(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007213
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】生体判定装置、生体判定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/40 20220101AFI20240111BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20240111BHJP
G06V 40/18 20220101ALI20240111BHJP
G06F 21/30 20130101ALI20240111BHJP
【FI】
G06V40/40
G06V40/16 A
G06V40/16 B
G06V40/16 C
G06V40/18
G06F21/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108533
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】池田 優希
【テーマコード(参考)】
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043AA10
5B043BA04
5B043CA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043GA01
5B043HA05
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA04
5L096CA14
5L096DA02
5L096HA02
5L096HA13
(57)【要約】
【課題】本人確認時における生体判定処理の効率の向上を図る。
【解決手段】人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示する表示部と、誘導画像が表示された表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得する撮像画像取得部と、取得された撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出する検出部と、検出された人の視線又は顔の表情が誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、判定の結果が意図に沿っているである場合に被写体が生体であると判定し、判定の結果が意図に沿っていないである場合に被写体が生体でないと判定する生体判定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示する表示部と、
前記誘導画像が表示された前記表示部の表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
取得された前記撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出する検出部と、
検出された人の視線又は顔の表情が前記誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する生体判定部と、
を備える生体判定装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記表示画面上の開始位置から終了位置まで人の視線を誘導する視線誘導画像を表示し、
前記撮像画像取得部は、前記視線誘導画像が表示された前記表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、
前記検出部は、取得された前記撮像画像から前記被写体が見ている前記表示画面上の視線位置を検出し、
前記生体判定部は、検出された前記視線位置が前記開始位置から前記終了位置に至る前記表示画面上の経路に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記経路に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記経路に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、
請求項1に記載の生体判定装置。
【請求項3】
前記表示部は、人の顔の表情を特定の表情に誘導する表情誘導画像を表示し、
前記撮像画像取得部は、前記表情誘導画像が表示された前記表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、
前記検出部は、取得された前記撮像画像から前記被写体の顔の表情を検出し、
前記生体判定部は、検出された顔の表情が前記表情誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、
請求項1に記載の生体判定装置。
【請求項4】
撮像画像の被写体が生体であるか否かを判定する第1生体判定処理と第2生体判定処理とのうちからいずれかの生体判定処理を選択する生体判定処理選択部を備え、
前記第1生体判定処理が選択された場合、
前記表示部は、前記表示画面上の開始位置から終了位置まで人の視線を誘導する視線誘導画像を表示し、
前記撮像画像取得部は、前記視線誘導画像が表示された前記表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、
前記検出部は、取得された前記撮像画像から前記被写体が見ている前記表示画面上の視線位置を検出し、
前記生体判定部は、検出された前記視線位置が前記開始位置から前記終了位置に至る前記表示画面上の経路に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記経路に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記経路に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、
一方、前記第2生体判定処理が選択された場合、
前記表示部は、人の顔の表情を特定の表情に誘導する表情誘導画像を表示し、
前記撮像画像取得部は、前記表情誘導画像が表示された前記表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、
前記検出部は、取得された前記撮像画像から前記被写体の顔の表情を検出し、
前記生体判定部は、検出された顔の表情が前記表情誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、
請求項1に記載の生体判定装置。
【請求項5】
前記視線誘導画像は、前記開始位置から前記終了位置に至る経路上に前記開始位置から前記終了位置へと順次表示される、
請求項2又は4のいずれか1項に記載の生体判定装置。
【請求項6】
前記視線誘導画像は、前記開始位置から前記終了位置に至る動線である、
請求項2又は4のいずれか1項に記載の生体判定装置。
【請求項7】
表示部が、人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示し、
撮像画像取得部が、前記誘導画像が表示された前記表示部の表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、
検出部が、取得された前記撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出し、
生体判定部が、検出された人の視線又は顔の表情が前記誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、
生体判定方法。
【請求項8】
人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示し、
前記誘導画像が表示された表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、
取得された前記撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出し、
検出された人の視線又は顔の表情が前記誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体判定装置、生体判定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オンラインでの本人確認に顔認証を使用する顔認証処理システムは、予めシステムに登録された例えば運転免許証等の顔写真付きの書類から切り出された顔画像と、本人確認時にユーザの端末から受信した顔画像とを照合することにより本人確認を行っている。この顔認証処理システムでは、ユーザの端末から受信した顔画像としてなりすまし等の不正に取得された顔画像が使用される問題がある。この問題を解決するために、本人確認時にユーザの端末から受信する顔画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する生体判定技術が例えば特許文献1,2に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された生体判定技術は、本人確認時の顔画像撮影の際に、特定の動作を指示する指示文(例えば「顔を振ってください。」)と同じく特定の動作をアニメーション動作で指示する顔アイコンとをユーザに提示し、撮影される動画中のユーザの特定の動作が適切であるか否かを判定している。
【0004】
特許文献2に記載された生体判定技術は、顔の向きや目の向きや目の開閉状態や口の開閉状態や眼鏡の着脱状態などを使用する複数の生体判定処理の中から2以上の生体判定処理をランダムに組み合わせることにより、生体判定を行っている。その生体判定処理では、例えば目の向きを左右のいずれか一方向に向けるように指示する行動情報をユーザの携帯端末のディスプレイに表示し、撮影された画像から目の向きを検出し、検出された目の向きが指示通りであるか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/095350号
【特許文献2】特許第6956986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来の生体判定技術では、ユーザに対して特定の動作を文字で指示するので、ユーザにとってその指示が分かりにくく失敗したり時間がかかったりする場合があった。また、目の向きを左右のいずれか一方向に向けるように指示する行動情報をユーザの携帯端末のディスプレイに表示する場合、目の向きを左に向ける顔画像と目の向きを右に向ける顔画像とを予め準備しておくことにより、なりすますことができる可能性があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、本人確認時における生体判定処理の効率の向上を図ることができる生体判定装置、生体判定方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る生体判定装置は、人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示する表示部と、前記誘導画像が表示された前記表示部の表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得する撮像画像取得部と、取得された前記撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出する検出部と、検出された人の視線又は顔の表情が前記誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する生体判定部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る生体判定方法は、表示部が、人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示し、撮像画像取得部が、前記誘導画像が表示された前記表示部の表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、検出部が、取得された前記撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出し、生体判定部が、検出された人の視線又は顔の表情が前記誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、人の視線又は顔の表情を誘導する誘導画像を表示し、前記誘導画像が表示された表示画面を見る人の顔を含む被写体が撮像された撮像画像を取得し、取得された前記撮像画像から人の視線又は顔の表情を検出し、検出された人の視線又は顔の表情が前記誘導画像の意図に沿っているか否かを判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っているである場合に前記被写体が生体であると判定し、前記判定の結果が前記意図に沿っていないである場合に前記被写体が生体でないと判定する、ことをコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本人確認時における生体判定処理の効率の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムにおける携帯端末の概要の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る携帯端末におけるカメラ部及び表示部の表示画面の位置関係の例を示す外観図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る第1生体判定処理を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る第2生体判定処理を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るヘルプ画面の構成例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るユーザ認証システムの動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係るユーザ認証システム1の概要を示すブロック図である。
図1において、携帯端末10はユーザUが保有する端末である。携帯端末10としては、スマートフォンやタブレット端末のうち少なくともいずれか1つを用いることができる。携帯端末10はネットワーク50を介して顔認証処理システム30との間で通信を行う。
【0014】
顔認証処理システム30は、オンラインでの本人確認に顔認証を使用する。顔認証処理システム30は、ユーザUの本人登録時に登録されたユーザUの写真付き本人確認書類から切り出された顔画像データ(登録顔画像データ)を保持している。写真付き本人確認書類としては、運転免許証、マイナンバーカード、旅券、社員証、学生証等の書類であってもよい。顔認証処理システム30は、ユーザUの本人確認時に、ユーザUの登録顔画像データと、当該本人確認時にユーザUの携帯端末10から受信した顔認証用画像データとを照合することにより、ユーザUの本人確認を行う。
【0015】
本実施形態に係るユーザ認証システム1は、ユーザUの本人確認時において、ユーザUの携帯端末10から受信する顔認証用画像データとしてなりすまし等の不正に取得された顔認証用画像データが使用されていないかを確認するために、生体判定方法を実行する。
【0016】
図2は、本実施形態に係るユーザ認証システム1における携帯端末10の概要の機能ブロック図である。
図2に示すように、携帯端末10は、カメラ部110と、表示部120と、操作部130と、制御部140と、記憶部150と、通信部160とを備える。本実施形態の一例として、
図2に示す携帯端末10が生体判定装置として機能する。
【0017】
カメラ部110は、レンズ系と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を含み、被写体であるユーザUを撮像する。
【0018】
表示部120は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)等のうちいずれかの表示素子を含み、カメラ部110の撮像画像や各種の情報を表示する。
【0019】
操作部130は、表示部120上に積層して配置されたタッチスクリーンを含み、ユーザUによってタッチされた接触状態やタッチスクリーン上の位置を検知して、各種情報の入力を受け付ける。また、操作部130は、物理的なキーやボタンであってもよい。
【0020】
制御部140は、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶部150に格納されているプログラムを呼び出して実行することによって、各種の機能を実行する。
【0021】
制御部140は、その機能として、生体判定処理選択部1401と、表示制御部1402と、撮像画像取得部1403と、検出部1404と、生体判定部1405とを含む。これらの制御部140の機能は、CPUが記憶部150に格納されたアプリケーションプログラム1501を実行することにより実現される。
【0022】
生体判定処理選択部1401は、ユーザUの本人確認時において、カメラ部110が撮像した撮像画像に写っている被写体が生体であるか否かを判定する第1生体判定処理と第2生体判定処理とのうちからいずれかの生体判定処理を選択する。第1生体判定処理は、人の視線を利用する生体判定処理である。第2生体判定処理は、顔の表情を利用する生体判定処理である。
【0023】
表示制御部1402は、表示部120を制御する。表示制御部1402は、第1生体判定処理が選択された場合、表示部120の表示画面上に視線誘導画像を表示する。視線誘導画像は、表示画面上の開始位置から終了位置まで人の視線を誘導する画像である。表示制御部1402は、第2生体判定処理が選択された場合、表示部120の表示画面上に表情誘導画像を表示する。表情誘導画像は、人の顔の表情を特定の表情に誘導する画像である。
【0024】
撮像画像取得部1403は、第1生体判定処理が選択された場合、視線誘導画像が表示された表示画面を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像を取得する。撮像画像取得部1403は、第2生体判定処理が選択された場合、表情誘導画像が表示された表示画面を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像を取得する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る携帯端末10におけるカメラ部110及び表示部120の表示画面1201の位置関係の例を示す外観図である。
図3に示されるように、カメラ部110の撮像方向は、表示画面1201を見る人の方向である。これにより、カメラ部110は、表示画面1201を見る人の顔を含む被写体を撮像することができる。したがって、ユーザUは、表示画面1201を見ながら、カメラ部110により自撮りの顔画像を撮影することができる。
【0026】
検出部1404は、第1生体判定処理が選択された場合、撮像画像取得部1403により取得された撮像画像から、被写体が見ている表示画面1201上の視線位置を検出する。検出部1404は、第2生体判定処理が選択された場合、撮像画像取得部1403により取得された撮像画像から、被写体の顔の表情を検出する。
【0027】
生体判定部1405は、第1生体判定処理が選択された場合、検出部1404により検出された視線位置が表示画面1201上の開始位置から終了位置に至る表示画面1201上の経路に沿っているか否かを判定する。生体判定部1405は、当該判定の結果が経路に沿っているである場合に被写体が生体であると判定し、一方、当該判定の結果が経路に沿っていないである場合に被写体が生体でないと判定する。
【0028】
生体判定部1405は、第2生体判定処理が選択された場合、検出部1404により検出された顔の表情が表情誘導画像の意図に沿っているか否かを判定する。生体判定部1405は、当該判定の結果が表情誘導画像の意図に沿っているである場合に被写体が生体であると判定し、一方、当該判定の結果が表情誘導画像の意図に沿っていないである場合に被写体が生体でないと判定する。
【0029】
記憶部150は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部150には、制御部140(CPU)で実行されるアプリケーションプログラム1501や各種のデータが記憶される。
【0030】
通信部160は、LTE(Long Term Evolution)等のモバイル通信網や、IEEE1394の無線LAN(Local Area Network)により、ネットワーク50を介して、顔認証処理システム30と各種データの通信を行う。
【0031】
次に本実施形態に係る第1生体判定処理および第2生体判定処理を説明する。第1生体判定処理および第2生体判定処理は、ユーザUの本人確認時に実行される処理である。
【0032】
[第1生体判定処理]
第1生体判定処理は、人の視線を利用する生体判定処理である。
図4は、本実施形態に係る第1生体判定処理を説明するための説明図である。表示制御部1402は、生体判定処理選択部1401により第1生体判定処理が選択された場合、表示部120の表示画面1201上に視線誘導画像G1を表示する。
図4において、表示画面1201上には、視線誘導画像G1が表示される。
図4の例では、視線誘導画像G1は星形の画像であるが、ハート形等の他の形であってもよい。また、視線誘導画像G1は、表示中において、点滅したり、色が変わったり、アニメーション動作したりしてもよい。
【0033】
視線誘導画像G1は、表示画面1201上の開始位置SPから終了位置EPまで人の視線を誘導する画像である。
図4の例では、表示制御部1402は、視線誘導画像G1を、表示画面1201上の開始位置SPから終了位置EPに至る経路R1上に、開始位置SPから終了位置EPへと順次表示する。
【0034】
表示制御部1402は、経路R1を、表示画面1201上の表示領域において無作為に決定してもよい。例えば、表示制御部1402は、表示画面1201上の表示領域内から任意の開始位置SP及び終了位置EPを選択し、選択した開始位置SPから終了位置EPに至る任意の経路R1を選択してもよい。
【0035】
また、複数の異なる経路R1を示す経路データを予め記憶部150に格納しておき、表示制御部1402は、当該経路データから、使用する経路R1を無作為に選択してもよい。
【0036】
視線誘導画像G1は、経路R1上において、連続的に表示されてもよい。具体的には、表示制御部1402は、表示画面1201の経路R1上において、開始位置SPから終了位置EPまで、視線誘導画像G1を表示させ続けながら移動させる。
【0037】
視線誘導画像G1は、経路R1上において、間欠的に表示されてもよい。具体的には、表示制御部1402は、表示画面1201の経路R1上において、開始位置SPから終了位置EPまで、視線誘導画像G1を間欠的に表示させながら移動させる。視線誘導画像G1を表示させる時間間隔および距離間隔は、一定であってもよく、又は異なってもよい。
【0038】
なお、視線誘導画像は、表示画面1201上において開始位置SPから終了位置EPに至る動線であってもよい。具体的には、
図4に示される経路R1が実際の線(動線)として表示画面1201上に表示されてもよい。動線は、開始位置SPから終了位置EPまでの線が一括表示されてもよく、又は開始位置SPから終了位置EPまで線が伸びながら表示されてもよい。
【0039】
撮像画像取得部1403は、第1生体判定処理が選択された場合、視線誘導画像G1が表示された表示画面1201を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像を取得する。
図3に示されるように、カメラ部110は、表示画面1201を見る人の顔を含む被写体を撮像する。したがって、撮像画像取得部1403は、第1生体判定処理が選択された場合、カメラ部110により撮像された撮像画像を取得することによって、視線誘導画像G1が表示された表示画面1201を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像を取得することができる。
【0040】
検出部1404は、第1生体判定処理が選択された場合、撮像画像取得部1403により取得された撮像画像に対して視線検出処理を行い、被写体が見ている表示画面1201上の視線位置を検出する。
【0041】
生体判定部1405は、第1生体判定処理が選択された場合、検出部1404により検出された視線位置が表示画面1201上の経路R1に沿っているか否かを判定する。この判定の合格条件の一例は、開始位置SPを含む一定範囲から終了位置EPを含む一定範囲まで視線位置が移動することである。さらには、経路R1から一定の距離以内に視線位置が存在しながら移動することである。また、視線誘導画像G1が表示されてからの一定の視線検出期間を設け、視線検出期間に検出された視線位置のみを判定対象にしてもよい。
【0042】
生体判定部1405は、当該判定の結果が経路R1に沿っているである場合に被写体が生体であると判定し、一方、当該判定の結果が経路R1に沿っていないである場合に被写体が生体でないと判定する。
【0043】
[第2生体判定処理]
第2生体判定処理は、顔の表情を利用する生体判定処理である。
図5は、本実施形態に係る第2生体判定処理を説明するための説明図である。表示制御部1402は、生体判定処理選択部1401により第2生体判定処理が選択された場合、表示部120の表示画面1201上に表情誘導画像G2を表示する。
図5において、表示画面1201上には、表情誘導画像G2が表示される。表情誘導画像G2は、人の顔の表情を特定の表情に誘導する画像である。表情誘導画像G2は、人の顔のイラストであってもよく、人の顔の絵文字であってもよく、又はアニメーション動作してもよい。
【0044】
表示制御部1402は、表示画面1201上の所定位置に表情誘導画像G2を表示する。複数の異なる表情の表情誘導画像G2を予め記憶部150に格納しておき、表示制御部1402は、当該複数の表情誘導画像G2から、使用する表情誘導画像G2を無作為に選択する。
【0045】
撮像画像取得部1403は、第2生体判定処理が選択された場合、表情誘導画像G2が表示された表示画面1201を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像を取得する。
図3に示されるように、カメラ部110は、表示画面1201を見る人の顔を含む被写体を撮像する。したがって、撮像画像取得部1403は、第2生体判定処理が選択された場合、カメラ部110により撮像された撮像画像を取得することによって、表情誘導画像G2が表示された表示画面1201を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像を取得することができる。
【0046】
検出部1404は、第2生体判定処理が選択された場合、撮像画像取得部1403により取得された撮像画像に対して画像認識処理を行い、被写体の顔の表情を検出する。
【0047】
生体判定部1405は、第2生体判定処理が選択された場合、検出部1404により検出された顔の表情が表情誘導画像G2の意図に沿っているか否かを判定する。この判定の合格条件の一例は、検出部1404により検出された顔の表情と、表情誘導画像G2が誘導する特定の表情との間の乖離を示す所定のスコアを算出し、当該スコアが一定の閾値以下である(乖離が一定以下である)ことである。また、生体判定部1405は、所定の機械学習アルゴリズムを使用して顔の表情が機械学習された機械学習モデルを用いて、検出部1404により検出された顔の表情と、表情誘導画像G2が誘導する特定の表情との間の乖離を示すスコアを算出してもよい。また、表情誘導画像G2が表示されてからの一定の表情検出期間を設け、表情検出期間に検出された顔の表情のみを判定対象にしてもよい。
【0048】
生体判定部1405は、当該判定の結果が表情誘導画像G2の意図に沿っているである場合に被写体が生体であると判定し、一方、当該判定の結果が表情誘導画像G2の意図に沿っていないである場合に被写体が生体でないと判定する。
【0049】
以上が本実施形態に係る第1生体判定処理および第2生体判定処理の説明である。
【0050】
図4及び
図5において、表示画面1201には自撮り画像表示領域1202が設けられている。表示制御部1402は、ユーザUの本人確認時において、カメラ部110により撮像された撮像画像P1,P2を自撮り画像表示領域1202に表示する。これにより、ユーザUの本人確認時において、視線誘導画像G1又は表情誘導画像G2が表示画面1201上に表示されても、ユーザUの自撮り画像が自撮り画像表示領域1202に表示されているので、ユーザUに対して、まだ本人確認が継続していると認識させることができ、ユーザUの視線を表示画面1201さらには視線誘導画像G1又は表情誘導画像G2に向けさせる効果が得られる。
【0051】
図4及び
図5において、表示画面1201にはヘルプボタン1203が設けられている。ユーザUが表示画面1201上のヘルプボタン1203を指定すると、表示制御部1402は、表示画面1201上に、
図6に例示されるヘルプ画面1210を表示する。
図6は、本実施形態に係るヘルプ画面1210の構成例を示す図である。
図6においてヘルプ画面1210には、視線誘導画像G1に関する説明「☆を目で追ってください。」と表情誘導画像G2に関する説明「イラスト(絵文字)と同じ表情をしてください。」とが表示される。ヘルプ画面1210のデータは、予め記憶部150に格納される。
【0052】
本実施形態では、
図4に示されるように、視線誘導画像G1に関する説明「☆を目で追ってください。」を、視線誘導画像G1の表示時には同時に表示しない。同様に、
図5に示されるように、表情誘導画像G2に関する説明「イラスト(絵文字)と同じ表情をしてください。」を、表情誘導画像G2の表示時には同時に表示しない。これは、ユーザUに対して、視線誘導画像G1又は表情誘導画像G2の表示時には、表示された視線誘導画像G1又は表情誘導画像G2に集中させるためである。
【0053】
次に
図7を参照して本実施形態に係るユーザ認証システム1の動作の手順を説明する。
図7は、本実施形態に係るユーザ認証システム1の動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【0054】
顔認証処理システム30は、予め、ユーザUの本人登録時に登録されたユーザUの写真付き本人確認書類から切り出された顔画像データ(登録顔画像データ)を保持している。顔認証処理システム30は、ユーザUの本人確認時に、ユーザUの登録顔画像データと、当該本人確認時にユーザUの携帯端末10から受信した顔認証用画像データとを照合することにより、ユーザUの本人確認を行う。
図7のユーザ認証システム1の動作は、ユーザUの本人確認時に開始される。
【0055】
(ステップS101) 携帯端末10は、ユーザUの操作に応じて、ユーザUの顔認証用画像データを取得する。
【0056】
(ステップS102) 携帯端末10は、取得したユーザUの顔認証用画像データを顔認証処理システム30へ送信する。
【0057】
(ステップS103) 顔認証処理システム30は、携帯端末10から受信したユーザUの顔認証用画像データと、ユーザUの登録顔画像データとを照合することにより、ユーザUの顔認証を行う。
【0058】
(ステップS104) 顔認証処理システム30は、ユーザUの顔認証の結果を示す顔認証結果データを携帯端末10へ送信する。
【0059】
(ステップS105) 携帯端末10において、生体判定処理選択部1401は、第1生体判定処理と第2生体判定処理とのうちからいずれかの生体判定処理を選択する。ここでは、説明の便宜上、第1生体判定処理が選択された場合を説明するが、第2生体判定処理が選択された場合も同様である。
【0060】
(ステップS106) 携帯端末10において、表示制御部1402は、第1生体判定処理が選択された場合、表示部120の表示画面1201上に視線誘導画像G1を表示する。
【0061】
(ステップS107) 携帯端末10において、撮像画像取得部1403は、第1生体判定処理が選択された場合、視線誘導画像が表示された表示画面を見る人の顔を含む被写体がカメラ部110により撮像された撮像画像(生体判定用撮像画像)を取得する。
【0062】
(ステップS108) 携帯端末10において、検出部1404は、第1生体判定処理が選択された場合、撮像画像取得部1403により取得された生体判定用撮像画像から、被写体が見ている表示画面1201上の視線位置を検出する。
【0063】
(ステップS109) 携帯端末10において、生体判定部1405は、第1生体判定処理が選択された場合、検出部1404により検出された視線位置が表示画面1201上の開始位置SPから終了位置EPに至る表示画面1201上の経路R1に沿っているか否かを判定する。生体判定部1405は、当該判定の結果が経路R1に沿っているである場合に被写体が生体であると判定し、一方、当該判定の結果が経路R1に沿っていないである場合に被写体が生体でないと判定する。
【0064】
(ステップS110) 携帯端末10は、顔認証処理システム30から受信した顔認証結果データと、生体判定部1405による生体判定結果を示す生体判定結果データとを出力する。例えば、携帯端末10は、顔認証結果データと生体判定結果データとを表示画面1201上に表示する。例えば、携帯端末10は、顔認証結果データと生体判定結果データとを所定のサーバへ送信する。
【0065】
上述した実施形態によれば、本人確認時において、視線誘導画像又は表情誘導画像によって人の視線又は顔の表情を人の意識あり又は無意識に関わらず、スムーズに誘導しながらユーザの顔を撮像し、撮像された生体判定用撮像画像に写っている被写体の視線又は顔の表情が視線誘導画像又は表情誘導画像の意図に沿っているか否かを判定することにより、被写体が生体であるか否かを判定することができる。このため、生体判定用撮像画像の撮影時にユーザに対して特定の動作を文字で指示する必要がないので、ユーザにとってその指示が分かりにくく失敗したり時間がかかったりするという問題を解決することができる。
【0066】
また、上述した実施形態によれば、本人確認時の生体判定用撮像画像の際に、視線誘導画像又は表情誘導画像によって人の視線又は顔の表情を誘導することによって、予め顔画像を準備しておくことが難しくなるので、なりすましを抑止する効果が得られる。
【0067】
上述したように実施形態によれば、本人確認時における生体判定処理の効率の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、第1生体判定処理と第2生体判定処理とのうちからいずれかの生体判定処理が選択されて実行されるように構成したが、これに限定されない。例えば、第1生体判定処理又は第2生体判定処理とのうちいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。又は、第1生体判定処理と第2生体判定処理とを組み合わせて実行するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、ユーザ認証システム1の動作手順の一例として
図7に示される動作手順を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図7の例では、顔認証に係る手順(ステップS101からステップS104まで)を実行してから生体判定に係る手順(ステップS105からステップS109まで)を実行したが、先に生体判定に係る手順(ステップS105からステップS109まで)を実行してから顔認証に係る手順(ステップS101からステップS104まで)を実行してもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末10に適用したが、これに限定されない。例えば、PC(Personal Computer)に適用してもよい。また、
図2に示される制御部140の機能のうち一部又は全部が、ネットワーク50に接続されるサーバに備えられてもよい。また、当該サーバはクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0070】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…ユーザ認証システム、10…携帯端末、30…顔認証処理システム、110…カメラ部、120…表示部、130…操作部、140…制御部、150…記憶部、160…通信部、1201…表示画面、1401…生体判定処理選択部、1402…表示制御部、1403…撮像画像取得部、1404…検出部、1405…生体判定部、G1…視線誘導画像、G2…表情誘導画像、50…ネットワーク