IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ワイビーエムの特許一覧

<>
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図1
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図2
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図3
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図4
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図5
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図6
  • 特開-建設機械の施工管理装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072065
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】建設機械の施工管理装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20240520BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20240520BHJP
   H04B 1/3822 20150101ALI20240520BHJP
【FI】
E02D3/12 102
E02D13/00 Z
H04B1/3822
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182676
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】390025759
【氏名又は名称】株式会社ワイビーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 力雄
(72)【発明者】
【氏名】川崎 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 弘行
【テーマコード(参考)】
2D040
2D050
5K011
【Fターム(参考)】
2D040AB03
2D040FA00
2D040FA13
2D050EE24
2D050FF00
2D050FF07
5K011AA08
5K011DA29
(57)【要約】
【課題】建設機械を構成する移動構造体にマイクロ波で電力を供給して、この電力によりセンサー等で発生するデータを無線で送信する。
【解決手段】車体3と一体のリーダ4の下部には、第1マイクロ波送信器36が配置されている。リーダ4の上の第1マイクロ波送信器36、第2マイクロ波送信器37は、リーダ4の前方方向にマイクロ波を発振する。リータ4上を移動するスライド6には、3個のマイクロ波受信器39が間隔を置いて配置固定されている。マイクロ波受信器39で受信した電力は、スライド6に配置された二次電池であるバッテリー42に蓄電される。バッテリー42に蓄電され電力により、スライダ6に搭載された各種センサーは、Wi-Fi等の無線で施工管理装置30に検出したデータを送る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の一部分が分解・組立可能、又は前記機体の本体に対して可動可能な移動構造体を含む建設機械と、
前記本体、及び/又は前記移動構造体に配置固定され、前記建設機械で検知される各種状態を検知して検知データを発生し無線で送信するセンサーユニットと、
前記本体に搭載された電源手段と、
前記本体に配置され、前記センサーユニットから送られてくる前記検知データを無線で受信する施工管理装置と
からなる建設機械の施工管理装置において、
前記センサーユニットを駆動する電力は、
前記電源手段を備えた前記本体に配置されマイクロ波を発振するマイクロ波送信器と、
前記移動構造体に配置され、前記マイクロ波送信器から発信された前記マイクロ波を受信するマイクロ波送信器と
からなる建設機械の施工管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の施工管理装置において、
前記マイクロ波送信器、及び前記マイクロ波送信器は、夫々前記移動構造体に配置されている
ことを特徴とする建設機械の施工管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械の施工管理装置において、
前記マイクロ波送信器、及び前記マイクロ波送信器は、前記移動構造体の移動方向に対向して配置されている
ことを特徴とする建設機械の施工管理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の建設機械の施工管理装置において、
前記移動構造体には、前記センサーユニットの電源として配置された二次電池を搭載している
ことを特徴とする建設機械の施工管理装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の建設機械の施工管理装置において、
前記建設機械は、前記移動構造体に回転駆動する工具で地盤改良を行うための回転ヘッドを備えた地盤改良機である
ことを特徴とする建設機械の施工管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木、建設作業に使用される建設機械の施工管理装置に関する。更に詳しくは、建設機械の各箇所に配置されたセンサー等へ電力を供給し、センサー等で検知されたデータを無線で送信できる建設機械の施工管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設、土木現場における人や物の状態が見える化を促進し、作業の安全、省エネルギー化のために、建設機械のIOT化が進められている。IOT化のために建設機械には、カメラ、GPS、トルクセンサー、エンコーダ等の機器、その他の各種センサー等が各機械の各位置に配置されており、これらのセンサー類は常時データの収集を行い、施工管理装置等にそのデータを送信している。一方、例えば、基礎工事用機械のリーダ等は、施工現場に輸送するとき、道路に設置されている信号機、標識等に干渉しないように、複数の構成部材に分解されて輸送されている。しかしながら、この機械を分解するとき、上記センサー類と施工管理装置との間に有線で配線されたセンサー等の通信線、電力線を接続端子の位置で取り外す必要があり、また、再度組み立てるときも作業工数がかかり、かつ誤配線の可能性もあり不便である。
【0003】
このために分解可能な機材、相対的に移動する機体に配置されたセンサー類及びこれから発生するデータの送信のための信号の中継装置は、データ等の送受信にIOリンクで接続し、この中継装置と運転席等の離れた位置にある施工管理装置との間は有線ではなく無線LANで接続するものも提案されている(特許文献1)。また、センサー類から発生するデータ等を送信するための無線送信手段に電源ケーブルを接続する必要がないように、この建設機械の近傍の回転部分にダイナモを配置し、これを二次電池に電力を蓄えるものが提案されている(特許文献2)。建設機械ではないが工作機械において、回転する主軸にセンサーと電池を配置し、センサデータを無線通信で機械に搭載した通信基地局に送信するものが提案されている(特許文献3)。この無線通信装置は、電池の消耗を防ぐために測定時間を必要時間のみに限定して非通電モードとして、電池の消耗を防ぐものである。更に、機械等の振動エネルギーを電気に変換する磁歪式振動デバイスも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-199757号
【特許文献2】特開2017-36583号
【特許文献3】特開2021-119027号
【特許文献4】WO2015/141414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたセンサー類、及びこれから発生するデータ送信のためのデータ送信のための中継装置は、それを駆動するための電源についての記載はないが、通常は有線で送電する必要があり、電源は有線で配線することになる。建設機械の本体、又は付属機器の一部を分解、組立するとき、多数の電源線があるため、それらの取り外し、再接続するための作業工数が必要となる。また、特許文献2に記載されたダイナモを配置するためには、回転機構がないところでは発電できず、使えないので使用できる機器が限定される。特許文献3に記載のものは、電池の消耗を防ぐためものであるが、機械の運転中は測定データを遮断できないセンサーの場合は採用できない。特許文献4に記載の発電装置は、振動が発生するところしか使えない。
【0006】
本発明は、以上のような背景により以下の目的を達成するものである。
本発明の目的は、建設機械の可動部分に安定的に電力を供給できる、建設機械の施工管理装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、センサー等から発生するデータを無線で送受信できる建設機械において、データを無線送信するセンサー等への電力供給が遮断されない、建設機械の施工管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明1の建設機械の施工管理装置は、
機体の一部分が分解・組立可能、又は前記機体の本体に対して可動可能な移動構造体を含む建設機械と、
前記本体、及び/又は前記移動構造体に配置固定され、前記建設機械で検知される各種状態を検知して検知データを発生し無線で送信するセンサーユニットと、
前記本体に搭載された電源手段と、
前記本体に配置され、前記センサーユニットから送られてくる前記検知データを無線で受信する施工管理装置と
からなる建設機械の施工管理装置において、
前記センサーユニットを駆動する電力は、
前記電源手段を備えた前記本体に配置されマイクロ波を発振するマイクロ波送信器と、
前記移動構造体に配置され、前記マイクロ波送信器から発信された前記マイクロ波を受信するマイクロ波送信器とからなる。
【0008】
本発明2の建設機械の施工管理装置は、本発明1又は2において、前記マイクロ波送信器、及び前記マイクロ波送信器は、夫々前記移動構造体に配置されていることを特徴とする。
本発明3の建設機械の施工管理装置は、本発明1又は2において、前記マイクロ波送信器、及び前記マイクロ波送信器は、前記移動構造体の移動方向に対向して配置されていることを特徴とする。
本発明4の建設機械の施工管理装置は、本発明1又は2において、前記移動構造体には、前記センサーユニットの電源として配置された二次電池を搭載していることを特徴とする。
本発明5の建設機械の施工管理装置は、本発明1又は2において、前記建設機械は、前記移動構造体に回転駆動する工具で地盤改良を行うための回転ヘッドを備えた地盤改良機であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建設機械の施工管理装置は、建設機械の可動部分にも安定的に電力を供給できるので、可動部分に搭載した各種センサー等からの大量のデータを無線で送ることが可能になった。各種センサーユニット等を駆動するための電力を供給する電池の交換も必要がないのでメンテナンスも簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態1の建設機械を示す全体正面図であり、建設機械各部に配置したセンサーユニットの配置例である。
図2図2は、図1の建設機械のセンサーユニットへ電力を供給するためのマイクロ波の発信器、受信器の配置例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態の施工管理装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施の形態のマイクロ波送信機の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態のマイクロ波受信機の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1の施工管理装置の動作例を示すフローチャートである。
図7図7は、発明の実施の形態2の建設機械の各所に電力を供給するためのマイクロ波の発信器、受信器の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態1の施工管理装置を搭載した地盤改良機を示す全体正面図であり、その機構、及びセンサーユニットの配置例を示す説明図である。図2は、図1の建設機械のセンサーユニットへ電力を供給するための電力供給システムの概要を示す説明図である。図1に示すように、本発明の建設機械の実施の形態1は地盤改良機1である。クローラ装置2によって走行する車体3と、車体3の前面に起立及び傾倒可能に取り付けられた柱状のリーダ4を有している。柱状のリーダ4は、リーダ起伏用シリンダ5で車体3を支点として起伏可能である。リーダ4には柱状のスライド6がリーダ4に沿って、上下移動(図示上)可能に取り付けられている。
【0012】
スライド6には、リーダ4に搭載されたリーダ昇降用シリンダ(図示せず。)のピストンロッド7の先端が連結されている。従って、スライド6は、リーダ昇降用シリンダによってリーダ4上を上下(図示上)に駆動される。スライド6の前面には、回転ヘッド10が上下(図示上)移動自在に配置されている。この回転ヘッド10は、フィードモータ(図示せず)に連結されたスプロケットとチェーンによって(図示せず)、スライド6上を上下に移動自在に駆動される。回転ヘッド10の上部のロッドチャック11は、回転ロッド13を把持固定するものである。ロッドチャック11により把持固定された回転ロッド13は、回転駆動モータ12によって回転駆動され、その下端に取り付けられた工具(図示せず)を回転駆動する。工具としては、アースオーガー、掘削ヘッド、撹拌翼、杭打機のチャック等である。工具ではないが、既製杭の杭打ちのために、ロッドチャック11に把持固定可能な既成杭等も回転駆動可能である。スライド6の下部には、回転ロッド13を連結するときの取付け、取外し等のときに把持するロッドクランプ14が配置されている。なお、鋼管杭、コンクリート杭等の既製杭は、一般的にはこの工具に含まれないが、本発明では工具に含める。
【0013】
[各種センサーユニットの配置]
図1に示すように、地盤改良機1の各所には必要に応じて各種のセンサーユニットが搭載されている。センサーユニット(以下、センサーとも言う。)が検知した各種のデータは、地盤改良を管理するための施工管理装置30(図2参照)に後述する無線通信で伝送される。本例では、リーダ4の下部には、リーダ4の傾斜を検知するためのリーダ傾斜センサー20が配置されている。これによりリーダ4の鉛直からの傾きを計測することができる。また、スライド6には、リーダ4上でスライド6の上下移動を検知するリニアエンコーダ(スライド用)21が搭載されている。リニアエンコーダ21により、スライド6がリーダ4上のどの位置に位置しているかを検知することができる。スライド6の上端部には、ロータリエンコーダ22が配置されている。ロータリエンコーダ22は、フィードモータ(図示せず)で駆動される回転ヘッド10が、スライド6上のどの位置にあるかを検知するためのものである。
【0014】
回転ヘッド10には、回転駆動モータ12の回転数を検知するためのロータリエンコーダ23が搭載されている。このロータリエンコーダ23は、回転ロッド13の回転を検出するためのものである。この回転の検出は、ロッドチャック11が回転ロッド13を固定し、相互に滑りがないという前提とすれば、回転駆動モータ12の回転数が回転ロッド13の回転数でもある。クランプセンサ25は、ロッドクランプ14が回転ロッド13をクランプ、又はアンクランプを検出する。図示していないが、上記のセンサー以外も必要に応じて、他のセンサー類を配置しても良い。
【0015】
[電力供給システム35]
以上のように、本発明の実施の形態の地盤改良機1は、地盤改良の施工時の監視、制御に必要な各種のセンサーを備えており、このセンサーが検知したデータは、Wi-Fi(登録商標)等の無線手段により施工管理装置30に送る必要がある。このとき、各種センサーユニットで発生したデータ送信のためには電力が必要である。本発明は、各種センサーユニットを駆動する電池消耗の問題がないように、このセンサーユニットの駆動に必要な電力をマイクロ波で送信するものである。図2は、電力供給システム35の概要を示す図である。地盤改良機1の車体3には、通常、一般的な発電機31、及び発電機31で発電した電力を蓄電するための二次電池である蓄電池32が搭載されている。この蓄電池32から供給される電力で施工管理装置30等が駆動される。電力供給システム35は、この蓄電池32から電力供給を受けてマイクロ波を発振するアンプ(図示せず)を介して、有線により第1マイクロ波送信器36、又は第2マイクロ波送信器37に送る。そして、第1マイクロ波送信器36、又は第2マイクロ波送信器37により送信されたマイクロ波は、これを車体3と相対的に移動、又は離れた部材であるスライド6に搭載されている3個の何れかのマイクロ波受信器39で受電し、電力線40を通してバッテリー42にその電力を蓄電する。バッテリー42に蓄えられた電力により、スライド6上のマイクロ波送振器41は、マイクロ波を発振し、回転ヘッド10に搭載されているマイクロ波受信器43により受信し、この電力をバッテリー44に充電する。
【0016】
このように、電力を蓄電する車体3の蓄電池32、スライド6のバッテリー42、回転ヘッド10のバッテリー44から、地盤改良機1の車体3と相対的に移動する部材に設置された各種センサーユニットに電力の供給を行うことができるので、配線が簡素化し、かつ常時電力を供給できるバッテリーを備えているので、電池等の交換の必要がなくメンテナンスも容易となる。リーダ4の下部には、第1マイクロ波送信器36が配置されている。第1マイクロ波送信器36は、蓄電池32、アンプ(図示せず)を介して、信号線、電力線が有線33で接続されている。リーダ4と車体3は、通常は搬送時でも分割されないので有線33で接続されていても支障はない。第1マイクロ波送信器36は、リーダ4の前方方向にマイクロ波を発振する。リーダ4の上部には、同様に、第2マイクロ波送信器37が配置されており、マイクロ波送信器36とは電力の供給のために有線38で接続されている。
【0017】
他方、スライド6には、本例では上部、中間部、及び下部位置に、3個のマイクロ波受信器39が間隔を置いて配置固定されている。3個のマイクロ波受信器39は、有線40で互いに接続されている。スライド6の3個のマイクロ波受信器39は、リーダ4に配置されている第1マイクロ波送信器36又は第2マイクロ波受信器37から送信されたマイクロ波を受信するための受信機である。マイクロ波は、これらの送信器と受信器が距離的に最も近い位置のものを選択して送受信され、距離が離れると切り変えられて他の送信器と受信器のセットで送信を行う。マイクロ波受信器39で受信した電力は、スライド6に配置された二次電池であるバッテリー42に蓄電される。スライド6には、本例では上部、及び下部位置に、マイクロ波送信器41が2台配置されている。マイクロ波送信器41は、内蔵しているアンプによりバッテリー42に蓄電されている電力により給電され、マイクロ波を発振できる。又、バッテリー42に蓄電され電力により、スライダ6に搭載されたリニアエンコーダ21、クランプセンサ25等の無線送信ユニットは、内蔵した各センサーのアンプを駆動し、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等の無線で施工管理装置30に検出したデータを送る。
【0018】
スライド6上を上下に移動できる回転ヘッド10には、マイクロ波受信器43が配置されている。マイクロ波受信器43は、スライダ6上の上部、又は下部のマイクロ波送信器41から発振されるマイクロ波を受信する。回転ヘッド10には、二次電池であるバッテリー44が搭載され、マイクロ波受信器43で受信した電力を蓄電する。バッテリー44に蓄電された電力により、回転ヘッド10に搭載されたロータリエンコーダ23等の各種センサーユニットに電力を供給し、データ等をWi-Fi等の無線で施工管理装置30に検出したデータを送る。
【0019】
[電力制御方法]
図3は、施工管理装置30の構成例を示すブロック図である。施工管理装置30は、中央処理手段、記憶手段、バス手段、入力手段、出力手段等からなる電子計算機である。本例では、施工管理装置30は、CPU50、RAM51、ROM52、補助記憶装置53、バス54、表示手段55、入力手段56、出力手段57、無線通信手段58、ネット通信手段59、第1マイクロ波送信機接続端子60、第2マイクロ波送信機接続端子61等から構成されている。CPU50は、中央処理手段であり、RAM51に展開されたプログラムコードを処理し、装置全体の動作を制御するものである。
【0020】
ROM(Read Only Memory)52はブートプログラム等の装置全体の初期動作等に必須のプログラム、データを格納した読み出し専用のメモリ手段であり、電源なしでも格納データが消えないものである。RAM(Random Access Memory)51は、ROM52、補助記憶装置53からのプログラムコード、データを格納するメモリ手段で、これをCPU50が順番に処理する。そのため、メインメモリ(主記憶装置)とも言う。RAM51は電源供給がなくなると格納しているデータが消える。補助記憶装置53はメモリ手段の一種で、CPU50から主力される命令で動作し、プログラムコードデータ等を格納もので、RAM51より容量が大きい。
【0021】
HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)等が例示できる。バス54は電子計算機の各種内部装置を接続し、共通のインターフェースを提供して互いにデータ送受信できるようにするものである。表示手段55は、ディスプレイ、タッチパネル等の表示器であり、CPU50の処理結果を表示するためのものである。入力手段56は、キーボード、マウス等のデータ入力するためのものである。入力手段56は、タッチパネルであっても良い。出力手段57は処理結果を出力するものであり、ディスプレイ、タッチパネル等の表示器、各種外部機を接続するためのインターフェースである。
【0022】
無線通信手段58は、外部通信装置と通信するための装置であり、本例では、前述した地盤改良機1に搭載された各種センサーユニットと通信するためのものである。ネット通信手段59は、外部通信装置と通信するための装置であり、本例では、外部のネットワークワーク通信装置、例えば、無線通信網のルータ、携帯機器等と通信するためのものある。第1マイクロ波送信機接続端子60は、外部機器と接続するためのインターフェースであり、本例では、第1マイクロ波送信器36と接続しそれを制御するためのものである。
【0023】
第2マイクロ波送信機接続端子61は、外部機器と接続するためのインターフェースであり、本例では、第2マイクロ波送信器37と接続しそれを制御するためのものである。上記の各機器55-61は、バス54にインターフェース55aー61aを介して接続されている。補助記憶装置53には、施工管理装置30上に動作し、制御するための管理プログラム、無線機制御プログラム、その他の必要なアプリケーションプログラム(図示せず。)のコード、ユーザデータ(図示せず。)等が格納される。また、施工管理装置30は、蓄電池32に接続するための電源ユニット62を内蔵し、内蔵の各装置に電源供給を行う。施工管理装置30の詳細な動作は本発明の要旨ではないので、詳細な説明を省略する。
【0024】
図4は、マイクロ波送信機70の構成例を示すブロック図である。マイクロ波送信機70は、前述した図2に示す第1マイクロ波送信器36、第2マイクロ波送信器37、マイクロ波送信器41、又は、図7に示すマイクロ波送信器137,140の回路例である。マイクロ波送信機70は、機器を制御するためのコントローラ71、電源インターフェース72、インバータ73、マイクロ波送信アンテナ74等から構成される。コントローラ71は、機器全体の制御を行うものであり、電源インターフェース72に外部から電源供給されているとき、これをマイクロ波送信アンテナ74で送信する。マイクロ波は、放射型のワイヤレス給電であり、市販され使用されているものであれば、任意の方式のものを利用できる。例えば、微弱電磁波型の放射型ワイヤレス給電方式、電磁誘導方式、電界結合方式、磁界共振結合方式等が例示できる。そのため、マイクロ波送信アンテナ74はこれに適した任意のアンテナが使用できる。
【0025】
本例のマイクロ波送信アンテナ74は無線給電のみに利用される。そのため、無変調電磁波発振であるため、1MHz帯から数十GHz帯の任意の周波数を発振できるものであれば、任意のマイクロ波送信機、マイクロ波アンテナが利用できる。しかし、周囲の電子機器への安全性、各規制等により利用できる周波数が制限されるので、これに限定しないが、無免許で利用できる周波数帯が望ましく、例えば、2.4Ghz帯が好ましく使用できる。電源インターフェース72は、電源に接続するためのものであり、本例では、蓄電池32、バッテリー42,バッテリー44等に接続される。
【0026】
インバータ73は、電源インターフェース72からの直流電流を交流電流変換するものである。マイクロ波送信アンテナ74は、マイクロ波を送信するためのものである。コントローラ71は、インバータ73を制御することで、マイクロ波送信アンテナ74からマイクロ波の発振を制御する。コントローラ71はインバータ73を監視し、マイクロ波発振に必要な電力である場合に、インバータ73の出力を制御し、マイクロ波送信アンテナ74からマイクロ波を出力させる。現場の状況に応じて利用するマイクロ波の周波数が決定される。このためインバータ73と、マイクロ波送信アンテナ74は、利用する周波数に合わせて設計されているので、発振するマクロ波の周波数が利用時に変化しない。
【0027】
図5は、マイクロ波受信機80の構成例を示すブロック図である。マイクロ波受信機80は、前述した図2に示すマイクロ波受信器39、マイクロ波受信器43、又は、図7に示すマイクロ波受信器138,141の回路例である。マイクロ波受信機80は、機器を制御するためのコントローラ81、マイクロ波受信アンテナ82、整流回路83、DC-DCコンバータ84、インターフェース85等からなる。コントローラ81は、機器全体の制御を行うものであり、マイクロ波受信アンテナ82でマイクロ波を受信したとき、整流回路83とDC-DCコンバータ84を制御する。マイクロ波受信アンテナ82は、マイクロ波を受信するためのものであり、本例では、マイクロ波送信アンテナ74から送信されたマイクロ波を受信するため、マイクロ波送信アンテナ74と同じ周波数で動作するように設計される。
【0028】
マイクロ波受信アンテナ82は、設定された周波数のマイクロ波受信し、整流回路83へ出力する。整流回路83は、交流電流を直流電流に変換するものであり、本例では受信したマイクロ波による交流電流を直電流に変換して、DC-DCコンバータ84へ出力する。DC-DCコンバータ84は、直流電流を直流電流に変換するもので、出力の電圧が一定又は一定範の電圧になるように、動作する。本例では、これに限定しないが例えば5Vに設定される。インターフェース85は、負荷86を接続し、電力供給をするための端子である。負荷86は、本例ではバッテリー42,バッテリー44等が接続されている。これによりマイクロ波受信機80はマイクロ波受信アンテナ82でマイクロ波を受信し、設定された一定電圧の直流電流を負荷86へ出力する。
【0029】
[動作例]
図6は、本発明の実施の形態1の施工管理装置30の動作例を示すフローチャートであり、マイクロ波を利用し、各種センサーユニット等に電力供給を行うときの動作である。まず、施工管理装置30が電源に接続され動作を開始すると、管理プログラム等が動作し各初期化を行う(ステップ1,2)。例えば、施工管理装置30自身の動作パラメータの初期化、有線・無線で接続されている各種機器の確認、必要であれば通信の確立等を行う。このとき、地盤改良機1に搭載されている各センサーユニットと無線通信の確立を行う。
【0030】
次に、施工管理装置30がリーダ4上の第1マイクロ波送信器36と第2マイクロ波送信器37、及びスライダ6上のマイクロ波送信器41との接続を確認し、接続の確立を行う(ステップ3,4)。施工管理装置30は、センサーユニット等から受信したデータ、初期化された内部データ等を利用し、リーダ4上の第1マイクロ波送信器36と第2マイクロ波送信器37、スライド6上の3台のマイクロ波送信器39と2台のマイクロ波送信器41、回転ヘッド10上のマイクロ波受信器43の相互の位置関係を計算し、それらの位置を特定する(ステップ5)。このとき、送信したマイクロ波を受信できる範囲にあるマイクロ波受信器39がある場合に、それに合致する第1マイクロ波送信器36、及び/又は第2マイクロ波送信器37を動作させ、マイクロ波を送信する(ステップ6)。何れか1台、又は複数台のマイクロ波受信器39は送信されたマイクロ波を受信し、接続されているスライド6上のバッテリー42を充電し蓄電する(ステップ7)。次に、スライド6上の上部、又は下部に配置されたマイクロ波送信器41がマイクロ波を発振し、これをマイクロ波受信器43が受信し、回転ヘッド10上のバッテリー44を充電し蓄電する。このようにマイクロ波受信器39,43で受信したマイクロ波の電力は、バッテリー42,44を充電する、又はダイレクトに負荷に電力を供給する。
【0031】
上述の通り、地盤改良機1内のデータ通信には、近距離無線通信規格のブルートゥース、Wi-Fi等を例示したが、同様の機能を実現できるものであれば、必要に応じて任意の通信規格のものを使用するすることができる。ブルートゥースは、通常、数メートルから数十メートル程度の距離でデータ通信が可能な規格であり、通信・コンピュータ業界の非営利法人が運営するBluetooth SIG(Bluetooth Special Interest Group)によって開発運用されている規格である。Wi-Fi(ワイファイ)は、数百メートルまで無線通信通信できる規格で、Wi-Fi Aalliance(業界団体)によって、国際標準規格であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続ができる無線通信か規格である。ブルートゥース、Wi-Fi等の無線通信規格は、本発明の要旨ではないので、詳細な説明は省略する。
【0032】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2の電力供給供給システムの概要である。実施の形態2の電力供給供給システムと実施の形態1の電力供給供給システムと異なる点は、実施の形態2の電力供給供給システムは、送信器と受信器を移動方向に対向して配置した点である。図7に示すように、実施の形態2の施工管理装置は地盤改良機100であるが、送信器、受信器の配置位置が実施の形態1のものとは異なる。地盤改良機100は、クローラ装置102によって走行する車体103と、車体103に対して起立及び傾倒可能に取り付けられた柱状のリーダ104を有している。柱状のリーダ104は、リーダ起伏用シリンダ105で車体103を支点として起伏可能である。リーダ4には柱状のスライド106がリーダ104に沿って、上下移動可能に取り付けられている。
【0033】
回転ヘッド110は、スライド106上を上下に移動自在に駆動される。このように、実施の形態2の地盤改良機100は、実施の形態1の地盤改良機1の基本的な構造、機能と実質的に同一である。実施の形態2の地盤改良機100は、実施の形態1の地盤改良機と同様に、電力供給システム150を備えている。この電力供給システム150は、車体103に搭載されている発電機、蓄電池、各種センサー等は、実施の形態1の電力供給システム35ものと同様なので、その説明は省略する。地盤改良機100のリーダ104には、マイクロ波送信器137が固定設置されている。これに対応してスライド106には、マイクロ波受信器138が固定配置されている。また、スライド106上には、マイクロ波受信器138で受電した電力を蓄電するバッテリー139が固定設置されている。リーダ104上のマイクロ波送信器137と、スライド106のマイクロ波受信器138は互いに対向しており、その発振されるマイクロ波の中心が一致するように直線状に配置されている。即ち、スライド106がリーダ104上を移動してもリーダ104上のマイクロ波送信器137とスライド106上のマイクロ波受信器138は向き合うことになる。従って、マイクロ波を送信、受信を遮断することがないので、マイクロ波の送信、受信時間を長く保つことができる利点がある。
【0034】
受信したマイクロ波の電力は、スライド106に搭載されたバッテリー139に蓄電されて、無線によるセンサーのデータの送受信に使用される。スライド106の前側(図示上の右側)の最上部、及び最下部の位置には、マイクロ波送信器140が夫々配置固定されている。スライド106のマイクロ波送信器140に対向するように、回転ヘッド110にはマイクロ波受信器141が配置固定されている。従って、マイクロ波受信器141は、リーダ104上の最上部、又は最下部のマイクロ波送信器140から受信可能である。マイクロ波受信器141が受信した電力は、回転ヘッド110に搭載したバッテリー142に蓄電される。バッテリー142に蓄電されて実施の形態1と同様に蓄電された電力は無線によるセンサーのデータの送受信等に使用される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
??本発明は、土木工事の機械攪拌工法、高圧噴射工法、非開削工法に用いられる、地盤改良機、掘削機等の機械に利用され、特にこれらの機械に搭載されたセンサー等の機器に電力供給するために利用される。しかしながら、建設機械であれば、地盤改良機に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
1,100…地盤改良機
2,102…クローラ装置
3,103…車体
4,104…リーダ
5…リーダ起伏用シリンダ
6,106…スライド
7…ピストンロッド
10…回転ヘッド
11…ロッドチャック
12…回転駆動モータ
13…回転ロッド
14…ロッドクランプ
20…リーダ傾斜センサー
21…リニアエンコーダ(スライド用)
22…ロータリエンコーダ(フィード用)
23…ロータリエンコーダ(ロッド回転)
25…クランプセンサ
30…施工管理装置
31…発電機
32…蓄電池
35,150…電力供給システム
36…第1マイクロ波送信器
37…第2マイクロ波送信器
39,43,138,141…マイクロ波受信器
40…電力線
41,137,140…マイクロ波送信器
42,44,139,142…バッテリー
50…CPU50
51…RAM
52…ROM
53…補助記憶装置
54…バス
55…表示手段
56…入力手段
57…出力手段
58…無線通信手段
59…ネット通信手段
60…第1マイクロ波送信機接続端子
61…第2マイクロ波送信機接続端子
70…マイクロ波送信機
71…コントローラ
72…電源インターフェース
73…インバータ
74…マイクロ波送信アンテナ
80…マイクロ波受信機
81…コントローラ
82…マイクロ波受信アンテナ
83…整流回路
84…DC-DCコンバータ
85…インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7