(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072083
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】シームレス缶の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 51/26 20060101AFI20240520BHJP
B65D 1/16 20060101ALI20240520BHJP
B21D 51/30 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
B21D51/26 R
B65D1/16 111
B21D51/26 P
B21D51/30 E
B21D51/26 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182704
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】福本 隼人
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA07
3E033BA09
3E033CA05
3E033DD02
3E033EA10
3E033FA01
3E033GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】底部接地部に確実にボトムコート塗膜が施された缶体の製造方法及びこの製造方法により形成された缶体を提供する。
【解決手段】シームレス缶の製造方法において、底部中央に形成された缶内方に突出するドーム部と、前記ドーム部を取り囲むように形成される環状の接地部から成る脚部、とが形成されたプリフォーム缶を成形する工程、前記プリフォーム缶の少なくとも前記接地部に外面塗装を行う第1のボトムコート工程、前記第1のボトムコート工程において塗装されたプリフォーム缶の内部に押圧体を挿入して、前記プリフォーム缶の外面側に設置された成形型とで前記プリフォーム缶の底部を押圧することにより、接地部を有する環状の湾曲端部を形成するボトムリフォーム工程、前記ボトムリフォーム工程において形成された湾曲端部の少なくとも接地部に外面塗装を行う第2のボトムコート工程、を有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び胴部を備えたシームレス缶の製造方法において、
底部中央に缶内方に突出するドーム部と、該ドーム部の外周縁から缶軸方向下方に延びる内周壁、胴部下端から缶軸方向下方に延び且つ下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の外周壁、及び前記内周壁下端及び前記外周壁下端に位置し、前記ドーム部を取り囲むように形成される環状の接地部から成る脚部、とが形成されたプリフォーム缶を成形する工程、
前記プリフォーム缶の少なくとも前記接地部に外面塗装を行う第1のボトムコート工程、
前記第1のボトムコート工程において塗装されたプリフォーム缶の内部に押圧体を挿入して、前記プリフォーム缶の外面側に設置された成形型とで前記プリフォーム缶の底部を押圧することにより、前記内周壁を缶径方向内方に湾曲させて、接地部を有する環状の湾曲端部を形成するボトムリフォーム工程、
前記ボトムリフォーム工程において形成された湾曲端部の少なくとも接地部に外面塗装を行う第2のボトムコート工程、
を有することを特徴とするシームレス缶の製造方法。
【請求項2】
前記第2のボトムコート工程における塗装が、紫外線硬化型塗料による塗装である請求項1記載のシームレス缶の製造方法。
【請求項3】
前記第1のボトムコート工程と前記ボトムリフォーム工程の間に、印刷工程及び内面塗装工程を有する請求項1又は2記載のシームレス缶の製造方法。
【請求項4】
前記第2のボトムコート工程後に、ネック加工工程及びフランジ加工工程を有する請求項1又は2記載のシームレス缶の製造方法。
【請求項5】
前記第2のボトムコート工程前に、ネック加工工程及びフランジ加工工程を有する請求項1又は2記載のシームレス缶の製造方法。
【請求項6】
底部及び胴部を備えたシームレス缶において、
前記底部には、底部中央に缶内方に突出するドーム部と、該ドーム部外周縁から缶軸方向下方且つ下方に行くに従って内径が減少するテーパ状の内周壁、前記胴部下端から缶軸方向下方に延び且つ下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の外周壁、及び前記内周壁と前記外周壁下部により形成され、接地部を有する環状の湾曲端部とから成る環状の脚部、とが形成されており、
前記外周壁の湾曲端部近傍及び前記湾曲端部の接地部に紫外線硬化塗料による塗膜が形成されていることを特徴とするシームレス缶。
【請求項7】
アルミニウム製シームレス缶である請求項6記載のシームレス缶。
【請求項8】
内容物が充填された請求項6又は7記載のシームレス缶が蓋により巻締密封されて成ることを特徴とする内容物充填缶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シームレス缶の製造方法に関し、より詳細には、ボトムリフォーム加工に付されたシームレス缶の接地部に確実にボトムコートを施すことが可能なシームレス缶の製造方法及びボトムコートが確実に施されたボトムリフォーム加工が施されたシームレス缶に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品などを収納するための缶体としては、絞りしごき加工等により成形されるシームレス缶(DI缶)が広く使用されている。このようなシームレス缶においては、省資源化や軽量化のために、缶胴部の薄肉化が求められている。その一方薄肉化された缶体であっても、十分な耐圧強度を有することが必要であることから、耐圧強度を確保するために、缶底部を、缶体内側に凹んだドーム部とこのドーム部を取り囲む環状の脚部とを有する形状に成形するドーミング成形が広く行われている(例えば下記特許文献1)。
またシームレス缶の成形工程においては、各工程への缶体の搬送性を向上させると共に、搬送時の缶体の接地部の摩擦を低減させるために、缶体の接地部に透明塗料を塗装すること(ボトムコート)が従来より行われている(例えば下記特許文献2)。
【0003】
このようなシームレス缶においては、薄肉化された缶体においてより高い耐圧強度を備えるために底部の形状について種々の提案がされている。
例えば、下記特許文献3には、有底円筒体の底部に、前記有底円筒体の内側へと凹むドーム部と、前記ドーム部の凹む側とは反対側に突出する環状の脚部であって、缶軸方向に沿う縦断面視で前記脚部の内周部が前記脚部の接地点を基点として前記缶軸方向に傾斜する前記脚部とを成形することにより、プリフォーム缶を成形するプリフォーム缶成形工程と、前記プリフォーム缶の内面及び外面の少なくとも一方に対して塗装を行う塗装工程と、前記塗装工程で塗装が行われた前記プリフォーム缶における前記ドーム部の内面に対して押圧を行うことにより、前記ドーム部の周囲に湾曲端部を有する成形缶を成形するボトムリフォーム工程とを有することを特徴とする缶体の製造方法が提案されている。
この製造方法によれば、底部の湾曲端部の内外面に精度よく塗装膜が施されたプリフォーム缶を製造することが可能であると共に、従来のローラを用いたボトムリフォーム加工に比して湾曲端部の内周部を胴部方向により深く凹ませることができることから、耐圧強度がより高い缶体を成形することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3603975号公報
【特許文献2】特開平4-267733号公報
【特許文献3】特開2022-46224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献3に記載された製造方法においても、ボトムリフォーム工程よりも前の段階で、前述したように、プリフォーム缶の底部の接地部にボトムコートを行う必要がある。
しかしながら、上記特許文献3においては、ボトムリフォーム工程において、プリフォーム缶の内部に挿入されドーム部の内面に当接する押圧体とプリフォーム缶の底部外面側に位置する成形型によってプリフォーム缶の接地部が成形型に沿うように形成される結果、プリフォーム缶において接地部だった箇所は、底部の外周壁となってしまう。その結果、ボトムリフォーム加工後の缶体においては、プリフォーム缶において環状脚部の内周壁だった箇所の一部が新たな接地部となることから、接地部にボトムコートが施されていない状態となり、缶体の搬送性を確保することが困難となる。
また予めプリフォーム缶においてボトムリフォーム加工後に接地部となる箇所にボトムコートを施しておくことも考えられるが、環状脚部の内周壁への塗装は、スプレー塗装等によることが必要であり、角度や位置の調整が煩雑であるため、生産性の点で困難である。
【0006】
従って本発明の目的は、プリフォーム缶の内部に挿入されドーム部の内面に当接する押圧体とプリフォーム缶の外面側に位置する成形型を用いてボトムリフォーム加工を行うシームレス缶の製造方法において、底部接地部に確実にボトムコート塗膜が施された缶体の製造方法及びこの製造方法により形成された缶体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、底部及び胴部を備えたシームレス缶の製造方法において、底部中央に缶内方に突出するドーム部と、該ドーム部の外周縁から缶軸方向下方に延びる内周壁、胴部下端から缶軸方向下方に延び且つ下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の外周壁、及び前記内周壁下端及び前記外周壁下端に位置し、前記ドーム部を取り囲むように形成される環状の接地部から成る脚部、とが形成されたプリフォーム缶を成形する工程、前記プリフォーム缶の少なくとも前記接地部に外面塗装を行う第1のボトムコート工程、前記第1のボトムコート工程において塗装されたプリフォーム缶の内部に押圧体を挿入して、前記プリフォーム缶の外面側に設置された成形型とで前記プリフォーム缶の底部を押圧することにより、前記内周壁を缶径方向内方に湾曲させて、接地部を有する環状の湾曲端部を形成するボトムリフォーム工程、前記ボトムリフォーム工程において形成された湾曲端部の少なくとも接地部に外面塗装を行う第2のボトムコート工程、を有することを特徴とするシームレス缶の製造方法が提供される。
【0008】
本発明のシームレス缶の製造方法においては、
(1)前記第2のボトムコート工程における塗装が、紫外線硬化型塗料による塗装であること、
(2)前記第1のボトムコート工程と前記ボトムリフォーム工程の間に、印刷工程及び内面塗装工程を有すること、
(3)前記第2のボトムコート工程後に、ネック加工工程及びフランジ加工工程を有すること、
(4)前記第2のボトムコート工程前に、ネック加工工程及びフランジ加工工程を有すること、
が好適である。
【0009】
本発明によればまた、底部及び胴部を備えたシームレス缶において、前記底部には、底部中央に缶内方に突出するドーム部と、該ドーム部外周縁から缶軸方向下方且つ下方に行くに従って内径が減少するテーパ状の内周壁、前記胴部下端から缶軸方向下方に延び且つ下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の外周壁、及び前記内周壁と前記外周壁下部により形成され、接地部を有する環状の湾曲端部とから成る環状の脚部、とが形成されており、前記外周壁の湾曲端部近傍及び前記湾曲端部の接地部に紫外線硬化塗料による塗膜が形成されていることを特徴とするシームレス缶が提供される。
本発明のシームレス缶は、アルミニウム製シームレス缶であることが好適である。
【0010】
また本発明によれば、上記シームレス缶に内容物が充填され、蓋が巻締られて密封されて成ることを特徴とする内容物充填缶が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシームレス缶の製造方法においては、プリフォーム缶内に挿入された押圧体と、プリフォーム缶の外面側に位置する成形型とを用いたボトムリフォーム加工を行っていることに起因して、ボトムコートが施されていない箇所が接地部となった場合にも、ボトムリフォーム工程よりも後に第2のボトムコート工程があることによって、缶底の接地部は常にボトムコート塗膜により有効に保護されており、ボトムリフォーム工程後の缶体の搬送に際して、缶体の摩擦を低減可能であると共に搬送性を向上させることが可能となる。
またボトムコートのためにスプレー塗装による位置の調整等が不要であり、ボトムコート塗膜を容易且つ確実に底部接地部に形成できることから、生産性にも優れている。
【0012】
また本発明のシームレス缶においては、上記の特定の押圧体及び成形型を備えた装置によるボトムリフォーム工程に付されていることから、シームレス缶底部の湾曲端部の内周部が胴部方向に深く凹んでおり、耐圧強度を顕著に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の製造方法におけるプリフォーム缶の一例を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の製造方法のボトムリフォーム工程を説明するための図である。
【
図3】本発明のシームレス缶を説明するための一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(製造工程)
シームレス缶の製造工程は、一般的には、カッピング工程、プリフォーム缶成形工程、トリミング工程、洗浄工程、第1のボトムコート工程、外面塗装印刷工程、印刷工程、内面塗装工程、ボトムリフォーム工程、ネック・フランジ加工工程とから成っており、加えて第2のボトムコート工程を有している。本発明においては、特にボトムリフォーム工程よりも後に第2のボトムコート工程が追加されている点が重要な特徴である。
【0015】
カッピング工程によりアルミニウム合金板等の金属板を絞り加工してカップ状体を成形した後、プリフォーム缶成形工程において、このカップ状体に絞りしごき加工を施して有底円筒体を成形すると共に、底部にプレス加工を施すことにより、プリフォーム缶を成形する。このプリフォーム缶は、
図1に示すように、胴部1a及び底部1bから成り、底部1bの中央には缶内方に突出するドーム部2が形成され、このドーム部2を取り囲むように環状の脚部3が形成されている。
図1に示す脚部3は、ドーム部2の外周縁2aから缶軸方向下方に延びる内周壁3a、胴部1aの下端から缶軸方向下方に延び且つ下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の外周壁3b、及び内周壁3aの下端及び外周壁3bの下端に位置する接地部3cとから成っている。
【0016】
得られたプリフォーム缶1は、開口端部4がトリミングされ(トリミング工程)、洗浄工程に付された後、第1のボトムコート工程で、プリフォーム缶の底部の接地部付近に摩擦を低減し搬送性を向上可能な透明塗料によるボトムコート塗膜11を形成し、次いで外面塗装印刷工程に付される。
外面塗装印刷工程においては、プリフォーム缶の胴部及び底部の外面に塗装を行って外面塗膜を形成し、印刷工程では外面塗装された胴部に印刷を施し、必要によりこの印刷層上に仕上げニス層を形成する。尚、後述するように樹脂被覆金属板等を用いることにより外面塗膜形成が不要な場合には、外面塗装工程は省略することもできる。また底部接地部付近にボトムコートに適した透明塗料を塗布することが可能である限り、外面塗装工程において、第1のボトムコート工程を同一工程で行うこともできる。次いで内面塗装工程において、スプレー塗装等によりプリフォーム缶の内面に内面塗膜が形成される。
【0017】
内面塗装工程を経たプリフォーム缶1は、次いでボトムリフォーム工程に付されることにより、ボトムリフォームされた最終成形品の底形状を有するシームレス缶10に成形される。
図2はボトムリフォーム工程を説明するための図であり、底部の接地部付近にボトムコート塗膜11が形成されているプリフォーム缶1を、プリフォーム缶1の外面側の胴部1a下方及び底部の外周壁3bが当接する成形型21に載置する。次いでプリフォーム缶1の内部に押圧体20を挿入する(
図2(A))。
押圧体20によりプリフォーム缶1の内面を押圧すると、プリフォーム缶1の内周壁3aが缶軸方向に押し込まれると共に缶径方向内方に湾曲して、
図2(B)の3a’のような形状になり、一方、接地部3cは成形型21の成形面に沿って外周壁3b’へと形成される(
図2(B))。
押圧体20の移動が終了すると、環状の脚部の形状が、内周壁3aが缶径方向内方に湾曲した環状の湾曲端部5として形成される。この湾曲端部5の最下端が接地部3c”となり、ボトムリフォームされた最終成形品の底形状となる。
【0018】
図2から明らかなように、プリフォーム缶1の接地部3cに形成されたボトムコート塗膜11は、ボトムリフォーム工程において、ボトムリフォーム後の缶体10の外周壁3b”となるため、ボトムリフォーム後の缶体10の接地部3c”にはボトムコート塗膜が形成されていない。
本発明の製造方法においては、このような観点から、ボトムリフォーム工程の後に第2のボトムコート工程を設け、ボトムリフォーム後の缶体の接地部付近に第1のボトムコート工程と同様に搬送による摩擦を低減し、搬送性を向上させるための透明塗料を塗布する。
【0019】
尚、第1及び第2のボトムコート工程では、従来ボトムコートに用いられていた、塗料、塗工方法、焼き付け方法等をすべて採用することができるが、本発明の製造方法において特に第2のボトムコート工程では、ロールコート法により、紫外線硬化型の塗料を用い、紫外線照射によりボトムコート塗膜を形成することが好適である。紫外線硬化型塗料を用いることによりボトムコート工程の後に焼き付けのためのオーブンを必要としないため、製造ラインの簡素化を図ることが可能となる。塗工方法としては、ロールコート法に限定されるものではなく、公知の方法を適用することができる。
第2のボトムコート工程により接地部3c”にボトムコート塗膜12が形成されたシームレス缶10は、次いでネック・フランジ加工工程に付され、ネックイン加工、及びフランジ加工が施されることにより、
図3に示すように、縮径されたネック部6及びフランジ部7を備えた最終成形品であるシームレス缶10が得られる。
【0020】
本発明の製造方法において、第2のボトムコート工程は、ボトムリフォーム工程よりも後に位置すればよく、上述したように、ボトムリフォーム工程とネック・フランジ加工工程の間に位置する場合に限定されない。すなわち、ボトムリフォーム工程よりも前にネック・フランジ加工が施される場合もあり、このような場合には、第2のボトムコート工程は、ネック・フランジ加工工程及びボトムリフォーム工程の後に第2のボトムコート工程に付されることになる。更にボトムリフォーム工程直後にネック・フランジ加工工程があるような場合にも、第2のボトムコート工程は、ネック・フランジ加工工程の後に位置することになる。
【0021】
本発明の製造方法において、プリフォーム缶の成形は、前述した方法に限定されず、絞り加工、絞り・深絞り加工、絞り・しごき加工、絞り・曲げ伸ばし加工・しごき加工等の従来公知の方法を採用することができる。
また、シームレス缶の形状も底部形状が上述した形状である限り、
図3に示した形状のシームレス缶に限定されず、首部を大きく縮径し、螺子部を設けたいわゆるボトル缶等、種々の形状のシームレス缶として製造することができる。
さらに、シームレス缶を構成する金属板も、表面処理鋼板やアルミニウム合金板等、従来シームレス缶に用いられていたすべての金属板を使用することができるが、特にアルミニウム合金板であることが好適である。これらの金属板はポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂による樹脂被覆が施された樹脂被覆金属板であってもよい。このような樹脂被覆金属板を用いる場合には、必要により、前述した外面塗装工程や内面塗装工程を省略することも可能である。
【0022】
(シームレス缶)
本発明の製造方法により製造されたシームレス缶は、上述した製造方法の特徴から、
図3に示すように、底部10bに、底部中央に缶内方に突出するドーム部2’と、ドーム部2’の外周縁2a’から缶軸方向下方且つ下方に行くに従って内径が減少するテーパ状の内周壁3a”、胴部10aの下端から缶軸方向下方に延び且つ下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の外周壁3b”、及び内周壁3a”と外周壁3b”の下部により形成され、接地部3c”を有する環状の湾曲端部5とから成る環状の脚部3”が形成されている。また接地部3c”及びその近傍には、第2のボトムコート工程により形成された塗膜12が形成されている。このボトムコート塗膜12は紫外線硬化型塗料による塗膜であることがより好適な態様である。
本発明のシームレス缶においては、前述した通り、シームレス缶底部の湾曲端部5の内周部3a”が缶径方向外方に深く凹んでいることから、内圧の変化によるドーム部の変形が容易であり、高い耐圧強度を有している。
【0023】
本発明のシームレス缶において、
図3に示すような形状の開口部を有するシームレス缶は、内容物を充填後、開口端部に缶蓋を巻締して密封して成る、内容物充填缶として消費者に提供される。このような内容物充填缶に用いる缶蓋としては、内容物注出用開口を形成するためのスコア及び開封用のタブが設けられたイージーオープン蓋等の従来公知の形状を採用することができ、フルオープンタイプ又はパーシャルオープンタイプ(ステイ・オン・タブタイプ)の何れであってもよい。
また充填すべき内容物は、清涼飲料や炭酸飲料等の飲料の他、食品等、従来公知の内容物を充填することができるが、特に耐圧性に優れた底形状を有することから、ビールや炭酸飲料等の自生圧力を有する飲料を好適に充填できる。
【符号の説明】
【0024】
1 プリフォーム缶、1a 胴部、1b 底部、2 ドーム部、3 脚部、3a 内周壁、3b 外周壁、3c 接地部、4 開口端部、5 湾曲端部、6 ネック部、7 フランジ部、10 シームレス缶、10a 胴部、10b 底部、11 第1のボトムコート工程による塗膜、12 第2のボトムコート工程による塗膜、20 押圧体、21 成形型。