(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072135
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】積層体製造装置および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240520BHJP
H01M 6/02 20060101ALI20240520BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240520BHJP
B26F 1/00 20060101ALI20240520BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20240520BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20240520BHJP
B21D 28/00 20060101ALI20240520BHJP
B21D 28/02 20060101ALI20240520BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20240520BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M6/02 A
H01M10/04 Z
B26F1/00 F
B26F1/40 Z
B26D7/18 C
B21D28/00 B
B21D28/02 A
H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182822
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】517132810
【氏名又は名称】地方独立行政法人大阪産業技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000132954
【氏名又は名称】株式会社タカトリ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅也
(72)【発明者】
【氏名】山本 真理
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敦隆
(72)【発明者】
【氏名】五網 信貴
(72)【発明者】
【氏名】堀口 茂春
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
4E048
5H024
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
3C021FB02
3C060AA04
3C060AA16
3C060BA03
3C060BB05
3C060BB19
3C060BC05
3C060BD01
3C060BE07
3C060BF03
3C060BG01
3C060BG15
4E048AB03
5H024BB04
5H024BB05
5H024BB19
5H024FF21
5H028BB04
5H028BB19
5H028CC19
5H029AJ14
5H029AM11
5H029BJ12
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ30
(57)【要約】
【課題】短絡の発生をより抑制する積層体を製造するための装置を提供する。
【解決手段】正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び正極層及び負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、第1層及び第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、離型フィルム及び集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して、該パンチにより第1シートと第2シートとをそれぞれ打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、離型フィルムと一方の層と電解質層と他方の層と集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレスユニットと、積層構造体から離型フィルムを分離する剥離ユニットと、を含み、積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び前記正極層及び前記負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、前記第1層及び前記第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、前記離型フィルム及び前記集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して、該パンチにより前記第1シートと前記第2シートとをそれぞれ打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、前記離型フィルムと前記一方の層と前記電解質層と前記他方の層と前記集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレスユニットと、
前記積層構造体から離型フィルムを分離する剥離ユニットと、
を含み、
前記積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する積層体製造装置。
【請求項2】
前記プレスユニットは、
前記第1シートを打ち抜く第1打抜部と、該第1打抜部と対向して配置され、前記第2シートを打ち抜く第2打抜部とを備え、
前記第1打抜部は、第1貫通孔が設けられた第1ダイと、該第1ダイと対向し前記第1貫通孔に対して挿抜可能に構成された第1パンチとを有し、
前記第1パンチは、その先端面と前記第1貫通孔との間に搬送される第1シートを前記第1ダイとともに打ち抜き、打ち抜かれた第1シートを該先端面に保持しながら前記第1貫通孔を挿通し、
前記第2打抜部は、前記第1ダイと一体化可能であって、第2貫通孔が設けられた第2ダイと、該第2ダイと対向し前記第2貫通孔に対して挿抜可能に構成された第2パンチとを有し、
前記第2パンチは、その先端面と前記第2貫通孔との間に搬送される第2シートを前記第2ダイとともに打ち抜き、打ち抜かれた第2シートを該先端面に保持しながら前記第2貫通孔を挿通し、
前記第1パンチおよび前記第2パンチは、前記打ち抜かれた第1シートと前記打ち抜かれた第2シートとを積層して挟み込む、請求項1に記載の積層体製造装置。
【請求項3】
前記剥離ユニットは、
前記積層構造体を前記離型フィルムを上にして載置するテーブルと、
粘着面を有する剥離用テープを前記テーブル上に供給して回収するテープ供給回収部と、
前記テーブル上において、前記積層構造体の離型フィルムの一端に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を前記積層構造体の離型フィルムの他端に移動させることにより前記離型フィルムを剥離する剥離部と、
を含む請求項1又は2に記載の積層体製造装置。
【請求項4】
上面及び下面が略矩形の積層体を製造する積層体製造装置であって、
前記剥離部は、
前記一端である前記積層構造体の離型フィルムの一角部に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を対角方向の他の角部である前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
請求項3に記載の積層体製造装置。
【請求項5】
前記剥離部は、
曲面の先端部を有するブレードを備え、前記ブレードにより前記先端部を前記一端に前記剥離用テープの粘着面を接触させた後に前記ブレードにより前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する請求項3に記載の積層体製造装置。
【請求項6】
前記剥離部は、
それぞれ前記積層構造体の離型フィルムに平行でかつ移動方向に直交する中心軸を有する押えローラと剥離用ローラとを含み、
前記押えローラにより前記剥離用テープの粘着面を前記一端に接触させた後に前記押えローラを前記他端に向かって移動させ、前記剥離用ローラを、前記一端から前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する請求項3に記載の積層体製造装置。
【請求項7】
前記テーブルは、上下方向に移動可能に構成され、
前記剥離部は、上下方向に直交する方向に移動可能に構成されており、
前記テーブルを上方に移動させて前記一端に剥離用テープの粘着面を接触させた後に、前記剥離部を前記他端に向かって移動させることにより、前記積層構造体の離型フィルムを剥離する請求項3に記載の積層体製造装置。
【請求項8】
前記第1シートは、前記正極層を含む第1層が前記離型フィルム上に設けられてなり、
前記第2シートは、前記負極層と電解質層とを含む第2層が集電体上に設けられてなる、
請求項1又は2に記載の積層体製造装置。
【請求項9】
前記第1ダイおよび前記第2ダイと対向する側の少なくとも一方に配置されるシート押さえ部をさらに備え、
前記シート押さえ部は、打ち抜かれる前記第1シートまたは打ち抜かれる前記第2シートを押さえる請求項2に記載の積層体製造装置。
【請求項10】
前記第1パンチおよび前記第2パンチの少なくとも一方の先端面に前記第1シートまたは前記第2シートを吸引する吸引部をさらに備える、請求項2に記載の積層体製造装置。
【請求項11】
前記吸引部は、
連通孔を有する多孔質体と、
該連通孔と連通する吸引路を有する減圧部と
を有し、
前記多孔質体の主面が前記先端面の一部を構成する、請求項10に記載の積層体製造装置。
【請求項12】
前記吸引部は、
前記先端面を平面視した場合に、その外縁にスリット状開口部が形成されるようにはめ込まれた入子と、
前記スリット状開口部と連通する吸引路を有する減圧部と
を有し、
前記入子の主面は、前記先端面の一部を構成する、請求項10に記載の積層体製造装置。
【請求項13】
前記挿抜方向に垂直な平面において、前記第1パンチは、前記第2パンチに対して異なる断面形状および/または断面サイズを有する、請求項2に記載の積層体製造装置。
【請求項14】
所定の形状を有する第3シートが、前記第1ダイ、前記第2ダイ、または前記第1ダイおよび前記第2ダイが一体化した第3ダイによって固定され、前記第1シートと前記第2シートとが、前記第3シートを介して積層する前記積層体を製造する、請求項2に記載の積層体製造装置。
【請求項15】
正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び前記正極層及び前記負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、前記第1層及び前記第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、準備する工程と、
前記第1シートと前記第2シートとを前記離型フィルム及び前記集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して前記パンチにより打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、前記離型フィルムと前記一方の層と前記電解質層と前記他方の層と前記集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレス工程と、
前記積層構造体から離型フィルムを分離する剥離工程とを含み、
前記積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する積層体の製造方法。
【請求項16】
前記剥離工程は、
粘着面を有する剥離用テープを、前記積層構造体の離型フィルムの一端に前記粘着面を接触させた後に接触部を前記積層構造体の離型フィルムの他端に移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
請求項15に記載の積層体の製造方法。
【請求項17】
上面及び下面が略矩形の積層体を製造する積層体の製造方法であって、
前記剥離工程は、
前記一端である前記積層構造体の離型フィルムの一角部に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を対角方向の他の角部である前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
請求項16に記載の積層体の製造方法。
【請求項18】
前記剥離工程は、
ブレードにより前記先端部を前記一端に前記剥離用テープの粘着面を接触させた後に前記ブレードを前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する請求項16に記載の積層体の製造方法。
【請求項19】
前記剥離工程は、
押えローラにより前記剥離用テープの粘着面を前記一端に接触させた後に前記押えローラを前記他端に向かって移動させ、剥離用ローラを、前記一端から前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する請求項16に記載の積層体の製造方法。
【請求項20】
前記第1シートは、前記正極層を含む第1層が前記離型フィルム上に設けられてなり、
前記第2シートは、前記負極層と電解質層とを含む第2層が集電体上に設けられてなる、
請求項15に記載の積層体の製造方法。
【請求項21】
前記プレス工程は、
第1貫通孔が設けられた第1ダイと、該第1ダイと対向し前記第1貫通孔に対して挿抜可能に構成された第1パンチとを有する第1打抜部によって、第1シートを打ち抜く第1シート打抜工程と、
前記第1ダイと一体化可能であって第2貫通孔が設けられた第2ダイと、該第2ダイと対向し前記第2貫通孔に対して挿抜可能に構成された第2パンチとを有し、前記第1打抜部と対向して配置される第2打抜部によって、第2シートを打ち抜く第2シート打抜工程と、
打ち抜かれた前記第1シートを前記第1パンチの先端面に保持しながら、前記第1パンチを前記第1貫通孔に挿通して、かつ打ち抜かれた前記第2シートを前記第2パンチの先端面に保持しながら、前記第2パンチを前記第2貫通孔に挿通して、前記打ち抜かれた第1シートと前記打ち抜かれた第2シートとを積層する積層工程と、
を含んで成る、請求項15に記載の積層体の製造方法。
【請求項22】
前記第1シート打抜工程では、前記第1ダイと前記第1ダイに対向して配置される第1シート押さえ部とによって挟持された状態で、前記第1シートが打ち抜かれる、ならびに/または
前記第2シート打抜工程では、前記第2ダイと前記第2ダイに対向して配置される第2シート押さえ部とによって挟持された状態で、前記第2シートが打ち抜かれる、請求項21に記載の積層体の製造方法。
【請求項23】
前記積層工程では、前記第1パンチの第1吸引部によって前記第1パンチの前記先端面に打ち抜かれた前記第1シートを保持しながら前記第1パンチが前記第1貫通孔を挿通する、ならびに/または前記第2パンチの第2吸引部によって前記第2パンチの前記先端面に打ち抜かれた前記第2シートを保持しながら前記第2パンチが前記第2貫通孔を挿通する、請求項21に記載の積層体の製造方法。
【請求項24】
前記第1シート打抜工程および前記第2シート打抜工程では、第3シートが前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方のシートに設けられた状態で、前記第1シートおよび前記第2シートを打ち抜く、請求項21に記載の積層体の製造方法。
【請求項25】
前記積層工程では、所定の形状に予め形成された第3シートを前記打ち抜かれた第1シートと前記打ち抜かれた第2シートとの間に積層する、請求項21に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体製造装置および積層体の製造方法、特に、固体電池製造用の積層体用の積層体製造装置および積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のシートから構成される積層体の製造では、例えば、積層体に要求される性能を満たすために、各シートを所望の形状およびサイズに加工し、積層する。例えば、積層体が二次電池である場合、二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置されるセパレータとを備える。セパレータ(電解質層)は、正極と負極とを電気的に絶縁し、イオンを透過する機能を有する。
【0003】
二次電池では、正極シートと、負極シートと、セパレータシートとが設計よりずれて積層されることで、充放電を繰り返す際にデンドライトが生成されるなどして、電気的な短絡が生じることがあった。このような位置ズレの低減を目的として、例えば特許文献1では、あらかじめ正極とセパレータと負極とを含む積層体を作製し、積層体を一括して打ち抜く方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法で作製した積層体では、短絡を十分に抑制できない場合がある。例えば、特許文献1で開示された方法で作製された積層体では、打ち抜いた積層体の切断面付近においてバリが発生することで、正極シートと負極シートとの間の距離が局所的に小さくなり、その結果、短絡が発生しやすくなることがある。また、積層体の切断面において、切断工具等によって材料流れが発生し、その結果、切断面に付着した活物質や導電助剤により短絡が発生しやすくなることもある。
また、近年、一単位の積層体に付き集電体が1層であるバイポーラ型全固体電池の開発製造が進められており、バイポーラ型全固体電池では、正極層・負極層のいずれかの集電箔が不要となる。しかしながら、正極層及び負極層は固形物でないため、加工等行う場合はシート上に塗工する等の必要があり、例えば、正極層及び負極層の一方を離型フィルム上に形成してセルを形成した後の離型フィルムはバイポーラ型全固体電池の製造に不要であるため除去する必要がある。
しかしながら、セル形成後の離型フィルムを剥離する工程において、電池性能に影響を与えることがあり、例えば、正極層・負極層の間で短絡が生じやすくなる懸念がある。
【0006】
本開示はかかる課題に鑑みて為されたものである。すなわち、本開示は、短絡の発生をより抑制する積層体を製造するための装置(積層体製造装置)およびそのような積層体を製造する方法(積層体の製造方法)を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る積層体製造装置は、
正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び前記正極層及び前記負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、前記第1層及び前記第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、前記離型フィルム及び前記集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して、該パンチにより前記第1シートと前記第2シートとをそれぞれ打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、前記離型フィルムと前記一方の層と前記電解質層と前記他方の層と前記集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレスユニットと、
前記積層構造体から離型フィルムを分離する剥離ユニットと、
を含み、
前記積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る積層体の製造方法は、
正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び前記正極層及び前記負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、前記第1層及び前記第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、準備する工程と、
前記第1シートと前記第2シートとを前記離型フィルム及び前記集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して前記パンチにより打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、前記離型フィルムと前記一方の層と前記電解質層と前記他方の層と前記集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレス工程と、
前記積層構造体から離型フィルムを分離する剥離工程とを含み、
前記積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、短絡の発生をより抑制する積層体を製造するための装置およびその積層体を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態であるバイポーラ型全固体電池の製造装置の全体構成を示す図であり、(a)は、ブロック図、(b)は、各ブロックにおける装置の動作又は装置による構成物を模式的に示すイメージ図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る積層体製造用装置のプレスユニットの構成を模式的に示す図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態におけるプレスユニットの第1打抜部と第2打抜部とを示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第1実施形態におけるプレスユニットの第1打抜部と第2打抜部とにおいて打ち抜く際の様子を示す断面図である。
【
図3C】
図3Cは、第1実施形態のプレスユニットにおいて積層する際の様子を示す断面図である。
【
図3D】
図3Dは、第1実施形態のプレスユニットにおいて積層体を取り出す際の様子を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るプレスユニットにおける一形態の第1パンチの断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る他の形態の第1パンチの断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る積層体製造用装置の剥離ユニットの構成を模式的に示す図である。
【
図7A】
図7Aは、第1実施形態の剥離ユニットにおいて、剥離部とテーブルとを位置合わせした際の様子を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、第1実施形態の剥離ユニットにおいて、剥離部と積層構造体の一端とを接触させた際の様子を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、第1実施形態の剥離ユニットにおいて、剥離部により積層構造体から離型フィルムを分離した際の様子を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、第1実施形態の剥離ユニットにおける剥離部の一形態を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、第1実施形態の剥離ユニットにおいて、剥離部の他の形態を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、第2実施形態におけるプレスユニットの第1打抜部と第2打抜部とを示す断面図である。
【
図9B】
図9Bは、第2実施形態におけるプレスユニットの第1打抜部と第2打抜部とにおいて打ち抜く際の様子を示す断面図である。
【
図9C】
図9Cは、第2実施形態のプレスユニットにおいて積層する際の様子を示す断面図である。
【
図9D】
図9Dは、第2実施形態のプレスユニットにおいて積層体を取り出す際の様子を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態のプレスユニットにより作製した積層構造体の断面図であり、(a)は第1実施形態のプレスユニットにより作製した積層構造体の断面図であり、(b)は比較例のプレスユニットにより作製した積層構造体の断面図である。
【
図11A】
図11Aは、第2実施形態に係るプレスユニットの変形例を示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、第2実施形態に係るプレスユニットの変形例を示す断面図である。
【
図11C】
図11Cは、第2実施形態に係るプレスユニットの変形例を示す断面図である。
【
図11D】
図11Dは、第2実施形態に係るプレスユニットの変形例を示す断面図である。
【
図12A】
図12Aは、第2実施形態に係るプレスユニットの別の変形例を示す断面図である。
【
図12B】
図12Bは、第2実施形態に係るプレスユニットの別の変形例を示す断面図である。
【
図12C】
図12Cは、第2実施形態に係るプレスユニットの別の変形例を示す断面図である。
【
図12D】
図12Dは、第2実施形態に係るプレスユニットの別の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示に係る実施形態の固体電池製造用製造装置は、例えば、バイポーラ型全固体電池の製造に用いられ、
図1(a)に示すように、シート製造装置75と積層体製造装置80と積層電極形成セル化装置90を含む。さらに積層体製造装置80はプレスユニット1と剥離ユニット8を含む。以下の説明において、正極層は、例えば、リチウムイオン電池用正極活物質層であり、負極層は、例えば、リチウムイオン電池用負極活物質層である。
以下、
図1(a)(b)を参照しながら各装置について説明する。
【0012】
[シート製造装置75]
シート製造装置75は、
(i)正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び正極層及び負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、
(ii)第1層及び第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートと、
を製造する。
例えば、
図1(b)に示すように、第1シート12は、離型フィルム12aと、離型フィルム12aの一方の主面に設けられた正極層124を含んでなり、第2シート14は、集電体142と、集電体142の一方の主面に設けられた負極層144と、負極層144上に設けられた電解質層16とを含んでなる。
【0013】
第1シート12及び第2シート14の厚みは、例えば、1μm以上、10μm以上、30μm以上、50μm以上、または100μm以上であり、また、1000μm以下、750μm以下、500μm以下、300μm以下、または100μ以下である。
集電体142の厚みは、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上、または50μm以上であり、また500μm以下、300μm以下、100μm以下、または50μm以下である。
【0014】
[積層体製造装置80]
積層体製造装置80は、
図1(a)に示すように、プレスユニット1と剥離ユニット8を含む。
プレスユニット1は、シート製造装置75により製造された(i)第1シートと(ii)第2シートとを離型フィルム及び集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して、該パンチにより第1シートと第2シートとをそれぞれ打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、(a)離型フィルムと(b)正極層及び負極層のうちの一方の層と(c)電解質層と(d)正極層及び負極層のうちの他方の層と(e)集電体とを順に含む積層構造体を作製する。
剥離ユニット8は、プレスユニット1により作製された積層構造体から離型フィルムを分離する。
以上のようにして、積層体製造装置80は、積層構造体から離型フィルムが除かれた積層体を製造する。
【0015】
図1(b)には、上記具体例である第1シート12と第2シート14を作製してそれぞれ打ち抜いた後の第1シート12と第2シート14を示している。
図1(b)に示すように、打ち抜いた後の第1シート12は、第1シート12を離型フィルムがパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、第1シート12の端部においてバリが形成された場合、そのバリは上方(負極層とは反対の方向)に向かうバリとなる。尚、
図1(b)には図示していないが、正極層124の端部にもバリは生じ得る。
また、第2シート14を集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、第2シート14の端部においてバリが形成された場合、そのバリは下方(正極層とは反対の方向)に向かうバリとなる。尚、
図1(b)には図示していないが、負極層144の端部にもバリは生じ得る。
したがって、プレスユニット1では、第1シート12を離型フィルムがパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜き、第2シート14を集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、バリが形成された場合であってもそのバリは端部における正極層と負極層の距離を短くするものではなく、正極層及び負極層間の短絡を効果的に抑制できる。
この効果は、具体例である第1シート12と第2シート14を用いた場合に限らず、
(i)正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び正極層及び負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、
(ii)第1層及び第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートと、
を用いた場合であっても同様の効果が得られる。
【0016】
また、第1シート12を離型フィルムがパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、打ち抜いた後の第1シート12の端部に上方(離型フィルムを剥がす方向)に向かうバリが形成され得るということは、言い換えれば第1シート12の端部において離型フィルムを剥がす方向に力が加わり、離型フィルムと正極層の接着力を弱めることができる。これにより、剥離ユニット8により離型フィルムを容易に、すなわち必要以上の力を掛けずに離型フィルムを剥離することができ、正極層の端部の破損を防止できる。
この効果についても、具体例である第1シート12に限らず、
(i)正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び正極層及び負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シート、
を用いた場合であっても同様の効果が得られる。
そして、剥離ユニット8により、プレスユニット1により作製された積層構造体から離型フィルムを分離する。
【0017】
[積層電極形成セル化装置90]
積層電極形成セル化装置90は、
図1(b)に示すように、積層体製造装置80により製造された積層体を必要に応じて複数積層した後、例えば、最上層の正極層上に電極層を形成して、必要に応じて全体を封止してセル化する。
【0018】
本明細書において「積層体」とは、正極層と電解質層と負極層とをそれぞれ1層含む単位積層体(積層体製造装置80により製造された積層体)と単位積層体が複数積層された多重積層体(積層電極形成セル化装置90で積層された積層体)の双方を含むが、単位積層体を積層体U10とし、多重積層体を積層体M10と表記して符号により区別する。
【0019】
以下、本開示の積層体製造装置および積層体の製造方法を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は、模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0020】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、「未満」、「より大きい」および「より小さい」のような特段の用語が付されない限り、下限および上限の数値(すなわち、上限値および下限値)そのものも含むことを意図している。例えば、1~10といった数値範囲を例にとれば、特段の用語が付されない限り下限値の“1”を含むと共に、上限値の“10”をも含む数値範囲(すなわち、1以上10以下)として解釈される。
また、下限値のみで記載されている複数の数値範囲(例えば、1μm以上、10μm以上)から選択される1つの数値範囲(例えば、1μm以上)と、上限値のみで記載されている複数の数値範囲(例えば、300μm以下、100μm以下)から選択される1つの数値範囲(例えば、100μm以下)とを組み合わせてもよい(例えば、1μm以上100μm以下)。
【0021】
正極層は、リチウムイオン電池用正極活物質層であり、負極層は、例えば、リチウムイオン電池用負極活物質層である。
以下、積層体製造装置の種々の形態について、より具体的に説明する。
以下の説明では、第1シート12と第2シート14を具体例として説明するが、本発明は、第1シートと第2シートは第1シート12と第2シート14に限定されるものではない。
【0022】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態に係る積層体製造装置(以下、単に「装置」とも称する)のプレスユニット1及び剥離ユニット8について詳細に説明する。
[プレスユニット1]
プレスユニット1は、
図2に示すように、打抜部100とシート供給部101とを含み、
図3A~
図3Dに示すように、第1シート12と第2シート14とを打ち抜いた後に積層して積層構造体10を製造する。シート供給部101は、第1シート12が巻き付けられた第1シートロール101Aと第2シート14が巻き付けられた第2シートロール101Bとを含む。なお、
図3A~
図3Dに示すように、Z方向は、第1打抜部20と第2打抜部30とが互いに対向する方向(正対方向)であり、上下方向に相当する。X方向は、Z方向に直交し、YZ平面(例えば、紙面)に直交する方向である。Y方向は、Z方向およびX方向に直交し、横方向に相当する。
【0023】
打抜部100は、第1シート12を打ち抜く第1打抜部20と、第2シート14を打ち抜く第2打抜部30とを備える。第2打抜部30は、第1打抜部20と対向して配置されている。
【0024】
(第1打抜部)
第1打抜部20は、
図3Aに示すように、第1貫通孔222が設けられた第1ダイ22と、第1ダイ22と対向し第1貫通孔222に対して挿抜可能に構成された第1パンチ24とを有する。第1打抜部20は、第1シート押さえ部40と、第1シート押さえ部40に連結された第1連結部27と、第1連結部27を巻き回すように設けられた第1バネ(不図示)と、第1連結部27が挿通可能な第1挿通孔262が設けられ、第1パンチ24を固定する第1パンチホルダ26とをさらに有する。第1シート押さえ部40は、第1ダイ22に対向するように配置され、第3貫通孔42が設けられている。
【0025】
第1パンチ24は、第1ダイ22の第1貫通孔222に対して挿抜可能に構成されており、第1貫通孔222内において上下動する。第1パンチ24は、第1シート押さえ部40の第3貫通孔42に挿抜可能に構成されており、第3貫通孔42内において上下動する。
【0026】
第1パンチ24は、その先端面242に第1シート12を吸引する第1吸引部(
図3A~
図3Dでは不図示)を有することができる。
図4を参照して一形態の第1吸引部60を説明する。
図4は、第1パンチ24の拡大断面図であって、第1吸引部の断面図を示す。第1吸引部60は、連通孔を有する多孔質体(ポーラス体)64と、連通孔と連通する第1吸引路62を有する減圧部(不図示)とを有する。多孔質体64の主面は、先端面242の一部を構成する。つまり、多孔質体64は、先端面242から露出するように先端面242の一部を構成する。このように、多孔質体64の主面が先端面242の一部を構成することで、露出した多孔質体64によって先端面242を介した吸気が可能となる。第1吸引部60による吸気は、例えば、後述する積層構造体10の製造方法の積層工程で行われる。第1パンチ24が第1吸引部60を有すると、打ち抜いた第1シート12を第1パンチ24上にさらに保持した状態で移動させ積層することが可能となる。よって、第1シート12の位置ズレの発生がさらに抑制される。
【0027】
より具体的には、多孔質体64は、その表面に開口を有する微細な連通孔を複数有する。減圧部が、第1パンチ24の先端面242に配置された多孔質体64の連通孔を通じて吸引することで(つまり、多孔質体64の連通孔の開口付近を減圧雰囲気とすることで)、第1シート12を第1パンチ24の先端面242に保持する。このように、微細な開口で第1シート12を保持するため、例えば、後述する印加工程において50MPaのような比較的大きな圧力を積層構造体10へ印加したとしても、第1シート12に打痕状の凹凸が生じにくい。連通孔の開口は、例えば、1~150μmである。多孔質体64の材質は、圧縮強度が比較的高い材質が好ましく、例えば、ステンレスおよび超鋼である。
【0028】
第1吸引部60は、第1吸引路62と連通する加圧部(不図示)をさらに有することができる。加圧部が、第1パンチ24の先端面242に配置された多孔質体64の連通孔を通じて加圧することで(つまり、多孔質体64の連通孔の開口付近を加圧雰囲気とすることで)、先端面242を介した排気が可能となる。第1吸引部(または第1吸排気部)60による排気は、例えば、後述する積層構造体の製造方法の印加工程で行われる。第1パンチ24が第1吸排気部60を有すると、積層構造体10が先端面242に張り付いたとしても、後続の搬送工程で積層構造体10を容易に取り出すことができる。
【0029】
図5を参照して、吸引部の他の形態について説明する。
図5は、他の形態の第1パンチの断面図である。プレスユニット1は、第1吸引部60Aおよび第2吸引部を備えていてもよい。第2吸引部は、第1吸引部60Aと実質的に同じであるため、説明を省略する。第1吸引部60Aは、先端面242を平面視した場合に(つまり、先端面242をZ方向から見た場合に)、その外縁にスリット状開口部66が形成されるようにはめ込まれた入子63と、スリット状開口部66と連通する第1吸引路62Aを有する減圧部とを有する。入子63の主面は、先端面242の一部を構成する。つまり、入子63は、第1パンチ24Aの先端面242から露出するように先端面242の一部を構成する。このように、入子63の主面が先端面242の一部を構成することで、スリット状開口部66が形成される。これにより、スリット状開口部66を介した吸気が可能となる。第1吸引部60Aによる吸気は、例えば、後述する積層構造体10の製造方法の積層工程で行われる。第1パンチ24Aが第1吸引部60Aを有すると、打ち抜いた第1シート12を第1パンチ24上にさらに保持した状態で移動させ積層することが可能となる。よって、第1シート12の位置ズレの発生がさらに抑制される。
【0030】
ここで、入子63の材質は、例えば、金属である。XY平面における入子63の外縁形状は、例えば、略円ならびに略多角形(より具体的には、略三角形、略四角形、略五角形、および略六角形等)である。これらの形状は単独であってもよく、これらを複数組み合わせてもよい。複数の組み合わせとしては、例えば、同心円の二重丸となるような形状である。
【0031】
より具体的には、第1吸引部60Aでは、減圧部が第1パンチ24Aの先端面242に配置されたスリット状開口部66を通じて吸引することで(つまり、減圧部が、スリット状開口部66付近を減圧雰囲気とすることで)、第1シート12を第1パンチ24Aの先端面242に保持する。スリット状開口部66の幅wは、例えば、0.1~100μm、または1μm~30μmである。このように、微細な幅wのスリット状開口部66で第1シート12を保持するため、例えば、印加工程において50MPaのような比較的大きな圧力を積層構造体10へ印加したとしても、第1シート12に打痕状の凹凸が生じにくい。
【0032】
第1吸引部60Aは、第1吸引路62Aと連通する加圧部(不図示)をさらに有することができる。加圧部が、スリット状開口部66を通じて加圧することで(つまり、スリット状開口部66付近を加圧雰囲気とすることで)、先端面242を介した排気が可能となる。第1吸引部(または第1吸排気部)60Aによる排気は、例えば、後述する積層構造体10の製造方法の印加工程で行われる。第1パンチ24が第1吸排気部60Aを有すると、積層構造体10が先端面242に張り付いたとしても、後続の搬送工程で積層構造体10を容易に取り出すことができる。
【0033】
(第2打抜部)
第2打抜部30は、
図3Aに示すように、第2貫通孔322が設けられた第2ダイ32と、第2ダイ32と対向し第2貫通孔322に対して挿抜可能に構成された第2パンチ34とを有する。ここで、第2貫通孔322及び第2パンチ34の中心軸に垂直な断面形状は、第1貫通孔222及び第1パンチ24の中心軸に垂直な断面形状より大きくかつ相似形である。
また、第2貫通孔322及び第2パンチ34と第1貫通孔222及び第1パンチ24との位置関係は、打ち抜き後の第1シート12の外周が打ち抜き後の第2シート14の外周より内側に位置するように設定される。尚、第2貫通孔322及び第2パンチ34の中心軸は、第1貫通孔222及び第1パンチ24の中心軸と一致していることが好ましい。
第2打抜部30は、第2シート押さえ部50と、第2シート押さえ部50に連結された第2連結部37と、第2連結部37を巻き回すように設けられた第2バネ(不図示)と、第2連結部37が挿通可能な第2挿通孔362が設けられ、第2パンチ34を固定する第2パンチホルダ36とをさらに有する。第2シート押さえ部50は、第2ダイ32に対向するように配置され、第4貫通孔52が設けられている。
【0034】
第2パンチ34は、その先端面342に第2シート14を吸引する第2吸引部(
図3A~
図3Dでは不図示)を有することができる。第2吸引部は第1吸引部60と実質的に同じであるため、説明を省略する。
【0035】
第2パンチ34は、第2ダイ32の第2貫通孔322に対して挿抜可能に構成されており、第2貫通孔322内において上下動する。第2パンチ34は、第2シート押さえ部50の第4貫通孔52に挿抜可能に構成されており、第4貫通孔52内において上下動する。
【0036】
第1実施形態に係るプレスユニット1では、第1打抜部20と第2打抜部30とが互いに対向して配置され、第1シート12および第2シート14を打ち抜き後、第1打抜部20と第2打抜部30との間に挟み込んで積層体を製造する。
このように、第1,2シート12,14は、それらの打ち抜き方向が互いに対向するようにして積層するため、打ち抜かれた第1,2シート12,14の切断面付近にバリが発生した場合でも、第1,2シート12,14のバリは、シート12,14の貼合面から離れるように互いに逆方向に形成される。よって、バリによる短絡が生じにくい。
すなわち、
図1(b)に示すように、打ち抜いた後の第1シート12は、第1シート12を離型フィルムがパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、第1シート12の端部においてバリが形成された場合、そのバリは上方(負極層とは反対の方向)に向かうバリとなる。尚、
図1(b)には図示していないが、正極層124の端部にもバリは生じ得る。
また、第2シート14を集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、第2シート14の端部においてバリが形成された場合、そのバリは下方(正極層とは反対の方向)に向かうバリとなる。尚、
図1(b)には図示していないが、負極層144の端部にもバリは生じ得る。
したがって、プレスユニット1では、第1シート12を離型フィルムがパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜き、第2シート14を集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して打ち抜いているので、バリが形成された場合であってもそのバリは端部における正極層と負極層の距離を短くするものではなく、正極層及び負極層間の短絡を効果的に抑制できる。
【0037】
第1実施形態に係るプレスユニット1では、
図3A~
図3Dに示すように、第1パンチ24は、挿抜方向に垂直な平面(つまり、XY平面に平行な面)において、第2パンチ34に対して異なる断面形状および/または断面サイズを有する。第1実施形態に係るプレスユニット1で製造される積層構造体10は、例えば、集電体142、負極層144、電解質層16、正極層124及び離型フィルム12aを含む。積層構造体10では、第1シート12の幅(Y方向の長さ)は、第2シート14の幅に比べ、小さい。積層構造体10では、第1シート12の両側面に別の層(より具体的には、絶縁層)を形成することができる。この場合、第1シート12と第2シート14と間の絶縁性(より具体的には、電気絶縁性および熱絶縁性等)をさらに向上させることができる。
【0038】
また、第1実施形態では、異なる形状および/またはサイズを有する第1シート12と、第2シート14とで構成される積層構造体10を製造することができる。よって、例えば、積層構造体10から製造される積層体に要求される性能に応じて、構成するシートのサイズおよび形状を変更するといった、設計の自由度が高い積層構造体10を製造することができる。
【0039】
[剥離ユニット8]
剥離ユニット8は、
図6に示すように、
(a)離型フィルム12aと離型フィルム12aの上に設けられた積層体U10とを含む積層構造体を離型フィルム12aを上にして載置するテーブル84と、
(b)粘着面を有する剥離用テープ85をテーブル84上に供給して回収するテープ供給回収部88と、
(c)テーブル84上において、積層構造体の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の粘着面を接触させた後に接触部を積層構造体の離型フィルム12aの他端に移動させることにより離型フィルム12aを剥離する剥離部81と、
を含む。
【0040】
テープ供給回収部88は、例えば、テープ供給部82とテープ回収部83とを含む。
テープ供給部82は、剥離用テープ85が巻き付けられた剥離テープロール82bと供給ローラ82aとを含む。テープ回収部83は、回収ローラ83aと剥離後の剥離用テープ85を巻き取る巻取ロール83bとを含む。剥離部81は、積層構造体の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の粘着面を接触させた後に接触させた状態で接触部を積層構造体の離型フィルム12aの他端に移動させるための曲面の先端部を有するブレード81aを含む。
【0041】
テーブル84と剥離部81は、テーブル84上において、積層構造体の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の粘着面を接触させた後に接触部を積層構造体の離型フィルム12aの他端に移動させることができるよう少なくとも一方が移動可能に構成されている。
例えば、テーブル84を固定して剥離部81を移動可能に構成してもよいし、テーブル84を移動可能に構成して剥離部81を固定してもよいし、テーブル84及び剥離部81の双方を移動可能に構成してもよい。
テーブル84及び剥離部81の双方を移動可能に構成する場合、例えば、テーブル84を上下方向に移動可能に構成し、剥離部81を上下方向(第1方向)に直交する方向(第2方向)に移動可能に構成して、例えば、
図7A~
図7Cに示すように、剥離部81を第2方向の前方に移動させて上面視で積層構造体の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の粘着させる部分を一致させた後に(
図7A)、テーブル84を上昇させて積層構造体の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の接触面を接触させ(
図7B)、接触させた状態で剥離部81を第2方向の後方に移動させて離型フィルム12aを剥離する(
図7C)。
【0042】
尚、剥離部81を移動させる場合、剥離部81のみを移動させても良いし、剥離部81とテープ供給回収部88とを一体で構成して、
図7A~
図7Cに示すように剥離部81とテープ供給回収部88とを同時に移動させてもよい。
また、積層構造体の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の接触面を接触させた状態で剥離部81を第2方向の後方に移動させる際、テープ供給回収部88により剥離用テープ85を剥離部81の移動速度と略一致する速度で供給及び回収することが好ましい。
【0043】
以上、
図7A~
図7Cには、剥離部81が曲面の先端部を有するブレード81aを備えている場合を例に説明した。この例では、
図8Aに示すように、ブレード81aの先端部により離型フィルムの一端に剥離用テープの粘着面を接触させた後にブレード81aを移動させることにより接触部を離型フィルムの他端に向かって移動させることにより離型フィルムを剥離している。
この場合、例えば、テープ供給回収部88により剥離用テープ85をブレード81aの移動速度と略一致する速度で供給及び回収する。
【0044】
しかしながら、剥離部81は、ブレード81aに代えて、
図8Bに示すように、それぞれ前記積層構造体の離型フィルムに平行でかつ移動方向に直交する中心軸を有する押えローラ81bと剥離用ローラ81cとを備えていてもよい。
この場合は、押えローラ81bにより剥離用テープの粘着面を前記一端に接触させた後に押えローラ81bを他端に向かって移動させ、剥離用ローラ81cを、一端から他端に向かって移動させることにより離型フィルム12aを剥離する。
【0045】
また、上面及び下面が略矩形の積層体を製造する積層体製造装置の剥離部81では、
図6において平面図で示すように、積層構造体U10を、剥離用テープ85の中心線が積層構造体U10の上面の対角線と一致とするように45度傾けてテーブル84の上に位置合わせして、積層構造体の離型フィルムの一角部に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を対角方向の他の角部に向かって移動させることにより離型フィルムを剥離するようにすることが好ましい。
このようにすると、剥離用テープによる離型フィルムの剥離を容易にできる。
ここで、剥離用テープの形状(特に幅)、粘着力等の仕様は、積層構造体U10の構造、特に、離型フィルムの幅等の寸法、離型フィルム12aと正極層124との接着力等を考慮して適宜設定することができる。
【0046】
また、上述したように、プレスユニット1による打ち抜きにより、第1シート12の端部において離型フィルムを剥がす方向に力が加わり、離型フィルムと正極層の接着力を弱めることができるので、剥離ユニット8により離型フィルムを容易に、すなわち必要以上の力を掛けずに離型フィルムを剥離することができ、正極層の端部の破損を防止できる。
【0047】
[積層体の製造方法]
以下、第1実施形態に係る積層体の製造方法の一例を説明する。
第1実施形態に係る積層体の製造方法は、
(i)正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び正極層及び負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、(ii)第1層及び第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、準備する工程と、
第1シートと第2シートとを離型フィルム及び集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給してパンチにより打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、離型フィルムと前記一方の層と電解質層と他方の層と集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレス工程と、
積層構造体から離型フィルムを分離する剥離工程とを含み、
積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する。
第1シートと第2シートを準備する工程は、上述のシート製造装置により製造することにより準備してもよいし、例えば、上記第1シートと第2シートを購入して準備してもよい。
【0048】
以下、プレス工程と剥離工程について、より具体的に説明する。
以下の説明では、第1シート12と第2シート14を具体例として説明するが、本発明は、第1シートと第2シートは第1シート12と第2シート14に限定されるものではない。
また、以下に説明するプレス工程は、第1実施形態に係るプレスユニット1を用いた具体例であり、第1シート打抜工程と、第2シート打抜工程と、積層工程とを含む。プレス工程はさらに印加工程および搬送工程を含んでいてもよい。
【0049】
[プレス工程]
(第1シート打抜工程)
第1シート打抜工程では、第1貫通孔222が設けられた第1ダイ22と、第1ダイ22と対向し第1貫通孔222に対して挿抜可能に構成された第1パンチ24とを有する第1打抜部20によって、第1シート12を打ち抜く。
【0050】
図3Bに示すように、第1パンチホルダ26を押し下げると、第1パンチ24は、第1シート押さえ部40の第3貫通孔42に挿通するように降下する。このように第1パンチ24が降下すると、第1バネがZ方向に縮み付勢力が生じる。この付勢力により、第1シート押さえ部40も降下して第1シート12を第1ダイ22に押圧する。第1シート押さえ部40は、打ち抜かれる第1シート12を押さえる。これにより、第1シート12は、第1シート押さえ部40と第1ダイ22と間に挟持されて固定される。このように、第1シート12は第1シート押さえ部40によってより固定された状態で打ち抜かれると、例えば、打ち抜き時の第1シート12の巻き込みを防止し、設計の形状およびサイズを適切に反映して第1シート12を打ち抜くことが可能となる。よって、第1シート12の位置ズレの発生がさらに抑制される。第1打抜部20は、積層で第1シート12が合わさる貼合面に向かって第1シート12を打ち抜く(型抜く)。
【0051】
図3Cに示すように、さらに第1パンチ24が降下して、第3貫通孔42および第1貫通孔222に挿通することで、第1パンチ24は第1ダイ22とともに第1シート12から所定の形状を有する第1シート12を打ち抜く。ここで、第1シート12は、第1ダイ22と、第1ダイ22と対向して配置される第1シート押さえ部40とによって挟持された状態で打ち抜かれる。このようにして、第1パンチ24は、その先端面242と第1貫通孔222との間に搬送される第1シート12を第1ダイ22とともに打ち抜く。この場合、第1ダイ22は、上下方向に移動可能であり、その下面が第2ダイ32の上面に接触するまで降下する。
【0052】
(第2シート打抜工程)
第2シート打抜工程では、第2貫通孔322が設けられた第2ダイ32と、第2ダイ32と対向し第2貫通孔322に対して挿抜可能に構成された第2パンチ34とを有する第2打抜部30によって、第2シート14を打ち抜く。
【0053】
図3Bに示すように、第2パンチホルダ36を押し上げると、第2パンチ34は、第2シート押さえ部50の第4貫通孔52に挿通するように上昇する。このように第2パンチ34が上昇すると、第2バネがZ方向に縮み付勢力が生じる。この付勢力により、第2シート押さえ部50も上昇して第2シート14を第2ダイ32に押圧する。第2シート押さえ部50は、打ち抜かれる第2シート14を押さえる。これにより、第2シート14は、第2シート押さえ部50と第2ダイ32との間に挟持されて固定される。このように、第2シート14は第2シート押さえ部50によってより固定された状態で打ち抜かれると、例えば、打ち抜き時の第2シート14の巻き込みを防止し、設計の形状およびサイズを適切に反映して第2シート14を打ち抜くことが可能となる。よって、第2シート14の位置ズレの発生がさらに抑制される。第2打抜部30は、積層で第1シート12が合わさる貼合面に向かって第2シート14を打ち抜く。
【0054】
第2打抜部30は、第1打抜部20による第1シート12の打ち抜きと実質的に同時に第2シートを打ち抜くことができる。よって、第1実施形態に係るプレスユニット1は量産性に優れる。
【0055】
図3Cに示すように、さらに第2パンチ34が上昇して、さらに第4貫通孔52および第2貫通孔322に挿通することで、第2パンチ34は第2ダイ32とともに第2シート14を打ち抜く。ここで、第2シート14は、第2ダイ32と、第2ダイ32と対向して配置される第2シート押さえ部50とによって挟持された状態で打ち抜かれる。このようにして、第2パンチ34は、その先端面342と第2貫通孔322との間に搬送される第2シート14を第2ダイ32とともに打ち抜く。この場合、第2ダイ32は、上下方向に移動可能であり、その上面が第1ダイ22の下面に接触するまで上昇する。
【0056】
(積層工程)
積層工程では、打ち抜かれた第1シート12を第1パンチ24の先端面242に保持しながら、第1パンチ24を第1貫通孔222に挿通して、かつ打ち抜かれた第2シート14を第2パンチ34の先端面342に保持しながら、第2パンチ34を第2貫通孔322に挿通して、打ち抜かれた第1シート12と打ち抜かれた第2シート14とを積層する。
【0057】
第1パンチ24は、その先端面242に第1シート12を吸引する第1吸引部60を有することができる。第1パンチ24が第1吸引部60を含む場合、打ち抜かれた第1シート12を第1吸引部60によって先端面242に保持しながら第1貫通孔222を挿通する。第1パンチ24は、第1吸引部60により先端面242に打ち抜かれた第1シート12をさらに保持することができる。このように、第1パンチ24が第1吸引部60を有すると、打ち抜いた第1シート12を第1パンチ24上にさらに保持した状態で移動させ積層することが可能となる。よって、第1シート12の位置ズレの発生がさらに抑制される。製造する積層構造体10の表面に打痕状の凹凸の形成を防止する観点から、第1パンチ24の先端面242は、好ましくは面一である。先端面242が面一であるとは、例えば、第1吸引部60の下面(すなわち、多孔質体64の下面)と、第1パンチ24の先端面242の両端側の面とが同一平面に存在することを指す。
【0058】
第2パンチ34は、その先端面342に第2シート14を吸引する第2吸引部を有することができる。第2パンチ34が第2吸引部を含む場合、打ち抜かれた第2シート14を第2吸引部(不図示)によって先端面342に保持しながら第2貫通孔322を挿通する。第2パンチ34は、第2吸引部により先端面342に打ち抜かれた第2シート14をさらに保持することができる。このように、第2パンチ34が第2吸引部を有すると、打ち抜いた第2シート14を第2パンチ34上にさらに保持した状態で移動させ積層することが可能となる。よって、第2シート14位置ズレの発生がさらに抑制される。
【0059】
また、第1パンチ24は、第1シート12を打ち抜いた後に、打ち抜いた第1シート12をその先端面242に保持しながら第1シート押さえ部40の第3貫通孔42内を降下する。第2パンチ34は、第2シート14を打ち抜いた後に、打ち抜いた第2シート14をその先端面342に保持しながら第2シート押さえ部50の第4貫通孔52内を上昇する。その結果、第1パンチ24および第2パンチ34は、打ち抜かれた第1~2シート12,14を挟み込む。
【0060】
(印加工程)
印加工程では、第1パンチ24および第2パンチ34が熱および/または圧力を積層構造体10に印加する。詳しくは、
図3Cから第1ダイ22と第2ダイ32が離間するように第1ダイ22が上昇し、第2ダイ32が降下した状態(つまり、積層構造体10をダイ22,32から外した状態)で、積層構造体10に、第1パンチ24および第2パンチ34によって熱および/または圧力が印加され得る。印加は、積層構造体10が第1パンチ24および第2パンチ34によって挟持された状態で、第1パンチ24および第2パンチ34の両側から積層構造体10に向かって行われる。このようにして、積層構造体10が製造される。また、積層構造体10を第1ダイ22および第2ダイ32から外した状態で熱および/または圧力を印加することで(特に、圧力を印加することで)、積層構造体10が印加時にXY平面方向に伸びたとしても、積層構造体10の切断面が第1ダイ22および第2ダイ32に接触して変形することを防止できる。第1実施形態に係るプレスユニット1で製造される積層構造体10は、例えば、
図1(b)で示される積層構造体である。
圧力は、例えば、10MPa~100MPa、または30MPa~70MPaである。
【0061】
印加工程では、例えば、10MPa~100MPaのような比較的大きな圧力を積層構造体10に印加する。その後、第1パンチ24および第2パンチ34が互いに離間するように移動する際に、積層構造体10が第1パンチ24の先端面242または第2パンチ34の先端面342に張り付くことがある。後続の搬送工程で積層構造体10を容易に取り出す(払い出す)ために、必要に応じて、第1吸引部(第1吸排気部)60および第2吸引部(第2吸排気部)によって加圧処理を行うことができる。
【0062】
第1吸排気部60による加圧処理を例に挙げて説明する。第2吸排気部は、第1吸排気部60と実質的に同じであるため、説明を省略する。第1吸排気部60は、第1吸引路62と連通する加圧部(不図示)をさらに有することができる。加圧部が、第1パンチ24の先端面242に配置された多孔質体64の連通孔を通じて加圧することで(つまり、多孔質体64の連通孔の開口付近を加圧雰囲気とすることで)、先端面242に張り付いた積層構造体10を先端面242から引き剥がす。
【0063】
(搬送工程)
搬送工程では、作製した積層構造体10を搬送する。
図3Dに示すように、積層構造体10から離れるように、第1パンチ24が上昇し第2パンチ34が降下する。ここで、作製した積層構造体10を搬送しやすくするために、第2シート押さえ部50から突出するように、第2パンチ34を配置することができる。搬送部(不図示)によって作製された積層構造体10が搬送され、第1~2シート12,14の切れ端が除去される。搬送部は、例えば、搬送アームである。第1パンチ24および第2パンチ34が
図3Aに示す配置に戻り、新たなシート12,14が搬送される。同様にして新たな積層構造体10を作製する。
【0064】
[剥離工程]
剥離工程は、
粘着面を有する剥離用テープを、積層構造体の離型フィルムの一端に粘着面を接触させた後に接触部を積層構造体の離型フィルムの他端に移動させることにより離型フィルムを剥離する。
例えば、
図7A~
図7Cに示すように、剥離工程は、積層構造体10を、離型フィルム12aを上にしてテーブル84上に載置し、剥離部81により、積層構造体10の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の粘着面を接触させた後に接触部を積層構造体10の離型フィルム12aの他端に移動させることにより離型フィルム12aを剥離する。
【0065】
離型フィルム12aを剥離する際における、積層構造体10上の離型フィルム12aの一端と剥離部81との位置合わせ(左右方向の位置合わせ)、離型フィルム12aの一端と剥離用テープ85の粘着面を接触させる際の移動(上下方向の移動)、該接触部の積層構造体10の離型フィルム12aの他端への移動は、剥離部81及びテーブル84のいずれか一方または双方を移動させることにより行ない、その際、移動速度、停止位置及びタイミングを適宜制御する。剥離部81及びテーブル84のいずれか一方または双方を移動を制御する際、剥離用テープ85の供給速度、供給停止のタイミングも同時に制御することが好ましい。
【0066】
また、剥離部81により、積層構造体10の離型フィルム12aの一端に剥離用テープ85の粘着面を接触させる際の押圧力、接触部を積層構造体10の離型フィルム12aの他端に移動させる際の押圧力は、ブレード81aの形状と材質及び製造する積層体U10の構成に基づき、積層体U10の、特に積層体U10の端部における破損の発生が抑制されるように最適化された押圧力に設定することが好ましい。最適化された押圧力の設定は、例えば、積層体U10の品種ごとに最適化された押圧力を記憶したデータベースを参照して行うことができる。
【0067】
上面及び下面が略矩形の積層体U10を製造する製造方法では、剥離工程は、一端である積層構造体10の離型フィルムの一つの角部に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を対角方向の他の角部に向かって移動させることにより離型フィルムを剥離することが好ましい。このようにすると、剥離用テープによる離型フィルムの剥離を容易にできる。
【0068】
剥離工程は、ブレードによりその先端部を積層構造体10の離型フィルムの一端に剥離用テープの粘着面を接触させた後にブレードを離型フィルムの他端に向かって移動させることにより離型フィルムを剥離するようにしてもよい。ここで、ブレード81aの形状(特に、先端部の曲面の曲率半径)及び材質は、離型フィルム12aの形状及び材質、剥離用テープ85の形状及び材質、離型フィルム12aと剥離用テープ85の粘着力等を考慮して、好ましい材料が選択されて最適化された形状に設定されている。
【0069】
剥離工程は、押えローラにより剥離用テープの粘着面を積層構造体10の離型フィルムの一端に接触させた後に押えローラを積層構造体10の離型フィルムの他端に向かって移動させ、押えローラとは別の剥離用ローラを、上記一端から上記他端に向かって移動させることにより離型フィルムを剥離するようにしてもよい。ここで、押えローラ81bと剥離用ローラ81cの形状(特に、ローラの半径)及び材質は、離型フィルム12aの形状及び材質、剥離用テープ85の形状及び材質、離型フィルム12aと剥離用テープ85の粘着力等を考慮して、好ましい材料が選択されて最適化された形状に設定されている。また、離型フィルム12aを剥離する際の剥離用ローラ81cの高さも、離型フィルム12aの形状及び材質、剥離用テープ85の形状及び材質、離型フィルム12aと剥離用テープ85の粘着力等を考慮して、最適化された高さに設定されている。
【0070】
<第2実施形態>
図9A~
図9Dを参照して、第2実施形態に係る積層体製造装置を説明する。
図9A~
図9Dは、第2実施形態に係るプレスユニットの断面図である。第2実施形態の積層体製造装置は、第1実施形態とは、プレスユニットの構造が異なっている。具体的には、第1パンチの断面形状および/または断面サイズが第2パンチの断面形状および/または断面サイズと同一である。以下では、主として、第1実施形態と相違する構成について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の符号は、第1実施形態を同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0071】
第2実施形態に係るプレスユニット1Aは、
図9A~
図9Dに示すように、第1パンチ24Aは、挿抜方向に垂直な平面(つまり、XY平面に平行な面)において、第2パンチ34と同一の断面形状および/または断面サイズを有する。第2実施形態に係るプレスユニット1Aで製造される積層構造体10Aは、例えば、
図10(a)で示される積層構造体である。積層構造体10Aでは、第1シート12の幅(Y方向の長さ)と、第2シート14の幅は同一である。
【0072】
第2実施形態では、同一サイズの第1シート12と第2シート14とで構成される積層構造体10Aを製造することができる。よって、例えば、第1実施形態の積層体U10に比較してより小型の積層体を製造することができるが、第1実施形態の積層体U10に比較すると側面における正極層124と負極層144間の距離が近くなり、短絡が生じやすくなる懸念がある。
したしながら、第2実施形態に係るプレスユニット1Aによれば、短絡を効果的に抑制できる積層体を製造することができる。
【0073】
この点について
図10を参照して詳細に説明する。
図10(a)は、第2実施形態に係るプレスユニット1Aで製造した積層構造体10Aの切断面付近拡大断面図である。
図10(b)は、比較例の装置で製造した積層構造体10Aの切断面付近の拡大断面図である。第2実施形態に係るプレスユニット1Aでは、第1パンチ24および第1ダイ22を備える第1打抜部20によって、Z方向に沿って上側から下側に向かって第1シート12を打ち抜く。このため、第2実施形態に係るプレスユニット1Aで製造される積層構造体10Aにおける正極層124の切断面付近では、
図10(a)に示すように、上側に向くようなバリが生じ得る。これに対して、第2シート14は、第2パンチ34および第2ダイ32を備える第2打抜部30によって、Z方向に沿って下側から上側に向かって第2シート14を打ち抜く。このため、第2実施形態に係るプレスユニット1Aで製造される積層構造体10Aにおける負極層144および電解質層16の切断面付近では、下側に向くようなバリが生じ得る。そして積層構造体10Aは、負極層144上に電解質層16第1シート12の正極層124が積層して構成されるため、バリがシートの貼合面から離れるように互いに逆方向に形成される。
【0074】
このような積層構造体10Aでは、正極層124と負極層144が少なくとも電解質層16の厚み分の距離Lだけ隔てられるため、例えば、正極層124と負極層144との間の短絡が抑制される。
【0075】
これに対して、例えば、第1~2シート12,14を積層させた後に一括して打ち抜くような比較例では、
図10(b)に示すように、製造される積層構造体の切断面付近には、同方向に向くバリが生じ得る。このため、正極層124と負極層144の間の距離は、電解質層16の厚み分に相当する距離Lよりも小さい距離L’が生じ得る。かかる場合、距離L’の箇所で電気抵抗が低下するため、短絡が生じ得る。
【0076】
また、第2本実施形態では、第1シート12と第2シート14とを積層した状態で一括して打ち抜かず、第1シート12および第2シート14をそれぞれ第1打抜部20および第2打抜部30で個々に打ち抜く。
【0077】
詳しくは、第1パンチ24および第1ダイ22は、第2シート14に接触しないようにして第1シート12を打ち抜く。このように、第1パンチ24および第1ダイ22は第2シート14に接触しないため、第1シート12の打ち抜きによって第1パンチ24および第1ダイ22に第1シート12を構成する成分(例えば、活物質のような粉体材料)が付着したとしても、この成分は第2シート14の切断面に付着しにくい。
【0078】
同様に、第2パンチ34および第2ダイ32は、第1シート12に接触しないようにして第2シート14を打ち抜く。このように、第2パンチ34および第2ダイ32は第1シート12に接触しないため、第2シート14の打ち抜きによって第2パンチ34および第2ダイ32に第2シート14を構成する成分(例えば、活物質のような粉体材料)が付着したとしても、この成分は第1シート12の切断面に付着しにくい。
【0079】
このように、本実施形態では、第1シート12と第2シート14とを個々に打ち抜くため、積層構造体10の切断面において、打抜部20,30(詳しくは、パンチ24,34およびダイ22,32)による材料流れが発生しにくく、その結果、切断面に付着したシートを構成する成分による短絡の発生が抑制される。
【0080】
これに対して、例えば、第1~2シート12,14を積層させた後に一括して打ち抜くような比較例では、
図10(b)に示すように、第1シート12、第2シート14の順で打ち抜く。つまり、パンチが第1シート12を打ち抜いた後に、第2シート14を打ち抜く。このため、第1シート12の打ち抜きによってパンチに第1シート12を構成する成分が付着した状態で、第2シート14を打ち抜くことになる。よって、打ち抜き後の第2シート14の切断面に第1シート12を構成する成分が付着しやすい。よって、パンチおよびダイによる材料流れが発生しやすく、その結果、比較例では短絡が生じやすい。
さらに、導電性のあるパンチで積層体を一括して打ち抜くと、第1シート12と第2シート14との間の電位差によって、パンチが短絡を生じさせてしまうことがある。
【0081】
また、積層構造体10内のシート12,14がずれて配置されると、短絡が発生しやすくなる。例えば、位置ズレにより正極(より具体的には、リチウム)の任意の部分と対向する位置(正対位置)に負極(より具体的には、グラファイト)の部分が存在しないと、二次電池の充電の際に、正極から移動した金属イオン(より具体的には、リチウムイオン)が行き場を失い、負極の当該部分において金属イオンが樹枝状に成長してデンドライトが形成されやすくなる。この場合、負極でのデンドライトの生成が正極側に向かっで進むことで短絡が発生しやすくなる。
【0082】
一般に精度よく位置合わせを行う場合、画像処理を行うため、所定の時間を要し量産性が低下する。本発明者らはこれらを考慮して、打ち抜きと、積層とを一連して行うことで、打ち抜かれたシート12,14,16を位置合わせする必要がなく、精度よく設計を適切に反映した積層構造体10Aを製造できること着目した。このような技術的知見に基づいて、パンチ24,34がシート12,14を打ち抜き後、打ち抜いたシートを先端面242,342に載置しつつ、ダイ22,32の貫通孔222,322を挿通してシート12,14,16を積層させることとした。
【0083】
また、例えば、バリの発生によって第1シート12と第2シート14との間の距離が不均一となることで、第1シート12を構成する材質が不均質に活用され、その結果、積層体の機能が低下し得る(より具体的には、電極容量が低下し、電極の破損に至る)。
また、打ち抜きで形成される端面(切断面)をなでるようにして、積層体を一括して打ち抜くと、シート12,14の成分が別のシート12,14へ混入しやすい。このような異物混入は、例えば、正極活物質の負極活物質の層への混入である。これにより比較例の積層構造体10から積層体を作製すると電池機能が低下し得る。
【0084】
本第2実施形態では、第1シート12と第2シート14との間の距離がバリによって不均一となりにくく、異物混入が生じにくい。このため、本第2実施形態では、短絡の発生を十分に抑制するという効果に加えて、これらの不具合が生じにくくなるという副次的な効果が生じ得る。
【0085】
第1~2シート12,14は、バインダーを含んでもよい。このようなバインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム、スチレンブタジエンラテックス、多硫化ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム、およびポリアルキレンカーボネート等が挙げられる。ポリアルキレンカーボネートは、例えば、式
-(-C(=O)-O-R-O-)-
[式中、Rは、炭素原子数1~20のアルキレン基を示す]
で表される繰り返し単位を含む。炭素原子数1~20のアルキレン基は、直鎖状もしくは分岐状であってもよく、その一部が環状となっていてもよい。
【0086】
<その他の実施形態>
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、以下に示す変形例が挙げられる。
【0087】
第1及び第2実施形態では、プレスユニットは、切断された第1~第2シート12,14が第1~2打抜部20,30に間欠的に搬送される枚葉式の装置であったが、これに限定されない。例えば、プレスユニットは、第1~第2シート12,14が第1~2打抜部20,30に連続的に搬送されるロール・ツー・ロール式の装置であってもよい。
【0088】
第1及び第2実施形態では、プレスユニットは、第1,2シート押さえ部40,50を備えていたが、これに限定されない。プレスユニット1は、第1,2シート押さえ部40,50のいずれかを備えていてもよい。
【0089】
第1及び第2実施形態では、プレスユニットは、第1ダイ22および第2ダイ32を分離した状態で備えていたが、これに限定されない。第1ダイ22および第2ダイ32は、例えば、一体化した第3ダイ70であってもよい。
図11A~
図11Dを参照して、この変形例の第2実施形態との相違点(第1ダイ22と第2ダイ32とが一体化した第3ダイ70を有すること)を説明する。なお、本変形例において、第2実施形態と同一の符号は、第2実施形態を同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0090】
[変形例に係るプレスユニット]
本変形例に係るプレスユニット1Bでは、第1打抜部20Bおよび第2打抜部30Bは、第1ダイ22と第2ダイ32とが一体化した第3ダイ70を有する。第3ダイ70は、第5貫通孔72は、第1パンチ24および第2パンチ34が挿通する。
【0091】
[変形例に係る積層体の製造方法]
(第1シート打抜工程)
第3ダイ70は固定されており、
図11A~
図11Dに示すように、固定された第3ダイ70に近づくようにして第1パンチ24が降下する。第1シート12が第3ダイ70と第1シート押さえ部40との間に挟持された状態で打ち抜かれる。
【0092】
(第2シート打抜工程)
図11A~
図11Dに示すように、固定された第3ダイ70に近づくようにして第2パンチ34が上昇する。第2シート14が第3ダイ70と第2シート押さえ部50との間に挟持された状態で打ち抜かれる。
【0093】
(積層工程)
打ち抜かれた第1シート12は、第1パンチ24の先端面242に保持された状態で、第3ダイ70の第5貫通孔72に案内されて移動する。打ち抜かれた第2シート14は、第2パンチ34の先端面342に保持された状態で、第3ダイ70の第5貫通孔72に案内されて移動する。第1パンチ24および第2パンチ34は、打ち抜かれた第1シート12と、打ち抜かれた第2シート14とを積層する。
【0094】
上記変形例では、プレスユニット1Bは、第1シート12、第2シート14を実質的に同時に打ち抜いたが、これに限定されない。例えば、第1シート12、第2シート14を非同時に打ち抜いてもよい。複数のシートを非同時に打ち抜く例として、第1シート12を先に打ち抜き、その後に第2シート14を打ち抜く例を挙げる。もちろん、この打ち抜き順が逆の場合もあり得る。
【0095】
図12A~
図12Dを参照して、第2実施形態の別の変形例を相違点(第1シート12、第2シート14を非同時に打ち抜くこと)を説明する。
図12A~
図12Dは、第2実施形態の別の変形例に係るプレスユニット1Cの断面図である。なお、第2実施形態の別の変形例において、第2実施形態の上記変形例と同一の符号は、第1実施形態の上記変形例と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0096】
[プレスユニット]
第2実施形態の別の変形例に係るプレスユニット1Cは、第2実施形態の上記変形例に係るプレスユニット1Bの構造と実質的にほぼ同じである。第1打抜部20Bおよび第2打抜部30Bの動作をそれぞれ制御する制御部(不図示)が異なる。
【0097】
[積層体の製造方法]
(第1シート打抜工程および第2シート打抜工程)
図12A~
図12Dに示すように、先に第1シート12が第1打抜部20Bによって打ち抜かれ、その後に第2シート14が第2打抜部30Bによって打ち抜かれる。このようにして積層構造体10が製造される。
【0098】
第1及び第2実施形態では、プレスユニットの第1,2パンチ24,34は、いずれも吸引部を有していたが、これに限定されない。プレスユニット1の第1,2パンチ24,34のいずれかが吸引部を有してもよい。
【0099】
第1及び第2実施形態では、第1ダイ22および第2ダイ32が可動であったが、これに限定されない。例えば、第1ダイ22および第2ダイ32は固定されていてもよい。
【0100】
第1及び第2実施形態では、第1ダイ22と第2ダイ32と間に何も配置していないが、第1ダイ22および第2ダイ32をそれぞれ上下とする間にプレートをさらに配置してもよい。このようにプレスユニットを三段構造にしてもよい。
【0101】
第1及び第2実施形態では、プレスユニットの第1,2パンチ24,34は、いずれも同種の吸引部を有していたが、これに限定されない。例えば、プレスユニット1の第1,2パンチ24,34は、一方が第1実施形態の吸引部を有し、他方が第2実施形態の吸引部を有していてもよい。
【0102】
本開示の積層体製造装置及び積層体の製造方法は、以下の態様を含む。
態様1.
正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び前記正極層及び前記負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、前記第1層及び前記第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、前記離型フィルム及び前記集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して、該パンチにより前記第1シートと前記第2シートとをそれぞれ打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、前記離型フィルムと前記一方の層と前記電解質層と前記他方の層と前記集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレスユニットと、
前記積層構造体から離型フィルムを分離する剥離ユニットと、
を含み、
前記積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する積層体製造装置。
【0103】
態様2
前記プレスユニットは、
前記第1シートを打ち抜く第1打抜部と、該第1打抜部と対向して配置され、前記第2シートを打ち抜く第2打抜部とを備え、
前記第1打抜部は、第1貫通孔が設けられた第1ダイと、該第1ダイと対向し前記第1貫通孔に対して挿抜可能に構成された第1パンチとを有し、
前記第1パンチは、その先端面と前記第1貫通孔との間に搬送される第1シートを前記第1ダイとともに打ち抜き、打ち抜かれた第1シートを該先端面に保持しながら前記第1貫通孔を挿通し、
前記第2打抜部は、前記第1ダイと一体化可能であって、第2貫通孔が設けられた第2ダイと、該第2ダイと対向し前記第2貫通孔に対して挿抜可能に構成された第2パンチとを有し、
前記第2パンチは、その先端面と前記第2貫通孔との間に搬送される第2シートを前記第2ダイとともに打ち抜き、打ち抜かれた第2シートを該先端面に保持しながら前記第2貫通孔を挿通し、
前記第1パンチおよび前記第2パンチは、前記打ち抜かれた第1シートと前記打ち抜かれた第2シートとを積層して挟み込む、態様1に記載の積層体製造装置。
【0104】
態様3
前記剥離ユニットは、
前記積層構造体を前記離型フィルムを上にして載置するテーブルと、
粘着面を有する剥離用テープを前記テーブル上に供給して回収するテープ供給回収部と、
前記テーブル上において、前記積層構造体の離型フィルムの一端に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を前記積層構造体の離型フィルムの他端に移動させることにより前記離型フィルムを剥離する剥離部と、
を含む態様1又は2に記載の積層体製造装置。
【0105】
態様4
上面及び下面が略矩形の積層体を製造する積層体製造装置であって、
前記剥離部は、
前記一端である前記積層構造体の離型フィルムの一角部に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を対角方向の他の角部である前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
態様3に記載の積層体製造装置。
【0106】
態様5
前記剥離部は、
曲面の先端部を有するブレードを備え、前記ブレードにより前記先端部を前記一端に前記剥離用テープの粘着面を接触させた後に前記ブレードにより前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
態様3又は4に記載の積層体製造装置。
【0107】
態様6
前記剥離部は、
それぞれ前記積層構造体の離型フィルムに平行でかつ移動方向に直交する中心軸を有する押えローラと剥離用ローラとを含み、
前記押えローラにより前記剥離用テープの粘着面を前記一端に接触させた後に前記押えローラを前記他端に向かって移動させ、前記剥離用ローラを、前記一端から前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する態様3又は4に記載の積層体製造装置。
【0108】
態様7
前記テーブルは、上下方向に移動可能に構成され、
前記剥離部は、上下方向に直交する方向に移動可能に構成されており、
前記テーブルを上方に移動させて前記一端に剥離用テープの粘着面を接触させた後に、前記剥離部を前記他端に向かって移動させることにより、前記積層構造体の離型フィルムを剥離する態様3~6のいずれかに記載の積層体製造装置。
【0109】
態様8
前記第1シートは、前記正極層を含む第1層が前記離型フィルム上に設けられてなり、
前記第2シートは、前記負極層と電解質層とを含む第2層が集電体上に設けられてなる、
態様3~7のいずれかに記載の積層体製造装置。
【0110】
態様9
前記第1ダイおよび前記第2ダイと対向する側の少なくとも一方に配置されるシート押さえ部をさらに備え、
前記シート押さえ部は、打ち抜かれる前記第1シートまたは打ち抜かれる前記第2シートを押さえる態様2及び態様2を引用する態様3~8のいずれかに記載の積層体製造装置。
【0111】
態様10
前記第1パンチおよび前記第2パンチの少なくとも一方の先端面に前記第1シートまたは前記第2シートを吸引する吸引部をさらに備える、態様2及び態様2を引用する態様3~8のいずれかに記載の積層体製造装置。
【0112】
態様11
前記吸引部は、
連通孔を有する多孔質体と、
該連通孔と連通する吸引路を有する減圧部と
を有し、
前記多孔質体の主面が前記先端面の一部を構成する、態様10に記載の積層体製造装置。
【0113】
態様12
前記吸引部は、
前記先端面を平面視した場合に、その外縁にスリット状開口部が形成されるようにはめ込まれた入子と、
前記スリット状開口部と連通する吸引路を有する減圧部と
を有し、
前記入子の主面は、前記先端面の一部を構成する、態様10又は11に記載の積層体製造装置。
【0114】
態様13
前記挿抜方向に垂直な平面において、前記第1パンチは、前記第2パンチに対して異なる断面形状および/または断面サイズを有する、態様2及び態様2を引用する態様3~12のいずれかに記載の積層体製造装置。
【0115】
態様14
所定の形状を有する第3シートが、前記第1ダイ、前記第2ダイ、または前記第1ダイおよび前記第2ダイが一体化した第3ダイによって固定され、前記第1シートと前記第2シートとが、前記第3シートを介して積層する前記積層体を製造する、態様2及び態様2を引用する態様3~12のいずれかに記載の積層体製造装置。
【0116】
態様15
正極層及び負極層のうちの一方の層を含む第1層及び前記正極層及び前記負極層のうちの他方の層と電解質層とを含む第2層の一方が、離型フィルム及び集電体の一方に設けられてなる第1シートと、前記第1層及び前記第2層の他方が離型フィルム及び集電体の他方に設けられてなる第2シートとを、準備する工程と、
前記第1シートと前記第2シートとを前記離型フィルム及び前記集電体がパンチに対向するようにダイ上に供給して前記パンチにより打ち抜いて、打ち抜いた第1シートと打ち抜いた第2シートとを積層して、前記離型フィルムと前記一方の層と前記電解質層と前記他方の層と前記集電体とを順に含む積層構造体を作製するプレス工程と、
前記積層構造体から離型フィルムを分離する剥離工程とを含み、
前記積層構造体から離型フィルムを除いた積層体を製造する積層体の製造方法。
【0117】
態様16
前記剥離工程は、
粘着面を有する剥離用テープを、前記積層構造体の離型フィルムの一端に前記粘着面を接触させた後に接触部を前記積層構造体の離型フィルムの他端に移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
態様15に記載の積層体の製造方法。
【0118】
態様17
上面及び下面が略矩形の積層体を製造する積層体の製造方法であって、
前記剥離工程は、
前記一端である前記積層構造体の離型フィルムの一角部に剥離用テープの粘着面を接触させた後に接触部を対角方向の他の角部である前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する、
態様15又は16に記載の積層体の製造方法。
【0119】
態様18
前記剥離工程は、
ブレードにより前記先端部を前記一端に前記剥離用テープの粘着面を接触させた後に前記ブレードを前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する態様15~17のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0120】
態様19
前記剥離工程は、
押えローラにより前記剥離用テープの粘着面を前記一端に接触させた後に前記押えローラを前記他端に向かって移動させ、剥離用ローラを、前記一端から前記他端に向かって移動させることにより前記離型フィルムを剥離する態様15~17のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0121】
態様20
前記第1シートは、前記正極層を含む第1層が前記離型フィルム上に設けられてなり、
前記第2シートは、前記負極層と電解質層とを含む第2層が集電体上に設けられてなる、
態様15~19のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0122】
態様21
前記プレス工程は、
第1貫通孔が設けられた第1ダイと、該第1ダイと対向し前記第1貫通孔に対して挿抜可能に構成された第1パンチとを有する第1打抜部によって、第1シートを打ち抜く第1シート打抜工程と、
前記第1ダイと一体化可能であって第2貫通孔が設けられた第2ダイと、該第2ダイと対向し前記第2貫通孔に対して挿抜可能に構成された第2パンチとを有し、前記第1打抜部と対向して配置される第2打抜部によって、第2シートを打ち抜く第2シート打抜工程と、
打ち抜かれた前記第1シートを前記第1パンチの先端面に保持しながら、前記第1パンチを前記第1貫通孔に挿通して、かつ打ち抜かれた前記第2シートを前記第2パンチの先端面に保持しながら、前記第2パンチを前記第2貫通孔に挿通して、前記打ち抜かれた第1シートと前記打ち抜かれた第2シートとを積層する積層工程と、
を含んで成る、態様15~19のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0123】
態様22
前記第1シート打抜工程では、前記第1ダイと前記第1ダイに対向して配置される第1シート押さえ部とによって挟持された状態で、前記第1シートが打ち抜かれる、ならびに/または
前記第2シート打抜工程では、前記第2ダイと前記第2ダイに対向して配置される第2シート押さえ部とによって挟持された状態で、前記第2シートが打ち抜かれる、態様21に記載の積層体の製造方法。
【0124】
態様23
前記積層工程では、前記第1パンチの第1吸引部によって前記第1パンチの前記先端面に打ち抜かれた前記第1シートを保持しながら前記第1パンチが前記第1貫通孔を挿通する、ならびに/または前記第2パンチの第2吸引部によって前記第2パンチの前記先端面に打ち抜かれた前記第2シートを保持しながら前記第2パンチが前記第2貫通孔を挿通する、態様21又は22に記載の積層体の製造方法。
【0125】
態様24
前記第1シート打抜工程および前記第2シート打抜工程では、第3シートが前記第1シートおよび前記第2シートの少なくとも一方のシートに設けられた状態で、前記第1シートおよび前記第2シートを打ち抜く、態様21及び態様21を引用する態様22~23のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【0126】
態様25
前記積層工程では、所定の形状に予め形成された第3シートを前記打ち抜かれた第1シートと前記打ち抜かれた第2シートとの間に積層する、態様21及び態様21を引用する態様22~24のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【符号の説明】
【0127】
1,1A,1B,1C ・・・プレスユニット
8 ・・・剥離ユニット
10,10A ・・・積層構造体
U10 ・・・積層体
M10 ・・・積層体
12 ・・・第1シート
12a ・・・離型フィルム
124 ・・・正極層
14 ・・・第2シート
142 ・・・集電体
144 ・・・負極層
16 ・・・電解質層
20,20A,20B ・・・第1打抜部
22,22A ・・・第1ダイ
222 ・・・第1貫通孔
24,24A ・・・第1パンチ
242 ・・・第1パンチの先端面
30,30B ・・・第2打抜部
32 ・・・第2ダイ
322 ・・・第2貫通孔
34 ・・・第2パンチ
342 ・・・第2パンチの先端面
40,40A ・・・第1シート押さえ部
42 ・・・第1シート押さえ部の第3貫通孔
50 ・・・第2シート押さえ部
52 ・・・第2シート押さえ部の第4貫通孔
60,60A ・・・第1吸引部
62,62A ・・・第1吸引路
63 ・・・入子
64 ・・・多孔質体
66 ・・・スリット状開口部
70 ・・・第3ダイ
72 ・・・第5貫通孔
74 ・・・シート固定部
81 剥離部
81a ブレード
81b 押えローラ
81c 剥離用ローラ
82 ・・・テープ供給部
82a ・・・供給ローラ
82b ・・・剥離テープロール
83 ・・・テープ回収部
83a 回収ローラ
83b 巻取ロール
84 ・・・テーブル
75 ・・・シート製造装置
88 ・・・テープ供給回収部
90 ・・・積層電極形成セル化装置 100 ・・・打抜部
101 ・・・シート供給部
101A 第1シートロール
101B 第2シートロール