(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024072137
(43)【公開日】2024-05-27
(54)【発明の名称】連結金具および天井下地構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/16 20060101AFI20240520BHJP
E04B 9/22 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
E04B9/16 G
E04B9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182824
(22)【出願日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】湯 正明
(72)【発明者】
【氏名】永松 英夫
(72)【発明者】
【氏名】道端 更姓
(57)【要約】
【課題】野縁同士を強固に連結できる技術を提供する。
【解決手段】連結金具23は、平板状の主部79と、上下方向1へ延出する第1延部82と、第1延部82から左右方向2に延出する平板状の第2延部83とを備える。第1延部82は、左右方向2に離間して少なくとも2つが位置しており、第2延部83は、第1延部82から左右方向2に沿って相反する向きへ延出しており、主部79は、上下方向1において第2延部83と重なって貫通する貫通孔77,78を有しており、第2延部83は、左右方向2において貫通孔77,78と重なって貫通する貫通孔95,99を有しており、第2延部83における延出端部94,98は、貫通孔95,99において、貫通孔77,78に挿通されたビス101によって上面74に近接される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状の板部と、
上記板部の主面に交差する第1方向へ延出する第1延部と、
上記第1延部から上記板部の上記主面に沿って延出する平板形状の第2延部と、を備える連結金具であって、
上記第1延部は、上記主面に沿った第2方向に離間して少なくとも2つが位置しており、
上記第2延部は、上記第1延部のそれぞれから上記第2方向に沿って相反する向きへそれぞれ延出しており、
上記板部は、上記第1方向において上記第2延部のそれぞれと重なる位置においてそれぞれ貫通する第1孔を有しており、
上記第2延部のそれぞれは、上記第1方向において上記第1孔とそれぞれ重なる位置においてそれぞれ貫通する第2孔を有しており、
上記第2延部の延出端部のそれぞれは、上記第1孔および上記第2孔に挿通された締結具によって上記板部の上記主面に近接される連結金具。
【請求項2】
上記締結具は、ビスであり、
上記第1孔の径寸法は、上記ビスの外径寸法よりも大きく、
上記第2孔の径寸法は、上記ビスの外径寸法よりも小さく且つ上記ビスの谷径寸法よりも大きい請求項1に記載の連結金具。
【請求項3】
上記延出端部は、上記第2方向と交差する第3方向に沿って、上記主面へ向かって山形状に折れ曲がっている請求項1または2に記載の連結金具。
【請求項4】
上記第2孔は、上記第2延部において、上記第1延部と上記延出端部との間に位置する請求項1または2に記載の連結金具。
【請求項5】
梁の一方の側面に固定された吊り金具と、
上記吊り金具に連結されて上記梁と交差する方向へ延びる第1野縁と、
上記梁を挟んで上記第1野縁と対向しており、上記梁と交差する方向へ延びる第2野縁と、
上記第1野縁と上記第2野縁とを連結する連結金具と、を備える天井下地構造であって、
上記連結金具は、
平板形状の板部と、
上記板部の主面に交差する第1方向へ延出する第1延部と、
上記第1延部から上記板部の上記主面に沿って延出する平板形状の第2延部と、を備えており、
上記第1延部は、上記主面に沿った第2方向に離間して少なくとも2つが位置しており、
上記第2延部は、上記第1延部のそれぞれから上記第2方向に沿って相反する向きへそれぞれ延出しており、
上記板部は、上記第1方向において上記第2延部のそれぞれと重なる位置においてそれぞれ貫通する第1孔を有しており、
上記第2延部のそれぞれは、上記第1方向において上記第1孔とそれぞれ重なる位置においてそれぞれ貫通する第2孔を有しており、
上記第2延部の延出端部のそれぞれは、上記第1孔および上記第2孔に挿通された締結具によって上記板部の上記主面に近接される天井下地構造。
【請求項6】
上記第1野縁の一部および上記第2野縁の一部は、上記梁の下端よりも上方に位置している請求項5に記載の天井下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結対象材を連結する連結金具および連結金具を用いた天井下地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天井構造において、天井野縁が梁の両側に配置される場合がある。梁を挟んで配置された野縁同士は、梁との干渉を避けるために、野縁の下端同士が板状の部材で連結されることがある。
【0003】
特許文献1には、押さえ板の折り曲部と本体の折曲げ部との間に壁体の端板が差し込まれて、折曲げ部に押圧用ボルトがねじ込まれて壁体が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の連結金具のように、野縁の縁が挟み込まれて連結されると、挟み込まれた箇所を中心として野縁が回動するおそれがある。また、野縁が連結金具に対してガタつき易い。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、梁を挟んで位置する野縁同士が強固に連結される連結金具および天井下地構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 請求項1は、平板形状の板部と、上記板部の主面に交差する第1方向へ延出する第1延部と、上記第1延部から上記板部の上記主面に沿って延出する平板形状の第2延部と、を備える連結金具であって、上記第1延部は、上記主面に沿った第2方向に離間して少なくとも2つが位置しており、上記第2延部は、上記第1延部のそれぞれから上記第2方向に沿って相反する向きへそれぞれ延出しており、上記板部は、上記第1方向において上記第2延部のそれぞれと重なる位置においてそれぞれ貫通する第1孔を有しており、上記第2延部のそれぞれは、上記第1方向において上記第1孔とそれぞれ重なる位置においてそれぞれ貫通する第2孔を有しており、上記第2延部の延出端部のそれぞれは、上記第1孔および上記第2孔に挿通された締結具によって上記板部の上記主面に近接される連結金具である。
【0008】
第2延部の延出端部と板部との間に、連結対象材の一部が差し込まれる。第1孔および第2孔に挿通される締結具が連結対象材の一部に貫通されることにより、連結対象材が板部の主面に沿った方向に対して位置決めされる。締結具によって第2延部の延出端部が板部の主面に近接すると、連結対象材の一部が、第1孔および第2孔から離れた位置において、延出端部および板部に挟み込まれる。これにより、締結具を中心とする連結金具と連結対象材とのガタつきや、回動が抑制されるので、連結対象材が強固に連結される。
【0009】
(2) 請求項2は、上記締結具は、ビスであり、上記第1孔の径寸法は、上記ビスの外径寸法よりも大きく、上記第2孔の径寸法は、上記ビスの外径寸法よりも小さく且つ上記ビスの谷径寸法よりも大きい請求項1に記載の連結金具である。
【0010】
ビスを第1孔に螺入するときに第1孔の周囲にバリが発生しない。また、ビスの山が第2孔に引っ掛かるため、第2孔に螺入されるビスによって、第2延部の延出端部を板部の主面に近接できる。
【0011】
(3) 請求項3は、上記延出端部は、上記第2方向と交差する第3方向に沿って、上記主面へ向かって山形状に折れ曲がっている請求項1または2に記載の連結金具である。
【0012】
折れ曲がった山形状の尾根が線状に連結対象材に接触する。
【0013】
(4) 請求項4は、上記第2孔は、上記第2延部において、上記第1延部と上記延出端部との間に位置する請求項1または2に記載の連結金具である。
【0014】
第2延部が第2孔において締結具によって締結されることで、第2延部が連結対象材に対して付勢される。
【0015】
(5) 請求項5は、梁の一方の側面に固定された吊り金具と、上記吊り金具に連結されて上記梁と交差する方向へ延びる第1野縁と、上記梁を挟んで上記第1野縁と対向しており、上記梁と交差する方向へ延びる第2野縁と、上記第1野縁と上記第2野縁とを連結する連結金具と、を備える天井下地構造であって、上記連結金具は、平板形状の板部と、上記板部の主面に交差する第1方向へ延出する第1延部と、上記第1延部から上記板部の上記主面に沿って延出する平板形状の第2延部と、を備えており、上記第1延部は、上記主面に沿った第2方向に離間して少なくとも2つが位置しており、上記第2延部は、上記第1延部のそれぞれから上記第2方向に沿って相反する向きへそれぞれ延出しており、上記板部は、上記第1方向において上記第2延部のそれぞれと重なる位置においてそれぞれ貫通する第1孔を有しており、上記第2延部のそれぞれは、上記第1方向において上記第1孔とそれぞれ重なる位置においてそれぞれ貫通する第2孔を有しており、上記第2延部の延出端部のそれぞれは、上記第1孔および上記第2孔に挿通された締結具によって上記板部の上記主面に近接される天井下地構造である。
【0016】
(6) 請求項6は、上記第1野縁の一部および上記第2野縁の一部は、上記梁の下端よりも上方に位置している請求項5に記載の天井下地構造である。
【0017】
第1野縁および第2野縁の下端が梁の下端よりも下方に位置するため、第1野縁と第2野縁の下端同士を梁に遮られることなく連結金具で連結できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、天井下地構造において野縁同士が連結金具により強固に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態にかかる天井下地構造15を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の天井下地構造15を拡大して示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態にかかる連結金具23を示す図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す連結金具23を拡大して示す断面図である。
【
図9】
図9は、連結金具23を第1野縁21および第2野縁22とともに示す底面図である。
【
図11】
図11は、第1下壁56および第2下壁61に連結された連結金具23を示す断面図である。
【
図13】
図13は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【
図14】
図14は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【
図15】
図15は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【
図16】
図16は、天井下地の施工方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0021】
以下では、建物10が建築された状態(
図1参照)を基準として上下方向1(第1方向の一例)が定義される。上下方向1に直交する第1野縁21および第2野縁22が延びる方向が左右方向2(第2方向の一例)と定義される。上下方向1および左右方向2に直交する方向が前後方向3(第3方向の一例)と定義される。
【0022】
[天井下地構造15]
図1に示される建物10は、木造軸組構造の住宅などである。
図1においては、建物10の1階部分が模式的に示されており、2階以上は省略されている。建物10において、基礎11に土台13が載置されており、土台13に複数の柱12が立てられている。複数の柱12のうち一部の柱12が梁14を支持している。梁14には、天井下地構造15が位置する。土台13は根太16を支持しており、
図1には示されていないが、根太16上に床下地構造が位置する。
【0023】
天井下地構造15は、建物10の1階の天井である。
図2、
図3に示されるように、天井下地構造15は、吊り金具20と、第1野縁21と、第2野縁22と、連結金具23と、を備えている。
【0024】
図1に示されるように、梁14は、前後方向3に沿って延びている。
図2に示されるように、梁14は、上方を向く梁上面28と、下方を向く梁下面(梁14の下端の一例)29と、左方を向く梁左面30と、右方を向く梁右面31とを有している。梁左面30の上下方向1における中央付近には、吊り金具20の上端が固定されている。
【0025】
図2および
図3に示されるように、吊り金具20は、梁14と第1野縁21とを連結する。吊り金具20は、梁金具35と、シャフト36と、野縁受け37とを有している。梁金具35は、前後方向3から視て断面がL字形状である。梁金具35は、上下方向1および前後方向3に広がる第1片38と、第1片38の下端から左方に延出し左右方向2および前後方向3に広がる第2片39とを有している。第1片38は、左右方向2に貫通する貫通孔(不図示)を有している。第2片39は、上下方向1に貫通する貫通孔(不図示)を有している。第1片38は、貫通孔に挿通されたビス42によって梁左面30に固定されている。
【0026】
シャフト36は、上部および下部にネジ山を有する。シャフト36の上部は、第2片39の貫通孔に挿通された状態で、一対のナット43,44が第2片39を挟み込むことによって、第2片39と連結されている。シャフト36の下部は、野縁受け37に挿通された状態で、一対のナット51,52が野縁受け37を挟み込むことによって、野縁受け37と連結されている。
【0027】
野縁受け37は、前後方向3から視て断面がU字形状である。野縁受け37は、第1壁47と、第2壁48と、第3壁49とを有している。第1壁47は、左右方向2および前後方向3に広がる。第1壁47は、上下方向1に貫通する貫通孔(不図示)を有している。第1壁47の貫通孔には、シャフト36の下部が挿通されている。第2壁48は、第1壁47の右端から下方に延出しており、上下方向1および前後方向3に広がる。第2壁48は、梁左面30に接している。第3壁49は、第2壁48の下端から左方に延出しており、第1壁47と対向している。第3壁49には、嵌合金具45が溶接或いはビス止めなどによって固定されている。
【0028】
第1野縁21は、梁14の左方に位置する。第1野縁21には、下方から天井ボード17がビス18によって固定されている。第1野縁21は、左右方向2に延びている。複数の第1野縁21は、前後方向3に間隔を空けて野縁受け37に取り付けられている。第1野縁21は、略角筒形状である。嵌合金具45には、下方において第1野縁21が嵌められている。
【0029】
第1野縁21は、上方に位置する第1上壁55と、下方に位置する第1下壁56と、前方に位置する第1前壁57と、後方に位置する第1後壁58とを有している。第1上壁55と第1下壁56は、それぞれが左右方向2および前後方向3に沿っており、互いに対向している。第1前壁57および第1後壁58は、それぞれが上下方向1および前後方向3に沿っており、互いに対向している。第1野縁21の一部は梁下面29よりも上方に位置している。第1上壁55は、梁下面29よりも上方に位置しており、第1下壁56は、梁下面29よりも下方に位置している。第1野縁21の右端59は、梁左面30に接している。
【0030】
第2野縁22は、梁14の右方に位置する。第2野縁22は、上述した野縁受け37とは異なる位置の野縁受け(不図示)に支持されている。第2野縁22には、下方から天井ボード17がビス18によって固定されている。第2野縁22は、左右方向2に延びている。第2野縁22は、第1野縁21に対して梁14を挟んで対向している。第2野縁22は、第1野縁21と同じ高さにある。第2野縁22は、第1野縁21と同様の略角筒形状である。
【0031】
図2、
図4に示されるように、第2野縁22は、上方に位置する第2上壁60と、下方に位置する第2下壁61と、前方に位置する第2前壁62と、後方に位置する第2後壁63とを有している。第2上壁60と第2下壁61は、それぞれが左右方向2および前後方向3に沿っており、互いに対向している。第2前壁62および第2後壁63は、それぞれが上下方向1および前後方向3に沿っており、互いに対向している。第2野縁22の一部は梁下面29よりも上方に位置している。第2上壁60は、梁下面29よりも上方に位置しており、第2下壁61は、梁下面29よりも下方に位置している。第2野縁22の左端64は、梁右面31に接している。
【0032】
[連結金具]
図2に示されるように、連結金具23は、第1野縁21と第2野縁22とを連結する。連結金具23は、梁下面29の下方に位置する。連結金具23と梁下面29とは、上下方向1に離れている。
図5、
図6、
図7に示されるように、連結金具23は、前後方向3よりも左右方向2に長い平板形状の本体70と、本体70に連結された2つの押え部材71と、を備えている。本体70および押え部材71は金属製である。
【0033】
本体70は、主部79(板部の一例)と、側部73とを有している。主部79の上面74(主面の一例)および下面75は、左右方向2および前後方向3に広がっている。主部79における左右方向2の中央には、上方へ向かって膨出する2つの膨出部76が前後方向3に離れて位置する。膨出部76は、主部79の曲げ剛性を高めるものである。側部73は、主部79の前端および後端においてそれぞれ上方へ延出している。主部79には2つの貫通孔77(第1孔の一例)および2つの貫通孔78(第1孔の一例)が位置する。
【0034】
図7に示されるように、2つの貫通孔77は、下面75における左右方向2の中央より左側に位置している。2つの貫通孔77は、主部79の前後方向3における中央よりも前側と後側とのそれぞれに位置する。2つの貫通孔78は、下面75における左右方向2の中央より右側に位置している。2つの貫通孔78は、主部79の前後方向3における中央よりも前側と後側とのそれぞれに位置する。
【0035】
図8に示されるように、主部79の左右方向2における寸法D1は、梁14の左右方向2における寸法D2よりも大きい。
図9に示されるように、主部79の前後方向3における寸法D3は、第1野縁21および第2野縁22の前後方向3における外形寸法D4よりも大きい。
【0036】
図5、
図6に示されるように、上面74には、2つの押え部材71が左右方向2に離れて位置する。各押え部材71は、ベース部81と、第1延部82と、第2延部83と、取付部80とをそれぞれ有している。ベース部81は、上面74に当接する平板形状である。ベース部81の前後方向3における寸法は、主部79の前後方向3における寸法D3と同じである(
図9参照)。2つの取付部80は、押え部材71の前端および後端からそれぞれ上方に延出している。2つの取付部80は、2つの側部73より前後方向3の中央側において各側部73とそれぞれ当接している。2つの取付部80は、リベット84によって各側部73にそれぞれ固定されている。
【0037】
第1延部82は、ベース部81から上方に延出している。
図11に示されるように、第1延部82の上下方向1における寸法D5は、第1野縁21および第2野縁22の各第1下壁56の厚み寸法D6よりも大きい。第1延部82の上下方向1における寸法D5は、第2延部83がビス101によって締結されていない状態の上面74と第2延部83との隙間の寸法である。
【0038】
第2延部83は、第1延部82から上面74に沿って右方または左方へ延出している。本体70において左右方向2の左側に位置する押え部材71の第2延部83は、第1延部82から左方へ延出している。本体70において左右方向2の右側に位置する押え部材71の第2延部83は、第1延部82から右方へ延出している。各第1延部82と各第2延部83の接続部分は折れ曲がっている。各第2延部83に外力が加わると、この接続部分の折れ曲がり角度が変わることにより、各第2延部83が各第1延部82に対して揺動する。
図10に示されるように、各第2延部83の前後方向3における寸法D7は、第1野縁21および第2野縁22の前後方向3における開口寸法D8のそれぞれよりも小さい。
【0039】
図10、
図11に示されるように、本体70の左側に位置する第2延部83の延出端部94は、第1交差方向P1に折れ曲がっている。第1交差方向P1は、左方へ向かって斜め上向きとなる方向であり、上下方向1および左右方向2と交差する。延出端部94により、第2延部83において上面74へ向かう山形状が形成される。第2延部83において、左右方向2の第1延部82と延出端部94との間には、2つの貫通孔95(第2孔の一例)が位置する。2つの貫通孔95は、前後方向3に離れている。2つの貫通孔95は、上下方向1において2つの貫通孔77それぞれと重なる。第2延部83において、前後方向3の2つの貫通孔95の間に長穴96が位置する。長穴96は、第2延部83を貫通している。長穴96は、左右方向2に長い。
【0040】
本体70の右側に位置する第2延部83の延出端部98は、第2交差方向P2に折れ曲がっている。第2交差方向P2は、右方へ向かって斜め上向きとなる方向であり、上下方向1および左右方向2と交差する。延出端部98により、第2延部83において上面74へ向かう山形状が形成される。第2延部83において、左右方向2の第1延部82と延出端部98との間には、2つの貫通孔99(第2孔の一例)が位置する。2つの貫通孔99は、前後方向3に離れている。2つの貫通孔99は、上下方向1において2つの貫通孔78のそれぞれと重なる。第2延部83において、前後方向3の2つの貫通孔99の間に長穴100が位置する。長穴100は、第2延部83を貫通している。長穴100は、左右方向2に長い。
【0041】
図11に示されるように、貫通孔77の径寸法D9は、ビス(締結具の一例)101の外径寸法D10よりも大きい。貫通孔78の径寸法も貫通孔77の径寸法D9と同様である。貫通孔95の径寸法D11は、ビス101の外径寸法D10よりも小さく、且つ谷径寸法D12よりも大きい。貫通孔99の径寸法も貫通孔95の径寸法D11と同様である。このため、本体70の左側に位置する第2延部83は、貫通孔95において、貫通孔77に下方から挿入されたビス101によって第1下壁56とともに本体70に固定される。本体70の右側に位置する第2延部83は、貫通孔99において、貫通孔78に下方から挿入されたビス101によって第2下壁61とともに本体70に固定される。
【0042】
[天井下地の施工方法]
以下、連結金具23を用いた天井下地の施工方法が、
図12から
図16が参照されつつ説明される。天井下地の施工方法では、まず、
図12(a)に示されるように、吊り金具20が梁14の梁左面30にビス42によって固定される。次に、
図12(b)に示されるように、吊り金具20の野縁受け37に第1野縁21が連結される。このとき、第1野縁21は、嵌合金具45に左方から挿入されて嵌められる。嵌合金具45に嵌められた第1野縁21の長手方向は、左右方向2に沿う。第1野縁21の上側部分は、梁14の梁左面30に当接する。
【0043】
図13に示されるように、第2野縁22は、梁右面31の右方において、不図示の別の吊り金具に連結されて左右方向2を長手方向として配置される。第2野縁22の上側部分は、梁14の梁右面31に当接する。第2野縁22は、梁14を挟んで第1野縁21に対向する。
【0044】
図14に示されるように、第1野縁21と第2野縁22との間において、連結金具23が第1野縁21に嵌め込まれる。第1野縁21の第1下壁56が、連結金具23の本体70と左に位置する第2延部83との間に位置されて、連結金具23が左方へ移動されると、第1下壁56が左に位置する第1延部82に当接する。このとき、連結金具23の右端は、第2野縁22の左端64よりも左方に位置する。
【0045】
図15に示されるように、連結金具23が第1野縁21に嵌め込まれた状態から、第2野縁22の第2下壁61が、連結金具23の本体70と右に位置する第2延部83との間に位置されて、連結金具23が右方に移動されると、連結金具23が第2野縁22にも嵌め込まれる。この状態において、
図9に示されるように、連結金具23の2つの貫通孔77は、第1野縁21の下方に位置している。また、連結金具23の2つの貫通孔78は、第2野縁22の下方に位置している。
【0046】
図16に示されるように、4本のビス101が、下方から2つの貫通孔77および2つの貫通孔78にそれぞれ螺入される。2つの貫通孔77にそれぞれ螺入された2つのビス101の先端は、第1野縁21の第1下壁56を貫通して2つの貫通孔95にそれぞれ達する。ビス101のねじ山が貫通孔95の周縁と螺合すると、第2延部83は、ビス101の回転にしたがって第1下壁56へ向かって移動し、延出端部94による第2延部83の山形状が、第1下壁56に圧接する。
【0047】
同様に、2つの貫通孔78にそれぞれ螺入された2つのビス101の先端は、第2野縁22の第2下壁61を貫通して2つの貫通孔99にそれぞれ達する。ビス101のねじ山が貫通孔99の周縁と螺合すると、第2延部83は、ビス101の回転にしたがって第2下壁61へ向かって移動し、延出端部98による第2延部83の山形状が、第2下壁61に圧接する。これにより、梁14の下方において、第1野縁21と第2野縁22とに連結金具23が連結される。
【0048】
各図には示されていないが、第1野縁21および第2野縁22は、前後方向3に間隔を空けて複数本がそれぞれ配置されており、各第1野縁21と第2野縁22との間において連結金具23が連結される。複数本の第1野縁21および第2野縁22と、複数個の連結金具23に対して、下方から天井ボード17が配置されて、天井ボード17の下方からビス18が第1野縁21、第2野縁22、または連結金具23のそれぞれに打ち込まれる。これにより、複数本の第1野縁21および第2野縁22と、複数個の連結金具23に対して、複数の天井ボード17が固定されて天井下地となる。
【0049】
[実施形態の作用効果]
前述された実施形態によれば、連結金具23の本体70と第2延部83との間に、第1野縁21および第2野縁22がそれぞれ差し込まれ、貫通孔77および貫通孔95に挿通されるビス101、および貫通孔78および貫通孔99に挿通されるビス101により、各貫通孔77,78,95,99から離れた位置において、第2延部83の山形状が第1野縁21または第2野縁22と圧接する。これにより、ビス101を中心とする連結金具23と第1野縁21および第2野縁22との間で生じるガタつきや回動が抑制されるので、第1野縁21および第2野縁22と連結金具23とが強固に連結される。また、第2野縁22が連結金具23を介して第1野縁21に支持されるので、梁右面31において第2野縁22を支持する吊り金具20を配置しなくてよい。
【0050】
本実施形態では、ビス101が貫通孔77,78にそれぞれ螺入されるときに、貫通孔77,78の周囲にバリが発生しない。また、ビス101のねじ山が貫通孔95,99の周縁に螺合するので、ビス101の回転によって、第2延部83が本体70の上面74に近接する向きへ移動する。
【0051】
本実施形態では、ビス101が回転されることにより、第2延部83が湾曲し第1下壁56および第2下壁61が第2延部83の湾曲部分による復元力により圧接される。
【0052】
本実施形態では、第1野縁21の第1下壁56および第2野縁22の第2下壁61が梁下面29よりも下方に位置するため、第1下壁56および第2下壁61と連結金具23とが連結できる。
【0053】
[変形例1]
上述の実施形態においては、ビス101が貫通孔95,99に螺合される場合を例にあげて説明したが、ビス101が螺合される位置はこの位置に限定されない。ビス101は、それぞれ、長穴96,100に螺合されてもよい。この場合、貫通孔77,78は、長穴96,100に重なる位置にある。
【0054】
長穴96,100は、前後方向3における開口寸法D13(
図10参照)が、ビス101の外径寸法D10よりも小さく、且つ谷径寸法D12よりも大きい。このため、第2延部83が、長穴96,100において、貫通孔77,78に下方から挿入されたビス101によって第1野縁21および第2野縁22とともに本体70に固定される。貫通孔77,78は、上下方向1において長穴96,100に重なっていればよく、例えば、第2延部83上の左右方向2における中央、左寄り、または右寄りのいずれの位置でもよい。
【0055】
[変形例2]
上述の実施形態においては、連結金具23は、対向する一対の第1野縁21と第2野縁22とを連結するが、この構成に限らない。連結金具23は、複数の第1野縁21と複数の第2野縁22とを連結するものであってもよい。例えば、連結金具23の本体70が複数の第1野縁21および第2野縁22の下方に位置する程度に前後方向3に長く、本体70において前後方向3に複数の第1延部82および第2延部83が並んでいてもよい。つまり、第1野縁21および第2野縁22の対の数に応じた数の第2延部83を連結金具23が有していてもよい。
【0056】
[その他の変形例]
上述の実施形態においては、貫通孔77,78がそれぞれ主部79の左右方向2における左右のそれぞれにおいて前後に2つ位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。貫通孔77,78は、主部79の左右方向2における左右において1箇所ずつ位置してもよいし、3箇所以上位置してもよい。また、貫通穴95,99がそれぞれ第2延部83において前後方向における前後の2箇所に位置する場合を例にあげて説明したが、貫通穴95,99のそれぞれは、第2延部83において、1箇所ずつ位置してもよいし、3箇所以上位置してもよい。貫通穴77,78は、貫通穴95,99と上下方向1において重なっており、本体70と第2延部83とがビス101によって締結できればよい趣旨である。
【0057】
上述の実施形態においては、延出端部94が第2延部83から左方に向かって延出しており、第1交差方向P1に沿っている場合を例にあげて説明した。また、延出端部98が第2延部83から右方に向かって延出し、第1交差方向P2に沿っている場合を例にあげて説明したがこの構成に限らない。延出端部94は、第2延部83から左方に向かって延出してもよく、延出端部98は、第2延部83から右方に向かって延出してもよい。
【0058】
上述の実施形態においては、貫通孔95が第2延部83に位置しており、左右方向2における第1延部82と延出端部94の間において、前後方向3に離間して2つが位置している。また、貫通孔99が第2延部83の左右方向2における第1延部82と延出端部98の間において、前後方向3に離間して2つが位置している場合を例にあげて説明したがこの構成に限らない。貫通孔95,99は、例えば、それぞれの第2延部83において、左右方向2に複数が並んで配置されてもよい。
【0059】
上述の実施形態においては、第1野縁21および第2野縁22がビス101によって連結金具23に固定される場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。連結金具23は、第1野縁21および第2野縁22に対してビス101以外で固定されてもよい。例えば、連結金具23は、リベット、或いはボルトおよびナットによって第1野縁21および第2野縁22に固定されてもよい。
【0060】
上述の実施形態においては、第1野縁21の第1上壁55および第2野縁22の第2上壁60が梁下面29よりも上方に位置し、第1下壁56および第2下壁61が梁下面29よりも下方に位置する場合を例にあげて説明した。しかしながら、天井下地構造15のこれらの位置関係については、この構成に限らない。第1上壁55および第2下壁61は、梁下面29よりも下方に位置してもよい。
【0061】
上述の実施形態においては、梁14が木製である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。梁14は、H型鋼、I型鋼などの鋼製であってもよい。
【0062】
上述の実施形態においては、第2延部83を有する押え部材71が、本体70の上面74に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。連結金具23において、押え部材71が本体70と別部材として構成されていなくてもよく、例えば、連結金具23において、第1延部82および第2延部が本体70と一体に形成されてもよい。
【0063】
上述の実施形態においては、連結金具23の本体70に膨出部76が形成されているが、膨出部76は形成されていなくてもよい。
【0064】
上述の実施形態において示された天井下地の施工方法は一例であり、その他の施工方法によって、第1野縁21および第2野縁22に連結金具23が連結されてもよい。例えば、第1野縁21および第2野縁22に対して、連結金具23が嵌め込まれる順序は適宜変更されてもよいし、第1野縁21および第2野縁22に対して連結金具23が嵌め込まれた後に第2野縁22が吊り金具20に固定されてもよい。
【0065】
[請求項1]
平板形状の板部と、
上記板部の主面に交差する第1方向へ延出する第1延部と、
上記第1延部から上記板部の上記主面に沿って延出する平板形状の第2延部と、を備える連結金具であって、
上記第1延部は、上記主面に沿った第2方向に離間して少なくとも2つが位置しており、
上記第2延部は、上記第1延部のそれぞれから上記第2方向に沿って相反する向きへそれぞれ延出しており、
上記板部は、上記第1方向において上記第2延部のそれぞれと重なる位置においてそれぞれ貫通する第1孔を有しており、
上記第2延部のそれぞれは、上記第1方向において上記第1孔とそれぞれ重なる位置においてそれぞれ貫通する第2孔を有しており、
上記第2延部の延出端部のそれぞれは、上記第1孔および上記第2孔に挿通された締結具によって上記板部の上記主面に近接される連結金具
【0066】
[請求項2]
上記締結具は、ビスであり、
上記第1孔の径寸法は、上記ビスの外径寸法よりも大きく、
上記第2孔の径寸法は、上記ビスの外径寸法よりも小さく且つ上記ビスの谷径寸法よりも大きい請求項1に記載の連結金具。
【0067】
[請求項3]
上記延出端部は、上記第2方向と交差する第3方向に沿って、上記主面へ向かって山形状に折れ曲がっている請求項1または2に記載の連結金具。
【0068】
[請求項4]
上記第2孔は、上記第2延部において、上記第1延部と上記延出端部との間に位置する請求項1または2に記載の連結金具。
【0069】
[請求項5]
梁の一方の側面に固定された吊り金具と、
上記吊り金具に連結されて上記梁と交差する方向へ延びる第1野縁と、
上記梁を挟んで上記第1野縁と対向しており、上記梁と交差する方向へ延びる第2野縁と、
上記第1野縁と上記第2野縁とを連結する連結金具と、を備える天井下地構造であって、
上記連結金具は、
平板形状の板部と、
上記板部の主面に交差する第1方向へ延出する第1延部と、
上記第1延部から上記板部の上記主面に沿って延出する平板形状の第2延部と、を備えており、
上記第1延部は、上記主面に沿った第2方向に離間して少なくとも2つが位置しており、
上記第2延部は、上記第1延部のそれぞれから上記第2方向に沿って相反する向きへそれぞれ延出しており、
上記板部は、上記第1方向において上記第2延部のそれぞれと重なる位置においてそれぞれ貫通する第1孔を有しており、
上記第2延部のそれぞれは、上記第1方向において上記第1孔とそれぞれ重なる位置においてそれぞれ貫通する第2孔を有しており、
上記第2延部の延出端部のそれぞれは、上記第1孔および上記第2孔に挿通された締結具によって上記板部の上記主面に近接される天井下地構造。
【0070】
[請求項6]
上記第1野縁の一部および上記第2野縁の一部は、上記梁の下端よりも上方に位置している請求項5に記載の天井下地構造。
【符号の説明】
【0071】
14・・・梁
15・・・天井下地構造
20・・・吊り金具
21・・・第1野縁
22・・・第2野縁
23・・・連結金具
29・・・梁下面(梁14の下端)
30・・・梁左面(梁の一方の側面)
79・・・主部(板部)
74・・・上面(主面)
77,78・・・貫通孔(第1孔)
82・・・第1延部
83・・・第2延部
95,99・・・貫通孔(第2孔)
94,98・・・延出端部
101・・・ビス(締結具)