(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072096
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】画像に含まれる複数の輪郭の分析方法、画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステム、及び画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/62 20170101AFI20240520BHJP
【FI】
G06T7/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182744
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】根本 ほのか
(72)【発明者】
【氏名】松下 忠史
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽平
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA13
5L096BA20
5L096FA06
5L096FA65
5L096FA70
5L096GA17
(57)【要約】
【課題】画像に含まれる複数の輪郭の特徴量を評価可能な方法を提供する。
【解決手段】画像の一辺を含む1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向における1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を狭くしてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を広げてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とすることを含む、画像に含まれる複数の輪郭の分析方法。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)複数の輪郭を含む画像を取得することと、
(2)前記画像の一辺を含む1番目領域を特定することと、
(3)前記1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、
(4)前記1番目領域に含まれる複数の輪郭の前記径の変動係数が所定の範囲内にある場合、前記一辺に対して垂直方向における前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より大きい場合、前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記1番目領域の幅を狭くしてから、前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より小さい場合、前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記1番目領域の幅を広げてから、前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とすることと、
(5)nを0を初期値とする整数として、前記一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定することと、
(6)前記n+2番目領域の幅を、前記n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にすることと、
(7)前記n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、
(8)前記n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の前記径の変動係数が前記所定の範囲内にある場合、前記一辺に対して垂直方向における前記n+2番目領域の幅を保ち、前記径の変動係数が前記所定の範囲より大きい場合、前記n+2番目領域の中心を保ったまま前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記n+2番目領域の幅を狭くし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より小さい場合、前記n+2番目領域の中心を保ったまま前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記n+2番目領域の幅を広げることと、
(9)nに1を加算して(5)から(8)を実施することを、前記n+2番目領域が前記画像の前記一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返すことと、
(10)前記n+1番目領域に含まれる前記複数の輪郭の特徴量を取得することと、
を含む、画像に含まれる複数の輪郭の分析方法。
【請求項2】
前記画像が正方形又は矩形である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像が二値化又は多値化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記画像が断面画像又は表面画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像が、電子顕微鏡画像、光学顕微鏡画像、プローブ顕微鏡画像、又は放射線画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の輪郭のそれぞれが、孔、樹脂骨格、海島構造における島、海島構造における海、又はネットワーク構造を示している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記n+2番目領域の幅を、前記n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径の5倍以上にする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記特徴量が統計値である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記特徴量が、径、平均径、周囲長、及び平均周囲長の少なくともいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の輪郭を含む画像を取得するための画像取得部と、
前記画像の一辺を含む1番目領域を特定し、前記1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、前記1番目領域に含まれる複数の輪郭の前記径の変動係数が所定の範囲内にある場合、前記一辺に対して垂直方向における前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より大きい場合、前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記1番目領域の幅を狭くしてから、前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より小さい場合、前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記1番目領域の幅を広げてから、前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とする処理を実行するための第1設定部と、
nを0を初期値とする整数として、前記一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定し、前記n+2番目領域の幅を、前記n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にし、前記n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、前記n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の前記径の変動係数が前記所定の範囲内にある場合、前記一辺に対して垂直方向における前記n+2番目領域の幅を保ち、前記径の変動係数が前記所定の範囲より大きい場合、前記n+2番目領域の中心を保ったまま前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記n+2番目領域の幅を狭くし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より小さい場合、前記n+2番目領域の中心を保ったまま前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記n+2番目領域の幅を広げる処理を実行するための第2設定部と、
前記第2設定部に、nに1を加算して前記処理を実行することを、前記n+2番目領域が前記画像の前記一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返させる繰り返し指示部と、
前記n+1番目領域に含まれる前記複数の輪郭の特徴量を取得する特徴量取得部と、
を備える、画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステム。
【請求項11】
前記画像が正方形又は矩形である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像を二値化又は多値化する多値化部をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記画像が断面画像又は表面画像である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記画像が、電子顕微鏡画像、光学顕微鏡画像、プローブ顕微鏡画像、又は放射線画像である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の輪郭のそれぞれが、孔、樹脂骨格、海島構造における島、海島構造における海、又はネットワーク構造を示している、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2設定部が、前記n+2番目領域の幅を、前記n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径の5倍以上にする、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記特徴量が統計値である、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記特徴量が、径、平均径、周囲長、及び平均周囲長の少なくともいずれかである、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
コンピューターに、
(1)複数の輪郭を含む画像を取得することと、
(2)前記画像の一辺を含む1番目領域を特定することと、
(3)前記1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、
(4)前記1番目領域に含まれる複数の輪郭の前記径の変動係数が所定の範囲内にある場合、前記一辺に対して垂直方向における前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より大きい場合、前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記1番目領域の幅を狭くしてから、前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より小さい場合、前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記1番目領域の幅を広げてから、前記1番目領域の幅の中央を、前記1番目領域の中心とすることと、
(5)nを0を初期値とする整数として、前記一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定することと、
(6)前記n+2番目領域の幅を、前記n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にすることと、
(7)前記n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、
(8)前記n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の前記径の変動係数が前記所定の範囲内にある場合、前記一辺に対して垂直方向における前記n+2番目領域の幅を保ち、前記径の変動係数が前記所定の範囲より大きい場合、前記n+2番目領域の中心を保ったまま前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記n+2番目領域の幅を狭くし、前記径の変動係数が前記所定の範囲より小さい場合、前記n+2番目領域の中心を保ったまま前記径の変動係数が前記所定の範囲内になるまで前記n+2番目領域の幅を広げることと、
(9)nに1を加算して(5)から(8)を実施することを、前記n+2番目領域が前記画像の前記一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返すことと、
(10)前記n+1番目領域に含まれる前記複数の輪郭の特徴量を取得することと、
を含む手順を実行させるための、画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分析技術に関し、画像に含まれる複数の輪郭の分析方法、画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステム、及び画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像に含まれる文字や輪郭を分析するための様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-189610号公報
【特許文献2】特開平9-305754号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】T. Hildebrand, et al., “A new method for the model-independent assessment of thickness in three-dimensional images,” Journal of Microscopy, Volume185, Issue 1, January 1997, Pages 67-75
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像に含まれる複数の輪郭の特徴量を評価可能な方法、システム、及びプログラムを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1](1)複数の輪郭を含む画像を取得することと、(2)画像の一辺を含む1番目領域を特定することと、(3)1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、(4)1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向における1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を狭くしてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を広げてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とすることと、(5)nを0を初期値とする整数として、一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定することと、(6)n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にすることと、(7)n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、(8)n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向におけるn+2番目領域の幅を保ち、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を狭くし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を広げることと、(9)nに1を加算して(5)から(8)を実施することを、n+2番目領域が画像の一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返すことと、(10)n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得することと、を含む、画像に含まれる複数の輪郭の分析方法。
【0007】
[2]画像が正方形又は矩形である、[1]に記載の方法。
【0008】
[3]画像が二値化又は多値化されている、[1]又は[2]に記載の方法。
【0009】
[4]画像が断面画像又は表面画像である、[1]から[3]のいずれかに記載の方法。
【0010】
[5]画像が、電子顕微鏡画像、光学顕微鏡画像、プローブ顕微鏡画像、又は放射線画像である、[1]から[4]のいずれかに記載の方法。
【0011】
[6]複数の輪郭のそれぞれが、孔、樹脂骨格、海島構造における島、海島構造における海、又はネットワーク構造を示している、[1]から[5]のいずれかに記載の方法。
【0012】
[7]n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径の5倍以上にする、[1]から[6]のいずれかに記載の方法。
【0013】
[8]特徴量が統計値である、[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
【0014】
[9]特徴量が、径、平均径、周囲長、及び平均周囲長の少なくともいずれかである、[1]から[8]のいずれかに記載の方法。
【0015】
[10]複数の輪郭を含む画像を取得するための画像取得部と、画像の一辺を含む1番目領域を特定し、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向における1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を狭くしてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を広げてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とする処理を実行するための第1設定部と、nを0を初期値とする整数として、一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定し、n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にし、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向におけるn+2番目領域の幅を保ち、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を狭くし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を広げる処理を実行するための第2設定部と、第2設定部に、nに1を加算して処理を実行することを、n+2番目領域が画像の一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返させる繰り返し指示部と、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得する特徴量取得部と、を備える、画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステム。
【0016】
[11]画像が正方形又は矩形である、[10]に記載のシステム。
【0017】
[12]画像を二値化又は多値化する多値化部をさらに備える、[10]又は[11]に記載のシステム。
【0018】
[13]画像が断面画像又は表面画像である、[10]から[12]のいずれかに記載のシステム。
【0019】
[14]画像が、電子顕微鏡画像、光学顕微鏡画像、プローブ顕微鏡画像、又は放射線画像である、[10]から[13]のいずれかに記載のシステム。
【0020】
[15]複数の輪郭のそれぞれが、孔、樹脂骨格、海島構造における島、海島構造における海、又はネットワーク構造を示している、[10]から[14]のいずれかに記載のシステム。
【0021】
[16]第2設定部が、n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径の5倍以上にする、[10]から[15]のいずれかに記載のシステム。
【0022】
[17]特徴量が統計値である、[10]から[16]のいずれかに記載のシステム。
【0023】
[18]特徴量が、径、平均径、周囲長、及び平均周囲長の少なくともいずれかである、[10]から[17]のいずれかに記載のシステム。
【0024】
[19]コンピューターに、(1)複数の輪郭を含む画像を取得することと、(2)画像の一辺を含む1番目領域を特定することと、(3)1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、(4)1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向における1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を狭くしてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を広げてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とすることと、(5)nを0を初期値とする整数として、一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定することと、(6)n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にすることと、(7)n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出することと、(8)n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向におけるn+2番目領域の幅を保ち、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を狭くし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を広げることと、(9)nに1を加算して(5)から(8)を実施することを、n+2番目領域が画像の一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返すことと、(10)n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得することと、を含む手順を実行させるための、画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのプログラム。
【0025】
[20]画像が正方形又は矩形である、[19]に記載のプログラム。
【0026】
[21]画像が二値化又は多値化されている、[19]又は[20]に記載のプログラム。
【0027】
[22]画像が断面画像又は表面画像である、[19]から[21]のいずれかに記載のプログラム。
【0028】
[23]画像が、電子顕微鏡画像、光学顕微鏡画像、プローブ顕微鏡画像、又は放射線画像である、[19]から[22]のいずれかに記載のプログラム。
【0029】
[24]複数の輪郭のそれぞれが、孔、樹脂骨格、海島構造における島、海島構造における海、又はネットワーク構造を示している、[19]から[23]のいずれかに記載のプログラム。
【0030】
[25]n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径の5倍以上にする、[19]から[24]のいずれかに記載のプログラム。
【0031】
[26]特徴量が統計値である、[19]から[25]のいずれかに記載のプログラム。
【0032】
[27]特徴量が、径、平均径、周囲長、及び平均周囲長の少なくともいずれかである、[19]から[26]のいずれかに記載のプログラム。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、画像に含まれる複数の輪郭の特徴量を評価可能な方法、システム、及びプログラムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステムを示す模式図である。
【
図3】実施形態に係る画像処理の例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る画像処理の例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るLocal thickness法の例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るLocal thickness法の例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る輪郭検出法の例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図13】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図14】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図15】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図16】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図17】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図18】実施形態に係る画像に領域を設定する方法の例を示す図である。
【
図19】実施形態に係るプロットの例を示す図である。
【
図20】実施形態に係るプロットの例を示す図である。
【
図21】実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭の分析方法のフローチャートである。
【
図22】実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭の分析方法のフローチャートである。
【
図23】実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭の分析方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0036】
実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステムは、
図1に示すように、複数の輪郭を含む画像を取得するための画像取得部301と、画像の一辺を含む1番目領域を特定し、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向における1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を狭くしてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、径の変動係数が所定の範囲内になるまで1番目領域の幅を広げてから、1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心とする処理を実行するための第1設定部302と、を備える。
【0037】
実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステムは、nを0を初期値とする整数として、一辺に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定し、n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上にし、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、一辺に対して垂直方向におけるn+2番目領域の幅を保ち、径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を狭くし、径の変動係数が所定の範囲より小さい場合、n+2番目領域の中心を保ったまま径の変動係数が所定の範囲内になるまでn+2番目領域の幅を広げる処理を実行するための第2設定部303をさらに備える。
【0038】
実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭を分析するためのシステムは、第2設定部303に、nに1を加算して処理を実行することを、n+2番目領域が画像の一辺に対向する他辺を超えるまで繰り返させる繰り返し指示部304と、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得する特徴量取得部305と、をさらに備える。
【0039】
画像取得部301、第1設定部302、第2設定部303、繰り返し指示部304、及び特徴量取得部305は、例えば、中央演算処理装置(CPU)300に含まれる。CPU300には、キーボード、及びマウス等の入力装置351と、ディスプレイ等の出力装置352と、情報を記憶するメモリー353と、が接続されていてもよい。
【0040】
画像取得部301が取得する画像は、例えば、電子顕微鏡画像、光学顕微鏡画像、プローブ顕微鏡画像、及び放射線画像であるが、特に限定されない。電子顕微鏡の例としては、透過型電子顕微鏡(TEM)、及び走査型電子顕微鏡(SEM)が挙げられる。光学顕微鏡の例としては、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、全反射照明蛍光顕微鏡、ラマン顕微鏡、及び非線形光学顕微鏡が挙げられる。プローブ顕微鏡の例としては、走査型トンネル顕微鏡(STM)、及び原子間力顕微鏡(AFM)が挙げられる。放射線画像の例としては、レントゲン画像、CT(Computed Tomography)画像、放射性同位元素(RI)画像、及び血管造影画像が挙げられる。また、画像は、磁気共鳴(MR)画像であってもよい。画像は、例えば、正方形又は矩形である。画像は、断面画像であってもよいし、表面画像であってもよい。画像は、例えば、被写体に対して一定方向に連続して撮影された複数の画像を1枚に合成した画像であってもよい。また、例えば、画像は、ノイズ除去処理された画像であってもよい。
【0041】
画像に含まれる複数の輪郭のそれぞれは、例えば、孔、樹脂骨格、海島構造における島、海島構造における海、又はネットワーク構造を示していてもよい。以下においては、画像の被写体が多孔質膜の断面である例を説明するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0042】
実施形態に係るシステムは、画像を二値化又は多値化する多値化部306をさらに備えていてもよい。二値化処理においては、各画素において、所定の閾値以上の濃度値を白に変換し、所定の閾値未満の濃度値を黒に変換する。多値化処理においては、各画素において、mを自然数として、所定のm個の閾値を設定し、濃度値とm個の閾値の大小関係に基づいて、濃度値をm+1個の色のいずれかに変換する。二値化はmが1である場合の多値化の形態である。二値化法は、大津の二値化法であってもよい。多値化部306が多値化した画像を第1設定部302及び第2設定部303が処理してもよいし、第1設定部302及び第2設定部303が特定したn+1番目領域を、多値化部306が多値化してもよい。
【0043】
第1設定部302は、
図2に示すように、画像200の一辺201を含む1番目領域210を特定する。正方形又は矩形の画像200の外郭は、4つの辺201、202、203、204からなり、第1設定部302は、4つの辺201、202、203、204から一辺を特定する。第1設定部302は、入力装置351を介したオペレーターからの指示に基づき、画像200の一辺201を特定してもよい。1番目領域210は、正方形又は矩形の領域であり、1番目領域210の外郭の一辺は、画像200の外郭の一辺と重複する。1番目領域210は、画像200の一辺201に対して垂直方向に、任意の幅を有する。第1設定部302は、入力装置351を介したオペレーターからの指示に基づき、1番目領域210の任意の幅を設定してもよい。
【0044】
図3に示すように、第1設定部302が特定した1番目領域210を、多値化部306が多値化してもよい。第1設定部302は、画像の1番目領域210又は多値化された画像の1番目領域211を解析して、1番目領域210に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出する。解析方法の例としては、Local thickness法及び輪郭検出法が挙げられる。径の変動係数Vは、例えば、径の標準偏差をS、径の平均値をAとして、下記(1)式で与えられる。
V=S/A (1)
【0045】
Local thickness法においては、
図4に示すように、輪郭で囲まれた領域に入る最大の円の大きさを求めて、当該円の径から、輪郭で囲まれた領域の径を求める。なお、
図5に示すように、円501を入れられる輪郭500で囲まれた領域は円である必要はない。また、
図6に示すように、輪郭502で囲まれた領域は、線分で完全に囲まれた閉じた領域である必要はない。Local thickness法を用いる場合、第1設定部302は、輪郭で囲まれた複数の領域の径を算出し、複数の径の値のうち最大値を最大径として特定する。また、複数の径の値から径の標準偏差と径の平均値を算出し、例えば上記(1)式に従って、径の変動係数を算出する。
【0046】
輪郭検出法においては、
図7に示すように、閉じた領域の輪郭505を検出する。例えば、画像が二値化画像であれば、白と黒の境界を検出する。第1設定部302は、検出された輪郭で囲まれた閉じた領域の面積Cを算出し、例えば下記(2)式に従って、領域の円相当径Rを算出する。
R=2(C/π)
1/2 (2)
輪郭検出法を用いる場合、第1設定部302は、輪郭で囲まれた複数の領域の円相当径を算出し、複数の円相当径の値のうち最大値を最大径として特定する。また、複数の円相当径の値から円相当径の標準偏差と円相当径の平均値を算出し、例えば上記(1)式に従って、径の変動係数を算出する。
【0047】
第1設定部302は、領域の外周Lに基づいて、例えば下記(3)式に従って、領域の円形度Dを算出してもよい。
D=(4πC)/L2 (3)
また、第1設定部302は、領域に外接する四角形の短辺長に対する長辺長の比、あるいは領域に外接する円形の短径に対する長径の比を算出してもよい。これらの値は、1から離れるほど、輪郭が歪んでいることを示している。
【0048】
1番目領域210における径の変動係数が大きい場合は、1番目領域210の幅が広く、1番目領域210における径の分布が大きいことを意味し得る。また、1番目領域210における径の変動係数が小さい場合は、1番目領域210の幅が狭く、1番目領域210における径の分布が小さいことを意味し得る。
【0049】
本実施形態においては、画像を、中心が一定の間隔で離れている複数の領域に抽出し、それぞれの領域に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得することを目的としているため、1つの領域に含まれる径の分布が大き過ぎたり、小さ過ぎたりする場合は、領域の位置に対する特徴量の変化を正確に把握することが困難になり得る。また、1つの領域における径の変動係数が小さ過ぎる場合は、1つの領域に含まれる輪郭が少なすぎる可能性や、1つの領域の幅が輪郭で囲まれた領域の径よりも短い可能性がある。
【0050】
適切な変動係数の大きさは、取得しようとする特徴量や画像の被写体の大きさに基づいて変わり得るため、任意である。適切な変動係数の大きさに基づいて設定される変動係数の所定の範囲は、例えば、0.25以上0.5以下、あるいは0.30以上0.45以下であるが、これらに限定されない。変動係数の所定の範囲は、例えば、オペレーターが、
図1に示す入力装置351を介して、メモリー353に記憶させていてもよい。
【0051】
第1設定部302は、メモリー353から、変動係数の所定の範囲を読み出し、1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数の値が、所定の範囲内にあるか否かを判定する。径の変動係数の値が、所定の範囲内にある場合、1番目領域210の幅が適切であったことを意味し得る。そのため、第1設定部302は、
図8に示すように、1番目領域210の幅を変更せずに、1番目領域210の幅の中央を、1番目領域210の中心215に設定する。
【0052】
径の変動係数が所定の範囲の上限より大きい場合、第1設定部302は、径の変動係数が所定の範囲内になるまで、1番目領域210の幅を狭め、径の変動係数を計算することを繰り返す。第1設定部302が、1番目領域210の幅を狭める方法は、特に限定されない。例えば、1番目領域210の現在の幅に1未満の所定の値をかけてもよいし、1番目領域210の現在の幅から所定の値を引いてもよい。あるいは、第1設定部302は、例えば、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に1より大きいの所定の値をかけて得られる値で、かつ、1番目領域の現在の幅より小さい値に、1番目領域の幅を狭めて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。また、あるいは、第1設定部302は、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に所定の値を足して得られる値で、かつ、1番目領域の現在の幅より小さい値に、1番目領域の幅を狭めて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。第1設定部302は、幅を狭める回数に応じて、狭める量を増やしてもよいし、減らしてもよい。第1設定部302は、径の変動係数が所定の範囲内になったときの1番目領域210の幅の中央を、1番目領域の中心に設定する。
【0053】
径の変動係数が所定の範囲の上限より小さい場合、第1設定部302は、径の変動係数が所定の範囲内になるまで、1番目領域210の幅を広げ、径の変動係数を計算することを繰り返す。第1設定部302が、1番目領域210の幅を広げる方法は、特に限定されない。例えば、1番目領域210の現在の幅に1より大の所定の値をかけてもよいし、1番目領域210の現在の幅に所定の値を足してもよい。あるいは、第1設定部302は、例えば、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に1より大きいの所定の値をかけて得られる値で、かつ、1番目領域の現在の幅より大きい値に、1番目領域の幅を広げて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。また、あるいは、第1設定部302は、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に所定の値を足して得られる値で、かつ、1番目領域の現在の幅より大きい値に、1番目領域の幅を広げて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。第1設定部302は、幅を広げる回数に応じて、広げる量を増やしてもよいし、減らしてもよい。第1設定部302は、径の変動係数が所定の範囲内になったときの1番目領域210の幅の中央を、1番目領域の中心に設定する。
【0054】
第2設定部303は、nを0を初期値とする整数として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定する。1番目領域の中心を設定した時点で、nは0である。一定の間隔は任意である。一定の間隔は、画像200におけるピクセル数で表されてもよい。一定の間隔は、画像200から何個程度の領域に抽出するかに応じて、任意に設定してもよい。一定の間隔は、例えば、オペレーターが、入力装置351を介して、メモリー353に記憶させていてもよく、第2設定部303は、メモリー353に保存されている一定の間隔を読み出してもよい。nが0である場合、第2設定部303は、
図9に示すように、1番目領域の中心215から一定の間隔G離れた位置に、2番目領域の中心225を設定する。
【0055】
第2設定部303は、n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上に設定する。なお、n+2番目領域は、n+1番目領域と重複してもよいし、n+1番目領域と重複しなくてもよい。n+2番目領域の幅は、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上であれば、特に限定されないが、例えば、n+2番目領域の幅は、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径の5倍、7倍、10倍、又は15倍である。n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上に設定に設定することにより、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数の値が小さくなり過ぎることを抑制可能である。nが0である場合、第2設定部303は、
図10に示すように、2番目領域220の幅を、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上に設定する。
【0056】
第2設定部303は、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数の値が、所定の範囲内にあるか否かを判定する。径の変動係数の値が、所定の範囲内にある場合、n+2番目領域の幅が適切であったことを意味し得る。そのため、第1設定部302は、n+2番目領域の幅を変更せずに保つ。
【0057】
径の変動係数が所定の範囲の上限より大きい場合、第2設定部303は、n+2番目領域の中心を保ったまま、径の変動係数が所定の範囲内になるまで、n+2番目領域の幅を狭め、径の変動係数を計算することを繰り返す。第2設定部303が、n+2番目領域の幅を狭める方法は、特に限定されない。例えば、n+2番目領域の現在の幅に1未満の所定の値をかけてもよいし、n+2番目領域の現在の幅から所定の値を引いてもよい。あるいは、第2設定部303は、例えば、n+2番目領域の中心を保ったまま、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に1より大きいの所定の値をかけて得られる値で、かつ、n+2番目領域の現在の幅より小さい値に、n+2番目領域の幅を狭めて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。また、あるいは、第2設定部303は、n+2番目領域の中心を保ったまま、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に所定の値を足して得られる値で、かつ、n+2番目領域の現在の幅より小さい値に、n+2番目領域の幅を狭めて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。第2設定部303は、幅を狭める回数に応じて、狭める量を増やしてもよいし、減らしてもよい。第2設定部303は、径の変動係数が所定の範囲内になったときのn+2番目領域の幅を、n+2番目領域の幅と確定する。
【0058】
径の変動係数が所定の範囲の上限より小さい場合、第2設定部303は、n+2番目領域の中心を保ったまま、径の変動係数が所定の範囲内になるまで、n+2番目領域の幅を広げ、径の変動係数を計算することを繰り返す。第2設定部303が、n+2番目領域の幅を広げる方法は、特に限定されない。例えば、n+2番目領域の現在の幅に1より大きいの所定の値をかけてもよいし、n+2番目領域の現在の幅に所定の値を足してもよい。あるいは、第2設定部303は、例えば、n+2番目領域の中心を保ったまま、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に1より大きいの所定の値をかけて得られる値で、かつ、n+2番目領域の現在の幅より大きい値に、n+2番目領域の幅を広げて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。また、あるいは、第2設定部303は、n+2番目領域の中心を保ったまま、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径に所定の値を足して得られる値で、かつ、n+2番目領域の現在の幅より大きい値に、n+2番目領域の幅を広げて、径の変動係数を計算することを繰り返してもよい。第2設定部303は、幅を狭める回数に応じて、広げる量を増やしてもよいし、減らしてもよい。第2設定部303は、径の変動係数が所定の範囲内になったときのn+2番目領域の幅を、n+2番目領域の幅と確定する。
【0059】
繰り返し指示部304は、第2設定部303に、nに1を加算して処理を実行することを、n+2番目領域が画像200の一辺201に対向する他辺203を超えるまで繰り返させる。これにより、画像200に複数の領域が設定され、各領域の中心は、隣接する領域の中心から所定の一定の間隔G離れている。
【0060】
例えば、
図11に示すように、nを1として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、2番目領域220の中心225から一定の間隔G離れた位置に中心235を有する3番目領域230が設定される。次に、
図12に示すように、nを2として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、3番目領域230の中心235から一定の間隔G離れた位置に中心245を有する4番目領域240が設定される。次に、
図13に示すように、nを3として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、4番目領域240の中心245から一定の間隔G離れた位置に中心255を有する5番目領域250が設定される。
【0061】
次に、
図14に示すように、nを4として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、5番目領域250の中心255から一定の間隔G離れた位置に中心265を有する6番目領域260が設定される。次に、
図15に示すように、nを5として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、6番目領域260の中心265から一定の間隔G離れた位置に中心275を有する7番目領域270が設定される。次に、
図16に示すように、nを6として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、7番目領域270の中心275から一定の間隔G離れた位置に中心285を有する8番目領域280が設定される。次に、
図17に示すように、nを7として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、8番目領域280の中心285から一定の間隔G離れた位置に中心295を有する9番目領域290が設定される。
【0062】
図18に示すように、nを8として、画像200の一辺201に対して垂直方向において、9番目領域290の中心295から一定の間隔G離れた位置に中心405を有する10番目領域400を設定しようとすると、10番目領域は、画像200の一辺201に対向する他辺203を超えるため、繰り返し指示部304は、第2設定部303に、領域の設定を停止させる。なお、9個の領域を設定するのは単なる例示であり、領域の数はこれに限定されない。また、繰り返し指示部304は、n+2番目領域の中心が画像200の一辺201に対向する他辺203を超えたときに、第2設定部303に、領域の設定を停止させてもよいし、n+2番目領域の幅が確定した後に、n+2番目領域の少なくとも一部が画像200の一辺201に対向する他辺203を超えたときに、第2設定部303に、領域の設定を停止させてもよい。
【0063】
図1に示す繰り返し指示部304は、例えば、n+2番目領域が画像200の一辺201に対向する他辺203を超える直前のnの最大値qをメモリー353に保存する。特徴量取得部305は、メモリー353からnの最大値qを読み出し、n+1番目領域(n:0からq)に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得する。輪郭の特徴量は、例えば、輪郭の統計値であり、輪郭の径、輪郭の平均径、輪郭の周囲長、輪郭の平均周囲長、輪郭の円形度、輪郭の真円度、及び輪郭の歪みであってもよい。輪郭の特徴量は、第1設定部302及び第2設定部303が、n+1番目領域(n:0からq)を設定するときに算出してもよいし、特徴量取得部305が算出してもよい。特徴量取得部305は、例えば、特徴量取得部305は、n+1番目領域(n:0からq)に含まれる輪郭の特徴量のデータを生成してもよい。例えば、1番目領域に含まれる輪郭の特徴量、2番目領域に含まれる輪郭の特徴量、・・・及びq番目領域に含まれる輪郭の特徴量を含むデータを生成する。特徴量取得部305は、データを表にしてもよい。あるいは、特徴量取得部30は、データを、
図19に例示するにグラフにプロットしてもよい。特徴量取得部305は、輪郭の特徴量を、
図20に示すように、n+1番目領域(n:0からq)の中心の位置に対してプロットしてもよい。これにより、1番目領域からq番目領域までの輪郭の特徴量の推移を把握することが可能である。
【0064】
次に、
図21を参照して、実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭の分析方法を説明する。
【0065】
ステップS101で、画像取得部301が、複数の輪郭を含む画像を取得する。ステップS102で、第1設定部302が、画像の一辺を含む1番目領域を特定する。ステップS103で、第1設定部302が、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出し、1番目領域の中心を設定する。
【0066】
ステップS103においては、
図22に示すように、ステップS200で、第1設定部302が、1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出する。ステップS201で、第1設定部302が、1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にあるか否かを判定する。1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、ステップS202で、第1設定部302が、一辺に対して垂直方向における1番目領域の幅の中央を、1番目領域の中心と設定する。
【0067】
1番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にない場合、ステップS203で、第1設定部302が、径の変動係数が所定の範囲より大きいか否かを判定する。径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、ステップS204で、第1設定部302が、1番目領域の幅を狭くする。その後、ステップS200に戻る。径の変動係数が所定の範囲内になるまで、ステップS200、ステップS201、ステップS203、及びステップS204からなるループが繰り返される。
【0068】
ステップS203で、第1設定部302が、径の変動係数が所定の範囲より小さいと判定した場合、ステップS205で、第1設定部302が、1番目領域の幅を広げる。その後、ステップS200に戻る。径の変動係数が所定の範囲内になるまで、ステップS200、ステップS201、ステップS203、及びステップS205からなるループが繰り返される。
【0069】
図21のステップS104で、第2設定部303が、nを0に設定する。ステップS105で、第2設定部303が、n+1番目領域の中心から一定の間隔離れたn+2番目領域の中心を設定する。ステップS106で、第2設定部303が、n+2番目領域の幅を、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径以上に設定する。ステップS107で、第2設定部303が、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数に基づき、n+2番目領域の幅を確定する。
【0070】
ステップS107においては、
図23に示すように、ステップS300で、第2設定部303が、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の最大径及び径の変動係数を算出する。ステップS301で、第2設定部303が、n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にあるか否かを判定する。n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にある場合、ステップS302で、第2設定部303が、現在のn+2番目領域の幅を採用する。
【0071】
n+2番目領域に含まれる複数の輪郭の径の変動係数が所定の範囲内にない場合、ステップS303で、第2設定部303が、径の変動係数が所定の範囲より大きいか否かを判定する。径の変動係数が所定の範囲より大きい場合、ステップS304で、第2設定部303が、n+2番目領域の中心を保ったまま、n+2番目領域の幅を狭くする。その後、ステップS300に戻る。径の変動係数が所定の範囲内になるまで、ステップS300、ステップS301、ステップS303、及びステップS304からなるループが繰り返される。
【0072】
ステップS303で、第2設定部303が、径の変動係数が所定の範囲より小さいと判定した場合、ステップS305で、第2設定部303が、n+2番目領域の中心を保ったまま、n+2番目領域の幅を広げる。その後、ステップS300に戻る。径の変動係数が所定の範囲内になるまで、ステップS300、ステップS301、ステップS303、及びステップS305からなるループが繰り返される。
【0073】
図21のステップS108で、第2設定部303が、n+2番目領域が、画像の1番目領域が設定された一辺に対向する他辺を超えているか否かを判定する。n+2番目領域が、画像の1番目領域が接する一辺に対向する他辺を超えていない場合、ステップS110で、繰り返し指示部304が、nに1を加算し、第2設定部303に、ステップS105からステップS108を繰り返させる。ステップS108で、n+2番目領域が、画像の1番目領域が接する一辺に対向する他辺を超えている場合、ステップS109で、特徴量取得部305が、n+1番目領域に含まれる複数の輪郭の特徴量を取得する。
【0074】
実施形態に係る画像に含まれる複数の輪郭の分析システム及び方法によれば、画像を複数の領域に分ける際に、複数の領域のそれぞれの幅を、領域に含まれる輪郭の変動係数が所定の範囲になるように設定するため、画像の一辺に対して垂直方向における、輪郭の特徴量の変化を正確に評価することが可能である。例えば、画像の被写体が中空糸多孔質膜である場合、中空糸多孔膜の断面における内表面側から外表面側への平均孔径の変化を正確に評価することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
200・・・画像、201・・・一辺、203・・・他辺、210、211、220、230、240、250、260、270、280、290、400・・・領域、215、225、235、245、255、265、275、285、295、405・・・中心、300・・・CPU、301・・・画像取得部、302・・・第1設定部、303・・・第2設定部、304・・・繰り返し指示部、305・・・特徴量取得部、306・・・多値化部、351・・・入力装置、352・・・出力装置、353・・・メモリー、500、502、505・・・輪郭、501・・・円