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特開2024-72105情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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  • 特開-情報処理装置、情報処理方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072105
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240520BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182764
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 暖華
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】作業現場における作業効率の低下を低減する。
【解決手段】作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力する出力部を備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力する出力部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記差分に基づいて前記提示情報を決定する提示情報決定部を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記作業者および前記監視者のうちの少なくともいずれか一方に提示される提示情報を出力する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提示情報は、前記作業者に提示される作業者提示情報を含み、
前記提示情報決定部は、前記差分に基づいて前記作業者提示情報を決定し、
前記出力部は、前記作業者提示情報を出力する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示情報決定部は、第1の条件が満たされることに基づいて、前記作業者提示情報を決定し、
前記出力部は、前記作業者提示情報が決定されたことに基づいて、前記作業者提示情報を出力する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の条件は、前記作業者の焦りの感情の強度が第1の感情値よりも小さいこと、前記作業者のスケジュール量が第1のスケジュール量よりも小さいこと、または、前記作業者の動き量が第1の動き量よりも小さいことの少なくともいずれか一つを含む、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示情報は、前記監視者に提示される監視者提示情報を含み、
前記提示情報決定部は、前記差分に基づいて前記監視者提示情報を決定し、
前記出力部は、前記監視者提示情報を出力する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提示情報決定部は、第2の条件が満たされることに基づいて、前記監視者提示情報を決定し、
前記出力部は、前記監視者提示情報が決定されたことに基づいて、前記監視者提示情報を出力する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提示情報は、前記作業者に提示される作業者提示情報および前記監視者に提示される監視者提示情報を含み、
前記提示情報決定部は、前記差分に基づいて前記作業者提示情報および前記監視者提示情報を決定し、
前記出力部は、前記作業者提示情報および前記監視者提示情報を出力する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記提示情報決定部は、前記差分が閾値より大きい場合に、前記提示情報を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記提示情報決定部は、前記差分が大きいほど、大きい情報量を有する前記提示情報を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記センサは、第1のセンサおよび第2のセンサを含み、
前記情報処理装置は、
前記第1のセンサによって検出された前記作業者センサデータを前記第1のセンサから取得するとともに、前記第2のセンサによって検出された前記監視者センサデータを前記第2のセンサから取得するセンサデータ取得部を備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記情報処理装置は、
前記作業者暗黙知情報と前記監視者暗黙知情報とに基づいて、前記差分を算出する差分算出部を備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記情報処理装置は、
前記作業者センサデータに基づいて前記作業者暗黙知情報を推定するとともに、前記監視者センサデータに基づいて前記監視者暗黙知情報を推定する暗黙知情報推定部を備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記作業者暗黙知情報は、前記作業者の感情情報を含み、
前記監視者暗黙知情報は、前記監視者の感情情報を含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記監視者は、前記作業現場において前記作業者と連携して作業するロボットを操作する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力することを含む、
コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項18】
コンピュータを、
作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの状態を把握するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、複数の作業者それぞれのコミュニケーション特性情報をあらかじめ記憶しておき、チームを構成する複数の作業者を示す情報と、あらかじめ記憶された各作業者のコミュニケーション特性情報とに基づいて、チームを構成する作業者同士のコミュニケーション状態を評価し、評価結果を表示する技術が開示されている。
【0003】
さらに、特許文献2には、ユーザの生体情報を取得し、取得した生体情報とニューラルネットワークとに基づいてユーザの感情情報を推定し、推定した感情情報を可視化して表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-220217号公報
【特許文献2】特許第4608858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同一の作業現場において作業を行う複数の作業者は、互いの暗黙知情報を共有しやすいと言える。ここで、暗黙知情報は、言語化されていない知または言語化するのが難しい知であり得る。暗黙知情報の例としては感情情報が挙げられる。
【0006】
一方、作業現場とは離れた場所(以下、「遠隔地」とも言う。)に存在する監視者が、作業現場における作業を監視する場合も想定され得る。一例として、作業現場に存在する複数の作業者の一部をロボットに置き換え、遠隔地から監視者がロボットを操作することを可能にするシステムの導入も進められている。
【0007】
このように遠隔地に監視者が存在する場合において、作業者の暗黙知情報は、遠隔地に存在する監視者に共有されにくい。同様に、遠隔地に存在する監視者の暗黙知情報は、作業現場に存在する作業者に共有されにくい。遠隔地に存在する監視者と作業現場に存在する作業者とが、互いの暗黙知情報を共有しにくいことにより、作業現場での作業効率が向上しない可能性がある。
【0008】
そこで、作業現場における作業効率の低下を低減するための技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力する出力部を備える、情報処理装置が提供される。
【0010】
前記情報処理装置は、前記差分に基づいて前記提示情報を決定する提示情報決定部を備えてもよい。
【0011】
前記出力部は、前記作業者および前記監視者のうちの少なくともいずれか一方に提示される提示情報を出力してもよい。
【0012】
前記提示情報は、前記作業者に提示される作業者提示情報を含み、前記提示情報決定部は、前記差分に基づいて前記作業者提示情報を決定し、前記出力部は、前記作業者提示情報を出力してもよい。
【0013】
前記提示情報決定部は、第1の条件が満たされることに基づいて、前記作業者提示情報を決定し、前記出力部は、前記作業者提示情報が決定されたことに基づいて、前記作業者提示情報を出力してもよい。
【0014】
前記第1の条件は、前記作業者の焦りの感情の強度が第1の感情値よりも小さいこと、前記作業者のスケジュール量が第1のスケジュール量よりも小さいこと、または、前記作業者の動き量が第1の動き量よりも小さいことの少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0015】
前記提示情報は、前記監視者に提示される監視者提示情報を含み、前記提示情報決定部は、前記差分に基づいて前記監視者提示情報を決定し、前記出力部は、前記監視者提示情報を出力してもよい。
【0016】
前記提示情報決定部は、第2の条件が満たされることに基づいて、前記監視者提示情報を決定し、前記出力部は、前記監視者提示情報が決定されたことに基づいて、前記監視者提示情報を出力してもよい。
【0017】
前記提示情報は、前記作業者に提示される作業者提示情報および前記監視者に提示される監視者提示情報を含み、前記提示情報決定部は、前記差分に基づいて前記作業者提示情報および前記監視者提示情報を決定し、前記出力部は、前記作業者提示情報および前記監視者提示情報を出力してもよい。
【0018】
前記提示情報決定部は、前記差分が閾値より大きい場合に、前記提示情報を決定してもよい。
【0019】
前記提示情報決定部は、前記差分が大きいほど、大きい情報量を有する前記提示情報を決定してもよい。
【0020】
前記センサは、第1のセンサおよび第2のセンサを含み、前記情報処理装置は、前記第1のセンサによって検出された前記作業者センサデータを前記第1のセンサから取得するとともに、前記第2のセンサによって検出された前記監視者センサデータを前記第2のセンサから取得するセンサデータ取得部を備えてもよい。
【0021】
前記情報処理装置は、前記作業者暗黙知情報と前記監視者暗黙知情報とに基づいて、前記差分を算出する差分算出部を備えてもよい。
【0022】
前記情報処理装置は、前記作業者センサデータに基づいて前記作業者暗黙知情報を推定するとともに、前記監視者センサデータに基づいて前記監視者暗黙知情報を推定する暗黙知情報推定部を備えてもよい。
【0023】
前記作業者暗黙知情報は、前記作業者の感情情報を含み、前記監視者暗黙知情報は、前記監視者の感情情報を含んでもよい。
【0024】
前記監視者は、前記作業現場において前記作業者と連携して作業するロボットを操作してもよい。
【0025】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力することを含む、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、作業現場にて作業する作業者から検出された作業者センサデータに基づいて推定された作業者暗黙知情報と、前記作業を遠隔地にて監視する監視者から検出された監視者センサデータに基づいて推定された監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報を出力する出力部、として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、作業現場における作業効率の低下を低減することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態の適用例について説明するための図である。
図2】本発明の実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す図である。
図4】暗黙知情報の例として感情情報が用いられる場合について説明するための図である。
図5】本発明の実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
(1.実施形態の詳細)
本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0031】
(1-1.実施形態の適用例)
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態の適用例について説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態の適用例について説明するための図である。図1を参照すると、作業現場W0が示されている。作業現場W0には、作業者U1および作業者U2が存在しており、作業者U1と作業者U2とは、連携しながら作業を行っている。ここでは、作業者U1と作業者U2とが連携しながら荷物を運ぶ作業を行っている。しかし、本発明の実施形態に係る作業は、荷物を運ぶ作業に限定されない。
【0033】
同一の作業現場W0において作業を行う作業者U1と作業者U2とは、互いの状況を把握することができるため、互いの暗黙知情報を共有しやすいと言える。ここで、暗黙知情報は、言語化されていない知または言語化するのが難しい知であり得る。暗黙知情報の例としては感情情報が挙げられる。しかし、後にも説明するように、暗黙知情報は、感情情報に限定されない。
【0034】
さらに図1を参照すると、作業現場W1および遠隔地R1が示されている。作業現場W1には、作業者U1およびロボットB1が存在している。すなわち、作業現場W1は、作業現場W0に存在する作業者U2がロボットB1に置き換えられることにより生じる。遠隔地R1は、作業現場W1から離れた場所に存在しており、遠隔地R1には、作業現場W1における作業を監視する監視者K1が存在している。
【0035】
監視者K1は、PC(Personal Computer)などを介して遠隔地R1からロボットB1を操作することが可能である。したがって、作業者U1が「現場作業者」とも換言され得るのに対し、監視者K1は「遠隔作業者」とも換言され得る。作業現場W1においては、監視者K1の操作に基づいて動作するロボットB1と作業者U1とが連携しながら作業を行う。このようにロボットB1と作業者U1とが連携しながら作業を行うことを可能にするシステムの導入が進められている。
【0036】
しかし、作業現場W1に存在する作業者U1の暗黙知情報は、遠隔地R1に存在する監視者K1に共有されにくい。同様に、遠隔地R1に存在する監視者K1の暗黙知情報は、作業現場W1に存在する作業者U1に共有されにくい。遠隔地R1に存在する監視者K1と作業現場W1に存在する作業者U1とが、互いの暗黙知情報を共有しにくいことにより、作業現場W1での作業効率が向上しない可能性がある。
【0037】
より具体的には、監視者K1と作業者U1とが、互いの暗黙知情報を共有しにくいことにより、監視者K1の暗黙知情報と作業者U1の暗黙知情報との差分が低減されない状態が継続してしまう可能性がある。このとき、作業者U1と監視者K1によって操作されるロボットB1との連携が改善されずに、作業者U1とロボットB1とによって行われる作業の効率が向上しないことが想定される。
【0038】
そこで、本明細書においては、作業効率の向上を支援するための技術について主に提案する。より具体的に、本明細書においては、監視者K1の暗黙知情報と作業者U1の暗黙知情報との差分が低減されるような処理を実行する技術について提案する。これにより、作業者U1とロボットB1との連携が改善され、作業者U1とロボットB1とによって行われる作業の効率が向上することが期待される。
【0039】
以上、本発明の実施形態の適用例について説明した。
【0040】
(1-2.情報処理システムの構成例)
続いて、図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明する。
【0041】
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の機能構成例を示す図である。図2に示されるように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、センサ21と、センサ22と、提示装置31と、提示装置32とを備える。ここで、情報処理装置10、センサ21、センサ22、提示装置31および提示装置32は、ネットワーク50に接続されており、ネットワーク50を介して互いに通信を行うことが可能である。
【0042】
(センサ21)
センサ21は、第1のセンサの例に該当し、作業者U1に対してセンシングを行ってセンサデータ(以下、「作業者センサデータ」とも言う。)を検出する。以下の説明においては、センサ21が生体センサである場合を主に想定する。生体センサの例としては、生体データ(例えば、体温、血圧、発汗、筋電位、脳波、または、脈波など)を検出する各種のセンサが挙げられる。しかし、センサ21は、生体センサ以外であってもよい。
【0043】
一例として、センサ21は、環境センサなどであってもよい。環境センサの例としては、環境データ(例えば、温度、湿度、照度、照明色、におい、または、音など)を検出する各種のセンサが挙げられる。センサ21は、検出した作業者センサデータを、ネットワーク50を介して情報処理装置10に送信する。
【0044】
(センサ22)
センサ22は、第2のセンサの例に該当し、監視者K1に対してセンシングを行ってセンサデータ(以下、「監視者センサデータ」とも言う。)を検出する。以下の説明においては、センサ22が生体センサである場合を主に想定する。しかし、センサ22は、センサ21と同様に、生体センサ以外であってもよい。センサ22は、検出した監視者センサデータを、ネットワーク50を介して情報処理装置10に送信する。
【0045】
(提示装置31)
提示装置31は、第1の提示装置の例に該当し、情報処理装置10から出力された提示情報を、ネットワーク50を介して受信する。そして、提示装置31は、受信した提示情報を作業者U1に提示する。以下の説明においては、提示装置31がディスプレイである場合を主に想定する。しかし、提示装置31は、ディスプレイ以外であってもよい。例えば、提示装置31は、スピーカなどであってもよい。
【0046】
(提示装置32)
提示装置32は、第2の提示装置の例に該当し、情報処理装置10から出力された提示情報を、ネットワーク50を介して受信する。そして、提示装置32は、受信した提示情報を監視者K1に提示する。以下の説明においては、提示装置32がディスプレイである場合を主に想定する。しかし、提示装置32は、提示装置31と同様に、ディスプレイ以外であってもよい。
【0047】
(情報処理装置10)
情報処理装置10は、コンピュータによって実現される。情報処理装置10は、センサ21から送信された作業者センサデータを、ネットワーク50を介して受信する。さらに、情報処理装置10は、センサ22から送信された監視者センサデータを、ネットワーク50を介して受信する。情報処理装置10は、作業者センサデータと監視者センサデータとに基づく提示情報を、ネットワーク50を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に送信する。
【0048】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の構成例について説明した。
【0049】
(1-3.情報処理装置10の機能構成例)
図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の機能構成例について説明する。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の機能構成例を示す図である。図3に示されるように、本発明の実施形態に係る情報処理装置10は、制御部120と、通信部140と、記憶部150とを備える。以下では、これらのブロックの機能について説明する。
【0051】
(制御部120)
制御部120は、情報処理装置10の全体の動作を制御する。例えば、制御部120は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、記憶部150により記憶されているプログラムがCPUによりRAM(Random Access Memory)に展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。
【0052】
このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。
【0053】
図3に示されるように、制御部120は、センサデータ取得部121と、暗黙知情報推定部122と、差分算出部123と、提示情報決定部124と、出力部125とを備える。これらのブロックの機能については、後に詳細に説明する。
【0054】
(通信部140)
通信部140は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部140は、ネットワーク50に接続され、ネットワーク50を介して他の装置と通信を行う。なお、通信部140は、通信インタフェースにより実現され得る。
【0055】
(記憶部150)
記憶部150は、各種情報を記憶することが可能なメモリによって構成される。本発明の実施形態では、記憶部150が、不揮発性のメモリである場合を主に想定する。しかし、記憶部150は、揮発性のメモリであってもよい。
【0056】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の機能構成例について説明した。
【0057】
(1-4.情報処理装置10の詳細機能)
続いて、図1図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の詳細機能について説明する。
【0058】
(センサデータ取得部121)
センサデータ取得部121は、センサ21によって作業者U1から検出された作業者センサデータを、通信部140を介してセンサ21から取得する。さらに、センサデータ取得部121は、センサ22によって監視者K1から検出された監視者センサデータを、通信部140を介してセンサ22から取得する。
【0059】
(暗黙知情報推定部122)
暗黙知情報推定部122は、センサデータ取得部121によって作業者センサデータが取得された場合には、作業者センサデータに基づいて作業者U1の暗黙知情報(以下、「作業者暗黙知情報」とも言う。)を推定する。さらに、暗黙知情報推定部122は、センサデータ取得部121によって監視者センサデータが取得された場合には、監視者センサデータに基づいて監視者K1の暗黙知情報(以下、「監視者暗黙知情報」とも言う。)を推定する。
【0060】
例えば、作業者暗黙知情報は、作業者U1の感情情報(以下、「作業者感情情報」とも言う。)を含んでよい。あるいは、作業者暗黙知情報は、感情情報以外の情報を含んでもよい。同様に、監視者暗黙知情報は、監視者K1の感情情報(以下、「監視者感情情報」とも言う。)を含んでよい。あるいは、監視者暗黙知情報は、作業者暗黙知情報と同様に、監視者感情情報以外の情報を含んでもよい。
【0061】
ここで、感情情報には、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」または「驚き」などの感情の強度に関する情報の他、ポジティブ感情の強度に関する情報、ネガティブ感情の強度に関する情報なども含まれ得る。また、感情情報以外の情報には、ストレス度、疲労度、覚醒度または快適度などの状態情報が含まれ得る。
【0062】
ここで、センサデータに基づいて暗黙知情報を推定する具体的な手法は、どのような手法であってもよい。例えば、暗黙知情報推定部122は、センサデータを解析することによって解析結果を取得し、取得した解析結果に基づいて、ルールベースによる手法または機械学習による手法により、暗黙知情報を推定してもよい。解析としては信号処理などで用いられる公知の技術が用いられてもよい。
【0063】
例えば、センサデータは脳波であってもよく、解析は、多次元有向コヒーレンス解析などであってもよく、解析結果は、脳波の各計測電極間のパワースペクトルの上下関係または当該パワースペクトルの有意差の有無などであってもよい。
【0064】
例えば、ルールベースによる手法が用いられる場合、暗黙知情報推定部122は、センサデータを解析して得られる特徴データと暗黙知情報とをあらかじめ対応付けて特徴データベースに記録してもよい。このとき、暗黙知情報推定部122は、センサデータから得られた解析結果と一致または類似する特徴データを特徴データベースから検索し、解析結果と一致または類似する特徴データに対応する暗黙知情報を得てもよい。
【0065】
機械学習による手法が用いられる場合、暗黙知情報推定部122は、センサデータを解析して得られる特徴データと暗黙知情報とに基づく機械学習により、モデルを生成してもよい。このとき、暗黙知情報推定部122は、センサデータから得られた解析結果を生成したモデルに入力し、解析結果の入力に対応したモデルからの出力を暗黙知情報として得てもよい。
【0066】
(差分算出部123)
差分算出部123は、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報とに基づいて、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分を算出する。
【0067】
一例として、差分算出部123は、作業者暗黙知情報から監視者暗黙知情報を減算することにより、作業者暗黙知情報が監視者暗黙知情報よりどの程度大きいかを差分として算出してもよい。
【0068】
あるいは、差分算出部123は、監視者暗黙知情報から作業者暗黙知情報を減算することにより、監視者暗黙知情報が作業者暗黙知情報よりどの程度大きいかを差分として算出してもよい。
【0069】
(提示情報決定部124)
提示情報決定部124は、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分に基づいて、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方に提示される提示情報を決定する。例えば、提示情報決定部124は、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分が閾値よりも大きい場合に、提示情報を決定してもよい。
【0070】
提示情報の種類としては、様々な種類が想定され得る。例えば、提示情報は、画像(例えば、静止画像または動画像など)であってもよいし、音であってもよいし、テキスト(例えば、一つの文字、または、複数文字が連なった文字列など)などであってもよい。
【0071】
提示情報は、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分に応じて変化してもよい。一例として、提示情報の情報量は、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分に応じて変化してもよい。すなわち、提示情報決定部124は、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分が大きいほど、大きい情報量を有する提示情報を決定してもよい。
【0072】
これによって、提示情報の情報量が大きいほど、作業者U1の暗黙知情報と監視者K1の暗黙知情報とが大きく近づくと考えられるため、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることが期待され得る。より具体的に、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分が大きくなるにつれて、提示情報が、テキストのみ、音のみ、音と文字、音と画像などのように変化してもよい。
【0073】
情報提示は、作業者U1および監視者K1の一方に対してのみ行われてもよいし、作業者U1および監視者K1の双方に対して行われてもよい。作業者U1および監視者K1の双方に対して情報提示が行われる場合には、作業者U1に提示される提示情報と、監視者K1に提示される提示情報とは、異なる場合が主に想定される。
【0074】
提示情報決定部124は、作業者U1に情報提示を行う場合には、作業者U1に提示される提示情報(以下、「作業者提示情報」とも言う。)を決定する。なお、作業者U1に情報提示を行うか否かは、あらかじめ決められていてもよい。あるいは、作業者U1に情報提示を行うか否かは、第1の条件(以下、「作業者提示条件」とも言う。)が満たされるか否かに基づいて提示情報決定部124によって決定されてもよい。
【0075】
すなわち、提示情報決定部124は、作業者提示条件が満たされることに基づいて、作業者提示情報を決定してもよい。ここで、作業者提示条件は、どのような提示条件であってもよい。
【0076】
一例として、作業者U1の焦りの感情の強度が第1の感情値よりも小さい場合には、作業者U1が作業者提示情報を知覚するだけの余力を有していると考えられる。したがって、作業者提示条件は、作業者U1の焦りの感情の強度が第1の感情値よりも小さいという条件を含んでもよい。なお、作業者U1の焦りの感情の強度は、暗黙知情報推定部122によって作業者センサデータに基づいて推定され得る。
【0077】
第1の感情値は、あらかじめ決められた値であってもよい。あるいは、第1の感情値は、監視者K1の焦りの感情の強度であってもよい。すなわち、作業者U1の焦りの感情の強度が、監視者K1の焦りの感情の強度よりも小さい場合に、作業者U1に作業者提示情報が出力されてもよい。なお、監視者K1の焦りの感情の強度も、暗黙知情報推定部122によって監視者センサデータに基づいて推定されてよい。
【0078】
あるいは、作業者U1のスケジュール量が第1のスケジュール量よりも小さい場合には、作業者U1が作業者提示情報を知覚するだけの余力を有していると考えられる。したがって、作業者提示条件は、作業者U1のスケジュール量が第1のスケジュール量よりも小さいという条件を含んでもよい。なお、スケジュール量は、単位時間(例えば、現在時刻が属する日)あたりのスケジュール量であってもよい。また、作業者U1のスケジュール量は、作業者U1の予定として登録されているデータの個数であってもよい。
【0079】
第1のスケジュール量は、あらかじめ決められた値であってもよい。あるいは、第1のスケジュール量は、監視者K1のスケジュール量であってもよい。すなわち、作業者U1のスケジュール量が監視者K1のスケジュール量よりも小さい場合に、作業者U1に作業者提示情報が出力されてもよい。なお、監視者K1のスケジュール量は、監視者K1の予定として登録されているデータの個数であってもよい。
【0080】
あるいは、作業者U1の動き量が第1の動き量よりも小さい場合には、作業者U1が作業者提示情報を知覚するだけの余力を有していると考えられる。したがって、作業者提示条件は、作業者U1の動き量が第1の動き量よりも小さいという条件を含んでもよい。なお、作業者U1の動き量は、センサ21に含まれる所定のセンサ(例えば、加速度センサまたはジャイロセンサなど)によって検出され得る。
【0081】
第1の動き量は、あらかじめ決められた値であってもよい。あるいは、第1の動き量は、監視者K1の動き量であってもよい。すなわち、作業者U1の動き量が監視者K1の動き量よりも小さい場合に、作業者U1に作業者提示情報が出力されてもよい。なお、監視者K1の動き量は、センサ22に含まれる所定のセンサ(例えば、加速度センサまたはジャイロセンサなど)によって検出され得る。
【0082】
同様に、提示情報決定部124は、監視者K1に情報提示を行う場合には、監視者K1に提示される提示情報(以下、「監視者提示情報」とも言う。)を決定する。なお、監視者K1に情報提示を行うか否かは、あらかじめ決められていてもよい。あるいは、監視者K1に情報提示を行うか否かは、第2の条件(以下、「監視者提示条件」とも言う。)が満たされるか否かに基づいて提示情報決定部124によって決定されてもよい。
【0083】
すなわち、提示情報決定部124は、監視者提示条件が満たされることに基づいて、監視者提示情報を決定してもよい。ここで、監視者提示条件は、どのような提示条件であってもよい。例えば、監視者提示条件は、作業者提示条件と同様の提示条件であってよい。
【0084】
一例として、監視者K1の焦りの感情の強度が第2の感情値よりも小さい場合には、監視者K1が監視者提示情報を知覚するだけの余力を有していると考えられる。したがって、監視者提示条件は、監視者K1の焦りの感情の強度が第2の感情値よりも小さいという条件を含んでもよい。
【0085】
第2の感情値は、あらかじめ決められた値であってもよい。あるいは、第2の感情値は、作業者U1の焦りの感情の強度であってもよい。すなわち、監視者K1の焦りの感情の強度が、作業者U1の焦りの感情の強度よりも小さい場合に、監視者K1に監視者提示情報が出力されてもよい。
【0086】
あるいは、監視者K1のスケジュール量が第2のスケジュール量よりも小さい場合には、監視者K1が監視者提示情報を知覚するだけの余力を有していると考えられる。したがって、監視者提示条件は、監視者K1のスケジュール量が第2のスケジュール量よりも小さいという条件を含んでもよい。
【0087】
第2のスケジュール量は、あらかじめ決められた値であってもよい。あるいは、第2のスケジュール量は、作業者U1のスケジュール量であってもよい。すなわち、監視者K1のスケジュール量が作業者U1のスケジュール量よりも小さい場合に、監視者K1に監視者提示情報が出力されてもよい。
【0088】
あるいは、監視者K1の動き量が第2の動き量よりも小さい場合には、監視者K1が監視者提示情報を知覚するだけの余力を有していると考えられる。したがって、監視者提示条件は、監視者K1の動き量が第2の動き量よりも小さいという条件を含んでもよい。
【0089】
第2の動き量は、あらかじめ決められた値であってもよい。あるいは、第2の動き量は、作業者U1の動き量であってもよい。すなわち、監視者K1の動き量が作業者U1の動き量よりも小さい場合に、監視者K1に監視者提示情報が出力されてもよい。
【0090】
(出力部125)
出力部125は、暗黙知情報推定部122によって作業者暗黙知情報が推定された場合には、作業者暗黙知情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。また、出力部125は、暗黙知情報推定部122によって監視者暗黙知情報が推定された場合には、監視者暗黙知情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。
【0091】
これによって、提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方によって、作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報のうちの少なくともいずれか一方が提示される。そして、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方によって、作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報が知覚される。なお、作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報は、色、グラフまたは数字などによって提示されてよい。
【0092】
さらに、出力部125は、提示情報決定部124によって決定された提示情報を出力する。より具体的に、出力部125は、提示情報決定部124によって決定された提示情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。
【0093】
これによって、提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方によって、提示情報が、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方に提示される。そして、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方によって、提示情報が知覚される。これによって、作業者U1の暗黙知情報と監視者K1の暗黙知情報とが近づくように変化することが期待されるため、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることが期待され得る。
【0094】
例えば、出力部125は、提示情報決定部124によって作業者提示情報が決定された場合には、作業者提示情報が決定されたことに基づいて、作業者提示情報を提示装置31に出力する。また、出力部125は、提示情報決定部124によって監視者提示情報が決定された場合には、監視者提示情報が決定されたことに基づいて、監視者提示情報を提示装置32に出力する。
【0095】
(作業者が複数である場合)
なお、図1に示された例では、作業現場W1に作業者U1が一人だけ存在している。しかし、作業現場W1に複数の作業者が存在する場合も想定され得る。かかる場合には、作業現場W1に存在する複数の作業者それぞれが作業者U1と同様に扱われてもよい。あるいは、作業者U1の暗黙知情報の代わりに、複数の作業者それぞれの暗黙知情報の平均値が用いられてもよい。
【0096】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の詳細機能について説明した。
【0097】
(1-5.感情情報が用いられる場合)
続いて、図4を参照しながら、暗黙知情報の例として感情情報が用いられる場合について説明する。より具体的に、図4を参照しながら、作業者暗黙知情報の例として作業者感情情報が用いられ、監視者暗黙知情報の例として、監視者感情情報が用いられる場合について説明する。
【0098】
図4は、暗黙知情報の例として感情情報が用いられる場合について説明するための図である。図4を参照すると、作業者U1および監視者K1それぞれの感情の種類として、感情「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、および、「驚き」が挙げられている。以下では、感情「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、および、「驚き」それぞれを、単に「各感情」とも言う。また、各感情に対応する作業者感情情報が示されている。また、各感情に対応する監視者感情情報も示されている。
【0099】
例えば、図4に示された例において、感情「喜び」に対応する作業者感情情報は、作業者U1の各感情の強度の合計に対する作業者U1の感情「喜び」の強度の割合[%]である。しかし、感情「喜び」に対応する作業者感情情報は、作業者U1の感情「喜び」の強度などであってもよい。他の感情「悲しみ」、「怒り」および「驚き」に対応する作業者感情情報も同様である。
【0100】
同様に、図4に示された例において、感情「喜び」に対応する監視者感情情報は、監視者K1の感情「喜び」、「悲しみ」、「怒り」および「驚き」の強度の合計に対する監視者K1の感情「喜び」の強度の割合[%]である。しかし、感情「喜び」に対応する監視者感情情報は、監視者K1の感情「喜び」の強度などであってもよい。他の感情「悲しみ」、「怒り」および「驚き」に対応する監視者感情情報も同様である。
【0101】
暗黙知情報推定部122は、作業者センサデータに基づいて、作業者暗黙知情報の例として各感情に対応する作業者感情情報を推定する。同様に、暗黙知情報推定部122は、監視者センサデータに基づいて、監視者暗黙知情報の例として各感情に対応する監視者感情情報を推定する。
【0102】
出力部125は、各感情に対応する作業者感情情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。また、出力部125は、各感情に対応する監視者感情情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。
【0103】
これによって、提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方によって、各感情に対応する作業者感情情報と、各感情に対応する監視者感情情報とが提示される。そして、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方によって、各感情に対応する作業者感情情報と、各感情に対応する監視者感情情報とが知覚される。
【0104】
差分算出部123は、感情ごとに作業者感情情報と監視者感情情報との差分を算出する。そして、提示情報決定部124は、感情ごとの作業者感情情報と監視者感情情報との差分に基づいて、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方に提示される提示情報を決定する。ここで、提示情報は、感情ごとにあらかじめ決められていてもよい。
【0105】
例えば、感情「喜び」に対応する作業者感情情報は、「59.3%」であり、感情「喜び」に対応する監視者感情情報は、「19.5%」である。一例として、差分算出部123は、「59.3%」から「19.5%」を減算することにより、感情「喜び」に対応する作業者感情情報が、感情「喜び」に対応する監視者感情情報よりも、「39.8%」大きいと算出する。
【0106】
このとき、感情「喜び」に対応する作業者感情情報を減らすこと、および、感情「喜び」に対応する監視者感情情報を増やすことの少なくともいずれか一方により、感情「喜び」に対応する作業者感情情報と感情「喜び」に対応する監視者感情情報とが近づく可能性がある。また、感情「喜び」に対応する作業者感情情報と感情「喜び」に対応する監視者感情情報とが近づくことにより、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることが期待され得る。
【0107】
そこで、提示情報決定部124は、感情「喜び」に対応する感情情報がより大きい作業者U1の感情「喜び」の強度が小さくなるような提示情報を、作業者U1に提示される提示情報として決定してもよい。あるいは、提示情報決定部124は、感情「喜び」に対応する感情情報がより小さい監視者K1の感情「喜び」の強度が大きくなるような提示情報を、監視者K1に提示される提示情報として決定してもよい。
【0108】
なお、感情「喜び」の強度が小さくなるような提示情報は、具体的にどのような情報であってもよい。一例として、感情「喜び」の強度が小さくなるような提示情報は、怖がっている人の表情を写した画像、または、身の危険を感じさせる自然現象が起きているシーンを写した画像(例えば、稲妻が写った画像など)などであってもよいし、身の危険を感じさせる自然現象が起きているときに発生する音(例えば、雷鳴の音など)であってもよい。
【0109】
さらに、感情「喜び」の強度が大きくなるような提示情報は、具体的にどのような情報であってもよい。一例として、感情「喜び」の強度が大きくなるような提示情報は、綺麗な景色を写した画像、または、心を落ち着かせる色(例えば、緑色など)が付された画像などであってもよいし、心を落ち着かせる音(例えば、鳥のさえずりの音、川のせせらぎの音など)であってもよいし、心を落ち着かせるテキスト(例えば、詩など)であってもよい。
【0110】
さらに、出力部125は、提示情報決定部124によって決定された提示情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。
【0111】
これによって、提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方によって、提示情報が、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方に提示される。そして、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方によって、提示情報が知覚される。これによって、感情「喜び」に対応する作業者感情情報と感情「喜び」に対応する監視者感情情報とが近づくように変化することが期待されるため、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることが期待され得る。
【0112】
なお、他の感情「悲しみ」、「怒り」および「驚き」それぞれに対応する提示情報の決定および出力も、感情「喜び」に対応する提示情報の決定および出力と同様にして行われてよい。
【0113】
以上、暗黙知情報の例として感情情報が用いられる場合について説明した。
【0114】
(1-6.情報処理装置10の動作例)
続いて、図5を参照しながら(適宜図1図4も参照しながら)、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の動作例について説明する。
【0115】
図5は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の動作例を示すフローチャートである。図5に示されるように、本発明の実施形態に係る情報処理装置10において、センサデータ取得部121は、センサ21によって検出された作業者センサデータおよびセンサ22によって検出された監視者センサデータの少なくともいずれか一方が、通信部140を介して取得されたか否かを判定する(S11)。
【0116】
センサデータ取得部121は、作業者センサデータおよび監視者センサデータのいずれも取得しない場合には(S11において「NO」)、S11に動作を移行させる。一方、センサデータ取得部121は、作業者センサデータおよび監視者センサデータの少なくともいずれか一方を取得した場合には(S11において「YES」)、S12に動作を移行させる。
【0117】
続いて、暗黙知情報推定部122は、センサデータ取得部121によって作業者センサデータが取得された場合には、作業者センサデータに基づいて作業者暗黙知情報を推定する。また、暗黙知情報推定部122は、センサデータ取得部121によって監視者センサデータが取得された場合には、監視者センサデータに基づいて監視者暗黙知情報を推定する(S12)。
【0118】
続いて、出力部125は、暗黙知情報推定部122によって作業者暗黙知情報が推定された場合には、作業者暗黙知情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。また、出力部125は、暗黙知情報推定部122によって監視者暗黙知情報が推定された場合には、監視者暗黙知情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する(S13)。
【0119】
これによって、提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方によって、作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報のうちの少なくともいずれか一方が提示される。そして、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方によって、作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報のうちの少なくともいずれか一方が知覚される。
【0120】
暗黙知情報推定部122によって作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報の一方でも推定されない場合には(S14において「NO」)、S11に動作が移行される。一方、差分算出部123は、暗黙知情報推定部122によって作業者暗黙知情報および監視者暗黙知情報の双方が推定された場合には(S14において「YES」)、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分を算出する(S15)。
【0121】
なお、上記したように、作業現場W1に複数の作業者が存在する場合も想定され得る。かかる場合には、作業現場W1に存在する複数の作業者それぞれが作業者U1と同様に扱われてもよい。あるいは、作業者U1の暗黙知情報の代わりに、複数の作業者それぞれの暗黙知情報の平均値が用いられてもよい。
【0122】
続いて、提示情報決定部124は、差分算出部123によって算出された差分が閾値よりも大きいか否かを判定する(S16)。差分算出部123によって算出された差分が閾値以下であると判定された場合には(S16において「NO」)、S11に動作が移行される。一方、提示情報決定部124は、差分算出部123によって算出された差分が閾値よりも大きいと判定した場合には(S16において「YES」)、差分に基づいて提示情報を決定する(S17)。
【0123】
さらに、出力部125は、提示情報決定部124によって決定された提示情報を出力する(S18)。より具体的に、出力部125は、提示情報決定部124によって決定された提示情報を、通信部140を介して提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方に出力する。
【0124】
これによって、提示装置31および提示装置32のうちの少なくともいずれか一方によって、提示情報が、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方に提示される。そして、作業者U1および監視者K1のうちの少なくともいずれか一方によって、提示情報が知覚される。これによって、作業者U1の暗黙知情報と監視者K1の暗黙知情報とが近づき、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることが期待され得る。
【0125】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の動作例について説明した。
【0126】
(1-7.効果)
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、作業現場W1にて作業する作業者U1から検出された作業者センサデータがセンサデータ取得部121によって取得される。さらに、作業を遠隔地R1にて監視する監視者K1から検出された監視者センサデータがセンサデータ取得部121によって取得される。
【0127】
また、作業者センサデータに基づいて作業者暗黙知情報が暗黙知情報推定部122によって推定される。さらに、監視者センサデータに基づいて監視者暗黙知情報が暗黙知情報推定部122によって推定される。また、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分が、差分算出部123によって算出される。
【0128】
さらに、作業者暗黙知情報と監視者暗黙知情報との差分に応じた提示情報が提示情報決定部124によって決定される。そして、本発明の実施形態によれば、提示情報決定部124によって決定された提示情報を出力する出力部125を備える、情報処理装置10が提供される。
【0129】
かかる構成によれば、作業者U1の暗黙知情報と監視者K1の暗黙知情報とが近づくように変化することが期待されるため、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることが期待され得る。さらに、作業現場W1における作業効率の低下が抑制されることにより、作業現場W1における作業の運用効率の低下が抑制されることも期待され得る。
【0130】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10が奏する効果について説明した。
【0131】
(2.ハードウェア構成例)
続いて、本発明の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例について説明する。
【0132】
以下では、本発明の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、情報処理装置10のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0133】
図6は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0134】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0135】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0136】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0137】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0138】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0139】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0140】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成例について説明した。
【0141】
(3.まとめ)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0142】
例えば、上記では、作業現場W1に存在する作業者U1の暗黙知情報と、遠隔地R1に存在する監視者K1の暗黙知情報との差分に応じた提示情報が出力される場合について説明した。
【0143】
しかし、作業現場W1に存在する複数の作業者の暗黙知情報の差分に応じた提示情報が出力されてもよい。あるいは、作業現場W1に存在する一人の作業者の過去の暗黙知情報と現在の暗黙知情報との差分に応じた提示情報が出力されてもよい。あるいは、作業現場W1に存在する第1の作業者の過去の暗黙知情報と、作業現場W1に存在する第2の作業者(ただし、第2の作業者は第1の作業者と異なる)の現在の暗黙知情報との差分に応じた提示情報が出力されてもよい。
【0144】
あるいは、遠隔地R1に存在する複数の監視者の暗黙知情報の差分に応じた提示情報が出力されてもよい。あるいは、遠隔地R1に存在する一人の監視者の過去の暗黙知情報と現在の暗黙知情報との差分に応じた提示情報が出力されてもよい。あるいは、遠隔地R1に存在する第1の監視者の過去の暗黙知情報と、遠隔地R1に存在する第2の監視者(ただし、第2の監視者は第1の監視者と異なる)の現在の暗黙知情報との差分に応じた提示情報が出力されてもよい。
【0145】
あるいは、作業現場W1に存在する作業者U1の暗黙知情報と、あらかじめ決められた基準値(目標値)との差分に応じた提示情報が出力されてもよい。同様に、遠隔地R1に存在する監視者R1の暗黙知情報と、あらかじめ決められた基準値(目標値)との差分に応じた提示情報が出力されてもよい。
【0146】
また、上記では、作業現場W1に存在する複数の作業者の暗黙知情報の差分に応じた提示情報が出力される場合について説明した。しかし、作業現場W1に存在する複数の作業者の暗黙知情報の差分に応じた何らかの処理が実行されてもよい。
【0147】
一例として、差分に応じた処理は、タスク配分の変更であってもよい。例えば、タスク配分の変更は、作業者U1の感情「喜び」の強度が第1の感情値より小さい場合に、作業者U1のタスクを作業者U1の好きなタスクに変更することなどであってもよい。
【0148】
あるいは、差分に応じた処理は、スケジュール調整であってもよい。例えば、スケジュール調整は、作業者U1の感情「喜び」の強度が第1の感情値より小さい場合に、作業者U1のスケジュール量を減らすことなどであってもよい。
【0149】
また、上記では、作業者U1の暗黙知情報と監視者K1の暗黙知情報との差分に応じた提示情報が出力される場合を主に想定した。しかし、遠隔地R1に存在する監視者K1(すなわち、遠隔警備員)に対してロボットを介して話し掛ける顧客も存在し得る。このとき、顧客の暗黙知情報が可視化されて監視者K1に提示されてもよい。これによって、監視者K1が顧客に対して、より適切な対応を行うことが可能となる。
【0150】
なお、顧客から得られるセンサデータは、顧客の顔の表情、体温または心拍などであってもよく、センサは、ウェアラブルデバイスであってもよいし、非接触型のセンサなどであってもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
120 制御部
121 センサデータ取得部
122 暗黙知情報推定部
123 差分算出部
124 提示情報決定部
125 出力部
140 通信部
150 記憶部
21 センサ
22 センサ
31 提示装置
32 提示装置
50 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6