定部65、第2設定部66、第3設定部67、重複判定部68、通知部69によって実現される。例えば切断判定工程では、前回にネットワークNW1に接続された第1の時刻T1から、所定の第1の動作M1(例えば二次電源ボタン74をONにする動作)でネットワークNW1の接続が開始される第2の時刻T2までの間T3に、所定の第2の動作M2(例えばLANケーブル70を差込口71に抜き差しする動作)でネットワークNW1が切断されたか否かを判定する。第1設定工程では、切断判定工程において、第2の動作M2でネットワークNW1が切断されていないと判定したとき、前回にネットワークNW1に接続したときに設定された前回IPアドレス121を少なくとも含む前回ネットワーク情報120を設定してネットワークNW1に接続する。第2設定工程では、切断判定工程において、第2の動作M2でネットワークNW1が切断されたと判定されたとき、IPアドレス割当装置の一例であるサーバ90から、新IPアドレス111を少なくとも含む新ネットワーク情報110を取得し、新ネットワーク情報110を設定してネットワークNW1に接続する。
【0056】
本実施形態では、二次電源ボタン74がONにされた動作が、第1の動作M1の一例であった。しかしながら、第1の動作M1は、二次電源ボタン74がONにされた動作に限定されない。第1の動作M1は、例えば一次電源ボタン72がONにされた動作や、操作パネル50の操作キー52を操作する動作などのユーザがプリンタ10(言い換えると、情報処理装置の一例である制御装置60)に対して行う動作であってもよい。ただし、第1の動作M1には、ユーザがプリンタ10に対して行う動作の他に、制御装置60自体が行う動作(例えば制御)であってもよい。第1の動作M1は、所定の時刻に自動的にネットワーク情報100を設定するための動作であってもよい。この場合、制御装置60は、所定の時刻になるまで時間を計る動作(例えば制御)が行われるため、第1の動作M1は、制御装置60による時間を計る動作となる。第1の動作M1は、第1の制御と言い換えることも可能である。
【0057】
本実施形態では、LANケーブル70が差込口71から抜き差しする動作は、第2の動作M2の一例であった。しかしながら、第2の動作M2はこれに限定されない。第2の動作M2は、例えば無線ネットワークの切断と接続を切り替える動作であってもよい。無線ネットワークの切断と接続を切り替える動作は、例えば操作パネル50の操作キー52の操作によって実行されてもよいし、制御装置60によって自動的に実行されてもよい。
【0058】
なお、本実施形態では、プリンタ10は、本発明の加工装置の一例であった。しかしながら、加工装置は、プリンタ10に限定されない。加工装置は、いわゆるカッティング装置であってもよい。カッティング装置は、例えばカッターを有するカッティングヘッドを備え、カッターを被加工物に押し付けることによって切断することで、被加工物を加工する。この場合、カッティングヘッドが、被加工物に対して加工する加工部の一例になる。
【0059】
また、加工装置は、いわゆる箔押し装置であってもよい。箔押し装置は、箔を被加工物に押し付ける箔押しヘッドを備えている。箔押し装置において、箔押しヘッドによって箔を被加工物に押し付けることで、被加工物に箔を貼り付けて、被加工物を加工する。この場合、箔押しヘッドが、被加工物に対して加工する加工部の一例になる。
【0060】
本実施形態では、サーバ90は、本発明のIPアドレス割当装置の一例であった。しかしながら、IPアドレス割当装置は、サーバ90、すなわちDHCPサーバに限定されない。例えばIPアドレス割当装置は、例えばプリンタ10の制御装置60、すなわち情報処理装置に組み込まれるものであってもよい。IPアドレス割当装置は、いわゆるAutoIPによって実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
5 媒体(被加工物)
10 プリンタ(加工装置)
20 インクヘッド(加工部)
60 制御装置(情報処理装置)
61 記憶部
64 切断判定部
65 第1設定部
66 第2設定部
67 第3設定部
68 重複判定部
70 LANケーブル
71 差込口
74 二次電源ボタン
90 サーバ(DHCPサーバ、IPアドレス割当装置)
110 新ネットワーク情報
111 新IPアドレス
120 前回ネットワーク情報
121 前回IPアドレス
130 固定ネットワーク情報
131 固定IPアドレス
T1 第1の時刻
T2 第2の時刻
M1 第1の動作
M2 第2の動作
NW1 ネットワーク