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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072066
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ボールネジ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20240520BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
F16H25/24 A
F16H25/22 C
F16H25/24 B
F16H25/24 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182679
(22)【出願日】2022-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】523207755
【氏名又は名称】株式会社Tankyu
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 晴暢
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AB22
3J062BA31
3J062BA35
3J062CD04
3J062CD45
3J062CD54
3J062CD62
3J062CD66
(57)【要約】
【課題】ネジからナットにスラスト方向の力をより伝達する。
【解決手段】ボールネジは、ナットと、ネジと、を備えている。ナットは、ナット歯と、ネジのネジ歯を受け入れているとき、第1ナット歯溝と第2ナット歯溝が画定されるナット歯溝と、第1ナット歯溝に接続されている第1ボールリターン通路と、第2ナット歯溝に接続されている第2ボールリターン通路と、を備えている。複数の第1ボールは、ネジ歯の第1ネジ歯側面とナット歯との間に挟まれており、第1ナット歯溝と第1ボールリターン通路を循環する。複数の第2ボールは、ネジ歯の第2ネジ歯側面とナット歯との間に挟まれており、第2ナット歯溝と第2ボールリターン通路を循環する。第1ネジ歯側面は、第2ネジ歯側面と平行である。ネジが回転したときに、第1ネジ歯側面から第1ボールに第1加圧方向の力が加わり、第2ネジ歯側面から第2ボールに第1加圧方向と反対の第2加圧方向の力が加わる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールネジであって、
ナットと、
前記ナットに挿入されており、前後方向に延びる回転軸を中心にして回転することにより、前記ナットに対して前記前後方向に移動するネジと、を備えており、
前記ネジは、前記回転軸周りを螺旋状に延びるネジ歯を備えており、
前記ナットは、
前記ネジが挿入される本体と、
前記ネジの外面と対向する前記本体の内面上で、前記回転軸周りを螺旋状に延びるナット歯と、
前記前後方向に並ぶ前記ナット歯の間に配置されて前記回転軸周りを螺旋状に延びており、前記ネジ歯を受け入れるナット歯溝であって、前記ナット歯溝が前記ネジ歯を受け入れているとき、前記ネジ歯よりも前側において、前記ネジ歯と前記ナット歯との間に第1ナット歯溝が画定されるとともに、前記ネジ歯よりも後側において、前記ネジ歯と前記ナット歯との間に第2ナット歯溝が画定される、前記ナット歯溝と、
前記第1ナット歯溝の第1前側箇所と、前記第1前側箇所よりも後側に配置される第1後側箇所と、に接続されている第1ボールリターン通路と、
前記第2ナット歯溝の第2前側箇所と、前記第2前側箇所よりも後側に配置される第2後側箇所と、に接続されている第2ボールリターン通路と、を備えており、
前記ボールネジは、
前記第1ナット歯溝内で、前記ネジ歯の第1ネジ歯側面と前記ナット歯との間に挟まれており、前記第1前側箇所と前記第1後側箇所を通って前記第1ナット歯溝と前記第1ボールリターン通路を循環する複数の第1ボールと、
前記第2ナット歯溝内で、前記ネジ歯の前記第1ネジ歯側面と反対側の第2ネジ歯側面と前記ナット歯との間に挟まれており、前記第2前側箇所と前記第2後側箇所を通って前記第2ナット歯溝と前記第2ボールリターン通路を循環する複数の第2ボールと、を備えており、
前記第1ネジ歯側面は、前記第2ネジ歯側面と平行であり、
前記ネジが第1回転方向に回転したときに、前記ネジ歯の前記第1ネジ歯側面から前記第1ボールに第1加圧方向の力が加わり、
前記ネジが前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転したときに、前記ネジ歯の前記第2ネジ歯側面から前記第2ボールに前記第1加圧方向と反対の第2加圧方向の力が加わる、ボールネジ。
【請求項2】
前記ナット歯は、
前記ネジ歯の前記第1ネジ歯側面と対向しており、前記第1ネジ歯側面と平行である第1ナット歯側面と、
前記ネジ歯の前記第2ネジ歯側面と対向しており、前記第2ネジ歯側面と平行である第2ナット歯側面と、を備えている、請求項1に記載のボールネジ。
【請求項3】
前記ナット歯は、
前記第1ナット歯側面上で、前記回転軸周りを螺旋状に延びており、前記複数の第1ボールを受け入れる第1ボール溝と、
前記第2ナット歯側面上で、前記回転軸周りを螺旋状に延びており、前記複数の第2ボールを受け入れる第2ボール溝と、を有している、請求項2に記載のボールネジ。
【請求項4】
前記ナットは、
前記複数の第1ボールに対して、前記本体の前記内面と反対側に配置されており、前記複数の第1ボールを前記第1ナット歯溝内に保持する第1リテーナと、
前記複数の第2ボールに対して、前記本体の前記内面と反対側に配置されており、前記複数の第2ボールを前記第2ナット歯溝内に保持する第2リテーナと、を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のボールネジ。
【請求項5】
前記ナットは、
前記第1ナット歯溝の前記第1前側箇所と、前記第2ナット歯溝の前記第2前側箇所よりも前記ナット歯溝の前端側で、前記ナット歯溝を塞ぐ前側シール部材と、
前記第1ナット歯溝の前記第1後側箇所と、前記第2ナット歯溝の前記第2後側箇所よりも前記ナット歯溝の後端側で、前記ナット歯溝を塞ぐ後側シール部材と、を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のボールネジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、ボールネジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボールネジ装置が開示されている。ボールネジ装置では、複数のボールは、ボールネジ軸の凹部とボールネジナットの凹部との間に挟まれている。ボールネジ軸が回転すると、複数のボールは、ボールネジ軸の凹部とボールネジナットの凹部との間を転がって移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-107713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような従来のボールネジでは、ボールネジ軸からボールネジナットに加わる力は、スラスト方向の力とラジアル方向の力に分散される。
【0005】
本明細書は、ネジからナットにスラスト方向の力をより伝達することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術の第1の態様では、ボールネジは、ナットと、ナットに挿入されており、前後方向に延びる回転軸を中心にして回転することにより、ナットに対して前後方向に移動するネジと、を備えている。ネジは、回転軸周りを螺旋状に延びるネジ歯を備えている。ナットは、ネジが挿入される本体と、ネジの外面と対向する本体の内面上で、回転軸周りを螺旋状に延びるナット歯と、前後方向に並ぶナット歯の間に配置されて回転軸周りを螺旋状に延びており、ネジ歯を受け入れるナット歯溝であって、ナット歯溝がネジ歯を受け入れているとき、ネジ歯よりも前側において、ネジ歯とナット歯との間に第1ナット歯溝が画定されるとともに、ネジ歯よりも後側において、ネジ歯とナット歯との間に第2ナット歯溝が画定される、ナット歯溝と、第1ナット歯溝の第1前側箇所と、第1前側箇所よりも後側に配置される第1後側箇所と、に接続されている第1ボールリターン通路と、第2ナット歯溝の第2前側箇所と、第2前側箇所よりも後側に配置される第2後側箇所と、に接続されている第2ボールリターン通路と、を備えている。ボールネジは、第1ナット歯溝内で、ネジ歯の第1ネジ歯側面とナット歯との間に挟まれており、第1前側箇所と第1後側箇所を通って第1ナット歯溝と第1ボールリターン通路を循環する複数の第1ボールと、第2ナット歯溝内で、ネジ歯の第1ネジ歯側面と反対側の第2ネジ歯側面とナット歯との間に挟まれており、第2前側箇所と第2後側箇所を通って第2ナット歯溝と第2ボールリターン通路を循環する複数の第2ボールと、を備えている。第1ネジ歯側面は、第2ネジ歯側面と平行である。ネジが第1回転方向に回転したときに、ネジ歯の第1ネジ歯側面から第1ボールに第1加圧方向の力が加わる。ネジが第1回転方向と反対の第2回転方向に回転したときに、ネジ歯の第2ネジ歯側面から第2ボールに第1加圧方向と反対の第2加圧方向に力が加わる。
【0007】
上記の構成によれば、第1ボールが第1ナット歯溝内で第1ネジ歯側面とナット歯との間に挟まれており、第1ネジ歯側面が第2ネジ歯側面と平行であるため、ネジが第1回転方向に回転したとき、第1ボールに加わる第1加圧方向の力は、スラスト方向の力、例えば、前方向の力に等しい。その後、第1ボールに加わった力がネジ歯に伝達される。また、第2ボールが第2ナット歯溝内で第2ネジ歯側面とナット歯との間に挟まれており、第2ネジ歯側面が第1ネジ歯側面と平行であるため、ネジが第2回転方向に回転したとき、第2ボールに加わる第2加圧方向の力は、スラスト方向の力、例えば、後方向の力に等しい。その後、第2ボールに加わった力がネジ歯に伝達される。よって、ネジからナットにスラスト方向の力をより伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例のボールネジ10の断面図である。
図2】実施例のボールネジ10において、ナット歯溝34に受け入れられているネジ歯22近傍の断面図である。
図3】実施例のボールネジ10を回転軸AXに直交する面で切断したときの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示する技術の第2の態様では、上記の第1の態様において、ナット歯は、ネジ歯の第1ネジ歯側面と対向しており、第1ネジ歯側面と平行である第1ナット歯側面と、ネジ歯の第2ネジ歯側面と対向しており、第2ネジ歯側面と平行である第2ナット歯側面と、を備えている。
【0010】
上記の構成によれば、ネジが第1回転方向に回転したとき、第1ボールから第1ナット歯側面には、第1加圧方向と同じ方向の力、即ち、スラスト方向の力が加わる。また、ネジが第2回転方向に回転したとき、第2ボールから第2ナット歯側面には、第2加圧方向と同じ方向の力、即ち、スラスト方向の力が加わる。よって、ネジからナットにスラスト方向の力をより伝達することができる。
【0011】
本明細書に開示する技術の第3の態様では、上記の第1または第2の態様において、ナット歯は、第1ナット歯側面上で、回転軸周りを螺旋状に延びており、複数の第1ボールを受け入れる第1ボール溝と、第2ナット歯側面上で、回転軸周りを螺旋状に延びており、複数の第2ボールを受け入れる第2ボール溝と、を有している。
【0012】
上記の構成によれば、第1ボールが第1ナット歯溝内をスムーズに転がって移動することができ、第2ボールが第2ナット歯溝内をスムーズに転がって移動することができる。
【0013】
本明細書に開示する技術の第4の態様では、上記の第3の態様において、ナットは、複数の第1ボールに対して、本体の内面と反対側に配置されており、複数の第1ボールを第1ナット歯溝内に保持する第1リテーナと、複数の第2ボールに対して、本体の内面と反対側に配置されており、複数の第2ボールを第2ナット歯溝内に保持する第2リテーナと、を備えている。
【0014】
上記の構成によれば、ネジがナットから取り外されたときに、第1ボールが第1ナット歯溝から抜け出ることを抑制することができ、第2ボールが第2ナット歯溝から抜け出ることを抑制することができる。
【0015】
本明細書に開示する技術の第5の態様では、上記の第1から第4のいずれか1つの態様において、ナットは、第1ナット歯溝の第1前側箇所と、第2ナット歯溝の第2前側箇所よりもナット歯溝の前端側で、ナット歯溝を塞ぐ前側シール部材と、第1ナット歯溝の第1後側箇所と、第2ナット歯溝の第2後側箇所よりもナット歯溝の後端側で、ナット歯溝を塞ぐ後側シール部材と、を備えている。
【0016】
上記の構成によれば、ナット歯溝内に、埃等の異物が侵入することを抑制することができる。
【0017】
(実施例)
図1に示すように、ボールネジ10は、ネジ12と、ナット14と、ボールユニット16と、を備えている。ネジ12は、ナット14に挿入されている。ボールユニット16は、ナット14内に配置されている。ネジ12の回転軸AXは、前後方向に延びている。ネジ12は、回転軸AXを中心にして回転すると、ナット14に対して前後方向に相対的に移動する。
【0018】
ネジ12は、金属材料または樹脂材料からなる。ネジ12は、本体20と、ネジ歯22と、を備えている。本体20は、前後方向に延びる円柱形状を有する。ネジ歯22は、本体20の外面24から、本体20の径方向外側に向かって突出している。ネジ歯22は、回転軸AX周りを螺旋状に延びている。図1では、ネジ歯22が螺旋状に延びる様子が、一点鎖線により図示されている。
【0019】
図2に示すように、ネジ歯22は、第1ネジ歯側面26と、第2ネジ歯側面28と、を備えている。第1ネジ歯側面26と第2ネジ歯側面28は、本体20の外面24と接続している。第1ネジ歯側面26と第2ネジ歯側面28は、外面24に直交している。第1ネジ歯側面26は、前面に相当し、第2ネジ歯側面28は、後面に相当する。第1ネジ歯側面26は、第2ネジ歯側面28と反対側の面である。第1ネジ歯側面26は、第2ネジ歯側面28と平行である。
【0020】
図1に示すように、ナット14は、本体30と、ナット歯32と、ナット歯溝34と、第1リテーナ36と、第2リテーナ38と、第1ボールリターン通路40と、第2ボールリターン通路42と、前側シール部材44と、後側シール部材46と、を備えている。本体30は、金属材料または樹脂材料からなる。本体30は、角筒形状を有する。本体30には、ネジ12が挿入されている。本体30の内面48は、本体20の外面24と対向している。内面48の断面は、円形状を有する。内面48の円中心は、回転軸AXと一致する。
【0021】
ナット歯32は、本体30の内面48から、本体30の径方向内側に向かって(回転軸AXに向かって)突出している。ナット歯32は、回転軸AX周りを螺旋状に延びている。図2に示すように、ナット歯32は、第1ナット歯側面50と、第2ナット歯側面52と、を備えている。第1ナット歯側面50と第2ナット歯側面52は、本体30の内面48と接続している。第1ナット歯側面50と第2ナット歯側面52は、内面48に直交している。第1ナット歯側面50は、ナット歯32の後面に対応し、第2ナット歯側面52は、ナット歯32の前面に対応する。第1ナット歯側面50は、第2ナット歯側面52と反対側の面である。第1ナット歯側面50は、第2ナット歯側面52と平行である。第1ナット歯側面50と第2ナット歯側面52はともに、回転軸AX周りを螺旋状に延びている。
【0022】
ナット歯溝34は、回転軸AX周りを螺旋状に延びている。ナット歯溝34は、前後方向に並ぶナット歯32の間に配置されている。ナット歯溝34は、第1ナット歯側面50と、第2ナット歯側面52と、本体30の内面48により画定されている。ナット歯溝34は、ネジ12のネジ歯22を受け入れる。ナット歯溝34がネジ歯22を受け入れているとき、第1ナット歯側面50(ナット歯32)は、第1ネジ歯側面26(ネジ歯22)よりも前側に位置し、第1ネジ歯側面26と平行に対向しており、第2ナット歯側面52(ナット歯32)は、第2ネジ歯側面28(ネジ歯22)よりも後側に位置し、第2ネジ歯側面28と平行に対向している。これにより、第1ナット歯側面50と第1ネジ歯側面26との間に、第1ナット歯溝54が画定され、第2ナット歯側面52と第2ネジ歯側面28との間に、第2ナット歯溝56が画定される。また、本体30の内面48には、凹部48aが形成されており、ナット歯溝34がネジ歯22を受け入れているとき、ネジ歯22は、凹部48aと対向する位置に配置される。
【0023】
第1リテーナ36は、第1ナット歯溝54の開口を覆うように、回転軸AX周りを螺旋状に延びている。第1リテーナ36の両端は、本体30に取り付けられている。第1リテーナ36は、本体30の内面48から離れている。第2リテーナ38は、第2ナット歯溝56の開口を覆うように、回転軸AX周りを螺旋状に延びている。第2リテーナ38の両端は、本体30に取り付けられている。第2リテーナ38は、本体30の内面48から離れている。
【0024】
図1に示すように、第1ボールリターン通路40は、第1ナット歯溝54の第1前側箇所60と第1後側箇所62に接続されている。第1後側箇所62は、第1ナット歯溝54内で、第1前側箇所60よりも後側に離れて配置されている。回転軸AXの周方向に関して、第1前側箇所60は、第1後側箇所62と同一の位置に配置されている。第1前側箇所60を基準としたとき、回転軸AXの周方向に関して、第1後側箇所62は、0度の位置に配置されている。第1ボールリターン通路40は、本体30の内部に配置されている。第1ボールリターン通路40の断面は、後述する第1ボール70の直径以上の直径を有する円形状を有する。
【0025】
第2ボールリターン通路42は、第2ナット歯溝56の第2前側箇所66と第2後側箇所68に接続されている。第2後側箇所68は、第2ナット歯溝56内で、第2前側箇所66よりも後側に離れて配置されている。第2前側箇所66は、第1前側箇所60よりも後側であって、第1後側箇所62よりも前側に配置されている。第2後側箇所68は、第1後側箇所62よりも後側に配置されている。回転軸AXの周方向に関して、第2前側箇所66は、第1前側箇所60と180度離れており、第2後側箇所68と同一の位置に配置されている。よって、第1前側箇所60を基準としたとき、回転軸AXの周方向に関して、第2前側箇所66と第2後側箇所68は、180度の位置に配置されている。第2ボールリターン通路42は、本体30の内部に配置されている。第2ボールリターン通路42は、第1ボールリターン通路40と連通していない。第2ボールリターン通路42の断面は、後述する第2ボール72の直径以上の直径を有する円形状を有する。
【0026】
前側シール部材44は、第1ナット歯溝54の第1前側箇所60と第2ナット歯溝56の第2前側箇所66の両方よりも、ナット歯溝34の長手方向の前端側に配置されている。前側シール部材44は、ナット歯溝34の前端から第1ナット歯溝54の第1前側箇所60まで配置されている。前側シール部材44は、ナット歯溝34を塞いでいる。また、前側シール部材44は、ネジ12(例えばネジ歯22)と接触している。前側シール部材44は、樹脂材料からなる。
【0027】
後側シール部材46は、第1ナット歯溝54の第1後側箇所62と第2ナット歯溝56の第2後側箇所68の両方よりも、ナット歯溝34の長手方向の後端側に配置されている。第1ナット歯溝54の第1前側箇所60と第1後側箇所62および第2ナット歯溝56の第2前側箇所66と第2後側箇所68は、前側シール部材44と後側シール部材46との間に配置されている。後側シール部材46は、ナット歯溝34の後端から第2ナット歯溝56の第2後側箇所68まで配置されている。後側シール部材46は、ナット歯溝34を塞いでいる。後側シール部材46は、ネジ12と接触している。後側シール部材46は、前側シール部材44の材料と同様の材料からなる。
【0028】
ボールユニット16は、複数の第1ボール70と、複数の第2ボール72と、を備えている。複数の第1ボール70は、第1ナット歯溝54と第1ボールリターン通路40の両方に配置されている。図2に示すように、第1ナット歯溝54内では、第1ボール70は、ネジ歯22の第1ネジ歯側面26とナット14の第1ナット歯側面50との間に挟まれている。
【0029】
第1ナット歯側面50には、第1ボール溝76が形成されている。第1ボール溝76は、第1ネジ歯側面26と対向している。第1ボール溝76は、第1ナット歯側面50から凹んでいる。図3に示すように、第1ボール溝76は、回転軸AXの周りを螺旋状に延びている。なお、図3では、ボールユニット16と第1ボール溝76と後述する第2ボール溝80の位置を理解し易くするために、ネジ歯22の図示が省略されており、第1ボール溝76と第2ボール溝80が破線で図示されている。第1ボール溝76は、第1前側箇所60(図1参照)と第1後側箇所62との間を延びている。図2に示すように、第1ボール70が第1ネジ歯側面26と第1ナット歯側面50との間に挟まれているとき、第1ボール溝76は、第1ボール70を受け入れており、第1ボール70は、本体30の内面48から離れている。これにより、第1ボール70は、第1ナット歯溝54内を移動しているときに内面48と接触し難い。第1ボール溝76は、第1ボール70の外面に沿う湾曲形状を有する。
【0030】
また、第1ナット歯溝54内では、第1ボール70は、本体30の内面48と第1リテーナ36との間に配置されている。第1リテーナ36は、第1ボール70の外面を部分的に覆うように配置されている。第1リテーナ36は、第1ボール70の外面に沿って湾曲している。第1リテーナ36は、第1ナット歯側面50と本体30の内面48のそれぞれから離れている。図2において、第1リテーナ36の一端と第1ナット歯側面50との間の最小の間隔は、第1ボール70の直径よりも小さい。また、第1リテーナ36の他端と本体30の内面48との間の最小の間隔は、第1ボール70の直径よりも小さい。これらにより、複数の第1ボール70は、第1リテーナ36により、第1ナット歯溝54内に保持される。このため、ネジ12がナット14から取り外されるときでも、複数の第1ボール70は、第1ナット歯溝54から抜け出ない。第1ボール70が第1ネジ歯側面26と第1ナット歯側面50との間に挟まれているとき、第1ボール70は、第1リテーナ36と離れている。これにより、第1ボール70は、第1ナット歯溝54内を移動しているときに第1リテーナ36と接触し難い。
【0031】
図1に示すように、複数の第2ボール72は、第2ナット歯溝56と第2ボールリターン通路42の両方に配置されている。図2に示すように、第2ナット歯溝56内では、第2ボール72は、ネジ歯22の第2ネジ歯側面28とナット14の第2ナット歯側面52との間に挟まされている。
【0032】
第2ナット歯側面52には、第2ボール溝80が形成されている。第2ボール溝80は、第2ネジ歯側面28と対向している。また、ネジ歯22がナット歯溝34に受け入れられていないとき、第2ボール溝80は、第1ボール溝76と対向する。第2ボール溝80は、第2ナット歯側面52から凹んでいる。図3に示すように、第2ボール溝80は、回転軸AXの周りを螺旋状に延びている。第2ボール溝80は、第2前側箇所66と第2後側箇所68との間を延びている。図2に示すように、第2ボール72が第2ネジ歯側面28と第2ナット歯側面52との間に挟まれているとき、第2ボール溝80は、第2ボール72を受け入れており、第2ボール72は、本体30の内面48から離れている。これにより、第2ボール72は、第2ナット歯溝56内を移動しているときに内面48と接触し難い。第2ボール溝80は、第2ボール72の外面に沿う湾曲形状を有する。
【0033】
また、第2ナット歯溝56内では、第2ボール72は、本体30の内面48と第2リテーナ38との間に配置されている。第2リテーナ38は、第2ボール72の外面を部分的に覆うように配置されている。第2リテーナ38は、第2ナット歯側面52と本体30の内面48のそれぞれから離れている。図2において、第2リテーナ38の一端と第2ナット歯側面52との間の最小の間隔は、第2ボール72の直径よりも小さい。また、第2リテーナ38の他端と本体30の内面48との間の最小の間隔は、第2ボール72の直径よりも小さい。これらにより、複数の第2ボール72は、第2リテーナ38により、第2ナット歯溝56内に保持される。このため、ネジ12がナット14から取り外されるときでも、複数の第2ボール72は、第2ナット歯溝56から抜け出ない。第2ボール72が第2ネジ歯側面28と第2ナット歯側面52との間に挟まれているとき、第2ボール72は、第2リテーナ38と離れている。これにより、第2ボール72は、第2ナット歯溝56内を移動しているときに第2リテーナ38と接触し難い。
【0034】
次に、ネジ12が回転したときの複数の第1ボール70と複数の第2ボール72の動きを説明する。図1に示すネジ12が回転軸AXを中心にして第1回転方向に回転すると、ネジ歯22がナット歯溝34内を移動することにより、ネジ12は、ナット14に対して前側に移動する。このとき、図2に示すように、ネジ歯22の第1ネジ歯側面26は、第1ナット歯溝54内で第1ボール70に加圧方向DP1に強く加圧され(押し付けられ)、かつ、第1ボール70は、ナット歯32の第1ナット歯側面50に加圧方向DP11に強く加圧される。このため、第1ネジ歯側面26から第1ボール70に加圧方向DP1の力が加わり、第1ボール70から第1ナット歯側面50に加圧方向DP11の力が加わる。加圧方向DP1は、第1ネジ歯側面26と直交しており、前方向である。また、加圧方向DP1は、加圧方向DP11と同じ方向である。これにより、ネジ12からナット14にスラスト方向の力(前方向の力)が加わり易くなる。第1ナット歯溝54内の複数の第1ボール70は、第1ボール溝76に案内されて、ネジ歯22がナット歯溝34内を移動する方向と同じ方向に転がって移動する。図1に示すように、複数の第1ボール70は、第1ボール溝76に案内されて第1前側箇所60まで到達すると、第1前側箇所60を通って第1ナット歯溝54から第1ボールリターン通路40に移動する。ネジ12の回転に伴い、複数の第1ボール70は、第1ボールリターン通路40を転がって移動し、第1後側箇所62を通って第1ボールリターン通路40から第1ナット歯溝54に移動する。これにより、複数の第1ボール70は、第1ナット歯溝54、第1前側箇所60、第1ボールリターン通路40、第1後側箇所62、第1ナット歯溝54の順番に、第1ナット歯溝54と第1ボールリターン通路40を転がりながら循環する。
【0035】
また、第2ナット歯溝56内の複数の第2ボール72は、第2ボール溝80に案内されて、ネジ歯22がナット歯溝34内を移動する方向と同じ方向に転がって移動する。第2ボール72の移動方向は、第1ボール70の移動方向と同一である。複数の第2ボール72は、第2ボール溝80に案内されて第2前側箇所66まで到達すると、第2前側箇所66を通って第2ナット歯溝56から第2ボールリターン通路42に移動する。ネジ12の回転に伴い、複数の第2ボール72は、第2ボールリターン通路42を転がって移動し、第2後側箇所68を通って第2ボールリターン通路42から第2ナット歯溝56に移動する。これにより、複数の第2ボール72は、第2ナット歯溝56、第2前側箇所66、第2ボールリターン通路42、第2後側箇所68、第2ナット歯溝56の順番に、第2ナット歯溝56と第2ボールリターン通路42を転がりながら循環する。
【0036】
次に、ネジ12が回転軸AXを中心にして第2回転方向に回移すると、ネジ歯22がナット歯溝34内を移動することにより、ネジ12は、ナット14に対して後側に移動する。第2回転方向は、第1回転方向と反対の方向である。このとき、図2に示すように、ネジ歯22の第2ネジ歯側面28は、第2ナット歯溝56内で第2ボール72に加圧方向DP2に強く加圧され(押し付けられ)、かつ、第2ボール72は、ナット歯32の第2ナット歯側面52に加圧方向DP21に強く加圧される。このため、第2ネジ歯側面28から第2ボール72に加圧方向DP2の力が加わり、第2ボール72から第2ナット歯側面52に加圧方向DP21の力が加わる。加圧方向DP2は、第2ネジ歯側面28と直交しており、後方向である。また、加圧方向DP2は、加圧方向DP21と同じ方向であり、加圧方向DP1と反対の方向である。これにより、ネジ12からナット14にスラスト方向の力(後方向の力)が加わり易くなる。第2ナット歯溝56内の複数の第2ボール72は、第2ボール溝80に案内されて、ネジ歯22がナット歯溝34内を移動する方向と同じ方向(図3中の矢印の方向)に転がって移動する。図1に示すように、複数の第2ボール72は、第2ボール溝80に案内されて第2後側箇所68まで到達すると、第2後側箇所68を通って第2ナット歯溝56から第2ボールリターン通路42に移動する。ネジ12の回転に伴い、複数の第2ボール72は、第2ボールリターン通路42を転がって移動し、第2前側箇所66を通って第2ボールリターン通路42から第2ナット歯溝56に移動する。これにより、複数の第2ボール72は、第2ナット歯溝56、第2後側箇所68、第2ボールリターン通路42、第2前側箇所66、第2ナット歯溝56の順番に、第2ナット歯溝56と第2ボールリターン通路42を転がりながら循環する。
【0037】
また、第1ナット歯溝54内の複数の第1ボール70は、第1ボール溝76に案内されて、ネジ歯22がナット歯溝34内を移動する方向と同じ方向(図3中の矢印の方向)に転がって移動する。第1ボール70の移動方向は、第2ボール72の移動方向と同一である。複数の第1ボール70は、第1ボール溝76に案内された第1後側箇所62まで到達すると、第1後側箇所62を通って第1ナット歯溝54から第1ボールリターン通路40に移動する。ネジ12の回転に伴い、複数の第1ボール70は、第1ボールリターン通路40を転がって移動し、第1前側箇所60を通って第1ボールリターン通路40から第1ナット歯溝54に移動する。これにより、複数の第1ボール70は、第1ナット歯溝54、第1後側箇所62、第1ボールリターン通路40、第1前側箇所60、第1ナット歯溝54の順番に、第1ナット歯溝54と第1ボールリターン通路40を転がりながら循環する。
【0038】
(効果)
本実施例のボールネジ10は、ナット14と、ナット14に挿入されており、前後方向に延びる回転軸AXを中心にして回転することにより、ナット14に対して前後方向に移動するネジ12と、を備えている。ネジ12は、回転軸AX周りを螺旋状に延びるネジ歯22を備えている。ナット14は、ネジ12が挿入される本体30と、ネジ12の外面24と対向する本体30の内面48上で、回転軸AX周りを螺旋状に延びるナット歯32と、前後方向に並ぶナット歯32の間に配置されて回転軸AX周りを螺旋状に延びており、ネジ歯22を受け入れるナット歯溝34であって、ナット歯溝34がネジ歯22を受け入れているとき、ネジ歯22よりも前側において、ネジ歯22とナット歯32との間に第1ナット歯溝54が画定されるとともに、ネジ歯22よりも後側において、ネジ歯22とナット歯32との間に第2ナット歯溝56が画定される、ナット歯溝34と、第1ナット歯溝54の第1前側箇所60と、第1前側箇所60よりも後側に配置される第1後側箇所62と、に接続されている第1ボールリターン通路40と、第2ナット歯溝56の第2前側箇所66と、第2前側箇所66よりも後側に配置される第2後側箇所68と、に接続されている第2ボールリターン通路42と、を備えている。ボールネジ10は、第1ナット歯溝54内で、ネジ歯22の第1ネジ歯側面26とナット歯32との間に挟まれており、第1前側箇所60と第1後側箇所62を通って第1ナット歯溝54と第1ボールリターン通路40を循環する複数の第1ボール70と、第2ナット歯溝56内で、ネジ歯22の第1ネジ歯側面26と反対側の第2ネジ歯側面28とナット歯32との間に挟まれており、第2前側箇所66と第2後側箇所68を通って第2ナット歯溝56と第2ボールリターン通路42を循環する複数の第2ボール72と、を備えている。第1ネジ歯側面26は、第2ネジ歯側面28と平行である。ネジ12が第1回転方向に回転したときに、ネジ歯22の第1ネジ歯側面26から第1ボール70に第1加圧方向DP1の力が加わる。ネジ12が第1回転方向と反対の第2回転方向に回転したときに、ネジ歯22の第2ネジ歯側面28から第2ボール72に第1加圧方向DP1と反対の第2加圧方向DP2の力が加わる。
【0039】
上記の構成によれば、第1ボール70が第1ナット歯溝54内で第1ネジ歯側面26とナット歯32との間に挟まれており、第1ネジ歯側面26が第2ネジ歯側面28と平行であるため、ネジ12が第1回転方向に回転したとき、第1ボール70に加わる第1加圧方向DP1の力は、スラスト方向の力、例えば、前方向の力に等しい。その後、第1ボール70に加わった力がネジ歯22に伝達される。また、第2ボール72が第2ナット歯溝56内で第2ネジ歯側面28とナット歯32との間に挟まれおり、第2ネジ歯側面28が第1ネジ歯側面26と平行であるため、ネジ12が第2回転方向に回転したとき、第2ボール72に加わる第2加圧方向DP2の力は、スラスト方向の力、例えば、後方向の力に等しい。その後、第2ボール72に加わった力がネジ歯22に伝達される。よって、ネジ12からナット14にスラスト方向の力をより伝達することができる。
【0040】
また、ナット歯32は、ネジ歯22の第1ネジ歯側面26と対向しており、第1ネジ歯側面26と平行である第1ナット歯側面50と、ネジ歯22の第2ネジ歯側面28と対向しており、第2ネジ歯側面28と平行である第2ナット歯側面52と、を備えている。
【0041】
上記の構成によれば、ネジ12が第1回転方向に回転したとき、第1ボール70から第1ナット歯側面50には、第1加圧方向DP1と同じ方向の力、即ち、スラスト方向の力が加わる。また、ネジ12が第2回転方向に回転したとき、第2ボール72から第2ナット歯側面52には、第2加圧方向DP2と同じ方向の力、即ち、スラスト方向の力が加わる。よって、ネジ12からナット14にスラスト方向の力をより伝達することができる。
【0042】
また、ナット歯32は、第1ナット歯側面50上で、回転軸AX周りを螺旋状に延びており、複数の第1ボール70を受け入れる第1ボール溝76と、第2ナット歯側面52上で、回転軸AX周りを螺旋状に延びており、複数の第2ボール72を受け入れる第2ボール溝80と、を有している。
【0043】
上記の構成によれば、第1ボール70が第1ナット歯溝54内をスムーズに転がって移動することができ、第2ボール72が第2ナット歯溝56内をスムーズに転がって移動することができる。
【0044】
また、ナット14は、複数の第1ボール70に対して、本体30の内面48と反対側に配置されており、複数の第1ボール70を第1ナット歯溝54内に保持する第1リテーナ36と、複数の第2ボール72に対して、本体30の内面48と反対側に配置されており、複数の第2ボール72を第2ナット歯溝56内に保持する第2リテーナ38と、を備えている。
【0045】
上記の構成によれば、ネジ12がナット14から取り外されたときに、第1ボール70が第1ナット歯溝54から抜け出ることを抑制することができ、第2ボール72が第2ナット歯溝56から抜け出ることを抑制することができる。
【0046】
また、ナット14は、第1ナット歯溝54の第1前側箇所60と、第2ナット歯溝56の第2前側箇所66よりもナット歯溝34の前端側で、ナット歯溝34を塞ぐ前側シール部材44と、第1ナット歯溝54の第1後側箇所62と、第2ナット歯溝56の第2後側箇所68よりもナット歯溝34の後端側で、ナット歯溝34を塞ぐ後側シール部材46と、を備えている。
【0047】
上記の構成によれば、ナット歯溝34内に、埃等の異物が侵入することを抑制することができる。
【0048】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0049】
10 :ボールネジ
12 :ネジ
14 :ナット
16 :ボールユニット
20 :本体
22 :ネジ歯
24 :外面
26 :第1ネジ歯側面
28 :第2ネジ歯側面
30 :本体
32 :ナット歯
34 :ナット歯溝
36 :第1リテーナ
38 :第2リテーナ
40 :第1ボールリターン通路
42 :第2ボールリターン通路
44 :前側シール部材
46 :後側シール部材
48 :内面
50 :第1ナット歯側面
52 :第2ナット歯側面
54 :第1ナット歯溝
56 :第2ナット歯溝
60 :第1前側箇所
62 :第1後側箇所
66 :第2前側箇所
68 :第2後側箇所
70 :第1ボール
72 :第2ボール
76 :第1ボール溝
80 :第2ボール溝
AX :回転軸
DP1、DP2、DP11、DP21:加圧方向
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールネジであって、
ナットと、
前記ナットに挿入されており、前後方向に延びる回転軸を中心にして回転することにより、前記ナットに対して前記前後方向に移動するネジと、を備えており、
前記ネジは、前記回転軸周りを螺旋状に延びるネジ歯を備えており、
前記ナットは、
前記ネジが挿入される本体と、
前記ネジの外面と対向する前記本体の内面上で、前記回転軸周りを螺旋状に延びるナット歯と、
前記前後方向に並ぶ前記ナット歯の間に配置されて前記回転軸周りを螺旋状に延びており、前記ネジ歯を受け入れるナット歯溝であって、前記ナット歯溝が前記ネジ歯を受け入れているとき、前記ネジ歯よりも前側において、前記ネジ歯と前記ナット歯との間に第1ナット歯溝が画定されるとともに、前記ネジ歯よりも後側において、前記ネジ歯と前記ナット歯との間に第2ナット歯溝が画定される、前記ナット歯溝と、
前記第1ナット歯溝の第1前側箇所と、前記第1前側箇所よりも後側に配置される第1後側箇所と、に接続されている第1ボールリターン通路と、
前記第2ナット歯溝の第2前側箇所と、前記第2前側箇所よりも後側に配置される第2後側箇所と、に接続されている第2ボールリターン通路と、を備えており、
前記ボールネジは、
前記第1ナット歯溝内で、前記ネジ歯の第1ネジ歯側面と前記ナット歯との間に挟まれており、前記第1前側箇所と前記第1後側箇所を通って前記第1ナット歯溝と前記第1ボールリターン通路を循環する複数の第1ボールと、
前記第2ナット歯溝内で、前記ネジ歯の前記第1ネジ歯側面と反対側の第2ネジ歯側面と前記ナット歯との間に挟まれており、前記第2前側箇所と前記第2後側箇所を通って前記第2ナット歯溝と前記第2ボールリターン通路を循環する複数の第2ボールと、を備えており、
前記第1ネジ歯側面は、前記第2ネジ歯側面と平行であり、
前記ネジが第1回転方向に回転したときに、前記ネジ歯の前記第1ネジ歯側面から前記第1ボールに第1加圧方向の力が加わり、
前記ネジが前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転したときに、前記ネジ歯の前記第2ネジ歯側面から前記第2ボールに前記第1加圧方向と反対の第2加圧方向の力が加わり、
前記ナットは、
前記複数の第1ボールに対して、前記本体の前記内面と反対側に配置されており、前記複数の第1ボールを前記第1ナット歯溝内に保持する第1リテーナと、
前記複数の第2ボールに対して、前記本体の前記内面と反対側に配置されており、前記複数の第2ボールを前記第2ナット歯溝内に保持する第2リテーナと、を備えている、ボールネジ。
【請求項2】
前記ナット歯は、
前記ネジ歯の前記第1ネジ歯側面と対向しており、前記第1ネジ歯側面と平行である第1ナット歯側面と、
前記ネジ歯の前記第2ネジ歯側面と対向しており、前記第2ネジ歯側面と平行である第2ナット歯側面と、を備えている、請求項1に記載のボールネジ。
【請求項3】
前記ナット歯は、
前記第1ナット歯側面上で、前記回転軸周りを螺旋状に延びており、前記複数の第1ボールを受け入れる第1ボール溝と、
前記第2ナット歯側面上で、前記回転軸周りを螺旋状に延びており、前記複数の第2ボールを受け入れる第2ボール溝と、を有している、請求項2に記載のボールネジ。
【請求項4】
前記ナットは、
前記第1ナット歯溝の前記第1前側箇所と、前記第2ナット歯溝の前記第2前側箇所よりも前記ナット歯溝の前端側で、前記ナット歯溝を塞ぐ前側シール部材と、
前記第1ナット歯溝の前記第1後側箇所と、前記第2ナット歯溝の前記第2後側箇所よりも前記ナット歯溝の後端側で、前記ナット歯溝を塞ぐ後側シール部材と、を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載のボールネジ。