(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072079
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】天板付き梯子
(51)【国際特許分類】
E06C 1/393 20060101AFI20240520BHJP
E06C 1/36 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
E06C1/393
E06C1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182695
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野々村 英輝
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044BA11
2E044BB09
2E044BC04
2E044BC12
2E044CA04
2E044CB03
2E044DA04
2E044DC03
2E044EC03
(57)【要約】
【課題】搬送性および保管性に優れた天板付き梯子を提供する。
【解決手段】上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱2と、支柱2間に横架される複数の踏桟3と、支柱2間における踏桟3よりも上位置に横架される天板4と、各支柱2に沿って設けられる左右一対の手摺5と、手摺5を支柱2の後面部2d後方へ起立させた展開位置と支柱2間の中央側へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する手摺支持部9と、天板4を支柱2の前方へ延在させた展開位置と支柱2の前側下方へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する天板支持部8と、を備え、天板4は、設置対象部Pに掛合可能なフック部13を有し、折畳位置にあるとき、両支柱2間の隙間S1において支柱2と左右横並びに配設され、フック部13は、天板4が折畳位置にあるとき、支柱2の前面部2cよりも後方位置に配設される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱と、前記支柱間に横架される複数の踏桟と、前記支柱間における前記踏桟よりも上位置に横架される天板と、前記各支柱に沿って設けられる左右一対の手摺と、を備えた天板付き梯子であって、
前記手摺を前記支柱の後面部後方へ起立させた展開位置と前記支柱間の中央側へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する手摺支持部と、
前記天板を前記支柱の前方へ延在させた展開位置と前記支柱の前側下方へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する天板支持部と、を備え、
前記天板は、設置対象部に掛合可能なフック部を有し、前記折畳位置にあるとき、前記両支柱間の隙間において当該支柱と左右横並びに配設され、
前記フック部は、前記天板が前記折畳位置にあるとき、前記支柱の前面部よりも後方位置に配設される天板付き梯子。
【請求項2】
前記フック部は、前記手摺および前記天板が共に前記折畳位置にあるとき、後方に面する前記手摺の外側面部よりも前方位置に配設される請求項1に記載の天板付き梯子。
【請求項3】
前記天板は、前記折畳位置にあるとき、踏板面部が前記支柱の前面部よりも後方位置に配設される請求項1に記載の天板付き梯子。
【請求項4】
前記天板は、踏板面部と反対側の裏面部において摺動可能に支持されるロックピンと、前記ロックピンを摺動方向一方へ押圧付勢する付勢部材と、を有し、
前記天板支持部は、前記支柱の上端部に連設固定される支持ブラケットと、前記天板を前記支持ブラケットに枢支連結する支軸と、前記支持ブラケットに貫設され、前記天板が前記展開位置にあるときに前記ロックピンが挿通される第1ピン挿通孔と、前記支持ブラケットに貫設され、前記天板が前記折畳位置にあるときに前記ロックピンが挿通される第2ピン挿通孔と、前記支持ブラケットの上縁部に設けられ、前記天板が前記展開位置にあるときに当該天板の踏板面部に当接される係止片と、を有している請求項1~3のいずれか1項に記載の天板付き梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所に立て掛けて使用される天板付きの梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷台上部など高所に立て掛けて使用される梯子において、搬送性や保管性を考慮して、左右の支柱間の上部に設けられた天板と、各支柱に沿って設けられた手摺とがそれぞれ折畳可能に構成されたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された梯子は、左右一対の支柱と、両支柱間に横架される複数の踏桟と、両支柱の上端部間に横架される天板と、各支柱に沿って設けられる左右一対の手摺と、を備えている。天板は、支柱の上端部に対して、踏桟と同じ角度で固定される使用状態と支柱の上端上方へ延長するように同一直線上となる角度で固定される未使用状態とに変位可能に連結されている。また、天板の左右の側面部には、トラックの荷台のアオリ板に係合可能なフックが設けられている。フックは、天板の裏面側へ突出して設けられている。一方、手摺は、支柱の上下に配設された軸支部に対して、支柱に対して垂直に起立させた状態と平行に傾倒させた状態とに変位可能に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の梯子は、不使用時、左右の手摺を支柱間の中央側へ傾倒させて重ね合わせると共に、天板を支柱の上端上方へ延長するように角度変更させることで、梯子の前後方向(支柱および踏桟の長手方向に対してそれぞれ直交する方向)の厚さ寸法を小さく折り畳むことができる。
【0006】
しかしながら、このものでは、上記のような折畳状態にしても、天板のフックが支柱の前方に突出した状態で配置されるため、その分、厚さ寸法が小さくならないし、持ち運んだり積み重ねたりする際に外物や他の梯子等に引掛かり、作業の邪魔にもなる。
【0007】
本発明は、上記のような問題を鑑みてなされたものであり、搬送性および保管性に優れた天板付き梯子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の天板付き梯子は、以下の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の天板付き梯子は、上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱と、前記支柱間に横架される複数の踏桟と、前記支柱間における前記踏桟よりも上位置に横架される天板と、前記各支柱に沿って設けられる左右一対の手摺と、を備えた天板付き梯子であって、前記手摺を前記支柱の後面部後方へ起立させた展開位置と前記支柱間の中央側へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する手摺支持部と、前記天板を前記支柱の前方へ延在させた展開位置と前記支柱の前側下方へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する天板支持部と、を備え、前記天板は、設置対象部に掛合可能なフック部を有し、前記折畳位置にあるとき、前記両支柱間の隙間において当該支柱と左右横並びに配設され、前記フック部は、前記天板が前記折畳位置にあるとき、前記支柱の前
面部よりも後方位置に配設される。
【0010】
前記フック部は、前記手摺および前記天板が共に前記折畳位置にあるとき、後方に面する前記手摺の外側面部よりも前方位置に配設されるようにしてもよい。
【0011】
前記天板は、前記折畳位置にあるとき、踏板面部が前記支柱の前面部よりも後方位置に配設されるようにしてもよい。
【0012】
前記天板は、踏板面部と反対側の裏面部において摺動可能に支持されるロックピンと、前記ロックピンを摺動方向一方へ押圧付勢する付勢部材と、を有し、前記天板支持部は、前記支柱の上端部に連設固定される支持ブラケットと、前記天板を前記支持ブラケットに枢支連結する支軸と、前記支持ブラケットに貫設され、前記天板が前記展開位置にあるときに前記ロックピンが挿通される第1ピン挿通孔と、前記支持ブラケットに貫設され、前記天板が前記折畳位置にあるときに前記ロックピンが挿通される第2ピン挿通孔と、前記支持ブラケットの上縁部に設けられ、前記天板が前記展開位置にあるときに当該天板の踏板面部に当接される係止片と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の天板付き梯子によれば、折畳状態における梯子全体の厚さを小さくできると共に、梯子の前後の凹凸を少なくできるから、搬送性および保管性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】天板付き梯子の展開状態の後方斜視図である。
【
図4】展開状態における天板周辺の下方斜視図である。
【
図5】展開状態における天板周辺の側方視断面図である。
【
図6】天板付き梯子の折畳状態の後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る天板付き梯子を、図面に基づき説明する。尚、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0016】
図1、
図2に示すように、本実施形態の天板付き梯子(以下、適宜「梯子」という)1は、主にトラックの荷台のアオリ板Pに立て掛けて用いられるトラック昇降用の梯子であり、上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱2と、支柱2間に横架される複数の踏桟3と、支柱2間における踏桟3よりも上位置に横架される天板4と、各支柱2に沿って設けられる左右一対の手摺5と、を備えている。
【0017】
尚、本実施形態では、
図1~
図3に示すように、天板4および手摺5を共に展開させた状態を基本姿勢として、その展開状態における支柱2の長手方向(
図1、
図2の矢視Z1,Z2方向)を上下方向、支柱2の短手方向で且つ踏桟3の長手方向(
図1、
図3の矢視Y1,Y2方向)を左右方向、支柱2の短手方向で且つ踏桟3の長手方向に対して直交する方向(
図1~
図3の矢視X1,X2方向)を前後方向とする。また、本実施形態の梯子1は、前後方向一方の面が使用者の昇降面として用いられるが、当該梯子1において使用者が昇降する側(
図1~
図3の矢視X2側)を後方、その反対側(
図1~
図3の矢視X1
側)を前方とする。
【0018】
図1、
図4に示すように、支柱2は、上下方向に延長する断面略矩形U字状の溝形枠体であり、溝部の形成面を他方の支柱2に向けて配置されている。即ち、左右の両支柱2は、溝部の形成面相互を対面させた向きで左右方向に離間して並設されている。従って、溝部の形成面が支柱2の内側面部2aとなり、溝部と反対側の面が支柱2の外側面部2bとなる。また、溝部を画成する前後の端板外側面がそれぞれ、支柱2の前面部2cおよび後面部2dとなる。
【0019】
図1、
図2に示すように、各支柱2の下端部2Uにはそれぞれ、伸縮脚6が設けられている。また、
図1に示すように、支柱2の下端部2Uには、伸縮脚6を任意の摺動位置で固定可能な第1ロック機構部7が設けられており、伸縮脚6を長手方向に摺動させ、第1ロック機構部7により任意の位置で固定することにより、梯子1を所望の高さ(上下長さ)に調整することができる。
【0020】
図1~
図9に示すように、各支柱2の上端部2Tにはそれぞれ、天板4を支柱2の前方へ延在させた展開位置(
図1~
図3参照)と支柱2の前側下方へ傾倒させた折畳位置(
図6~
図9参照)とに変位可能に支持する天板支持部8が設けられている。また、各支柱2の中間位置にはそれぞれ、手摺5を支柱2の後面部2d後方へ起立させた展開位置(
図1~
図3参照)と支柱2間の中央側へ傾倒させた折畳位置(
図6~
図9参照)とに変位可能に支持する手摺支持部9が設けられている。
【0021】
図1、
図2に示すように、踏桟3は、支柱2の内側面部2aにおける上下間の中間位置に等間隔で複数並設されている。
図5に示すように、踏桟3は、断面略台形状の筒体であり、その長面部3cを前方、短面部3dを後方に向けた姿勢で支柱2間に延在している。踏桟3の踏板面部(上面部)3aは、短面部3dの上縁から長面部3cの上縁に向かって前上方へ延長形成されており、支柱2の上端部2Tを前下方へ所定の角度傾倒させたときに略水平姿勢となる。
【0022】
図1~
図5に示すように、天板4は、左右方向に延長する略長方形板状の天板本体11と、天板本体11の左右の端面を覆う左右一対の天板横枠12と、天板本体11の前端面部11aに連設され、設置対象部であるアオリ板Pに掛合可能なフック部13とを有している。また、
図4、
図5に示すように、天板4と天板支持部8との連結部には、支柱2に対して天板4を所定の角度位置で固定可能な第2ロック機構部14を有している。
【0023】
図5に示すように、天板本体11は、上下方向の厚さ寸法H1が支柱2の前後方向の幅寸法D1よりも小さく設定されている。また、天板本体11は、天板4の支軸22中心から前端面部11aまでの延出幅L1が、上記支軸22中心から最上段の踏桟3の踏板面部3aまでの距離、即ち、両支柱2の上端部2T間の隙間S1の上下幅L2よりも小さく設定されている。
【0024】
図1~
図4に示すように、天板横枠12は、断面略矩形U字状の溝形枠体であり、天板本体11の左右の端面部に沿ってそれぞれ、その外側から覆うように装着固定されている。
図3に示すように、両天板横枠12の側面相互間の距離、即ち、天板4の左右方向の幅寸法W1は、両支柱2の上端部2T間の隙間S1の左右幅W2よりも小さく設定されている。従って、天板4は、折畳位置にあるとき、隙間S1において両支柱2と左右横並びに配設される(
図8、
図9参照)。
【0025】
図1~
図4に示すように、フック部13は、側方視略矩形U字状の枠体であり、天板本体11の前端面部11aにおける左右側端寄りの位置に一対設けられている。また、
図4
、
図5に示すように、フック部13は、天板本体11の前端面部11aから前方に延在する基板部13aと、基板部13aの前後の端縁部から下方に延在する一対の掛合端板13b,13cとを有している。
【0026】
基板部13aは、天板本体11の前端面部11aにおける天板4の踏板面部4Aよりも下方位置に連設されている。従って、天板4が折畳位置にあるとき、フック部13は、支柱2の前面部2cよりも後方位置に配設される(
図6~
図8参照)。
【0027】
フック部13の基端側の内掛合端板13bは、天板本体11の踏板面部4Aと反対側の裏面部4Bよりも下方に延在している。フック部13の先端側の外掛合端板13cは、内掛合端板13bの前方位置に並行して延在している。従って、天板4が折畳位置にあるとき、掛合端板13b,13cは、梯子1の後方に面する手摺5の外側面部5Bよりも前方位置、即ち、手摺5の内側の空間に配設される(
図6、
図8参照)。
【0028】
尚、アオリ板Pに対して梯子1を適切に立て掛けた状態で保持可能であれば、フック部13は、前端面部11aの1箇所にのみ設けられてもよいし、前端面部11aの3箇所以上に設けられてもよいし、前端面部11aに沿って左右方向に延在する長尺状に形成されてもよい。また、フック部13は、天板4を折り畳んだときに支柱2と干渉しなければ、天板横枠12に設けられてもよい。
【0029】
図5に示すように、天板4の支軸22中心からフック部13の外掛合端板13cの外側面部までの距離、即ち、天板4のフック部13の先端までの突出長さL3は、上記隙間S1の上下幅L2よりも小さく設定されている。従って、天板4を折り畳んだとき、フック部13は、最上段の踏桟3よりも上方位置に配設される(
図6、
図9参照)。
【0030】
図4、
図5に示すように、第2ロック機構部14は、ロックピン15と、ピンブラケット16と、付勢部材としての押圧ばね17と、第1ピン挿通孔18と、第2ピン挿通孔19とで構成されている。ロックピン15は、略L字状の軸体であり、ピンブラケット16に対して左右方向へ摺動可能に支持されている。ピンブラケット16は、天板4の裏面部4Bに固定されている。押圧ばね17は、圧縮ばねであり、ロックピン15に対して天板4の左右方向外側(摺動方向一方)へ押圧力を付加する。
【0031】
図2、
図4、
図5、
図7に示すように、天板支持部8は、前方視において段差状に折曲形成された支持ブラケット21と、支持ブラケット21に対して天板横枠12を枢支連結する支軸22と、天板4が展開位置にあるときに天板4の踏板面部4Aに当接される係止片23と、を有している。また、支持ブラケット21の支軸22回りには、第2ロック機構部14の第1ピン挿通孔18および第2ピン挿通孔19が貫設されている。
【0032】
第1ピン挿通孔18は、支持ブラケット21における支軸22の前方位置に設けられており、天板4が展開位置にあるときにロックピン15が挿通される。第2ピン挿通孔19は、支持ブラケット21における支軸22の下方位置に設けられており、天板4が折畳位置にあるときにロックピン15が挿通される。
図5に示すように、本実施形態では、第1ピン挿通孔18は、天板4を踏桟3の踏板面部3aと平行に延在した向き、即ち、支柱2の上端部2Tを前下方へ所定の角度傾倒させたときに天板4を略水平姿勢で保持可能な位置に設けられている。一方、第2ピン挿通孔19は、支軸22の支柱2の延長方向下方、即ち、天板4を両支柱2と左右横並びで保持可能な位置に設けられている(
図7参照)。
【0033】
図1~
図3に示すように、係止片23は、支持ブラケット21の上縁部から左右方向内側に向かって折曲形成された舌片であり、天板4が展開位置にあるときに天板4の踏板面部4Aに上面側から面接触する。これにより、天板4が展開位置よりもさらに上方(折畳
位置と反対方向)へ回動するのが阻止される。このように、天板4は、ロックピン15および係止片23によって展開位置に回動阻止状態で保持される(
図5参照)。
【0034】
図1、
図2に示すように、手摺5は、略円筒状の管体を長円形の環状に曲成した枠体であり、長手方向を上下方向とした姿勢で各支柱2に手摺支持部9を介して連結支持されている。
図3に示すように、手摺5は、展開状態のとき、梯子1の左右間中央側の面が内側面部5Aとなり、その反対側の面が外側面部5Bとなるように構成されている。従って、折畳状態のとき、手摺5は、内側面部5Aが支柱2の後面部2d側(前方)に面し、外側面部5Bが梯子1の後方に面する(
図8参照)。
【0035】
図1、
図2に示すように、手摺5は、前後平行に並ぶ一対の直線状の手摺前枠31aおよび手摺後枠31bと、それら手摺前枠31aおよび手摺後枠31bの上下の端部相互を繋ぐ半円弧状の手摺上枠31cおよび手摺下枠31dと、を有している。
【0036】
手摺前枠31aは、手摺支持部9に対して上下方向へ摺動可能に、且つ周方向へ回動可能に支持されている。即ち、手摺前枠31aは、手摺5を摺動させたり傾倒させたりする際の支軸部となる。一方、手摺後枠31bおよび手摺上枠31cは、梯子1を昇降する際の把持部となる。
【0037】
手摺前枠31aには、上下方向に所定の間隔を存して筒状の上ストッパー32および下ストッパー33が環設されている。上ストッパー32は、手摺前枠31aの外周面における手摺上枠31c寄りの位置、即ち、手摺前枠31aの上端寄りの位置に環装固定されている。下ストッパー33は、手摺前枠31aの外周面における手摺下枠31d寄りの位置、即ち、手摺前枠31aの下端寄りの位置に環装固定されている。
【0038】
また、手摺前枠31aには、後述する第3ロック機構部43のロックピン44を貫挿可能な下ピン挿通孔34および上ピン挿通孔35が設けられている。下ピン挿通孔34は、手摺前枠31aにおける手摺下枠31d寄りの位置で且つ下ストッパー33よりも上方位置において左右方向に貫設されている。上ピン挿通孔35は、手摺前枠31aにおける手摺上枠31c寄りの位置で且つ上ストッパー32よりも下方位置において前後方向および左右方向に貫設されている。
【0039】
手摺後枠31bは、手摺前枠31aの後方に所定の間隔を存して並設されている。
図3、
図8に示すように、手摺前枠31aおよび手摺後枠31bの外側縁相互間の距離、即ち、手摺5の前後方向の幅寸法D2は、両手摺前枠31aの外側縁相互間の距離、即ち、両手摺5間の左右外幅W3の半分よりも小さく設定されている。従って、両手摺5相互は、折畳位置にあるとき、前後方向に重なり合わず、左右横並びに配設される(
図6、
図8、
図9参照)。
【0040】
図1~
図4に示すように、手摺支持部9は、手摺前枠31aに環装される略円筒状のホルダ部41と、各支柱2に対してホルダ部41を連結支持する略矩形筒状の連結枠部42と、支柱2に対して手摺5を所定の摺動位置且つ角度位置で固定可能な第3ロック機構部43と、を有している。手摺前枠31aは、ホルダ部41の内側に上下摺動可能で且つ周方向へ回動可能に挿通保持されている。また、手摺5をホルダ部41に沿って上方へ摺動させたとき、下ストッパー33がホルダ部41の下端部に当接することで、手摺5の上方への摺動が阻止される。即ち、手摺5が支柱2の上位置で制止される(
図2参照)。反対に、手摺5をホルダ部41に沿って下方へ摺動させたとき、上ストッパー32がホルダ部41の上端部に当接することで、手摺5の下方への摺動が阻止される。即ち、手摺5が支柱2の下位置で制止される(
図7参照)。
【0041】
ホルダ部41は、連結枠部42の後部に沿って上下方向に延在している。連結枠部42は、ホルダ部41に一体形成され、支柱2の外側面部2bに固定されている。このように、ホルダ部41は、支柱2の左右外側後方のコーナー部にて手摺5を支持している。
【0042】
図4に示すように、第3ロック機構部43は、ロックピン44と、ピンブラケット45と、押圧ばね46と、手摺前枠31aに設けられた下ピン挿通孔34および上ピン挿通孔35とで構成されている。ロックピン44は、略矩形U字状の軸体であり、一端がピンブラケット45に対して左右方向外側から貫挿保持され、他端がホルダ部41に対して左右方向外側から貫挿されている。ピンブラケット45は、連結枠部42の前面部に固定されている。押圧ばね46は、圧縮ばねであり、ロックピン44に対してホルダ部41の左右方向内側へ押圧力を付加する。
【0043】
下ピン挿通孔34は、上記のとおり手摺前枠31aの下端寄りの位置に左右方向に貫設されており、手摺5を支柱2の後方へ起立させた姿勢で上位置に摺動させたとき、即ち、手摺5が支柱2の上位置に摺動され且つ展開位置にあるときにロックピン44が挿通される。これにより、手摺5は、支柱2の上位置においてその後方へ展開された状態で固定保持される(
図1、
図2参照)。
【0044】
一方、上ピン挿通孔35は、上記のとおり手摺前枠31aの上端寄りの位置に前後方向に貫設されており、手摺5を支柱2間の中央側へ傾倒させた姿勢で下位置に摺動させたとき、即ち、手摺5が支柱2の下位置に摺動され且つ折畳位置にあるときにロックピン44が挿通される。これにより、手摺5は、支柱2の下位置において支柱2間の中央側へ折り畳まれた姿勢で固定保持される。即ち、本実施形態の梯子1は、天板4および手摺5をそれぞれ上記のように折り畳むことで、梯子1全体の長さおよび厚さが小さくなる(
図6、
図7参照)。
【0045】
尚、本実施形態の梯子1は、上記のとおり手摺前枠31aの上端寄りの位置に、前後方向だけでなく、左右方向にも上ピン挿通孔35が貫設されている。従って、手摺5を支柱2の後方へ起立させた姿勢で下位置に摺動された場合も、ロックピン44は、上ピン挿通孔35に挿通される。これにより、手摺5は、支柱2の下位置においてその後方へ展開された状態で固定保持される。即ち、本実施形態の梯子1は、天板4および手摺5を展開させた使用状態のときの手摺5の設置高さ(固定位置)を上下に変更できる。
【0046】
このように、上記実施形態の天板付き梯子1は、上下方向に延在し且つ左右方向に所定の間隔を存して並設される左右一対の支柱2と、支柱2間に横架される複数の踏桟3と、支柱2間における踏桟3よりも上位置に横架される天板4と、各支柱2に沿って設けられる左右一対の手摺5と、を備えた天板付き梯子1であって、手摺5を支柱2の後面部2d後方へ起立させた展開位置と支柱2間の中央側へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する手摺支持部9と、天板4を支柱2の前方へ延在させた展開位置と支柱2の前側下方へ傾倒させた折畳位置とに変位可能に支持する天板支持部8と、を備え、天板4は、設置対象部Pに掛合可能なフック部13を有し、折畳位置にあるとき、両支柱2間の隙間S1において支柱2と左右横並びに配設され、フック部13は、天板4が折畳位置にあるとき、支柱2の前面部2cよりも後方位置に配設される。
【0047】
この構成によれば、手摺5および天板4をそれぞれ折畳位置に変位させることで、折畳状態における梯子1全体の厚さを小さくできるから、持ち運び易く、保管スペースも削減できる。また、折畳状態における梯子1の前後の凹凸を少なくできるから、持ち運んだり複数積み重ねたりする際に外物や他の梯子1、使用者の衣服等に引っ掛かり難い。これにより、搬送性および保管性の高い天板付き梯子1を実現できる。
【0048】
また、フック部13は、手摺5および天板4が共に折畳位置にあるとき、後方に面する手摺5の外側面部5Bよりも前方位置に配設される。この構成によれば、折畳状態のときに、フック部13が手摺5の外側面部5Bよりも後方、即ち、梯子1の後方に突出しないから、持ち運んだり積み重ねたりする際にフック部13が外物や他の梯子1に引っ掛かり難い。よって、搬送性および保管性がより一層向上する。
【0049】
また、天板4は、折畳位置にあるとき、踏板面部4Aが支柱2の前面部2cよりも後方位置に配設される。この構成によれば、折畳状態のときの梯子1全体の厚さをより小さくできると共に、梯子1の前後の凹凸をより少なくできるから、搬送性および保管性が一層向上する。
【0050】
また、天板4は、踏板面部4Aと反対側の裏面部4Bにおいて摺動可能に支持されるロックピン15と、ロックピン15を摺動方向一方へ押圧付勢する付勢部材17と、を有し、天板支持部8は、支柱2の上端部2Tに連設固定される支持ブラケット21と、天板4を支持ブラケット21に枢支連結する支軸22と、支持ブラケット21に貫設され、天板4が展開位置にあるときにロックピン15が挿通される第1ピン挿通孔18と、支持ブラケット21に貫設され、天板4が折畳位置にあるときにロックピン15が挿通される第2ピン挿通孔19と、支持ブラケット21の上縁部に設けられ、天板4が展開位置にあるときに天板4の踏板面部4Aに当接される係止片23と、を有している。
【0051】
この構成によれば、天板4が展開位置にあるとき、ロックピン15を付勢部材17の付勢力に抗して摺動させ、第1ピン挿通孔18から抜脱させることで、天板4を自重によって半自動的に支柱2の前側下方、即ち、折畳位置側へ傾倒させることができるから、持ち運びの際に迅速且つ容易に折り畳むことが可能となる。これにより、搬送性および保管性の一層高い天板付き梯子1を実現できる。
【0052】
また、この種の梯子では、天板を展開して設置対象部に係止させた使用状態のときに、天板の支軸に対して大きな負荷が加わるが、この負荷に起因して支軸およびその周辺に変形や破損が生じると、天板のがたつきが大きくなり、使用感が損なわれる。また、梯子全体を適切な形態に折り畳むことができず、搬送性や保管性が損なわれる虞もある。
【0053】
しかしながら、上記構成によれば、使用状態のときに支軸22に加わる負荷がロックピン15および係止片23の2点に分散されるから、支軸22およびその周辺の変形や破損が生じ難い。これにより、天板4のがたつきが少なく、良好な使用感を長期に亘って維持できる。また、梯子1の折畳形態を長期に亘って維持することもできるから、搬送性および保管性の一層高い天板付き梯子1を実現できる。
【符号の説明】
【0054】
1 天板付き梯子
2 支柱
2c 支柱の前面部
2d 支柱の後面部
3 踏桟
4 天板
4A 天板の踏板面部
4B 天板の裏面部
5 手摺
5B 手摺の外側面部
8 天板支持部
9 手摺支持部
13 フック部
18 第1ピン挿通孔
19 第2ピン挿通孔
21 支持ブラケット
22 支軸
23 係止片
S1 隙間